説明

画像処理装置,画像処理方法および画像処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【課題】画像が回転や反転した場合にも画像表示領域に表示されていた関心領域が画像表示領域から外れることを防ぐ。
【解決手段】画像に関心領域が設定された場合および画像を反転させる処理および回転させる処理以外の処理が画像に対して行われた場合、関心領域のうち画像の少なくとも一部を表示する表示手段に表示される領域の中心を基準点として決定する一方、画像を反転させる処理および回転させる処理が画像に対して行われた場合、以前に決定された基準点を維持する設定手段と、基準点に基づいて画像を反転させる処理、基準点に基づいて画像を回転させる処理を画像に対して選択的に行う画像処理手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置,画像処理方法および画像処理をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像や図形に対する従来の画像処理装置として、例えば特許文献1のように地図画像が表示される表示画面と操作メニューとを備える画像処理装置が知られている。また、特許文献1には操作メニューで選択した画像操作方法で地図画像に対して画像操作を行う技術が開示されている。
【0003】
また、一般的に画像や図形を表示する装置では、対象とする画像や図形に対し、拡大、縮小、回転、反転、平行移動等の画像操作を行えるものや対象とする画像や図形上に関心領域を設定できるものが多く存在する。
【0004】
さらに、一般的に画像の回転および反転は関心領域の中心,画像の中心または画像が表示される領域の中心を基準として行われていた。
【0005】
例えば、関心領域の中心を基準に画像を反転した場合を説明するための図を図16に示す。ここで501は画像が表示される領域,502は画像,503は関心領域,505は関心領域503の中心である。なお、理解を容易にするため関心領域502を4等分にし、それぞれの領域に番号を付している。いま、画像を見ている者は、関心領域のうち”4”の位置に着目しているが、中心505を基準に画像を左右反転させてしまうと表示領域501には関心領域のうち”3”が表示されることとなり、着目していた画像とは異なる画像が表示されることとなる。
【0006】
また、関心領域の中心を基準に画像を回転させた場合を説明するための図を図17に示す。図中既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その説明は省略する。いま、画像を見ている者は、関心領域のうち”4”の位置に着目しているが、中心505を基準に画像を右に90度回転させてしまうと表示領域501には関心領域のうち”1”が主に表示されることとなり、着目していた画像とは異なる画像が表示されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−254355
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、画像が反転や回転した場合、以前に画像表示領域に表示されていた関心領域が画像表示領域から外れてしまうという課題がある。
【0009】
本件の目的の一つは、画像が回転や反転した場合にも画像表示領域に表示されていた関心領域が画像表示領域から外れることを防ぐことである。
【0010】
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的の1つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本画像処理装置は画像上に関心領域を設定する関心領域設定手段と、前記関心領域が設定された場合および前記画像を反転させる処理および回転させる処理以外の処理が前記画像に対して行われた場合、前記関心領域のうち前記画像の少なくとも一部を表示する表示手段に表示される領域の中心を基準点として決定する一方、前記画像を反転させる処理および回転させる処理が前記画像に対して行われた場合、以前に決定された基準点を維持する決定手段と、前記基準点に基づいて前記画像を反転させる処理、前記基準点に基づいて前記画像を回転させる処理および前記画像を平行移動させる処理を前記画像に対して選択的に行う画像処理手段と、を備える。
【0012】
