説明

画像形成システム、画像形成装置、及び給紙装置

【課題】画像形成装置においてはトルクの増大に対応する搬送モータを採用するとともに、画像形成装置本体の搬送モータの速度とオプション給紙ユニットの搬送モータの速度を、簡易的な構成で調整して記録材の搬送を制御する画像形成システム、画像形成装置、及び給紙装置を提供する。
【解決手段】本発明は、画像形成装置と、記録材を前記画像形成装置へ給送する給紙装置とが接続された画像形成システムによって提供される。画像形成装置は、画像形成装置において記録材を搬送する第1搬送手段を駆動する第1駆動手段に関わるパラメータを検出し、検出されたパラメータを第2制御手段へ通知する。また、給紙装置は、通知されたパラメータから画像形成装置における記録材の搬送速度を算出し、算出された搬送速度に合わせて、給紙装置において記録材を搬送する第2搬送手段を駆動するための第2駆動手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム及び画像形成装置に関するものであり、特に、装置本体下部に記録材カセットを備え、装置内を搬送する記録材の搬送速度を切り替える画像形成システム、画像形成装置、及び給紙装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザプリンタや複写機やファクシミリ等の画像形成装置においては、装置本体下部に記録材を積載する記録材カセットを着脱自在に装着し、この記録材カセットに収納された記録材を給送装置により画像形成部に送り出すものがある。さらに、例えば装置本体下部にオプション給紙ユニットを増設可能にすることにより、給紙可能枚数を増加すると共に、異なるサイズの記録材を同時に使用することができるようにしたものがある。なお、オプション給紙ユニットはその上部に電気的コネクタを配しており、装置本体下部に取り付けられた電気的コネクタと接続することで、給紙動作が可能となる構成が一般的である。つまり、画像形成装置本体に載せるだけで使用できる状態となる。
【0003】
また、近年、搬送速度が増大する傾向にあり、記録材搬送用モータに要求される必要トルクも増大しており、記録材搬送用モータにループバック制御が必要なDCモータが使用されるようになっている。その上、カラー印字や高速印刷の可能な画像形成装置において、記録材の給紙速度の加減速制御を行う必要がある。これらの印刷においては、理想的なタイミングで記録材を転写位置に搬送することが望ましい。そこで、このような画像形成装置では、記録材をカセットなどからピックアップする際に生じたばらつきを、搬送路上の定位置でセンサによって検出し、検出された記録材の到達タイミングと理想的な到達タイミングとの誤差を検出する。その後、記録材への転写位置において理想のタイミング及び速度で到達できるように、給紙速度の加速又は減速を行う。
【0004】
例えば、特許文献1には、オプションカセットから装置本体へ給送するシート材の搬送精度を向上させることにより、装置本体に対するオプションカセットの追加装着を容易にする画像形成装置が提案されている。また、特許文献2には、記録材の搬送をステップモータを制御することにより調整する複写機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−17034号公報
【特許文献2】実公平05−31661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来例では、昨今要求される給紙搬送部の駆動モータの大トルク化への対応が課題として挙げられている。また、オプション給紙ユニットから記録材を給送する場合には、当然のことながら画像形成装置本体とオプション給紙ユニット間で記録材を受け渡す必要がある。したがって、従来技術には以下に記載する問題がある。例えば、DCモータであれば要求される大トルクに対応可能なものの、給紙搬送部の駆動モータとしてDCモータを使用すると、駆動対象のトルク変動や加減速制御の影響により速度が変動するため、フィードバック制御が必要となる。フィードバック制御は、パルスモータを用いたオープンループ制御と異なり、ある時点においてモータ自身の速度がCPUから与えた指令速度と異なる場合がある。そのため、従来のようにCPUの指令速度を画像形成装置本体とオプション給紙ユニットとを共有する方法では、それぞれの搬送速度を合わせることが困難となる。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、画像形成装置においてはトルクの増大に対応する搬送モータを採用するとともに、画像形成装置本体の搬送モータの速度とオプション給紙ユニットの搬送モータの速度を、簡易的な構成で調整して記録材の搬送を制御する画像形成システム、画像形成装置、及び給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、第1制御手段を有する画像形成装置と、第2制御手段を有し、記録材を前記画像形成装置へ給送する給紙装置とが接続された画像形成システムであって、前記第1制御手段は、前記画像形成装置において記録材を搬送する第1搬送手段を駆動する第1駆動手段に関わるパラメータを検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記パラメータを前記第2制御手段へ通知する通知手段とを備え、前記第2制御手段は、前記通知手段によって通知された前記パラメータから前記画像形成装置における記録材の搬送速度を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された搬送速度に合わせて、前記給紙装置において記録材を搬送する第2搬送手段を駆動するための第2駆動手段を制御する搬送制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、例えば、第2制御手段を有し記録材を画像形成装置へ給送する給紙装置と接続され、第1制御手段を有する画像形成装置であって、前記第1制御手段は、前記画像形成装置において記録材を搬送する第1搬送手段を駆動する第1駆動手段に関わるパラメータを検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記パラメータを前記第2制御手段へ通知する通知手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、例えば、第1制御手段を有する画像形成装置と接続され、第2制御手段を有し、記録材を前記画像形成装置へ給送する給紙装置