画像処理装置
【課題】GOP単位やフレーム単位で符号量制御を行う場合と比較すると、遅延量を削減することが可能な画像処理装置を得る。
【解決手段】画像処理装置1は、画像信号に対する量子化処理を含むエンコード処理を実行するエンコーダ2と、量子化処理における量子化パラメータを制御する制御部3とを備える。制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値QP3として決定し、1フレーム内に含まれるマクロブロックの総数未満の所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に基づいて、増減値QP3を決定する。望ましくは、制御部3はさらに、現在の処理対象のマクロブロックに関する活発性評価値等の画素情報に基づいて増減値QP3を決定する。
【解決手段】画像処理装置1は、画像信号に対する量子化処理を含むエンコード処理を実行するエンコーダ2と、量子化処理における量子化パラメータを制御する制御部3とを備える。制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値QP3として決定し、1フレーム内に含まれるマクロブロックの総数未満の所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に基づいて、増減値QP3を決定する。望ましくは、制御部3はさらに、現在の処理対象のマクロブロックに関する活発性評価値等の画素情報に基づいて増減値QP3を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に、動画像圧縮における符号量制御アルゴリズムに関する。
【背景技術】
【0002】
符号量制御とは、発生符号量を制御することによって画質の最適化を図る技術である(例えば下記特許文献1,2参照)。現行の符号量制御アルゴリズムでは、GOP(Group Of Picture)単位又はフレーム単位で符号量制御を行うものが一般的である。例えばフレーム単位の符号量制御では、1フレームに対する割り当て符号量が算出され、当該符号量を超えないように、フレーム内の各マクロブロックに対する量子化パラメータが制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−215460号公報
【特許文献2】特開平10−243399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
GOP単位又はフレーム単位の符号量を目標符号量として制御する方法では、目標コンスタントビットレートを得るための平均区間が長く、符号量のピーク値として比較的大きな値が許容されるため、画質の向上を図ることが可能である。しかしながら、平均区間が長いということはバッファ時間が大きいことを意味し、エンコード処理に伴う遅延量が必然的に大きくなる。従って、GOP単位又はフレーム単位の符号量制御は、記録番組の再生等のような遅延制限のないアプリケーションには適しているが、遅延制限の厳しいアプリケーションには適していない。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、GOP単位やフレーム単位で符号量制御を行う場合と比較すると、遅延量を削減することが可能な画像処理装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る画像処理装置は、画像信号に対する量子化処理を含むエンコード処理を実行するエンコーダと、前記量子化処理における量子化パラメータを制御する制御部とを備え、前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、基準値に対する増減値として決定し、1フレーム内に含まれるマクロブロックの総数未満の所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0007】
第1の態様に係る画像処理装置によれば、制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、基準値に対する増減値として決定し、1フレーム内に含まれるマクロブロックの総数未満の所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に基づいて、増減値を決定する。従って、GOP単位やフレーム単位で符号量制御を行う場合と比較すると、遅延量を削減することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る画像処理装置は、第1の態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値に基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0009】
第2の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値に基づいて、増減値を決定する。従って、複雑な画像がマクロブロックの一部に含まれている場合であっても、その複雑な画像の影響によって量子化パラメータが過剰に大きく設定される事態を回避することが可能となる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る画像処理装置は、第1又は第2の態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックに関する動き探索処理によって得られる予測誤差の絶対値和に基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0011】
第3の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックに関する動き探索処理によって得られる予測誤差の絶対値和に基づいて、増減値を決定する。従って、マクロブロックの予測誤差の絶対値和に応じて、適切な量子化パラメータを設定することが可能となる。例えば、予測誤差の絶対値和が所定のしきい値未満であるマクロブロックに関しては、発生符号量が少ない領域と判断して、増減値を所定値だけ下げるという調整を行うことができる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る画像処理装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量に基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0013】
第4の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量に基づいて、増減値を決定する。従って、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量が目標符号量より小さい場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを小さく設定することにより、画質の向上を図ることが可能となる。一方、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量が目標符号量より大きい場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを大きく設定することにより、発生符号量を抑制することが可能となる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る画像処理装置は、第1の態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差と、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値とに基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0015】
第5の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差と、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値とに基づいて、増減値を決定する。従って、目標符号量と発生符号量との差と、所定の属性値とに応じて、適切な量子化パラメータを設定することが可能となる。例えば、画質の劣化が目立ちやすい属性のマクロブロックに関しては、量子化パラメータを小さく設定することにより、画質の向上を図ることができ、一方、画質の劣化が目立ちにくい属性のマクロブロックに関しては、量子化パラメータを大きく設定することにより、発生符号量を抑制することができる。また、目標符号量に対して発生符号量が少ない場合(つまり余剰の符号量が多い場合)に
は、量子化パラメータを小さく設定することにより、画質の向上を図ることができ、一方、目標符号量に対して発生符号量が多い場合(つまり余剰の符号量が少ない場合)には、量子化パラメータを大きく設定することにより、発生符号量を抑制することができる。
【0016】
本発明の第6の態様に係る画像処理装置は、第5の態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関するエッジ抽出処理の結果に基づいて、前記属性値を決定することを特徴とするものである。
【0017】
第6の態様に係る画像処理装置によれば、制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関するエッジ抽出処理の結果に基づいて、属性値を決定する。従って、エッジ抽出処理の結果、マクロブロック内に文字が含まれていると判定された場合には、量子化パラメータが小さくなるような属性値を設定することにより、画質の向上を図ることができる。
【0018】
本発明の第7の態様に係る画像処理装置は、第6の態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値に基づいて、前記属性値を決定することを特徴とするものである。
【0019】
第7の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値に基づいて、属性値を決定する。従って、複雑な画像がマクロブロックの一部に含まれている場合には、量子化パラメータが小さくなるような属性値を設定することにより、その複雑な画像の影響によって量子化パラメータが過剰に大きく設定される事態を回避することが可能となる。
【0020】
本発明の第8の態様に係る画像処理装置は、第6又は第7の態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値に基づいて、前記属性値を決定することを特徴とするものである。
【0021】
第8の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値に基づいて、属性値を決定する。従って、活発性評価値が小さい場合には、量子化パラメータが小さくなるような属性値を設定することにより、画質の向上を図ることができ、一方、活発性評価値が大きい場合には、量子化パラメータが大きくなるような属性値を設定することにより、発生符号量を抑制することができる。
【0022】
本発明の第9の態様に係る画像処理装置は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、前記基準値が所定値未満である場合には、前記基準値として前記所定値を用いることを特徴とするものである。
【0023】
第9の態様に係る画像処理装置によれば、制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、基準値が所定値未満である場合には、基準値として所定値を用いる。従って、量子化パラメータを素早く増加させることができるため、効果的に発生符号量を抑制することが可能となる。
【0024】
本発明の第10の態様に係る画像処理装置は、第1〜第9のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少
させる場合において、前記基準値が所定値を超える場合には、前記基準値として前記所定値を用いることを特徴とするものである。
【0025】
第10の態様に係る画像処理装置によれば、制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少させる場合において、基準値が所定値を超える場合には、基準値として所定値を用いる。従って、量子化パラメータを素早く減少させることができるため、効果的に画質を向上することが可能となる。
【0026】
本発明の第11の態様に係る画像処理装置は、第9又は第10の態様に係る画像処理装置において特に、前記所定値は、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値に応じて異なる値に設定されることを特徴とするものである。
【0027】
第11の態様に係る画像処理装置によれば、所定値は、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値に応じて異なる値に設定される。従って、画像の複雑度合いに応じて適切な所定値を設定することが可能となる。
【0028】
本発明の第12の態様に係る画像処理装置は、第9又は第10の態様に係る画像処理装置において特に、前記所定値は、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値に応じて異なる値に設定されることを特徴とするものである。
【0029】
第12の態様に係る画像処理装置によれば、所定値は、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値に応じて異なる値に設定される。従って、画質の劣化の目立ち度合いに応じて適切な所定値を設定することが可能となる。
【0030】
本発明の第13の態様に係る画像処理装置は、第9、第10、又は第12の態様に係る画像処理装置において特に、前記所定値は、所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に応じて異なる値に設定されることを特徴とするものである。
【0031】
第13の態様に係る画像処理装置によれば、所定値は、所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に応じて異なる値に設定される。従って、符号量の余剰の度合いに応じて適切な所定値を設定することが可能となる。
【0032】
本発明の第14の態様に係る画像処理装置は、第1〜第13のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、前回処理したフレーム内における、現在の処理対象のマクロブロックに対応する領域に関する発生符号量に基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0033】
第14の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、前回処理したフレーム内における、現在の処理対象のマクロブロックに対応する領域に関する発生符号量に基づいて、増減値を決定する。従って、量子化パラメータが大きく設定されている領域がフレーム内の同一箇所に集中する事態を回避できるため、複数のフレームにおいて当該領域が連続することに起因する画質の劣化を回避することが可能となる。
【0034】
本発明の第15の態様に係る画像処理装置は、第1〜第13のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックよりも先の複数のマクロブロック内における、文字領域の発生状況に基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0035】
第15の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックよりも先の複数のマクロブロック内における、文字領域の発生状況に基づいて、増減値を決定する。従って、先に文字領域が多く発生する状況が想定された場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを大きく設定して予め発生符号量を抑制することにより、将来の例外処理の発生を抑制することが可能となる。
【0036】
本発明の第16の態様に係る画像処理装置は、第1〜第15のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記マクロブロックはイントラマクロブロックを含むことを特徴とするものである。
【0037】
第16の態様に係る画像処理装置によれば、マクロブロックにはイントラマクロブロックが含まれる。従って、イントラマクロブロックに関しても同様の符号量制御を行うことが可能となる。
【0038】
本発明の第17の態様に係る画像処理装置は、第16の態様に係る画像処理装置において特に、前記イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値が設定されていることを特徴とするものである。
【0039】
第17の態様に係る画像処理装置によれば、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値が設定されている。イントラマクロブロックに関しては、量子化パラメータを大きい値に設定すると画質の劣化が目立ちやすいため、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータに上限値を設定することにより、画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0040】
本発明の第18の態様に係る画像処理装置は、第1〜第17のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部は、直前に処理した所定の複数のマクロブロックに関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値を超えている場合には、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定することを特徴とするものである。
【0041】
第18の態様に係る画像処理装置によれば、制御部は、直前に処理した所定の複数のマクロブロックに関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値を超えている場合には、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定する。このように、発生符号量がしきい値を超えている場合には強制的に量子化パラメータを大きく設定するという例外処理を行うことにより、発生符号量が最大許容符号量を超える事態を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、GOP単位やフレーム単位で符号量制御を行う場合と比較すると、遅延量を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】マクロブロック単位でのエンコード処理の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した制御部の第1の構成例を示すブロック図である。
【図4】増減値の決定手法の一例を示す図である。
【図5】増減値の決定手法の一例を示す図である。
【図6】増減値の決定手法の一例を示す図である。
【図7】図2に示した制御部の第2の構成例を示すブロック図である。
【図8】増減値の決定手法の一例を示す図である。
【図9】図2に示した制御部の第3の構成例を示すブロック図である。
【図10】属性値の決定手法の一例を示すフローチャートである。
【図11】増減値の決定手法の一例を示す図である。
【図12】所定値の決定手法の一例を示す図である。
【図13】所定値の決定手法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0045】
実施の形態1.
