説明

画像処理装置

【課題】種類が異なる複数の画像データを並行して生成することができる画像処理装置を得ることを目的とする。
【解決手段】画像入力部1により入力された画像信号に対して画像認識用の画像処理を実施する認識用処理部4と、画像入力部1により入力された画像信号に対して画像表示用の画像処理を実施する表示用処理部8とを設け、プログラムコントローラ12が認識用処理部4及び表示用処理部8のうち、画像入力部1により入力された画像信号に対する画像処理を実施する対象の処理部を画像信号のフレーム単位で切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像信号に対して複数種類の画像処理を実施して、種類が異なる複数の画像データを生成する画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像処理装置は、動的に処理内容を切り替えることが可能な画像処理プロセッサを実装している。
即ち、画像処理装置の画像処理プロセッサは、光景の変化に応じて処理内容を動的に切り替えることにより、光景が変化しても物体検出用の画像を得ることができるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特表2000−512790号公報(第94頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像処理装置は以上のように構成されているので、光景の変化に応じて処理内容を動的に切り替えることができる。しかし、種類が異なる複数の画像データを並行して生成することはできないため、全く用途が異なる複数の画像を同時に取得することができないなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、種類が異なる複数の画像データを並行して生成することができる画像処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る画像処理装置は、画像入力手段により入力された画像信号に対して相互に異なる画像処理を実施する複数の画像処理手段を設け、処理切替手段が複数の画像処理手段のうち、画像入力手段により入力された画像信号に対する画像処理を実施する対象の画像処理手段を画像信号のフレーム単位で切り替えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、画像入力手段により入力された画像信号に対して相互に異なる画像処理を実施する複数の画像処理手段を設け、処理切替手段が複数の画像処理手段のうち、画像入力手段により入力された画像信号に対する画像処理を実施する対象の画像処理手段を画像信号のフレーム単位で切り替えるように構成したので、種類が異なる複数の画像データを並行して生成することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による画像処理装置を示す構成図であり、図において、画像入力部1は例えばカメラなどの撮像装置から撮像画像の画像信号をフレーム単位で入力するとともに、その画像信号におけるフレームの入力タイミングを識別して、各フレームの入力が完了する毎にフレーム期間信号をCPU3に出力する処理を実施する。なお、画像入力部1は画像入力手段を構成している。
画像処理プロセッサ2は画像入力部1により入力された画像信号に対して画像認識用の画像処理又は画像表示用の画像処理を実施して、画像認識用の画像データと画像表示用の画像データを並行して生成する。
中央処理装置であるCPU3は画像入力部1からフレーム期間信号を受ける毎に、処理内容の切替指令を画像処理プロセッサ2に出力する処理を実施する。
【0009】
画像処理プロセッサ2の認識用処理部4は画像入力部1により入力された画像信号に対して画像認識用の画像処理を実施することにより画像認識用の画像データを生成する。なお、認識用処理部4は画像処理手段を構成している。
認識用処理部4の2値化処理部5は画像入力部1により入力された画像信号に対する2値化処理を実施して、その画像信号を2階調の白黒データに変換する。
認識用処理部4の孤立点除去処理部6は2値化処理部5から出力された2階調の白黒データに対する孤立点の除去処理を実施して、その白黒データに含まれている孤立点を除去する。
