説明

画像形成方法及び被記録材再生装置

【課題】被記録材への画像の定着性が良好で、また、低エネルギー、つまり非加熱にてトナー等の着色剤を除去でき剥離性に優れ、さらに、耐久性に優れてリユース可能で、被記録材の繰り返し安定性の改善を図ることのできる画像形成方法及び被記録材再生装置を提供する。
【解決手段】電子写真法により熱可塑性樹脂からなるトナーを被記録材300に転写及び定着して得られたトナー画像Tから、トナー画像Tをトナーのガラス転移点Tg(t)以下で除去し被記録材300を再生する画像形成方法であって、被記録材300が、基材301と、基材301に設けられた表面層303と、基材3031と表面層303との間に設けられた中間層302と、を有し、表面層303が低表面エネルギー材からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法及び被記録材再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、トナーを用いる電子写真複写(いわゆるコピー)技術が普及し、紙やOHPシート等の被記録材(転写材)が多量に用いられている。省エネルギーの観点から、写真方式による画像形成では定着部を中心としたプロセスやシステムの最適化やトナーの樹脂設計から低温定着化を図るなどの技術が普及している。しかし、オフィス等で多量に発生した印事物の多くが一時的な利用を終えて不要になるとそのまま破棄されているのが実状であり、これら廃棄物は環境負荷を与える一因である。
紙をはじめとする被記録材や再生紙の製造・輸送に大きなエネルギーを消費することから、不要になった印字物から画像を取り除き被記録材を再利用できれば、省エネルギー化への寄与度は高い。また、オフィス内で媒体の利用と再生の循環が行えれば、機密情報書類の廃棄もより簡便かつ安全になることが期待できる。
このような背景から、例えば特許文献1〜3に挙げられているように、定着したトナーを再度加熱する方法や界面活性剤やポリマーを含有した水溶液や有機溶剤を画像に塗布した後に剥離体と接し、着色剤を除去する方法があるが、被記録材を傷つけることなく着色剤を除去することは容易ではない。
また、特許文献4に記載の技術や、光顕色・消色特性を持った着色剤を被記録材に内包した技術が公開されている。さらに、特許文献5のように、トナーに熱応答性を有した顔料を用い、熱処理によって消色する技術も進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−297294号公報
【特許文献2】特開平1−101577号公報
【特許文献3】特開平6−222604号公報
【特許文献4】特開2004−157546号公報
【特許文献5】特開2007−90704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来提案されている被記録材もしくは再生方法では、十分に着色剤を除去できないことや、剥離体や剥離助剤によって被記録材の磨耗や変質が起こり、記録材の耐久性が低下することが課題であった。
また、赤外・紫外光に応答を示す着色剤を含有するトナーによって形成された画像は経時による退色が発生するため画像安定性に課題があるだけでなく、消色後も結着樹脂そのものは被記録材に残るため機密文書には適さない。また、被記録材に消色状態で付着したトナーによって紙面が平滑性を失い、繰り返しの画像形成において画像不良が起こるという問題があった。
さらに、加熱や紫外線照射などエネルギー消費の大きい再生工程は、省エネルギー化の観点から適切ではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、被記録材への画像の定着性が良好で、また、低エネルギー、つまり非加熱にてトナー等の着色剤を除去でき剥離性に優れ、さらに、耐久性に優れてリユース可能で、被記録材の繰り返し安定性の改善を図ることのできる画像形成方法及び被記録材再生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によれば、電子写真法により熱可塑性樹脂からなるトナーを被記録材に転写及び定着して得られたトナー画像から、前記トナー画像をトナーのガラス転移点Tg(t)以下で除去し前記被記録材を再生する画像形成方法であって、
前記被記録材が、基材と、前記基材に設けられた表面層と、前記基材と前記表面層との間に設けられた中間層と、を有し、
前記表面層が低表面エネルギー材からなることを特徴とする画像形成方法が提供される。
【0006】