図1は、マクロブロック単位でのエンコード処理の一例を示す図である。図1には、行方向(横方向)に1280画素、列方向(縦方向)に720画素を有する1フレームの画像を例示している。1フレームは、行方向に16画素ごと、列方向に16画素ごとにマクロブロックとして分割される。従って、1フレームは、行方向に80個、列方向に45個のマクロブロックに分割される。なお、1行分に相当する80個のマクロブロックの集合は、マクロブロックラインと称される。
【0046】
図2は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像処理装置1は、エンコーダ2及び制御部3を備えて構成されている。エンコーダ2は、MPEG−2又はMPEG−4等の動画像に関する規格に準拠しており、圧縮符号化前の画像信号S1に対して量子化処理及び符号化処理等の画像処理を施すことにより、圧縮符号化後の画像信号S4を出力する。画像信号S4は、画像処理装置1から無線LAN等によって表示装置(図示しない)に伝送され、表示装置において動画像が表示される。
【0047】
制御部3には、画像信号S1,S4が入力されるとともに、1マクロブロックあたりの最大許容符号量を示す信号S2Aと、1マクロブロックあたりの目標符号量を示す信号S2Bとが入力される。ここで、1マクロブロックあたりの最大許容符号量は、画像処理装置1から表示装置への最大ビットレート(例えば18Mbps)と、動画像のフレームレート(例えば60fps)と、1フレーム内のマクロブロックの総数(例えば3600個)とに基づいて算出される。同様に、1マクロブロックあたりの目標符号量は、画像処理装置1から表示装置への目標ビットレート(例えば14Mbps)と、動画像のフレームレートと、1フレーム内のマクロブロックの総数とに基づいて算出される。制御部3は、これらの信号S1,S2A,S2B,S4に基づいて、エンコーダ2内での量子化処理における量子化パラメータを、制御信号S3によって制御する。
【0048】
図3は、図2に示した制御部3の第1の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、制御部3は、全体評価値演算部10、部分評価値演算部11、パラメータ決定部12、記憶部13、及びビット数カウンタ14を備えて構成されている。画像信号S1は、全体評価値演算部10及び部分評価値演算部11に入力される。信号S2A,S2Bは、パラメータ決定部12に入力される。画像信号S4は、ビット数カウンタ14に入力される。制御信号S3は、パラメータ決定部12から出力される。
【0049】
全体評価演算部10は、画像信号S1に基づいて、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値ACT1(詳細は後述)を算出する。部分評価値演算部11は、画像信号S1に基づいて、現在の処理対象のマクロブロックの複数の部分領域に関
する活発性評価値の最小値ACT2(詳細は後述)を算出する。記憶部13には、後述する各種のしきい値や定数値等に関するデータが記憶されている。ビット数カウンタ14は、画像信号S4に基づいて発生符号量を求める。
【0050】
以下、本実施の形態に係る画像処理装置1の動作について説明する。パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値QP3として決定する。つまり、パラメータ決定部12は、QP1=QP2+QP3なる演算を行うことにより、量子化パラメータQP1を求める。
【0051】
パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックから遡った1マクロブロックラインに関する量子化パラメータの平均値を、基準値QP2として用いる。但し、先頭のマクロブロックに関しては、所定の定数値が基準値QP2として用いられる。また、処理済みのマクロブロックの総数が1マクロブロックラインに満たない場合には、処理済みのマクロブロックに関する量子化パラメータの平均値が基準値QP2として用いられる。
【0052】
また、パラメータ決定部12は、QP3=QP3A+QP3B+QP3Cなる演算を行うことにより、増減値QP3を求める。
【0053】
具体的に、パラメータ決定部12は、1マクロブロックラインあたりの目標符号量と、直前に処理した1マクロブロックラインに関する発生符号量との差(ΔB1=発生符号量−目標符号量)に基づいて、増減値QP3Aを決定する。図4は、増減値QP3Aの決定手法の一例を示す図である。差ΔB1がしきい値Th00(例えば−1000ビット)未満である場合には、増減値QP3Aは値α0(例えば−4)に設定される。差ΔB1がしきい値Th00以上かつしきい値Th01(例えば−500ビット)未満である場合には、増減値QP3Aは値α1(例えば−2)に設定される。差ΔB1がしきい値Th01以上かつしきい値Th02(例えば0ビット)未満である場合には、増減値QP3Aは値α2(例えば−1)に設定される。差ΔB1がしきい値Th02以上かつしきい値Th03(例えば500ビット)未満である場合には、増減値QP3Aは値α3(例えば1)に設定される。差ΔB1がしきい値Th03以上かつしきい値Th04(例えば1000ビット)未満である場合には、増減値QP3Aは値α4(例えば2)に設定される。差ΔB1がしきい値Th04以上である場合には、増減値QP3Aは値α5(例えば4)に設定される。
【0054】
また、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域(つまり、上辺を含む縦4画素×横16画素の領域、下辺を含む縦4画素×横16画素の領域、左辺を含む縦16画素×横4画素の領域、及び右辺を含む縦16画素×横4画素の領域)に関する活発性評価値の最小値(ACT2)に基づいて、増減値QP3Bを決定する。図5は、増減値QP3Bの決定手法の一例を示す図である。最小値ACT2がしきい値Th10(例えば2)未満である場合には、増減値QP3Bは値β0(例えば−4)に設定される。最小値ACT2がしきい値Th10以上かつしきい値Th11(例えば5)未満である場合には、増減値QP3Bは値β1(例えば−2)に設定される。最小値ACT2がしきい値Th11以上かつしきい値Th12(例えば10)未満である場合には、増減値QP3Bは値β2(例えば0)に設定される。最小値ACT2がしきい値Th12以上かつしきい値Th13(例えば30)未満である場合には、増減値QP3Bは値β3(例えば2)に設定される。最小値ACT2がしきい値Th13以上である場合には、増減値QP3Bは値β4(例えば4)に設定される。なお、活発性評価値は、マクロブロック内における画素値のばらつきの度合いを示す指標(画素情報)であり、例えば、そのマクロブロックの輝度平均値と各画素の輝度値との差分絶対値和を、そのマクロブロック内の画素数で除算した値として得られる。
【0055】
また、パラメータ決定部12は、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量(PB)に基づいて、増減値QP3Cを決定する。図6は、増減値QP3Cの決定手法の一例を示す図である。発生符号量PBがしきい値Th20(例えば1マクロブロックあたりの目標符号量の1/2)未満である場合には、増減値QP3Cは値γ0(例えば−2)に設定される。発生符号量PBがしきい値Th20以上かつしきい値Th21(例えば目標符号量)未満である場合には、増減値QP3Cは値γ1(例えば−1)に設定される。発生符号量PBがしきい値Th21以上かつしきい値Th22(例えば目標符号量の3/2)未満である場合には、増減値QP3Cは値γ2(例えば1)に設定される。発生符号量PBがしきい値Th22以上である場合には、増減値QP3Cは値γ3(例えば2)に設定される。
【0056】
上記の通り、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値QP3として決定する。ここで、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、基準値QP2が所定値K1未満である場合には、基準値QP2として所定値K1を用いる。同様に、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少させる場合において、基準値QP2が所定値K2を超える場合には、基準値QP2として所定値K2を用いる。
【0057】
所定値K1,K2は、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値(ACT1)に応じて異なる値に設定される。例えば、所定値K1は、活発性評価値ACT1が5未満である場合は20に、5以上10未満である場合には25に、10以上である場合には30に、それぞれ設定される。また例えば、所定値K2は、活発性評価値ACT1が5未満である場合には25に、5以上である場合には51に、それぞれ設定される。
【0058】
画像処理装置1の処理対象であるマクロブロックには、所定の頻度(例えば1マクロブロックラインに1個又は2個の割合)でイントラマクロブロック(フレーム間予測を用いないマクロブロック)が含まれる。ここで、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値QPM(例えば30)が設定されている。パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックがイントラマクロブロックである場合において、上述のアルゴリズムによって決定した量子化パラメータQP1が上限値QPMを超える場合には、そのイントラマクロブロックに関する量子化パラメータを上限値QPMに設定する。
【0059】
また、パラメータ決定部12は、直前に処理した所定数のマクロブロック(許容伝送遅延に相当する例えば15マクロブロックライン)に関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値(例えば最大許容符号量の98%)を超えている場合には、上述したアルゴリズムによる量子化パラメータの決定処理を行わずに、所定の例外処理を実行する。具体的に、パラメータ決定部12は、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値(例えば2)を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定する。当該発生符号量が当該しきい値以下となるまで、例外処理は継続される。
【0060】
図7は、図2に示した制御部3の第2の構成例を示すブロック図である。図3に示した構成に対して、SAD演算部15が追加されている。SAD演算部15は、現在の処理対象のマクロブロックに関して、そのマクロブロックに関する動き探索処理によって得られる予測誤差の絶対値和(SAD)を算出する。パラメータ決定部12は、現在の処理対象
のマクロブロックに関する予測誤差の絶対値和SADに基づいて、増減値QP3を調整する。図8は、増減値QP3の調整手法の一例を示す図である。予測誤差の絶対値和SADに関するしきい値Th30(例えば500)が予め設定されており、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する予測誤差の絶対値和SADがしきい値Th30未満である場合には、上述のアルゴリズムによって求めた増減値QP3に対して所定値σ0(例えば−3)を加算する。一方、予測誤差の絶対値和SADがしきい値Th30以上である場合には、増減値QP3に対して所定値σ1(例えば0)を加算する。パラメータ決定部12のその他の処理は、上記と同様である。
【0061】
このように本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値QP3として決定し、1フレーム内に含まれるマクロブロックの総数未満の所定数のマクロブロック(上記の例では1マクロブロックライン)あたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差ΔB1に基づいて、増減値QP3Aを決定する。従って、GOP単位やフレーム単位で符号量制御を行う場合と比較すると、遅延量を削減することが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値ACT2に基づいて、増減値QP3Bを決定する。従って、複雑な画像がマクロブロックの一部に含まれている場合であっても、その複雑な画像の影響によって量子化パラメータQP1が過剰に大きく設定される事態を回避することが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する動き探索処理によって得られる予測誤差の絶対値和SADに基づいて、増減値QP3を調整する。従って、マクロブロックの予測誤差の絶対値和SADに応じて、適切な量子化パラメータを設定することが可能となる。例えば、予測誤差の絶対値和SADが所定のしきい値Th30未満であるマクロブロックに関しては、発生符号量が少ない領域と判断して、増減値QP3を所定値だけ下げるという調整を行うことができる。
