画像形成システムおよび実行装置
【課題】広域ネットワーク領域を利用して印刷するメリットを残しつつ,広域ネットワーク領域内にあるサーバの負担を軽減する画像形成システムおよび実行装置を提供すること。
【解決手段】画像形成システム500は,広域ネットワーク領域内に印刷サーバ100があり,印刷サーバ100が印刷対象データの加工工程を行う加工機能を有している。また,構内ネットワーク領域200内にミラーサーバ230があり,ミラーサーバ230は印刷サーバ100が行う加工工程の少なくとも一部を実行できる。そして,画像形成システム500では,印刷サーバ100に対して構内ネットワーク領域200内から依頼された印刷要求について,その印刷要求に対する加工工程の少なくとも一部の工程をミラーサーバ230に実行させる。
【解決手段】画像形成システム500は,広域ネットワーク領域内に印刷サーバ100があり,印刷サーバ100が印刷対象データの加工工程を行う加工機能を有している。また,構内ネットワーク領域200内にミラーサーバ230があり,ミラーサーバ230は印刷サーバ100が行う加工工程の少なくとも一部を実行できる。そして,画像形成システム500では,印刷サーバ100に対して構内ネットワーク領域200内から依頼された印刷要求について,その印刷要求に対する加工工程の少なくとも一部の工程をミラーサーバ230に実行させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,広域ネットワーク領域(WAN)にあるサーバに対して印刷要求を行う画像形成システムおよび実行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置,印刷装置(プリンタ),およびサーバを有する画像形成システムにおいて,プリンタに投入する印刷データをWANにあるサーバが作成する技術が知られている。また,近年,クラウドコンピューティングに代表されるように,インターネットを介して接続するサービス会社がサーバを提供する技術が知られている。
【0003】
サーバが印刷データを作成する技術を開示した文献としては,例えば特許文献1がある。特許文献1に開示された印刷システムでは,情報処理装置からの印刷要求に従ってサーバが印刷データを作成し,作成した印刷データを情報処理装置に送信する。情報処理装置は,サーバが作成した印刷データをプリンタに転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−81487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,印刷要求に対応する処理の多くをサーバが担う構成であるため,サーバの負担が大きい。そのため,サーバに印刷要求が集中すると,処理遅延等の不具合が懸念される。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,広域ネットワーク領域を利用して印刷するメリットを残しつつ,広域ネットワーク領域内にあるサーバの負担を軽減する画像形成システムおよび実行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成システムは,広域ネットワーク領域内に設けられ,情報処理装置からの印刷要求に応じて,前記情報処理装置から出力されるデータである印刷対象データを印刷装置用のデータである印刷データに加工する加工工程の少なくとも一部を実行するサーバと,前記広域ネットワーク領域よりも範囲が狭いネットワーク領域である構内ネットワーク領域内に設けられ,前記サーバが実行する前記加工工程の少なくとも一部と同じ工程を実行する実行装置と,前記サーバに対して前記構内ネットワーク領域内の情報処理装置から出力された印刷対象データである特定データに対する前記加工工程の少なくとも一部の工程を前記実行装置に実行させる制御手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の画像形成システムは,広域ネットワーク領域(WAN)内にサーバがあり,サーバが印刷対象データの加工工程を行う加工機能を有している。また,構内ネットワーク領域(LAN)内に実行装置があり,実行装置はサーバが行う加工工程の少なくとも一部を実行できる。そして,本発明の画像形成システムでは,サーバに対して構内ネットワーク領域内の情報処理装置から出力された特定データについて,その特定データに対する加工工程の少なくとも一部の工程を実行装置に実行させる。
【0009】
すなわち,本発明の画像形成システムでは,WAN内にあるサーバが実行する加工工程と同じ工程を実行可能な実行装置をLAN内に配置し,そのLAN内からの依頼である特定データの加工については,サーバが実行する加工工程のうち少なくとも一部を実行装置に実行させる。これにより,サーバの処理の一部を実行装置が代替することになり,サーバの負担軽減が期待できる。
【0010】
また,前記制御手段は,特定の機能を実行する工程については前記サーバに実行させるとよい。1つの装置での集中管理が好ましい工程(例えば,課金管理や印刷ログ管理。複数の装置で管理すると照合処理が必要となり処理が複雑になる)や,特殊な加工処理(使用頻度が低い機能についても実行装置が具備することになると実行装置に組み込まれるプログラムの量が多くなる)については,サーバで行う方が望ましい。
【0011】
また,前記制御手段は,前記特定データに対する前記加工工程を前記実行装置のみに実行させるとよい。LAN内から出力される印刷対象データである特定データの加工工程を,同じLANに属する実行装置のみで行うと,そのLAN外のサーバを利用することなく印刷データを取得でき,データの安全性が向上する。また,加工工程にサーバが関与しないことから,例えばサーバが故障したとしても印刷データを取得でき,稼働率の向上も期待できる。
【0012】
また,前記実行装置は,加工結果を前記情報処理装置に送信する前に,前記サーバとの通信状態を確認する確認手段と,前記確認手段での確認結果が通信可能の場合には,前記加工結果を前記印刷装置に送信し,通信不可の場合には,前記加工結果を前記印刷装置に送信しない送信手段とを備えるとよい。サーバが課金情報や印刷記録を管理しているような場合,サーバで課金情報や印刷記録を更新できない状態で印刷が行われることは好ましくない。この構成のように,実行装置がサーバと通信可能であることを条件として加工結果を印刷装置に送信することで,サーバでの情報欠落を回避できる。
【0013】
また,前記制御手段は,前記特定データの前記実行装置への送信指示を,前記サーバから前記情報処理装置に通知させるとよい。実行装置の使用をサーバから情報処理装置に通知することで,情報処理装置は直接実行装置に印刷対象データを出力でき,サーバが特定データを受信することなく,実行装置が特定データを受け付けることができる。
【0014】
また,前記制御手段は,前記サーバが受信した前記特定データを,前記サーバから前記実行装置に転送させるとよい。サーバが,受信した特定データを実行装置に転送することで,情報処理装置が特定データの送信先の振り分けを行う必要なく,実行装置が特定データを受け付けることができる。
【0015】
また,本発明は,情報処理装置から出力されるデータである印刷対象データを,印刷装置用のデータである印刷データに加工する加工工程の少なくとも一部を実行するサーバと接続する実行装置であって,前記実行装置が属する構内ネットワーク領域に属する情報処理装置から出力される印刷対象データである特定データを受信する受信部と,前記受信部が受信した前記特定データについて,前記サーバが実行する前記加工工程の少なくとも一部と同じ工程を実行する実行部と,前記実行部の実行結果を印刷装置に送信する送信部とを備えることを特徴とする実行装置を含んでいる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば,広域ネットワーク領域を利用して印刷するメリットを残しつつ,広域ネットワーク領域内にあるサーバの負担を軽減する画像形成システムおよび実行装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態にかかる画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】画像形成システムに含まれる印刷サーバ,ゲートウェイおよびミラーサーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】第1の形態にかかる画像形成システム全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】第1の形態にかかるPCの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第1の形態にかかるゲートウェイの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の形態にかかるミラーサーバの処理手順(加工および送信)を示すフローチャートである。
【図7】第1の形態の応用例にかかるミラーサーバの処理手順(加工および送信)を示すフローチャートである。
【図8】第1の形態にかかるミラーサーバの処理手順(同期)を示すフローチャートである。
【図9】第2の形態にかかる画像形成システム全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第3の形態にかかる画像形成システム全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】応用例にかかるミラーサーバの処理手順(加工および送信)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,本発明にかかる画像形成システムを具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,広域ネットワーク領域(WAN)にある印刷サーバと,構内ネットワーク領域(LAN)にあるミラーサーバとを有する画像形成システムに本発明を適用したものである。
【0019】
[画像形成システムの全体構成]
本形態の画像形成システム500は,図1に示すように,LAN200に属する複数の情報機器と,インターネットに代表されるWANを介してLAN200と接続する印刷サーバ100(サーバの一例)とを有している。
【0020】
LAN200に属する情報機器としては,例えば,印刷機能を有するプリンタ210(印刷装置の一例)と,インターネットとLAN200とを仲介するゲートウェイ220(制御手段の一例)と,印刷サーバ100の少なくとも一部の処理を代替するミラーサーバ230(実行装置の一例)と,印刷ジョブを出力するPC240(情報処理装置の一例)とがある。そして,LAN200内の各情報機器は互いに通信可能であり,さらにインターネットを介して印刷サーバ100にも通信可能である。
【0021】
