説明

画像処理装置及び画像処理方法、プログラム

【課題】 主走査、副走査の解像度が違う記録装置において、印刷文字を良好に再現する。
【解決手段】 本発明は、主走査の解像度より副走査の解像度が低い記録装置を制御する画像処理装置であって、
外部装置から受信されたページ記述言語の解析結果により文字の方向を判定する文字方向判定手段と、
前記文字方向判定手段により判定した文字における横線を、前記記録装置の主走査により走査すべく、前記ページ記述言語に応じた画像データを回転する画像回転手段と、
前記画像回転手段により回転した前記画像データを前記記録装置に記録させる制御手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主走査、副走査の解像力が異なる記録における高画質化に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式による記録装置では、主走査と副走査の解像力が異なる記録装置が存在する。この場合、一般に、主走査の解像度が高解像度であり、副走査の解像度が低解像である。
【0003】
主走査の解像度は、レーザーのON/OFFの切り替わりの速さに従い決定される。これは、レーザー発信器の駆動回路やPWM信号発生回路の高速化により実現されている。一方、副走査の解像度は、現像装置、記録メディアの搬送装置、トナーの定着装置の速度などによって決定される。これらは、現像装置の材質、搬送装置の材質やモーターの性能、定着装置の性能によって決定される。したがって、副走査の高速化は高価格化に直結しており、近年では各記録装置(印刷機)メーカーは、記録装置の高速化、低価格化の為に副走査の低解像度化を実施している。
【0004】
通常は、記録装置に入力されるデジタル画像データの主走査・副走査の解像度と、記録装置の主走査・副走査の解像力は一致させる必要がある。つまり、主走査600dpi、副走査300dpiの記録装置には、主走査600dpi、副走査300dpiのデジタル画像データを入力する必要がある。
【0005】
また、特開2001−144931では、入力されるデジタル画像データの主走査と副走査の解像度を比較し、記録装置の解像力に合う様に90度回転する技術が開示される。
【0006】
例えば、主走査600dpi、副走査1200dpiのデジタル画像データを、主走査1200dpi、副走査300dpiの記録装置で印刷する。90度回転処理を選択する技術を採用していない場合、デジタル画像データは副走査方向について1200dpiから300dpiに縮小するので、4分の1間引き処理が必要となる。90度回転処理を選択する技術を採用している場合、回転処理によって主走査と副走査が逆転する。すなわち、副走査の解像度1200dpiのデジタル画像データが、90°回転すると主走査方向の解像度が1200dpiとなる。一方、記録装置の主走査の解像度は1200dpiなので間引き処理の必要はない。主走査の解像度が600dpiであるデジタル画像データが、90°回転するとデジタル電子データの副走査の解像度は600dpiとなり、600dpiから記録装置の副走査方向の解像度である300dpiへ、2分の1間引き処理が実施される。つまり、回転する事で画像全体の解像力の低下を防ぐ事ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−144931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特開2001−144931 においては、デジタル画像データ中の文字などは綺麗に印刷出来ないことがある。例えば、デジタル画像データが横の細線の多い明朝体文字などのフォントや罫線の場合である。主走査600dpi、副走査1200dpiのデジタル画像データを、回転処理をしないでそのまま上述の主走査1200dpi、副走査300dpiの記録装置により印刷した場合、デジタル画像データを主走査方向に600dpiから1200dpiへの高解像度化処理を実施するので、縦の細線は劣化することはない。一方、回転処理をしてしまうと縦の細線は横の細線となり、副走査の2分の1間引き処理によって著しく劣化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、特に文字原稿や線画原稿における画像出力時の解像力の劣化を抑える事ができる画像出力装置、及び画像出力時における画像の解像度の劣化を抑制する処理をコンピュータに実施させる為のプログラムを提供することである。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は主走査の解像度より副走査の解像度が低い記録装置を制御する画像処理装置であって、
外部装置から受信されたページ記述言語の解析結果により文字の方向を判定する文字方向判定手段と、