【0064】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量PBに基づいて、増減値QP3Cを決定する。従って、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量が目標符号量より小さい場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を小さく設定することにより、画質の向上を図ることが可能となる。一方、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量が目標符号量より大きい場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を大きく設定することにより、発生符号量を抑制することが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、基準値QP2が所定値K1未満である場合には、基準値QP2として所定値K1を用いる。従って、量子化パラメータを素早く増加させることができるため、効果的に発生符号量を抑制することが可能となる。
【0066】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少させる場合において、基準値QP2が所定値K2を超える場合には、基準値QP2として所定値K2を用いる。従って、量子化パラメータを素早く
減少させることができるため、効果的に画質を向上することが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、所定値K1,K2は、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値ACT1に応じて異なる値に設定される。従って、画像の複雑度合いに応じて適切な所定値K1,K2を設定することが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、処理対象であるマクロブロックにはイントラマクロブロックが含まれる。従って、イントラマクロブロックに関しても同様の符号量制御を行うことが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値QPMが設定されている。イントラマクロブロックに関しては、量子化パラメータを大きい値に設定すると画質の劣化が目立ちやすいため、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータに上限値QPMを設定することにより、画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0070】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、直前に処理した所定の複数のマクロブロック(上記の例では15マクロブロックライン)に関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値を超えている場合には、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定する。このように、発生符号量がしきい値を超えている場合には強制的に量子化パラメータを大きく設定するという例外処理を行うことにより、発生符号量が最大許容符号量を超える事態を回避することが可能となる。
【0071】
実施の形態2.
図9は、図2に示した制御部3の第3の構成例を示すブロック図である。図3に示した構成に対して、ソベルフィルタ処理部20が追加されている。ソベルフィルタ処理部20は、現在の処理対象のマクロブロックに関して、ソベルフィルタを用いてエッジ抽出処理を実行する。
【0072】
以下、本実施の形態に係る画像処理装置1の動作について説明する。上記と同様に、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値Q4として決定する。つまり、パラメータ決定部12は、QP1=QP2+QP4なる演算を行うことにより、量子化パラメータQP1を求める。
【0073】
上記実施の形態1と同様に、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックから遡った1マクロブロックラインに関する量子化パラメータの平均値を、基準値QP2として用いる。但し、先頭のマクロブロックに関しては、所定の定数値が基準値QP2として用いられる。また、処理済みのマクロブロックの総数が1マクロブロックラインに満たない場合には、処理済みのマクロブロックに関する量子化パラメータの平均値が基準値QP2として用いられる。
【0074】
また、パラメータ決定部12は、QP4=QP4A+QP4Bなる演算を行うことにより、増減値QP4を求める。
【0075】
具体的に、パラメータ決定部12は、1マクロブロックラインあたりの目標符号量と、直前に処理した1マクロブロックラインに関する発生符号量との差(ΔB1=発生符号量
−目標符号量)に基づいて、増減値QP4A(上記実施の形態1における増減値QP3Aに相当する)を決定する。
【0076】
また、パラメータ決定部12は、許容伝送遅延に相当する例えば15マクロブロックラインあたりの目標符号量と、直前に処理した15マクロブロックラインに関する発生符号量との差(ΔB2=発生符号量−目標符号量)を求める。さらに、パラメータ決定部12は、ソベルフィルタ処理の結果であるエッジ判定値Eと、上記の活発性評価値ACT1と、上記の最小値ACT2とに基づいて、現在の処理対象のマクロブロックに関する属性値Wを決定する。図10は、属性値Wの決定手法の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、エッジ判定値Eがしきい値Th81以上である場合には、そのマクロブロックは文字領域であると判定し、属性値W=0とする。また、最小値ACT2がしきい値Th83未満である場合には、そのマクロブロックは画質の劣化が非常に目立つ領域であると判定し、属性値W=1とする。また、最小値ACT2がしきい値Th83以上かつしきい値Th82未満である場合には、そのマクロブロックは画質の劣化が目立ちやすい領域であると判定し、属性値W=2とする。また、活発性評価値ACT1がしきい値Th84未満である場合には、そのマクロブロックは画質の劣化が目立ちにくい領域であると判定し、属性値W=3とする。また、活発性評価値ACT1がしきい値Th84以上である場合には、そのマクロブロックは画質の劣化が目立たない領域であると判定し、属性値W=4とする。
【0077】
そして、パラメータ決定部12は、差ΔB2と属性値Wとに基づいて、増減値QP4Bを決定する。図11は、増減値QP4Bの決定手法の一例を示す図である。例えば属性値W=0に設定されたマクロブロックに関する増減値QP4Bは、差ΔB2がしきい値Th41未満である場合には例えば2に設定され、差ΔB2がしきい値Th41以上である場合には例えば1に設定される。また、例えば属性値W=4に設定されたマクロブロックに関する増減値QP4Bは、差ΔB2がしきい値Th42未満である場合には例えば5に設定され、差ΔB2がしきい値Th42以上かつしきい値Th43未満である場合には例えば3に設定され、差ΔB2がしきい値Th43以上である場合には例えば1に設定される。
【0078】
上記の通り、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値QP4として決定する。ここで、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、基準値QP2が所定値K3未満である場合には、基準値QP2として所定値K3を用いる。同様に、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少させる場合において、基準値QP2が所定値K4を超える場合には、基準値QP2として所定値K4を用いる。
【0079】
所定値K3,K4は、差ΔB2と属性値Wとに応じて異なる値に設定される。図12は、所定値K3の決定手法の一例を示す図である。例えば属性値W=0に設定されたマクロブロックに関する所定値K3は、差ΔB2に拘わらず例えば20に設定される。また、例えば属性値W=4に設定されたマクロブロックに関する所定値K3は、差ΔB2がしきい値Th51未満である場合には例えば40に設定され、差ΔB2がしきい値Th51以上かつしきい値Th52未満である場合には例えば30に設定され、差ΔB2がしきい値Th52以上である場合には例えば20に設定される。図13は、所定値K4の決定手法の一例を示す図である。例えば属性値W=0に設定されたマクロブロックに関する所定値K4は、差ΔB2がしきい値Th61未満である場合には例えば51に設定され、差ΔB2がしきい値Th61以上かつしきい値Th62未満である場合には例えば40に設定され
、差ΔB2がしきい値Th62以上である場合には例えば35に設定される。また、例えば属性値W=4に設定されたマクロブロックに関する所定値K4は、差ΔB2に拘わらず例えば51に設定される。
【0080】
また、パラメータ決定部12は、前回処理したフレーム内における、現在の処理対象のマクロブロックに対応する領域に関する発生符号量に基づいて、増減値QP4を補正する。具体的には、1フレーム前の同一箇所のマクロブロックに関する発生符号量が目標符号量を超えている場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関して求めた増減値QP4に、定数値(例えば6)を加算する。この補正処理は、上記実施の形態1にも適用可能である。
【0081】
また、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックよりも先の複数のマクロブロック内における、文字領域の発生状況に基づいて、増減値QP4を補正する。具体的には、同一フレーム内において現在の処理対象のマクロブロックよりも先の複数のマクロブロック(例えば1マクロブロックライン)に関して、ソベルフィルタ処理の結果に基づいて文字領域の発生割合を求める。そして、その発生割合が所定のしきい値を超えている場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関して求めた増減値QP4に、定数値(例えば5)を加算する。この補正処理は、上記実施の形態1にも適用可能である。
【0082】
上記実施の形態1と同様に、画像処理装置1の処理対象であるマクロブロックには、所定の頻度でイントラマクロブロックが含まれる。ここで、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値QPM(例えば30)が設定されている。パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックがイントラマクロブロックである場合において、上述のアルゴリズムによって決定した量子化パラメータQP1が上限値QPMを超える場合には、そのイントラマクロブロックに関する量子化パラメータを上限値QPMに設定する。
【0083】
また、上記実施の形態1と同様に、パラメータ決定部12は、直前に処理した所定数のマクロブロック(例えば15マクロブロックライン)に関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値(例えば最大許容符号量の98%)を超えている場合には、上述したアルゴリズムによる量子化パラメータの決定処理を行わずに、所定の例外処理を実行する。具体的に、パラメータ決定部12は、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値(例えば2)を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定する。当該発生符号量が当該しきい値以下となるまで、例外処理は継続される。
【0084】
このように本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値QP4として決定し、1フレーム内に含まれるマクロブロックの総数未満の所定数のマクロブロック(上記の例では1マクロブロックライン)あたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差ΔB1に基づいて、増減値QP4Aを決定する。従って、GOP単位やフレーム単位で符号量制御を行う場合と比較すると、遅延量を削減することが可能となる。