印刷サーバ100は,印刷対象データの各種の加工処理を行う加工機能を有している。加工処理としては,例えば,印刷対象となるデータの,拡大縮小機能,分割機能,集約機能,レンダリング(プリンタ言語への変換)が該当する。本形態の画像形成システム500では,印刷サーバ100にて印刷対象データの加工処理が可能であることから,印刷サーバ100に対して印刷要求を行う装置には加工用のプログラムを組み込む必要がない。この印刷サーバ100は,通常のクラウド印刷サーバとして扱われるものであり,図1中に示すLAN200の他にも,図示は省略するが,複数のLAN,複数の携帯端末,またミラーサーバを持たない小規模LANからアクセス可能である。
【0022】
また,ミラーサーバ230は,印刷サーバ100が有する加工機能の少なくとも一部を有している。本形態のミラーサーバ230は,印刷サーバ100が有する加工機能全てを有しているものとする。このミラーサーバ230は,例えば,印刷サーバ100と同一メーカによって作成され,契約する各団体(LAN200の所有者)に貸与されることを想定している。
【0023】
また,ゲートウェイ220は,インターネットを介してLAN200に送り込まれるデータ,あるいはLAN200からインターネットに送り出されるデータを仲介するプロキシ機能を有している。また,ゲートウェイ220は,LAN200内から印刷サーバ100に対して出力された印刷対象データの送信先を,ミラーサーバ230に切り替える機能を有している。
【0024】
PC240は,ユーザ指示に応じて印刷ジョブを出力する機能を有している。PC240には,印刷ジョブを出力可能な各種のアプリケーションプログラムが組み込まれているものの,印刷ジョブに含まれる印刷対象データの加工用プログラムが組み込まれていない。そのため,加工処理については他の装置に委ねる。印刷対象データの印刷までの制御については後述する。
【0025】
なお,画像形成システム500を構成するプリンタ,PCはそれぞれ何台接続されていてもよい。また,画像形成システム500には,その他の情報処理装置(例えば携帯情報端末)や画像処理装置(例えばコピー機や複合機)を接続してもよい。
【0026】
また,印刷サーバ100の利用は,LAN200に属する情報機器に限らず,LAN200に含まれない情報機器(例えば,図1中の携帯電話300)であってもインターネットを介して利用できる。また,印刷サーバ100の利用は,他のLANに属する情報機器であっても利用できる。そのため,印刷サーバ100は,印刷対象データが集中し易い環境にある。
【0027】
本形態の画像形成システム500では,PC240が印刷対象データの加工を行わないことにより,PC240のリソースを他の機能に有効活用できる。また,PC240のメモリ容量が小さい場合であっても印刷サービスを受けることができる。
【0028】
また,本形態の画像形成システム500では,加工処理を行うプログラムをバージョンアップする際,サーバ100側およびミラーサーバ230側でバージョンアップ作業を行い,印刷ジョブを出力する個々の情報処理装置(例えばPC240や携帯電話300)側ではバージョンアップ作業を行う必要がない。そのため,ユーザにとって使い勝手がよい。
【0029】
[印刷サーバの構成]
続いて,印刷サーバ100の概略構成について説明する。印刷サーバ100は,図2に示すように,CPU11と,ROM12と,RAM13と,HDD14と,ネットワークインターフェース16とを有している。
【0030】
印刷サーバ100のHDD14には,オペレーティングシステム(OS)や,各種のデバイスを制御するデバイスドライバや,印刷ジョブを仲介するためのプログラム等が組み込まれている。上述したレンダリング機能等の各種加工処理を行うプログラムもHDD14に組み込まれている。
【0031】
CPU11は,ROM12から読み出した制御プログラムやHDD14から読み出したプログラムに従って,その処理結果をRAM13またはHDD14に記憶させながら各種の処理を行う。上述した印刷ジョブの仲介処理や印刷対象データの加工処理を行うプログラムの動作もCPU11によって処理される。
【0032】
[ゲートウェイの構成]
続いて,ゲートウェイ220の概略構成について説明する。ゲートウェイ220は,CPU21と,ROM22と,RAM23と,HDD24と,ネットワークインターフェース26とを有している。
【0033】
ゲートウェイ220のHDD24には,オペレーティングシステム(OS)や,各種のデバイスを制御するデバイスドライバや,LAN200内に送り込まれるデータおよびLAN200外に送り出されるデータを監視するプログラムが組み込まれている。上述した印刷対象データの送り先を切り替える処理を行うプログラムもHDD24に組み込まれている。
【0034】
CPU21(制御手段の一例)は,ROM22から読み出した制御プログラムやHDD24から読み出したプログラム等に従って,その処理結果をRAM23またはHDD24に記憶させながら各種の処理を行う。
【0035】
[ミラーサーバの構成]
続いて,ミラーサーバ230の概略構成について説明する。ミラーサーバ230は,CPU31と,ROM32と,RAM33と,HDD34と,ネットワークインターフェース36とを有している。
【0036】
ミラーサーバ230のHDD34には,オペレーティングシステム(OS)や,各種のデバイスを制御するデバイスドライバ等が組み込まれている。上述した印刷サーバ100と同様の加工処理を行うプログラムもHDD34に組み込まれている。
【0037】
CPU31(受信部,実行部,送信部の一例)は,ROM32から読み出した制御プログラムやHDD34から読み出したプログラムに従って,その処理結果をRAM33またはHDD34に記憶させながら,各種の処理を行う。上述した印刷対象データの加工処理を行うプログラムの動作もCPU31によって処理される。
【0038】
[画像形成システムの印刷動作]
[第1の形態]
続いて,画像形成システム500において,PC240がプリンタ210を指定して印刷を行う際の動作について,図3を参照しつつ説明する。
【0039】
先ず,PC240は,ユーザからの印刷命令を受け付けると,印刷対象データ(特定データの一例)を送信する(S001)。印刷対象データは,少なくともプリンタ210用のプリンタ言語へのレンダリング前のデータである。印刷対象データは,送信先としてLAN200外にある印刷サーバ100が指定されており,一旦,ゲートウェイ220に送られる。
【0040】
ゲートウェイ220は,印刷対象データを受信すると,その印刷対象データを印刷サーバ100に送信するか,ミラーサーバ230に送信するかを決定する。そして,決定先に,その印刷対象データを送信する(S021)。
【0041】
ゲートウェイ220がミラーサーバ230に印刷対象データを送信した場合には,ミラーサーバ230がその印刷対象データに対する加工処理を行い,ミラーサーバ230が加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S031)。一方,ゲートウェイ220が印刷サーバ100に印刷対象データを送信した場合には,印刷サーバ100がその印刷対象データに対する加工処理を行い,印刷サーバ100が加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S041)。
【0042】
[PCの処理]
続いて,上記の動作を実現する各装置の処理を詳説する。始めにPC240のS001の処理について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。本処理は,PC240がユーザからの印刷命令を受けたことを契機に,PC240のCPUによって実行される。
【0043】
PC240は,先ず,印刷の対象となる印刷対象データを取得する(S101)。次に,送信先となる印刷サーバの宛先を取得する(S102)。PC240はLAN200に接続された形態として使用される場合の他に,携帯端末装置としてLAN200の外で使用される場合もあることを想定している。そのため,デフォルトでは送信先として印刷サーバ100が指定されているものとする。なお,送信先が指定されていない場合には,PC240が自動的に宛先を決定する。この場合,PC240は,宛先候補となる印刷サーバを優先度が高い順に記憶するリストを有しており,そのリストを参照して優先度が最も高い印刷サーバの宛先を取得する。
【0044】
その後,取得した宛先に接続要求を出力する(S103)。接続要求の出力後は,要求先からの応答待ちとなる。なお,後述するゲートウェイ220の処理において,PC240としては印刷サーバ100を指定していたとしても,ゲートウェイ220が接続先をミラーサーバ230に自動的に切り替えることがある。そのため,要求先からの応答は,ゲートウェイ220が決定した接続先からの応答になる。ただし,PC240のユーザは,接続先が変更されたとしてもそのことを意識しない。
【0045】
次に,要求先からの応答があり,接続が確立したか否かを判断する(S104)。接続が確立した場合には(S104:YES),その接続先に印刷対象データを送信し(S105),本処理を終了する。
【0046】
一方,接続が確立しなかった場合には(S104:NO),別の接続先候補があるか否かを判断する(S111)。別の接続先候補は,ユーザに問い合わせてもよいし,リストから自動的に取得してもよい。ここでいう別の接続先は,ゲートウェイ220が決定した接続先とは別の接続先の意味である。そのため,S102によって得られた接続先が印刷サーバ100であっても,ゲートウェイ220が振り分けた接続先がミラーサーバ230であるならば,別の接続先の候補として印刷サーバ100を指定することができる。その際,再度ゲートウェイ220でミラーサーバ230に接続先が変更されないようにゲートウェイ220が制御される。別の接続先候補がある場合には(S111:YES),S102に戻ってその別の接続先候補の宛先を取得し,接続要求を出力する。別の接続先候補がない場合には(S111:NO),印刷サーバへの接続が失敗した旨のエラーメッセージを通知し(S112),本処理を終了する。
【0047】
[ゲートウェイの処理]
続いて,ゲートウェイ220のS021の処理(制御手段の一例)について,図5のフローチャートを参照しつつ説明する。本処理は,ゲートウェイ220が印刷対象データを受信したことを契機に,ゲートウェイ220のCPU21によって実行される。
【0048】
ゲートウェイ220は,先ず,ゲートウェイ220を通過するパケットを監視する(S121)。そして,そのパケットの送信先が特定の装置(本形態では印刷サーバ100)であるか否かを判断する(S122)。
【0049】
パケットの送信先が特定の装置の場合(S122:YES),送信先をミラーサーバ230に変更する(S123)。すなわち,ゲートウェイ220は,LAN200からゲートウェイ220を介してインターネットに出力されるパケットのうち,印刷サーバ100が送信先となっているパケットの送信先を自動的にミラーサーバ230に変更する。
【0050】