請求項2の発明によれば、前記被記録材上の前記トナーをヒートローラで熱定着して前記被記録材上に前記トナー画像を形成する画像形成装置は、内部にヒータを有する加熱ローラと、内部にヒータを有する加圧ローラと、を備え、少なくともいずれか一方が弾性部材で構成され、
前記被記録材に掛かる圧力Pが、80≦P≦250kPaであり、
定着時の被記録材の表面温度T(Re)が、60≦T(Re)≦120(℃)であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法が提供される。
【0007】
請求項3の発明によれば、前記トナーのガラス転移点Tg(t)が、30≦Tg≦65であり、
前記トナーの粒度分布を変動係数CV値で表すときに、前記トナーのCV値であるCVtが、CVt≦20%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法が提供される。
【0008】
請求項4の発明によれば、前記表面層を形成する低表面エネルギー材の25℃での表面張力γが、γ≦40dyn/cmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法が提供される。
【0009】
請求項5の発明によれば、前記中間層は、常温において、弾性反発を発現する弾性材からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成方法が提供される。
【0010】
請求項6の発明によれば、
電子写真法により熱可塑性樹脂からなるトナーを、基材と、前記基材に設けられた低表面エネルギー材からなる表面層と、前記基材と前記表面層との間に設けられた中間層とを有する被記録材に転写及び定着する画像形成方法によって得られたトナー画像から、当該トナー画像のトナーを、前記被記録材を摺擦可能な剥離体により、トナーのガラス転移点Tg(t)以下で除去する被記録材再生装置が提供される。
【0011】
請求項7の発明によれば、前記トナー画像が形成された前記被記録材を搬入する一対の搬入ローラと、
搬入された前記被記録材に形成されたトナー画像を摺擦してトナー画像を剥離する剥離体と、
前記被記録材を支持して、前記剥離体にトナー画像を接触させる支持ローラと、
前記トナー画像が剥離された被記録材を装置外に排出する一対の搬出ローラと、
除去されたトナー画像が回収される回収容器と、を備えたことを特徴とする請求項6に記載の被記録材再生装置が提供される。
【0012】
請求項8の発明によれば、前記剥離体が、弾性材料からなるブレードであることを特徴とする請求項6又は7に記載の被記録材再生装置が提供される。
【0013】
請求項9の発明によれば、前記剥離体が、ブラシからことを特徴とする請求項6又は7に記載の被記録材再生装置が提供される。
【0014】
請求項10の発明によれば、前記剥離体が、ローラ及びローラに張架されたベルトであることを特徴とする請求項6又は7に記載の被記録材再生装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被記録材が、基材と、表面層と、中間層と、を備え、表面層が低表面エネルギー材からなるので、低エネルギーつまり非加熱にてトナー等の着色剤を繰り返し除去でき剥離性に優れる。また、非加熱でトナー等の着色剤を剥離することから、耐久性、つまり繰り返し再生性にも優れてリユース可能で、また、被記録材への画像の定着性も良好となる。また、中間層を設置することにより、画像形成時における定着圧や再生時の摺擦圧が被記録材上の画像表面に均一に掛かり、画像形成および再生工程の安定性や繰り返し性、すなわち被記録材再生における耐久性を向上させることが可能になる。好ましくは、中間層を弾性層とすることで、再生時の摺擦が均一になり、耐久性を向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】被記録材再生装置の概略構成を示した図である。
【図2】被記録材及び剥離体の模式図である。
【図3】被記録材再生装置の変形例を示した図である。
【図4】被記録材再生装置の変形例を示した図である。
【図5】画像形成装置の概略構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の画像形成方法について説明する。
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、電子写真法により熱可塑性樹脂からなるトナーを被記録材に転写及び定着して被記録材にトナー画像を形成する。そして、トナー画像をトナーのガラス転移点Tg(t)以下の非加熱で除去し被記録材を再生する方法である。