また、本画像処理方法は画像上に関心領域を設定する関心領域設定工程と、前記関心領域が設定された場合および前記画像を反転させる処理および回転させる処理以外の処理が前記画像に対して行われた場合、前記関心領域のうち前記画像の少なくとも一部を表示する表示手段に表示される領域の中心を基準点として決定する一方、前記画像を反転させる処理および回転させる処理が前記画像に対して行われた場合、以前に決定された基準点を維持する決定工程と、前記基準点に基づいて前記画像を反転させる処理、前記基準点に基づいて前記画像を回転させる処理および前記画像を平行移動させる処理を前記画像に対して選択的に行う画像処理工程と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像が回転や反転した場合にも画像表示領域に表示された関心領域が画像表示領域から外れることを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】X線撮影システムの構成の一例を模式的に示す図である。
【図2】表示手段表示例を示す図である。
【図3】画像を表示手段に表示する動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図4】画像に関心領域を設定する動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】画像に対して画像処理を行う場合の画像処理装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】基準点に基づいて画像を左右反転する動作の一例を説明するための図である。
【図7】基準点に基づいて画像を左右反転する動作の一例を説明するための図である。
【図8】関心領域の中心に基づいて画像を左右反転する動作の一例を説明するための図である。
【図9】基準点に基づいて画像を回転する動作の一例を説明するための図である。
【図10】基準点に基づいて画像を回転する動作の一例を説明するための図である。
【図11】関心領域の中心に基づいて画像を回転する動作の一例を説明するための図である。
【図12】画像が反転させられた時にも基準点を求めることとした場合を説明するための図である。
【図13】画像が反転させられた時には基準点を求めないこととした場合を説明するための図である。
【図14】画像が回転させられた時にも基準点を求めることとした場合を説明するための図である。
【図15】画像が回転させられた時には基準点を求めないこととした場合を説明するための図である。
【図16】関心領域の中心を基準に画像を反転した場合を説明するための図である。
【図17】関心領域の中心を基準に画像を回転した場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して実施形態の一例を説明する
以下では、本発明をX線による放射線画像を画像処理するX線撮影システムに適用した場合について説明する。但し、本発明はX線による放射線画像を画像処理する場合に限定されるものではなく、他の画像を処理する場合にも用いることができる。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るX線撮影システムの構成の一例を模式的に示す図である。X線撮影システムはX線撮影装置100,画像処理装置101,表示手段106および指示手段107を備えている。
【0017】
X線撮影装置100は被写体に対してX線を照射することで放射線画像を撮影する。
【0018】
指示手段107は、画像処理装置101へ各種の指示を送る。例えば、指示手段107は関心領域を設定する指示および表示手段106に表示された画像に対する反転や回転等の各種の画像処理の指示を行う。指示手段107は例えばマウス等である。
【0019】
表示手段106はX線撮影装置100によって撮影された放射線画像等の種々の画像を表示する。すなわち表示手段106は画像の少なくとも一部を表示する。また、表示手段106は例えばモニタである。
【0020】
画像処理装置101は、X線撮影装置100によって撮影された画像に対して種々の処理を行いモニタなどの表示手段106に表示するものである。画像処理装置101は例えば一般的なパーソナルコンピュータ(PC)から構成される。
【0021】
画像処理装置101は画像取得手段102,基準点決定手段103,関心領域設定手段104および表示制御手段105を備えている。
【0022】
画像取得手段102はX線撮影装置100が撮影した放射線画像を取得する。
【0023】
関心領域設定手段104は画像取得手段102が取得した放射線画像に対して関心領域を設定する。例えば、関心領域設定手段104は指示手段107からの指示に応じて画像取得手段102が取得した画像に対して関心領域を設定する。すなわち、操作者によって指定された領域を関心領域として設定する。
【0024】