前記文字方向判定手段により判定した文字における横線を、前記記録装置の主走査により走査すべく、前記ページ記述言語に応じた画像データを回転する画像回転手段と、
前記画像回転手段により回転した前記画像データを前記記録装置に記録させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、副走査が低解像度である記録装置によって出力される印刷物において、文字や線画の解像度の劣化を抑制する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態で利用するMFP全体図である。
【図2】図1に示すMFPのコントローラ構成である。
【図3】実施例1〜3共通のフローチャートである。
【図4】実施例1の文字方向判定(帯域通過フィルタを用いた方法)のフローチャートである。
【図5】主走査帯域通過フィルタの例である。
【図6】副走査帯域通過フィルタの例である。
【図7】実施例1の文字方向判定(画素連続性検出を用いた方法)のフローチャートである。
【図8】実施例2の文字方向判定のユーザ入力フローチャートである。
【図9】実施例2のユーザ入力画面の例である。
【図10】実施例3の文字方向判定のフローチャートである。
【図11】実施例4を説明するための図である。
【図12】実施例4のフローチャートを示す図である。
【図13】実施例5を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の記述において、「文字方向」とは、1つの文字の上下方向を示すものとする。
【0014】
<実施例1>
図1は、本実施例を構成するMFP(マルチファンクションプリンタ)の構成図である。MFPは、スキャナユニット部(101)、記録装置(102)、手差し用給紙口(103)、1段目記録紙カセット(104)、2段目記録紙カセット(105)、排紙部(106)、操作パネル(107)で構成される。また、MFPにはコントローラボードが設置されており、コントローラボードによって制御される。スキャナユニット部(101)と記録装置(102)はそれぞれA3縦サイズまでの原稿、記録紙に対応しているものとし、当然ながら手差し用給紙口(103)、記録紙カセット(104,105)もこれに準ずる。また、画像データをパルス幅変調することで、画像データの濃度に応じた静電潜像が感光体108上に形成される。この静電潜像に応じたトナー像は、手差し給紙口103や記録紙カセット104、105により給紙された記録紙上に転写体109を用いて転写される。
【0015】
この転写されたトナー像は、定着器110により記録紙に定着されることで電子写真技術による印刷を行う。
【0016】
なお、図1では、感光ドラムが1つのタイプのプリンタであるが、C,M,Y,Bkのトナーに応じて、4つの感光ドラム、4つのレーザーを用いたフルカラープリンタであっても以下の実施例で用いることができることはいうまでもない。
【0017】
次にコントローラボードについて図2を用いて詳細に説明する。201は操作部インタフェイス(201)であり、操作パネル(107)とデータバス(207)とを接続している。202はスキャナインタフェイスであり、スキャナユニット部(101)とデータバス(207)を接続している。203は文字方向判定部であり、文字方向判定処理を実施する。204は画像処理部であり、空間フィルタ処理、解像度変換処理や2値化処理を実施する。205は画像回転部であり、90度、180度、270度などの回転処理を実施する。なお、203−205はハードウエアとして実現しても良いし、あるいはプログラムとして実装しても良い。206はCPUであり、ROM(209)に記憶されたプログラムに応じて各部の制御やデジタル画像データに対する演算などを実行する(制御手段)。208はRAMであり、デジタル画像データやプログラムデータ、カウンタ値などを一時的に記憶しておく記憶領域として利用される。210はプリンタインタフェイスであり、記録装置(102)とデータバス(207)を接続している。211、212は、USB、LANのインタフェイスであり、非図示のパーソナルコンピュータと接続する為のインタフェイスである。
【0018】
次に実施例1の実施手順について、図3のフローチャートに沿って説明する。S301において、操作パネル(107)のボタン押下によりコピー実行の命令を受けると、CPU(206)はROM(209)に格納されたプログラムに従って、スキャナユニット部(101)にスキャン動作の実行を命令する。スキャナユニット部(101)は、非図示の原稿台に搭載されている原稿を読み込む事で原稿をデジタル画像データに変換する。スキャナユニット部(101)によって読み取られたデジタル画像データは、離散化されたデータであるため、主走査、副走査の解像度を有する。本実施例では、近年の電子写真MFPで一般的な主走査600dpi、副走査600dpiのデジタル画像データに変換されたものとして説明を続ける。スキャナユニット部(101)から送信されたデジタル画像データは、データバス(207)を通って一旦RAM(208)に記憶しておく。