S123による送信先の変更後,あるいはパケットの送信先が特定の装置でない場合(S122:NO),送信先として設定されている装置にデータを出力する(S124)。その後は,本処理を終了する。これにより,ゲートウェイ220によって,印刷対象データの送信先が振り分けられる。
【0051】
なお,上記の送信先の振分制御では,ゲートウェイ220が送信先を決定しているが,印刷対象データを送信するPC240自身が決定してもよい。すなわち,印刷対象データを送信する際,送信先が印刷サーバ100になっているか否かを判断し,印刷サーバであれば送信先を自動変更して始めからミラーサーバ230に送信するようにしてもよい。
【0052】
また,上記の送信先の制御方法では,LAN200内から印刷サーバ100に向けて送信される印刷対象データが全てミラーサーバ230に送信されることになるが,他の条件を加えて一部の印刷対象データを印刷サーバ100に送信するように構成してもよい。例えば,データの送信元も特定し,特定の送信元についてはミラーサーバ230への変更を行わないようにしてもよい。この他,例えば,印刷サーバ100に負荷がかからないことが予想される時間帯についてはミラーサーバ230への変更を行わないようにしてもよい。この場合,ミラーサーバ230を常時起動させておく必要がなく,省エネに資する。このように必ずしも全てのデータをミラーサーバ230で処理する必要はない。
【0053】
[ミラーサーバの処理]
続いて,ミラーサーバ230のS031の処理について,図6のフローチャートを参照しつつ説明する。本処理は,ミラーサーバ230が印刷対象データを受信したことを契機に,ミラーサーバ230のCPU31によって実行される。
【0054】
ミラーサーバ230は,先ず,印刷対象データを取得する(S141)。次に,印刷に対して課金が必要か否かを判断する(S142)。課金の有無は,例えば,印刷対象データに課金の必要有無を付加することで判断できる。また,課金が必要なユーザ名あるいは装置名を記憶しておき,印刷対象データの所有者情報に基づいて課金の有無を判断してもよい。本形態では,課金情報を印刷サーバ100が管理しており,印刷に際して印刷サーバ100へのアクセスを必要とする。そこで,課金が必要であれば(S142:YES),ミラーサーバ230と印刷サーバ100とが通信可能状態であるか否かを判断する(S151)。
【0055】
印刷サーバ100との通信が不能であれば(S151:NO),エラーメッセージをPC240に通知し(S152),加工処理を行うことなく本処理を終了する。通信が不能であることの判断は,1回の問合せ結果に基づいて判断してもよいし,複数回のリトライの結果に基づいて判断してもよい。
【0056】
一方,印刷サーバ100との通信が可能であれば(S151:YES),印刷サーバ100に課金情報を更新する指示を送信する(S153)。その後,印刷対象データに対して,レンダリング等の加工処理を施してプリンタ210用の印刷データを作成する(S143)。すなわち,印刷サーバ100が行う印刷対象データの加工工程をミラーサーバ230が代替する。そして,加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S144)。送信後は,本処理を終了する。
【0057】
また,課金が必要なければ(S142:NO),印刷サーバ100へのアクセスは不要である。そこで,印刷サーバ100に問い合わせることなく,印刷対象データの加工処理を行い(S143),加工後の印刷データをプリンタ210に送信し(S144),本処理を終了する。
【0058】
なお,上記のミラーサーバ230の制御では,課金が必要な場合(S142:YES),印刷サーバ100との通信が確立しなければ加工処理を行わない,すなわち印刷を実行しないようにしているが,課金と印刷とをセットで確実に行う方法としてはこれに限るものではない。例えば,課金が必要な場合,ミラーサーバ230から印刷サーバ100に印刷対象データを転送し,印刷サーバ100が加工処理および課金を行うようにしてもよい。
【0059】
また,上記の例では,課金が必要な場合に印刷サーバ100で加工処理を行うように変更しているが,加工処理を印刷サーバ100で行わせる条件は課金に限るものではない。例えば,特殊な加工処理を行う場合に,加工処理を印刷サーバ100で行うようにしてもよい。この場合,図7に示すように,S141での印刷対象データの取得後,その印刷対象データの加工に使用する機能を解析する(S161)。そして,特定の機能を使用するか否かを判断し(S162),特定の機能を使用する場合には(S162:YES),印刷対象データを印刷サーバ100に転送する(S171)。特定の機能としては,例えば,ウォーターマーク,任意倍率変更等の,特殊な画像処理が必要な機能が該当する。また,例えば,高画質印刷やカラー印刷等の,レンダリングの負荷が大きい機能であってもよい。このように集中管理が必要な工程の他,高負荷の加工処理を印刷サーバ100が行うようにすることで,例えば,処理能力が低い装置であってもミラーサーバ230として使用できる。
【0060】
続いて,ミラーサーバ230の同期処理について,図8のフローチャートを参照しつつ説明する。ミラーサーバ230は,印刷サーバ100の処理を代替するため,印刷サーバ100と同じ処理を実現しなければならない。そのため,定期的(例えば24時間ごと)に,あるいはミラーサーバ230が障害から復帰した際に,同期処理を実行する。本同期処理も,ミラーサーバ230のCPU31によって実行される。
【0061】
同期処理では,先ず,印刷サーバ100に対して,ミラーサーバ230で実行可能な加工処理と同じ加工処理を行うプログラムのバージョン情報を問い合わせる(S181)。そして,S181で得られたバージョンと,ミラーサーバ230に組み込まれているプログラムのバージョンとが一致するか否かを確認する(S182)。
【0062】
バージョンが一致しない場合には(S182:NO),印刷サーバ100から新しいバージョンのプログラムを取得する(S183)。なお,ミラーサーバ230が加工処理中であれば加工処理の完了を待ってプログラムを取得する。
【0063】
S183でのプログラムを更新後,あるいはバージョンが一致する場合には(S182:YES),印刷ログ情報を照合する(S184)。これにより,印刷サーバ100とミラーサーバ230とで同じ印刷ログ情報を有することになる。S184後は,同期処理を終了する。
【0064】
上述したように,第1の形態では,ミラーサーバ230が印刷サーバ100と同じ加工処理を実行することができ,LAN200内から出力される印刷対象データについては,ゲートウェイ220がミラーサーバ230で加工処理を実行することを決定している。このように,加工処理について印刷サーバ100を利用することなくミラーサーバ230で代替実行することにより,印刷サーバ100の負担が軽減され,処理遅延等の不具合の発生率を下げることができる。また,ミラーサーバ230は,LAN200内にあるため,印刷対象データがLAN200外に漏れないことから,データの安全性の向上が期待できる。また,データの送受信がLAN200内で完結するため,通信の応答性の向上に伴う生産性の向上も期待できる。
【0065】
なお,第1の形態では,印刷サーバ100に記憶されている印刷ログを,同期処理の際に更新しているが,ミラーサーバ230による印刷の度に更新してもよい。この場合,課金時と同様に,印刷サーバ100と通信可能な状態であることを条件に加工処理を行い,通信不可の状態であれば少なくとも加工結果をプリンタに送信しない。これにより,印刷サーバ100での印刷ログの欠落を回避できる。
【0066】
[第2の形態]
続いて,PC240がプリンタ210を指定して印刷を行う際の,第2の形態の動作について,図9を参照しつつ説明する。第2の形態では,印刷サーバ100が,印刷対象データの加工処理を行う装置を決定する。この点,ゲートウェイ220が印刷対象データの加工処理を行う装置を決定する第1の形態とは異なる。
【0067】
第2の形態の画像形成システムでは,先ず,PC240は,ユーザからの印刷命令を受け付けると,印刷対象データを取得する(S201)。そして,印刷サーバ100に対して,通信を確立させるための通信要求を出力する(S202)。通信要求には,要求元情報として,PC240を識別可能な情報が付加される。通信要求は,ゲートウェイ220を経由して印刷サーバ100に送られる。
【0068】
印刷サーバ100は,PC240からの通信要求を受け付けると,PC240との通信を確立する(S251)。そして,要求元がミラーサーバ230が属するLAN(本形態ではLAN200)内の装置であるか否かを判断し,ミラーサーバ230が属するLAN内の装置であれば印刷対象データの送信先をミラーサーバ230とし,それ以外の装置であれば印刷対象データの送信先を印刷サーバ100とする(S252)。例えば,印刷サーバ100が,LAN200に属する装置名をデータベースに記憶しており,要求元の装置名がそのデータベースに記憶されている装置名と一致した場合には,印刷対象データの送信先をミラーサーバ230に決定する。印刷対象データの送信先を決定した後は,その送信先情報を要求元であるPC240に送信する(S253)。
【0069】
送信先情報を受信したPC240は,送信先がミラーサーバ230か否かを判断する(S203)。送信先がミラーサーバ230であれば(S203:YES),S201で取得した印刷対象データをミラーサーバ230に送信する(S204)。一方,送信先が印刷サーバ100であれば(S203:NO),S201で取得した印刷対象データを印刷サーバ100に送信する(S211)。
【0070】
印刷対象データを受信したミラーサーバ230は,その印刷対象データに対して加工処理を行う(S231)。そして,加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S232)。また,印刷対象データを受信した印刷サーバ100は,その印刷対象データに対して加工処理を行う(S254)。そして,加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S255)。
【0071】
上述したように,第2の形態では,LAN200内から出力される印刷対象データについては,印刷サーバ100が印刷対象データをミラーサーバ230に送信することを決定している。ミラーサーバ230で加工処理を実行する場合には,印刷サーバ100は印刷対象データを受信せず,ミラーサーバ230が加工処理を代替する。このように,加工処理について,印刷サーバ100を利用することなく,すなわち印刷対象データおよび印刷データをLAN200外に漏出させることなく,ミラーサーバ230で代替実行することにより,印刷サーバ100の負担が軽減されるとともにデータの安全性も確保される。
【0072】
なお,第2の形態では,要求元の装置がLAN200に属する場合には全てミラーサーバ230を使用しているが,要求元の装置がLAN200に属する場合であっても所定の条件を満たすことで印刷サーバ100を使用するようにしてもよい。例えば,印刷サーバ100のCPU11の使用頻度を取得し,その使用頻度が所定値よりも低ければミラーサーバ230を使用するとしてもよい。あるいは,印刷サーバ100に蓄積する印刷ジョブの数が所定値よりも少なければ印刷サーバ100を使用するとしてもよい。これにより,ミラーサーバ230が高負荷になることも回避できる。