また、関心領域設定部104は指示手段107からの指示とは関係なく、画像取得手段102が取得した画像の予め定められた領域を関心領域として設定することとしてもよい。なお、関心領域設定手段104はX線の照射野領域を関心領域として設定することとしてもよい。さらに、関心領域設定手段104はX線撮影装置100が取得した画像の種類(例えば、手の画像や胸部の画像等の種類)に応じて関心領域を設定することとしてもよい。また、関心領域設定手段104は画像取得手段102が取得した放射線画像の全体を関心領域としてもよい。すなわち、関心領域設定手段は画像上に関心領域を設定する。また、関心領域設定手段104によって行われる処理は関心領域設定工程の一例に相当する。
【0025】
基準点決定手段103は関心領域設定手段104によって設定された関心領域のうち表示制御手段105によって表示手段106に表示される領域の中心を基準点として決定する。具体的には、表示手段106に表示される関心領域の中心座標を基準点として決定する。ここで座標とは表示手段106における座標である。なお、本件における「中心」とは完全な中心である場合および略中心である場合を含む概念である。なお、基準点決定手段103は決定した基準点を、例えば表示制御部105に設定する。
【0026】
なお、指示手段107によって放射線画像を反転させる処理が指示され、放射線画像が反転した場合には基準点決定手段103は新たに基準点を決定せず、以前に設定された基準点を維持する。指示手段107によって放射線画像を回転させる処理が指示された場合も同様である。すなわち、指示手段107によって放射線画像を反転させる処理および回転させる処理が指示された場合、基準点決定手段103は新たに基準点を決定しない。
【0027】
また、関心領域設定手段104によって関心領域が設定された場合には基準点決定手段103は基準点を決定する。さらに、指示手段107によって放射線画像を平行移動させる処理が指示され、放射線画像が平行移動した場合には基準点決定手段103は新たに基準点を決定する。また、指示手段107によって放射線画像を拡大・縮小させる処理が指示され、放射線画像が拡大・縮小した場合には基準点決定手段103は新たに基準点を決定する。なお、平行移動には回転および反転は含まれない。
【0028】
すなわち、基準点決定手段103は、関心領域が設定された場合および画像を反転させる処理および回転させる処理以外の処理が画像に対して行われた場合、関心領域のうち画像の少なくとも一部を表示する表示手段に表示される領域の中心を基準点として決定する一方、画像を反転させる処理および回転させる処理が画像に対して行われた場合、以前に決定された基準点を維持する決定手段の一例に相当する。また、基準点決定手段103によって行われる処理は決定工程の一例に相当する。
【0029】
表示制御手段105は画像取得手段102が取得した画像を表示手段106に表示させる。
【0030】
表示制御手段105は画像処理手段105−1を備えている。
【0031】
画像処理手段105−1は指示手段107から入力される指示に応じて画像処理を行う。具体的には指示手段107から入力された画像処理の種別を判定し、画像処理を行う。例えば、指示手段107から画像を右に90度回転させる指示が入力された場合画像処理手段105−1は放射線画像を基準点を中心に右に90度回転させる処理を放射線画像に対して行う。また、指示手段107から画像を左右反転させる指示が入力された場合画像処理手段105−1は画像を基準点を通る直線を軸に左右反転させる処理を放射線画像に対して行う。さらに、指示手段107から画像を平行移動させる指示が入力された場合画像処理手段105−1は画像を平行移動させる処理を放射線画像に対して行う。すなわち、画像処理手段105−1は基準点に基づいて画像を反転させる処理,基準点に基づいて画像を回転させる処理および画像を平行移動させる処理を画像に対して選択的に行う。また、画像処理手段105−1は基準点を中心として画像を回転させる処理を行い、基準点を通る直線を軸として画像を反転させる処理を行う。なお、画像処理手段105−1によって行われる処理は画像処理工程の一例に相当する。
【0032】
図2は表示手段106の表示例を示す図である。なお、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その説明は省略する。表示手段106には、放射線画像等の画像を表示する画像表示領域501および操作メニュー表示領域401が表示されている。なお、以降の図では簡単のため操作メニュー表示領域401の図示を省略する。ここで、通常、X線撮影システムでは画像全体が確認できるよう、初回の画像表示時は図2のように画像表示領域501内に収まるように放射線画像502が表示される。また放射線画像502上には関心領域503および基準点504が表示されている。基準点504は画像表示領域501に表示される関心領域503の中心である。ここで、初回の画像表示時には関心領域設定手段104によって例えば予め設定されたサイズの関心領域503が設定されている。なお、関心領域503は任意にそのサイズや配置を変更可能である。
