説明

画像出力装置、プログラムおよびシステム

【課題】 プルプリント処理におけるプレビュー画像表示を行うための画像出力装置、プログラムおよびシステムを提供すること。
【解決手段】 ネットワーク12を介して画像保管装置50から画像を呼び寄せて出力する画像出力装置20であって、画像出力装置20は、画像保管装置50に対し、出力可能な画像データを問い合わせるリスト問い合わせ部126と、問い合わせ結果に含まれる出力可能な画像データの中から、プレビュー表示させる表示対象の選択を受け付ける操作受付部114とを含む。画像出力装置20は、さらに、画像保管装置50に対し、表示対象のプレビュー画像を要求し、当該画像出力装置20で表示可能な形式にて生成された表示対象の画像データのプレビュー画像データを取得するプレビュー画像取得部130と、取得したプレビュー画像データを用いて表示対象の画像データのプレビュー表示画面を表示させる表示部112とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プルプリント処理に関し、より詳細には、プルプリント処理におけるプレビュー画像表示を行うための画像出力装置、プログラムおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合機など画像出力装置の操作パネル上で、予めウェブ・サーバやファイル・サーバに登録しておいたファイルを選択して、印刷出力する、いわゆるプルプリント機能が知られている。例えば、特開2004−38800号公報(特許文献1)は、参照情報で参照されるリソースを取得し、取得したリソースに基づき画像形成して出力する画像形成装置を開示している。特開2007−102802号公報(特許文献2)は、外部機器がネットワーク上の情報に対応するポインタを画像出力装置に送信し、画像出力装置が該ポインタに基づきネットワーク上の情報を取得し、その情報を出力する画像出力システムを開示している。
【0003】
上述のようなプルプリントにおいては、ユーザが操作パネル上で印刷対象を指定する必要があり煩雑であることから、特開2007−200284号公報(特許文献3)は、プルプリント・システムにおける印刷対象データの指定を容易に行うことを目的とした情報処理装置を開示している。この情報処理装置は、印刷装置から送信されてくる複数の印刷ジョブに共通した識別情報に基づいて読み込みが可能な形態で、1又は複数の印刷ジョブを保持する。情報処理装置は、印刷装置が識別情報を伴う要求を発行すると、発行された要求を受信し、該要求に含まれる識別情報に基づいて1又は複数の印刷ジョブを読み込み印刷装置へ出力する。
【0004】
さらに、近年の搭載ディスプレイの高精細化に伴って、操作パネル上で印刷や送信する画像を事前確認できるプレビュー機能を備える複合機も提供されている。例えば特開2010−240913号公報(特許文献4)は、プルプリント・システムにおいて、画像処理装置側で、ユーザが特定の印刷データを選択してプレビュー指示を行ったことに応答して、ストレージ・サーバに当該特定の印刷データを要求して印刷データを取得し、プレビュー画像を生成し、生成したプレビュー画像を表示する構成を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際の画像出力装置においては、操作パネル上に表示可能な画像ファイルのフォーマットやサイズには、メーカによって多少の相違はあるものの、一定の制限があり、この制限に起因して利便性が低下する可能性がある。
【0006】
近年では、画像出力装置を様々な業務フローの工程に組み込んだ複合型業務が企業を跨ぐ形で行われる傾向があり、種々のメーカが提供する画像出力装置やアプリケーションが業務フローに混在して組み込まれるケースが増加している。従来では、業務フローの各工程におけるデータの提供元の機器と入力先の機器との間で、上述した制限に対応するべく個別対応を行っていた。しかしながら、上記画像出力装置を用いる業務フローの工程は、必ずしも固定化しておらず、扱うデータや業務フローを最適化するたびに動的に変化し、複雑化してゆく傾向にあり、この変化に対応して都度個別対応することは困難である。また企業等のオフィス環境においては、画像出力装置の配置場所を問わず所望の画像処理を実現する、いわゆるロケーションフリー化も進められている。しかしながら、上述のような種々のメーカの画像出力装置が混在する環境においては、上記制限に起因してロケーションフリーの恩恵を充分に受けなくなる可能性がある。プルプリントにおけるプレビュー画像表示においても、提供元からのデータと入力先の画像出力装置との関係によっては、上述した制限により、事前プレビューができなくなる蓋然性があり、充分なものではなかった。
【0007】
本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、本発明は、ネットワークを介して、画像を保管する画像保管装置から画像を呼び寄せて出力する画像出力装置において、種々の画像データが入力される環境でも、都度個別対応をするという手間をかけることなく、印刷対象の画像データのプレビュー画像表示を行うことが可能な画像出力装置、プログラムおよびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記課題を解決するために、以下の特徴を有する、ネットワークを介して画像保管装置から画像を呼び寄せて出力する画像出力装置を提供する。本画像出力装置は、画像保管装置に対し、出力可能な画像データを問い合わせる問い合わせ手段と、問い合わせ結果に含まれる出力可能な画像データの中から、プレビュー表示させる表示対象の選択を受け付ける受付手段とを備える。本画像出力装置は、さらに、画像保管装置に対し、表示対象のプレビュー画像を要求し、当該画像出力装置で表示可能な形式にて生成された表示対象の画像データのプレビュー画像データを取得するプレビュー画像取得手段と、取得したプレビュー画像データを用いて表示対象の画像データのプレビュー表示画面を表示させる表示手段とをさらに含む。
【0009】
また、本発明では、印刷対象となる画像を保管し、上記画像出力装置から要求された画像を提供する画像保管装置をコンピュータ上に実現するためのコンピュータ実行可能なプログラムを提供することができる。本プログラムは、コンピュータを、上記画像出力装置からの問い合わせに応答して、問い合わせ結果として出力可能な画像データのリストを生成するリスト生成手段、画像出力装置からのプレビュー画像の要求に応答して、出力可能な画像データのリスト中からプレビュー表示させる表示対象として選択された画像データのプレビュー画像データを、画像出力装置で表示可能な形式にて生成するプレビュー画像生成手段、および、生成されたプレビュー画像データを画像出力装置に送信するプレビュー画像送信手段として機能させることができる。
【0010】
さらに本発明では、上記画像出力装置をコンピュータ上に実現するためのコンピュータ実行可能なプログラム、上記画像出力装置と上記画像保管装置をコンピュータ上に実現するためのコンピュータ実行可能なプログラムとを含むシステムを提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
