説明

画像地図データベース構築方法

【目的】画像地図データベースに格納されているセグメント画像地図をつなぎ合せて1枚の画像地図として、可視化表示するとき、つなぎ目が合致するようにセグメント画像地図自身の座標および表示倍率を補整する方法の提供である。
【構成】地図の隣接する地域を互いに重なり合い代を付加して切断し、画像入力装置によって入力し、ウインドウに割当て可視化表示する段階と、地域から重ね合せ代を切断し、基本サイズのセグメント画像地図とし、位置を設定し、画像地図データベースに格納し、あるいは既にセグメント画像地図がウインドウで可視化表示されているとき、重ね合せ代を合致させるため、画像地図を縮小,拡大,あるいは移動させて、つながりを合致させる段階と、有する。そして、合致させた地域の重ね合せ代を切断し、基本サイズのセグメント画像地図として、位置と索引を付して画像地図データベースに格納する段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は画像地図データベース構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータで画像地図処理を行うとき、原始データである画像地図データがXYの座標データで表わされるベクトル画像地図と、写真や画像地図をイメージキャナによって読み込むビットデータで表わされる画像データの画像地図の2種類がある。
【0003】ベクトル画像地図は測量された地点の座標データを、1地点ごとに入力するため、ベクトル画像地図を作成するのに多くの費用と時間を費する。
【0004】一方、画像データの画像地図は、データベースにイメージスキャナによって読み込ませた画像地図自身のファイル名称と、可視化表示装置に画像地図を可視化表示するとき必要な索引として指定する地点の地理座標データと、表示倍率とを登録するだけである。従って、ベクトル画像地図に比べ、画像データの画像地図は画像地図データベースを作成する費用は少なくて済む。
【0005】また、上述の特定の地点には通常、画像地図の左下点と右下点と右上点と左上点に対応する地図上の地点が指定される。
【0006】従来の画像地図データベースを作成する手法を、参考文献:EWS(Rel4.0)画像地図処理 画像地図情報システムMapview2 利用の手引(NEC発行)およびEWS(Rel4.0)画像地図処理 画像地図情報システムMapview2 メニュー操作の手引(NEC発行)を参考に説明する。
【0007】先ず、イメージスキャナ、あるいは画像データファイルから画像地図データを読み込み、画像地図上で指定する左下点と右下点と右上点と左下点に合せて、可視化表示装置上で画像データの切り抜きを行い、画像地図をファイル化する。次に、画像地図データベースに画像地図の左下点と右下点と右上点と左下点に対応する画像地図上の地理座標値とファイル名を登録する。画像地図データベースの画像地図は、画像地図上の地理座標を索引として検索し、可視化表示装置に可視化表示する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の画像地図データベースの構築方法は、イメージスキャナ、あるいは画像データファイルから画像データを読み込み、画像データの左下点と右下点と右上点と左下点に対応する画像地図上の座標値を入力し、画像地図データベースに格納する。また、比較的安価で購入できる一般的な小型のイメージスキャナによって入力する場合、A1サイズなどの大きな地図を1回の入力操作で入力することができない。そこで、元の地図を区切ってA4あるいはA3のサイズに複写した後、イメージスキャンに入力している。このため、部分的に区切って入力した画像地図を、つなぎ合せると、複写時の誤差やイメージスキャナの誤差によって、全く同じ条件の設定で作成した画像地図であっても、つなぎ目がきれいに合致せず、1枚のつながった画像地図として可視化表示するまでに、何度も地図を画像地図にする入力操作をやり直しすることが度度ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、セグメント化した画像地図をつなぎ合せて1枚の画像地図として、可視化表示するとき、つなぎ目をきれいに接合するように画像地図の表示倍率ならびに特定地点の地理座標を補整して、セグメント画像地図を作成し、格納する画像地図データベースの構築方法提供である。
