説明

画像処理装置及び画像データ送受信方法

【課題】信号の割付を適切に行うこと。
【解決手段】送信部は、画像データ及び同期信号を第1パラレルデータの各ビットに割り付ける。第1変換部は、第1パラレルデータをシリアルデータに変換し、シリアルデータを送信する。第2変換部は、シリアルデータを第2パラレルデータに変換し、第2パラレルデータを送信する。受信部は、第1期間に受信した第2パラレルデータについては、同期信号が割り付けられたビットから同期信号を読み出し、第2期間に受信した第2パラレルデータについては、画像データが割り付けられたビットから画像データを読み出す。また、送信部は、第1パラレルデータの各ビットのうち同期信号を割り付けるビットに同期信号を割り付けるとともに画像データを割り付けるビットに同期信号を割り付けることで、第1期間の第1パラレルデータに2ビット以上の同期信号を割り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像データ送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合機等の画像処理装置には、例えば、画像処理装置内の画像読取部から画像処理部への画像データの送受信において、送信側は、パラレルデータをシリアルデータに変換して送信し、受信側は、シリアルデータをパラレルデータに変換して受信するものが多くある。この送受信においては、送信側と受信側との同期を取るための同期信号も送受信される。すなわち、送信側は、画像データを同期信号とともにシリアルデータに変換して送信し、受信側は、受信したシリアルデータをパラレルデータに変換し、画像データを同期信号とともにパラレルデータとして受信する。
【0003】
ここで、画像データの送受信を正常に行い、誤動作を防止するには、受信側で同期信号を正確に再現することが重要である。例えば、1ビット分の信号が正常に送受信されなかった場合、その信号が画像データである場合には、画像の部分的な異常となるが、その信号が同期信号であり、同期を取ることができなかった場合には、同期ずれ等を発生させ、画像の重大な異常となる。したがって、画像データの送受信において、同期信号は極めて重要である。このため、例えば、送信側が、シリアルデータ中に連続して複数個の同期信号を割り付けて送信し、受信側が、複数個の同期信号の内、中央の信号を同期信号として受信する手法等がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数個の同期信号をシリアルデータ中に割り付ける上述の手法では、例えば、シリアルデータの割付に空きが無い場合には、シリアルデータ送受信のチャネル数を増やさなければならない。例えば、画像処理装置がRGB各8ビット(合計24ビット)の画像データの送受信を行う場合、1チャネルあたり7ビットであれば、同期信号を4ビット割り付けたとしても4チャネルで足りる。しかしながら、同期信号以外に、フォトセンサ信号や副走査方向の画像有効期間信号等、画像処理に用いる画像処理信号をともに送信する場合、チャネル数を増やさなければならない。また、例えば、画像処理装置がRGB各9ビット(合計27ビット)の画像データの送受信を行う場合、複数個の同期信号を割り付けるには、チャネル数を増やさなければならない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、信号の割付を適切に行うことが可能な画像処理装置及び画像データ送受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像処理装置であって、送信部と、第1変換部と、第2変換部と、受信部とを備える。前記送信部は、画像データ及び該画像データの同期信号を第1パラレルデータの各ビットに割り付け、該第1パラレルデータを送信する。前記第1変換部は、前記第1パラレルデータをシリアルデータに変換し、前記シリアルデータを送信する。前記第2変換部は、前記シリアルデータを第2パラレルデータに変換し、前記第2パラレルデータを送信する。前記受信部は、画像データが送信される期間に含まれる第1期間に受信した前記第2パラレルデータについては、該第2パラレルデータの各ビットのうち、同期信号が割り付けられたビットから該同期信号を読み出し、画像データが送信される期間に含まれる第2期間に受信した前記第2パラレルデータについては、該第2パラレルデータの各ビットのうち、画像データが割り付けられたビットから該画像データを読み出す。また、前記送信部は、前記第1パラレルデータの各ビットのうち同期信号を割り付けるビットに同期信号を割り付けるとともに画像データを割り付けるビットに同期信号を割り付けることで、前記第1期間の第1パラレルデータに2ビット以上の同期信号を割り付ける。
【0007】