上記構成によれば、プレビュー画像データが、画像保管装置側で、画像出力装置が表示可能なフォーマットにて生成されているため、画像出力装置が表示可能なフォーマットの相違に起因した不具合が回避される。ひいては、画像出力装置との接続に関して、都度個別対応をするという手間が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態のプリント・システムを示す概略図。
【図2】本実施形態の(A)画像形成装置および(B)画像保管装置のハードウェア構成図。
【図3】本実施形態のプリント・システムにおいて実現される機能ブロック図。
【図4】本実施形態のプリントにおいて画像形成装置および画像保管装置間で実行される、プルプリント処理およびプレビュー表示処理を示すシーケンス図。
【図5】(A)本実施形態の画像保管装置が管理する画像データ登録テーブルおよび(B)画像保管装置が抽出する画像データのリストのデータ構造を例示する図。
【図6】本実施形態の画像保管装置が保持する(A)画像形成装置ごとの表示可能な画像フォーマットを管理する管理テーブル、および(B)画像形成装置ごとの印刷可能なフォーマットを管理する管理テーブルのデータ構造を例示する図。
【図7】本実施形態の画像形成装置の操作パネル部が表示するプルプリントにおける(A)選択画面および(B)プレビュー表示画面を例示する図。
【図8】本実施形態のプリント・システムにおいて画像形成装置および画像保管装置が実行する、プルプリントにかかる全体処理を示すフローチャート。
【図9】本実施形態のプリント・システムにおいて画像形成装置および画像保管装置が実行する、プレビュー画像表示処理を示すフローチャート。
【図10】本実施形態のプリント・システムにおいて画像形成装置および画像保管装置が実行する、プルプリント処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明の実施形態は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に説明する実施形態では、画像出力装置としてレーザプリンタおよび複合機と、画像保管装置としてパーソナル・コンピュータとを備えるプリント・システムを用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態のプリント・システムを示す概略図である。図1に示すプリント・システム10は、それぞれネットワーク12に接続されるレーザプリンタ20a、複合機20bおよびパーソナル・コンピュータ50a,50bを含む。これらの装置20a,20b,50a,50bは、ネットワーク12を介して相互接続される。ネットワーク12は、特に限定されるものではないが、イーサネット(登録商標)やTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)などのトランザクション・プロトコルによるLAN(Local Area Network)、VPN(Virtual Private Network)や専用線を使用して接続されるWAN(Wide Area Network)などとして構成することができる。
【0015】
パーソナル・コンピュータ50a,50bは、それぞれ、レーザプリンタ20aおよび複合機20bが印刷出力する対象となる画像データを保管する装置であり、以下、画像保管装置50と参照される。画像保管装置50は、図1には、パーソナル・コンピュータ50a,50bを例示するが、特にこれに限定されるものではなく、ワークステーションやサーバなどの情報処理装置、スマートフォンやPDA(Personal Digital Assistance)などの携帯情報端末、ネットワーク機能を有するディジタルカメラなどの撮像装置とすることができる。画像保管装置50としては、その他、画像データを保管し、ネットワーク12を介して画像データを提供できるよう構成可能な如何なる情報機器を採用することができる。画像保管装置50の数は、図1には、ネットワーク12上に2つ備える場合を示すが、特に限定されるものではなく、1または複数備えることができる。
【0016】
図1に示す画像保管装置50は、データベース、ウェブ・サーバまたはファイルサーバとして、1以上の画像データを登録する。画像保管装置50は、レーザプリンタ20aおよび複合機20bからの画像データに対する要求に応答して、要求にかかる画像データをデータベースまたはファイル・システムから取り出し、適切なフォーマットにて配信する。本実施形態の画像保管装置50は、レーザプリンタ20aおよび複合機20bからの画像データのプレビュー画像の要求に応答して、要求にかかる画像データを取り出し、適切なフォーマットにてプレビュー画像を生成して提供する。
【0017】
画像保管装置50が保管する画像データのデータ形式は、特に限定されるものではないが、PostScript(登録商標)、RPDL、PCL、LIPSなどのページ記述言語(PDL)による印刷フォーマットを挙げることができる。画像データのデータ形式としては、さらに、ビットマップ、JPEG、マルチページTIFFなどの画像フォーマット、ワードプロセッサ、スプレッドシート、プレゼンテーション等の各種オフィススイート固有のまたはPDF(Portable Document Format)、XPS(XML Paper Specification)、ODF(Open Document Format)などの共通の文書フォーマットを挙げることができる。画像データのデータ形式としては、さらに、描画ソフトやCADソフトなどの固有のフォーマットを挙げることができる。画像保管装置50は、さらに、要求元のレーザプリンタ20aおよび複合機20bが印刷可能なように、適宜、画像データのデータ形式を変換する機能を有することができる。
【0018】
レーザプリンタ20aおよび複合機20bは、画像保管装置50が保管する画像データを呼び出して印刷出力する、いわゆるプルプリント機能を備える装置である。レーザプリンタ20aおよび複合機20bは、以下、総称して画像形成装置20と参照される。画像形成装置は、本実施形態における画像出力装置を構成する。画像形成装置20は、図1には、レーザプリンタ20aおよび複合機20bを例示するが、特にこれに限定されるものではない。画像形成装置20は、インクジェット・プリンタ、ジェルジェット・プリンタ、バブルジェット(登録商標)プリンタなどの他のプリンタ装置、またはプリント機能を備えるファクシミリ装置など種々の画像機器として実装される。
【0019】
図1に示す画像形成装置20は、上記画像保管装置50が保管する画像データをプルプリントするため機能を備える。画像形成装置20は、より具体的には、画像データの選択、選択された画像データのプレビュー表示、選択された画像データの印刷出力を行うためのユーザ・インタフェースを提供する。当該画像形成装置20が備える表示デバイス上でプルプリントの指示を受け付ける場合には、画像形成装置20は、上述した選択画面、プレビュー画面を該表示デバイス上に表示させて、画像データの選択指示、プレビュー表示指示、印刷指示などの画像形成装置20のオペレータからの種々の指示を受け付ける。