認識用処理部4の特徴点抽出処理部7は孤立点除去処理部6による孤立点の除去処理後の白黒データからイメージの端点や分岐点などの特徴点を抽出する処理を実施する。
【0010】
画像処理プロセッサ2の表示用処理部8は画像入力部1により入力された画像信号に対して画像表示用の画像処理を実施することにより画像表示用の画像データを生成する。なお、表示用処理部8は画像処理手段を構成している。
表示用処理部8の補間処理部9は画像入力部1により入力された画像信号に対する画素補間処理を実施して、その画像信号を画素毎にRGB3色分の画素値を有するカラー画像データに変換する。
表示用処理部8の色変換処理部10は補間処理部9から出力されたカラー画像データに対する色変換処理を実施して、そのカラー画像データ(RGBの色空間データ)をYUVの色空間データに変換する。
表示用処理部8の輪郭強調処理部11は色変換処理部10から出力された色空間データの輝度成分と色差成分についてノイズ除去処理と輪郭強調処理を実施して、画像表示用の画像データを生成する。
【0011】
画像処理プロセッサ2のプログラムコントローラ12は認識用処理部4が画像認識用の画像処理を実施しているときCPU3から処理内容の切替指令を受けると、認識用処理部4における画像認識用の画像処理を停止して、表示用処理部8における画像表示用の画像処理を起動し、表示用処理部8が画像表示用の画像処理を実施しているときCPU3から処理内容の切替指令を受けると、表示用処理部8における画像表示用の画像処理を停止して、認識用処理部4における画像認識用の画像処理を起動する。
なお、CPU3及びプログラムコントローラ12から処理切替手段が構成されている。
【0012】
画像認識部13は画像処理プロセッサ2の認識用処理部4により生成された画像認識用の画像データを解析して、物体検出や画像認識などの処理を実施する。
画像表示部14は画像処理プロセッサ2の表示用処理部8により生成された画像表示用の画像データにしたがって画像をディスプレイに表示するなどの処理を実施する。
【0013】
次に動作について説明する。
画像入力部1は、例えば、カメラなどの撮像装置から撮像画像の画像信号をフレーム単位で入力し、その画像信号を画像処理プロセッサ2に出力する。
また、画像入力部1は、その画像信号におけるフレームの入力タイミングを識別して、各フレームの入力が完了する毎にフレーム期間信号をCPU3に出力する。
【0014】
CPU3は、画像入力部1からフレーム期間信号を受ける毎に、処理内容の切替指令を画像処理プロセッサ2に出力する。
画像処理プロセッサ2は、画像入力部1から画像信号を受けると、その画像信号に対して画像認識用の画像処理、または、画像表示用の画像処理を実施して、画像認識用の画像データと画像表示用の画像データを並行して生成する。
【0015】
即ち、画像処理プロセッサ2のプログラムコントローラ12は、CPU3から処理内容の切替指令を受けると、画像処理対象の処理部を動的に切り替える。
つまり、プログラムコントローラ12は、認識用処理部4が画像認識用の画像処理を実施しているときCPU3から処理内容の切替指令を受けると、認識用処理部4における画像認識用の画像処理を停止して、表示用処理部8における画像表示用の画像処理を起動する。
一方、表示用処理部8が画像表示用の画像処理を実施しているときCPU3から処理内容の切替指令を受けると、表示用処理部8における画像表示用の画像処理を停止して、認識用処理部4における画像認識用の画像処理を起動する。
【0016】
画像処理プロセッサ2の認識用処理部4は、プログラムコントローラ12から画像処理の起動指令を受けると、画像入力部1により入力された画像信号に対して画像認識用の画像処理を実施することにより画像認識用の画像データを生成する。
即ち、認識用処理部4の2値化処理部5は、画像入力部1により入力された画像信号に対する2値化処理を実施して、その画像信号を2階調の白黒データに変換する。
認識用処理部4の孤立点除去処理部6は、2値化処理部5から2階調の白黒データを受けると、2階調の白黒データに対する孤立点の除去処理を実施して、その白黒データに含まれている孤立点を除去する。
認識用処理部4の特徴点抽出処理部7は、孤立点除去処理部6から孤立点の除去処理後の白黒データを受けると、その白黒データからイメージの端点や分岐点などの特徴点を抽出し、その特徴点を示す画像認識用の画像データを生成する。
【0017】