【0018】
本発明において、被記録材300とは、一般的に転写材と呼ばれるもので、図2に示すように、基材301と、基材301に設けられた表面層303と基材301と表面層303との間に設けられた中間層302と、を有するものである。そして、表面層303が、低表面エネルギー材からなる。
【0019】
<表面層>
表面層として、低表面エネルギー材を使用するのは、表面層に転写したトナーを熱又は圧力によって定着させ、この表面層から形成されたトナー画像のみを剥離させるため、トナーと表面層が物理吸着だけでなく、化学吸着を起こさないことが必要であるためである。つまり、表面層が剥離性を発現するためには表面活性が低い部材、すなわち低表面エネルギー材を被記録材の表面層として選択する必要がある。
表面エネルギーを表面張力で比較するとき、剥離効果が発揮されるためには表面張力γが、15≦γ≦40dyne/cmであることが好ましい。
ここで、表面張力γは、例えばW.A.Zismanの定義による臨界表面張力のことである。具体的には、種々の化学特性および濃度の水溶液を用いて空中、室温条件で固体表面と液滴との接触角を測定した後、縦軸に接触角をcosθに換算した値をとり、種々の濃度の水溶液の点をプロットして直線関係を得、cosθ=1すなわち、接触角=0°になるときの表面張力をいう。接触角は、純水(20℃で抵抗率5〜20MΩ・cmの純水)に対する接触角を全自動接触角計(CA−W型ロール特型:協和界面科学社製)を用いて20℃50%RHの環境下で測定する。
このような表面層に使用する低表面エネルギー材としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体などフッ素を含むオレフィンを重合したフッ素樹脂や、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリスチレンが挙げられる。また、分子表面がメチル基で覆われているために分子引力が小さいシリコン樹脂も表面張力が小さく、好ましい。
このような表面層は、上記樹脂が可溶な有機溶媒を用いて、樹脂を溶解させた溶液をワイヤーバー等で被記録材の基材の表面(又は中間層の表面)に塗布する方法や、上記樹脂の微粒子分散液を同じく被記録材の基材の表面(又は中間層の表面)に塗布する方法がある。塗布後に乾燥させた後、加熱もしくは加圧し、成形しても良い。
【0020】
<中間層>
本発明において、中間層は、55℃以下、好ましくは常温の範囲において、弾性反発を発現する弾性材料からなることが好ましい。
本発明で言う、常温とは、日本工業規格によって試験場の標準状態として定められた20℃±15℃(5〜35℃)(JIS Z 8703)のことである。
好ましくは、中間層として弾性材料を使用することにより、耐久性を向上させる上で有利である。また、被記録材の中間層として弾性材料を使用することによって、被記録材の画像剥離が効率よく行われるため好ましい。
中間層としては、例えば、ウレタンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルゴムなど、5〜35℃の常温において弾性を示す組成物を用いることができる。またこれらを複数組み合わせて用いてもよい。
具体的には中間層に、25℃の弾性率が1〜12MPaの弾性体を用いることが好ましい。特に好ましくは3〜8MPaの弾性体を用いる。
このような中間層は、上記弾性材料を有機溶媒に溶解させる他、樹脂微粒子分散液を被記録材の基材上にワイヤーバー等で均一に塗布することによって形成することができる。
有機溶媒及び分散液の揮発後、加熱もしくは加圧する工程を経ても良い。
【0021】
<基材>
本発明において、基材は、被記録材が画像剥離を目的とする画像形成方法に用いられ、画像形成には電子写真方式を用いることから、帯電特性を示す部材を使用する。基材の材料として、例えば、セルロース繊維を主成分として硫酸アルミニウム、タルク、アニオン性歩留向上剤、填料、視力増強剤を添加した一般的にコピー用紙として汎用のプレーンペーパーや、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂といった帯電性を有する樹脂をシート状に成形したものを用いることができる。
【0022】
なお、被記録材の厚さは、95〜210μmが好ましく、表面層の厚さは、15〜30μm、中間層の厚さは、弾性特性がトナーの定着・剥離工程に影響するために20〜60μmが好ましい。また、基材の厚さは、60〜120μmが好ましい。