【0019】
尚、本実施例ではスキャナユニット部(101)によってデジタル画像データを生成するが、これに限るものではない。つまり、非図示のパーソナルコンピュータからの印刷指示によってLANインタフェイス(212)やUSBインタフェイス(211)からデジタル画像データを入力することも出来る。この場合、転送されてきたデジタル画像データは、RAM(208)に一時記憶され、その後はスキャナユニット部(101)を用いる場合と同様に処理される。
【0020】
次にS302において、CPU(206)は原稿サイズを確認する。一般的には、スキャナユニット部(101)や非図示のパーソナルコンピュータから原稿サイズ、デジタル画像データのサイズの情報が送られてくる。また、操作パネルからの入力によって原稿サイズの情報を取得することも可能である。この時、本実施例の対応原稿サイズであるかどうかを判定する。対応原稿サイズとは、A3縦サイズまでが印刷できる記録装置(102)の場合は、A4サイズまでが本実施例における対応原稿サイズである。何故なら、本実施形態は、90度回転して印刷する場合があり、A3縦サイズまでの記録装置(102)では、A3横サイズのメディアには印刷できないからである。原稿が対応原稿サイズと適合している場合は、CPU(206)の処理はS303に進み、適合していない場合はS307に進む。
【0021】
次にS303において、CPU(206)は文字方向の判定を行なう。ここでは、回転するかどうかを決定し、回転フラグを出力値とする。CPU(206)は、RAM(208)に記憶されているデジタル画像データを文字方向判定部(203)に転送する。文字方向判定部(203)は、回転フラグを得る為の処理が実行される。文字方向判定部(203)の処理のフローチャートを図4と図7に示す。図4では、主走査、副走査の帯域通過フィルタを用いた方法を示す。また、図7では、主走査、副走査の画素連続性検出を用いた方法を示す。本実施例では、図4、図7のどちらの方法を利用しても良い。
【0022】
(帯域通過フィルタを用いた方法)
図4のS401において、RAM(208)に格納されたデジタル画像データを文字方向判定部(203)のImgメモリという領域に読み出す。尚、文字方向判定部(203)の記憶領域についてはRAM(208)の記憶領域を共有することが一般的であるため、特に図示はしない。S402は主走査、副走査の全領域を走査するためのループ端である。xは主走査方向であり、yは副走査方向である。画素数は主走査がNx画素で副走査がNy画素である。
【0023】
S403において、文字方向判定部(203)は、主走査方向について特徴を得るべく3×3画素エリアごとに帯域通過フィルタ処理を実施し、フィルタ処理された画像データはImg’という領域に格納する。この時に使う帯域通過フィルタの例を図5に記載する。注目画素を3×3の領域の中心とした場合、図5の係数を用いて注目画素を含む3×3画素に積和演算を施すことで、注目画素のフィルタ処理後の画像データが得られる。尚、帯域通過フィルタのサイズと定数は、抽出したい文字のサイズなどに依存する為、任意とする。ソベルオペレータやキャニー法等の任意の手法を用いることできる。更に、抽出したい帯域が複数ある場合には、複数のフィルタを利用して出力(Img’)に加算する方法も考えられる。
【0024】
S404において、文字方向判定部(203)は、Img’[x,y]と閾値1とを比較する。閾値1よりも大きい値であればS405でMainCountをカウントアップする。閾値1は、任意の値であり、これを調整する事でMainCountのカウント調整をすることができる。S404でImg’[x,y]が閾値1以下の値であればMainCountをカウントアップしない。
【0025】
以上の動作をデジタル画像データの全領域について実施する(S406)。そして、最終的にMainCountの値を得る。MainCountは主走査の特徴量である。すなわち、デジタル画像データ全体に対する縦線の量を評価するパラメータとなる。
【0026】
S407からS412は、上述した主走査の特徴量を取得する処理であるS401からS406に対応して、SubCount(副走査の特徴量)を得る処理を実施する。但し、S409、S410及びS411は副走査用に変更されている。S409の帯域通過フィルタの例を図6に示す。これもソベルオペレータやキャニー法等の任意の手法を用いることできる。この得られたSubcountは、デジタル画像データ全体に対する横線の量を評価するパラメータとなる。
【0027】
S410において、Img’[x,y]と閾値2とを比較する。閾値2よりも大きい値であればS411でSubCountをカウントアップする。閾値2は閾値1と同様に任意の値である。S410でImg’[x,y]が閾値2以下の値であればSubCountをカウントアップしない。