であって、前記第2制御手段は、前記画像形成装置から通知された該画像形成装置における記録材を搬送するためのDCモータに関わるパラメータから該画像形成装置における記録材の搬送速度を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された搬送速度に合わせて、前記給紙装置において記録材を搬送する第2搬送手段を駆動するための第2駆動手段を制御する搬送制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、画像形成装置においてはトルクの増大に対応する搬送モータを採用するとともに、画像形成装置本体の搬送モータの速度とオプション給紙ユニットの搬送モータの速度を、簡易的な構成で調整して記録材の搬送を制御する画像形成システム、画像形成装置、及び給紙装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像形成装置の給紙部の概略図。
【図2】第1の実施形態に係るブロック図。
【図3】画像形成装置の概略図。
【図4】第1の実施形態に係る制御説明図。
【図5】第1の実施形態に係る制御説明図。
【図6】第2の実施形態に係るブロック図。
【図7】第3の実施形態に係る概略図。
【図8】第3の実施形態に係るブロック図。
【図9】第4の実施形態に係るフローチャート。
【図10】第4の実施形態に係る制御説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0014】
<第1の実施形態>
<画像形成システムの構成>
以下では、図1乃至図5を参照して、第1の実施形態について説明する。まず、図3を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。同図おいて、300は、画像形成装置としての電子写真式のプリンタである。画像形成装置300には、オプション給紙ユニット350bを備える給紙装置が着脱自在に接続され、画像形成システムが形成される。なお、画像形成装置300には、複数の給紙装置を接続することが可能である。
【0015】
画像形成装置300において、201aは、以下で説明するセンサやモータ類の負荷を制御し、画像形成を滞りなく行う中央演算装置たるCPUである。301は、静電潜像担持体である感光ドラムである。感光ドラム301の上方には、感光ドラム301の表面を一様に帯電せしめる帯電ローラ302が、感光ドラム301の表面に当接するように設けられている。帯電ローラ302の、当接位置より感光ドラム301の回転方向下流側の帯電された表面には、発光手段によって光ビーム303が照射されるようになっている。この発光手段は、光ビーム303を発する半導体レーザ304と、半導体レーザ304を平行光に偏光するコリメータレンズ305と、光ビーム303を感光ドラム301の表面に走査せしめるポリゴンミラー306と、光ビーム303を表面でスポットを形成するように調整する光学レンズ308aと、平行光を感光ドラム301上でほぼ線状に結像させるシリンドリカルレンズ308bとから構成されている。ポリゴンミラー306は、スキャナモータ307によって定速制御されている。
【0016】
さらに、画像データに応じて光ビーム303を照射することにより、感光ドラム301の表面に静電潜像を形成せしめる。この静電潜像は、光ビーム303の照射位置よりも更に感光ドラム301の回転方向下流側で感光ドラム301に当接するように配設された現像装置309によって、トナー像として現像される。このトナー像は、感光ドラム301に対向するように配設された転写ローラ310によって転写材たる記録材P上に転写される。
【0017】
この記録材Pは、感光ドラム301から、記録材の搬送方向に対して上流側に位置する本体給紙ユニット350a内部の用紙カセット320a内に収納されている。なお、記録材Pは、不図示の手差しトレイからの手差しでも給紙が可能である。用紙カセット320a端部には給紙ローラ321aが配設されており、当該給紙ローラ321aが回転しながら上下に揺動し、用紙カセット320a内の記録材Pをピックアップし、フィードローラ319aとリタードローラ318aにより記録材Pの一番上の用紙が1枚のみ搬送路へ給送される。給紙ローラ321aと転写ローラ310との間の搬送路には、記録材Pの斜行補正及び感光ドラム301上の画像形成と記録材搬送との同期をとるためのレジストローラ312が配設されている。このレジストローラ312は、上述した転写位置へ所定のタイミングで記録材Pを送り込む。給紙ローラ321a、レジストローラ312及び感光ドラム301の上流側にある搬送路は、本画像形成装置300の給紙部を構成する。なお、レジストローラ312と給紙ローラ321aとの間には、レジストセンサ313が配設されており、記録材Pの有無を検知する。
【0018】
未定着トナー像を転写された記録材Pは、更に記録材の搬送方向に対して、感光ドラム301の下流側の定着装置へ搬送される。当該定着装置は内部に定着ヒータ(不図示)を有する定着ローラ314と当該定着ローラ314に圧接するように配設された加圧ローラ315とで構成される。転写部から搬送されてきた記録材Pを上記定着ローラ314と加圧ローラ315との圧接部によって加圧しながら加熱することにより、記録材P上の未定着トナー像を記録材Pに定着せしめる。圧接部の下流側には当該圧接部から記録材Pが搬送されることを確認する排紙紙有無検知センサ316が配設されている。更に、当該排紙紙有無検知センサ316の下流側には、排紙ローラ317a,317bが配設されており、当該排紙ローラ317a,317bは定着された記録材Pを排出せしめる。
【0019】
350bは画像形成装置300の給紙部に着脱自在な給紙装置に含まれるオプション給紙ユニットであり、オプション給紙ユニット(350b)内部には、記録材Pが用紙カセット320bに収納されている。コントローラ(不図示)からの給紙場所指定がオプション給紙ユニットに設定された状態で、プリント信号が画像形成装置300に送信されると、給紙ローラ321bが回転しながら上下に揺動し、記録材Pをピックアップする。さらに、フィードローラ319aとリタードローラ318bとにより1枚だけが分離され、給紙ローラ321bによって、画像形成装置300内に給送される。給送された記録材Pは、上述した画像形成動作により所定の画像が印字され、排紙される。なお、給紙ローラ321bの駆動源はオプション給紙ユニット内のモータにより供給されている。
【0020】
<給紙部の構成>