【0033】
一方、操作メニュー表示領域401には各種の操作メニューが表示されている。図2に示す例では操作メニュー表示領域401には右回転ボタン402,左回転ボタン403,左右反転ボタン404,上下反転ボタン405,平行移動ボタン406および関心領域設定ボタン407が含まれている。また、操作メニュー表示領域401に表示されるボタンは上記のものに限定されるものではなく、例えば、拡大ボタンや縮小ボタンを表示することとしてもよい。
【0034】
指示手段107によって右回転ボタン402が指定された場合、例えば指示手段107がマウスであれば右回転ボタン402上にマウスの動きに対応するカーソルを乗せた状態でクリックした場合、放射線画像502は基準点504を中心に右に回転する。具体的には、画像処理手段105−1が、放射線画像502が基準点504を中心に右に回転するように放射線画像502に対して画像処理を行い、表示手段106に表示させる。例えば、回転する角度は90度であるが、これに限定されるものではなく90度以外の角度としてもよい。左回転ボタン403については右回転ボタン402と回転する方向が右ではなく左方向な点が異なるのみであるため説明を省略する。
【0035】
また、指示手段107によって左右反転ボタン404が指定された場合、例えばクリックされた場合、放射線画像502は基準点504を通る直線を軸として左右反転する。具体的には、画像処理手段105−1が、放射線画像502が基準点504を通る直線を軸として左右反転するように放射線画像502に対して画像処理を行い、表示手段106に表示させる。上下ボタン405については左右反転ボタン404と反転する方向が左右ではなく上下方向な点が異なるのみであるため説明を省略する。
【0036】
さらに、指示手段107によって平行移動ボタン406が指定された場合、例えばクリックされた場合、平行移動ボタン406の指定後に指示手段107から送られる指示に応じて放射線画像502は画像表示領域501上を平行移動する。具体的には、画像処理手段105−1が、放射線画像502が指示手段107から送られる指示応じて移動するように放射線画像502に対して画像処理を行い、表示手段106に表示させる。例えば、指示手段107がマウスの場合、画像表示領域501上でドラッグ操作を行うことで放射線画像502を移動させる。また、平行移動ボタン406が指定された場合に十字キー等を表示し、表示されたキーを用いて放射線画像502を移動させることとしてもよい。
【0037】
また、指示手段107によって関心領域設定ボタン407が指定された場合、例えばクリックされた場合、関心領域設定ボタン407の指定後に指示手段107から送られる指示に応じて放射線画像502に関心領域を設定する。具体的には、画像処理手段105−1が指示手段107から送られる指示応じて放射線画像502に対して関心領域を設定するように画像処理を行い、表示手段106に表示させる。例えば、指示手段107がマウスの場合、画像表示領域501上でドラッグ操作を行うことで放射線画像502上に関心領域を設定する。また、関心領域設定ボタン407がクリックされた後に画像処理手段105−1は関心領域の設定方法を表示手段106に複数表示し、操作者は指示手段107を用いて複数の関心領域の設定方法から1の設定方法を選択することとしてもよい。複数の関心領域の設定方法とは、例えば、上述したX線の照射野領域を関心領域とする方法やX線撮影装置100が取得した画像の種類に応じて関心領域を設定する方法や放射線画像の全体を関心領域とする方法や予め定められた領域を関心領域とする方法である。なお、関心領域設定ボタン407がクリックされると放射線画像502上に関心領域503が設定されることとしてもよい。
【0038】
以下、図3〜5図を用いて、上記のように構成された画像処理装置101の動作の一例を説明する。
【0039】
図3は放射線画像502を表示手段106に表示する動作を説明するためのフローチャートである。まず、図3において、画像取得手段102はX線撮影装置100から放射線画像502を取得する。(ステップS201)そして表示制御手段105により階調処理などの画像処理を行い(ステップS202)、表示制御手段105はモニタなどである表示手段106に放射線画像502を表示(ステップS203)させる。ステップS201は、X線撮影装置100が放射線画像502を取得した直後に、放射線画像502を取得するものであってもよいし、X線撮影装置100によって前もって取得された放射線画像502を取得するものであっても構わない。
【0040】