【0073】
[第3の形態]
続いて,PC240がプリンタ210を指定して印刷を行う際の,第3の形態の動作について,図10を参照しつつ説明する。第3の形態では,LAN200内のPC240の他,クライアントとしてLAN200外のモバイル端末装置(本形態では,携帯電話300)をも対象とすることができる。また,第3の形態でも,第2の形態と同様に,印刷サーバ100が,印刷対象データの加工処理を行う装置を決定する。また,印刷対象データの加工処理を行う装置の決定は,印刷サーバ100が印刷対象データを受信した後に決定する。この点,ミラーサーバ230が加工処理を実行する際には印刷サーバ100が印刷対象データを受信しない第2の形態とは異なる。
【0074】
第3の形態の画像形成システムでは,先ず,PC240あるいは携帯電話300は,ユーザからの印刷命令を受け付けると,印刷対象データを取得する(S301)。そして,印刷サーバ100に対して,通信を確立させるための通信要求を出力する(S302)。通信要求には,要求元情報として,PC240を識別可能な情報が付加される。通信要求は,印刷サーバ100に送られる。
【0075】
印刷サーバ100は,PC240からの通信要求を受け付けると,PC240との通信を確立する(S351)。そして,PC240に対して接続許可を応答する(S352)。PC240は,接続許可を受信すると,印刷サーバ100に印刷対象データを送信する(S303)。
【0076】
印刷サーバ100は,PC240からの印刷対象データを受信すると,印刷対象データの送信元がミラーサーバ230が属するLAN(本形態ではLAN200)内の装置であるか否かを判断し,ミラーサーバ230が属するLAN内の装置であれば印刷対象データの送信先をミラーサーバ230とし,それ以外の装置であれば印刷対象データを自身で処理する(S353)。S353の決定方法は,第2の形態のS352の決定方法と同様である。
【0077】
次に,送信先がミラーサーバ230か否かを判断する(S354)。送信先がミラーサーバ230であれば(S354:YES),受信した印刷対象データをミラーサーバ230に転送する(S361)。一方,送信先が印刷サーバ100であれば(S354:NO),その印刷対象データに対して加工処理を行う(S355)。そして,加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S356)。
【0078】
一方,ミラーサーバ230は,S361で転送された印刷対象データを受信すると,その印刷対象データに対して加工処理を行う(S331)。そして,加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S332)。
【0079】
上述したように,第3の形態では,ミラーサーバ230を有するLAN200内にプリンタ210がある場合,要求元がLAN200の内外にかかわらず,印刷サーバ100が印刷対象データをミラーサーバ230に転送している。そして,ミラーサーバ230が加工処理を代替する。このように,印刷サーバ100が印刷対象データを受け付けてから,その印刷対象データを転送することによってミラーサーバ230で代替実行することにより,PC240で印刷対象データの送信先の振り分けを行うことなく,すなわち印刷対象データの送信元の装置の制御を変えることなく,印刷サーバ100の負担が軽減される。
【0080】
以上詳細に説明したように各実施の形態の画像形成システム500では,WANにある印刷サーバ100が実行する加工工程と同じ工程を実行可能なミラーサーバ230を,LAN200内に用意し,LAN200内から依頼された印刷要求については,印刷サーバ100が実行する加工工程のうち少なくとも一部をミラーサーバ230に実行させる。これにより,印刷サーバ100の少なくとも一部の処理をミラーサーバ230が代替することになり,印刷サーバ100の負担軽減が期待できる。
【0081】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,プリンタは,印刷機能を備えるものであればよく,複合機,複写機あるいはファクシミリ装置であっても適用可能である。また,情報処理装置についても,PCに限るものではない。例えば携帯電話やワークステーションであってもよい。
【0082】
また,実施の形態では,ゲートウェイ220とミラーサーバ230とが別体であるが,ゲートウェイ220がミラーサーバ230の役割を兼ねてもよい。すなわち,画像形成システム500は,ゲートウェイとしての機能とミラーサーバとしての機能とを有する1台の装置によって実現してもよい。
【0083】
また,実施の形態では,加工後の印刷データが直接プリンタ210に送信されているが,これに限るものではない。例えば,送信元であるPC240に送り返され,PC240を経由してプリンタ210に送信されてもよい。
【0084】
また,実施の形態では,印刷対象データの加工処理を,印刷サーバ100とミラーサーバ230との何れか一方が全て行うように構成しているが,一部の加工処理を印刷サーバ100が実行し,残りの加工処理をミラーサーバ230が実行するように構成してもよい。例えば,レンダリング以外の加工処理(例えば,集約,分割,拡大縮小)を印刷サーバ100が行い,レンダリングをミラーサーバ230が行うように構成してもよい。
【0085】
また,実施の形態では,LAN200に属するPC240から出力される印刷対象データの加工先を決定しているが,例えばLAN200に属しない携帯電話300から出力される印刷対象データについては,印刷サーバ100が加工処理を行い,加工後の印刷データを指定のプリンタに送信する。
【0086】
また,実施の形態にて課金サービスを扱う場合には,例えば,ミラーサーバ230を使用した場合と,印刷サーバ100を使用した場合とで課金の金額を変える構成をとることもできる。
【0087】
また,実施の形態では,課金情報を印刷サーバ100のみが管理する構成になっているが,ミラーサーバ230が印刷サーバ100と同期手続きを行いながら課金管理を行ってもよい。この場合,ミラーサーバ230は,印刷サーバ100と同等の課金情報を有し,同期処理(図8参照)では,S184にて課金情報も照合する。
【0088】
また,上述のミラーサーバ230が課金管理を行う構成では,ミラーサーバ230は,印刷対象データを加工するにあたって自身の課金情報を更新するとともに印刷サーバ100との同期をとる。具体的にミラーサーバ230が印刷対象データを受信した際の動作について,図11のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図6と同じ動作については同じ符号を付して説明を省略する。
【0089】
ミラーサーバ230は,課金情報の更新が必要な印刷対象データを受信すると,自身の課金情報を更新する(S551)。その後,印刷サーバ100との通信が可能か否かを判断し(S151),通信可能であれば(S151:YES),課金情報について印刷サーバ100との同期手続きを行う(S552)。すなわち,ミラーサーバ230の課金情報と印刷サーバ100の課金情報とを一致させる。S552の後は,S143に移行して印刷対象データの加工を行い,S144によって加工後の印刷データをプリンタ210に送信する。
【0090】
一方,通信不可能であれば(S151:NO),通信状態の回復を監視する復帰監視プログラムをミラーサーバ230内に起動する(S561)。既に復帰監視プログラムが起動している場合には,その復帰監視プログラムに,新たな課金情報を通知する。S561の後は,S143に移行して印刷対象データの加工を行い,S144によって加工後の印刷データをプリンタ210に送信する。
【0091】
復帰監視プログラムは,通信状態を監視し,印刷サーバ100との通信が復帰するまで待機する。待機している間に新たな課金情報が通知された場合には,ミラーサーバ230が管理する課金情報を更新する。通信の復帰を検知した場合には,課金情報について印刷サーバ100との同期手続きを行う。さらにログ情報として,復帰時刻が印刷サーバ100に送られる。これにより,ミラーサーバ230が課金管理を代行することができる。そのため,例えば印刷サーバ100の故障や印刷サーバ100との通信不能が発生した場合であっても,課金管理が必要な印刷対象データの印刷を行うことができる。
【符号の説明】
【0092】
100 印刷サーバ
200 LAN
210 プリンタ
220 ゲートウェイ
230 ミラーサーバ
240 PC
300 携帯電話
500 画像形成システム
【技術分野】
【0001】
本発明は,広域ネットワーク領域(WAN)にあるサーバに対して印刷要求を行う画像形成システムおよび実行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置,印刷装置(プリンタ),およびサーバを有する画像形成システムにおいて,プリンタに投入する印刷データをWANにあるサーバが作成する技術が知られている。また,近年,クラウドコンピューティングに代表されるように,インターネットを介して接続するサービス会社がサーバを提供する技術が知られている。
【0003】
サーバが印刷データを作成する技術を開示した文献としては,例えば特許文献1がある。特許文献1に開示された印刷システムでは,情報処理装置からの印刷要求に従ってサーバが印刷データを作成し,作成した印刷データを情報処理装置に送信する。情報処理装置は,サーバが作成した印刷データをプリンタに転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−81487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,印刷要求に対応する処理の多くをサーバが担う構成であるため,サーバの負担が大きい。そのため,サーバに印刷要求が集中すると,処理遅延等の不具合が懸念される。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,広域ネットワーク領域を利用して印刷するメリットを残しつつ,広域ネットワーク領域内にあるサーバの負担を軽減する画像形成システムおよび実行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成システムは,広域ネットワーク領域内に設けられ,情報処理装置からの印刷要求に応じて,前記情報処理装置から出力されるデータである印刷対象データを印刷装置用のデータである印刷データに加工する加工工程の少なくとも一部を実行するサーバと,前記広域ネットワーク領域よりも範囲が狭いネットワーク領域である構内ネットワーク領域内に設けられ,前記サーバが実行する前記加工工程の少なくとも一部と同じ工程を実行する実行装置と,前記サーバに対して前記構内ネットワーク領域内の情報処理装置から出力された印刷対象データである特定データに対する前記加工工程の少なくとも一部の工程を前記実行装置に実行させる制御手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の画像形成システムは,広域ネットワーク領域(WAN)内にサーバがあり,サーバが印刷対象データの加工工程を行う加工機能を有している。また,構内ネットワーク領域(LAN)内に実行装置があり,実行装置はサーバが行う加工工程の少なくとも一部を実行できる。そして,本発明の画像形成システムでは,サーバに対して構内ネットワーク領域内の情報処理装置から出力された特定データについて,その特定データに対する加工工程の少なくとも一部の工程を実行装置に実行させる。