また、本発明は、画像処理装置であって、送信部と、第1変換部と、第2変換部と、受信部とを備える。前記送信部は、画像データ及び該画像データの画像処理に用いる画像処理信号を第1パラレルデータの各ビットに割り付け、該第1パラレルデータを送信する。前記第1変換部は、前記第1パラレルデータをシリアルデータに変換し、前記シリアルデータを送信する。前記第2変換部は、前記シリアルデータを第2パラレルデータに変換し、前記第2パラレルデータを送信する。前記受信部は、画像データが送信される期間に含まれる第1期間に受信した前記第2パラレルデータについては、該第2パラレルデータの各ビットのうち、画像処理信号が割り付けられたビットから該画像処理信号を読み出し、画像データが送信される期間に含まれる第2期間に受信した前記第2パラレルデータについては、該第2パラレルデータの各ビットのうち、画像データが割り付けられたビットから該画像データを読み出す。また、前記送信部は、前記第1パラレルデータの各ビットのうち画像データを割り付けるビットに画像処理信号を割り付けることで、前記第1期間の第1パラレルデータに画像処理信号を割り付ける。
【0008】
また、本発明は、画像処理装置で実行される画像データ送受信方法であって、送信工程と、第1変換工程と、第2変換工程と、受信工程とを含む。前記送信工程は、画像データ及び該画像データの同期信号を第1パラレルデータの各ビットに割り付け、該第1パラレルデータを送信する。前記第1変換工程は、前記第1パラレルデータをシリアルデータに変換し、前記シリアルデータを送信する。前記第2変換工程は、前記シリアルデータを第2パラレルデータに変換し、前記第2パラレルデータを送信する。前記受信工程は、画像データが送信される期間に含まれる第1期間に受信した前記第2パラレルデータについては、該第2パラレルデータの各ビットのうち、同期信号が割り付けられたビットから該同期信号を読み出し、画像データが送信される期間に含まれる第2期間に受信した前記第2パラレルデータについては、該第2パラレルデータの各ビットのうち、画像データが割り付けられたビットから該画像データを読み出す。また、前記送信工程は、前記第1パラレルデータの各ビットのうち同期信号を割り付けるビットに同期信号を割り付けるとともに画像データを割り付けるビットに同期信号を割り付けることで、前記第1期間の第1パラレルデータに2ビット以上の同期信号を割り付ける。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、信号の割付を適切に行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態におけるデジタル画像信号及び同期信号を説明するための図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態におけるパラレル/シリアル変換及びシリアル/パラレル変換を説明するための図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態におけるデジタル画像信号及び同期信号を説明するための図である。
【図5】図5は、第1の実施の形態における同期信号を説明するための図である。
【図6】図6は、第2の実施の形態におけるフォトセンサ信号等の割付を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、画像処理装置及び画像データ送受信方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
以下に説明するように、第1の実施の形態に係る画像処理装置10は、受信側で画像データを受信しない期間、本来画像データを割り付けるビットに同期信号を割り付けることで、チャネル数を増やすことなく複数個の同期信号の割付を実現する。すなわち、後述するように、受信側は、『無効期間』に受信したパラレルデータについては、パラレルデータの各ビットのうち、同期信号が割り付けられたビットから同期信号を読み出し、『有効期間』に受信したパラレルデータについては、パラレルデータの各ビットのうち、画像データが割り付けられたビットから画像データを読み出す。このため、第1の実施の形態に係る画像処理装置10は、『有効期間』であるか『無効期間』であるかに応じて、ひとつのビットを画像データと同期信号とで使い分けることで、ビットを効率的に活用する。
【0013】
図1は、第1の実施の形態に係る画像処理装置10の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、画像処理装置10は、画像読取部4と、タイミング信号発生部5と、送信データ作成部6と、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)トランスミッタ7と、LVDSレシーバ8と、受信データ作成部9とを備える。なお、図1は、説明の便宜上、画像処理装置10の一部の構成例を示すものであり、画像処理装置10は、図1に図示しない他の部を備えてもよい。
【0014】