【0023】
<トナー>
本発明で使用するトナーは、少なくとも着色剤と、結着樹脂、ワックスを含むことが必要である。すなわち、着色成分および樹脂成分は被記録材の表面に薄膜状に形成されて画像となる。ワックス及び結着樹脂からなる薄膜は、そのガラス転移点以下では脆く、例えば消しゴムで擦る程度の摺擦圧を有する機械的な摺擦手段によって破壊することができるため、容易に除去することができる。
【0024】
本発明で使用するトナーのガラス転移点Tg(t)は、30≦Tg(t)≦65である。好ましくは、常温であり、5℃以上50℃以下である。ガラス転移点Tgを上記範囲としたのは、Tgが65を超えると、画像使用時に画像の剥離が開始してしまう恐れがあり、Tgが30未満であると剥離手段による剥離の効率が低下する恐れがあるためである。
【0025】
また、樹脂成分が薄膜状に均一に定着されている必要があることから、被記録材に転写されたトナー画像の表面が平滑であり、さらに定着時にトナーが均一に加熱されるためには粒径が揃っている必要があり、トナーの粒度分布CV値CVt(%)が、Cvt≦20%であることが好ましい。
CV値の測定にはベックマンコールター社製 精密粒度分布測定装置 コールターマルチサイザー3を用いた。CV値は平均粒径と粒度分布のシャープさを示し、CV値は下記式にて算出される。
CV値=(標準偏差)/(算術径)
CV値が高く粒度分布が広いと、画像膜厚が不均一になるため摺擦圧が画像へ均一に掛らなくなり、画像を完全に剥離することができない。
【0026】
また、トナーは、軟化点Tspが70〜110℃であることが好ましい。本発明のトナーに用いる結着樹脂は特に限定されるものではないが、具体的には、ポリエステル樹脂やスチレン/アクリル系樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。特に、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体を用いて形成される共重合体を含有して結着樹脂が好ましい。
(メタ)アクリル酸系単量体は、メタクリル酸系単量体とアクリル酸系単量体を総称したもので、メタクリル酸系単量体の具体例としては、メタクリル酸(CH2=C(CH3)COOH)およびメタクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。また、アクリル酸系単量体としては、アクリル酸(CH2=CHCOOH)とアクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。
【0027】
トナーの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の電子写真方式の画像形成方法に使用されるトナーの製造方法を提供することができる。すなわち、混練、粉砕、紛級工程を経てトナーを作製するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子を形成するいわゆる重合法によるトナー製造方法を適用することができる。
【0028】
本発明の画像形成方法において、電子写真法により上記トナーを被記録材に転写及び定着して被記録材にトナー画像を形成する際に、被記録材へのトナー定着時の表面温度は60〜120℃が好ましい。ここで表面温度を60〜120℃としたのは、トナー粒子を溶解させてトナー画像内及び表面層とトナー間の凝集力を向上させつつも、トナー画像と表面層の間の接着強度が物理的に剥離可能な範囲にするためである。
【0029】
次に、本発明の画像形成方法で使用する再生手段すなわち被記録材再生装置、画像形成装置について説明する。
[被記録材再生装置]
図1は、被記録材再生装置の概略構成を示した図、図2は、被記録材及び剥離体の模式図である。
図1に示すように、被記録材再生装置(以下、単に「再生装置」と言う)100は、後述の画像形成装置による電子写真法により被記録材300にトナーを転写し、定着することにより得られたトナー画像Tに対し、トナーのガラス転移点Tg(t)以下で非加熱で被記録材300からトナー画像Tを除去して被記録材300を再生可能とする装置である。
再生装置100は、トナー画像Tが形成された被記録材300を搬入する一対の搬入ローラ1a,1bと、搬入された被記録材300に形成されたトナー画像Tに接触してトナー画像Tを剥離する剥離体3と、被記録材300を支持して、剥離体3にトナー画像Tを接触させる支持ローラ4と、トナー画像Tが剥離された被記録材300を装置外に排出する一対の搬出ローラ5a,5bと、を備えている。