【0028】
S413において、文字方向判定部(203)は、SubCountとMainCountを比較する。SubCountの方が大きい場合には、特徴量は副走査方向が主走査方向より大きい事になる。つまり、文字部ならば縦線より横線が多いということが判断できる。よって、S414で回転フラグに1を設定する。SubCountがMainCount以下であれば、回転フラグは0とする。
【0029】
(画素連続性検出を用いた方法)
図7のS701において、文字方向判定部(203)は、RAM(208)に格納されたデジタル画像データを文字方向判定部(203)のImgというメモリ領域に読み出す。尚、文字方向判定部(203)の記憶領域についてはRAM(208)の記憶領域を共有することが一般的であるため、特に図示はしない。
【0030】
S702は主走査、副走査の全領域を走査するためのループ端である。xは主走査方向であり、yは副走査方向である。画素数は主走査がNx画素で副走査がNy画素である。
【0031】
S703において、文字方向判定部(203)は、画像の2値化処理を行なう。2値化処理の方法は特に指定しないが、ここでは単純2値で実施する。任意の2値化閾値を用意する。尚、スキャナユニット部(101)が輝度情報、つまり白:255、黒:0で表現する。よって、2値化閾値よりも低い値であれば’1’(黒)であり、高い値であれば’0’(白)と輝度情報に対して反転して設定する。
【0032】
次にS704において、文字方向判定部(203)は、縦線カウントを行なう。縦の細線の数え方は、主走査方向に黒が連続している場所を検知する。主走査方向の黒の連続数が、例えば25画素以上50画素未満(600dpiで約1mm〜2mm)であれば、縦線と判断してカウント(MainCount)に1を加える。以上の処理を副走査方向に実施する事で、縦線をカウントする。
【0033】
次に、S705において、文字方向判定部(203)は、横線カウントを行う。横の細線の数え方は、副走査方向に黒が連続している場所を検知する。副走査方向の黒の連続数が、例えば25画素以上50画素未満(600dpiで約1mm〜2mm)であれば、横線と判断してカウント(SubCount)に1を加える。以上の処理を主走査方向に実施する事で、横線をカウントする。
【0034】
以上の動作をデジタル画像データの全領域について実施する(S706)。そして、最終的にMainCount(主走査の特徴量)およびSubCount(副走査の特徴量)を得る。
【0035】
S707において、文字方向判定部(203)は、縦(MainCount)・横(SubCount)の細線カウントの結果を比較する。比較の結果、横線の方が大きければ、S708で回転フラグに1を設定する。つまり、横線が多いと判断して、回転出力を選択する。横線が縦線以下であれば、回転フラグは0とする。
【0036】
以上で文字方向判定部(203)の処理の説明を終了し、図3の説明に戻る。S304において、CPU(206)は回転フラグに1が設定されているかどうかを検知する。回転フラグが1の場合はS305に進み、回転フラグが0の場合はS307に進む。
【0037】
S304で回転フラグが1の場合には、S305において、回転処理に適合する記録紙が給紙できるかどうかを判定する。給紙できると判定されればS306に進み、給紙できないと判定されればS307に進む。
【0038】
S306において、90度の回転処理を実施する。この時、文字方向判定部(203)は、図2の画像回転部(205)を利用する。横線が多い場合、この横線を回転し縦線とすることで、文字における横線は、記録装置の主走査により走査される。その結果、回転後の縦線は、副走査より細かい主走査により印刷されるため、回転後の縦線は途切にくい。
【0039】
次にS307で副走査の解像度変換処理を実施し、S308で主走査の解像度変換処理を実施する。実施例1では、主走査600dpi、副走査300dpiの記録装置(102)を利用するものとする。また、前述のように、スキャナユニット部(101)で読み取られた解像度を、主走査600dpi、副走査600dpiと仮定している。従って、S307では副走査方向について2分の1間引き処理を実施する。実施方法は、本実施例では特に指定するものでは無いが、一般的には線形補間演算が用いられる。もちろん、二アレストネイバー法やバイキュービック法を用いてもよい。解像度変換と回転の順序は逆順序でもよい。
【0040】
次にS309において、CPU(206)は画像演算処理を行なう。このS309は、図2の画像処理部(204)で実施できる。具体的にはガンマ補正等の濃度変換処理、空間フィルタ処理、ディザ、誤差拡散等のハーフトーン処理である。これらの処理については、公知技術のため本実施例では詳細は割愛する。但し、これらの処理の結果、2値の擬似階調画像が得られたものとする。
【0041】