【0085】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、所定数のマクロブロック(上記の例では15マクロブロックライン)あたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差ΔB2と、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値Wとに基づいて、増減値QP4Bを決定する。従って、目標符号量と発生符号量との差ΔB2と、所定の属性値Wとに応じて、適切な量子化パラメータを設定することが可能となる。例えば、画質の劣化が目立ちやすい属性のマクロブ
ロックに関しては、量子化パラメータを小さく設定することにより、画質の向上を図ることができ、一方、画質の劣化が目立ちにくい属性のマクロブロックに関しては、量子化パラメータを大きく設定することにより、発生符号量を抑制することができる。また、目標符号量に対して発生符号量が少ない場合(つまり余剰の符号量が多い場合)には、量子化パラメータを小さく設定することにより、画質の向上を図ることができ、一方、目標符号量に対して発生符号量が多い場合(つまり余剰の符号量が少ない場合)には、量子化パラメータを大きく設定することにより、発生符号量を抑制することができる。
【0086】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関するエッジ抽出処理の結果に基づいて、属性値Wを決定する。従って、エッジ抽出処理の結果、マクロブロック内に文字が含まれていると判定された場合には、量子化パラメータが小さくなるような属性値Wを設定することにより、画質の向上を図ることができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値ACT2に基づいて、属性値Wを決定する。従って、複雑な画像がマクロブロックの一部に含まれている場合には、量子化パラメータが小さくなるような属性値Wを設定することにより、その複雑な画像の影響によって量子化パラメータが過剰に大きく設定される事態を回避することが可能となる。
【0088】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値ACT1に基づいて、属性値Wを決定する。従って、活発性評価値ACT1が小さい場合には、量子化パラメータが小さくなるような属性値Wを設定することにより、画質の向上を図ることができ、一方、活発性評価値ACT1が大きい場合には、量子化パラメータが大きくなるような属性値Wを設定することにより、発生符号量を抑制することができる。
【0089】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、基準値QP2が所定値K3未満である場合には、基準値QP2として所定値K3を用いる。従って、量子化パラメータを素早く増加させることができるため、効果的に発生符号量を抑制することが可能となる。
【0090】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少させる場合において、基準値QP2が所定値K4を超える場合には、基準値QP2として所定値K4を用いる。従って、量子化パラメータを素早く減少させることができるため、効果的に画質を向上することが可能となる。
【0091】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、所定値K3,K4は、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値Wに応じて異なる値に設定される。従って、画質の劣化の目立ち度合いに応じて適切な所定値K3,K4を設定することが可能となる。
【0092】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、所定値K3,K4は、所定数のマクロブロック(上記の例では15マクロブロックライン)あたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差ΔB2に応じて異なる値に設定される。従って、符号量の余剰の度合いに応じて適切な所定値K3,K4を設定することが可能となる。
【0093】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、前回処理したフレーム内における、現在の処理対象のマクロブロックに対応する領域に関する発生符号量に基づいて、増減値QP4を決定する。従って、量子化パラメータが大きく設定されている領域がフレーム内の同一箇所に集中する事態を回避できるため、複数のフレームにおいて当該領域が連続することに起因する画質の劣化を回避することが可能となる。
【0094】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックよりも先の複数のマクロブロック(上記の例では1マクロブロックライン)内における、文字領域の発生状況に基づいて、増減値QP4を決定する。従って、先に文字領域が多く発生する状況が想定された場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを大きく設定して予め発生符号量を抑制することにより、将来の例外処理の発生を抑制することが可能となる。
【0095】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、処理対象であるマクロブロックにはイントラマクロブロックが含まれる。従って、イントラマクロブロックに関しても同様の符号量制御を行うことが可能となる。
【0096】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値QPMが設定されている。イントラマクロブロックに関しては、量子化パラメータを大きい値に設定すると画質の劣化が目立ちやすいため、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータに上限値QPMを設定することにより、画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0097】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、直前に処理した所定の複数のマクロブロック(上記の例では15マクロブロックライン)に関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値を超えている場合には、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定する。このように、発生符号量がしきい値を超えている場合には強制的に量子化パラメータを大きく設定するという例外処理を行うことにより、発生符号量が最大許容符号量を超える事態を回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0098】
1 画像処理装置
2 エンコーダ
3 制御部
10 全体評価値演算部
11 部分評価値演算部
12 パラメータ決定部
13 記憶部
14 ビット数カウンタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に、動画像圧縮における符号量制御アルゴリズムに関する。
【背景技術】
【0002】
符号量制御とは、発生符号量を制御することによって画質の最適化を図る技術である(例えば下記特許文献1,2参照)。現行の符号量制御アルゴリズムでは、GOP(Group Of Picture)単位又はフレーム単位で符号量制御を行うものが一般的である。例えばフレーム単位の符号量制御では、1フレームに対する割り当て符号量が算出され、当該符号量を超えないように、フレーム内の各マクロブロックに対する量子化パラメータが制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−215460号公報
【特許文献2】特開平10−243399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
GOP単位又はフレーム単位の符号量を目標符号量として制御する方法では、目標コンスタントビットレートを得るための平均区間が長く、符号量のピーク値として比較的大きな値が許容されるため、画質の向上を図ることが可能である。しかしながら、平均区間が長いということはバッファ時間が大きいことを意味し、エンコード処理に伴う遅延量が必然的に大きくなる。従って、GOP単位又はフレーム単位の符号量制御は、記録番組の再生等のような遅延制限のないアプリケーションには適しているが、遅延制限の厳しいアプリケーションには適していない。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、GOP単位やフレーム単位で符号量制御を行う場合と比較すると、遅延量を削減することが可能な画像処理装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る画像処理装置は、画像信号に対する量子化処理を含むエンコード処理を実行するエンコーダと、前記量子化処理における量子化パラメータを制御する制御部とを備え、前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、基準値に対する増減値として決定し、1フレーム内に含まれるマクロブロックの総数未満の所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0007】
第1の態様に係る画像処理装置によれば、制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、基準値に対する増減値として決定し、1フレーム内に含まれるマクロブロックの総数未満の所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に基づいて、増減値を決定する。従って、GOP単位やフレーム単位で符号量制御を行う場合と比較すると、遅延量を削減することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る画像処理装置は、第1の態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値に基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0009】
第2の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値に基づいて、増減値を決定する。従って、複雑な画像がマクロブロックの一部に含まれている場合であっても、その複雑な画像の影響によって量子化パラメータが過剰に大きく設定される事態を回避することが可能となる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る画像処理装置は、第1又は第2の態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックに関する動き探索処理によって得られる予測誤差の絶対値和に基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0011】
第3の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックに関する動き探索処理によって得られる予測誤差の絶対値和に基づいて、増減値を決定する。従って、マクロブロックの予測誤差の絶対値和に応じて、適切な量子化パラメータを設定することが可能となる。例えば、予測誤差の絶対値和が所定のしきい値未満であるマクロブロックに関しては、発生符号量が少ない領域と判断して、増減値を所定値だけ下げるという調整を行うことができる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る画像処理装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量に基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0013】