【0009】
すなわち,本発明の画像形成システムでは,WAN内にあるサーバが実行する加工工程と同じ工程を実行可能な実行装置をLAN内に配置し,そのLAN内からの依頼である特定データの加工については,サーバが実行する加工工程のうち少なくとも一部を実行装置に実行させる。これにより,サーバの処理の一部を実行装置が代替することになり,サーバの負担軽減が期待できる。
【0010】
また,前記制御手段は,特定の機能を実行する工程については前記サーバに実行させるとよい。1つの装置での集中管理が好ましい工程(例えば,課金管理や印刷ログ管理。複数の装置で管理すると照合処理が必要となり処理が複雑になる)や,特殊な加工処理(使用頻度が低い機能についても実行装置が具備することになると実行装置に組み込まれるプログラムの量が多くなる)については,サーバで行う方が望ましい。
【0011】
また,前記制御手段は,前記特定データに対する前記加工工程を前記実行装置のみに実行させるとよい。LAN内から出力される印刷対象データである特定データの加工工程を,同じLANに属する実行装置のみで行うと,そのLAN外のサーバを利用することなく印刷データを取得でき,データの安全性が向上する。また,加工工程にサーバが関与しないことから,例えばサーバが故障したとしても印刷データを取得でき,稼働率の向上も期待できる。
【0012】
また,前記実行装置は,加工結果を前記情報処理装置に送信する前に,前記サーバとの通信状態を確認する確認手段と,前記確認手段での確認結果が通信可能の場合には,前記加工結果を前記印刷装置に送信し,通信不可の場合には,前記加工結果を前記印刷装置に送信しない送信手段とを備えるとよい。サーバが課金情報や印刷記録を管理しているような場合,サーバで課金情報や印刷記録を更新できない状態で印刷が行われることは好ましくない。この構成のように,実行装置がサーバと通信可能であることを条件として加工結果を印刷装置に送信することで,サーバでの情報欠落を回避できる。
【0013】
また,前記制御手段は,前記特定データの前記実行装置への送信指示を,前記サーバから前記情報処理装置に通知させるとよい。実行装置の使用をサーバから情報処理装置に通知することで,情報処理装置は直接実行装置に印刷対象データを出力でき,サーバが特定データを受信することなく,実行装置が特定データを受け付けることができる。
【0014】
また,前記制御手段は,前記サーバが受信した前記特定データを,前記サーバから前記実行装置に転送させるとよい。サーバが,受信した特定データを実行装置に転送することで,情報処理装置が特定データの送信先の振り分けを行う必要なく,実行装置が特定データを受け付けることができる。
【0015】
また,本発明は,情報処理装置から出力されるデータである印刷対象データを,印刷装置用のデータである印刷データに加工する加工工程の少なくとも一部を実行するサーバと接続する実行装置であって,前記実行装置が属する構内ネットワーク領域に属する情報処理装置から出力される印刷対象データである特定データを受信する受信部と,前記受信部が受信した前記特定データについて,前記サーバが実行する前記加工工程の少なくとも一部と同じ工程を実行する実行部と,前記実行部の実行結果を印刷装置に送信する送信部とを備えることを特徴とする実行装置を含んでいる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば,広域ネットワーク領域を利用して印刷するメリットを残しつつ,広域ネットワーク領域内にあるサーバの負担を軽減する画像形成システムおよび実行装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態にかかる画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】画像形成システムに含まれる印刷サーバ,ゲートウェイおよびミラーサーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】第1の形態にかかる画像形成システム全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】第1の形態にかかるPCの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第1の形態にかかるゲートウェイの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の形態にかかるミラーサーバの処理手順(加工および送信)を示すフローチャートである。
【図7】第1の形態の応用例にかかるミラーサーバの処理手順(加工および送信)を示すフローチャートである。
【図8】第1の形態にかかるミラーサーバの処理手順(同期)を示すフローチャートである。
【図9】第2の形態にかかる画像形成システム全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第3の形態にかかる画像形成システム全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】応用例にかかるミラーサーバの処理手順(加工および送信)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,本発明にかかる画像形成システムを具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,広域ネットワーク領域(WAN)にある印刷サーバと,構内ネットワーク領域(LAN)にあるミラーサーバとを有する画像形成システムに本発明を適用したものである。
【0019】
[画像形成システムの全体構成]
本形態の画像形成システム500は,図1に示すように,LAN200に属する複数の情報機器と,インターネットに代表されるWANを介してLAN200と接続する印刷サーバ100(サーバの一例)とを有している。
【0020】
LAN200に属する情報機器としては,例えば,印刷機能を有するプリンタ210(印刷装置の一例)と,インターネットとLAN200とを仲介するゲートウェイ220(制御手段の一例)と,印刷サーバ100の少なくとも一部の処理を代替するミラーサーバ230(実行装置の一例)と,印刷ジョブを出力するPC240(情報処理装置の一例)とがある。そして,LAN200内の各情報機器は互いに通信可能であり,さらにインターネットを介して印刷サーバ100にも通信可能である。
【0021】
印刷サーバ100は,印刷対象データの各種の加工処理を行う加工機能を有している。加工処理としては,例えば,印刷対象となるデータの,拡大縮小機能,分割機能,集約機能,レンダリング(プリンタ言語への変換)が該当する。本形態の画像形成システム500では,印刷サーバ100にて印刷対象データの加工処理が可能であることから,印刷サーバ100に対して印刷要求を行う装置には加工用のプログラムを組み込む必要がない。この印刷サーバ100は,通常のクラウド印刷サーバとして扱われるものであり,図1中に示すLAN200の他にも,図示は省略するが,複数のLAN,複数の携帯端末,またミラーサーバを持たない小規模LANからアクセス可能である。
【0022】
また,ミラーサーバ230は,印刷サーバ100が有する加工機能の少なくとも一部を有している。本形態のミラーサーバ230は,印刷サーバ100が有する加工機能全てを有しているものとする。このミラーサーバ230は,例えば,印刷サーバ100と同一メーカによって作成され,契約する各団体(LAN200の所有者)に貸与されることを想定している。
【0023】
また,ゲートウェイ220は,インターネットを介してLAN200に送り込まれるデータ,あるいはLAN200からインターネットに送り出されるデータを仲介するプロキシ機能を有している。また,ゲートウェイ220は,LAN200内から印刷サーバ100に対して出力された印刷対象データの送信先を,ミラーサーバ230に切り替える機能を有している。
【0024】
PC240は,ユーザ指示に応じて印刷ジョブを出力する機能を有している。PC240には,印刷ジョブを出力可能な各種のアプリケーションプログラムが組み込まれているものの,印刷ジョブに含まれる印刷対象データの加工用プログラムが組み込まれていない。そのため,加工処理については他の装置に委ねる。印刷対象データの印刷までの制御については後述する。
【0025】
なお,画像形成システム500を構成するプリンタ,PCはそれぞれ何台接続されていてもよい。また,画像形成システム500には,その他の情報処理装置(例えば携帯情報端末)や画像処理装置(例えばコピー機や複合機)を接続してもよい。
【0026】
また,印刷サーバ100の利用は,LAN200に属する情報機器に限らず,LAN200に含まれない情報機器(例えば,図1中の携帯電話300)であってもインターネットを介して利用できる。また,印刷サーバ100の利用は,他のLANに属する情報機器であっても利用できる。そのため,印刷サーバ100は,印刷対象データが集中し易い環境にある。
【0027】
本形態の画像形成システム500では,PC240が印刷対象データの加工を行わないことにより,PC240のリソースを他の機能に有効活用できる。また,PC240のメモリ容量が小さい場合であっても印刷サービスを受けることができる。
【0028】
また,本形態の画像形成システム500では,加工処理を行うプログラムをバージョンアップする際,サーバ100側およびミラーサーバ230側でバージョンアップ作業を行い,印刷ジョブを出力する個々の情報処理装置(例えばPC240や携帯電話300)側ではバージョンアップ作業を行う必要がない。そのため,ユーザにとって使い勝手がよい。
【0029】
[印刷サーバの構成]
続いて,印刷サーバ100の概略構成について説明する。印刷サーバ100は,図2に示すように,CPU11と,ROM12と,RAM13と,HDD14と,ネットワークインターフェース16とを有している。
【0030】
印刷サーバ100のHDD14には,オペレーティングシステム(OS)や,各種のデバイスを制御するデバイスドライバや,印刷ジョブを仲介するためのプログラム等が組み込まれている。上述したレンダリング機能等の各種加工処理を行うプログラムもHDD14に組み込まれている。
【0031】