次に、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置300の給紙部の構成例について説明する。350aは画像形成装置本体に設けられた第1の給紙口である給紙ユニットを表す。給紙ユニット350aは、用紙カセット320a、給紙ローラ321a、フィードローラ319a、及びリタードローラ318aを備える。350bは、第2の給紙口であるオプション給紙ユニットを表す。オプション給紙ユニット350bは、用紙カセット320b、給紙ローラ321b、フィードローラ319b、及びリタードローラ318bを備える。上述したように、オプション給紙ユニット350bは、画像形成装置300に対して着脱自在に接続することができる。311a、311bはそれぞれの給紙モータによって駆動される搬送ローラである。給紙制御の詳細については後述する。
【0021】
<給紙動作に関わる構成>
次に、図2を参照して、給紙動作に関わる画像形成装置300の構成について説明する。201aは、第1制御手段として機能し、画像形成装置300を統括的に制御するCPUである。202aは画像形成装置300の駆動源である搬送モータ(第1駆動手段)である。204a、204bはそれぞれ第1の給紙口、第2の給紙口の給紙ローラを駆動するための給紙ソレノイドである。202bはオプション給紙ユニット350bの駆動源である搬送モータ(第2駆動手段)である。313は記録材が所定位置を通過したことを検出するレジストセンサである。
【0022】
また、CPU201aは、バス等(図示せず)を介してメモリ205aに接続されており、メモリ205aには、CPU201aが行う処理の全て又は一部を実行するためのプログラム及びデータが格納される。即ち、CPU201aは、メモリ205aに格納されたプログラム及びデータを用いて画像形成装置300の制御を行う。ここでは、メモリ205aは、CPU201aの内部に内蔵されることを想定しているものの、CPUの外部に存在してもよく、この構成に限定されるものではない。
【0023】
201bは、第2制御手段として機能し、第2の給紙口であるオプション給紙ユニット350bを制御するオプションCPUである。図2に示すように、本体制御用のCPU201aとオプション給紙カセット制御用のオプションCPU201bとは、コマンド/ステータス/クロックを表す3本の信号線により接続され、3線式シリアル通信を用いて情報のやり取りを行っている。また、本体制御用のCPU201aとオプション給紙カセット制御用のオプションCPU201bの制御方法はここに記した構成に限定されるものでなく、通信方式の選択や、接続方式の選択をすることができる。
【0024】
また、CPU201bは、バス等(図示せず)を介してメモリ205bに接続されており、メモリ205bには、CPU201bが行う処理の全て又は一部を実行するためのプログラム及びデータが格納される。即ち、CPU201bは、メモリ205bに格納されたプログラム及びデータを用いてオプション給紙ユニット350bの制御を行う。
【0025】
図中破線は搬送駆動力の伝達経路を表しており、搬送モータ202aが駆動されると本体の搬送ローラ311aが駆動する。また、同時にクラッチ203aをオンすることにより、搬送ローラ311a、フィードローラ319a及びリタードローラ318aが駆動される。さらに、給紙ソレノイド204aをオンすることにより、第1の給紙口の給紙ローラ321aが駆動される。また、オプション搬送モータ202bが駆動されるとオプションの搬送ローラ311b、フィードローラ319b、及びリタードローラ318bが駆動される。さらに、給紙ソレノイド204bをオンすることにより、第2の給紙口の給紙ローラ321bが駆動される。なお、搬送ローラ311a、フィードローラ319a及びリタードローラ318aは、第1搬送手段の一例である。また、搬送ローラ311b、フィードローラ319b、及びリタードローラ318bは、第2搬送手段の一例である。
【0026】
<給紙搬送制御>
次に、本実施形態に係る給紙搬送制御について説明する。まず、本体における給紙搬送制御について説明する。コントローラ(不図示)から、給紙口1(350a)から給紙した記録材に印刷を行うという印刷指示を受けたCPU201aは、搬送モータ202aの駆動を開始し、印刷準備を行う。所定タイミングにおいてクラッチ203aを接続し、搬送ローラ311aやフィードローラ319a、リタードローラ318aの駆動を開始する。その後、CPU201aは、給紙ソレノイド204aを操作し、給紙ローラ321aを駆動する。給紙ローラ321aは用紙カセット320a内にある記録材Pを搬送路へと搬送する。用紙カセット320a内に複数ある記録材Pは、それぞれ逆方向に回転するフィードローラ319a及びリタードローラ318aによって分離され、一枚だけが搬送ローラ311aに送られる。その後、記録材Pは、搬送ローラ311aによって、感光ドラム301及び転写ローラ310によって構成される転写位置へと搬送される。
【0027】
次に、オプション給紙ユニット350bにおける給紙搬送制御について説明する。コントローラ(不図示)から、給紙口2(350b)から給紙した記録材に印刷を行うという印刷指示を受けたCPU201aは、オプションCPU201bに対し、搬送モータ202bの駆動を開始し、印刷準備を行うよう指示を出す。オプションCPU201bは、オプション搬送モータ202bを用いて、搬送ローラ311bやフィードローラ319b、リタードローラ318bの駆動を開始する。その後オプションCPU201bは給紙ソレノイド204bを操作し、給紙ローラ321bを駆動する。給紙ローラ321bは用紙カセット320b内にある記録材Pを搬送する。用紙カセット320b内に複数ある記録材Pは、それぞれ逆方向に回転するフィードローラ319b及びリタードローラ318bによって分離され、一枚だけが搬送ローラ311bに送られる。
【0028】
ここで、図1に示すように、記録材Pの全長がオプションの搬送ローラ311bと本体の搬送ローラ311aとの間隔よりも長い場合には、オプションの搬送ローラ311bと本体の搬送ローラ311aとの両方によって記録材が搬送されるタイミングがある。その場合、オプションの搬送ローラ311bと本体の搬送ローラ311aとは同じ速度で記録材の搬送を行う必要がある。例えば、オプションの搬送ローラ311bよりも本体の搬送ローラ311aの搬送速度が遅い場合、記録材Pはオプションの搬送ローラ311bによって押し込まれるため、記録材の先端位置が理想位置よりも進んでしまう。同様に、オプションの搬送ローラ311bよりも本体の搬送ローラ311aの搬送速度が速い場合、本体の搬送ローラ311aにおいて記録材Pが滑ってしまい、記録材の先端位置が理想位置よりも遅れてしまう。これらの場合、理想位置で転写を行うことができなくなってしまい、記録材上に形成される画像が理想位置よりもずれてしまう可能性がある。