第4の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量に基づいて、増減値を決定する。従って、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量が目標符号量より小さい場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを小さく設定することにより、画質の向上を図ることが可能となる。一方、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量が目標符号量より大きい場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを大きく設定することにより、発生符号量を抑制することが可能となる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る画像処理装置は、第1の態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差と、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値とに基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0015】
第5の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差と、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値とに基づいて、増減値を決定する。従って、目標符号量と発生符号量との差と、所定の属性値とに応じて、適切な量子化パラメータを設定することが可能となる。例えば、画質の劣化が目立ちやすい属性のマクロブロックに関しては、量子化パラメータを小さく設定することにより、画質の向上を図ることができ、一方、画質の劣化が目立ちにくい属性のマクロブロックに関しては、量子化パラメータを大きく設定することにより、発生符号量を抑制することができる。また、目標符号量に対して発生符号量が少ない場合(つまり余剰の符号量が多い場合)に
は、量子化パラメータを小さく設定することにより、画質の向上を図ることができ、一方、目標符号量に対して発生符号量が多い場合(つまり余剰の符号量が少ない場合)には、量子化パラメータを大きく設定することにより、発生符号量を抑制することができる。
【0016】
本発明の第6の態様に係る画像処理装置は、第5の態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関するエッジ抽出処理の結果に基づいて、前記属性値を決定することを特徴とするものである。
【0017】
第6の態様に係る画像処理装置によれば、制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関するエッジ抽出処理の結果に基づいて、属性値を決定する。従って、エッジ抽出処理の結果、マクロブロック内に文字が含まれていると判定された場合には、量子化パラメータが小さくなるような属性値を設定することにより、画質の向上を図ることができる。
【0018】
本発明の第7の態様に係る画像処理装置は、第6の態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値に基づいて、前記属性値を決定することを特徴とするものである。
【0019】
第7の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値に基づいて、属性値を決定する。従って、複雑な画像がマクロブロックの一部に含まれている場合には、量子化パラメータが小さくなるような属性値を設定することにより、その複雑な画像の影響によって量子化パラメータが過剰に大きく設定される事態を回避することが可能となる。
【0020】
本発明の第8の態様に係る画像処理装置は、第6又は第7の態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値に基づいて、前記属性値を決定することを特徴とするものである。
【0021】
第8の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値に基づいて、属性値を決定する。従って、活発性評価値が小さい場合には、量子化パラメータが小さくなるような属性値を設定することにより、画質の向上を図ることができ、一方、活発性評価値が大きい場合には、量子化パラメータが大きくなるような属性値を設定することにより、発生符号量を抑制することができる。
【0022】
本発明の第9の態様に係る画像処理装置は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、前記基準値が所定値未満である場合には、前記基準値として前記所定値を用いることを特徴とするものである。
【0023】
第9の態様に係る画像処理装置によれば、制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、基準値が所定値未満である場合には、基準値として所定値を用いる。従って、量子化パラメータを素早く増加させることができるため、効果的に発生符号量を抑制することが可能となる。
【0024】
本発明の第10の態様に係る画像処理装置は、第1〜第9のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少
させる場合において、前記基準値が所定値を超える場合には、前記基準値として前記所定値を用いることを特徴とするものである。
【0025】
第10の態様に係る画像処理装置によれば、制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少させる場合において、基準値が所定値を超える場合には、基準値として所定値を用いる。従って、量子化パラメータを素早く減少させることができるため、効果的に画質を向上することが可能となる。
【0026】
本発明の第11の態様に係る画像処理装置は、第9又は第10の態様に係る画像処理装置において特に、前記所定値は、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値に応じて異なる値に設定されることを特徴とするものである。
【0027】
第11の態様に係る画像処理装置によれば、所定値は、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値に応じて異なる値に設定される。従って、画像の複雑度合いに応じて適切な所定値を設定することが可能となる。
【0028】
本発明の第12の態様に係る画像処理装置は、第9又は第10の態様に係る画像処理装置において特に、前記所定値は、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値に応じて異なる値に設定されることを特徴とするものである。
【0029】
第12の態様に係る画像処理装置によれば、所定値は、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値に応じて異なる値に設定される。従って、画質の劣化の目立ち度合いに応じて適切な所定値を設定することが可能となる。
【0030】
本発明の第13の態様に係る画像処理装置は、第9、第10、又は第12の態様に係る画像処理装置において特に、前記所定値は、所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に応じて異なる値に設定されることを特徴とするものである。
【0031】
第13の態様に係る画像処理装置によれば、所定値は、所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に応じて異なる値に設定される。従って、符号量の余剰の度合いに応じて適切な所定値を設定することが可能となる。
【0032】
本発明の第14の態様に係る画像処理装置は、第1〜第13のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、前回処理したフレーム内における、現在の処理対象のマクロブロックに対応する領域に関する発生符号量に基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0033】
第14の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、前回処理したフレーム内における、現在の処理対象のマクロブロックに対応する領域に関する発生符号量に基づいて、増減値を決定する。従って、量子化パラメータが大きく設定されている領域がフレーム内の同一箇所に集中する事態を回避できるため、複数のフレームにおいて当該領域が連続することに起因する画質の劣化を回避することが可能となる。
【0034】
本発明の第15の態様に係る画像処理装置は、第1〜第13のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックよりも先の複数のマクロブロック内における、文字領域の発生状況に基づいて、前記増減値を決定することを特徴とするものである。
【0035】
第15の態様に係る画像処理装置によれば、制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックよりも先の複数のマクロブロック内における、文字領域の発生状況に基づいて、増減値を決定する。従って、先に文字領域が多く発生する状況が想定された場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを大きく設定して予め発生符号量を抑制することにより、将来の例外処理の発生を抑制することが可能となる。
【0036】
本発明の第16の態様に係る画像処理装置は、第1〜第15のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記マクロブロックはイントラマクロブロックを含むことを特徴とするものである。
【0037】
第16の態様に係る画像処理装置によれば、マクロブロックにはイントラマクロブロックが含まれる。従って、イントラマクロブロックに関しても同様の符号量制御を行うことが可能となる。
【0038】
本発明の第17の態様に係る画像処理装置は、第16の態様に係る画像処理装置において特に、前記イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値が設定されていることを特徴とするものである。
【0039】
第17の態様に係る画像処理装置によれば、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値が設定されている。イントラマクロブロックに関しては、量子化パラメータを大きい値に設定すると画質の劣化が目立ちやすいため、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータに上限値を設定することにより、画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0040】
本発明の第18の態様に係る画像処理装置は、第1〜第17のいずれか一つの態様に係る画像処理装置において特に、前記制御部は、直前に処理した所定の複数のマクロブロックに関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値を超えている場合には、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定することを特徴とするものである。
【0041】
第18の態様に係る画像処理装置によれば、制御部は、直前に処理した所定の複数のマクロブロックに関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値を超えている場合には、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定する。このように、発生符号量がしきい値を超えている場合には強制的に量子化パラメータを大きく設定するという例外処理を行うことにより、発生符号量が最大許容符号量を超える事態を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、GOP単位やフレーム単位で符号量制御を行う場合と比較すると、遅延量を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】マクロブロック単位でのエンコード処理の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した制御部の第1の構成例を示すブロック図である。
【図4】増減値の決定手法の一例を示す図である。
【図5】増減値の決定手法の一例を示す図である。
【図6】増減値の決定手法の一例を示す図である。
【図7】図2に示した制御部の第2の構成例を示すブロック図である。
【図8】増減値の決定手法の一例を示す図である。
【図9】図2に示した制御部の第3の構成例を示すブロック図である。
【図10】属性値の決定手法の一例を示すフローチャートである。
【図11】増減値の決定手法の一例を示す図である。
【図12】所定値の決定手法の一例を示す図である。
【図13】所定値の決定手法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0045】
実施の形態1.