CPU11は,ROM12から読み出した制御プログラムやHDD14から読み出したプログラムに従って,その処理結果をRAM13またはHDD14に記憶させながら各種の処理を行う。上述した印刷ジョブの仲介処理や印刷対象データの加工処理を行うプログラムの動作もCPU11によって処理される。
【0032】
[ゲートウェイの構成]
続いて,ゲートウェイ220の概略構成について説明する。ゲートウェイ220は,CPU21と,ROM22と,RAM23と,HDD24と,ネットワークインターフェース26とを有している。
【0033】
ゲートウェイ220のHDD24には,オペレーティングシステム(OS)や,各種のデバイスを制御するデバイスドライバや,LAN200内に送り込まれるデータおよびLAN200外に送り出されるデータを監視するプログラムが組み込まれている。上述した印刷対象データの送り先を切り替える処理を行うプログラムもHDD24に組み込まれている。
【0034】
CPU21(制御手段の一例)は,ROM22から読み出した制御プログラムやHDD24から読み出したプログラム等に従って,その処理結果をRAM23またはHDD24に記憶させながら各種の処理を行う。
【0035】
[ミラーサーバの構成]
続いて,ミラーサーバ230の概略構成について説明する。ミラーサーバ230は,CPU31と,ROM32と,RAM33と,HDD34と,ネットワークインターフェース36とを有している。
【0036】
ミラーサーバ230のHDD34には,オペレーティングシステム(OS)や,各種のデバイスを制御するデバイスドライバ等が組み込まれている。上述した印刷サーバ100と同様の加工処理を行うプログラムもHDD34に組み込まれている。
【0037】
CPU31(受信部,実行部,送信部の一例)は,ROM32から読み出した制御プログラムやHDD34から読み出したプログラムに従って,その処理結果をRAM33またはHDD34に記憶させながら,各種の処理を行う。上述した印刷対象データの加工処理を行うプログラムの動作もCPU31によって処理される。
【0038】
[画像形成システムの印刷動作]
[第1の形態]
続いて,画像形成システム500において,PC240がプリンタ210を指定して印刷を行う際の動作について,図3を参照しつつ説明する。
【0039】
先ず,PC240は,ユーザからの印刷命令を受け付けると,印刷対象データ(特定データの一例)を送信する(S001)。印刷対象データは,少なくともプリンタ210用のプリンタ言語へのレンダリング前のデータである。印刷対象データは,送信先としてLAN200外にある印刷サーバ100が指定されており,一旦,ゲートウェイ220に送られる。
【0040】
ゲートウェイ220は,印刷対象データを受信すると,その印刷対象データを印刷サーバ100に送信するか,ミラーサーバ230に送信するかを決定する。そして,決定先に,その印刷対象データを送信する(S021)。
【0041】
ゲートウェイ220がミラーサーバ230に印刷対象データを送信した場合には,ミラーサーバ230がその印刷対象データに対する加工処理を行い,ミラーサーバ230が加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S031)。一方,ゲートウェイ220が印刷サーバ100に印刷対象データを送信した場合には,印刷サーバ100がその印刷対象データに対する加工処理を行い,印刷サーバ100が加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S041)。
【0042】
[PCの処理]
続いて,上記の動作を実現する各装置の処理を詳説する。始めにPC240のS001の処理について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。本処理は,PC240がユーザからの印刷命令を受けたことを契機に,PC240のCPUによって実行される。
【0043】
PC240は,先ず,印刷の対象となる印刷対象データを取得する(S101)。次に,送信先となる印刷サーバの宛先を取得する(S102)。PC240はLAN200に接続された形態として使用される場合の他に,携帯端末装置としてLAN200の外で使用される場合もあることを想定している。そのため,デフォルトでは送信先として印刷サーバ100が指定されているものとする。なお,送信先が指定されていない場合には,PC240が自動的に宛先を決定する。この場合,PC240は,宛先候補となる印刷サーバを優先度が高い順に記憶するリストを有しており,そのリストを参照して優先度が最も高い印刷サーバの宛先を取得する。
【0044】
その後,取得した宛先に接続要求を出力する(S103)。接続要求の出力後は,要求先からの応答待ちとなる。なお,後述するゲートウェイ220の処理において,PC240としては印刷サーバ100を指定していたとしても,ゲートウェイ220が接続先をミラーサーバ230に自動的に切り替えることがある。そのため,要求先からの応答は,ゲートウェイ220が決定した接続先からの応答になる。ただし,PC240のユーザは,接続先が変更されたとしてもそのことを意識しない。
【0045】
次に,要求先からの応答があり,接続が確立したか否かを判断する(S104)。接続が確立した場合には(S104:YES),その接続先に印刷対象データを送信し(S105),本処理を終了する。
【0046】
一方,接続が確立しなかった場合には(S104:NO),別の接続先候補があるか否かを判断する(S111)。別の接続先候補は,ユーザに問い合わせてもよいし,リストから自動的に取得してもよい。ここでいう別の接続先は,ゲートウェイ220が決定した接続先とは別の接続先の意味である。そのため,S102によって得られた接続先が印刷サーバ100であっても,ゲートウェイ220が振り分けた接続先がミラーサーバ230であるならば,別の接続先の候補として印刷サーバ100を指定することができる。その際,再度ゲートウェイ220でミラーサーバ230に接続先が変更されないようにゲートウェイ220が制御される。別の接続先候補がある場合には(S111:YES),S102に戻ってその別の接続先候補の宛先を取得し,接続要求を出力する。別の接続先候補がない場合には(S111:NO),印刷サーバへの接続が失敗した旨のエラーメッセージを通知し(S112),本処理を終了する。
【0047】
[ゲートウェイの処理]
続いて,ゲートウェイ220のS021の処理(制御手段の一例)について,図5のフローチャートを参照しつつ説明する。本処理は,ゲートウェイ220が印刷対象データを受信したことを契機に,ゲートウェイ220のCPU21によって実行される。
【0048】
ゲートウェイ220は,先ず,ゲートウェイ220を通過するパケットを監視する(S121)。そして,そのパケットの送信先が特定の装置(本形態では印刷サーバ100)であるか否かを判断する(S122)。
【0049】
パケットの送信先が特定の装置の場合(S122:YES),送信先をミラーサーバ230に変更する(S123)。すなわち,ゲートウェイ220は,LAN200からゲートウェイ220を介してインターネットに出力されるパケットのうち,印刷サーバ100が送信先となっているパケットの送信先を自動的にミラーサーバ230に変更する。
【0050】
S123による送信先の変更後,あるいはパケットの送信先が特定の装置でない場合(S122:NO),送信先として設定されている装置にデータを出力する(S124)。その後は,本処理を終了する。これにより,ゲートウェイ220によって,印刷対象データの送信先が振り分けられる。
【0051】
なお,上記の送信先の振分制御では,ゲートウェイ220が送信先を決定しているが,印刷対象データを送信するPC240自身が決定してもよい。すなわち,印刷対象データを送信する際,送信先が印刷サーバ100になっているか否かを判断し,印刷サーバであれば送信先を自動変更して始めからミラーサーバ230に送信するようにしてもよい。
【0052】
また,上記の送信先の制御方法では,LAN200内から印刷サーバ100に向けて送信される印刷対象データが全てミラーサーバ230に送信されることになるが,他の条件を加えて一部の印刷対象データを印刷サーバ100に送信するように構成してもよい。例えば,データの送信元も特定し,特定の送信元についてはミラーサーバ230への変更を行わないようにしてもよい。この他,例えば,印刷サーバ100に負荷がかからないことが予想される時間帯についてはミラーサーバ230への変更を行わないようにしてもよい。この場合,ミラーサーバ230を常時起動させておく必要がなく,省エネに資する。このように必ずしも全てのデータをミラーサーバ230で処理する必要はない。
【0053】
[ミラーサーバの処理]
続いて,ミラーサーバ230のS031の処理について,図6のフローチャートを参照しつつ説明する。本処理は,ミラーサーバ230が印刷対象データを受信したことを契機に,ミラーサーバ230のCPU31によって実行される。
【0054】
ミラーサーバ230は,先ず,印刷対象データを取得する(S141)。次に,印刷に対して課金が必要か否かを判断する(S142)。課金の有無は,例えば,印刷対象データに課金の必要有無を付加することで判断できる。また,課金が必要なユーザ名あるいは装置名を記憶しておき,印刷対象データの所有者情報に基づいて課金の有無を判断してもよい。本形態では,課金情報を印刷サーバ100が管理しており,印刷に際して印刷サーバ100へのアクセスを必要とする。そこで,課金が必要であれば(S142:YES),ミラーサーバ230と印刷サーバ100とが通信可能状態であるか否かを判断する(S151)。
【0055】
印刷サーバ100との通信が不能であれば(S151:NO),エラーメッセージをPC240に通知し(S152),加工処理を行うことなく本処理を終了する。通信が不能であることの判断は,1回の問合せ結果に基づいて判断してもよいし,複数回のリトライの結果に基づいて判断してもよい。
【0056】
一方,印刷サーバ100との通信が可能であれば(S151:YES),印刷サーバ100に課金情報を更新する指示を送信する(S153)。その後,印刷対象データに対して,レンダリング等の加工処理を施してプリンタ210用の印刷データを作成する(S143)。すなわち,印刷サーバ100が行う印刷対象データの加工工程をミラーサーバ230が代替する。そして,加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S144)。送信後は,本処理を終了する。
【0057】
また,課金が必要なければ(S142:NO),印刷サーバ100へのアクセスは不要である。そこで,印刷サーバ100に問い合わせることなく,印刷対象データの加工処理を行い(S143),加工後の印刷データをプリンタ210に送信し(S144),本処理を終了する。
【0058】
なお,上記のミラーサーバ230の制御では,課金が必要な場合(S142:YES),印刷サーバ100との通信が確立しなければ加工処理を行わない,すなわち印刷を実行しないようにしているが,課金と印刷とをセットで確実に行う方法としてはこれに限るものではない。例えば,課金が必要な場合,ミラーサーバ230から印刷サーバ100に印刷対象データを転送し,印刷サーバ100が加工処理および課金を行うようにしてもよい。