また、再生装置100には、除去されたトナー画像Tが回収される回収容器6や、過熱によるトナー画像Tの溶融を抑制するためにファン(図示しない)が設けられている。さらに、被記録材300の表面温度を測定する温度センサ(図示しない)を設けて、所定温度以上になるとファンを制御してトナー画像Tの溶融を抑制することが好ましい。
【0030】
支持ローラ4、搬入ローラ1a,1b及び搬出ローラ5a,5bは、例えば、アルミニウム等の金属製の基体表面に、シリコンゴム等からなる弾性体層を被覆してなるものが挙げられる。
【0031】
剥離体3は、トナー画像Tを剥離できるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、図1に示すブレード3Aや、図2、図3に示すブラシ3B、図4に示すローラ3C及び、ローラ3Cに張架されたベルト3D等を使用することが好ましい。
ブレード3Aは、アクリルゴム、ウレタンゴム又はエチレンプロピレンゴム等の弾性材料を用いて板状に形成されたものである。ブレード3Aの表面がトナー画像Tに接触するように設置されている。
ブラシ3Bは、回転軸及び回転軸の表面に植毛された複数のブラシ毛によって構成されたものが好ましい。ブラシ3Bは、ブラシ毛がトナー画像Tに接触するように設置されている。ブラシ毛の材質としては、例えば、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、発泡ウレタン等の発泡樹脂が挙げられる。
ローラ3Cは、例えば、アルミニウム等の金属製の基体表面に、アクリルゴム又はエチレンプロピレンゴム等の弾性材料を被覆してなるものが挙げられる。また、ベルト3Dの材質も、アクリルゴム又はエチレンプロピレンゴム等の弾性材料からなるものが好ましい。そして、ローラ3Cの回転によりベルト3Dが、トナー画像Tに接触するように設置されている。
ここで、剥離とは、摩擦及び吸着によって被記録材の表面から画像のみを除去することを言い、このときの摩擦は発熱を目的とするものではない。
【0032】
以上のような再生装置100では、トナー画像Tが形成された被記録材300が、トナー画像Tが形成された側の面を、一方の搬入ローラ1b側に向けた状態で、一対の搬入ローラ1a,1b間に挟持され、搬入ローラ1a,1bが回転することによって搬送される。その後、被記録材300のトナー画像Tが形成されていない側の面を支持ローラ4に支持させる。このとき、被記録材300のトナー画像Tが形成されている側の面が剥離体3A(3B又は3D)に接触するので、支持ローラ4が回転することによって被記録材300が搬送方向に搬送されながら、剥離体3A(3B又は3D)によってトナー画像Tが剥離される。剥離されたトナーは回収容器6に回収される。トナー画像Tが剥離された被記録材300は、一対の搬出ローラ5a,5b間に狭持され、搬出ローラ5a,5bが回転することによって再生装置外に搬送される。
【0033】
なお、被記録材300にトナー画像Tを形成するためには、例えば、図5に示す画像形成装置11によって形成する。
【0034】
[画像形成装置]
画像形成装置11は、タンデム型のカラー画像形成装置と称せられるものある。
画像形成装置11の本体上部には画像読取装置21が設けられている。また、画像形成装置11はY、M、C、Kのトナーの色毎に、露光及び現像を行うユニットuY、uM、uC、uKを備えている。ユニットuY、uM、uC、uKは、それぞれ露光装置u1、現像装置u2、感光体u3、帯電部u4、クリーニング部u5、1次転写ローラu6を含んでいる。1次転写ローラu6は感光体u3に圧接されている。
【0035】
さらに、画像形成装置11は中間転写ユニット22、2次転写ローラ23、定着装置24、給紙部25を備えている。中間転写ユニット22は、複数のロールにより巻回され、回動可能に支持された中間ベルト2aと、クリーニング部2bとを含む。2次転写ローラ23は中間ベルト2aに圧接されている。
定着装置24は、いわゆる接触加熱方式のものを使用することができる。接触加熱方式としては、特にヒートローラによる熱圧定着方式が好ましい。例えば、内部にヒータを有する加熱ローラ241と、加熱ローラ241と対向して設けられ内部にヒータを有する加圧ローラ242とを有し、加熱ローラ241と加圧ローラ242との間でニップ部を形成し、被記録材をニップ部に通過させて、被記録材上のトナーを定着させる方式である。
本発明では、加熱ローラ241又は加圧ローラ242の少なくともいずれか一方が、弾性部材で形成されていることが好ましい。例えば、加熱ローラ241又は加圧ローラ242が、アルミニウム等の金属製の基体表面に、シリコンゴム等からなる弾性体層を被覆してなるものが挙げられる。