画像読取部4は、CCD(Charge Coupled Device)等の画像読取センサ1(以下、「CCD1」という)と、アナログ処理部2と、ADC(Analog Digital Converter)3とを備える。CCD1は、RGBの読取信号(red、green、blue)をアナログ処理部2に出力する。アナログ処理部2は、CCD1から入力された読取信号に対して増幅等の処理を行い、処理後の読取信号(ad_r、ad_g、ad_b)をADC3に出力する。ADC3は、アナログ処理部2から入力された読取信号をRGB各9ビットのデジタル画像信号に変換し、変換後のデジタル画像信号(td_r8〜0、td_g8〜0、td_b8〜0)を送信データ作成部6に出力する。なお、図1において、「/」の下の数字「9」は、各デジタル画像信号が9ビットであることを示す。
【0015】
タイミング信号発生部5は、図1に図示しない制御部(CPU(Central Processing Unit)等)による制御の下、画像読取部4に各種タイミング信号を供給するとともに、送信データ作成部6に、画像データクロック信号(clkin)及び同期信号(lsync_tx)を供給する。なお、第1の実施の形態において、同期信号は、画像データ1ライン分の同期信号である。
【0016】
送信データ作成部6は、画像読取部4やタイミング信号発生部5から入力された各種信号をパラレルデータの各ビットに割り付けて送信データを作成し、作成した送信データをLVDSトランスミッタ7に出力する。なお、フォトセンサ信号等も送信する場合、図1に示すように、フォトセンサ信号等も送信データ作成部6に入力されるので、送信データ作成部6は、フォトセンサ信号等を含む各種信号をパラレルデータの各ビットに割り付ける。
【0017】
第1の実施の形態において、送信データ作成部6は、各種信号を、1チャネルあたり7ビットで4チャネル(txd6〜0、txd13〜7、txd20〜14、txd27〜21)のパラレルデータに割り付ける。なお、図1において、「/」の下の数字「7」は、各チャネルが7ビットであることを示す。
【0018】
LVDSトランスミッタ7(パラレル/シリアル変換器)は、送信データ作成部6から入力されたパラレルデータをシリアルデータに変換し、LVDS信号(lvds_ch1〜lvds_ch4及びlvds_clk)で送信する。なお、LVDSトランスミッタ7は、LVDSという伝送技術が、汎用的なIC(Integrated Circuit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって実現されたものである。なお、第1の実施の形態において、シリアルデータは、差動信号であるので、ノイズに強い。このため、画像処理装置10は、送信側から受信側までの距離が長い場合でも、安定して送受信を行うことができる。
【0019】
LVDSレシーバ8(シリアル/パラレル変換器)は、LVDSトランスミッタ7から入力されたLVDS信号をシリアルデータからパラレルデータに変換し、4チャネル(rxd6〜0、rxd13〜7、rxd20〜14、rxd27〜21)のパラレルデータに戻す。なお、図1において、「/」の下の数字「7」は、各チャネルが7ビットであることを示す。なお、LVDSレシーバ8は、LVDSという伝送技術が、汎用的なICやASICによって実現されたものである。なお、第1の実施の形態においてはLVDSによる送受信を想定するが、実施の形態はこれに限られるものではなく、他の伝送技術で送受信してもよい。
【0020】
受信データ作成部9は、LVDSレシーバ8から入力されたパラレルデータから、RGB各9ビットのデジタル画像信号(rd_r8〜0、rd_g8〜0、rd_b8〜0)、及び、同期信号(lsync_rx)を含む受信データを作成し、作成した受信データを、図1に図示しない後段の処理部等に出力する。なお、受信データ作成部9は、フォトセンサ信号等も受信した場合には、フォトセンサ信号等を更に含む受信データを作成する。
【0021】
続いて、図2は、第1の実施の形態におけるデジタル画像信号及び同期信号を説明するための図である。図2は、送信データ作成部6にタイミング信号発生部5から入力される同期信号(lsync_tx)と、画像読取部4から入力されるデジタル画像信号(td_r8〜0、td_g8〜0、td_b8〜0)とを示す。
【0022】
ここで、画像データの送受信においては、受信信号が有効な画像データとして処理される『有効期間』と、有効な画像データとして処理されない『無効期間』とがある。図2に示すように、『有効期間』は、同期信号(lsync_tx)から「所定画素数」後を始期として、この始期から、例えば「1ライン分の画像データ」後を終期とする期間である。一方、『無効期間』は、『有効期間』と『有効期間』との間の期間である。
【0023】
次に、図3は、第1の実施の形態におけるパラレル/シリアル変換及びシリアル/パラレル変換を説明するための図である。図3に示すように、例えば、送信データ作成部6からLVDSトランスミッタ7に入力されたパラレルデータ(txd6〜0)は、LVDSトランスミッタ7において『D6』〜『D0』のシリアルデータに変換されてLVDS信号で送信される。また、LVDS信号を受信したLVDSレシーバ8は、lvds_clkとの位相に従って、『D6』〜『D0』の位置のシリアルデータを、パラレルデータ(rxd6〜0)に戻す。
