説明

画像受容媒体および印刷法

分散性染料および昇華性染料を含む熱拡散性着色剤を含有するインクまたはトナーによって転写媒体上に形成される画像を受容する転写媒体、ならびにこの転写媒体を使用して基板上に画像を提示する方法を提供する。この転写媒体は不透明層を備え、この不透明層により転写媒体から基板への画像の転写が可能となり、この不透明層は、画像が暗色の基板へと転送された場合に、暗色の基板が画像をぼやけさせないように画像の背景として提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年11月25日に出願した米国仮特許出願第61/117,752号、2008年12月5日に出願した米国仮特許出願第61/120,175号、および2009年3月20日に出願した米国仮特許出願第61/161,913号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、概して、転写媒体に関し、より具体的には、印刷画像を受容する多層媒体に関する。この印刷画像は、転写媒体から暗色の基板へと転写される。
【背景技術】
【0003】
転写印刷プロセスは、ある基板から別の基板への画像の物理的な転写を行うことを含むものである。転写媒体は、印刷媒体用のレシーバであり、この転写媒体から画像が更に転写される。転写媒体は一般に、AやA4などのサイズの矩形のシートであり、1つ又は複数の材料によってコーティングされている。転写媒体は、離型層を備えていてもよく、この離型層は、転写時に基板へ画像を引き渡すのを促進する。転写媒体をコーティングする材料は、バインダ材料でよく、このバインダ材料は、画像が現れるべき織物などの最終基板に画像を結合する。
【0004】
デジタル印刷用途において、昇華転写技術が広く使用されている。しかしながら、これらの用途は、ポリエステル材料などの合成成分を含む基板に限られる。昇華性着色剤の特性により、主に白色またはパステル色の基板に対してフルカラー昇華転写技術が使用されてきた。さらに、昇華印刷プロセスには、比較的低いエネルギーから中間的エネルギーの昇華性着色剤が必要となり、堅牢度特性、特に光堅牢度がこれらの用途にとって問題となっている。
【0005】
暗い色をした織物材料などの暗色の基板上に画像を印刷する試みが行われている。例えば、剥離可能な白色転写紙が、昇華性インクと組み合わせて使用されている。この方法には、支持用紙から転写フィルムを機械的に分離することを可能にするために、比較的厚いコーティング構造が必要となる。このような厚い構造は、織物基板上に重い、望ましくない「ハンド」を作り出す。加えて、フィルムに画像を印刷した後、支持用紙を剥離したフィルムは、寸法的に不安定となり、結果として画像に歪みが生じる。
【0006】
白色転写紙を用いる他の形態の昇華印刷も、暗色の繊維材料への印刷において使用されている。しかし、転写層において白色顔料を大量に使用すると、昇華性染料に対して親和性が高いバインダと共にでは、透過率および転写効率が悪く、また大きいドットゲインによって画像解像度が低くなり、高品質または写真のような品質の画像が要求されるようなアパレルや繊細な織物には相応しくない最終製品となってしまう。顔料層全体にわたって昇華性染料を拡散させると、不必要な量の着色剤を消費する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、分散性染料および昇華性染料を含む熱拡散性着色剤を含有するインクまたはトナーによって形成される画像ととともに使用される新規な転写媒体に関するとともに、この転写媒体を使用して基板上に画像を提示する方法に関する。この転写媒体は、不透明層を備え、この不透明層によって転写媒体から暗色の基板への画像の転写が可能となり、画像が暗色の基板へと転送された場合に、この不透明層は、暗色の基板が画像をぼやけさせないように画像の背景として提供される。本発明の目的は、白色または類似の明るい色の背景の上に印刷されるカラー画像を、暗色の基板に対してイメージングするための熱転写印刷媒体、およびこの転写媒体を使用する方法を創出することである。
【0008】
高光堅牢度分散性染料を含む分散性および昇華性の染料などの熱拡散性着色剤を使用してもよい。これら着色剤は、転写媒体の一方の面に印刷または塗布され、転写時は熱拡散し、着色剤との材料親和性がない不透明層を通って移動する。すなわち、着色剤は不透明層に対して親和性がないか又は低く、転写によって不透明層の上に満足できる画像を形成することになる。画像を転写すると、染料との高い親和性を有する1つ又は複数のポリマー層に染料が付着する。このポリマー層は、転写媒体において、転写媒体に印刷または塗布される画像層とは反対側に位置し、最終基板へ転写されると、最終基板のトップ面上に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像をデジタル印刷した後、転写するための本発明の好ましいプロセスを説明する図である。
【図2】本発明に係る転写媒体の一実施形態の層を示す図である。