【0020】
また、図示しない外部端末から画像形成装置20にリモートでアクセスし、外部端末が備える表示デバイス上でプルプリントの指示を受け付ける場合には、画像形成装置20は、ウェブ・サーバ機能などリモート・インタフェースを備える。この場合、画像形成装置20は、ウェブ・ブラウザにより外部端末の表示デバイス上に上記選択画面や上記プレビュー画面を表示するための画面データを生成し、外部端末に配信し、画面を介した操作に応答した各種指示を受信する。
【0021】
なお、以下に説明する実施形態では、説明の便宜上、当該画像形成装置20が備える表示デバイス上でプルプリントが指示されるものとして説明する。しかしながら、他の実施形態では、外部端末から画像形成装置にリモートでアクセスし、外部端末上でウェブ・ブラウザを用いてプルプリントを指定する場合についても、後述する本実施形態のプレビュー表示機能に適用可能である。
【0022】
図2は、本実施形態の(A)画像形成装置20および(B)画像保管装置50のハードウェア構成を示す。図2(A)に示す画像形成装置20は、CPU(中央演算処理装置)を含む制御部22と、RAM(Random Access Memory)などの主記憶部24とを含む。画像形成装置20は、さらに、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの補助記憶部26と、外部記憶装置I/F部28と、NIC(Network interface Card)等のネットワークI/F部30と、印刷部32と、操作パネル部34とを含む。
【0023】
補助記憶部26は、画像データ、文書データ、プログラム、フォントデータやフォームデータなどを蓄積し、また、画像形成装置20を制御するための制御プログラムや各種システム情報や各種設定情報を格納する。外部記憶装置I/F部28は、USBフラッシュメモリ、スマートメディア(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリーカード(登録商標)、miniSD(登録商標)カード、microSD(登録商標)カード、メモリースティック(登録商標)、xDピクチャカード(登録商標)などの外部記憶メディアと接続するためインタフェース部である。
【0024】
ネットワークI/F部30は、画像形成装置20をインターネットやLANなどのネットワークに接続するインタフェース機器である。ネットワークI/F部30は、ネットワーク12を介して、画像保管装置50から画像データのリスト、プレビュー画像データ、印刷データの要求を送信し、これらを受信する。印刷部32は、電子写真方式等の既存の印刷技術によるプロッタ・エンジンを含み、画像形成装置20に対し要求されるコピー、プリントなどのジョブにかかる印刷出力を行う。操作パネル部34は、液晶表示デバイスやハードキー、タッチパネルなどの表示装置および入力装置を含む。操作パネル部34は、画像形成装置20のオペレータからの各種指示の入力を受付け、プレビュー表示画面を含む各種画面表示を行うためのユーザ・インタフェースを提供する。
【0025】
図2(B)に示す画像保管装置50は、シングルコアまたはマルチコアのCPUを含む制御部52と、RAMなどの主記憶部54と、補助記憶部56と、外部記憶装置I/F部58と、ネットワークI/F部60とを含む。画像保管装置50は、さらに、入力部62と、ディスプレイ部64とを含むことができる。入力部62は、マウスおよびキーボードを含み構成される。ディスプレイ部64は、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどの表示デバイスを含み構成される。
【0026】
本実施形態のプリント・システム10は、画像保管装置50から画像形成装置20へ画像を呼び寄せて印刷出力するプルプリント機能、およびプルプリントにおけるプレビュー画像表示するためのプレビュー機能を備える。以下、図3〜図10を参照しながら、本実施形態のプリント・システム10における、プルプリント機能およびプレビュー機能について説明する。図3は、本実施形態のプリント・システムにおいて実現される機能ブロックを示す図である。図3に示す機能ブロックは、画像形成装置20上に実現される機能ブロック100と、画像保管装置50上に実現される機能ブロック150とを含む。
【0027】
画像形成装置側の機能ブロック100は、操作パネル制御部110と、プルプリント・アプリケーション120と、印刷実行部140とを含む。操作パネル制御部110は、図2に示した操作パネル部34を制御する手段である。操作パネル制御部110は、より詳細には、操作パネル部34の表示デバイスの表示を制御する表示部112と、操作パネル部34のタッチパネルに対する操作やハードキーに対する操作を受け付ける操作受付部114とを含む。
【0028】
表示部112は、上記選択画面および上記プレビュー表示画面を表示デバイス上に表示する制御を行う。操作受付部114は、画像データの選択指示、プレビュー表示指示、印刷指示などの上記各種画面を介した種々の指示を受け付ける。印刷実行部140は、図2に示した印刷部32を制御し、印刷対象の画像データにかかる印刷出力処理を実行する。表示部112および操作受付部114は、それぞれ、本実施形態における表示手段および受付手段を構成する。
【0029】
プルプリント・アプリケーション120は、プルプリント処理を実行するためのプリンタ側のソフトウェア手段である。プルプリント・アプリケーション120は、より詳細には、識別情報取得部122と、識別情報保持部124と、リスト問い合わせ部126と、リスト保持部128と、プレビュー画像取得部130と、プレビュー画像保持部132と、印刷データ取得部134と、印刷データ保持部136とを含む。
【0030】
識別情報取得部122は、当該画像形成装置20に予め設定された設定情報を読み出したり、操作パネル制御部110の操作受付部114を介して当該画像形成装置20の操作者からの手動操作を受け付けたりすることで、識別情報を取得し、識別情報保持部124に記憶する。識別情報保持部124は、後述する処理で使用するために識別情報を保持する。ここで識別情報とは、画像形成装置20にネットワーク12を介して接続される画像保管装置50上に存在する、上記操作者が当該画像形成装置20から印刷出力可能な画像データに紐つけられる情報をいう。
【0031】
上記識別情報としては、上記操作者のユーザ認証情報、上記操作者のユーザ情報やプリンタなどの資源を管理するディレクトリ情報、当該画像形成装置20の機体情報、印刷可能な画像データを保管するフォルダを指すURL(Uniform Resource Locator)等のリソース識別情報の少なくとも1つを用いることができる。上記識別情報を採用することにより、当該画像形成装置20自体またはその操作者と、1以上の印刷可能な画像データとを紐つけることができる。
【0032】
