説明

画像処理装置及び画像処理方法、並びにプログラム

【課題】電子透かしの有効性を損なうことなく、予め電子透かし処理が施された画像と他の画像とを合成することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置としての撮像装置は、電子透かしが埋め込まれた第1画像から、前記電子透かしを抽出し、抽出された電子透かしを保持し、電子透かしが埋め込まれていない第2画像と、第1画像との合成画像を生成し、生成手段により生成された合成画像が、電子透かしが抽出できない画像となった場合に、保持されていた電子透かしを合成画像に埋め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子透かしが埋め込まれた画像と他の画像とを合成可能な画像処理装置及び画像処理方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル画像・音声データ中に、人間に知覚されない別の情報を埋め込み、必要に応じて正当な資格や権利を有する者だけが埋め込んだ情報を取り出せる電子透かし(Watermark)技術がある。それによって、画像の証拠能力を高め、又は著作権を保護することが可能となる。電子透かし技術には、特許文献1に記載されているような埋め込みデータが人間に知覚されない「不可視データ埋め込み」の方法がある。また、特許文献2に記載されているような積極的に著作権情報等を知覚可能な状態で原画像に埋め込むことで、第三者に画像の不正使用を思いとどませる効果を期待した「可視データ埋め込み」という方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−290359号公報
【特許文献2】特開平8−241403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、複数枚合成を伴う多重露光撮像という撮影モードが存在する。多重露光撮像の方式の1つとして、予め撮像されている画像を指定して、この画像に対して撮像した画像を順次合成処理していく方法がある。このような多重露光撮像で得られる合成画像に対して、従来、電子透かしを用いることが想定されていなかった。
【0005】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、多重露光撮像で得られる合成画像に対して、電子透かしを用いることが可能な画像処理装置及び画像処理方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の画像処理装置は、電子透かしが埋め込まれた画像から、前記電子透かしを抽出する抽出手段と、電子透かしが埋め込まれた第1画像から前記抽出手段により抽出された電子透かしを保持する保持手段と、前記第1画像と前記第1画像と異なる少なくとも1枚の画像とを合成し、合成画像を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された合成画像が、前記抽出手段により前記電子透かしが抽出できない画像となった場合に、前記保持手段により保持されていた前記電子透かしを前記合成画像に埋め込む埋め込み手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、多重露光撮像で得られる合成画像に対して、電子透かしを用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置としての撮像装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1における画像表示部に表示される多重露光撮像モード設定画面を示す図であり、(A)は撮像モード切り替え画面を示し、(B)は多重露光撮像枚数画面を示し、(C)は撮像合成モードが選択されている多重モード選択画面を示し、(D)は、選択合成モードが選択されている多重モード選択画面を示す。
【図3】図1におけるシステム制御回路により実行される画像処理の手順を示すフローチャートであり、撮像合成モード時の画像処理の手順を示している。
【図4】図1におけるシステム制御回路により実行される画像処理の手順を示すフローチャートであり、選択合成モード時の画像処理の手順を示している。
【図5】図1におけるシステム制御回路により実行される画像処理の手順を示すフローチャートであり、選択合成モード時に電子透かしが埋め込まれている場合の画像処理の手順を示している。
【図6】抽出された埋め込み情報の一例を示す図である。
【図7】可視透かしの一例を示す図であり、(A)は可視透かしを含む画像を示し、(B)は画像に含まれる不可視透かしの埋め込み情報を示す。
【図8】図1におけるシステム制御回路により実行される画像処理の手順を示すフローチャートであり、選択合成モード時に可視透かしが埋め込まれている場合の画像処理の手順を示している。
【図9】図1におけるシステム制御回路により実行される撮像された全ての画像を記録する撮像画像記録処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0010】
本実施形態では、複数枚合成を伴う多重露光撮像モードにおいて電子透かしを有効にはたらかせるための処理を示す。前述したとおり、多重露光撮像の主な方式としては、撮像した画像を順次合成処理していく場合と、予め撮像されている画像を指定して、この画像に対して撮像した画像を順次合成処理していく場合とがある。このような多重露光撮像で得られる合成画像に対して、電子透かしの技術を用いた場合を考える。
【0011】
前者の場合は、全ての画像を合成処理した後に電子透かしを埋め込むことで、記録される画像に対して画像の証拠能力を高め、又は著作権を保護することが可能となる。
【0012】
また、後者の場合においても、予め撮像されている画像に対して電子透かしが埋め込まれていなければ、撮像した画像を順次合成処理していく場合と同様の処理を行うことで、記録される画像に対して画像の証拠能力を高め、又は著作権を保護することが可能となる。
【0013】
しかしながら、予め撮像されている画像に対して電子透かし処理が施されている画像の場合は、合成処理によって、埋め込まれた電子透かし情報が正常に取り出せなくなる可能性がある。かといって、合成処理後に再び電子透かしの埋め込み処理を施すと画像の劣化が懸念される。
【0014】
また、埋め込まれている電子透かしが可視透かしの場合は、合成処理を行うことにより可視透かし自体が見えにくくなってしまう。このように、予め電子透かし処理が施された画像と他の画像とを合成した場合に、電子透かしの有効性を損なってしまうという問題が生じる。
【0015】
そこで、本実施形態では、予め撮像されている画像に対して電子透かし処理が施されている画像の場合には、その電子透かし情報を抽出し、合成画像が合成によって電子透かし情報を失った場合でも合成画像に対して当該電子透かしを埋め込む処理を行う。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置としての撮像装置の概略構成を示す図である。
【0017】
本実施の形態においては、撮像装置としてレンズ交換可能な一眼レフタイプのデジタルカメラを例に挙げて説明する。なお撮像装置としては、他にレンズ交換が可能なデジタルビデオカメラ等にも、本実施の形態を適用することが可能である。
【0018】
撮像装置1000は、カメラ本体100と、交換レンズタイプのレンズユニット300とを備えている。
【0019】
レンズユニット300は、撮像レンズ310、絞り312、レンズマウント306、インタフェース320、コネクタ322、絞り制御部340、フォーカス制御部342、ズーム制御部344、及びレンズシステム制御回路350を備える。