【図3】本発明に係る転写媒体の別の実施形態の層を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態として、転写媒体は、離型用の下地シート10と、本発明に係る熱拡散性着色剤に対して強い親和性を有する透明ポリマー層8と、白色顔料などの乳白剤を含有する透過性不透明層6とを備える。図2。
【0011】
本発明の別の実施形態として、転写媒体は、離型用の下地シート10と、熱拡散性着色剤に対して強い親和性を有する透明ポリマー層8と、白色顔料などの乳白剤を含有する透過性不透明層6と、インクまたはトナーの受容層4とを備える。図3。インクは、Haleらの米国特許第5488907号明細書に記載されているインクジェット用インクなどの液体インクでよい。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態においては、転写媒体上に画像を印刷または塗布した後、バインダまたは他の材料で覆われているものの画像がない転写媒体の部分に、レジスト層を印刷する。転写媒体の裏面に熱および/または圧力を加えると、転写媒体上に存在し、画像には覆われていないバインダ材料は、最終基板に転写されない。これは、レジスト層が、これらバインダ材料の最終基板への実質的な転写または結合を防止するからである。レジスト層としては、ここに引用することで本明細書の記載の一部をなす米国特許第6540345号明細書、2006年4月28日に出願されたXuらの米国特許出願第11/413734号明細書に記載されているものを形成してもよい。
【0013】
下地シートとは反対側の転写媒体上に画像を印刷する。この画像は、コンピュータ20により動くインクジェットプリンタ24などのデジタルプリンタによって印刷することができる。媒体上に画像を印刷した後、レジスト層の塗布の有無にかかわらず、画像を媒体から最終基板への転写する用意をする。
【0014】
転写媒体を最終基板に密着させ、好ましくは加圧下で、転写媒体の背面、すなわち下地シート10から熱を加えて、転写媒体から画像を最終基板へと転写することができる。この熱により、画像の活性化、および/または成分の反応、最終基板への着色剤の結合および/または架橋を同時に行うことができる。画像が基板に結合され、最終基板上に現れる最終設計の画像は、優れた耐久性および堅牢度特性を獲得することができる。転写プロセス時に適当な圧力を加えて、転写媒体と最終基板との間の適切な表面接触を確保する。転写プロセスでは真空にしてもよく、これにより転写効率はさらに向上する。
【0015】
離型用の下地シート10は、好ましくは基板への転写に際し、この下地シート上の層を切り離す又は剥離するのを促進する表面を提供する。この離型用の下地シートは、不織セルロースシート、または例えば、ポリオレフィンもしくはポリエステルのフィルムなどのポリマーフィルムでよく、例えば好ましくはアクリルまたはシリコーンで被覆された離型ペーパーまたは離型フィルムとなる。
【0016】
一実施形態における透明ポリマー層8は、画像を生成するためにインクまたはトナーにおいて使用する熱拡散性着色剤に対して高い親和性を有するポリマー層である。一例は、分散性および昇華性の染料の優れた受容体であるポリエステルである。最終画像の柔軟性およびソフトハンドを実現するためには、ポリマー材料全体のガラス転移温度Tgを好ましくは−20℃〜100℃とする。このポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、アクリル/アクリレート、ナイロン、もしくは熱拡散性着色剤に対する親和性が高い他の受容性ポリマー、またはこれらの組合せでよい。ポリマーは、架橋性ポリマーの混合物でもよい。例えば、ブロックポリイソシアネートとヒドロキシル官能化ポリエステル樹脂とを、ホットメルト接着剤で組み合わせて、ポリマー層8を形成することができる。転写プロセス時に熱を加えると、ポリイソシアネートとヒドロキシル官能化ポリエステルが架橋して、永久的に結合したカラー画像を基板上に形成する。このポリマー層8は、水性コーティング、溶媒系コーティング、ホットメルトコーティング、押し出し加工、転写コーティング、またはラミネーションなどの公知の方法によって離型用下地シート10に塗布することができる。ポリマー層8の乾燥被覆重量は、5〜60g/mの範囲内にしてもよく、好ましくは10〜30g/mである。
(ポリマー層8の例)
Rucote(登録商標)熱硬化性ポリエステル樹脂:0〜50%
ホットメルト接着剤:0〜50%
Rhodocoat WT−1000ブロックポリイソシアネート:0〜15%
コーティング添加剤:0〜20%
【0017】
透過性不透明層6は、乳白剤と、適切なポリマーバインダとを含む。好ましい乳白剤は、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウムもしくは酸化亜鉛、またはこれらの組合せなどの白色顔料である。有機白色着色剤を使用することもできる。好ましくは、乳白剤は、透過性不透明層の20〜30%を構成する。乾燥被覆重量は一般に、5〜60g/mの範囲内とし、好ましくは10〜45g/mである。