画像処理プロセッサ2の表示用処理部8は、プログラムコントローラ12から画像処理の起動指令を受けると、画像入力部1により入力された画像信号に対して画像表示用の画像処理を実施することにより画像表示用の画像データを生成する。
即ち、表示用処理部8の補間処理部9は、画像入力部1により入力された画像信号に対する画素補間処理を実施して、その画像信号を画素毎にRGB3色分の画素値を有するカラー画像データに変換する。
表示用処理部8の色変換処理部10は、補間処理部9からカラー画像データを受けると、そのカラー画像データに対する色変換処理を実施して、そのカラー画像データ(RGBの色空間データ)をYUVの色空間データに変換する。
表示用処理部8の輪郭強調処理部11は、色変換処理部10からYUVの色空間データを受けると、その色空間データの輝度成分と色差成分についてノイズ除去処理と輪郭強調処理を実施して、画像表示用の画像データを生成する。
【0018】
これにより、画像処理プロセッサ2の認識用処理部4及び表示用処理部8から、画像認識用の画像データと画像表示用の画像データが交互に出力されるので、画像入力部1により入力された画像信号の半分のフレームレートで、画像認識用の画像データと画像表示用の画像データが同時に得られることになる。
【0019】
画像認識部13は、画像処理プロセッサ2の認識用処理部4から画像認識用の画像データを受けると、画像認識用の画像データを解析して、物体検出や画像認識などの処理を実施する。
画像表示部14は、画像処理プロセッサ2の表示用処理部8から画像表示用の画像データを受けると、画像表示用の画像データにしたがって画像をディスプレイに表示するなどの処理を実施する。
【0020】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、画像入力部1により入力された画像信号に対して画像認識用の画像処理を実施する認識用処理部4と、画像入力部1により入力された画像信号に対して画像表示用の画像処理を実施する表示用処理部8とを設け、プログラムコントローラ12が認識用処理部4及び表示用処理部8のうち、画像入力部1により入力された画像信号に対する画像処理を実施する対象の処理部を画像信号のフレーム単位で切り替えるように構成したので、種類が異なる画像認識用の画像データと画像表示用の画像データを並行して生成することができる効果を奏する。
【0021】
また、この実施の形態1によれば、画像入力部1により入力された画像信号に対する画像処理を実施する画像処理手段として、画像認識用の画像処理を実施する認識用処理部4と、画像表示用の画像処理を実施する表示用処理部8とを実装するように構成したので、例えば、プレビュー画面を確認しながら、撮影画角に入っている被写体について画像認識を行う機器においても、画像認識用の画像データと画像表示用の画像データを並行して生成することができるようになる。そのため、画像認識処理の動作に合わせて、人間の目視確認には適さない認識用の画像をプレビュー画面に表示する必要がなくなるなどの効果を奏する。
【0022】
また、この実施の形態1によれば、画像処理プロセッサ2が認識用処理部4と表示用処理部8を構成しているので、ハードウェアの処理ブロックとして、認識用処理部4と表示用処理部8を別個に用意する必要がない。認識用処理部4と表示用処理部8を別個のハードウェアとして動作させる場合と比較して、メモリや演算回路などのハードウェア資源を少なくすることができる。
【0023】
なお、この実施の形態1では、認識用処理部4が2値化処理部5、孤立点除去処理部6及び特徴点抽出処理部7から構成されているものについて示したが、認識用処理部4の処理内容は一例に過ぎず、例えば、画像の細線化処理や線分検出処理などを自由に組み合わせることが可能である。
【0024】
また、この実施の形態1では、表示用処理部8が補間処理部9、色変換処理部10及び輪郭強調処理部11から構成されているものについて示したが、表示用処理部8の処理内容は一例に過ぎず、例えば、彩度強調処理や階調変換処理などを自由に組み合わせることが可能である。
【0025】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2による画像処理装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