そして、本発明では、被記録材に掛かる圧力Pが、80≦P≦250[kPa]であることが好ましい。圧力Pを上記範囲としたのは、圧力Pを80kPa未満とすると、被記録材から剥離しきれないトナーが発生する恐れがあり、圧力Pが250kPaを超えると被記録材表面に傷が発生しトナー剥離性が劣化するため繰り返し使用できる回数が減少する恐れがあるためである。
【0036】
画像形成時には、帯電部u4により感光体u3の帯電が行われると、露光装置u1により露光が行われ、感光体u3上に画像信号に基づく静電潜像が形成される。次いで、現像装置u2により現像が行われ、感光体u3上にトナーが付着されてトナー画像が形成されると、当該トナー画像は感光体u3の回転及び1次転写ローラu6の作用により中間ベルト2a上に転写される。この露光、現像、転写の工程を、中間ベルト2aの回動に合わせて、各色のユニットuY、uM、uC、uKが順次繰り返すことにより、中間ベルト2a上に各色のトナー画像が重ねられ、フルカラー印刷物が形成される。
【0037】
一方、給紙部25からは用紙が搬送され、2次転写ローラ23の位置まで当該用紙が搬送されると、2次転写ローラ23の作用によって中間ベルト2aから用紙上にカラー画像が一括して転写される。その後、用紙は定着装置24に搬送されて加圧及び加熱により用紙上にカラー画像が固定され定着されると、最終的に外部に設けられているトレイに排出される。このようにして、画像形成が終了すると、クリーニング部u5、22により感光体u3や中間ベルト2aに残存するトナーが除去される。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)実施例1
<被記録材の作製>
《アクリルゴム中間層の形成》
アクリル酸−4−ヒドロキシブチル120質量部、メタクリル酸アリル5質量部を混合し、(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物110質量部を得た。ドデシル硫酸ナトリウム2質量部を溶解した蒸留水200質量部に上記単量体混合物100質量部を加え、ホモミキサーで予備撹拌した後、ホモジナイザーにより30MPaの圧力で乳化、分散させ単量体エマルションを得た。このエマルションをコンデンサー及び撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、窒素置換及び混合撹拌しながら加熱し50℃になった時点でtert−ブチルヒドロペルオキシド0.5質量部を添加した後60℃に昇温し、硫酸第1鉄0.005質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.005質量部、ロンガリット(CH3 NaO3 S)0.25質量部及び蒸留水5質量部の混合液を投入後、5時間放置し、アクリルゴムラテックスLi-1aを得た。
得られたアクリルゴム樹脂微粒子分散液を樹脂層が44g/m2になるようワイヤーバーを用いて、クラフト紙(80g/m2)を基材として塗付した。得られたアクリルゴム中間層Li-1の層厚は42μmだった。
【0039】
《シリコン表面層の形成》
無溶剤型シリコン樹脂(東レ・ダウコーング・シリコーン社製「LTC−1056L」)と架橋反応に必要な触媒と混合した後、上記アクリルゴム中間層Li-1の表面に20g/m2塗布後、常温にて硬化し表面層Ls-1を得た。得られた被記録材を被記録材P1とした。
【0040】
<トナーの作製>
(i)樹脂微粒子分散液(トナーコア)の調整
《第1段重合》
5Lの反応容器に撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応装置を用い、反応装置には予め界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌下で液温を80℃に昇温した。界面活性剤溶液にはアニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:SDS)2質量部とイオン交換水2900質量部を用いた。界面活性剤溶液に重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10質量部を添加した後、スチレン570質量部、n−ブチルアクリレート280質量部、メタクリル酸55質量部、n−オクチルメルカプタン14.5質量部からなる単量体溶液を3時間かけて滴下し、滴下終了後、78℃において1時間保持し、樹脂粒子の分散液〔tc-1〕を調製した。