【0020】
撮像レンズ310は、複数のレンズから成る。レンズマウント306は、レンズユニット300をカメラ本体100に機械的に結合する。レンズマウント306内には、レンズユニット300をカメラ本体100と電気的に接続する各種機能が含まれている。インタフェース320は、レンズマウント306において、レンズユニット300をカメラ本体100と接続するためのインタフェースである。コネクタ322は、レンズユニット300をカメラ本体100に電気的に接続するコネクタである。このコネクタ322は、カメラ本体100とレンズユニット300との間で制御信号、状態信号、データ信号等を伝え合うと共に、各種電圧の電流を供給される機能も備えている。また、コネクタ322は電気通信のみならず、光通信、音声通信等を用いて通信を行う構成としてもよい。
【0021】
絞り制御部340は、測光制御部46からの測光情報に基づいて、後述するカメラ本体100のシャッター12を制御するシャッター制御部40と連携しながら、絞り312を制御する。フォーカス制御部342は、撮像レンズ310のフォーカシングを制御する。ズーム制御部344は、撮像レンズ310のズーミングを制御する。
【0022】
レンズシステム制御回路350は、レンズユニット300全体を制御する。レンズシステム制御回路350は、動作用の定数、変数、プログラム等を記録するメモリを備えている。更に、レンズシステム制御回路350は、レンズユニット300固有の番号等の識別情報、管理情報、開放絞り値や最小絞り値、焦点距離等の機能情報、現在や過去の各設定値等を保持する不揮発性メモリも備えている。
【0023】
次に、カメラ本体100の構成について説明する。カメラ本体100は、レンズマウント106、ミラー130,132、光学ファインダ104、シャッター12、撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26、タイミング発生回路18、画像処理回路20、メモリ制御回路22、画像表示部28、画像表示メモリ24、画像合成回路31、メモリ30、圧縮伸長回路32を備える。
【0024】
レンズマウント106は、カメラ本体100とレンズユニット300を機械的に結合する。ミラー130,132は、撮像レンズ310に入射した光線を一眼レフ方式によって光学ファインダ104に導く。なお、ミラー130はクイックリターンミラーの構成としても、ハーフミラーの構成としても、どちらでも構わない。
【0025】
光学ファインダ104は、一眼レフ方式によって、絞り312、レンズマウント306,106、ミラー130,132を介して導かれた撮像レンズ310に入射された光線を、光学像として表示することができる。これにより、画像表示部28による電子ファインダ機能を使用すること無しに、光学ファインダのみを用いて撮像を行うことが可能である。また、光学ファインダ104内には、通知部54の一部の機能、例えば、合焦状態、手振れ警告、フラッシュ充電、シャッター速度、絞り値、露出補正等が表示される。
【0026】
シャッター12は、フォーカルプレーン式となっている。撮像素子14は、CCD、CMOSセンサ等からなり、被写体像を光電変換する撮像素子である。なお、撮像素子14の前方には、光学ローパスフィルター等の光学素子が配置されている。撮像レンズ310に入射した光線は、一眼レフ方式によって光量制限手段である絞り312、レンズマウント306及び106、ミラー130、シャッター12を介して導かれ、光学像として撮像素子14上に結像される。
【0027】
A/D変換器16は、撮像素子14から出力されるアナログ信号(出力信号)をデジタル信号に変換する。D/A変換器26は、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像を画像表示部28により表示させるために画像をアナログ信号に変換する。
【0028】
タイミング発生回路18は、撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にそれぞれクロック信号や制御信号を供給し、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
【0029】
画像処理回路20は、A/D変換器16からのデータ又はメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理回路20は、必要に応じて、A/D変換器16から出力される画像を用いて所定の演算処理を行う。得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50がシャッター制御部40、焦点調節部42を制御するための、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のオートフォーカス(AF)処理、自動露出(AE)処理、フラッシュプリ発光(EF)処理を行うことができる。さらに、画像処理回路20は、A/D変換器16から出力される画像を用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のオートホワイトバランス(AWB)処理も行っている。
【0030】
なお、本実施形態における図3に示す例では、焦点調節部42及び測光制御部46を専用に備えている。従って、焦点調節部42及び測光制御部46を用いてAF処理、AE処理、EF処理の各処理を行い、画像処理回路20を用いたAF処理、AE処理、EF処理の各処理を行わない構成としても構わない。また、焦点調節部42及び測光制御部46を用いてAF処理、AE処理、EF処理の各処理を行い、さらに、画像処理回路20を用いたAF処理、AE処理、EF処理の各処理を行う構成としてもよい。
【0031】
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮伸長回路32、電子透かし回路33を制御する。A/D変換器16から出力される画像は、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、又はメモリ制御回路22のみを介して、画像表示メモリ24又はメモリ30に書き込まれる。
【0032】
画像表示部28は、TFT方式のLCD等であり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像はD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。画像表示部28を用いて、撮像した画像を逐次表示することで、電子ビューファインダー(EVF)機能を実現することができる。また、画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにした場合にはカメラ本体100の電力消費を大幅に低減することができる。
【0033】
画像合成回路31は、複数枚の画像を合成処理する回路である。後述する操作部70に含まれる通常撮像モード/多重露光撮像モード切り替えボタンで、多重露光撮像モードが設定されているとき、画像合成回路31は、メモリ30に記録される撮像画像の合成処理を行う。
【0034】
電子透かし回路33は電子透かしの埋め込み処理と、電子透かしの抽出処理を行う。電子透かし回路33は、メモリ30に記録された画像と、システム制御回路50で生成される鍵情報及び埋め込み情報を読み込んで、画像の所定の位置に電子透かしを埋め込む回路である。また、電子透かしが埋め込まれた画像と鍵情報を読み込んで、電子透かしを抽出する回路である。さらに、電子透かし回路33は、可視の電子透かし、及び不可視の電子透かしを抽出可能であり、また、可視の電子透かし、及び不可視の電子透かしを埋め込み可能である。なお、以下の説明において、単に電子透かしと表現した場合には、不可視の電子透かしを示し、可視、不可視を区別する場合には、それぞれ可視電子透かし、不可視電子透かしと表現する。