画像センサ21は入射する光信号を電気的な画像信号に変換して、その画像信号を画像入力部1に出力する。
画像処理プロセッサ22は画像入力部1により入力された画像信号に対して撮像制御用の画像処理を実施した後、画像認識用の画像処理又は画像表示用の画像処理を実施して、画像認識用の画像データと画像表示用の画像データを並行して生成する。
中央処理装置であるCPU23は画像入力部1からフレーム期間信号を受ける毎に、処理内容の切替指令を画像処理プロセッサ22に出力するとともに、撮像制御用処理部24により算出される指標値にしたがって画像センサ21における露光時間やゲインの調整を行う。
【0026】
画像処理プロセッサ22の撮像制御用処理部24は例えば図1の認識用処理部4と表示用処理部8における共通の前処理を実施する処理部であり、また、撮像制御用処理部24は画像入力部1により入力された画像信号に対する撮像制御用の画像処理として、その画像信号に含まれている画面の明るさ情報及びRGB色成分間の色バランス情報に基づいて画素値の平均値に相当する指標値を算出する処理も実施する。なお、撮像制御用処理部24は第1の画像処理手段を構成している。
認識用処理部25は図1の認識用処理部4に相当し(認識用処理部4と表示用処理部8の画像処理における共通の前処理を除く)、撮像制御用処理部24による画像処理後の画像信号に対して画像認識用の画像処理を実施する。
表示用処理部26は図1の表示用処理部8に相当し(認識用処理部4と表示用処理部8の画像処理における共通の前処理を除く)、撮像制御用処理部24による画像処理後の画像信号に対して画像表示用の画像処理を実施する。
なお、認識用処理部25及び表示用処理部26は第2の画像処理手段を構成している。
【0027】
画像処理プロセッサ22のプログラムコントローラ27は認識用処理部25が画像認識用の画像処理を実施しているときCPU23から処理内容の切替指令を受けると、認識用処理部25における画像認識用の画像処理を停止して、表示用処理部26における画像表示用の画像処理を起動し、表示用処理部26が画像表示用の画像処理を実施しているときCPU23から処理内容の切替指令を受けると、表示用処理部26における画像表示用の画像処理を停止して、認識用処理部25における画像認識用の画像処理を起動する。
なお、CPU23及びプログラムコントローラ27から処理切替手段が構成されている。
【0028】
次に動作について説明する。
画像センサ21は、光信号を入射すると、その光信号を電気的な画像信号に変換して、その画像信号を画像入力部1に出力する。
画像入力部1は、画像センサ21から画像信号をフレーム単位で入力し、その画像信号を画像処理プロセッサ22に出力する。
また、画像入力部1は、その画像信号におけるフレームの入力タイミングを識別して、各フレームの入力が完了する毎にフレーム期間信号をCPU23に出力する。
【0029】
CPU23は、画像入力部1からフレーム期間信号を受ける毎に、処理内容の切替指令を画像処理プロセッサ22に出力する。
また、CPU23は、撮影画像の明るさと色バランスの適正化を図るため、後述する撮像制御用処理部24により算出される指標値にしたがって画像センサ21における露光時間やゲインを調整する。
【0030】
画像処理プロセッサ22は、画像入力部1から画像信号を受けると、その画像信号に対して撮像制御用の画像処理を実施した後、画像認識用の画像処理又は画像表示用の画像処理を実施して、画像認識用の画像データと画像表示用の画像データを並行して生成する。
即ち、画像処理プロセッサ2の撮像制御用処理部24は、画像入力部1から画像信号を受けると、例えば、図1の認識用処理部4と表示用処理部8における共通の前処理を実施する。
また、撮像制御用処理部24は、その画像信号に対する撮像制御用の画像処理として、その画像信号に含まれている画面の明るさ情報やRGB色成分間の色バランス情報に基づいて画素値の平均値に相当する指標値も算出する。
【0031】
画像処理プロセッサ22のプログラムコントローラ27は、CPU23から処理内容の切替指令を受けると、画像処理対象の処理部を動的に切り替える。
即ち、プログラムコントローラ27は、認識用処理部25が画像認識用の画像処理を実施しているときCPU23から処理内容の切替指令を受けると、認識用処理部25における画像認識用の画像処理を停止して、表示用処理部26における画像表示用の画像処理を起動する。