次に、図4は表示手段106に表示された放射線画像502に関心領域を設定する動作を説明するためのフローチャートである。図4において、関心領域設定手段104は、指示手段107からの指示を受け(ステップS301)、画像上に関心領域を設定する。ここで、関心領域の設定は、例えば図2に示した関心領域設定ボタン407を指示手段107によってクリックしたのち放射線画像502上でドラッグを行うことで所望の領域が関心領域として設定される。
【0041】
そして設定された関心領域で良いか否かの確認を行う(ステップS302)。ここで、この確認は例えば設定された関心領域で良いか否かのメッセージを表示し、設定された関心領域で良いか否かを指示手段107によって選択する。
【0042】
関心領域設定が完了した場合は、基準点決定手段103は画像表示領域内の関心領域の中心を取得(ステップS303)し、この中心座標を基準点として決定(ステップS304)する。基準点が決定された場合およびステップS302において設定された関心領域では良くないと判断した場合に処理が終了する。
【0043】
次に、図5は指示手段107によって放射線画像502に対して回転や反転等の画像処理を行うように指示を受けた場合の動作を説明するためのフローチャートである。図5において、表示制御手段105内の画像処理手段105−1は、マウスなどである指示部107から指示を受け(ステップS401)、画像処理の種別が回転または反転であるか否かを判定(ステップS402)する。例えば、図2に示した右回転ボタン402が指示手段107によってクリックされた場合には画像処理手段105−1は放射線画像502を右回転させる指示であると判定する。また、平行移動ボタン406が指示手段107によってクリックされた場合には画像処理手段105−1は放射線画像502を平行移動させる指示であると判定する。
【0044】
ステップS402によって画像処理の種別が回転および反転ではないと判定された場合は、指示手段107からの指示に従い、例えば画像処理手段105−1は画像を移動する画像処理を行い(ステップS403)、画像表示を更新(ステップS404)する。その後、基準点決定手段103は画像表示領域501内に表示されている関心領域503内の中心座標を取得(ステップS405)し、基準点504を新たに決定する(ステップS406)。すなち、ステップS406において基準点504が更新される。
【0045】
ステップS402の判定結果が、回転、反転操作であった場合は、画像処理手段105−1は基準点決定手段103が決定した基準点位置を取得(ステップS407)し、取得した基準点を中心に選択された画像処理を行う(ステップS408)。ステップS409おいてり、画像処理手段105−1は画像表示を更新する。
【0046】
次に、図6を用いて放射線画像502を左右反転させた場合について説明する。図6においては放射線画像502に対して予め関心領域503が設定されており、放射線画像502全体が画像表示領域501内に収まらない程度に拡大されている。基準点位置504が画像表示領域501内に表示されている関心領域503の中心となっている。
【0047】
なお図中既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その説明は省略する。
【0048】
指示手段107から放射線画像502を左右反転する指示を受けると画像処理手段105−1は基準点504を通る直線を軸として放射線画像502を左右反転させる。従って、図6に示すように左右反転の前後において画像表示領域501には関心領域503のうち”4”が主に表示されることとなる。このように、左右反転前に画像表示領域501に表示されていた画像が、左右反転後にも画像表示領域501に表示される。
【0049】
図7は放射線画像502の左右反転を行った場合の他の例である。図7においては放射線画像502に対して予め関心領域503が設定されており、放射線画像502全体が画像表示領域501内に収まらない程度に拡大されている。基準点位置504が画像表示領域501内に表示されている関心領域503の中心となっている。
【0050】
図7に示す例においても左右反転前に画像表示領域501に表示されていた画像が、左右反転後にも画像表示領域501に表示される。図8は図7に対して従来の技術を用いた場合の図である。図8に示すように反転前に画像表示領域501に表示されていた関心領域503の一部が反転後には画像表示領域501から外れてしまっていることが分かる。
【0051】
次に、図9を用いて放射線画像502を右回転させた場合について説明する。図9においては放射線画像502に対して予め関心領域503が設定されており、放射線画像502全体が画像表示領域501内に収まらない程度に拡大されている。基準点位置504が画像表示領域501内に表示されている関心領域503の中心となっている。