次に、S310において、CPU(206)は印刷処理を実施する。このとき、図1の1段目のカセット(104)にはA4横の記録紙が搭載されており、2段目のカセット(105)にはA4縦の記録紙が搭載されているとする。例えばスキャナユニットにより読み込まれた原稿がA4サイズの原稿であった場合、S306の回転処理をしていなければA4横の記録紙を1段目のカセット(104)から給紙する。一方、S306で回転処理をしている場合、A4縦の記録紙を2段目のカセット(105)から給紙する。但し、カセットに適正なサイズの記録紙が存在しない場合には、操作部インタフェイス(201)を通して、操作パネル(107)の画面に手差し用給紙口(103)からの給紙を促すメッセージを表示する。
【0042】
以上の本実施例に依れば、副走査が低解像度である記録装置(102)によって出力される印刷物において、文字や線画の解像度の劣化を自動的に抑制する事が出来る。上述の構成により横線の解像力が必要な漢字の場合で、副走査が低解像である為に横線が潰れる/消滅する問題を解消できる。
【0043】
<実施例2>
実施例2では、図3のS303の文字方向判定ステップにおいて、画面表示を行なってユーザによる選択、入力を促す。図8にこの処理に関するフローを示す。その他の処理については、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0044】
S801において、CPU(206)は操作部インタフェイス(201)に対してUI画面表示を指示する。UI画面の例を図9に示す。図9は、スキャナユニット部(101)の原稿台上の原稿における文字の向きをユーザに選択してもらうUIであり、図9のUI図の左上が原稿台の左上に対応している。ユーザは、UI画面に表示されたサンプル(i)〜(iv)の中から、スキャナユニット部(101)上に配置された原稿の状態(文字方向と原稿方向)を選択する(S802)。
【0045】
S803において、ユーザが図9のどのサンプルを選択したかを判定する。(i)若しくは(iii)を選択したと判定される場合、S804において、CPU(206)は回転フラグに1を設定する。これは、サンプル(i)若しくは(iii)のように、スキャナの読取方向に対して文字が横向きの場合、つまり、スキャナの読取方向と文字の上下方向が一致する場合には、横の細線が多くなるからである。S803で(ii)若しくは(iv)を選択したと判定される場合は、回転フラグを0とする。この後、図3のS304に進み、実施例1と同様の処理を実施する。
【0046】
以上の本実施例により、副走査が低解像度である記録装置(102)によって出力される印刷物において、文字や線画の解像度の劣化を簡単な操作で抑制する事が出来る。上述の構成により横線の解像力が必要な漢字の場合で、副走査が低解像である為に横線が潰れる/消滅する問題を解消できる。
【0047】
<実施例3>
実施例3では、図3のS303の文字方向判定ステップにおいて、ROM(209)に格納されたOCR処理プログラムを利用する。OCR処理プログラムとは、デジタル画像データの文字を認識するための処理、およびプログラムの事を指す。OCR処理プログラムは、文字認識をする前にレイアウト情報や縦書、横書の判断を実施しており、これらの情報を外部に出す事も可能である。この情報を利用して文字方向判定ステップS303を実施する。図10にこの処理のフローを示す。その他の処理については、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0048】
S1001において、CPU(206)は、RAM(208)に保存されたデジタル画像データをImg領域に読み込む。S1002において、CPU(206)は、Img領域のデジタル画像データをROM(209)に格納されているOCRプログラムに渡す。CPU(206)は、デジタル画像データに対してOCRプログラムに従って演算処理を実施し、レイアウト情報の作成を行なう。レイアウト情報の作成方法については、OCRプログラムによるものであり、本実施例では説明しない。OCRレイアウト情報には、文字の方向が含まれており、これを取得する。
【0049】
S1003では、文字方向判断の結果を使って、回転フラグの設定を行なう。文字方向が正方向、つまりデジタル画像データの上下方向と文字の上下方向が一致する場合、S1004で回転フラグに1を設定する。これは、文字方向が正方向の場合、横線が多いと考えられるからである。文字方向が正方向でない場合は回転フラグを0とする。この後、図3のS304に進み、実施例1と同様の処理を実施する。また、OCRプログラムにより文字が漢字と判定されたときのみ、漢字を含む文書であると判定できるため本件の主旨である回転を行なうようにしてもよい。
【0050】
以上の発明を実施することにより、副走査が低解像度である記録装置(102)によって出力される印刷物において、OCR処理を利用することで簡易に文字の解像度の劣化を抑制する事が出来る。上述の構成により横線の解像力が必要な漢字の場合で、副走査が低解像である為に横線が潰れる/消滅する問題を解消できる。