【0035】
メモリ30は、静止画像又は動画像を記録するためのメモリであり、所定枚数の静止画像又は所定量の動画像を記録するのに十分な記録容量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮像する連写撮像やパノラマ撮像の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ30に対して行うことが可能となる。多重露光撮像では合成処理するための画像を複数枚保持することも可能である。また、動画像撮像時には、所定レートで連続的に書き込まれる画像のフレームバッファとして使用される。さらに、メモリ30はシステム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。
【0036】
圧縮伸長回路32は、公知の圧縮方法を用いて画像を圧縮・伸長する回路である。圧縮伸長回路32は、メモリ30に記録された画像を読み込んで圧縮処理又は伸長処理を行い、処理を終えたデータを再びメモリ30に書き込む。また、圧縮伸長回路32は、動画像を所定のフォーマットに圧縮符号化し、又は所定の圧縮符号化データから動画像信号を伸張する機能も有する。
【0037】
カメラ本体100は、さらにシャッター制御部40、焦点調節部42、測光制御部46、及びフラッシュ48を備える。
【0038】
シャッター制御部40は、測光制御部46からの測光情報に基づいて絞り312を制御する絞り制御部340と連携しながらシャッター12を制御する。焦点調節部42は、AF(オートフォーカス)処理を行うための焦点調節部である。焦点調節部42は、レンズユニット300内の撮像レンズ310に入射した光線を絞り312、レンズマウント306,106、ミラー130及び焦点調節用サブミラー(不図示)を介して一眼レフ方式で入射させることにより、光学像として結像された画像の合焦状態を測定する。焦点調節部42による測定結果と、A/D変換器16からの画像を画像処理回路20によって演算した演算結果とを用いて、AF制御を行うようにしてもよい。
【0039】
測光制御部46は、AE(自動露出)処理を行う。測光制御部46は、レンズユニット300内の撮像レンズ310に入射した光線を、絞り312、レンズマウント306,106、ミラー130及び測光用サブミラー(図示せず)を介して一眼レフ方式で入射させることにより、光学像として結像された画像の露出状態を測定する。測光制御部46による測定結果と、A/D変換器16からの画像を画像処理回路20によって演算した演算結果とを用いて露出制御を行うようにしてもよい。
【0040】
フラッシュ48は、AF補助光の投光機能、フラッシュ調光機能を有する。測光制御部46はフラッシュ48と連携することにより、EF(フラッシュ調光)処理機能も有する。
【0041】
また、カメラ本体100は、インタフェース120、及びコネクタ122を備える。インタフェース120は、レンズマウント106内でカメラ本体100をレンズユニット300に接続するためのインタフェースである。コネクタ122はカメラ本体100をレンズユニット300と電気的に接続するコネクタである。また、レンズマウント106及びコネクタ122にレンズユニット300が装着されているか否かは、不図示のレンズ着脱検知部により検知される。コネクタ122はカメラ本体100とレンズユニット300との間で制御信号、状態信号、データ信号等を伝え合うと共に、各種電圧の電流を供給する機能も備えている。また、コネクタ122は電気通信だけでなく、光通信、音声通信により通信を行う構成としてもよい。
【0042】
さらに、カメラ本体100は、電源スイッチ72、電源制御部80、コネクタ82,84、及び電源86を備える。
【0043】
電源スイッチ72は、カメラ本体100の電源オン、電源オフの各モードを切り替え設定することができる。また、カメラ本体100に接続されたレンズユニット300、外部フラッシュ112、記録媒体200、PC210等の各種付属装置の電源オン、電源オフの設定も合わせて切り替え設定可能である。
【0044】
電源制御部80は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されている。電源制御部80は、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。電源86はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池、NiCd電池やNiMH電池、Li‐ion電池、Liポリマー電池等の二次電池、ACアダプター等である。コネクタ82,84は電源制御部80と電源とを接続する。
【0045】
さらに、カメラ本体100は、システム制御回路50、メモリ52、通知部54、不揮発性メモリ56を備える。システム制御回路50は、カメラ本体100全体を制御し、周知のCPU等を内蔵する。メモリ52は、システム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等を記録するメモリである。
【0046】
通知部54は、システム制御回路50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を外部に通知する。通知部54としては、例えばLCDやLED等による視覚的な表示を行う表示部や音声による通知を行う発音素子等が用いられるが、通知部54はこれらのうち1つ以上の組み合わせにより構成される。特に、表示部の場合には、カメラ本体100の後述する操作部70近辺の、視認しやすい単数又は複数箇所に設置される。また、通知部54は、その一部の機能が光学ファインダ104内に設置されている。
【0047】
通知部54の表示内容のうち、LCD等の画像表示部28に表示する内容としては以下のものがある。まず、単写/連写撮像表示、セルフタイマ表示等、撮像モードに関する内容がある。また、圧縮率表示、記録画素数表示、記録枚数表示、残撮像可能枚数表示等の記録に関する内容がある。また、シャッター速度表示、絞り値表示、露出補正表示、調光補正表示、外部フラッシュ発光量表示、赤目緩和表示等の撮像条件に関する内容がある。その他に、マクロ撮像表示、ブザー設定表示、電池残量表示、エラー表示、複数桁の数字による情報表示、記録媒体200及びPC210の着脱状態表示がある。更に、レンズユニット300の着脱状態表示、通信I/F動作表示、日付・時刻表示、外部コンピュータとの接続状態を示す内容等もある。
【0048】
また、通知部54の表示内容のうち、光学ファインダ104内に表示する内容としては、例えば、以下のものがある。合焦表示、撮像準備完了表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、フラッシュ充電完了表示、シャッター速度表示、絞り値表示、露出補正表示、記録媒体書き込み動作表示等である。
【0049】
不揮発性メモリ56は、後述するプログラム等が記録された電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。
【0050】
また、カメラ本体100は、モードダイアル60、シャッタースイッチ62,64、再生スイッチ66、単写/連写スイッチ68、及び操作部70を備える。
【0051】
これらは、システム制御回路50の各種の動作指示を入力するための操作手段であり、スイッチやダイアル、タッチパネル、視線検知によるポインティング、音声認識装置等の単数又は複数の組み合わせで構成される。ここで、これらの操作手段の具体的な説明を行う。