《第2段重合》
アニオン系界面活性剤(ポリオキシ(2)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩)12質量部をイオン交換水1100質量部に溶解させ、界面活性剤溶液を調製した。また、撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン245質量部、n−ブチルアクリレート95質量部、メタクリル酸25質量部、n−オクチルメルカプタン4質量部からなる単量体組成物に、離型剤としてベヘン酸ベヘニル150質量部を添加し、85℃に加温して単量体溶液〔2〕を調製した。90℃に加温した界面活性剤溶液に樹脂粒子の分散液〔tc-1〕260質量部と単量体溶液〔2〕を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により混合・分散させ、分散液を調製した。重合開始剤(KPS)12質量部をイオン交換水240質量部に溶解させた重合開始剤溶液を前記分散液に添加し、これを85℃において2時間加熱・撹拌し、樹脂粒子の分散液〔tc-2〕を調製した。
《第3段重合》
スチレン430質量部、n−ブチルアクリレート115質量部、n−オクチルメルカプタン7質量部からなる単量体溶液〔3〕を調製し、樹脂粒子の分散液〔tc−2〕に、重合開始剤(KPS)9質量部をイオン交換水180質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、85℃の温度条件下において、単量体溶液〔3〕を滴下した。滴下終了後、3時間加熱・撹拌し、その後28℃まで冷却し、多層構造の樹脂粒子の分散液〔tc〕を調製した。樹脂粒子〔tc〕の体積基準のメディアン径は160nm、ガラス転移点は57℃だった。
(ii)樹脂微粒子分散液(トナーシェル)の調整
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にアニオン系界面活性剤(SDS)2質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液を窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、温度を80℃に昇温させた。
界面活性剤水溶液中に重合開始剤(KPS)9質量部を添加した後、スチレン510質量部、n−ブチルアクリレート190質量部、メタクリル酸120質量部、n−オクチルメルカプタン22質量部からなる単量体溶液を3時間かけて滴下した。この単量体溶液の滴下後、液温を78℃にして1時間保持し、シェル層用樹脂粒子の分散液〔ts〕を調製した。シェル層用樹脂粒子〔ts〕の体積基準のメディアン径は90nm、ガラス転移点は55℃だった。
(iii)着色剤粒子分散液の調整
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に溶解させた溶液を撹拌しながら、着色剤として「C.I.ピグメントブルー15(銅フタロシアニン化合物)」29質量部を徐々に添加した。その後、機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理を行うことにより着色剤微粒子が分散されてなる着色剤微粒子分散液〔X〕を調製した。電気泳動光散乱光度計「ELS-800」(大塚電子社製)を用いて着色剤粒子の粒径を測定した。
(iv)トナーの作製
反応容器に撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付け、反応容器内に樹脂粒子〔tc〕の分散液〔tc〕430質量部(固形分換算)、イオン交換水1700質量部、着色剤微粒子分散液〔X〕150質量部を投入し撹拌した。この溶液に25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを10〜10.3に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物水溶液(50質量%)120質量部を、撹拌下、20分間かけて添加した。添加後に昇温を開始し、約60分間かけて78℃まで昇温した。「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて、反応器内で成長する粒子の粒径を測定し、6.5mmに到達した時点で塩化ナトリウム水溶液(25質量%)100質量部を添加して粒径の成長を停止させ、凝集粒子〔1〕の分散液〔1〕を得た。熟成処理として、凝集粒子〔1〕の分散液〔1〕を液温75〜83℃にて2時間にわたり加熱・撹拌することにより、コア部を形成した。