【0052】
画像処理手段105−1は基準点504を中心として放射線画像502を右回転させる。本実施例では右に90度回転させる。従って、図9に示すように右回転の前後において画像表示領域501には関心領域503のうち”4”が主に表示されることとなる。このように、左右反転前に画像表示領域501に表示されていた画像が、右回転後にも画像表示領域501に表示される。
【0053】
図10は放射線画像502を左回転させた場合の例である。図10においては放射線画像502に対して予め関心領域503が設定されており、放射線画像502全体が画像表示領域501内に収まらない程度に拡大されている。さらに、画像表示領域501の右端に関心領域503が寄った状態となっている。基準点位置504が画像表示領域501内に表示されている関心領域503の中心となっている。
【0054】
図10に示すように回転前に画像表示領域501に表示されていた関心領域503の一部が回転後の画像表示領域501から外れてしまっている。しかし、転前に画像表示領域501に表示されていた関心領域503の大部分は回転前後において画像表示領域501に表示されている。図11は図10に対して従来の技術を用いた場合の図である。図11に示すように回転前に画像表示領域501に表示されていた関心領域503が回転後には画像表示領域501から外れてしまっていることが分かる。
【0055】
次に、本実施形態では放射線画像502を反転および回転するように指示手段107から指示があった場合には新たに基準点504を求めない理由について述べる。
【0056】
図12は放射線画像502が反転させられた時にも基準点504を求めることとした場合の図である。図12で示すように2回左右反転の動作を繰り返した場合、操作者は通常左右反転動作を行う前の表示状態に戻ることを期待する。しかし、1回目の左右反転後の画像表示領域501内に表示されている関心領域503において基準点504を求めてしまうと、2回目の左右反転後には左右反転前の状態とは同一の状態とはならない。ここで、本件のように放射線画像502を反転および回転するように指示手段107から指示があった場合には新たに基準点504を求めないこととすれば、この問題を解消することができる。
【0057】
図13は放射線画像502が反転させられた時には基準点を求めないこととした場合の図である。図13に示すように1回目の左右反転後の関心領域503において基準点504を求めていないため、2回目の左右反転後には左右反転前の状態とは同一の状態となる。従って、操作者は違和感なく放射線画像502を反転させることができる。
【0058】
次に、図14は放射線画像502が回転させられた時にも基準点504を求めることとした場合の図である。図14で示すように右反転と左回転とを繰り返した場合、操作者は通常回転を行う前の表示状態に戻ることを期待する。しかし、右回転後の画像表示領域501内に表示されている関心領域503において基準点504を求めてしまうと、左回転後には回転前の状態とは同一の状態とはならない。ここで、本件のように放射線画像502を反転および回転するように指示手段107から指示があった場合には新たに基準点を求めないこととすれば、この問題を解消することができる。
【0059】
図15は放射線画像502が回転させられた時には基準点504を求めないこととした場合の図である。図15に示すように右回転後の関心領域503において基準点504を求めていないため、左回転後には回転前の状態と同一の状態となる。従って、操作者は違和感なく放射線画像502を回転させることができる。
【0060】
このように本実施形態によれば、画像が回転や反転した場合にも画像表示領域に表示された関心領域が画像表示領域から外れることを防ぐことが可能となる。
【0061】
さらに、本実施形態によれば、画像が回転や反転した場合にも画像表示領域に表示された関心領域が画像表示領域から外れることを防ぐことができるため、操作者の注視点の移動を軽減することができる。
【0062】
また、画像が放射線画像である場合、従来の技術では診断対象となる画像領域が回転や反転動作によって画像表示領域に表示されなくなり、操作者の作業効率の低下を招く結果となっていたが、本実施形態によれば診断作業の効率低下を防止することができる。
【0063】
さらに、本実施形態によれば画像に対して回転や反転処理が行われた場合には新たに基準点を決定しないため左右反転を繰り返した場合や右回転と左回転とを繰り返した場合にも反転前や回転前の状態に戻ることができ、操作者に違和感を与えることがない。
【0064】
なお、開示の技術は上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0065】