リスト問い合わせ部126は、操作受付部114を介して操作者から受け付けた指示に応答して、識別情報保持部124に保持される識別情報を読み出し、ネットワーク12を介して画像保管装置50に問い合わせる。リスト問い合わせ部126は、画像保管装置50に対し、上記識別情報を渡して印刷可能な画像データのリストを要求し、取得したリストをリスト保持部128に記憶する。上記画像データのリストは、印刷可能な画像データを識別する画像識別子の配列として提供される。
【0033】
リスト保持部128は、後述するプレビュー表示およびプルプリントの対象となる画像データを識別するために、取得されたリストを保持する。上記操作パネル制御部110の表示部112は、取得されたリストに従って、印刷可能な画像データを選択可能に一覧表示する選択画面を表示デバイス上に表示させることができる。なお、上記リスト問い合わせ部126は、本実施形態における問い合わせ手段を構成する。
【0034】
プレビュー画像取得部130は、操作受付部114を介して操作者から受け付けた指示に応答して、ネットワーク12を介して画像保管装置50にプレビュー画像を要求する。プレビュー画像取得部130は、画像保管装置50に対し、上記選択画面で選択された画像データに対応するリスト中の画像識別子を渡して、所望の画像データのプレビュー画像を要求し、取得したプレビュー画像データをプレビュー画像保持部132に記憶する。プレビュー表示の対象として選択された画像データは、以下、表示対象画像データとして参照する。なお、上記プレビュー画像取得部130は、本実施形態におけるプレビュー画像取得手段を構成する。
【0035】
プレビュー画像保持部132は、取得された表示対象画像データのプレビュー画像データを保持する。上記表示部112は、取得されたプレビュー画像データに従ってプレビュー表示画面を表示デバイス上に表示させることができる。画像保管装置50から取得されるプレビュー画像データは、詳細は後述するが、画像形成装置20の操作パネル部34に表示可能なフォーマットを有することになる。
【0036】
また、プレビュー画像取得部130は、表示対象画像データが複数ページを含む場合には、好適には、プレビュー表示画面上で行われた表示範囲の変更に応答して、プレビュー表示画面を更新することができる。この場合に、プレビュー画像取得部130は、画像保管装置50に対し、表示対象の画像データの変更された表示範囲によるプレビュー画像を要求して、前記表示可能な形式にて新たに生成されたプレビュー画像データを取得することができる。
【0037】
印刷データ取得部134は、操作受付部114を介して操作者から受け付けた指示に応答して、ネットワーク12を介して画像保管装置50に印刷データを要求する。印刷データ取得部134は、画像保管装置50に対し、選択された画像データの画像識別子を渡して、所望の画像データの印刷データを要求し、取得した印刷データを印刷データ保持部136に記憶する。印刷する対象として選択された画像データは、以下、印刷対象画像データとして参照する。
【0038】
印刷データ保持部136は、取得された印刷対象画像データの印刷データを保持する。印刷実行部140は、取得された印刷データに従って、印刷対象画像データの印刷出力処理を実行する。なお、画像保管装置50から取得される印刷データは、詳細は後述するが、画像形成装置20が印刷可能なフォーマットを有することになる。
【0039】
画像保管装置側の機能ブロック150は、クライアント・アプリケーション160と、プリンタドライバ180とを含む。クライアント・アプリケーション160は、プルプリント処理を実行するためのクライアント側のソフトウェア手段である。プリンタドライバ180は、画像形成装置20に対応した画像保管装置50にインストールされたデバイスドライバである。クライアント・アプリケーション160は、より詳細には、リスト送信部162と、リスト生成部164と、プレビュー画像送信部166と、プレビュー画像生成部168と、印刷データ送信部170と、印刷データ生成部172とを含む。
【0040】
リスト送信部162は、画像形成装置20のリスト問い合わせ部126からの要求を受けて、リスト生成部164に対し、印刷可能な画像データのリストを生成する処理を指令する。リスト生成部164は、上記リスト問い合わせ部126から渡された識別情報に紐つけられる1以上の画像データを抽出し、印刷可能な画像データのリストを生成し、リスト送信部162に返す。リスト送信部162は、問い合わせに対する結果として、上記リスト問い合わせ部126に対し、ネットワーク12を介して、生成された印刷可能な画像データのリストを送信する。
【0041】
プレビュー画像送信部166は、画像形成装置20のプレビュー画像取得部130から要求を受けて、プレビュー画像生成部168に対し、プレビュー画像を生成する処理を指令する。プレビュー画像生成部168は、上記プレビュー画像取得部130から渡された画像識別子に従って、表示対象画像データを読み出す。プレビュー画像生成部168は、続いて、プリンタドライバ180を呼び出し、画像形成装置20が表示可能なフォーマットのプレビュー画像データを生成する。
【0042】
プレビュー画像データのフォーマットは、ネットワーク12を介して画像形成装置20から上記画像識別子とともに渡された指定フォーマットまたは予めクライアント・アプリケーション160側で設定された指定フォーマットとされる。指定フォーマットとしては、TIFF、JPEG、GIF、BMP、PNGなどの種々の画像フォーマットを挙げることができる。プレビュー画像送信部166は、生成されたプレビュー画像データを上記プレビュー画像取得部130に送信する。
【0043】
印刷データ送信部170は、画像形成装置20の印刷データ取得部134から要求を受けて、印刷データ生成部172に対し、印刷データを生成する処理を指令する。印刷データ生成部172は、上記印刷データ取得部134から渡された画像識別子に従って、印刷対象画像データを読み出し、プリンタドライバ180を呼び出して、画像形成装置20が印刷可能なフォーマットの印刷データを生成する。
【0044】
印刷対象画像データが印刷可能なフォーマットでなければ、上記プレビュー画像の場合と同様に、生成された印刷データのフォーマットは、ネットワーク12を介して画像形成装置20から上記画像識別子とともに渡された指定フォーマットまたは予めクライアント・アプリケーション160側で設定された指定フォーマットとされる。印刷可能なフォーマットおよび指定フォーマットとしては、PostScript(登録商標)、RPDL、PCL、LIPSなどのPDLによる印刷フォーマット、PDF(Portable Document Format)、XPS(XML Paper Specification)などの直接印刷が可能な文書フォーマットを挙げることができる。
【0045】
印刷データ送信部170は、ネットワーク12を介して、印刷データ生成部172が生成した印刷データを印刷データ取得部134に送信する。なお、印刷対象画像データが画像形成装置20にてそのまま印刷可能なフォーマットであった場合には、印刷データ送信部170は、印刷データ生成部172に印刷データを生成する処理を指令せずに、上記印刷データ取得部134に対し、印刷対象画像データをそのまま送信する。