【0029】
<搬送ローラの制御>
次に、本実施形態における、オプション給紙ユニット350bの搬送ローラ311bと本体の給紙ユニット350aの搬送ローラ311aとを同じ速度で制御する方法について説明する。本実施形態では、本体の搬送モータ202aにDCブラシレスモータを使用することを想定している。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ACモータや超音波モータ等のフィードバック制御が可能なモータであれば適用することができる。
【0030】
まず、本体CPU201aは、搬送モータ202aが一定の速度となるように、加速信号ACC及び減速信号DECを用いて、制御する。具体的には、CPU201aは、DCブラシレスモータからのFGパルス信号が所定周期よりも短い場合は、減速信号DEC信号を出力する。一方、CPU201aは、DCブラシレスモータからのFGパルス信号が所定周期よりも長い場合は、加速信号ACC信号を出力する。上記制御によりFGパルス信号を所定周期に保つことが可能となり、DCブラシレスモータを一定速度で制御することができる。
【0031】
同時に本体CPU201aは、搬送モータ202aからのFGパルス信号を、搬送モータ202aに関わるパラメータとして、オプションCPU201bに対して出力する。オプションCPU201bは、受け取ったFGパルス信号から、本体の搬送モータ202aの速度を導出し、同一の速度となるようにオプション搬送モータ202bを制御する。本実施形態では、オプション搬送モータ202bにパルスモータを使用することを想定している。そのため所定のパルス幅を出力することにより、オプション搬送モータ202bを所望の速度で制御することができる。
【0032】
オプションCPU201bは、FGパルス信号を受け取ると、そのパルス信号のHigh期間の時間幅及びLow期間の時間幅を測定する。オプションCPU201bは、High期間の時間幅とLow期間の時間幅とを平均化した上で加算することによりFGパルス周期を算出し、
[rpm]=60/(FGパルス周期[s/1pls]×一回転あたりのFGパルス数[pls/round])・・・(式1)
式1を用いて最終的に本体搬送モータ202aの速度vを算出する。なお、本発明はこれに限定されず、FGパルス信号と、本体搬送モータ202aの速度vとを対応付けて定義したテーブルを予め保持するようにしてもよい。これにより、その都度、本体搬送モータ202aの速度vを計算する必要がなくなり処理負荷を低減することができる。
【0033】
そして対応するオプション搬送モータ202bの速度を決定する。通常、搬送モータと搬送ローラの間には、減速ギア(不図示)が設置されている。これはモータの効率が高い回転数と搬送ローラを駆動する回転数とが異なるためである。またDCブラシレスモータとパルスモータとでは得意とする速度が異なる。そのため、それぞれの減速ギアの減速比も異なっている。したがって、オプションCPU201bは、測定した本体搬送モータの速度にそれぞれの減速比を考慮に入れてオプション搬送モータの速度を決定する必要がある。ここで、減速比とは、搬送モータの回転数に対して搬送ローラの回転数を減少させる際の比率を示す。
【0034】
本体搬送モータの減速比をu、オプション搬送モータの減速比をuとすると、オプション搬送モータの速度vは、以下の(式2)で表すことができる。
[rpm]=v・(u/u)・・・(式2)
オプションCPU201bは、それぞれのモータの減速比をメモリ205bにデータとして保存しても良いし、プログラム内に記述しておいても良い。
【0035】
ここでは、単純にHigh期間とLow期間を平均化した上で加算したFG周期から本体給紙モータの速度を算出しているものの、測定した速度を積分してノイズ成分を除去してもよい。FGパルス信号のデューティ比を50%に設定した上で、High期間のみから算出した速度やLow期間のみから算出した速度だけを用いてもよい。また、これまでオプション給紙ユニット350bの搬送モータ202bにパルスモータを想定しているものの、DCモータなどオプションCPU201bによって速度制御が可能なモータであれば、どんなモータであってもよい。
【0036】
<変形例>
ここで、変形例について説明する。画像形成装置本体の搬送モータ及びオプション給紙ユニット350bの搬送モータにそれぞれDCモータを使用した場合、オプションCPU201bは以下の式3によりオプション給紙ユニット350bの搬送モータの目標FG周期FGperiod2を算出する。
FGperiod2[s/1pls]=FGperiod1・((u・FG)/(u・FG))・・・(式3)
ここで本体搬送モータの減速比をu、オプション搬送モータの減速比をu、本体搬送モータの1回転あたりのFGパルス数をFG、オプション搬送モータの1回転あたりのFGパルス数をFG、本体搬送モータのFG周期をFGperiod1とする。オプションCPU201bは、オプション給紙ユニット350bの搬送モータ202bのFG周期が目標FG周期となるように搬送モータ202bを制御することにより、両者の搬送速度を合わせることが可能となる。
【0037】
<加減速制御>
次に、給紙搬送制御における加減速制御の必要性について説明する。給紙カセットから給紙搬送動作を行う場合、フィードローラ319a及びリタードローラ318aによる記録材同士の分離状況によって、搬送を開始する前の記録材の先端位置はバラツキを持っている。例えば給紙カセットに記録材が補充された直後は、前紙の給紙による連れ出しが発生していないため、記録材の先端はほぼ給紙カセット内にある。一方、給紙動作が行われた後では、2枚目以降の紙も1枚目に連れ出された後、リタードローラ318aによって分離されているため、記録材の先端はほぼリタードローラ318aの位置まで進んでいる。
【0038】
そのため、同一速度で搬送を行ったとしても、感光ドラム301及び転写ローラ310において構成される転写位置への到達時間が異なってしまう。CPU201aは、搬送ローラ311aによって搬送された記録材Pの先端が所定位置に到達した時刻T1をレジストセンサ313を用いて取得する。このレジストセンサ313の設置位置への到達時刻T1が理想時刻Trefよりも早い場合、その差分に対応した時刻の間、搬送モータ202aを減速することにより、搬送ローラ311aや排紙ローラ317aを減速させる。すると、記録材が転写位置へ到達する時間が延び、理想的な時刻に転写位置へ到達することができる。一方、レジストセンサ313の設置位置への到達時刻T1が理想時刻Trefよりも遅い場合、その差分に対応した時刻の間、搬送モータ202aを加速することにより、搬送ローラ311aや排紙ローラ317aを加速させる。