【0052】
モードダイアル60は、自動撮像モード、プログラム撮像モード、シャッター速度優先撮像モード、絞り優先撮像モード、マニュアル撮像モード、焦点深度優先(デプス)撮像モード等の各機能撮像モードを切り替え設定することができる。他に、モードダイアル60は、ポートレート撮像モード、風景撮像モード、接写撮像モード、スポーツ撮像モード、夜景撮像モード、パノラマ撮像モード、等の各機能撮像モードを切り替え設定することもできる。
【0053】
シャッタースイッチ62は、SW1に対応しており、不図示のシャッターボタンの操作途中(例えば、半押し)でONとなり、AF処理、AE処理、AWB処理、EF処理等の動作開始を指示する。
【0054】
シャッタースイッチ64は、SW2に対応しており、不図示のシャッターボタンの操作完了(例えば、全押し)でONとなり、露光処理、現像処理、及び記録処理からなる一連の処理の動作開始を指示する。まず、露光処理では、撮像素子14から読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に書き込み、更に、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理が行われる。更に、記録処理では、メモリ30から画像を読み出し、圧縮伸長回路32で圧縮を行い、記録媒体200又はPC210に書き込む、又は送信する。
【0055】
再生スイッチ66は、撮像モード状態で撮像した画像をメモリ30又は記録媒体200、PC210から読み出して画像表示部28に表示する再生動作の開始を指示する。再生スイッチ66は、他に、再生モード、マルチ画面再生・消去モード、PC接続モード等の各機能モードを設定することができる。
【0056】
単写/連写スイッチ68は、シャッタースイッチ64を押した場合に、1コマの撮像を行って待機状態とする単写モードと、シャッタースイッチ64を押している間、連続して撮像を行い続ける連写モードとを設定することができる。
【0057】
操作部70は各種ボタンやタッチパネル等から成る。各種ボタンの一例として、通常撮像モード/多重露光撮像モード切り替えボタン、多重露光撮像枚数の設定ボタン、ライブビュー開始/停止ボタン、メニューボタン、セットボタン、マルチ画面再生改ページボタン、フラッシュ設定ボタン、単写/連写/セルフタイマ切り換えボタン、メニュー移動+(プラス)ボタン、メニュー移動−(マイナス)ボタンを含む。更に、各種ボタンの一例として、再生画像移動+(プラス)ボタン、再生画像移動−(マイナス)ボタン、撮像画質選択ボタン、露出補正ボタン、調光補正ボタン、外部フラッシュ発光量設定ボタン、日付/時間設定ボタン等も含む。なお、上記プラスボタン及びマイナスボタンの各機能は、回転ダイアルスイッチを備えることによって、ユーザは、より軽快に数値や機能を選択することが可能となる。
【0058】
また、画像表示部28のON/OFFを設定する画像表示ON/OFFスイッチ、撮像直後に撮像した画像を自動再生するクイックレビュー機能を設定するクイックレビューON/OFFスイッチがある。また、JPEG圧縮の圧縮率を選択するため、又は撮像素子の信号をそのままデジタル化して記録媒体に記録するRAWモードを選択するためのスイッチである圧縮モードスイッチがある。また、ワンショットAFモードとサーボAFモードとを設定可能なAFモード設定スイッチ等がある。ワンショットAFモードでは、シャッタースイッチ62を押した際にオートフォーカス動作を開始し、一旦合焦した場合、その合焦状態を保ち続ける。サーボAFモードでは、シャッタースイッチ62を押している間、連続してオートフォーカス動作を続ける。
【0059】
また、カメラ本体100は、アクセサリシュー110、及び外部フラッシュ112を備える。
【0060】
アクセサリシュー110は、システム制御回路50と外部フラッシュ112とのインタフェースである。
【0061】
さらに、カメラ本体100は、記録媒体着脱検知回路98、インタフェース90,94及びコネクタ92,96を備える。インタフェース90,94は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体やPCとのインタフェースである。コネクタ92,96はメモリカードやハードディスク等の記録媒体やPCと接続を行うコネクタである。記録媒体着脱検知回路98は、コネクタ92及び/又は96に記録媒体200又はPC210が装着されているか否かを検知する。
【0062】
なお、本実施の形態では記録媒体を取り付けるインタフェース及びコネクタを2系統持つものとして説明しているが、記録媒体を取り付けるインタフェース及びコネクタは、単数又は複数、いずれの系統数を備える構成としても構わない。また、異なる規格のインタフェース及びコネクタを組み合わせて備える構成としても構わない。
【0063】
インタフェース及びコネクタとしては、種々の記録媒体の規格に準拠したものを用いて構成することが可能である。例えば、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)カードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード、SDカード等である。インタフェース90,94、そしてコネクタ92,96をPCMCIAカードやCFカード等の規格に準拠したものを用いて構成した場合、各種通信カードを接続することができる。
【0064】
通信カードとしては、LANカードやモデムカード、USB(Universal Serial Bus)カード、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394カードがある。他にも、P1284カード、SCSI(Small Computer System Interface)カード、PHS等がある。これら各種通信カードを接続することにより、他のコンピュータやプリンタ等の周辺機器との間で画像や画像に付属した管理情報を転送し合うことができる。
【0065】
記録媒体200は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体である。この記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202、カメラ本体100とのインタフェース204、カメラ本体100と接続を行うコネクタ206を備えている。
【0066】
記録媒体200としては、PCMCIAカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)等のメモリカード、ハードディスク等を用いることができる。また、マイクロDAT、光磁気ディスク、CD−RやCD−RW等の光ディスク、DVD等の相変化型光ディスク等で構成されていても勿論構わない。
【0067】
PC210は、磁気ディスク(HD)等から構成される記録部212、カメラ本体100とのインタフェース214、カメラ本体100と接続を行うコネクタ216を備えている。インタフェース94はUSBやIEEE1394等が挙げられるが、特に限定されない。
【0068】
図2は、図1における画像表示部28に表示される多重露光撮像モード設定画面を示す図であり、(A)は撮像モード切り替え画面を示し、(B)は多重露光撮像枚数画面を示し、(C)は撮像合成モードが選択されている多重モード選択画面を示し、(D)は、選択合成モードが選択されている多重モード選択画面を示す。
【0069】
図2(A)において、撮像モード切り替え画面は、操作部70に含まれる、通常撮像モード/多重露光撮像モード切り替えボタンを操作することで表示され、ユーザは、通常撮像モードと、多重露光撮像モードを切り替えることが出来る。