【0024】
さて、これまで、第1の実施の形態に係る画像処理装置10の概要を説明してきたが、以下、送信データ作成部6による処理及び受信データ作成部9による処理を詳細に説明する。
【0025】
(送信データ作成部6による処理)
送信データ作成部6は、『有効期間』であるか『無効期間』であるかに応じて、ひとつのビットを画像データと同期信号とで使い分ける。具体的には、送信データ作成部6は、パラレルデータの各ビットのうち、『無効期間』のパラレルデータを作成する際には、同期信号を割り付けるビットに同期信号を割り付けるとともに、画像データを割り付けるビットに同期信号を割り付けることで、『無効期間』のパラレルデータに2ビット以上の同期信号を割り付ける。
【0026】
例えば、送信データ作成部6は、画像読取部4やタイミング信号発生部5から入力された各種信号を、以下の表1に従って、4チャネル(txd6〜0、txd13〜7、txd20〜14、txd27〜21)のパラレルデータに割り付ける。
【0027】
【表1】

【0028】
すなわち、送信データ作成部6は、画像読取部4から入力されたデジタル画像信号(td_r8〜0、td_g8〜0、td_b8〜0)のうち、7ビット分である『td_r6〜0』を1チャネルのパラレルデータ(txd27〜21)に割り付ける。このパラレルデータ(txd27〜21)は、LVDSトランスミッタ7によってシリアルデータに変換され、LVDS信号(lvds_ch4)で送信される。同様に、送信データ作成部6は、7ビット分である『td_g6〜0』を1チャネルのパラレルデータ(txd20〜14)に割り付ける。このパラレルデータ(txd20〜14)は、LVDSトランスミッタ7によってシリアルデータに変換され、LVDS信号(lvds_ch3)で送信される。また、送信データ作成部6は、7ビット分である『td_b6〜0』を1チャネルのパラレルデータ(txd13〜7)に割り付ける。このパラレルデータ(txd13〜7)は、LVDSトランスミッタ7によってシリアルデータに変換され、LVDS信号(lvds_ch2)で送信される。
【0029】
また、送信データ作成部6は、デジタル画像信号(td_r8〜7、td_g8〜7、td_b8〜7)と、タイミング信号発生部5から入力された同期信号(lsync_tx)とを、1チャネルのパラレルデータ(txd6〜0)に割り付ける。このパラレルデータ(txd6〜0)は、LVDSトランスミッタ7によってシリアルデータに変換され、LVDS信号(lvds_ch1)で送信される。
【0030】
ここで、LVDS信号(lvds_ch1)で送信されるデータ(txd6〜0)は、図3に示すように、LVDS信号上では、『txd6』、『txd5』、『txd4』、『txd3』、『txd2』、『txd1』、『txd0』の順に並ぶ。そこで、送信データ作成部6は、同期信号を割り付けるビットに隣接するビットであって、シリアルデータ上(LVDS信号上)の順序で同期信号を割り付けるビットの前後に相当するビットに、画像データを割り付ける。例えば、送信データ作成部6は、以下の表2に示すように、同期信号の前後が画像データになるように割付を行う。すなわち、送信データ作成部6は、同期信号(lsync_tx)を割り付けた『txd3』の前後である『txd4』及び『txd2』に、画像データ(td_g8、td_g7)を割り付ける。
【0031】
【表2】

【0032】
また、同期信号(lsync_tx)を割り付けた『txd3』の前後である『txd4』及び『txd2』であるが、図2に示すように、画像データが送信される期間には『有効期間』と『無効期間』とがあり、同期信号のアサートは『無効期間』中である。そこで、送信データ作成部6は、『txd4』及び『txd2』には、『有効期間』中は画像データ(td_g8、td_g7)を割り付け、『無効期間』中は同期信号(lsync_tx)を割り付ける。
【0033】
このように割り付けることで、『無効期間』中は、図3に示すLVDS信号のうち、『D4』、『D3』、及び『D2』が同期信号となる。すると、受信側において、クロックスキュー(clock skew)等の発生により、同期信号として、『D3』ではない『D4』や『D2』がサンプリングされたとしても、受信側は、正しい同期信号を受信することができる。なお、クロックスキューとは、クロック同期型の回路において、クロック回路から送出されるクロック信号が、異なるタイミングで到着すること等をいう。
【0034】
図4は、第1の実施の形態におけるデジタル画像信号及び同期信号を説明するための図である。図4に示すように、例えば受信データ作成部9は、同期信号の受付後から有効期間の終了まで、ノイズ防止に同期信号の入力をマスクしている(図4において「同期信号マスク期間」)。この点、送信データ作成部6は、『無効期間』中に複数個の同期信号(lsync_tx)の割付を行うことで、同期信号を適切に送受信するという必要な効果を得ることができる。
【0035】