【0039】
<搬送速度の調整>
次に、図4を参照して、レジストセンサ313の設置位置への到達時刻T1を理想時刻Trefに調整する際の制御について説明する。なお、ここでは、到達時刻T1が理想時刻Trefよりも遅い場合401と速い場合402を例に説明する。この図において、横軸は時間を示し、縦軸は記録材先端の位置を示す。点線を用いてレジストセンサ313に到達するまでの実際の記録材先端の軌跡、一点鎖線を用いて理想の記録材先端位置の軌跡を示す。401において、実際の記録材の先端位置がレジストセンサ313に到達した時刻T1と理想時刻Trefとの差が記録材先端の遅れ時刻となり、そのときの搬送速度により記録材先端の遅れ量が算出できる。この遅れ量を補正するように記録材の搬送速度を増加させ、理想の先端位置と実際の紙先端位置を合わせ、理想的な時刻T2に転写位置へ到達することができる。同様に、402において、到達時刻T1が理想時刻Trefよりも早い時刻となり、記録材の先端位置がレジストセンサ313に到達した時刻T1と理想時刻Trefとの差が記録材先端の先行時刻となり、そのときの搬送速度により記録材先端の先行量が算出できる。この先行量を補正するように記録材の搬送速度を減少させ、理想の先端位置と実際の紙先端位置を合わせ、理想的な時刻T2に転写位置へ到達することができる。
【0040】
次に、図5を用いて、本体の給紙部の搬送速度及びオプションの給紙部の搬送速度を一致させる制御について、詳細に説明する。この図において、横軸は経過時間を示し、縦軸はそれぞれ本体とオプションの搬送部の速度を示す。オプションCPU201bは、本体搬送モータ202aのFGパルスを常時監視しているため本体搬送モータ202aが駆動を始める時刻T0において、オプション搬送モータ202bの駆動を開始することができる。その後、図5中の点線601で示す指令値に従って、本体給紙速度(602)は増加し、目標速度に到達すると、一定速度に制御される。
【0041】
その後、本体CPU201aは、レジストセンサ313の設置位置への到達時刻T1において、記録材先端の遅れ量を算出し、加速処理を行うことにより、転写位置へ理想時間T2に記録材を到達させることができる。本体搬送モータ202aにDCモータを使用した場合、図5中605で示すように、負荷変動やモータ等のイナーシャなどにより指示した速度から若干異なる速度で回転する場合がある。しかしながらフィードバック制御を行っているため、ほぼその後は、602で示すように指令値601に追従して回転する。
【0042】
また、オプションCPU201bは、本体搬送モータ202aのFGパルスを常時監視して、オプション搬送モータ202bの速度を制御しているため、オプションの搬送速度603は、本体の搬送速度602と同一となる。
【0043】
なお、ここでは、オプションの搬送速度として、本体の搬送速度と同一とする制御について説明をしているが、本発明をこの制御に限定する意図はない。例えば、図5中の604で示すように、本体の搬送速度を所定期間、例えば、直前の5msecの期間の本体の搬送速度を平均化する(平均速度を求める)ことにより、負荷変動等の影響を取り除き、実際の指令値601に近い速度を得ることもできる。また、図5中の606で示すように、本体の搬送速度とオプションの搬送速度が全く同一でなくてもよい。これは、例えば、搬送路の構成上、例えば、搬送路の上下左右に余裕を持たせているため、ある程度の記録材の引っ張りや押し込みが許容されるものであり、それらの許容される範囲内で本体の搬送速度と、オプションの搬送速度とは異なってもよいことを意味する。なお、許容される範囲を判別するための閾値を設け、本体の搬送速度とオプションの搬送速度との差が当該閾値の範囲内となるように制御されてもよい。
【0044】
本体の給紙ユニット350aと同様に、オプション給紙ユニット350bにおいても、フィードローラ319b及びリタードローラ318bによる分離状況によって、搬送を開始する前の記録材の先端位置はバラツキを持っている。そのため、オプション搬送モータ202bにおいても、加減速制御を行う必要がある。上述したように、記録材の全長がオプションの搬送ローラ311bと本体の搬送ローラ311aの間隔よりも長い場合、本体搬送ローラとオプション搬送ローラの速度を同じにする必要がある。従来は一定速度で搬送していたものの、本実施形態では本体搬送モータが行う加減速制御とオプション搬送モータが行う加減速制御を合わせる必要がある。本実施形態に係る画像形成装置であれば、本体搬送モータの速度を1FGパルス毎に取得することが可能である。そのため本体搬送モータが加減速制御を行う場合であっても、その速度変動を検出することが可能であり、オプションCPU201bは、本体搬送モータの速度に合わせて、オプション搬送モータの速度を制御することが可能である。
【0045】
ここまで、給紙加減速制御の必要性について説明を行った。給紙加減速制御を行う場合であっても、本発明の構成であれば記録材の先端位置を合わせることが可能となる。ここでは、加減速制御についてのみ触れたものの、両面印刷時など記録材の停止を伴うような制御であっても正常に制御が行えることはいうまでもなく、この構成のみに限定されるものではない。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、本体搬送モータのFGパルス信号をオプションCPU201bに通知し、オプションCPU201bは、そのFGパルス信号より本体搬送モータの速度を導出して、オプション搬送モータの速度を決定する。決定した速度によってオプション搬送モータを制御することにより、画像形成装置本体の搬送モータの速度とオプション給紙ユニットの搬送モータの速度を、簡易的な構成で合わせることができ、画像位置のずれのない良好な画像を出力することができる。したがって、画像形成装置本体によって速度を計測し、オプション給紙ユニット側に伝達する方法に比べ、速度変動に対する応答性にすぐれ、また通信用の信号線の数も低減することができる。
【0047】