【0018】
不透明層は、バインダとして作用することができる。この層は、本発明において使用することが好ましい熱拡散性または昇華性の着色剤に対する親和性が無いか又はほとんど無いことが好ましい。一実施形態においては、不透明層6上に、拡散性または昇華性の着色剤を含む画像層を印刷する。本発明の目的は、分散性染料のインクまたはトナーを用いて印刷することができる転写媒体を提供することである。基板に熱転写する際、分散性染料は、透過性不透明層6を通過してポリマー層8内に拡散および移動する。着色剤が拡散および通過する不透明層に、染料が保持されることは無いか又はほとんど無い。この透過性不透明層のための好ましい材料は、基板に不透明層を結合する材料である。例として、セルロースおよび化学修飾セルロース、低密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、フッ素化ポリマー、シロキサンおよび/または修飾シロキサンポリマー材料、ポリテトラフルオロエチレンなどの共重合体、ポリフッ化ビニリデンがあるが、これらに限定されない。ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、シリコンベースのエラストマーなどの低分子量エマルションポリマーを使用することもできる。ポリマーバインダは、ポリエステル官能基のない脂肪族構造を有してもよく、これは、熱拡散性着色剤に対する親和性が芳香族ポリマーバインダよりも低いか又は無く、したがって、着色剤保持を少なくし、透過性および着色剤拡散/移動効率を高くし、基板への転写時の画像の色密度を高くすることが可能となる。ポリマーバインダは架橋性であってもよい。
【0019】
透過性不透明層の透過性をさらに高めるため、発泡剤などの添加剤を加えることができる。これら発泡剤の化学薬品は、熱転写プロセス時に不透明層に細孔を生成し、これによって、さらに着色剤を不透明層を通って透明ポリマー層へ拡散および移動させることができる。
【0020】
好ましい発泡剤として、加熱すると分解してガスを放出し、それによりインク層を膨張させる発泡剤が挙げられる。化学発泡剤または膨張剤(puffing agent)として知られるそのような発泡剤として、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、ジアゾアミノベンゼンを含めたアゾ化合物などの有機発泡剤や、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミドなどのニトロソ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p−トルエンスルホニルアジド、ヒドラゾルカルボンアミド、アセトン−p−スルホニルヒドラジンなどのスルホニルヒドラジン類、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、および重炭酸アンモニウムアゾジカルボンアミドなどの無機発泡剤が挙げられる。
【0021】
熱転写後の画像領域のソフトハンドおよび柔軟性のために、透過性不透明層は、全体のガラス転移温度(Tg)が低いポリマーを含む。好ましいポリマーのTgの範囲は、−30℃〜20℃である。
【0022】
転写時に着色剤はポリマー層と結合するために不透明層を通過するが、ポリマーバインダは、着色材の熱拡散時の透過を実質的に妨げないような透過性不透明層を形成するように、選択される。転写後、基板上には画像層が形成され、この画像層は、背景として提供される透過性不透明層の上に位置する。すなわち、透過性不透明層において基板とは反対側に位置する。基板は、黒、濃紺、茶などの暗色でよい。不透明層によって提供されるより明るい色の背景により、カラー画像はこの暗色によってぼやけることはない。
【0023】
熱転写後の高画質グラフィック画像の表示のために高白色点を有する白色または明るい不透明背景を作り出すために、配合物にカチオン性ポリマー化合物および架橋剤を添加することができる。
(透過性不透明層のコーティング組成の例)
Triton X―100 非イオン界面活性剤:0〜10%
Eastman CP 349W 塩素化ポリオレフィン:0〜20%
DupontTM Ti−Pure(登録商標)R960 二酸化チタン粉末:0〜30%
Michem(登録商標)Wax437微粉化ポリオレフィンワックス粉末:0〜15%
Dow(登録商標)UcarTM AW−875ポリ塩化ビニル分散液:0〜20%
Quab(登録商標)151水分散液:0〜20%
MelCrossTM 86樹脂:0〜25%
XAMA(登録商標)7 アジリジン架橋剤:0〜5%
物理的特性改質添加剤:0〜25%
水:残部
【0024】