【0051】
<実施例4>
実施例4では、図11を利用して、外部のパーソナルコンピュータ(PC不図示)から指示されるPCプリントの動作について説明する。
【0052】
PCプリントを実施する場合、MFPはPCと接続されたインタフェイスであるLAN−IF(212)やUSB−IF(210)からデジタル画像データの元となるPDL(ページ記述言語)や印刷条件を指示するヘッダ情報を受信する。RAM(208)では、受信したPDL、ヘッダ情報を一時蓄積する。
【0053】
S1101では、CPU(206)はPDLやヘッダ情報の解析を実施する。解析される情報の中には、文字、線画、写真などの情報や配置が記述されており、これを順次解読して行く。S1102では、CPU(206)は、前述のPDLの解析結果からデジタル画像データを生成し、RAM(208)に蓄積を行う。以上については、PCプリントの実施方法の一例であり、本実施例はPCプリントを限定するものでは無い。よって、順番が入れ替わる場合や以上の処理をPCで実施する場合もある。
【0054】
次にS1103において、CPU(206)はPDLに記述されたPCプリントについて、本実施例が対応できる原稿サイズかどうかを判定する。対応原稿サイズであった場合には、S1104に進む。
【0055】
S1104では、CPU(206)は文字方向判定を実施する。この場合、文字方向の判定にはS1101で解析されたPDLの情報を利用する。PDLの解析情報の中には、ページ内の文字のフォント、サイズ、向きが記載されている。S1104について、図12のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0056】
S1201でCPU(206)はRAM(208)に格納されているPDL解析情報の中から、印刷ページ内の文字ブロック数を取得する。これはS1202から始まるループの回数を取得する為のものであり、ページ内の文字ブロックを全て検索する為に必要である。
【0057】
次にS1203において、CPU(208)は注目しているブロックのフォント情報を取得する。フォント情報とは、フォントの種類、フォントのサイズ、フォントの向きを指す。
【0058】
S1204では、CPU(208)はフォントの種類によって条件分岐を行う。例えば、漢字フォントであった場合には、高周波な線を含む事が予想されるので設定フォントとしてS1205に進む。また、英字フォントであった場合、高周波な線は含まない事が多いのでS1211に進んでしまって、次の文字ブロックの検査を行う。
【0059】
次にS1205では、CPU(208)はフォントサイズを取得する。フォントサイズが小さい程に印刷された文字は高周波(細かい)になる為、S1206において、注目ブロックにあらかじめ決められた最小のフォントサイズが含まれるかどうかをS1206でチェックする。
【0060】
最小フォントが含まれていた場合、S1207において、CPU(208)は、文字方向を確認し、S1208〜S1210で回転、非回転を選択する。
【0061】
S1105からの処理については、図3のS305からの処理と同じである為、説明を省略する。
【0062】
以上の本実施例により、副走査が低解像度である記録装置(102)によって出力される印刷物において、文字や線画の解像度の劣化を簡単な操作で制御する事が出来る。上述の構成により、横線の解像量が必要な漢字の場合で、副走査が低解像である為に横線が潰れる/消滅する問題を解消できる。
【0063】
<実施例5>
実施例5は、図13のフローチャートを用いて複数ページ処理の場合の動作について説明する。近年のMFPは、マルチページ処理機能を持っている事が多い。マルチページ処理機能とは、記録メディアの表と裏に画像を印刷する両面印刷や記録メディアの1ページ内に複数ページを印刷する機能(Nup機能)である。前述の操作パネル107からの指示により両面印刷もしくはNupが設定されると以下の処理が行われる。
【0064】
S1301からS1303は原稿読取装置(101)が持つシート原稿読込を利用して、複数の原稿を読み込むループ処理である。各ページは、デジタル画像データとして、スキャナIF(202)からRAM(208)に蓄積される。この場合、各原稿の方向は揃っている必要があるので、複数の原稿に対して印刷方向を一意に決定する必要がある。
【0065】
S1304では、CPU(206)はS1301からS1303で読みとった原稿が対応原稿サイズであったかどうかの確認をする。対応原稿サイズと異なる原稿が1枚でも混ざっていた場合には、本実施例は利用しない為、処理はS1313に進む。
【0066】