また、本体の搬送モータの速度信号をオプション給紙ユニットへ送り、オプション給紙ユニットのCPUで本体側搬送モータの速度変更タイミングを検出することにより、本体側搬送モータの速度変更をオプション側搬送モータへ反映するタイミングを決定することができる。したがって、速度変更タイミング信号を画像形成装置本体からオプション給紙ユニットへ伝達する必要がないため、通信用の信号線の数を低減することが可能となる。さらに、昨今要求される給紙搬送モータの大トルク化に容易に対応しうるDCモータを給紙搬送部の搬送モータとして使用することが可能となる。
【0048】
<第2の実施形態>
次に、図6を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態における画像形成装置の概略及び給紙搬送制御方法は第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は割愛する。本実施形態は、本体搬送モータ202aの速度の検出方法として、FGパルス信号ではなく、ロータリーエンコーダの出力信号であるエンコーダ信号を用いることを特徴とする。図6と上記図2とを比較すると、搬送モータ202aにエンコーダ401が接続されていることが分かる。さらに、当該エンコーダ信号は、搬送モータ202aに関わるパラメータとして、オプションCPU201bへ伝達される。オプションCPU201bは、伝達されたエンコーダ信号を用いて、上記第1の実施形態と同様に、本体側の記録材の搬送速度を導出し、導出した搬送速度でオプション搬送モータ202bを制御する。
【0049】
一般にFGパルス信号は、DCブラシレスモータのロータに着磁された磁気を、基板上に形成された読み取りパターンによって検出するものである。この着磁パターンの間隔を小さくすることは困難であるため、ロータ1回転あたりのパルス数を増加することは困難である。そのため高精度な搬送制御を行おうとする場合、モータ軸を延長し、その軸上にエンコーダを設置することがある。エンコーダは、円盤に形成されたスリットを光学的に読み取ることによって、回転速度を検出するものである。円盤を高精度で加工可能な材質に変更することにより、円盤状のスリット数を増加させることが容易である。すると1回転あたりのエンコーダパルス数を容易に増やすことができる。また複数の読み取りセンサを準備することにより、回転方向を検出することやロータ1周あたりの信号数を増加させ、さらに精度を向上させることができる。
[rpm]=60/(エンコーダパルス周期[pls/s]×一回転あたりのエンコーダパルス数[pls/round])・・・(式4)
エンコーダ信号から搬送モータ202aの回転数vを得るためには、上記式4を用いればよい。
【0050】
このように、本実施形態では、本体搬送モータのエンコーダ信号をオプションCPU201bに伝達し、オプションCPU201bによって本体搬送モータの速度を検出することを特徴とする。1回転あたりのパルス数が増加することにより、それぞれのCPUによる速度検出誤差が低下し、本体搬送モータとオプション搬送モータの速度差も減少させることが可能となる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置では、本体搬送モータの速度検出にエンコーダを使用することにより、本体搬送モータを高精度に制御できるだけでなく、本体搬送モータとオプション搬送モータの速度差を低減することができる。
【0052】
<第3の実施形態>
次に、図7及び図8を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態における画像形成装置の概略及び給紙搬送制御方法は第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は割愛する。本実施形態は、画像形成装置の給紙部に複数のオプション給紙ユニットを接続することを特徴とする。
【0053】
図7と上記図1とを比較すると、オプション給紙ユニット350cがさらに追加されている。350cは第3の給紙口であるオプション給紙ユニットを表す。オプション給紙ユニット350cは、用紙カセット320c、給紙ローラ321c、フィードローラ319c、及び、リタードローラ318cを備える。311cは第3の給紙口の搬送モータによって駆動される搬送ローラである。
【0054】
図8に示すように、追加されたオプション給紙ユニット350cにおいても、オプション搬送モータ202cが駆動されるとオプションの搬送ローラ311c、フィードローラ319c、及びリタードローラ318cが駆動する。さらに、給紙ソレノイド204cをオンすることにより、第3の給紙口の給紙ローラ321cが駆動される。オプションCPU201cは、本体CPU201a及びオプションCPU201bとCLK/CMD/STS/FGの4本の信号線によって並列に接続されている。本体CPU201aからのコマンドは、オプションCPU201bと同時に受信することとなる。また、CPU201cは、バス等(不図示)を介してメモリ205cに接続されており、メモリ205cには、CPU201cが行う処理の全て又は一部を実行するためのプログラム及びデータが格納される。即ち、CPU201cは、メモリ205cに格納されたプログラム及びデータを用いて給紙ユニット350cを制御する。ここでは、3つのCPUが並列に接続する構成について説明をしているものの、それぞれのCPUが直列に接続されるなど、ここに示した構成に限定する必要はない。
【0055】
ここで、図7に示すように記録材の全長がオプションの搬送ローラ311cと本体の搬送ローラ311aの間隔よりも長い場合、本体搬送ローラと2つのオプション搬送ローラの速度を同じにする必要がある。例えば、搬送ローラ311bが他のローラよりも遅く搬送したとすれば、搬送ローラ311aに対しては記録材の引張りが生じ、搬送ローラ311cからは記録材が押し込まれる。それぞれの搬送ローラの摩擦力の差によりどれかの搬送ローラが滑り、記録材の先端位置は理想位置よりも遅れ又は進みが生じてしまう。
【0056】
これまでの実施形態と同様に本体CPU201aは、レジストセンサ313への記録材先端の到達時間T1から記録材の進み量又は遅れ量を検出し、記録材の先端が理想位置となるように本体搬送モータの速度の加減速制御を行う。オプションCPU201b及び201cは、本体搬送モータの速度をFGパルス信号のパルス幅を計測することにより算出し、自身に接続されているオプション搬送モータの速度をそれぞれ最適に制御する。これにより、全ての搬送モータが同一の動作をすることなり、複数の搬送ローラに記録材Pが存在する状況であっても、最適な搬送を行うことができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、画像形成装置に複数のオプション給紙ユニットを接続したとしても記録材を理想的に搬送することができる。なお、本実施形態に係る画像形成装置は、上記第2の実施形態と組み合わせることも可能であり、エンコーダを使用することにより、本体搬送モータを高精度に制御できるだけでなく、本体搬送モータとオプション搬送モータの速度差を低減することができる。