【0059】
また,上記の例では,課金が必要な場合に印刷サーバ100で加工処理を行うように変更しているが,加工処理を印刷サーバ100で行わせる条件は課金に限るものではない。例えば,特殊な加工処理を行う場合に,加工処理を印刷サーバ100で行うようにしてもよい。この場合,図7に示すように,S141での印刷対象データの取得後,その印刷対象データの加工に使用する機能を解析する(S161)。そして,特定の機能を使用するか否かを判断し(S162),特定の機能を使用する場合には(S162:YES),印刷対象データを印刷サーバ100に転送する(S171)。特定の機能としては,例えば,ウォーターマーク,任意倍率変更等の,特殊な画像処理が必要な機能が該当する。また,例えば,高画質印刷やカラー印刷等の,レンダリングの負荷が大きい機能であってもよい。このように集中管理が必要な工程の他,高負荷の加工処理を印刷サーバ100が行うようにすることで,例えば,処理能力が低い装置であってもミラーサーバ230として使用できる。
【0060】
続いて,ミラーサーバ230の同期処理について,図8のフローチャートを参照しつつ説明する。ミラーサーバ230は,印刷サーバ100の処理を代替するため,印刷サーバ100と同じ処理を実現しなければならない。そのため,定期的(例えば24時間ごと)に,あるいはミラーサーバ230が障害から復帰した際に,同期処理を実行する。本同期処理も,ミラーサーバ230のCPU31によって実行される。
【0061】
同期処理では,先ず,印刷サーバ100に対して,ミラーサーバ230で実行可能な加工処理と同じ加工処理を行うプログラムのバージョン情報を問い合わせる(S181)。そして,S181で得られたバージョンと,ミラーサーバ230に組み込まれているプログラムのバージョンとが一致するか否かを確認する(S182)。
【0062】
バージョンが一致しない場合には(S182:NO),印刷サーバ100から新しいバージョンのプログラムを取得する(S183)。なお,ミラーサーバ230が加工処理中であれば加工処理の完了を待ってプログラムを取得する。
【0063】
S183でのプログラムを更新後,あるいはバージョンが一致する場合には(S182:YES),印刷ログ情報を照合する(S184)。これにより,印刷サーバ100とミラーサーバ230とで同じ印刷ログ情報を有することになる。S184後は,同期処理を終了する。
【0064】
上述したように,第1の形態では,ミラーサーバ230が印刷サーバ100と同じ加工処理を実行することができ,LAN200内から出力される印刷対象データについては,ゲートウェイ220がミラーサーバ230で加工処理を実行することを決定している。このように,加工処理について印刷サーバ100を利用することなくミラーサーバ230で代替実行することにより,印刷サーバ100の負担が軽減され,処理遅延等の不具合の発生率を下げることができる。また,ミラーサーバ230は,LAN200内にあるため,印刷対象データがLAN200外に漏れないことから,データの安全性の向上が期待できる。また,データの送受信がLAN200内で完結するため,通信の応答性の向上に伴う生産性の向上も期待できる。
【0065】
なお,第1の形態では,印刷サーバ100に記憶されている印刷ログを,同期処理の際に更新しているが,ミラーサーバ230による印刷の度に更新してもよい。この場合,課金時と同様に,印刷サーバ100と通信可能な状態であることを条件に加工処理を行い,通信不可の状態であれば少なくとも加工結果をプリンタに送信しない。これにより,印刷サーバ100での印刷ログの欠落を回避できる。
【0066】
[第2の形態]
続いて,PC240がプリンタ210を指定して印刷を行う際の,第2の形態の動作について,図9を参照しつつ説明する。第2の形態では,印刷サーバ100が,印刷対象データの加工処理を行う装置を決定する。この点,ゲートウェイ220が印刷対象データの加工処理を行う装置を決定する第1の形態とは異なる。
【0067】
第2の形態の画像形成システムでは,先ず,PC240は,ユーザからの印刷命令を受け付けると,印刷対象データを取得する(S201)。そして,印刷サーバ100に対して,通信を確立させるための通信要求を出力する(S202)。通信要求には,要求元情報として,PC240を識別可能な情報が付加される。通信要求は,ゲートウェイ220を経由して印刷サーバ100に送られる。
【0068】
印刷サーバ100は,PC240からの通信要求を受け付けると,PC240との通信を確立する(S251)。そして,要求元がミラーサーバ230が属するLAN(本形態ではLAN200)内の装置であるか否かを判断し,ミラーサーバ230が属するLAN内の装置であれば印刷対象データの送信先をミラーサーバ230とし,それ以外の装置であれば印刷対象データの送信先を印刷サーバ100とする(S252)。例えば,印刷サーバ100が,LAN200に属する装置名をデータベースに記憶しており,要求元の装置名がそのデータベースに記憶されている装置名と一致した場合には,印刷対象データの送信先をミラーサーバ230に決定する。印刷対象データの送信先を決定した後は,その送信先情報を要求元であるPC240に送信する(S253)。
【0069】
送信先情報を受信したPC240は,送信先がミラーサーバ230か否かを判断する(S203)。送信先がミラーサーバ230であれば(S203:YES),S201で取得した印刷対象データをミラーサーバ230に送信する(S204)。一方,送信先が印刷サーバ100であれば(S203:NO),S201で取得した印刷対象データを印刷サーバ100に送信する(S211)。
【0070】
印刷対象データを受信したミラーサーバ230は,その印刷対象データに対して加工処理を行う(S231)。そして,加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S232)。また,印刷対象データを受信した印刷サーバ100は,その印刷対象データに対して加工処理を行う(S254)。そして,加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S255)。
【0071】
上述したように,第2の形態では,LAN200内から出力される印刷対象データについては,印刷サーバ100が印刷対象データをミラーサーバ230に送信することを決定している。ミラーサーバ230で加工処理を実行する場合には,印刷サーバ100は印刷対象データを受信せず,ミラーサーバ230が加工処理を代替する。このように,加工処理について,印刷サーバ100を利用することなく,すなわち印刷対象データおよび印刷データをLAN200外に漏出させることなく,ミラーサーバ230で代替実行することにより,印刷サーバ100の負担が軽減されるとともにデータの安全性も確保される。
【0072】
なお,第2の形態では,要求元の装置がLAN200に属する場合には全てミラーサーバ230を使用しているが,要求元の装置がLAN200に属する場合であっても所定の条件を満たすことで印刷サーバ100を使用するようにしてもよい。例えば,印刷サーバ100のCPU11の使用頻度を取得し,その使用頻度が所定値よりも低ければミラーサーバ230を使用するとしてもよい。あるいは,印刷サーバ100に蓄積する印刷ジョブの数が所定値よりも少なければ印刷サーバ100を使用するとしてもよい。これにより,ミラーサーバ230が高負荷になることも回避できる。
【0073】
[第3の形態]
続いて,PC240がプリンタ210を指定して印刷を行う際の,第3の形態の動作について,図10を参照しつつ説明する。第3の形態では,LAN200内のPC240の他,クライアントとしてLAN200外のモバイル端末装置(本形態では,携帯電話300)をも対象とすることができる。また,第3の形態でも,第2の形態と同様に,印刷サーバ100が,印刷対象データの加工処理を行う装置を決定する。また,印刷対象データの加工処理を行う装置の決定は,印刷サーバ100が印刷対象データを受信した後に決定する。この点,ミラーサーバ230が加工処理を実行する際には印刷サーバ100が印刷対象データを受信しない第2の形態とは異なる。
【0074】
第3の形態の画像形成システムでは,先ず,PC240あるいは携帯電話300は,ユーザからの印刷命令を受け付けると,印刷対象データを取得する(S301)。そして,印刷サーバ100に対して,通信を確立させるための通信要求を出力する(S302)。通信要求には,要求元情報として,PC240を識別可能な情報が付加される。通信要求は,印刷サーバ100に送られる。
【0075】
印刷サーバ100は,PC240からの通信要求を受け付けると,PC240との通信を確立する(S351)。そして,PC240に対して接続許可を応答する(S352)。PC240は,接続許可を受信すると,印刷サーバ100に印刷対象データを送信する(S303)。
【0076】
印刷サーバ100は,PC240からの印刷対象データを受信すると,印刷対象データの送信元がミラーサーバ230が属するLAN(本形態ではLAN200)内の装置であるか否かを判断し,ミラーサーバ230が属するLAN内の装置であれば印刷対象データの送信先をミラーサーバ230とし,それ以外の装置であれば印刷対象データを自身で処理する(S353)。S353の決定方法は,第2の形態のS352の決定方法と同様である。
【0077】
次に,送信先がミラーサーバ230か否かを判断する(S354)。送信先がミラーサーバ230であれば(S354:YES),受信した印刷対象データをミラーサーバ230に転送する(S361)。一方,送信先が印刷サーバ100であれば(S354:NO),その印刷対象データに対して加工処理を行う(S355)。そして,加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S356)。
【0078】
一方,ミラーサーバ230は,S361で転送された印刷対象データを受信すると,その印刷対象データに対して加工処理を行う(S331)。そして,加工後の印刷データをプリンタ210に送信する(S332)。
【0079】
上述したように,第3の形態では,ミラーサーバ230を有するLAN200内にプリンタ210がある場合,要求元がLAN200の内外にかかわらず,印刷サーバ100が印刷対象データをミラーサーバ230に転送している。そして,ミラーサーバ230が加工処理を代替する。このように,印刷サーバ100が印刷対象データを受け付けてから,その印刷対象データを転送することによってミラーサーバ230で代替実行することにより,PC240で印刷対象データの送信先の振り分けを行うことなく,すなわち印刷対象データの送信元の装置の制御を変えることなく,印刷サーバ100の負担が軽減される。
【0080】