【0046】
画像形成装置20は、図2に示した制御部22による制御の下、補助記憶部26に格納される制御プログラムを読み込み、主記憶部24が提供する作業空間に展開する。これにより、上記画像形成装置20は、WINDOWS(登録商標)、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)などの適切なオペレーティング・システムの下、各種プロセスを起動し、上述した各ソフトウェア手段および後述する各処理を実現する。
【0047】
上記画像保管装置50も同様に、図2に示した制御部52による制御の下、補助記憶部56に格納される制御プログラムを読み込み、主記憶部54が提供する作業空間に展開する。これにより、上記画像保管装置50は、Windows(登録商標)XP、Vista(登録商標)、7(登録商標)、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)などの適切なオペレーティング・システムの制御の下、上述した各ソフトウェア手段および後述する各処理を実現する。
【0048】
図4は、本実施形態のプリントにおいて画像形成装置20および画像保管装置50間で実行される、プルプリント処理およびプレビュー表示処理のシーケンス図である。図4に示す処理は、ユーザ(操作者)からの印刷可能な画像データのリスト表示指示を受け付けて、ステップS101から開始する。ステップS102では、画像形成装置20は、プルプリント・アプリケーション120により、画像保管装置50に対し、識別情報を引数としてリスト取得要求を発行する。ステップS103では、画像保管装置50は、クライアント・アプリケーション160により、渡された識別情報に紐つけられた1以上の画像データを抽出し、印刷可能な画像データのリストを生成する。
【0049】
図5(A)は、本実施形態の画像保管装置50が管理する印刷可能な画像データを登録する画像データ登録テーブルのデータ構造を例示する図である。図5(A)に示す画像データ登録テーブル200は、画像データの画像識別子が入力されるフィールド202と、該画像データのファイル名が入力されるフィールド204とを含み、画像データごとにレコードが作成される。画像データ登録テーブル200は、さらに、対応する画像データに紐つけられた対象が入力されるフィールド206と、該画像データの保存位置が入力されるフィールド208とを含む。
【0050】
なお、図5(A)に示す例では、ユーザ認証情報を識別情報とし、操作者のユーザ名または操作者が属するグループ名にて印刷可能な画像データを抽出している。しかしながら、これに特に限定されるものではなく、画像データ登録テーブルは、識別情報に応じた適切なデータ構造とすればよい。
【0051】
画像保管装置50のリスト生成部164は、識別情報として渡されたユーザ認証情報に関連付けられたユーザ名およびグループ名を用いて、画像データ登録テーブル200を照会し、紐つけられた印刷可能な画像データのリストを生成する。図5(B)は、画像保管装置50が図5(A)に示す登録テーブルから抽出した画像データのリストのデータ構造を例示する図である。図5(B)に示すリスト220は、画像識別子が入力されるフィールド222と、対応する画像データのファイル名が入力されるフィールド224とを含み、抽出された画像データごとにレコードが作成される。
【0052】
再び図4を参照すると、ステップS104では、画像保管装置50は、クライアント・アプリケーション160により、生成したリストを画像形成装置20に送信する。ステップS105では、画像形成装置20は、プルプリント・アプリケーション120により、受信したリストに従って、印刷可能な画像データを選択可能に一覧表示する選択画面を表示する。
【0053】
図7(A)は、本実施形態の画像形成装置20の操作パネル部34が表示するプルプリントにおける選択画面を例示する図である。図7(A)に示す選択画面300は、プレビュー表示の指示を受け付けるプレビュー・ボタン302と、印刷指示を受け付ける印刷ボタン304と、プルプリントのキャンセル指示を受け付ける閉じるボタン306とを含む。選択画面300は、さらに、「請求書.xls」などの画像データのファイル名を表示し、画像データの選択を受け付けるボタン308,310と、リストの表示範囲をスクロールするためのボタン312,314とを含む。ボタン310は、反転表示されており、対応する画像データが現在選択中であることを示す。
【0054】
図4を再び参照すると、ステップS106では、画像形成装置20は、上記選択画面上で画像データを選択するユーザからの操作を受け付ける。ステップS107では、画像形成装置20は、上記選択画面上でプレビュー表示を指示するユーザからの操作を受け付ける。ステップS108では、画像形成装置20は、プルプリント・アプリケーション120により、画像保管装置50に対し、選択中の画像データに対応する画像識別子を引数としてプレビュー画像生成要求を発行する。
【0055】
例えば、図7(A)において、ボタン310が反転表示された状態で、プレビュー・ボタン302がタッチまたは押されると、画像データ「マニュアル.pdf」が表示対象として選択され、画像識別子「100002」を引数としてプレビュー画像生成要求が発行される。
【0056】
ステップS109では、画像保管装置50は、クライアント・アプリケーション160により、渡された画像識別子に対応する画像データを読み出し、プリンタドライバ180を呼び出して、所与のフォーマットおよびサイズにてプレビュー画像データを生成する。
【0057】
図6(A)は、本実施形態の画像保管装置50が保持する、画像形成装置20ごとの表示可能な画像フォーマットを管理する管理テーブルのデータ構造を例示する図である。図6(A)に示す表示可能画像フォーマット管理テーブル240は、画像形成装置を識別する画像形成装置識別子が入力されるフィールド242と、当該画像形成装置がプレビュー表示可能な指定フォーマットが入力されるフィールド244と、当該画像形成装置がプレビュー表示可能な指定サイズが入力されるフィールド246とを含む。指定サイズは、例えば、画像形成装置20が備える表示デバイスの解像度に応じて設定される。
【0058】
なお、説明する実施形態では、クライアント・アプリケーション160側で予め指定フォーマットおよび指定サイズが設定されるものとして説明するが、他の実施形態では、プレビュー画像生成要求とともに、画像形成装置20から画像保管装置50へ渡されてもよい。
【0059】
再び図4を参照すると、ステップS110では、画像保管装置50は、クライアント・アプリケーション160により、生成したプレビュー画像データを画像形成装置20に送信する。ステップS111では、画像形成装置20は、プルプリント・アプリケーション120により、受信したプレビュー画像データに従って、表示対象画像データのプレビュー表示画面を表示する。
【0060】