【0070】
また、図2(B)において、多重露光撮像枚数画面は、操作部70に含まれる、多重露光撮像枚数設定ボタンを操作することで表示され、ユーザは、多重露光撮像した際の撮像枚数(図では3枚)を設定することが出来る。
【0071】
さらに、操作部70に含まれる、撮像合成モード/選択合成モード切替ボタンを操作することで、画像表示部28に切り替えメニューが表示され、撮像合成モードと、選択合成モードを切り替えることが出来る。
【0072】
図2(C)における「撮像合成モード」では、撮像した画像を順次合成処理していくモードである。また、図2(D)における「選択合成モード」では、記録媒体200に、予め記録されている画像を選択して、この画像に対して撮像した画像を順次合成処理してくモードである。
【0073】
図3は、図1におけるシステム制御回路50により実行される画像処理の手順を示すフローチャートであり、撮像合成モード時の画像処理の手順を示している。
【0074】
図3において、操作部70に含まれる、多重露光撮像枚数設定ボタンと、撮像合成モード/選択合成モード切替ボタンを操作することで、「撮像合成モード」がユーザにより選択される(ステップS200)。
【0075】
シャッタースイッチ62がオンされると、測光制御部46で測光演算を行い、また、焦点調節部42にて被写体への焦点調節を実行する。そして、シャッタースイッチ64がオンされると、撮像素子14を駆動して撮像する(ステップS201)。このとき、画像は画像処理回路20で所定の画素補間処理や色変換処理が行われ、メモリ30内の画像バッファへ一時保存される。
【0076】
次いで、ステップS201での撮像が、多重露光における最初の撮像か否か判別し(ステップS202)、最初の撮像のときは(ステップS202でYES)、合成処理する画像が無いので、ステップS201へ戻り、再びシャッタースイッチ64がユーザによりオンされることを待つ。最初の撮像でないときは(ステップS202でNO)、合成処理を行う(ステップS203)。このステップS203では、メモリ30の画像バッファに記録されている2枚の画像を、画像合成回路31にて合成処理を行う。
【0077】
次いで、設定した多重露光撮像枚数に達しているか否かを判別し(ステップS204)、達しているときは(ステップS204でYES)、ステップS205に進み、達していないときは(ステップS204でNO)、ステップS201以降の処理を実行する。
【0078】
例えば、図2(B)のように、多重露光撮像枚数として3枚を設定している場合は、3枚目の撮像が終わっていれば、ステップS205へ進む。3枚目の撮像が終わっていなければステップS201へ戻ることとなる。
【0079】
ステップS205では、多重露光撮像と合成処理が終わっているので、メモリ30に記録されている合成処理済みの画像を読み出して、圧縮伸長回路32にてJPEG圧縮等の圧縮処理を行い、所定のファイルフォーマットに成形され、インタフェース90を介して記録媒体200へ書き込まれる。
【0080】
また、メモリ30に記録されている合成処理済みの画像は、再度読み出され、画像処理回路にて表示用の画像に変換されて画像表示メモリ24へ記録される。画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像はD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。
【0081】
図4は、図1におけるシステム制御回路50により実行される画像処理の手順を示すフローチャートであり、選択合成モード時の画像処理の手順を示している。
【0082】
図4において、操作部70に含まれる、多重露光撮像枚数設定ボタンと、撮像合成モード/選択合成モード切替ボタンを操作することで、「選択合成モード」がユーザにより選択される(ステップS600)。
【0083】
次いで、撮像画像と合成する撮像済の画像がユーザにより選択される(ステップS601)。今の場合は、予め撮像された画像が記録媒体200に記録されているものとする。ユーザが再生スイッチ66を操作することで、記録媒体200に記録されている画像はインタフェース90を介して読み出され、メモリ30に記録される。
【0084】
メモリ30に記録された画像は、再度読み出され、画像処理回路にて表示用の画像に変換されて画像表示メモリ24へ記録される。画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像はD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。その後、ユーザが操作部70に含まれる画像移動ボタンを操作することで、撮像画像と合成したい撮像済の画像を選択することができる。
【0085】
シャッタースイッチ62がオンされると、測光制御部46で測光演算を行い、また、焦点調節部42にて被写体への焦点調節を実行する。シャッタースイッチ64がオンされると、撮像素子14を駆動して撮像する(ステップS602)。画像は画像処理回路20で所定の画素補間処理や色変換処理が行われ、メモリ30内の画像バッファへ一時保存される。
【0086】
メモリ30の画像バッファに記録されている2つの画像を、画像合成回路31にて合成処理を行う(ステップS603)。最初の撮像が行われた後の動作では、選択された画像と撮像された画像とが合成処理される。2枚目以降の撮像が行われたあとの動作では、一度目の合成処理が行われた画像と、2枚目に撮像された画像が合成処理される。3枚目以降は同様の動作が順次繰り返されていく。
【0087】
次いで、設定した多重露光撮像枚数に達しているか否かを判別し(ステップS604)、達しているときは(ステップS604でYES)、ステップS605に進み、達していないときは(ステップS604でNO)、ステップS602以降の処理を実行する。例えば、図2(B)のように、多重露光撮像枚数として3枚を設定している場合は、3枚目の撮像が終わっていれば、ステップS605へ進む。3枚目の撮像が終わっていなければステップS602へ戻ることとなる。
【0088】
ステップS605では、多重露光撮像と合成処理が終わっているので、メモリ30に記録されている合成処理済みの画像を読み出して、圧縮伸長回路32にてJPEG圧縮等の圧縮処理を行い、所定のファイルフォーマットに成形され、インタフェース90を介して記録媒体200へ書き込まれる。
【0089】
また、メモリ30に記録されている合成処理済みの画像は、再度読み出され、画像処理回路にて表示用の画像に変換されて画像表示メモリ24へ記録される。画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像はD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。
【0090】
上述した図3、図4の処理に示されるように、撮像合成モードと選択合成モードとの違いは、予め撮像しておいたデータと合成させるか否かという点である。
【0091】
次に、本実施形態で用いる電子透かしの処理について説明する。まず、画像を、1ブロックがn画素×m画素のブロックで複数に分割する(分割処理)。次に分割した各ブロックに離散コサイン変換(DCT変換)等の直交変換を施し、n×mの周波数成分行列を得る(直交変換処理)。
【0092】
埋め込み情報の埋め込み処理に先立ち、直交変換処理で得られた周波数成分行列のどの位置に埋め込み情報を埋め込むかを示す埋め込み位置を乱数により決定し、さらにその周波数成分の値をどの程度変更するかを示す変更量を決定し、この埋め込み位置と変更量を鍵情報として取得・保存しておく。
【0093】