一方、表示用処理部26が画像表示用の画像処理を実施しているときCPU23から処理内容の切替指令を受けると、表示用処理部26における画像表示用の画像処理を停止して、認識用処理部25における画像認識用の画像処理を起動する。
【0032】
画像処理プロセッサ22の認識用処理部25は、プログラムコントローラ27から画像処理の起動指令を受けると、撮像制御用処理部24による画像処理後の画像信号に対して画像認識用の画像処理を実施することにより画像認識用の画像データを生成する。
画像処理プロセッサ22の表示用処理部26は、プログラムコントローラ27から画像処理の起動指令を受けると、撮像制御用処理部24による画像処理後の画像信号に対して画像表示用の画像処理を実施することにより画像表示用の画像データを生成する。
【0033】
これにより、画像処理プロセッサ22の認識用処理部25及び表示用処理部26から、画像認識用の画像データと画像表示用の画像データが交互に出力されるので、画像入力部1により入力された画像信号の半分のフレームレートで、画像認識用の画像データと画像表示用の画像データが同時に得られることになる。
【0034】
画像認識部13は、画像処理プロセッサ22の認識用処理部25から画像認識用の画像データを受けると、上記実施の形態1と同様に、画像認識用の画像データを解析して、物体検出や画像認識などの処理を実施する。
画像表示部14は、画像処理プロセッサ22の表示用処理部26から画像表示用の画像データを受けると、上記実施の形態1と同様に、画像表示用の画像データにしたがって画像をディスプレイに表示するなどの処理を実施する。
【0035】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、画像入力部1により入力された画像信号に対して撮像制御用の画像処理を実施する撮像制御用処理部24と、撮像制御用処理部24による画像処理後の画像信号に対して画像認識用の画像処理を実施する認識用処理部25と、撮像制御用処理部24による画像処理後の画像信号に対して画像表示用の画像処理を実施する表示用処理部26とを設け、プログラムコントローラ27が認識用処理部25及び表示用処理部26のうち、撮像制御用処理部24による画像処理後の画像信号に対する画像処理を実施する対象の処理部を画像信号のフレーム単位で切り替えるように構成したので、種類が異なる画像認識用の画像データと画像表示用の画像データを並行して生成することができる効果を奏する。
【0036】
また、この実施の形態2によれば、撮像制御用処理部24が例えば図1の認識用処理部4と表示用処理部8における共通の前処理を実施し、認識用処理部25及び表示用処理部26の処理量を軽減しているので、画像処理プロセッサ22の全体の処理コード数を減らすことができるようになり、処理コードを格納するメモリの容量を節約することができる効果を奏する。
【0037】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3による画像処理装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
画像処理プロセッサ2の認識用処理部4aは図1の認識用処理部4に相当し、画像入力部1により入力された画像信号に対して画像認識用の画像処理(例えば、文字認識用処理を行う認識用処理A)を実施することにより画像認識用の画像データを生成する。なお、認識用処理部4aは画像処理手段を構成している。
画像処理プロセッサ2の認識用処理部4bは画像入力部1により入力された画像信号に対して認識用処理部4aと異なる画像認識用の画像処理(例えば、物体認識用処理を行う認識用処理B)を実施することにより画像認識用の画像データを生成する。なお、認識用処理部4bは画像処理手段を構成している。
【0038】
画像認識部13aは図1の画像認識部13に相当し、画像処理プロセッサ2の認識用処理部4aにより生成された画像認識用の画像データを解析して、文字認識などの処理を実施する。
画像認識部13bは図1の画像認識部13に相当し、画像処理プロセッサ2の認識用処理部4bにより生成された画像認識用の画像データを解析して、物体認識などの処理を実施する。
画像処理プロセッサ2のプログラムコントローラ31はCPU3から処理内容の切替指令を受ける毎に、画像処理対象の処理部を切り替える処理を実施する。