図1は、マクロブロック単位でのエンコード処理の一例を示す図である。図1には、行方向(横方向)に1280画素、列方向(縦方向)に720画素を有する1フレームの画像を例示している。1フレームは、行方向に16画素ごと、列方向に16画素ごとにマクロブロックとして分割される。従って、1フレームは、行方向に80個、列方向に45個のマクロブロックに分割される。なお、1行分に相当する80個のマクロブロックの集合は、マクロブロックラインと称される。
【0046】
図2は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像処理装置1は、エンコーダ2及び制御部3を備えて構成されている。エンコーダ2は、MPEG−2又はMPEG−4等の動画像に関する規格に準拠しており、圧縮符号化前の画像信号S1に対して量子化処理及び符号化処理等の画像処理を施すことにより、圧縮符号化後の画像信号S4を出力する。画像信号S4は、画像処理装置1から無線LAN等によって表示装置(図示しない)に伝送され、表示装置において動画像が表示される。
【0047】
制御部3には、画像信号S1,S4が入力されるとともに、1マクロブロックあたりの最大許容符号量を示す信号S2Aと、1マクロブロックあたりの目標符号量を示す信号S2Bとが入力される。ここで、1マクロブロックあたりの最大許容符号量は、画像処理装置1から表示装置への最大ビットレート(例えば18Mbps)と、動画像のフレームレート(例えば60fps)と、1フレーム内のマクロブロックの総数(例えば3600個)とに基づいて算出される。同様に、1マクロブロックあたりの目標符号量は、画像処理装置1から表示装置への目標ビットレート(例えば14Mbps)と、動画像のフレームレートと、1フレーム内のマクロブロックの総数とに基づいて算出される。制御部3は、これらの信号S1,S2A,S2B,S4に基づいて、エンコーダ2内での量子化処理における量子化パラメータを、制御信号S3によって制御する。
【0048】
図3は、図2に示した制御部3の第1の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、制御部3は、全体評価値演算部10、部分評価値演算部11、パラメータ決定部12、記憶部13、及びビット数カウンタ14を備えて構成されている。画像信号S1は、全体評価値演算部10及び部分評価値演算部11に入力される。信号S2A,S2Bは、パラメータ決定部12に入力される。画像信号S4は、ビット数カウンタ14に入力される。制御信号S3は、パラメータ決定部12から出力される。
【0049】
全体評価演算部10は、画像信号S1に基づいて、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値ACT1(詳細は後述)を算出する。部分評価値演算部11は、画像信号S1に基づいて、現在の処理対象のマクロブロックの複数の部分領域に関
する活発性評価値の最小値ACT2(詳細は後述)を算出する。記憶部13には、後述する各種のしきい値や定数値等に関するデータが記憶されている。ビット数カウンタ14は、画像信号S4に基づいて発生符号量を求める。
【0050】
以下、本実施の形態に係る画像処理装置1の動作について説明する。パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値QP3として決定する。つまり、パラメータ決定部12は、QP1=QP2+QP3なる演算を行うことにより、量子化パラメータQP1を求める。
【0051】
パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックから遡った1マクロブロックラインに関する量子化パラメータの平均値を、基準値QP2として用いる。但し、先頭のマクロブロックに関しては、所定の定数値が基準値QP2として用いられる。また、処理済みのマクロブロックの総数が1マクロブロックラインに満たない場合には、処理済みのマクロブロックに関する量子化パラメータの平均値が基準値QP2として用いられる。
【0052】
また、パラメータ決定部12は、QP3=QP3A+QP3B+QP3Cなる演算を行うことにより、増減値QP3を求める。
【0053】
具体的に、パラメータ決定部12は、1マクロブロックラインあたりの目標符号量と、直前に処理した1マクロブロックラインに関する発生符号量との差(ΔB1=発生符号量−目標符号量)に基づいて、増減値QP3Aを決定する。図4は、増減値QP3Aの決定手法の一例を示す図である。差ΔB1がしきい値Th00(例えば−1000ビット)未満である場合には、増減値QP3Aは値α0(例えば−4)に設定される。差ΔB1がしきい値Th00以上かつしきい値Th01(例えば−500ビット)未満である場合には、増減値QP3Aは値α1(例えば−2)に設定される。差ΔB1がしきい値Th01以上かつしきい値Th02(例えば0ビット)未満である場合には、増減値QP3Aは値α2(例えば−1)に設定される。差ΔB1がしきい値Th02以上かつしきい値Th03(例えば500ビット)未満である場合には、増減値QP3Aは値α3(例えば1)に設定される。差ΔB1がしきい値Th03以上かつしきい値Th04(例えば1000ビット)未満である場合には、増減値QP3Aは値α4(例えば2)に設定される。差ΔB1がしきい値Th04以上である場合には、増減値QP3Aは値α5(例えば4)に設定される。
【0054】
また、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域(つまり、上辺を含む縦4画素×横16画素の領域、下辺を含む縦4画素×横16画素の領域、左辺を含む縦16画素×横4画素の領域、及び右辺を含む縦16画素×横4画素の領域)に関する活発性評価値の最小値(ACT2)に基づいて、増減値QP3Bを決定する。図5は、増減値QP3Bの決定手法の一例を示す図である。最小値ACT2がしきい値Th10(例えば2)未満である場合には、増減値QP3Bは値β0(例えば−4)に設定される。最小値ACT2がしきい値Th10以上かつしきい値Th11(例えば5)未満である場合には、増減値QP3Bは値β1(例えば−2)に設定される。最小値ACT2がしきい値Th11以上かつしきい値Th12(例えば10)未満である場合には、増減値QP3Bは値β2(例えば0)に設定される。最小値ACT2がしきい値Th12以上かつしきい値Th13(例えば30)未満である場合には、増減値QP3Bは値β3(例えば2)に設定される。最小値ACT2がしきい値Th13以上である場合には、増減値QP3Bは値β4(例えば4)に設定される。なお、活発性評価値は、マクロブロック内における画素値のばらつきの度合いを示す指標(画素情報)であり、例えば、そのマクロブロックの輝度平均値と各画素の輝度値との差分絶対値和を、そのマクロブロック内の画素数で除算した値として得られる。
【0055】
また、パラメータ決定部12は、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量(PB)に基づいて、増減値QP3Cを決定する。図6は、増減値QP3Cの決定手法の一例を示す図である。発生符号量PBがしきい値Th20(例えば1マクロブロックあたりの目標符号量の1/2)未満である場合には、増減値QP3Cは値γ0(例えば−2)に設定される。発生符号量PBがしきい値Th20以上かつしきい値Th21(例えば目標符号量)未満である場合には、増減値QP3Cは値γ1(例えば−1)に設定される。発生符号量PBがしきい値Th21以上かつしきい値Th22(例えば目標符号量の3/2)未満である場合には、増減値QP3Cは値γ2(例えば1)に設定される。発生符号量PBがしきい値Th22以上である場合には、増減値QP3Cは値γ3(例えば2)に設定される。
【0056】
上記の通り、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値QP3として決定する。ここで、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、基準値QP2が所定値K1未満である場合には、基準値QP2として所定値K1を用いる。同様に、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少させる場合において、基準値QP2が所定値K2を超える場合には、基準値QP2として所定値K2を用いる。
【0057】
所定値K1,K2は、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値(ACT1)に応じて異なる値に設定される。例えば、所定値K1は、活発性評価値ACT1が5未満である場合は20に、5以上10未満である場合には25に、10以上である場合には30に、それぞれ設定される。また例えば、所定値K2は、活発性評価値ACT1が5未満である場合には25に、5以上である場合には51に、それぞれ設定される。
【0058】
画像処理装置1の処理対象であるマクロブロックには、所定の頻度(例えば1マクロブロックラインに1個又は2個の割合)でイントラマクロブロック(フレーム間予測を用いないマクロブロック)が含まれる。ここで、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値QPM(例えば30)が設定されている。パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックがイントラマクロブロックである場合において、上述のアルゴリズムによって決定した量子化パラメータQP1が上限値QPMを超える場合には、そのイントラマクロブロックに関する量子化パラメータを上限値QPMに設定する。
【0059】
また、パラメータ決定部12は、直前に処理した所定数のマクロブロック(許容伝送遅延に相当する例えば15マクロブロックライン)に関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値(例えば最大許容符号量の98%)を超えている場合には、上述したアルゴリズムによる量子化パラメータの決定処理を行わずに、所定の例外処理を実行する。具体的に、パラメータ決定部12は、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値(例えば2)を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定する。当該発生符号量が当該しきい値以下となるまで、例外処理は継続される。
【0060】
図7は、図2に示した制御部3の第2の構成例を示すブロック図である。図3に示した構成に対して、SAD演算部15が追加されている。SAD演算部15は、現在の処理対象のマクロブロックに関して、そのマクロブロックに関する動き探索処理によって得られる予測誤差の絶対値和(SAD)を算出する。パラメータ決定部12は、現在の処理対象
のマクロブロックに関する予測誤差の絶対値和SADに基づいて、増減値QP3を調整する。図8は、増減値QP3の調整手法の一例を示す図である。予測誤差の絶対値和SADに関するしきい値Th30(例えば500)が予め設定されており、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する予測誤差の絶対値和SADがしきい値Th30未満である場合には、上述のアルゴリズムによって求めた増減値QP3に対して所定値σ0(例えば−3)を加算する。一方、予測誤差の絶対値和SADがしきい値Th30以上である場合には、増減値QP3に対して所定値σ1(例えば0)を加算する。パラメータ決定部12のその他の処理は、上記と同様である。
【0061】
このように本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値QP3として決定し、1フレーム内に含まれるマクロブロックの総数未満の所定数のマクロブロック(上記の例では1マクロブロックライン)あたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差ΔB1に基づいて、増減値QP3Aを決定する。従って、GOP単位やフレーム単位で符号量制御を行う場合と比較すると、遅延量を削減することが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値ACT2に基づいて、増減値QP3Bを決定する。従って、複雑な画像がマクロブロックの一部に含まれている場合であっても、その複雑な画像の影響によって量子化パラメータQP1が過剰に大きく設定される事態を回避することが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する動き探索処理によって得られる予測誤差の絶対値和SADに基づいて、増減値QP3を調整する。従って、マクロブロックの予測誤差の絶対値和SADに応じて、適切な量子化パラメータを設定することが可能となる。例えば、予測誤差の絶対値和SADが所定のしきい値Th30未満であるマクロブロックに関しては、発生符号量が少ない領域と判断して、増減値QP3を所定値だけ下げるという調整を行うことができる。
【0064】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量PBに基づいて、増減値QP3Cを決定する。従って、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量が目標符号量より小さい場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を小さく設定することにより、画質の向上を図ることが可能となる。一方、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量が目標符号量より大きい場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を大きく設定することにより、発生符号量を抑制することが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、基準値QP2が所定値K1未満である場合には、基準値QP2として所定値K1を用いる。従って、量子化パラメータを素早く増加させることができるため、効果的に発生符号量を抑制することが可能となる。
【0066】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少させる場合において、基準値QP2が所定値K2を超える場合には、基準値QP2として所定値K2を用いる。従って、量子化パラメータを素早く
減少させることができるため、効果的に画質を向上することが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、所定値K1,K2は、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値ACT1に応じて異なる値に設定される。従って、画像の複雑度合いに応じて適切な所定値K1,K2を設定することが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、処理対象であるマクロブロックにはイントラマクロブロックが含まれる。従って、イントラマクロブロックに関しても同様の符号量制御を行うことが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値QPMが設定されている。イントラマクロブロックに関しては、量子化パラメータを大きい値に設定すると画質の劣化が目立ちやすいため、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータに上限値QPMを設定することにより、画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0070】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、直前に処理した所定の複数のマクロブロック(上記の例では15マクロブロックライン)に関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値を超えている場合には、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定する。このように、発生符号量がしきい値を超えている場合には強制的に量子化パラメータを大きく設定するという例外処理を行うことにより、発生符号量が最大許容符号量を超える事態を回避することが可能となる。
【0071】
実施の形態2.