【0010】そのため、この発明には、可視化表示装置の可視化表示画面上でつなぎ合せて可視化する画像地図を格納する画像地図データベースにおいて、地図上で隣接し、互いに重なりを有する第1および第2の地域を前記重なりの重ね合せ代を付加して切断し、前記地域を画像入力装置によって入力し、前記可視化表示画面の描画プレーンそれぞれのウインドウに前記第1および第2の地域を画像地図として可視化表示する段階と、前記第1の地域を最初に可視化表示するとき、可視化表示されている前記第1の地域から前記重ね合せ代を画像操作によって切断し、指定された地点の地理座標データを付してなるセグメント画像地図を画像地図データベースに格納する段階と、前記第1の地域のセグメント画像地図がウインドウに可視化表示されているとき、可視化表示している前記第2の地域に対し、前記第1の地域のセグメント画像地図と前記第2の地域の重ね合せ代を合致させる縮小または拡大の表示倍率の変更、ならびに表示位置の移動を行う画像操作によって、前記第1の地域のセグメント画像地図と前記第2の地域のつなぎ目を合致させる段階と、前記つなぎ目が合致した第2の地域の重ね合せ代を前記画像操作によって切断し、前記倍率と前記移動によって補整される特定の地点の地理座標とを付してなるセグメント画像地図を前記画像地図データベースに格納する段階と、を含む。
【0011】
【実施例】次に、この発明について図面を参照して説明する。
【0012】この発明の一実施例の手順を示す図1を参照すると、地図を分割して画像地図として入力する手順1と、入力した画像地図にウインドを割り当て、可視化表示する手順2と、入力した画像地図が最初の画像地図であるか否かを判断する手順3と、最初の画像地図であるとき、画像地図に地理座標と表示倍率を付加し、セグメント画像地図とする手順4と、最初の画像地図でないとき、以前に入力されているセグメント画像地図と接合するため、画像地図を移動、あるいは縮小、または拡大する手順5と、可視化表示されているセグメント画像地図とのつなぎ目を合せるため、画像地図同士の重ね合せ代を画像操作によって重ねて、地理座標の補整と表示倍率を決める手順7と、重ね合せ代を切り取り、セグメント画像地図とし、地理座標を索引として付加する手順8と、基本サイズ化され、索引を付されたセグメント画像地図を画像地図データベースに格納する手順9と、画像地図の入力が完了したか否かを判定する手順10と、隣接する地域の地図を重なり合い代を付加して読み込む手順11と、を含む。
【0013】更に、上述の各手順1乃至11が実行される処理システムを示す図2を参照すると、処理装置20には、画像地図を受理し、処理し、出力する手順を実行する処理部21と、画像地図を格納する画像地図データファイル22と、画像地図の指定された地域とその重ね合せ代を付加した大きさで読み込む画像入力装置23と、それを制御し、画像地図を処理部21に送付する画像入力制御部24と、画像地図に描画プレーンそれぞれのウインドを割り当て可視化表示する可視化表示装置を制御する表示制御部26と、画像地図を可視化表示する可視化表示装置25と、ウインドウ上の画像地図を接合するために、画像地図の移動、あるいは縮小、または拡大を指示し、位置合せおよび索引とする座標データを入力するマウス&キーボード27と、マウス&キーボード27を制御し、処理部21に指示、あるいは座標データを送付する入力制御部28と、可視化表示画面上で、つなぎ目を合致された画像地図の重ね合せ代が切断され、位置データ,表示倍率および索引を付された画像地図を処理部21から受理し、画像地図データベース29に格納する画像地図データ出力部30と、を備える。
【0014】次に、地図の地域で最初に入力する一枚を例示する図3と、次に入力する隣接する地域およびつなぎ目を合致させる画像操作を例示する図4(a),(b),(c),(d)を援用し、この実施例の動作を説明する。
【0015】先ず、画像地図データファイル22から、地域の画像地図を画像入力装置23によって読み込み、処理部21に送付される(手順1)。処理部21は、画像地図を可視化表示装置25のウインドウに可視化表示する(手順2)。
【0016】画像地図が最初に読み込まれた一枚目であるから(手順3のYES)、ウインドウ上の画像操作によって、画像地図を基本サイズに切断し、左下隅の地理座標を、位置合せおよび索引として入力し(手順4)、図3に例示する画像地図31をセグメント画像地図として画像地図データベース29に格納し(手順9)、次の地域の画像地図を読み込む(手順11)。