なお、CPU3及びプログラムコントローラ31から処理切替手段が構成されている。
【0039】
次に動作について説明する。
画像入力部1は、上記実施の形態1と同様に、例えば、カメラなどの撮像装置から撮像画像の画像信号をフレーム単位で入力し、その画像信号を画像処理プロセッサ2に出力する。
また、画像入力部1は、その画像信号におけるフレームの入力タイミングを識別して、各フレームの入力が完了する毎にフレーム期間信号をCPU3に出力する。
【0040】
CPU3は、上記実施の形態1と同様に、画像入力部1からフレーム期間信号を受ける毎に、処理内容の切替指令を画像処理プロセッサ2に出力する。
画像処理プロセッサ2は、画像入力部1から画像信号を受けると、その画像信号に対して画像認識用の画像処理(認識処理A)、または、画像認識用の画像処理(認識処理B)、または、画像表示用の画像処理を実施して、画像認識用の画像データと画像表示用の画像データを並行して生成する。
【0041】
即ち、画像処理プロセッサ2のプログラムコントローラ31は、CPU3から処理内容の切替指令を受けると、画像処理対象の処理部を動的に切り替える。
つまり、プログラムコントローラ31は、図4に示すように、認識用処理部4aが画像認識用の画像処理(認識処理A)を実施しているときCPU3から処理内容の切替指令を受けると、認識用処理部4aにおける画像認識用の画像処理(認識処理A)を停止して、表示用処理部8における画像表示用の画像処理を起動する。
また、表示用処理部8が画像表示用の画像処理を実施しているときCPU3から処理内容の切替指令を受けると、表示用処理部8における画像表示用の画像処理を停止して、認識用処理部4bにおける画像認識用の画像処理(認識処理B)を起動する。
また、認識用処理部4bが画像認識用の画像処理(認識処理B)を実施しているときCPU3から処理内容の切替指令を受けると、認識用処理部4bにおける画像認識用の画像処理(認識処理B)を停止して、表示用処理部8における画像表示用の画像処理を起動する。
さらに、表示用処理部8が画像表示用の画像処理を実施しているときCPU3から処理内容の切替指令を受けると、表示用処理部8における画像表示用の画像処理を停止して、認識用処理部4aにおける画像認識用の画像処理(認識処理A)を起動する。
【0042】
画像処理プロセッサ2の認識用処理部4aは、プログラムコントローラ12から画像処理の起動指令を受けると、画像入力部1により入力された画像信号に対して画像認識用の画像処理(認識処理A)を実施することにより画像認識用の画像データを生成する。
画像処理プロセッサ2の認識用処理部4bは、プログラムコントローラ12から画像処理の起動指令を受けると、画像入力部1により入力された画像信号に対して画像認識用の画像処理(認識処理B)を実施することにより画像認識用の画像データを生成する。
画像処理プロセッサ2の表示用処理部8は、プログラムコントローラ12から画像処理の起動指令を受けると、画像入力部1により入力された画像信号に対して画像表示用の画像処理を実施することにより画像表示用の画像データを生成する。
【0043】
これにより、画像処理プロセッサ2の認識用処理部4a,4b及び表示用処理部8から、画像認識用の画像データと画像表示用の画像データが交互に出力されるので、画像入力部1により入力された画像信号の半分のフレームレートで、画像認識用の画像データと画像表示用の画像データが同時に得られることになる。
【0044】
画像認識部13aは、画像処理プロセッサ2の認識用処理部4aから画像認識用の画像データを受けると、画像認識用の画像データを解析して、文字認識などの処理を実施する。
画像認識部13bは、画像処理プロセッサ2の認識用処理部4bから画像認識用の画像データを受けると、画像認識用の画像データを解析して、物体認識などの処理を実施する。
画像表示部14は、画像処理プロセッサ2の表示用処理部8から画像表示用の画像データを受けると、画像表示用の画像データにしたがって画像をディスプレイに表示するなどの処理を実施する。