図7(B)は、本実施形態の画像形成装置20の操作パネル部34が表示するプルプリントにおけるプレビュー表示画面を例示する図である。図7(B)に示すプレビュー表示画面領域320は、表示対象画像データのプレビュー画像322と、プレビュー表示画面領域320を閉じて元の選択画面に戻るためのボタン330とを含む。プレビュー表示画面領域320は、さらに、表示対象画像データのページ数が複数である場合には、全体ページ中のプレビュー表示中のページを示すページ情報326と、プレビュー表示させるページを変更するためのボタン324,328とを含む。
【0061】
ステップS112では、画像形成装置20は、上記選択画面上で画像データを選択するユーザからの操作を受け付ける。ステップS113では、画像形成装置20は、上記選択画面上で印刷指示に対応するユーザからの操作を受け付ける。ステップS114では、画像形成装置20は、プルプリント・アプリケーション120により、画像保管装置50に対し、選択中の画像データに対応する画像識別子を引数として印刷データ要求を発行する。
【0062】
例えば、図7(A)において、ボタン310が反転表示された状態で、印刷ボタン304がタッチまたは押されると、画像データ「マニュアル.pdf」が印刷対象として選択されて、画像識別子「100002」を引数として印刷データ要求が発行される。
【0063】
ステップS115では、画像保管装置50は、クライアント・アプリケーション160により、渡された画像識別子に対応する画像データを読み出し、必要に応じてプリンタドライバ180を呼び出して所与のフォーマットで印刷データを生成する。
【0064】
図6(B)は、本実施形態の画像保管装置50が保持する、画像形成装置20ごとの印刷可能なフォーマットを管理する管理テーブルのデータ構造を例示する図である。図6(B)に示す印刷可能フォーマット管理テーブル260は、画像形成装置を識別する画像形成装置識別子が入力されるフィールド262と、当該画像形成装置が印刷可能なフォーマットのリストが入力されるフィールド264と、当該画像形成装置が印刷可能な指定フォーマットが入力されるフィールド266とを含む。なお、説明する実施形態では、クライアント・アプリケーション160側で予め印刷可能なフォーマットおよび指定フォーマットが設定されるものとして説明する。しかしながら、他の実施形態では、印刷可能なフォーマットおよび指定フォーマットが、印刷データ要求とともに、画像形成装置20から画像保管装置50へ渡されてもよい。
【0065】
再び図4を参照すると、ステップS116では、画像保管装置50は、クライアント・アプリケーション160により、画像形成装置20に印刷データを送信する。ステップS117では、画像形成装置20は、プルプリント・アプリケーション120により、受信した印刷データに従って、印刷対象画像データの印刷出力を実行する。ステップS118では、画像形成装置20は、プルプリント・アプリケーション120により、印刷処理の完了をユーザに報告する。
【0066】
図8は、本実施形態のプリント・システム10において画像形成装置20および画像保管装置50が実行するプルプリントにかかる全体処理を示すフローチャートである。なお、各ステップの処理の実行主体は、「画像形成装置側」または「画像保管装置側」を付した矩形により表されている。図8に示す処理は、ステップS200から開始し、ステップS201では、画像形成装置20は、ユーザ認証画面を表示する。説明する実施形態では、ユーザ認証情報を識別情報として使用する実施形態を説明する。
【0067】
ステップS202では、画像形成装置20は、ユーザ認証画面にて入力されたユーザ名やパスワードなどに対して認証処理を行う。認証方式は、特に限定されるものではなく、パスワード認証の他、IC認証、生体認証などの種々の認証方式を採用することができる。LDAPなどの図示しない外部認証サーバを用いてもよい。ステップS203では、画像形成装置20は、認証に成功したか否かを判定する。ステップS203で、認証に失敗したと判定された場合(NO)には、ステップS201へループさせて、適宜ユーザ名やパスワードの再入力を操作者に促す。一方、ステップS203で、認証に成功したと判定された場合(YES)には、ステップS204へ処理を分岐させる。
【0068】
ステップS204では、画像形成装置20は、画像保管装置50に対し、識別情報としてユーザ認証情報を渡すとともに、印刷可能な画像データのリスト取得要求を行う。ステップS205では、画像保管装置50は、画像データ登録テーブル200から、渡された識別情報に紐つけられる印刷可能な画像データを抽出し、リストを生成する。ステップS206では、画像保管装置50は、生成したリストを画像形成装置20に送信する。
【0069】
ステップS207では、画像形成装置20は、画像保管装置50から画像データのリストを受信する。ステップS208で、画像形成装置20は、リストに従って印刷可能な画像データの一覧表示を行う。ステップS208以降の処理は、ステップS208で表示したGUI(Graphical User Interface)に対する操作に応じて分岐される。
【0070】
画像形成装置20は、一覧表示中のいずれかの画像データが対象として選択され(ステップS209)、プレビュー表示指示を受け付けると、ステップS210でプレビュー処理を呼び出す。画像形成装置20は、また、一覧表示中のいずれかの画像データが対象として選択され(ステップS209)、印刷指示を受け付けると、ステップS211でプルプリント処理を呼び出す。画像形成装置20は、一方で、一覧表示中のいずれかの画像データが選択されたかに関わらず、終了指示を受け付けると、ステップS212で本処理を終了させる。
【0071】
図9は、本実施形態のプリント・システム10において画像形成装置20および画像保管装置50が実行するプレビュー画像表示処理を示すフローチャートである。図9に示す処理は、図8に示すステップS210で呼び出され、ステップS300から開始する。なお、各ステップの処理の実行主体は、図8と同様に説明されている。
【0072】
ステップS301では、画像形成装置20は、画像保管装置50に対しプレビュー画像生成要求を発行する。発行されるプレビュー画像生成要求には、発行元の画像形成装置の画像形成装置識別子、選択された画像データの画像識別子、および適宜表示範囲が引数として与えられる。ここでプレビュー画面表示における表示範囲とは、簡便には、ページ番号で指定され、指定されない場合には、デフォルト値「1」となる。画像保管装置50は、プレビュー画像生成要求を受信し、ステップS302で、表示対象画像データを読み出すとともに、ステップS303で、画像形成装置識別子に対応するプレビュー画像の指定フォーマットおよび指定サイズを取得する。
【0073】
ステップS304では、画像形成装置20は、取得した指定フォーマットおよび指定サイズを渡して、プリンタドライバ180を呼び出し、プレビュー画像データを生成する。ステップS305では、画像保管装置50は、画像形成装置20に対し、生成したプレビュー画像データを送信する。
【0074】