任意のインクジェットまたはトナーの受容層4は、熱拡散性着色剤のインクまたはトナーで印刷された画像を受け取る。画像受容層4は、物理的封入または化学反応によって印刷する際のインクまたはトナーを受容し保持する材料を含む。この層は、液体インクジェット用インクからのインク滴を素早く吸収し、画像のにじみ(bleeding)を最小限に抑え、画像の高解像度を維持する。加えて、この層は、転写媒体の表面に近いインクまたはトナーからの熱拡散性着色剤を一時的に保持する。インク滴の拡散が削減され、それにより画像解像度が向上し、また高光学密度画像がもたらされる。画像受容層は、ワックス系熱インクまたは電子写真印刷トナー用の受容表面として働くこともできる。この画像受容層は、当技術分野で公知である任意の印刷法との使用に合わせることができる。例えば、適切な用途に応じて、インクジェットまたはトナーを受容するペーパーコーティングを形成するための当分野において公知である材料を使用することができる。
【0025】
物理的封入により液体を保持する材料の例には、シリカゲル、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ゼオライト、多孔質ガラス、珪藻土、蛭石などの多孔質材料、ベントナイトやヘクトライトなどのモンモリロナイト型粘土などの液体湿潤性材料、でんぷん、カチオンでんぷん、キトサン、グラフト化キトサン、デキストリン、シクロデキストリンなどの多糖類、ポリスチレン樹脂、イオン交換樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの微粉有機顔料、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウムなどの充填剤が含まれるが、これらに限定されない。化学反応により液体を保持する材料の例には、メタクリレート、アクリレート等をベースとするポリマー、ジビニルベンゼンなどの適切な架橋剤を有するモノマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
ポリビニルアルコール、修飾ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシドなどの水溶性ポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、キトサンなどの天然高分子を、通常バインダとして使用する。不水溶性ポリマーをバインダとして使用することもできる。そのような例には、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルラテックス、ポリアクリルアミドおよびポリ酢酸ビニルがある。液体保持/受容層は、水および/または溶媒と不可逆的に反応して不揮発性となる化学薬品を含有することができる。一例がポリビニルアルコールである。紫外線吸収剤、増粘剤、分散剤、消泡剤、光増白剤、pH緩衝剤、着色剤、湿潤剤および/または潤滑剤などの助剤を、液体保持層配合物中に含めることもできる。
【0027】
液体保持化合物およびバインダからなる画像受容層は、液体保持化合物およびバインダそれぞれ1つ又は複数を用いて任意の比率で作成することができる。一実施形態においては、5〜50%のバインダを、50〜95%の液体保持化合物と組み合わせる。好ましい実施形態では、5〜25%のバインダと75〜95%の液体保持化合物とを用いる。画像受容層4は、任意の公知のコーティング手順によって、透過性不透明層6に塗布することができる。乾燥被覆重量は通常1〜40g/mの範囲内とし、好ましくは2〜20g/mである。
(実施例3:画像受容層のコーティング組成)
ポリビニルアルコールバインダ:5〜50%
液体保持化合物:50〜95%
物理的特性改質添加剤:0〜25%
液体キャリア(水):残部
【0028】
この転写方法は、支持ベースから画像層を剥離することを必要としない。
【0029】
本発明によれば、綿織物などの着色または暗色の基板を、白色顔料層などの透過性不透明層でマスクした複数層構造の転写媒体を作成することができる。そのトップ面上には、すなわち白色顔料層の上には、カラー画像を生成することができる。これにより得られる画像は、ローハンドで、鮮明な色を有し、光強度が高く、柔軟性および高い光堅牢度特性を有し、暗色基板が画像をぼやけさせることはない。
【0030】
本発明は、反応性バインダ材料を含む1つ又は複数の透過性バインダ材料を転写媒体に用いることによって、高い堅牢度を実現することができ、これは洗浄、発汗および風化による退色に対して耐性を有する。バインダ材料による転写媒体の総被覆率は、その上に印刷しようとする画像の被覆率と必ず一致するものではない。インクによって形成される画像層を適用しようとする領域全体にわたって、1つ又は複数のバインダ材料を転写媒体に塗布する。転写媒体上のバインダ材料の十分な被覆率を実現するために、表面コーティング材料で覆われるシートの面積は、画像を形成するインクまたはトナーによって覆われることになる面積よりも大きくてよい。基板上に画像を印刷し最終基板に転写した後、バインダ材料は、画像のマージンを超えて広がる。
【0031】