【0058】
<第4の実施形態>
次に、図9及び図10を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態における画像形成装置の概略及び給紙搬送制御方法は第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は割愛する。本実施形態は、オプション給紙ユニットが本体搬送モータの速度変更タイミングを検出することを特徴とする。画像形成装置とオプション給紙ユニットにそれぞれ搬送モータを設ける場合、それぞれのCPUが独自にモータを制御するため、厳密に同一の速度とすることは困難である。2つの搬送ローラ間に若干でも速度差があれば、先端レジの誤差に繋がってしまう。そのため、画像形成装置本体の搬送ローラとオプション給紙ユニットの搬送ローラとの間に若干のループ(記録材の撓み)を形成し、2つのローラ間の速度差を吸収することが多い。ローラ間のループの形成方法としては、上流側の搬送ローラを一定期間だけ下流側の搬送ローラよりも速く回すことで実現する。一定のループ量のループを形成した後は、2つの搬送ローラを同一速度で回すことにより、形成したループを維持することができる。本実施形態の場合、本体搬送モータの速度や速度変更タイミングに合わせて、オプション搬送ローラの速度を適切に変更することにより、2つのモータの速度差を吸収するのに十分なループを形成する。
【0059】
次に、オプションCPU201bが行う、本体搬送モータの速度変更タイミングの検出方法について説明をする。上記第1の実施形態で説明したようにDCブラシレスモータのFGパルス信号のパルス周期を計測することによって、DCブラシレスモータの速度を算出することができる。もし本体搬送モータが加速状態の場合、FGパルス信号の周期は徐々に短くなる。同様に本体搬送モータが一定速度の場合、FGパルス周期は一定であり、パルス周期は変動しない。パルス周期が減少方向から一定周期に変化したことを検出することにより、オプションCPU201bは、起動後の加速状態が終了して一定速度に移行する、速度変更タイミングを検出することが可能となる。速度変更タイミングを検出した後、オプションCPU201bは、予め定められた期間だけ、本体搬送モータよりもオプション搬送モータの速度を速めて速度制御を行い、必要十分なループを本体と給紙オプションの間に形成する。
【0060】
図9及び図10を用いて、オプションCPU201bの動作を説明する。記録材の搬送開始後、S801において、オプションCPU201bは、本体搬送モータ202aのFGパルス周期を監視し、本体搬送モータの加速が終了したか否かを判定する。本体搬送モータの加速が終了するとS802に進み、加速が終了していなければS806に進む。加速が終了していなければS806において、オプションCPU201bは、オプション搬送モータ202bの搬送速度を、本体搬送モータ202aと同一速度に制御して、処理をS801に戻す。
【0061】
一方、S802において、本体搬送モータの加速終了後の一定時間、オプションCPU201bは、オプション搬送モータ202bを本体搬送モータよりも速い速度に制御し、S803において速度制御後に一定時間が経過したか否かを判定する。搬送速度を速く制御した後に一定時間が経過するとS804に進み、オプションCPU201bは、オプション搬送モータ202bの搬送速度を、本体搬送モータ202aと同一速度に制御する。続いて、S805において、オプションCPU201bは、記録材の搬送が終了したか否かを判定し、搬送が終了すると処理を終了する。
【0062】
図10中において、横軸が経過時間を示し、縦軸が本体及びオプションの搬送速度を示し、1001が実際の本体の搬送速度を示し、1003が制御されるオプションの搬送速度を示す。オプションCPU201bは、本体搬送モータの加速終了を時刻T3において判断すると、1002に示しように、本体搬送モータの速度よりもオプション搬送モータよりも速くなるように制御する。この制御により、本体とオプションとの間に適切なループ(記録材の撓み)を形成することができる。オプションCPU201bは、ループ形成の終了した時刻T4からは、本体搬送モータとオプション搬送モータとの速度を同一に制御することにより、作成したループを維持することができる。
【0063】
ここで、本体と給紙オプション間のループの最適なループ量は、搬送する記録材の種類によって異なる。記録材が薄紙であった場合、少し押し込み気味に搬送ローラが駆動したとしても、記録材が撓むことによってその差を吸収しやすい。逆に記録材が厚紙であった場合、ループ形成のためにオプション搬送ローラを速い速度とすると、撓みにくい性質であるため、それだけで本体搬送ローラに対する押し込みとなってしまう。ユーザがオプション給紙ユニットに積載した記録材の種類を操作部から入力した場合は、本体CPU201aより当該オプション給紙ユニットのCPUに対して、記録材の種類を通知する。するとオプションCPU201bは時刻T3と時刻T4との間の期間を調整することにより、指定された記録材に最適なループを形成することができる。他にもオプション給紙ユニットに積載された記録材の種類を検出する記録材判別装置を設け、当該記録材判別装置が判別した記録材の種類によって、最適なループを形成することもできる。また、上記記録材判別装置は、画像形成装置本体に設けてもよい。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、オプションCPU201bが本体搬送モータの速度変更タイミング、具体的には、初期の速度増加の終了を検出する。これにより、画像形成装置本体とオプション給紙ユニット間で適切な記録材のループを形成することが可能となる。
【0065】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御手段を有する画像形成装置と、第2制御手段を有し、記録材を前記画像形成装置へ給送する給紙装置とが接続された画像形成システムであって、
前記第1制御手段は、
前記画像形成装置において記録材を搬送する第1搬送手段を駆動する第1駆動手段に関わるパラメータを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記パラメータを前記第2制御手段へ通知する通知手段と