埋め込み情報を埋め込む場合、1つのブロックに対する周波数成分行列に全てを埋め込む必要はなく、複数のブロックの周波数成分行列に跨がって埋め込んでも良い。その場合、画面内のコントラストが適切なブロック群を選択する。
【0094】
埋め込み位置として、例えば周波数成分行列の低周波数部分を選択することにより、人間に知覚できないように埋め込むことができる。また、変更量を変えることにより、周波数成分行列の元の値との差を変えられるため、画質の劣化を制御することができる。
【0095】
前述した各ブロックの周波数成分行列の値を、鍵情報の埋め込み位置と変更量に基づいて変更することにより、埋め込み情報を埋め込む(埋め込み処理)。さらに、埋め込み情報が埋め込まれた各ブロックの周波数成分行列を逆直交変換し、n画素×m画素の複数ブロックの画像を得る(逆直交変換処理)。最後に、逆直交変換処理で得られた複数ブロックの画像をつなぎ合わせ、埋め込み情報が埋め込まれた透かし画像を得る(再構成処理)。
【0096】
次に、透かし画像から埋め込み情報を抽出する場合の処理の流れについて説明する。まず、透かし画像を、1ブロックがn画素×m画素の複数ブロックに分割する(分割処理)。次に、分割した各ブロックに離散コサイン変換(DCT変換)等の直交変換を施し、n×mの周波数成分行列を得る(直交変換処理)。さらに、埋め込む時に用いた鍵情報から埋め込み位置と変更量を得て、各ブロックの周波数成分行列から埋め込み情報を取り出す(取り出し処理)。
【0097】
図5は、図1におけるシステム制御回路50により実行される画像処理の手順を示すフローチャートであり、選択合成モード時に電子透かしが埋め込まれている場合の画像処理の手順を示している。
【0098】
図5において、電子透かしが埋め込まれている画像は、選択された画像(第1画像)とする。また、撮像モードとして「多重露光モード」、多重露光撮像枚数として「3枚」、多重モードとして「選択合成モード」が設定されているとする。従って、多重露光撮像により得られた複数の撮像画像(第1画像とは異なる画像)が選択された画像に合成される。従って、撮像画像と異なる少なくとも1枚の画像と合成されることとなる。
【0099】
撮像画像と合成する撮像済の画像とがユーザにより選択される(ステップS100)。予め撮像されることで得られた撮像済の画像が記録媒体200に記録されている。再生スイッチ66を操作することで選択され、記録媒体200に記録されている画像はインタフェース90を介して読み出され、メモリ30に記録される。
【0100】
メモリ30に記録された画像は、再度読み出され、画像処理回路にて表示用の画像に変換されて画像表示メモリ24へ記録される。画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像はD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。その後、ユーザが操作部70に含まれる画像移動ボタンを操作することで、撮像画像と合成したい撮像済の画像を選択することができる。
【0101】
次いで、ステップS100で選択された画像に対して、電子透かしの抽出処理を行う(ステップS101)(抽出手段)。メモリ30に記録された画像は、再度読み出され、電子透かし回路33にて電子透かしの抽出処理が行われる。この時、電子透かしが埋め込まれていれば、埋め込まれた電子透かしが抽出される。抽出された電子透かしをメモリ30に保持する(ステップS102)(保持手段)。図6は、抽出された埋め込み情報の一例を示している。また、埋め込み情報が抽出された場合には、画像表示部28に電子透かしが埋め込まれた画像であることを表示するようにしてもよい。
【0102】
次いで、シャッタースイッチ62がオンされると、測光制御部46で測光演算を行い、また、焦点調節部42にて被写体への焦点調節を実行する。シャッタースイッチ64がオンされると、撮像素子14を駆動して撮像する(ステップS103)。画像は画像処理回路20で所定の画素補間処理や色変換処理が行われ、メモリ30内の画像バッファへ一時保存される。
【0103】
次いで、メモリ30の画像バッファに記録されている2枚の画像を、画像合成回路31にて合成処理を行い、合成画像を生成する(ステップS104)(生成手段)。最初の撮像が行われた後の動作では、選択された画像と撮像された画像とが合成処理される。2枚目以降の撮像が行われたあとの動作では、一度目の合成処理が行われた画像と、2枚目に撮像された画像が合成処理される。3枚目以降は同様の動作が順次繰り返されていく。すなわち、被写体を撮像するごとに、選択された画像に、撮像により得られた画像を逐次合成していくこととなる。
【0104】
次いで、合成画像に対して、電子透かしの抽出処理を行い、電子透かしが抽出されたか否かを判別する(ステップS105)(判定ステップ)。メモリ30に記録された画像は、再度読み出され、電子透かし回路33にて電子透かしの抽出処理が行われる。この時、埋め込み情報が抽出された場合は、ステップS101で抽出された埋め込み情報と比較する。比較した結果、一致した場合は電子透かしが抽出されたと判別し、不一致の場合は電子透かしが抽出されなかったと判別する。
【0105】
ステップS105の判別の結果、電子透かしが抽出されたときは(ステップS105でYES)、ステップS106へ進む。電子透かしが抽出されなかったときは(ステップS105でNO)、埋め込み情報が消失したことを画像表示部28を用いてユーザに通知することで警告を発生し(ステップS110)(警告発生手段)、ステップS106へ進む。
【0106】
次いで、設定した多重露光撮像枚数に達したことで、多重露光が終了したか否かを判別し(ステップS106)、多重露光が終了したときは(ステップS106でYES)、ステップS107に進み、多重露光が終了していないときは(ステップS106でNO)、ステップS103以降の処理を実行する。例えば、図2(B)のように、多重露光撮像枚数として3枚を設定している場合は、3枚目の撮像が終わっていれば、ステップS107へ進む。3枚目の撮像が終わっていなければステップS103へ戻ることとなる。
【0107】
次いで、電子透かしを合成画像に埋め込むか否かを判別する(ステップS107)。ステップS107では、ステップS110を経てステップS107へ進んだ場合は、元々埋め込まれていた情報が消失しているので、埋め込むと判別される。一方、ステップS110を経ていない場合は、画像に元々埋め込まれていた情報が保持されているので、埋め込まないと判別される。
【0108】
ステップS107での判別の結果、電子透かしを埋め込まないとき(ステップS107でNO)、ステップS109に進む。ステップS107での判別の結果、電子透かしを埋め込むと判別されたとき(ステップS107でYES)、ステップS102で保持された埋め込み情報により、画像に電子透かしを埋め込む(ステップS108)(埋め込み手段)。ステップS108では、メモリ30に記録されている合成画像を読み出して、電子透かし回路33により、電子透かしを埋め込む。電子透かしを埋め込まれた画像は再びメモリ30へ記録される。
【0109】
次いで、メモリ30に記録されている画像を読み出して、圧縮伸長回路32にてJPEG圧縮等の圧縮処理を行い、所定のファイルフォーマットに画像を成形し、インタフェース90を介して記録媒体200へ画像を記録する(ステップS109)(記録手段)。
【0110】
また、メモリ30に記録されている合成処理済みの画像は、再度読み出され、画像処理回路にて表示用の画像に変換されて画像表示メモリ24へ記録される。画像表示メモリ24に記録された表示用の画像はD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。
【0111】