例えば、本実施形態では画像が回転した場合および画像が反転した場合には基準点を新たに決定しないこととしたがこれに限定されるものではない。例えば、画像が右回転した場合にも基準点設定部103によって新たに基準点を求める。そして次に指示手段107により左回転が指示された場合には右回転以前に決定されていた基準点を中心に回転を行い、左回転以外の処理が指示された場合には新たに決定した基準点に基づいて反転等を行うこととしてもよい。左回転した場合についても右回転の場合と同様に新たに基準点を求め指示手段107により右回転が指示された場合には左回転以前に決定されていた基準点を中心に回転を行い、右回転以外の処理が指示された場合には新たに決定した基準点に基づいて反転等を行うこととしてもよい。
【0066】
また、画像が左右反転した場合にも基準点設定部103によって新たに基準点を求め、次に指示手段107により左右反転が指示された場合には最初の左右反転以前に決定されていた基準点を通る直線を軸に反転を行い、左右反転以外の処理が指示された場合には新たに求めた基準点に基づいて回転等を行うこととしてもよい。上下反転の場合も同様である。すなわち、新たに決定した基準点と以前に求めた基準点とを指示された処理に応じて選択的に使い分けることとしても良い。より具体的には、新たに決定した基準点と以前に求めた基準点とを新たに指示された処理と以前に指示された処理との比較結果に基づいて選択的に使い分けることとしても良い。
【0067】
〔その他〕
また、本件は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0068】
100 X線撮影装置
101 画像処理装置
102 画像取得手段
103 基準点決定手段
104 関心領域設手段
105 表示制御手段
105−1 画像処理手段
106 表示手段
107 操作手段
501 画像表示領域
502 画像
503 関心領域
504 基準点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像上に関心領域を設定する関心領域設定手段と、
前記関心領域が設定された場合および前記画像を反転させる処理および回転させる処理以外の処理が前記画像に対して行われた場合、前記関心領域のうち前記画像の少なくとも一部を表示する表示手段に表示される領域の中心を基準点として決定する一方、前記画像を反転させる処理および回転させる処理が前記画像に対して行われた場合、以前に決定された基準点を維持する決定手段と、
前記基準点に基づいて前記画像を反転させる処理、前記基準点に基づいて前記画像を回転させる処理および前記画像を平行移動させる処理を前記画像に対して選択的に行う画像処理手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は前記基準点を中心として前記画像を回転させる処理を行い、前記基準点を通る直線を軸として前記画像を反転させる処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記関心領域設定手段は操作者によって指定された領域を前記関心領域として設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像は放射線画像であり、
前記関心領域設定手段は照射野領域を前記関心領域として設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像上に関心領域を設定する関心領域設定工程と、
前記関心領域が設定された場合および前記画像を反転させる処理および回転させる処理以外の処理が前記画像に対して行われた場合、前記関心領域のうち前記画像の少なくとも一部を表示する表示手段に表示される領域の中心を基準点として決定する一方、前記画像を反転させる処理および回転させる処理が前記画像に対して行われた場合、以前に決定された基準点を維持する設定工程と、
前記基準点に基づいて前記画像を反転させる処理、前記基準点に基づいて前記画像を回転させる処理および前記画像を平行移動させる処理を前記画像に対して選択的に行う画像処理工程と、を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法を、コンピュータに実行させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−39200(P2013−39200A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177132(P2011−177132)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】