図9は、図2に示した制御部3の第3の構成例を示すブロック図である。図3に示した構成に対して、ソベルフィルタ処理部20が追加されている。ソベルフィルタ処理部20は、現在の処理対象のマクロブロックに関して、ソベルフィルタを用いてエッジ抽出処理を実行する。
【0072】
以下、本実施の形態に係る画像処理装置1の動作について説明する。上記と同様に、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値Q4として決定する。つまり、パラメータ決定部12は、QP1=QP2+QP4なる演算を行うことにより、量子化パラメータQP1を求める。
【0073】
上記実施の形態1と同様に、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックから遡った1マクロブロックラインに関する量子化パラメータの平均値を、基準値QP2として用いる。但し、先頭のマクロブロックに関しては、所定の定数値が基準値QP2として用いられる。また、処理済みのマクロブロックの総数が1マクロブロックラインに満たない場合には、処理済みのマクロブロックに関する量子化パラメータの平均値が基準値QP2として用いられる。
【0074】
また、パラメータ決定部12は、QP4=QP4A+QP4Bなる演算を行うことにより、増減値QP4を求める。
【0075】
具体的に、パラメータ決定部12は、1マクロブロックラインあたりの目標符号量と、直前に処理した1マクロブロックラインに関する発生符号量との差(ΔB1=発生符号量
−目標符号量)に基づいて、増減値QP4A(上記実施の形態1における増減値QP3Aに相当する)を決定する。
【0076】
また、パラメータ決定部12は、許容伝送遅延に相当する例えば15マクロブロックラインあたりの目標符号量と、直前に処理した15マクロブロックラインに関する発生符号量との差(ΔB2=発生符号量−目標符号量)を求める。さらに、パラメータ決定部12は、ソベルフィルタ処理の結果であるエッジ判定値Eと、上記の活発性評価値ACT1と、上記の最小値ACT2とに基づいて、現在の処理対象のマクロブロックに関する属性値Wを決定する。図10は、属性値Wの決定手法の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、エッジ判定値Eがしきい値Th81以上である場合には、そのマクロブロックは文字領域であると判定し、属性値W=0とする。また、最小値ACT2がしきい値Th83未満である場合には、そのマクロブロックは画質の劣化が非常に目立つ領域であると判定し、属性値W=1とする。また、最小値ACT2がしきい値Th83以上かつしきい値Th82未満である場合には、そのマクロブロックは画質の劣化が目立ちやすい領域であると判定し、属性値W=2とする。また、活発性評価値ACT1がしきい値Th84未満である場合には、そのマクロブロックは画質の劣化が目立ちにくい領域であると判定し、属性値W=3とする。また、活発性評価値ACT1がしきい値Th84以上である場合には、そのマクロブロックは画質の劣化が目立たない領域であると判定し、属性値W=4とする。
【0077】
そして、パラメータ決定部12は、差ΔB2と属性値Wとに基づいて、増減値QP4Bを決定する。図11は、増減値QP4Bの決定手法の一例を示す図である。例えば属性値W=0に設定されたマクロブロックに関する増減値QP4Bは、差ΔB2がしきい値Th41未満である場合には例えば2に設定され、差ΔB2がしきい値Th41以上である場合には例えば1に設定される。また、例えば属性値W=4に設定されたマクロブロックに関する増減値QP4Bは、差ΔB2がしきい値Th42未満である場合には例えば5に設定され、差ΔB2がしきい値Th42以上かつしきい値Th43未満である場合には例えば3に設定され、差ΔB2がしきい値Th43以上である場合には例えば1に設定される。
【0078】
上記の通り、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値QP4として決定する。ここで、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、基準値QP2が所定値K3未満である場合には、基準値QP2として所定値K3を用いる。同様に、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少させる場合において、基準値QP2が所定値K4を超える場合には、基準値QP2として所定値K4を用いる。
【0079】
所定値K3,K4は、差ΔB2と属性値Wとに応じて異なる値に設定される。図12は、所定値K3の決定手法の一例を示す図である。例えば属性値W=0に設定されたマクロブロックに関する所定値K3は、差ΔB2に拘わらず例えば20に設定される。また、例えば属性値W=4に設定されたマクロブロックに関する所定値K3は、差ΔB2がしきい値Th51未満である場合には例えば40に設定され、差ΔB2がしきい値Th51以上かつしきい値Th52未満である場合には例えば30に設定され、差ΔB2がしきい値Th52以上である場合には例えば20に設定される。図13は、所定値K4の決定手法の一例を示す図である。例えば属性値W=0に設定されたマクロブロックに関する所定値K4は、差ΔB2がしきい値Th61未満である場合には例えば51に設定され、差ΔB2がしきい値Th61以上かつしきい値Th62未満である場合には例えば40に設定され
、差ΔB2がしきい値Th62以上である場合には例えば35に設定される。また、例えば属性値W=4に設定されたマクロブロックに関する所定値K4は、差ΔB2に拘わらず例えば51に設定される。
【0080】
また、パラメータ決定部12は、前回処理したフレーム内における、現在の処理対象のマクロブロックに対応する領域に関する発生符号量に基づいて、増減値QP4を補正する。具体的には、1フレーム前の同一箇所のマクロブロックに関する発生符号量が目標符号量を超えている場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関して求めた増減値QP4に、定数値(例えば6)を加算する。この補正処理は、上記実施の形態1にも適用可能である。
【0081】
また、パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックよりも先の複数のマクロブロック内における、文字領域の発生状況に基づいて、増減値QP4を補正する。具体的には、同一フレーム内において現在の処理対象のマクロブロックよりも先の複数のマクロブロック(例えば1マクロブロックライン)に関して、ソベルフィルタ処理の結果に基づいて文字領域の発生割合を求める。そして、その発生割合が所定のしきい値を超えている場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関して求めた増減値QP4に、定数値(例えば5)を加算する。この補正処理は、上記実施の形態1にも適用可能である。
【0082】
上記実施の形態1と同様に、画像処理装置1の処理対象であるマクロブロックには、所定の頻度でイントラマクロブロックが含まれる。ここで、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値QPM(例えば30)が設定されている。パラメータ決定部12は、現在の処理対象のマクロブロックがイントラマクロブロックである場合において、上述のアルゴリズムによって決定した量子化パラメータQP1が上限値QPMを超える場合には、そのイントラマクロブロックに関する量子化パラメータを上限値QPMに設定する。
【0083】
また、上記実施の形態1と同様に、パラメータ決定部12は、直前に処理した所定数のマクロブロック(例えば15マクロブロックライン)に関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値(例えば最大許容符号量の98%)を超えている場合には、上述したアルゴリズムによる量子化パラメータの決定処理を行わずに、所定の例外処理を実行する。具体的に、パラメータ決定部12は、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値(例えば2)を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定する。当該発生符号量が当該しきい値以下となるまで、例外処理は継続される。
【0084】
このように本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、基準値QP2に対する増減値QP4として決定し、1フレーム内に含まれるマクロブロックの総数未満の所定数のマクロブロック(上記の例では1マクロブロックライン)あたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差ΔB1に基づいて、増減値QP4Aを決定する。従って、GOP単位やフレーム単位で符号量制御を行う場合と比較すると、遅延量を削減することが可能となる。
【0085】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、所定数のマクロブロック(上記の例では15マクロブロックライン)あたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差ΔB2と、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値Wとに基づいて、増減値QP4Bを決定する。従って、目標符号量と発生符号量との差ΔB2と、所定の属性値Wとに応じて、適切な量子化パラメータを設定することが可能となる。例えば、画質の劣化が目立ちやすい属性のマクロブ
ロックに関しては、量子化パラメータを小さく設定することにより、画質の向上を図ることができ、一方、画質の劣化が目立ちにくい属性のマクロブロックに関しては、量子化パラメータを大きく設定することにより、発生符号量を抑制することができる。また、目標符号量に対して発生符号量が少ない場合(つまり余剰の符号量が多い場合)には、量子化パラメータを小さく設定することにより、画質の向上を図ることができ、一方、目標符号量に対して発生符号量が多い場合(つまり余剰の符号量が少ない場合)には、量子化パラメータを大きく設定することにより、発生符号量を抑制することができる。
【0086】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関するエッジ抽出処理の結果に基づいて、属性値Wを決定する。従って、エッジ抽出処理の結果、マクロブロック内に文字が含まれていると判定された場合には、量子化パラメータが小さくなるような属性値Wを設定することにより、画質の向上を図ることができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値ACT2に基づいて、属性値Wを決定する。従って、複雑な画像がマクロブロックの一部に含まれている場合には、量子化パラメータが小さくなるような属性値Wを設定することにより、その複雑な画像の影響によって量子化パラメータが過剰に大きく設定される事態を回避することが可能となる。
【0088】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値ACT1に基づいて、属性値Wを決定する。従って、活発性評価値ACT1が小さい場合には、量子化パラメータが小さくなるような属性値Wを設定することにより、画質の向上を図ることができ、一方、活発性評価値ACT1が大きい場合には、量子化パラメータが大きくなるような属性値Wを設定することにより、発生符号量を抑制することができる。
【0089】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、基準値QP2が所定値K3未満である場合には、基準値QP2として所定値K3を用いる。従って、量子化パラメータを素早く増加させることができるため、効果的に発生符号量を抑制することが可能となる。
【0090】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータQP1を、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少させる場合において、基準値QP2が所定値K4を超える場合には、基準値QP2として所定値K4を用いる。従って、量子化パラメータを素早く減少させることができるため、効果的に画質を向上することが可能となる。
【0091】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、所定値K3,K4は、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値Wに応じて異なる値に設定される。従って、画質の劣化の目立ち度合いに応じて適切な所定値K3,K4を設定することが可能となる。
【0092】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、所定値K3,K4は、所定数のマクロブロック(上記の例では15マクロブロックライン)あたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差ΔB2に応じて異なる値に設定される。従って、符号量の余剰の度合いに応じて適切な所定値K3,K4を設定することが可能となる。