を備え、
前記第2制御手段は、
前記通知手段によって通知された前記パラメータから前記画像形成装置における記録材の搬送速度を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された搬送速度に合わせて、前記給紙装置において記録材を搬送する第2搬送手段を駆動するための第2駆動手段を制御する搬送制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記搬送制御手段は、前記給紙装置における記録材の搬送速度を、前記算出手段によって算出された搬送速度と同一の搬送速度にすべく、前記第2駆動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記搬送制御手段は、前記給紙装置における記録材の搬送速度から所定期間における平均速度を求め、該平均速度に従って、前記第2駆動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第2駆動手段はパルスモータであり、
前記搬送制御手段は、
前記第1駆動手段の速度をv、前記パルスモータの速度をv、前記第1駆動手段の減速比をu、前記パルスモータの減速比をuとすると、
[rpm]=v・(u/u
から前記パルスモータの速度を求めることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第1駆動手段に関わる前記パラメータは、FGパルス信号であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第1駆動手段に関わる前記パラメータは、ロータリーエンコーダの出力信号であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第2駆動手段はDCモータであり、
前記第1駆動手段に関わる前記パラメータは、FGパルス信号であり、
前記搬送制御手段は、
前記第1駆動手段としてのDCモータの目標FG周期をFGperiod1、前記第2駆動手段としてのDCモータの目標FG周期をFGperiod2、前記第1駆動手段としてのDCモータの減速比をu、前記第2駆動手段としてのDCモータの減速比をu、前記第1駆動手段としてのDCモータのFGパルス数をFG、前記第2駆動手段としてのDCモータのFGパルス数をFGとすると、
FGperiod2[s/1pls]=FGperiod1・((u・FG)/(u・FG))
から前記第2駆動手段としてのDCモータの目標FG周期を求めることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
複数の前記給紙装置が前記画像形成装置に接続され、
前記通知手段は、前記パラメータを、複数の前記給紙装置の各制御手段に同時に通知することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記第2制御手段は、
前記パラメータから、前記第1駆動手段の速度の変更タイミングを検出する検出手段をさらに備え、
前記搬送制御手段は、
前記検出手段によって検出された前記変更タイミングにおいて、前記第1駆動手段に駆動される第1搬送手段の搬送速度よりも速い搬送速度で第2駆動手段により駆動される第2搬送手段の搬送速度を制御することにより、前記記録材にループを形成することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記給紙装置は、
前記給紙装置に積載された記録材の種類を判別する記録材判別手段をさらに備え、
前記搬送制御手段は、
前記記録材判別手段によって判別された記録材の種類に従って、記録材のループ量を変更することを特徴とする請求項9に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記給紙装置に積載された記録材の種類を判別する記録材判別手段をさらに備え、
前記搬送制御手段は、
前記記録材判別手段によって判別された記録材の種類に従って、記録材のループ量を変更することを特徴とする請求項9に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記画像形成装置は、
ユーザが前記給紙装置に積載された記録材の種類を入力する操作手段をさらに備え、
前記通知手段は、前記操作手段によって受け付けた記録材の種類を前記第2制御手段へ通知し、
前記搬送制御手段は、前記通知手段によって通知された記録材の種類に従って、記録材のループ量を変更することを特徴とする請求項9に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記第1駆動手段は、DCモータであることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項14】
第2制御手段を有し記録材を画像形成装置へ給送する給紙装置と接続され、第1制御手段を有する画像形成装置であって、
前記第1制御手段は、
前記画像形成装置において記録材を搬送する第1搬送手段を駆動する第1駆動手段に関わるパラメータを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記パラメータを前記第2制御手段へ通知する通知手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
第1制御手段を有する画像形成装置と接続され、第2制御手段を有し、記録材を前記画像形成装置へ給送する給紙装置であって、
前記第2制御手段は、
前記画像形成装置から通知された該画像形成装置における記録材を搬送するためのDCモータに関わるパラメータから該画像形成装置における記録材の搬送速度を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された搬送速度に合わせて、前記給紙装置において記録材を搬送する第2搬送手段を駆動するための第2駆動手段を制御する搬送制御手段と
を備えることを特徴とする給紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−86898(P2013−86898A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227434(P2011−227434)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】