なお、以上の説明においては、同期信号の前後1ビットずつが画像データになるように割付を行う例を説明したが、実施の形態はこれに限られるものではない。同期信号の前後2ビットや3ビット等、同期信号の割付を行うビット数が多い方が、一般に、クロックスキューに対する耐性がより大きく得られる。また、前後のビット数は同じでなくてもよい。
【0036】
(受信データ作成部9による処理)
続いて、受信データ作成部9は、『無効期間』に受信したパラレルデータについて、複数のビットに割り付けられた複数の同期信号を読み出し、読み出した複数の同期信号同士の比較結果に基づいて、画像データの同期に用いる同期信号を選択する。
【0037】
図5は、第1の実施の形態における同期信号を説明するための図である。受信データ作成部9は、同期信号をマスクする他、所定画素数の期間、アサート/ネゲート極性が連続した時に、アサート/ネゲートとして検出する、短パルスノイズの除去を行っている。しかし、図5に示すように、同期信号のエッジ部にノイズがのった場合、受信データ作成部9は、これをノイズとして検出することができず、結果として、誤った同期信号位置を検出し、例えば、画像の主走査位置ずれとなってしまう。例えば、図5の(正)の同期信号(lsync)と(誤)の同期信号(lsync)とを比較すると、そのエッジ部が1クロック分ずれているが、受信データ作成部9は、これをノイズとして検出することができず、誤った同期信号を同期信号として受信してしまうおそれがある。
【0038】
この点、第1の実施の形態においては、送信データ作成部6が、『無効期間』中に複数個の同期信号を割り付けて送信するので、例えば図5に示すように、本来画像データが割り付けられるビット(図5において「画像データbit」)にも、『無効期間』中は同期信号が送信されている。
【0039】
そこで、第1の実施の形態に係る受信データ作成部9は、『無効期間』中に受信したパラレルデータについて、複数のビットに割り付けられた複数の同期信号を読み出す。そして、受信データ作成部9は、同期信号が割り付けられた同期信号ラインで検出される同期信号と、画像データが割り付けられる画像データラインで検出される同期信号とが異なっているか否かを検出する。そして、異なる場合、受信データ作成部9は、所定の判定条件を用いて、画像データの同期に用いる同期信号を選択する。ここで、判定条件とは、例えば、同期信号ラインで検出される同期信号が、画像データライン側で検出される全ての同期信号と異なっているか(画像データライン側で検出される同期信号は全て一致するか)や、同期信号ラインで検出される同期信号が、画像データライン側で検出される所定数以上の同期信号と異なっているか、等である。判定条件に合致した場合には、受信データ作成部9は、例えば多数の結果を重視する方針に基づいて、画像データライン側で検出される同期信号が正しい同期信号であるとして、同期信号ラインで検出される同期信号を訂正する。この結果、同期信号のエッジ部にノイズがのった場合であっても、受信データ作成部9は、ノイズとして検出することができ、正しい同期信号を受信することができる。
【0040】
(第1の実施の形態の効果)
上述してきたように、第1の実施の形態によれば、信号の割付を適切に行うことが可能になる。すなわち、第1の実施の形態によれば、『有効期間』であるか『無効期間』であるかに応じて、ひとつのビットを画像データと同期信号とで使い分けるので、チャネル数を増やすことなく複数個の同期信号の割付を実現し、クロックスキュー等が発生した場合にも、受信側は、正しい同期信号を受信することが可能である。
【0041】
また、第1の実施の形態によれば、受信側は、『無効期間』に受信したパラレルデータから複数の同期信号を読み出し、複数の同期信号同士の比較結果に基づいて、画像データの同期に用いる同期信号を選択するので、同期信号のエッジ部にノイズがのった場合も、これを検出し、正しい同期信号を選択することが可能である。
【0042】
(第2の実施の形態)
続いて、第2の実施の形態に係る画像処理装置10を説明する。第2の実施の形態において、送信データ作成部6は、パラレルデータの各ビットのうち、画像データを割り付けるビットに、画像データの画像処理に用いる画像処理信号を割り付けることで、『無効期間』のパラレルデータに画像処理信号を割り付ける。一方、受信データ作成部9は、『無効期間』に受信したパラレルデータについては、パラレルデータの各ビットのうち、画像処理信号が割り付けられたビットから画像処理信号を読み出し、同期信号が割り付けられたビットから同期信号を読み出す。また、受信データ作成部9は、『有効期間』に受信したパラレルデータについては、パラレルデータの各ビットのうち、画像データが割り付けられたビットから画像データを読み出す。
【0043】
すなわち、第2の実施の形態において、送信データ作成部6は、『無効期間』において、パラレルデータの各ビットのうち画像データを割り付けるビットに、画像処理信号を割り付ける。ここで、画像処理に用いる画像処理信号とは、フォトセンサ信号や副走査方向の画像有効期間信号等のことである。
【0044】