【0017】次に、最初の地域に隣接する地域で、基本サイズの周囲に重ね合せ代を付加した大きさの画像地図41を画像入力装置23から読み込み、処理部21に送付し(手順2)、画像地図41はウインドウ上に可視化表示され、既に可視化表示されている画像地図31と、つなぎ目を合致させるため、ウインドウ上の画像操作によって、画像地図41を移動あるいは縮小または拡大し(手順5)、画像地図31と重ね合せ代をオーバラップさせて可視化表示する画像地図42を得る(手順6)。重ね合せによって、画像地図31と画像地図42とを合致させる画像地図42の補整された地理座標および表示倍率を決定し(手順7)、地理座標および表示倍率を付加し、重ね合せ代を切り落した基本のセグメント画像地図43を得る(手順8)。そして、セグメント画像地図の四隅の地理座標値が付加され、画像地図データベースに格納される(手順9)。入力する地域が残っているか否かを判定し、残っているとき(手順10のNO)、次に入力する地域を重ね合せ代を含む大きさ地域に切り出し、画像地図として入力し(手順11)、手順2に戻り繰り返す。
【0018】上述の手順を実行することにより、分割して入力した画像地図を可視化表示装置上で、ずれを生じることなくつなぎ目を合致させることができる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、分割した画像地図をイメージスキャナで入力し、可視化表示するウインドウ上であらかじめつなぎ目がずれなく合致するように、各画像地図の座標および表示倍率を補整し、セグメント画像地図として画像地図データベースに格納する。そして、画像地図データベースから、セグメント画像地図を検索し、可視化表示装置でセグメント画像地図をつないで、復元するとき、地図画像のつなぎ目をずれなく合致させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の方法を示す流れ図である。
【図2】図1の方法を実行する処理装置の構成を示す図である。
【図3】ウインドウに可視化表示した画像地図データを例示する図である。
【図4】子図(a),(b),(c),(d)は、それぞれ、可視化表示されている入力画像地図を例示する図、画像地図のつなぎ目を調整し、座標と倍率を決定する仕方を例示する図、補整された画像地図に座標を付加することを例示する図、得られた画像地図を画像地図データベースに格納するセグメント画像地図データを例示する図、である。
【符号の説明】
20 処理装置
21 処理部
22 画像地図データファイル
23 画像入力装置
24 画像入力制御部
25 可視化表示装置
26 表示制御部
27 マウス&キーボード
28 入力制御部
29 画像地図データベース
30 画像地図データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】 可視化表示装置の可視化表示画面上でつなぎ合せて可視化する画像地図を格納する画像地図データベースにおいて、地図上で隣接し、互いに重なりを有する第1および第2の地域を前記重なりの重ね合せ代を付加して切断し、前記地域を画像入力装置によって入力し、前記可視化表示画面の描画プレーンそれぞれのウインドウに前記第1および第2の地域を画像地図として可視化表示する段階と、前記第1の地域を最初に可視化表示するとき、可視化表示されている前記第1の地域から前記重ね合せ代を画像操作によって切断し、指定された地点の地理座標データを付してなるセグメント画像地図を画像地図データベースに格納する段階と、前記第1の地域のセグメント画像地図がウインドウに可視化表示されているとき、可視化表示している前記第2の地域に対し、前記第1の地域のセグメント画像地図と前記第2の地域の重ね合せ代を合致させる縮小または拡大の表示倍率の変更、ならびに表示位置の移動を行う画像操作によって、前記第1の地域のセグメント画像地図と前記第2の地域のつなぎ目を合致させる段階と、前記つなぎ目が合致した第2の地域の重ね合せ代を前記画像操作によって切断し、前記倍率と前記移動によって補整される特定の地点の地理座標とを付してなるセグメント画像地図を前記画像地図データベースに格納する段階と、を含むことを特徴とする画像データベース構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平7−152893
【公開日】平成7年(1995)6月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−297143
【出願日】平成5年(1993)11月29日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000222059)東北日本電気ソフトウェア株式会社 (10)