コンピュータ技術を使用すると、画像をほぼ瞬時に印刷することが可能となる。例えば、ビデオカメラまたはスキャナ30を使用して、コンピュータ20上にカラー画像を取り込むことができる。コンピュータに取り込んだ又は格納した画像を、実行サイズ(run size)に関係なくコマンドにより印刷することができる。機械式熱プリンタ、インクジェットプリンタ、電子写真または静電プリンタを含めた多色で印刷できる任意の適切な印刷手段24によって、コンピュータから基板上に画像を印刷し、上述のように転写することができる。
【0032】
コンピュータおよびデジタルプリンタは安価で、セラミックス、Tシャツ16を含む織物、および他の物品などの基板に、写真およびCG画像の転写を行うことができる。これらの転写は、自宅にいるエンドユーザーによっても商業施設によっても行うことができる。上述のように熱を加えることによって、画像を転写する。このような転写を実現することを目的とする衣類用アイロンまたは熱プレス機26が、熱転写に使用することができる装置の例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体であって、
拡散性着色剤を熱転写する場合に、この拡散性着色剤に対して親和性を有する層と、
不透明層と
を備え、前記拡散性着色剤に熱を加えて前記拡散性着色剤を拡散する場合に、前記拡散性着色剤が、前記不透明層を通過して、前記拡散性着色剤に対して親和性を有する層に到達する転写媒体。
【請求項2】
前記拡散性着色剤が分散性染料を含む請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項3】
前記拡散性着色剤が昇華性染料を含む請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項4】
前記不透明層が乳白剤を含む請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項5】
前記不透明層が二酸化チタンを含む請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項6】
前記拡散性着色剤が、前記不透明層に対する材料親和性を有していない請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項7】
前記不透明層が乳白剤およびポリマーバインダを含み、前記拡散性着色剤が前記不透明層に対する材料親和性を有していない請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項8】
前記拡散性着色剤に対して親和性を有する層が、透明ポリマー層を備える請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項9】
前記拡散性着色剤を含む画像層をさらに備え、前記不透明層上であって、前記拡散性着色剤に対して親和性を有する層とは反対側の前記転写媒体上に、前記画像層が形成される請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項10】
前記不透明層が二酸化チタンを含む請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項11】
前記不透明層上に位置する画像受容層をさらに備える請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項12】
前記不透明層上に位置する画像受容層をさらに備え、前記画像受容層が液体保持化合物を含む請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項13】
前記不透明層とは反対側の前記拡散性着色剤に対して親和性を有する層上にある下地シートをさらに備える請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項14】
前記不透明層が白色乳白剤とポリマーバインダとを含み、前記拡散性着色剤が前記不透明層に対する材料親和性を有していない請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。
【請求項15】
前記不透明層が、画像転写時に前記不透明層に熱を加えるとガスを生じる材料を含む請求項1に記載の不透明層上に形成される画像を基板に移すための転写媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−509788(P2012−509788A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537642(P2011−537642)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/065270
【国際公開番号】WO2010/065338
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(504329001)ソーグラス・テクノロジーズ,インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】