フォトセンサ信号や副走査方向の画像有効期間信号等は、常時連続して検出しなくても、例えば画像データの1ライン毎の検出でも、信号検出に支障が無い場合が多い。そこで、第2の実施の形態に係る送信データ作成部6は、『無効期間』において、画像データを割り付けるビットに同期信号を割り付けた第1の実施の形態と同様、画像データを割り付けるビットに、フォトセンサ信号や副走査方向の画像有効期間信号等を割り付ける。
【0045】
例えば、送信データ作成部6は、シリアルデータ上(LVDS信号上)、例えば3ビット以上連続したビットにこれらの画像処理信号を割り付ける。一方、受信データ作成部9は、割り付けられた3ビット以上連続したビットの中央又は中央に近い信号で、これらの画像処理信号を受信すればよい。
【0046】
例えば、複数個の同期信号の割付は、現チャネル数で間に合うが、画像処理信号の割付が、現チャネル数で間に合わない場合、第1の実施の形態と同様、画像処理装置10は、ひとつのビットを画像データと画像処理信号とで使い分けることで、ビットを効率的に活用すればよい。
【0047】
また、図6は、第2の実施の形態におけるフォトセンサ信号等の割付を説明するための図である。例えば、図6に示すように、『無効期間』を、所定画素数を基準に、更に2つの期間に分割し、『前半の無効期間』について、送信データ作成部6は、パラレルデータの各ビットのうち同期信号を割り付けるビットに同期信号を割り付けるとともに、画像データを割り付けるビットに同期信号を割り付けることで、『前半の無効期間』のパラレルデータに2ビット以上の同期信号を割り付ける。一方、『後半の無効期間』について、送信データ作成部6は、同期信号を割り付けるビットや画像データを割り付けるビットにフォトセンサ信号等を割り付けることで、『後半の無効期間』のパラレルデータにフォトセンサ信号等を割り付ける。
【0048】
この場合、受信データ作成部9は、『前半の無効期間』に受信したパラレルデータについては、パラレルデータの各ビットのうち、同期信号が割り付けられたビットから同期信号を読み出す。また、『後半の無効期間』に受信したパラレルデータについては、パラレルデータの各ビットのうち、画像処理信号が割り付けられたビットから画像処理信号を読み出す。また、『有効期間』に受信したパラレルデータについては、パラレルデータの各ビットのうち、画像データが割り付けられたビットから画像データを読み出す。
【0049】
すると、第1の実施の形態における同期信号の割付と、画像処理信号の割付とを同時に実現することが可能である。
【0050】
なお、第1の実施の形態において説明した受信データ作成部9で実行される同期信号選択は、ハードロジックとして組み込まれてもよいし、あるいは、プログラムとして、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供されてもよい。あるいは、プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、CD(Compact Disc)−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。更に、プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。プログラムは、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0051】
また、プログラムは、上述した各処理手順を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、CPUが上記ROMから読み出して実行することにより、上記各処理手順が主記憶装置上にロードされ、各処理手順が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0052】
なお、上記実施の形態における画像処理装置は、例えば、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機でもよく、あるいは、例えば、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等でもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 CCD
2 アナログ処理部
3 ADC
4 画像読取部
5 タイミング信号発生部
6 送信データ作成部
7 LVDSトランスミッタ
8 LVDSレシーバ
9 受信データ作成部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特許第3612219号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データ及び該画像データの同期信号を第1パラレルデータの各ビットに割り付け、該第1パラレルデータを送信する送信部と、
前記第1パラレルデータをシリアルデータに変換し、前記シリアルデータを送信する第1変換部と、