以上詳細に説明したように各実施の形態の画像形成システム500では,WANにある印刷サーバ100が実行する加工工程と同じ工程を実行可能なミラーサーバ230を,LAN200内に用意し,LAN200内から依頼された印刷要求については,印刷サーバ100が実行する加工工程のうち少なくとも一部をミラーサーバ230に実行させる。これにより,印刷サーバ100の少なくとも一部の処理をミラーサーバ230が代替することになり,印刷サーバ100の負担軽減が期待できる。
【0081】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,プリンタは,印刷機能を備えるものであればよく,複合機,複写機あるいはファクシミリ装置であっても適用可能である。また,情報処理装置についても,PCに限るものではない。例えば携帯電話やワークステーションであってもよい。
【0082】
また,実施の形態では,ゲートウェイ220とミラーサーバ230とが別体であるが,ゲートウェイ220がミラーサーバ230の役割を兼ねてもよい。すなわち,画像形成システム500は,ゲートウェイとしての機能とミラーサーバとしての機能とを有する1台の装置によって実現してもよい。
【0083】
また,実施の形態では,加工後の印刷データが直接プリンタ210に送信されているが,これに限るものではない。例えば,送信元であるPC240に送り返され,PC240を経由してプリンタ210に送信されてもよい。
【0084】
また,実施の形態では,印刷対象データの加工処理を,印刷サーバ100とミラーサーバ230との何れか一方が全て行うように構成しているが,一部の加工処理を印刷サーバ100が実行し,残りの加工処理をミラーサーバ230が実行するように構成してもよい。例えば,レンダリング以外の加工処理(例えば,集約,分割,拡大縮小)を印刷サーバ100が行い,レンダリングをミラーサーバ230が行うように構成してもよい。
【0085】
また,実施の形態では,LAN200に属するPC240から出力される印刷対象データの加工先を決定しているが,例えばLAN200に属しない携帯電話300から出力される印刷対象データについては,印刷サーバ100が加工処理を行い,加工後の印刷データを指定のプリンタに送信する。
【0086】
また,実施の形態にて課金サービスを扱う場合には,例えば,ミラーサーバ230を使用した場合と,印刷サーバ100を使用した場合とで課金の金額を変える構成をとることもできる。
【0087】
また,実施の形態では,課金情報を印刷サーバ100のみが管理する構成になっているが,ミラーサーバ230が印刷サーバ100と同期手続きを行いながら課金管理を行ってもよい。この場合,ミラーサーバ230は,印刷サーバ100と同等の課金情報を有し,同期処理(図8参照)では,S184にて課金情報も照合する。
【0088】
また,上述のミラーサーバ230が課金管理を行う構成では,ミラーサーバ230は,印刷対象データを加工するにあたって自身の課金情報を更新するとともに印刷サーバ100との同期をとる。具体的にミラーサーバ230が印刷対象データを受信した際の動作について,図11のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図6と同じ動作については同じ符号を付して説明を省略する。
【0089】
ミラーサーバ230は,課金情報の更新が必要な印刷対象データを受信すると,自身の課金情報を更新する(S551)。その後,印刷サーバ100との通信が可能か否かを判断し(S151),通信可能であれば(S151:YES),課金情報について印刷サーバ100との同期手続きを行う(S552)。すなわち,ミラーサーバ230の課金情報と印刷サーバ100の課金情報とを一致させる。S552の後は,S143に移行して印刷対象データの加工を行い,S144によって加工後の印刷データをプリンタ210に送信する。
【0090】
一方,通信不可能であれば(S151:NO),通信状態の回復を監視する復帰監視プログラムをミラーサーバ230内に起動する(S561)。既に復帰監視プログラムが起動している場合には,その復帰監視プログラムに,新たな課金情報を通知する。S561の後は,S143に移行して印刷対象データの加工を行い,S144によって加工後の印刷データをプリンタ210に送信する。
【0091】
復帰監視プログラムは,通信状態を監視し,印刷サーバ100との通信が復帰するまで待機する。待機している間に新たな課金情報が通知された場合には,ミラーサーバ230が管理する課金情報を更新する。通信の復帰を検知した場合には,課金情報について印刷サーバ100との同期手続きを行う。さらにログ情報として,復帰時刻が印刷サーバ100に送られる。これにより,ミラーサーバ230が課金管理を代行することができる。そのため,例えば印刷サーバ100の故障や印刷サーバ100との通信不能が発生した場合であっても,課金管理が必要な印刷対象データの印刷を行うことができる。
【符号の説明】
【0092】
100 印刷サーバ
200 LAN
210 プリンタ
220 ゲートウェイ
230 ミラーサーバ
240 PC
300 携帯電話
500 画像形成システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域ネットワーク領域内に設けられ,情報処理装置からの印刷要求に応じて,前記情報処理装置から出力されるデータである印刷対象データを印刷装置用のデータである印刷データに加工する加工工程の少なくとも一部を実行するサーバと,
前記広域ネットワーク領域よりも範囲が狭いネットワーク領域である構内ネットワーク領域内に設けられ,前記サーバが実行する前記加工工程の少なくとも一部と同じ工程を実行する実行装置と,
前記サーバに対して前記構内ネットワーク領域内の情報処理装置から出力された印刷対象データである特定データに対する前記加工工程の少なくとも一部の工程を前記実行装置に実行させる制御手段と,
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成システムにおいて,
前記制御手段は,特定の機能を実行する工程については前記サーバに実行させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成システムにおいて,
前記制御手段は,前記特定データに対する前記加工工程を前記実行装置のみに実行させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記実行装置は,
加工結果を前記情報処理装置に送信する前に,前記サーバとの通信状態を確認する確認手段と,
前記確認手段での確認結果が通信可能の場合には,前記加工結果を前記印刷装置に送信し,通信不可の場合には,前記加工結果を前記印刷装置に送信しない送信手段と,
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記制御手段は,前記特定データの前記実行装置への送信指示を,前記サーバから前記情報処理装置に通知させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記制御手段は,前記サーバが受信した前記特定データを,前記サーバから前記実行装置に転送させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
情報処理装置から出力されるデータである印刷対象データを,印刷装置用のデータである印刷データに加工する加工工程の少なくとも一部を実行するサーバと接続する実行装置において,
前記実行装置が属する構内ネットワーク領域に属する情報処理装置から出力される印刷対象データである特定データを受信する受信部と,
前記受信部が受信した前記特定データについて,前記サーバが実行する前記加工工程の少なくとも一部と同じ工程を実行する実行部と,
前記実行部の実行結果を印刷装置に送信する送信部と,
を備えることを特徴とする実行装置。
【請求項1】
広域ネットワーク領域内に設けられ,情報処理装置からの印刷要求に応じて,前記情報処理装置から出力されるデータである印刷対象データを印刷装置用のデータである印刷データに加工する加工工程の少なくとも一部を実行するサーバと,
前記広域ネットワーク領域よりも範囲が狭いネットワーク領域である構内ネットワーク領域内に設けられ,前記サーバが実行する前記加工工程の少なくとも一部と同じ工程を実行する実行装置と,
前記サーバに対して前記構内ネットワーク領域内の情報処理装置から出力された印刷対象データである特定データに対する前記加工工程の少なくとも一部の工程を前記実行装置に実行させる制御手段と,
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成システムにおいて,
前記制御手段は,特定の機能を実行する工程については前記サーバに実行させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成システムにおいて,
前記制御手段は,前記特定データに対する前記加工工程を前記実行装置のみに実行させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記実行装置は,
加工結果を前記情報処理装置に送信する前に,前記サーバとの通信状態を確認する確認手段と,
前記確認手段での確認結果が通信可能の場合には,前記加工結果を前記印刷装置に送信し,通信不可の場合には,前記加工結果を前記印刷装置に送信しない送信手段と,
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記制御手段は,前記特定データの前記実行装置への送信指示を,前記サーバから前記情報処理装置に通知させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記制御手段は,前記サーバが受信した前記特定データを,前記サーバから前記実行装置に転送させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
情報処理装置から出力されるデータである印刷対象データを,印刷装置用のデータである印刷データに加工する加工工程の少なくとも一部を実行するサーバと接続する実行装置において,
前記実行装置が属する構内ネットワーク領域に属する情報処理装置から出力される印刷対象データである特定データを受信する受信部と,
前記受信部が受信した前記特定データについて,前記サーバが実行する前記加工工程の少なくとも一部と同じ工程を実行する実行部と,
前記実行部の実行結果を印刷装置に送信する送信部と,
を備えることを特徴とする実行装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−12049(P2013−12049A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144485(P2011−144485)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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