ステップS306では、画像形成装置20は、画像保管装置50からプレビュー画像データを受信する。ステップS307では、画像形成装置20は、受信したプレビュー画像データに従って、表示対象画像データのプレビュー画像表示を行う。ステップS307で表示されるGUIに対する操作に応じてステップS307以降の処理が分岐される。
【0075】
図7(B)に示すプレビュー表示画面領域320中、ボタン324,328などの表示範囲を変更するためのGUI部品がタッチまたは押されると(ステップS308)、ステップS301へループさせ、ページ数を変更した状態で、再度プレビュー画像生成要求を行う。この場合、新たに生成されたプレビュー画像データに従って、プレビュー画面の更新が行われる。図7(B)に示すプレビュー表示画面領域320で、プレビュー表示の終了指示を受け付けると、ステップS309で本処理を終了させる。
【0076】
なお、図9に示した処理フローでは、表示範囲を変更する毎にプレビュー画像生成要求を発行し、新たに生成されたプレビュー画像データに従って、プレビュー画面の更新を行うものとして説明した。しかしながら、他の実施形態では、各表示範囲すべてのプレビュー画像の生成を一括して要求し、各表示範囲のプレビュー画像データを一括して事前取得することもできる。さらに他の実施形態では、各表示範囲のプレビュー画像の生成を要求し、初期の表示範囲のプレビュー画像データをまず取得し、以降の各表示範囲のプレビュー画像データをバックグラウンドで段階的に事前取得することもできる。これらの場合、表示範囲を変更する毎に通信を行わずに、表示範囲を変更するためのGUI部品がタッチまたは押されたこと(ステップS308)に応答して、変更後のページ番号に対応するプレビュー画像を読み出し、プレビュー画面の更新を行えばよい。
【0077】
図10は、本実施形態のプリント・システム10において画像形成装置20および画像保管装置50が実行する、プルプリント処理を示すフローチャートである。図10に示す処理は、図8に示すステップS211で呼び出され、ステップS400から開始する。なお、各ステップの処理の実行主体は、図8および図9と同様に説明されている。
【0078】
ステップS401では、画像形成装置20は、画像保管装置50に対し印刷データ要求を発行する。発行される印刷データ要求には、発行元の画像形成装置の画像形成装置識別子、および選択された画像データの画像識別子が引数として与えられる。画像保管装置50は、印刷データ要求を受信し、ステップS402で、画像形成装置識別子に対応する印刷可能フォーマットおよび指定フォーマット取得する。ステップS403では、画像保管装置50は、画像識別子で識別される印刷対象画像データを取得する。
【0079】
ステップS404では、画像保管装置50は、印刷対象画像データがそのまま印刷可能であるか否かを判定する。ステップS404で、印刷対象画像データが印刷可能フォーマットではなく、そのまま印刷可能ではないと判定された場合(NO)には、ステップS405へ処理を分岐させる。ステップS405では、画像保管装置50は、取得した指定フォーマットを渡して、プリンタドライバ180を呼び出し、印刷対象画像データから印刷データを生成する。ステップS406では、画像保管装置50は、生成した印刷データを画像形成装置20に送信する。一方、ステップS404で、印刷対象画像データが印刷可能フォーマットではあり、そのまま印刷可能であると判定された場合(YES)には、ステップS406へ直接処理を進める。この場合、ステップS406では、画像保管装置50は、取得した印刷対象画像データをそのまま印刷データとして画像形成装置20に送信する。
【0080】
ステップS407では、画像形成装置20は、画像保管装置50から印刷データを受信する。ステップS408では、画像形成装置20は、受信した印刷データに従って、印刷出力を行い、ステップS409で本処理を終了させる。
【0081】
上述した実施形態によるプリント・システム10においては、プレビュー画像データが、画像保管装置50側でクライアント・アプリケーション160からプリンタドライバ180を呼び出されて、画像形成装置20が表示可能なフォーマットにて生成されている。このため、画像形成装置が表示可能なフォーマットの相違に起因した不具合が回避される。また、印刷対象データのフォーマットの違いも、プリンタドライバ180により吸収される。ひいては、画像出力装置との接続に関して、都度個別対応をするという手間が低減される。すなわち、入力元で接続先の画像出力装置の環境を意識する必要性がなく、画像出力装置のメーカは、接続相手を意識しなくても設計等を行える。
【0082】
以上説明したように、本実施形態によれば、ネットワークを介して、画像を保管する画像保管装置から画像を呼び寄せて出力する画像出力装置において、種々の画像データが入力される環境でも、都度個別対応をするという手間をかけることなく、出力対象の画像データのプレビュー画像表示を行うことが可能な画像出力装置、画像保管装置を実現するためのプログラム、並びに上記画像出力装置および上記プログラムを含むシステムを提供することができる。
【0083】
上記画像形成装置上にインストールされるプルプリント・アプリケーション、および画像保管装置上にインストールされるクライアント・アプリケーションは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)、などのレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述されたコンピュータ実行可能なプログラムにより実現でき、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、ブルーレイディスク、SDカード、MOなど装置可読な記録媒体に格納して、あるいは電気通信回線を通じて頒布することができる。
【0084】
これまで本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0085】
10…プリント・システム、12…ネットワーク、20…画像形成装置、22…制御部、24…主記憶部、26…補助記憶部、28…外部記憶装置I/F部、30…ネットワークI/F部、32…印刷部、34…操作パネル部、50…画像保管装置、52…制御部、54…主記憶部、56…補助記憶部、58…外部記憶装置I/F部、60…ネットワークI/F部、62…入力部、64…ディスプレイ部、100,150…機能ブロック、110…操作パネル制御部、112…表示部、114…操作受付部、120…プルプリント・アプリケーション、122…識別情報取得部、124…識別情報保持部、126…リスト問い合わせ部、128…リスト保持部、130…プレビュー画像取得部、132…プレビュー画像保持部、134…印刷データ取得部、136…印刷データ保持部、140…印刷実行部、160…クライアント・アプリケーション、162…リスト送信部、164…リスト生成部、166…プレビュー画像送信部、168…プレビュー画像生成部、170…印刷データ送信部、172…印刷データ生成部、180…プリンタドライバ、200,240,260…テーブル、220…リスト、300…選択画面、302…プレビュー・ボタン、304…印刷ボタン、306…閉じるボタン、308,310,312,314…ボタン、320…プレビュー表示画面領域、322…プレビュー画像、324,328,330…ボタン、326…ページ情報