前記シリアルデータを第2パラレルデータに変換し、前記第2パラレルデータを送信する第2変換部と、
画像データが送信される期間に含まれる第1期間に受信した前記第2パラレルデータについては、該第2パラレルデータの各ビットのうち、同期信号が割り付けられたビットから該同期信号を読み出し、画像データが送信される期間に含まれる第2期間に受信した前記第2パラレルデータについては、該第2パラレルデータの各ビットのうち、画像データが割り付けられたビットから該画像データを読み出す受信部とを備え、
前記送信部は、前記第1パラレルデータの各ビットのうち同期信号を割り付けるビットに同期信号を割り付けるとともに画像データを割り付けるビットに同期信号を割り付けることで、前記第1期間の第1パラレルデータに2ビット以上の同期信号を割り付けることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記送信部は、同期信号を割り付けるビットに隣接するビットであってシリアルデータ上の順序で該同期信号を割り付けるビットの前後に相当するビットに画像データを割り付け、前記第1期間においては、該前後に相当するビットの少なくとも一方に同期信号を更に割り付けることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記受信部は、前記第1期間に受信した前記第2パラレルデータについて、複数のビットに割り付けられた複数の同期信号を読み出し、読み出した複数の同期信号同士の比較結果に基づいて、画像データの同期に用いる同期信号を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1期間は、更に、第1期間前期と第1期間後期とに分割され、
前記送信部は、前記第1期間前期において、前記第1パラレルデータの各ビットのうち同期信号を割り付けるビットに同期信号を割り付けるとともに画像データを割り付けるビットに同期信号を割り付けることで、前記第1期間前期の第1パラレルデータに2ビット以上の同期信号を割り付け、前記第1期間後期において、前記第1パラレルデータの各ビットに画像処理に用いる画像処理信号を割り付けることで、前記第1期間後期の第1パラレルデータに画像処理信号を割り付けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1変換部によって送信されるシリアルデータは、差動信号であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像データ及び該画像データの画像処理に用いる画像処理信号を第1パラレルデータの各ビットに割り付け、該第1パラレルデータを送信する送信部と、
前記第1パラレルデータをシリアルデータに変換し、前記シリアルデータを送信する第1変換部と、
前記シリアルデータを第2パラレルデータに変換し、前記第2パラレルデータを送信する第2変換部と、
画像データが送信される期間に含まれる第1期間に受信した前記第2パラレルデータについては、該第2パラレルデータの各ビットのうち、画像処理信号が割り付けられたビットから該画像処理信号を読み出し、画像データが送信される期間に含まれる第2期間に受信した前記第2パラレルデータについては、該第2パラレルデータの各ビットのうち、画像データが割り付けられたビットから該画像データを読み出す受信部とを備え、
前記送信部は、前記第1パラレルデータの各ビットのうち画像データを割り付けるビットに画像処理信号を割り付けることで、前記第1期間の第1パラレルデータに画像処理信号を割り付けることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置で実行される画像データ送受信方法であって、
画像データ及び該画像データの同期信号を第1パラレルデータの各ビットに割り付け、該第1パラレルデータを送信する送信工程と、
前記第1パラレルデータをシリアルデータに変換し、前記シリアルデータを送信する第1変換工程と、
前記シリアルデータを第2パラレルデータに変換し、前記第2パラレルデータを送信する第2変換工程と、
画像データが送信される期間に含まれる第1期間に受信した前記第2パラレルデータについては、該第2パラレルデータの各ビットのうち、同期信号が割り付けられたビットから該同期信号を読み出し、画像データが送信される期間に含まれる第2期間に受信した前記第2パラレルデータについては、該第2パラレルデータの各ビットのうち、画像データが割り付けられたビットから該画像データを読み出す受信工程とを含み、
前記送信工程は、前記第1パラレルデータの各ビットのうち同期信号を割り付けるビットに同期信号を割り付けるとともに画像データを割り付けるビットに同期信号を割り付けることで、前記第1期間の第1パラレルデータに2ビット以上の同期信号を割り付けることを特徴とする画像データ送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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