図5の処理によれば、生成された合成画像が、電子透かしが抽出できない画像となった場合に(ステップS105でNO)、合成画像に保持されていた選択画像の電子透かしを埋め込む(ステップS108)。これにより、電子透かしの有効性を損なうことなく、予め電子透かし処理が施された画像と他の画像とを合成することができる。また、最後に一度だけ電子透かしを埋め込むので、不要な埋め込み処理による画像劣化を防ぐことが可能になる。また、図5の処理によれば、記録される画像に対して画像の証拠能力を高め、又は著作権を保護することが可能となる。
【0112】
さらに、図5の処理によれば、生成された合成画像が、電子透かしが抽出できない画像となった場合に(ステップS105でNO)、警告を発生する(ステップS110)ので、ユーザに電子透かしの消失を通知することが可能になる。なお、上記ステップS109において、ユーザに対して、画像記録前に再度、電子透かしの埋め込み処理を実施するかどうかを選択できるように構成することで、ユーザの意図しない埋め込み処理による画像劣化を防ぐことが可能になる。
【0113】
図5の処理では、電子透かしが非可視化透かしであったが、次に電子透かしが可視透かしの場合についての実施の形態について説明する。
【0114】
可視化情報による可視透かしは、画像を利用する利用者に対し、画像制作者の著作権等を明示的に示す役割を持っている。よって、多重露光撮像において、可視透かしが見えにくくなることは画像制作者にとって本意ではない。
【0115】
図7は、可視透かしの一例を示す図であり、(A)は可視透かしを含む画像を示し、(B)は画像に含まれる不可視透かしの埋め込み情報を示す。
【0116】
図7(A)において、可視透かし901は、高さVと幅Hの矩形で示され、その矩形の1つの頂点の座標は(X,Y)となっている。また、図7(B)では不可視の埋め込み情報として、撮像者、撮像日時、カメラIDの他に、上述した可視透かしの埋め込み位置(X,Y)とサイズを表す高さVと幅Hが埋め込まれている。
【0117】
図8は、図1におけるシステム制御回路により実行される画像処理の手順を示すフローチャートであり、選択合成モード時に可視透かしが埋め込まれている場合の画像処理の手順を示している。
【0118】
図8において、可視透かしが埋め込まれている画像は、選択された画像とする。また、撮像モードとして「多重露光モード」、多重露光撮像枚数として「3枚」、多重モードとして「選択合成モード」が設定されているとする。
【0119】
なお、図8に示されるフローチャートに示される基本的な手順は、図5に示した処理における手順と同じであるため、その箇所のステップには同じ番号を付している。
【0120】
図8において、撮像画像と合成する撮像済の画像がユーザにより選択される(ステップS100)。予め撮像された画像が記録媒体200に記録されている。再生スイッチ66を操作することで、記録媒体200に記録されている画像はインタフェース90を介して読み出され、メモリ30に記録される。
【0121】
メモリ30に記録された画像は、再度読み出され、画像処理回路にて表示用の画像に変換されて画像表示メモリ24へ記録される。画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像はD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。その後、ユーザが操作部70に含まれる画像移動ボタンを操作することで、撮像画像と合成したい撮像済の画像を選択することができる。
【0122】
次いで、ステップS100で選択された画像に対して、電子透かしの抽出処理を行う(ステップS101)。メモリ30に記録された画像は、再度読み出され、電子透かし回路33にて電子透かしの抽出処理が行われる。この時、電子透かしが埋め込まれていれば、埋め込まれた埋め込み情報が抽出される。抽出された埋め込み情報をメモリ30に保持する。
【0123】
次いで、可視透かしが抽出されたか否かを判別し(ステップS1000)、抽出されなかったとき(ステップS1001でNO)、ステップS102に進み、抽出されたとき(ステップS1001でYES)、可視透かしを保持し(ステップS1001)、ステップS102に進む。可視透かしの保持とは、具体的に可視透かしの領域をコピーしておくことを意味する。
【0124】
次いで、シャッタースイッチ62がオンされると、測光制御部46で測光演算を行い、また、焦点調節部42にて被写体への焦点調節を実行する。シャッタースイッチ64がオンされると、撮像素子14を駆動して撮像する(ステップS102)。画像は画像処理回路20で所定の画素補間処理や色変換処理が行われ、メモリ30内の画像バッファへ一時保存される。
【0125】
次いで、メモリ30の画像バッファに記録されている2枚の画像を、画像合成回路31にて合成処理を行う(ステップS103)。最初の撮像が行われた後の動作では、選択された画像と撮像された画像とが合成処理される。2枚目以降の撮像が行われたあとの動作では、一度目の合成処理が行われた画像と、2枚目に撮像された画像が合成処理される。3枚目以降は同様の動作が順次繰り返されていく。
【0126】
次いで、合成処理された画像に対して、電子透かしの抽出処理を行い、電子透かしが抽出されたか否かを判別する(ステップS104)。メモリ30に記録された画像は、再度読み出され、電子透かし回路33にて電子透かしの抽出処理が行われる。この時、埋め込み情報が抽出された場合は、ステップS101で抽出された埋め込み情報と比較する。比較した結果、一致した場合は電子透かしが抽出されたと判別し、不一致の場合は電子透かしが抽出されなかったと判別する。
【0127】
ステップS104の判別の結果、抽出されたときは(ステップS104でYES)、ステップS106へ進む。抽出されなかったときは(ステップS104でNO)、埋め込み情報が消失したことを画像表示部28を用いてユーザに通知し(ステップS110)、ステップS106へ進む。
【0128】
次いで、設定した多重露光撮像枚数に達したことで、多重露光が終了したか否かを判別し(ステップS106)、多重露光が終了したときは(ステップS106でYES)、ステップS107に進み、多重露光が終了していないときは(ステップS106でNO)、ステップS102以降の処理を実行する。例えば、図2(B)のように、多重露光撮像枚数として3枚を設定している場合は、3枚目の撮像が終わっていれば、ステップS107へ進む。3枚目の撮像が終わっていなければステップS102へ戻ることとなる。
【0129】
次いで、電子透かしを合成画像に再埋め込みするか否かを判別する(ステップS107)。ステップS107では、ステップS110を経てステップS107へ進んだ場合は、元々埋め込まれていた情報が消失しているので、埋め込むと判別される。一方、ステップS110を経ていない場合は、画像に元々埋め込まれていた情報が保持されているので、埋め込まないと判別される。また、埋め込まないと判別されたときであっても、可視透かしの有無により分岐する。
【0130】
ステップS107での判別の結果、再埋め込みと判別されたとき(ステップS107でYES)、ステップS102で保持された埋め込み情報により、画像に電子透かしを埋め込み(ステップS108)、ステップS1002に進む。ステップS108では、メモリ30に記録されている合成画像を読み出して、電子透かし回路33により、電子透かしを埋め込む。
【0131】
ステップS107で、再埋め込みしないと判別されたとき(ステップS107でNO)、可視透かしがあるか否かを判別し、可視透かしがないとき(ステップS111でNO)、ステップS109に進み、可視透かしがあるとき(ステップS111でYES)、可視透かしを埋め込み(ステップS1002)、ステップS109に進む。電子透かしを埋め込まれた画像は再びメモリ30へ記録される。