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開2004− 38800号公報
【特許文献2】特開2007−102802号公報
【特許文献3】特開2007−200284号公報
【特許文献4】特開2010−240913号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して画像保管装置から画像を呼び寄せて出力する画像出力装置であって、
前記画像保管装置に対し、出力可能な画像データを問い合わせる問い合わせ手段と、
問い合わせ結果に含まれる前記出力可能な画像データの中から、プレビュー表示させる表示対象の選択を受け付ける受付手段と、
前記画像保管装置に対し、前記表示対象のプレビュー画像を要求し、当該画像出力装置で表示可能な形式にて生成された前記表示対象の画像データのプレビュー画像データを取得するプレビュー画像取得手段と、
取得した前記プレビュー画像データを用いて前記表示対象の画像データのプレビュー表示画面を表示させる表示手段と
を含む、画像出力装置。
【請求項2】
前記プレビュー画像データは、前記画像保管装置にて、プリンタドライバが呼び出されて、前記表示対象として選択された画像データから前記表示可能な形式にて生成されたデータであることを特徴とする、請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項3】
前記プレビュー画像取得手段は、前記プレビュー表示画面上で行われた表示範囲の変更に応答して、前記画像保管装置に対し、前記表示対象の画像データの変更された表示範囲によるプレビュー画像を要求して、前記表示可能な形式にて新たに生成されたプレビュー画像データを取得することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記プレビュー画像取得手段は、前記画像保管装置に対し、前記表示対象の画像データの各表示範囲によるプレビュー画像を要求して、前記表示可能な形式にて生成された各表示範囲によるプレビュー画像データを取得することを特徴とし、前記表示手段は、前記プレビュー表示画面上で行われた表示範囲の変更に応答して、変更された表示範囲に対応するプレビュー画像データでプレビュー表示画面を更新することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像出力装置。
【請求項5】
前記問い合わせ手段は、当該画像出力装置のユーザの認証情報、当該画像出力装置の機体情報、ディレクトリ情報およびリソース識別情報のうちの少なくとも1つの情報を前記画像保管装置に渡して、前記出力可能な画像データのリストを取得し、前記表示手段は、前記リストに従って前記出力可能な画像データを選択可能に提示する選択画面を表示させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像出力装置。
【請求項6】
前記受付手段は、問い合わせ結果に含まれる前記出力可能な画像データの中から、印刷出力させる印刷対象の選択を受け付けることを特徴とし、前記画像出力装置は、さらに、
前記画像保管装置に対し、前記印刷対象の印刷データを要求し、前記画像保管装置でプリンタドライバが呼び出されて当該画像出力装置が出力可能な形式にて生成された前記印刷対象の画像データの印刷データを取得する印刷データ取得手段と、
取得した前記印刷データに従って前記印刷対象の画像データの印刷出力を実行する印刷実行手段と
をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像出力装置。
【請求項7】
ネットワークを介して画像保管装置から画像を呼び寄せて印刷出力する画像出力装置を装置上に実現するための装置実行可能なプログラムであって、請求項1〜6のいずれか1項に記載の各手段として装置を機能させるプログラム。
【請求項8】
印刷対象となる画像を保管し、画像出力装置から要求された画像をネットワークを介して提供する画像保管装置をコンピュータ上に実現するためのコンピュータ実行可能なプログラムであって、前記プログラムは、前記コンピュータを、
前記画像出力装置からの問い合わせに応答して、問い合わせ結果として出力可能な画像データのリストを生成するリスト生成手段と、
前記画像出力装置からのプレビュー画像の要求に応答して、前記出力可能な画像データのリスト中からプレビュー表示させる表示対象として選択された画像データのプレビュー画像データを、前記画像出力装置で表示可能な形式にて生成するプレビュー画像生成手段、および
生成された前記プレビュー画像データを前記画像出力装置に送信するプレビュー画像送信手段
として機能させる、プログラム。
【請求項9】
前記プレビュー画像生成手段は、プリンタドライバを呼び出して、前記表示対象として選択された画像データから前記表示可能な形式にて前記プレビュー画像データを生成することを特徴とする、請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
ネットワークを介して画像保管装置から画像を呼び寄せて出力する画像出力装置と、前記画像出力装置に対し、前記ネットワークを介して前記画像を提供する画像保管装置をコンピュータ上に実現するためのコンピュータ実行可能なプログラムとを含むシステムであって、前記画像出力装置は、
前記画像保管装置に対し、出力可能な画像データを問い合わせる問い合わせ手段と、
問い合わせ結果に含まれる前記出力可能な画像データの中から、プレビュー表示させる表示対象の選択を受け付ける受付手段と、
前記画像保管装置に対し、前記表示対象のプレビュー画像を要求し、前記表示対象の画像データのプレビュー画像データを取得するプレビュー画像取得手段と、
取得した前記プレビュー画像データを用いて前記表示対象の画像データのプレビュー表示画面を表示させる表示手段と
を含み、前記プログラムは、前記コンピュータを、
前記画像出力装置からの前記問い合わせに応答して、前記問い合わせ結果として前記出力可能な画像データのリストを生成するリスト生成手段と、
前記画像出力装置からの前記プレビュー画像の要求に応答して、選択された前記表示対象の画像データのプレビュー画像データを、前記画像出力装置で表示可能な形式にて生成するプレビュー画像生成手段、および
生成された前記プレビュー画像データを前記画像出力装置に送信するプレビュー画面送信手段
として機能させることを特徴とする、システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−245695(P2012−245695A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119119(P2011−119119)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】