【0093】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、前回処理したフレーム内における、現在の処理対象のマクロブロックに対応する領域に関する発生符号量に基づいて、増減値QP4を決定する。従って、量子化パラメータが大きく設定されている領域がフレーム内の同一箇所に集中する事態を回避できるため、複数のフレームにおいて当該領域が連続することに起因する画質の劣化を回避することが可能となる。
【0094】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、現在の処理対象のマクロブロックよりも先の複数のマクロブロック(上記の例では1マクロブロックライン)内における、文字領域の発生状況に基づいて、増減値QP4を決定する。従って、先に文字領域が多く発生する状況が想定された場合には、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを大きく設定して予め発生符号量を抑制することにより、将来の例外処理の発生を抑制することが可能となる。
【0095】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、処理対象であるマクロブロックにはイントラマクロブロックが含まれる。従って、イントラマクロブロックに関しても同様の符号量制御を行うことが可能となる。
【0096】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値QPMが設定されている。イントラマクロブロックに関しては、量子化パラメータを大きい値に設定すると画質の劣化が目立ちやすいため、イントラマクロブロックに関する量子化パラメータに上限値QPMを設定することにより、画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0097】
また、本実施の形態に係る画像処理装置1によれば、制御部3は、直前に処理した所定の複数のマクロブロック(上記の例では15マクロブロックライン)に関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値を超えている場合には、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定する。このように、発生符号量がしきい値を超えている場合には強制的に量子化パラメータを大きく設定するという例外処理を行うことにより、発生符号量が最大許容符号量を超える事態を回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0098】
1 画像処理装置
2 エンコーダ
3 制御部
10 全体評価値演算部
11 部分評価値演算部
12 パラメータ決定部
13 記憶部
14 ビット数カウンタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号に対する量子化処理を含むエンコード処理を実行するエンコーダと、
前記量子化処理における量子化パラメータを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、基準値に対する増減値として決定し、
1フレーム内に含まれるマクロブロックの総数未満の所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に基づいて、前記増減値を決定する、画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値に基づいて、前記増減値を決定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックに関する動き探索処理によって得られる予測誤差の絶対値和に基づいて、前記増減値を決定する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部はさらに、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量に基づいて、前記増減値を決定する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部はさらに、所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差と、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値とに基づいて、前記増減値を決定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関するエッジ抽出処理の結果に基づいて、前記属性値を決定する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値に基づいて、前記属性値を決定する、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値に基づいて、前記属性値を決定する、請求項6又は7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、前記基準値が所定値未満である場合には、前記基準値として前記所定値を用いる、請求項1〜8のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少させる場合において、前記基準値が所定値を超える場合には、前記基準値として前記所定値を用いる、請求項1〜9のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記所定値は、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値に応じて異なる値に設定される、請求項9又は10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記所定値は、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値に応じて異なる値に設定される、請求項9又は10に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記所定値は、所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に応じて異なる値に設定される、請求項9,10,12のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記制御部はさらに、前回処理したフレーム内における、現在の処理対象のマクロブロックに対応する領域に関する発生符号量に基づいて、前記増減値を決定する、請求項1〜13のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックよりも先の複数のマクロブロック内における、文字領域の発生状況に基づいて、前記増減値を決定する、請求項1〜13のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記マクロブロックはイントラマクロブロックを含む、請求項1〜15のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値が設定されている、請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記制御部は、直前に処理した所定の複数のマクロブロックに関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値を超えている場合には、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定する、請求項1〜17のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項1】
画像信号に対する量子化処理を含むエンコード処理を実行するエンコーダと、
前記量子化処理における量子化パラメータを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、基準値に対する増減値として決定し、
1フレーム内に含まれるマクロブロックの総数未満の所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に基づいて、前記増減値を決定する、画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値に基づいて、前記増減値を決定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックに関する動き探索処理によって得られる予測誤差の絶対値和に基づいて、前記増減値を決定する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部はさらに、前回処理したマクロブロックに関する発生符号量に基づいて、前記増減値を決定する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部はさらに、所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差と、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値とに基づいて、前記増減値を決定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関するエッジ抽出処理の結果に基づいて、前記属性値を決定する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックにおける四辺の各領域に関する活発性評価値の最小値に基づいて、前記属性値を決定する、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値に基づいて、前記属性値を決定する、請求項6又は7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して増加させる場合において、前記基準値が所定値未満である場合には、前記基準値として前記所定値を用いる、請求項1〜8のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータを、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに対して減少させる場合において、前記基準値が所定値を超える場合には、前記基準値として前記所定値を用いる、請求項1〜9のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記所定値は、現在の処理対象のマクロブロックの全体領域に関する活発性評価値に応じて異なる値に設定される、請求項9又は10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記所定値は、現在の処理対象のマクロブロックに関する所定の属性値に応じて異なる値に設定される、請求項9又は10に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記所定値は、所定数のマクロブロックあたりの目標符号量と、直前に処理した当該所定数のマクロブロックに関する発生符号量との差に応じて異なる値に設定される、請求項9,10,12のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記制御部はさらに、前回処理したフレーム内における、現在の処理対象のマクロブロックに対応する領域に関する発生符号量に基づいて、前記増減値を決定する、請求項1〜13のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記制御部はさらに、現在の処理対象のマクロブロックよりも先の複数のマクロブロック内における、文字領域の発生状況に基づいて、前記増減値を決定する、請求項1〜13のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記マクロブロックはイントラマクロブロックを含む、請求項1〜15のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記イントラマクロブロックに関する量子化パラメータには、所定の上限値が設定されている、請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記制御部は、直前に処理した所定の複数のマクロブロックに関する発生符号量が、最大許容符号量に応じて設定される所定のしきい値を超えている場合には、前回処理したマクロブロックに関する量子化パラメータに定数値を加算した値を、現在の処理対象のマクロブロックに関する量子化パラメータとして設定する、請求項1〜17のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−146883(P2011−146883A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5440(P2010−5440)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]