S1305からS1309は、各ページの文字方向を判定(S1306)と回転フラグのカウント(S1308)をCPU(206)が行う。尚、文字方向判定(S1306)については、実施例1、実施例2、実施例3で詳細に説明しているので、ここでは省略する。2upを構成する画像の向きは、1upの画像の向きから90度回転した向きとなるため、1upの場合に比べ2upを構成する画像では90度回転した状態で、文字方向判定が行われる。
【0067】
S1310において、S1308でカウントアップしてきたカウント値を定数Aと比較する。定数Aの決定方法については、例えばS1302で実施したスキャン原稿枚数の半分とする。この場合、文字方向判定(1306)で半分以上のページが回転すべきと判断したら、S1312の回転処理を実施する事になる。但し、定数Aについては、限定するものではなく、本実施例を利用するMFPの操作部によって自由に選択してもよい。
【0068】
S1311以降の処理については、S305以降の処理と同じ処理である為、ここでは割愛する。S1316では、操作パネルから指示された両面印刷もしくはNupが実行される。
【0069】
以上の本実施例により、副走査が低解像度である記録装置(102)によって出力される印刷物において、文字や線画の解像度の劣化を簡単な操作で制御する事が出来る。上述の構成により、横線の解像量が必要な漢字の場合で、副走査が低解像である為に横線が潰れる/消滅する問題を解消できる。
【0070】
<その他の実施例>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査の解像度より副走査の解像度が低い記録装置を制御する画像処理装置であって、
外部装置から受信されたページ記述言語の解析結果により文字の方向を判定する文字方向判定手段と、
前記文字方向判定手段により判定した文字における横線を、前記記録装置の主走査により走査すべく、前記ページ記述言語に応じた画像データを回転する画像回転手段と、
前記画像回転手段により回転した前記画像データを前記記録装置に記録させる制御手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記文字のフォント情報を取得し、漢字フォントであるならば文字方向判定がおこなわれることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記文字のフォント情報を取得し、フォントサイズがあらかじめ決められたフォントサイズである場合、文字方向判定がおこなわれることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
主走査の解像度より副走査の解像度が低い記録装置を制御する画像処理装置であって、
両面印刷もしくはNupを指示する操作手段
前記指示の後に得られた複数の原稿の画像データに含まれる文字の方向を判定する文字方向判定手段と、
前記文字方向判定手段により判定した文字における横線を、前記記録装置の主走査により走査すべく、前記画像データを回転する画像回転手段と、
前記画像回転手段により回転した前記画像データを前記記録装置に記録させる制御手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
主走査の解像度より副走査の解像度が低い記録装置を制御する画像処理方法であって、
外部装置から受信されたページ記述言語の解析結果により文字の方向を判定する文字方向判定ステップと、
前記文字方向判定ステップにより判定した文字における横線を、前記記録装置の主走査により走査すべく、前記ページ記述言語に応じた画像データを回転する画像回転ステップと、
前記画像回転ステップにより回転した前記画像データを前記記録装置に記録させる制御ステップとを備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
主走査の解像度より副走査の解像度が低い記録装置を制御する画像処理方法であって、
両面印刷もしくはNupを指示する操作ステップ
前記指示の後に得られた複数の原稿の画像データに含まれる文字の方向を判定する文字方向判定ステップと、
前記文字方向判定ステップにより判定した文字における横線を、前記記録装置の主走査により走査すべく、前記画像データを回転する画像回転ステップと、
前記画像回転ステップにより回転した前記画像データを前記記録装置に記録させる制御ステップとを備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
請求項5または6のいずれかに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−114746(P2012−114746A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262874(P2010−262874)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】