【0045】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、画像入力部1により入力された画像信号に対して画像認識用の画像処理(認識処理A)を実施する認識用処理部4aと、画像入力部1により入力された画像信号に対して画像認識用の画像処理(認識処理B)を実施する認識用処理部4bと、画像入力部1により入力された画像信号に対して画像表示用の画像処理を実施する表示用処理部8とを設け、プログラムコントローラ31が認識用処理部4a,4b及び表示用処理部8のうち、画像入力部1により入力された画像信号に対する画像処理を実施する対象の処理部を画像信号のフレーム単位で切り替えるように構成したので、種類が異なる画像認識用の画像データと画像表示用の画像データを並行して生成することができる効果を奏する。
【0046】
また、この実施の形態3によれば、プログラムコントローラ31による認識用処理部4a,4b及び表示用処理部8の切替頻度が、処理部毎に異なる(例えば、表示用処理部8が2回処理を実施する間に、認識用処理部4a,4bが1回処理を実施する)ように構成したので、高速なフレームレートでの出力が必要とされる画像処理に対する切替頻度を高めることができるようになり、複数種類の画像処理を効率的に実施することができる効果を奏する。
【0047】
なお、この実施の形態3では、3種類の処理部を実装して、3種類の画像処理を切り替えるものについて示したが、4種類以上の処理部を実装して、4種類以上の画像処理を切り替えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の実施の形態1による画像処理装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2による画像処理装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態3による画像処理装置を示す構成図である。
【図4】認識用処理部及び表示用処理部の処理順序を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 画像入力部(画像入力手段)、2 画像処理プロセッサ、3 CPU(処理切替手段)、4 認識用処理部(画像処理手段)、4a 認識用処理部(画像処理手段)、4b 認識用処理部(画像処理手段)、5 2値化処理部、6 孤立点除去処理部、7 特徴点抽出処理部、8 表示用処理部(画像処理手段)、9 補間処理部、10 色変換処理部、11 輪郭強調処理部、12 プログラムコントローラ(処理切替手段)、13 画像認識部、13a 画像認識部、13b 画像認識部、14 画像表示部、21 画像センサ、22 画像処理プロセッサ、23 CPU(処理切替手段)、24 撮像制御用処理部(第1の画像処理手段)、25 認識用処理部(第2の画像処理手段)、26 表示用処理部(第2の画像処理手段)、27 プログラムコントローラ(処理切替手段)、31 プログラムコントローラ(処理切替手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号をフレーム単位で入力する画像入力手段と、上記画像入力手段により入力された画像信号に対して相互に異なる画像処理を実施する複数の画像処理手段と、上記複数の画像処理手段のうち、上記画像入力手段により入力された画像信号に対する画像処理を実施する対象の画像処理手段を上記画像信号のフレーム単位で切り替える処理切替手段とを備えた画像処理装置。
【請求項2】
画像入力手段により入力された画像信号に対する画像処理を実施する画像処理手段として、画像認識用の画像処理を実施する画像処理手段と、画像表示用の画像処理を実施する画像処理手段とが実装されていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
画像信号をフレーム単位で入力する画像入力手段と、上記画像入力手段により入力された画像信号に対して所定の画像処理を実施する第1の画像処理手段と、上記第1の画像処理手段による画像処理後の画像信号に対して相互に異なる画像処理を実施する複数の第2の画像処理手段と、上記複数の第2の画像処理手段のうち、上記第1の画像処理手段による画像処理後の画像信号に対する画像処理を実施する対象の第2の画像処理手段を上記画像信号のフレーム単位で切り替える処理切替手段とを備えた画像処理装置。
【請求項4】
処理切替手段による画像処理手段の切替頻度が、画像処理手段毎に異なることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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