【0132】
次いで、メモリ30に記録されている画像を読み出して、圧縮伸長回路32にてJPEG圧縮等の圧縮処理を行い、所定のファイルフォーマットに画像を成形し、インタフェース90を介して記録媒体200へ画像を記録して(ステップS109)、本処理を終了する。
【0133】
また、メモリ30に記録されている合成処理済みの画像は、再度読み出され、画像処理回路にて表示用の画像に変換されて画像表示メモリ24へ記録される。画像表示メモリ24に記録された表示用の画像はD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。
【0134】
図8の処理によれば、生成された合成画像が、電子透かしが抽出できない画像となった場合に(ステップS104でNO)、合成画像に保持されていた電子透かしを埋め込む(不可視透かしの場合はステップS108、可視透かしの場合はステップS1002)ので、電子透かしの有効性を損なうことなく、予め電子透かし処理が施された画像と他の画像とを合成することができる。また、最後に一度だけ電子透かしを埋め込むので、不要な埋め込み処理による画像劣化を防ぐことが可能になる。
【0135】
なお、図8の処理では、検出された可視透かしを最後に埋め込み直すように制御したが、ステップS103における合成処理で、可視透かし領域を合成対象から除くように制御するように構成することも可能である。この場合も、可視透かしの有用性を損なわないようにすることが可能になる。
【0136】
図8で説明した多重露光処理では、そのステップS109において、全ての合成処理が行われた後の画像が記録されるが、撮像された全ての画像も別々に記録したい場合もある。
【0137】
図9は、図1におけるシステム制御回路50により実行される撮像された全ての画像を記録する撮像画像記録処理の手順を示すフローチャートである。
【0138】
図9における撮像画像記録処理は、図8のステップS102と同図のステップS103との間に挿入される処理である。
【0139】
従って、ステップS102で撮像されると、撮像した画像に対して電子透かしの埋め込みを行うか否か判別し(ステップS1100)、行わないときは(ステップS1100でNO)、ステップS1102に進み、行うときは(ステップS1100でYES)、メモリ30に記録されている撮像した画像を読み出して、電子透かし回路33により、撮像画像に電子透かしを埋め込む(ステップS1101)。電子透かしを埋め込まれた画像は再びメモリ30へ記録される。
【0140】
次いで、メモリ30に記録されている撮像した画像を読み出して、圧縮伸長回路32にてJPEG圧縮等の圧縮処理を行い、所定のファイルフォーマットに成形された画像は、インタフェース90を介して記録媒体200へ書き込まれる(ステップS1102)。その後、次の撮像に備えてステップS102へ戻る。
【0141】
図9の処理によれば、電子透かし回路33により電子透かしが埋め込まれた合成画像をさらに記録する(ステップS1102)ので、個別に記録された画像にも電子透かしが埋め込まれるので、不要な埋め込み処理による画像劣化を防ぐとともに、個別に記録される画像に対して画像の証拠能力を高め、又は著作権を保護することが可能となる。
【0142】
(他の実施の形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0143】
30,52 メモリ
31 画像合成回路
33 電子透かし回路
50 システム制御回路
100 カメラ本体
200 記録媒体
300 レンズユニット
1000 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子透かしが埋め込まれた画像から、前記電子透かしを抽出する抽出手段と、
電子透かしが埋め込まれた第1画像から前記抽出手段により抽出された電子透かしを保持する保持手段と、
前記第1画像と前記第1画像と異なる少なくとも1枚の画像とを合成し、合成画像を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された合成画像が、前記抽出手段により前記電子透かしが抽出できない画像となった場合に、前記保持手段により保持されていた前記電子透かしを前記合成画像に埋め込む埋め込み手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、可視の電子透かし、及び不可視の電子透かしを抽出可能であり、
前記埋め込み手段は、可視の電子透かし、及び不可視の電子透かしを埋め込み可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記生成手段により生成された合成画像が、前記抽出手段により前記電子透かしが抽出できない画像となった場合に、警告を発生する警告発生手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記生成手段により生成され、前記電子透かしが埋め込まれた合成画像を記録する記録手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
被写体を撮像する撮像手段を有し、
前記生成手段は、前記被写体を撮像するごとに、前記第1画像に、当該撮像により得られた画像を逐次合成していき、
前記記録手段は、前記生成手段により逐次合成され、前記電子透かしが埋め込まれた合成画像を記録することを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
電子透かしが埋め込まれた第1画像から、前記電子透かしを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された電子透かしを保持手段に保持する保持ステップと、
前記第1画像と、前記第1画像と異なる少なくとも1枚の画像とを合成し、合成画像を生成する生成ステップと、
前記生成ステップで生成された合成画像から前記電子透かしが抽出できるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記電子透かしが抽出できない画像となった場合に、前記保持ステップで保持された前記電子透かしを前記合成画像に埋め込む埋め込みステップと
を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
画像処理装置の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記画像処理方法は、
電子透かしが埋め込まれた第1画像から、前記電子透かしを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された電子透かしを保持手段に保持する保持ステップと、
前記第1画像と、前記第1画像と異なる少なくとも1枚の画像とを合成し、合成画像を生成する生成ステップと、
前記生成ステップで生成された合成画像から前記電子透かしが抽出できるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記電子透かしが抽出できない画像となった場合に、前記保持ステップで保持された前記電子透かしを前記合成画像に埋め込む埋め込みステップと
を備えることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−124828(P2012−124828A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275775(P2010−275775)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】