コア部の形成に次いで、液温75〜83℃においてシェル層用樹脂粒子〔ts〕の分散液〔ts〕26質量部(固形分換算)を20分間かけて添加した。界面活性剤にはポリオキシエチレン(2)ラウリルエ一テル硫酸ナトリウム0.7質量部をイオン交換水4質量部に溶解させたものを用いた。添加後に2時間にわたり撹拌を継続してシェル層用樹脂粒子〔ts〕をコア部〔tc〕に凝集・融着させた後、30分間熟成処理を行ってシェル層を形成した。シェル層を形成した後、25質量%塩化ナトリウム水溶液200質量部を添加して融着を停止させ、88℃まで昇温させた熟成処理を行った。このようにして形成した粒子分散液を4℃/分で冷却した後、20℃のイオン交換水で十分に洗浄し、室温下で乾燥処理を行って、トナーT-1を作製した。
(v)現像剤の調整
メディアン径50μmのフェライトにシクロヘキシルメタクリレート樹脂を被覆したフェライトキャリアと上記で作製したトナーT-1を十分に混合し、トナー濃度が7%の2成分現像剤を調整した。
その後、トナーT-1、被記録材P1を使用して下記に示す評価を行った。
【0041】
(2)実施例2
<被記録材の作製>
実施例1と同様の方法にて中間層Li-1を形成した後、以下の手段で表面層Ls-2を得た。
《ポリテトラフルオロエチレン表面層の形成》
平均粒径3μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂微粒子120質量部と、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル5質量部とともに230質量部のイオン交換水に分散させ、PTFE中間層塗付液Ls-2aを得た。Ls-2aを40.5g/m2になるように実施例1の方法で作成した中間層へ塗付し、200℃で30分乾燥させた。塗付及び乾燥を同様の方法で繰り返し、21μmのポリテトラフルオロエチレン中間層Ls-2を得た。得られた被記録材を被記録材P2とした。
なお、トナーについては、実施例1と同様のトナーT-1を使用し、下記に示す評価を行った。
【0042】
(3)実施例3
<被記録材の作製>
実施例1と同様の方法にて中間層Li-1を形成した後、以下の手段で表面層Ls-3を得た。
《ポリエチレン表面層の形成》
ポリエチレン樹脂微粒子(平均粒径3μm )50質量部をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5質量部およびイオン交換水145質量部とともに混合し、25wt%に調整しポリエチレン樹脂微粒子分散液Ls-3aを得た。ワイヤーバーを用いてLs-3aを塗付し、2時間真空乾燥後、120℃2分加熱し、これをさらに繰り返し、20μmのポリエチレン表面層Ls-3を得た。得られた被記録材を被記録材P3とした。
なお、トナーについては、実施例1と同様のトナーT-1を使用し、下記に示す評価を行った。
【0043】
(4)実施例4
<被記録材の作製>
実施例1と同様の方法にて中間層Li-1を形成した後、以下の手段で表面層Ls-4を得た。
《ポリスチレン表面層の形成》
10wt%のポリスチレン微粒子分散液(粒径300nm)を中間層上に10g/m2塗付後、真空乾燥の後80℃で10分加熱した。これを繰り返し行い、20g/m2の表面層Ls-4を形成した。得られた被記録材を被記録材P4とした。
なお、トナーについては、実施例1と同様のトナーT-1を使用し、下記に示す評価を行った。
【0044】
(5)実施例5
<被記録材の作製>
《エチレンプロピレンゴム中間層の形成》
平均粒径が10μmのエチレンプロピレン微粒子110質量部を290質量部のベンゼンと混合し、27.5wt%のエチレンプロピレンゴム溶液Li-2aを得た。これを実施例1と同様の基材および塗付方法で、Li-2aが21g/m2になるように塗付し、50℃で2時間乾燥した。これをもう一度繰り返し、エチレンプロピレンゴム中間層Li−2を得た。
実施例1と同様の方法にて表面層Ls-1を得た。得られた被記録材を被記録材P5とした。
なお、トナーについては、実施例1と同様のトナーT-1を使用し、下記に示す評価を行った。
【0045】
(6)実施例6
<被記録材の作製>
《イソプレンゴム中間層の形成》
ポリイソプレン120質量部をジエチルエーテル280質量部に溶解し、30wt%のポリイソプレン溶液Li-3aを調整した。これを基材上に26g/m2塗付し50℃で2時間乾燥した。塗付工程を同様にもう1度繰り返し、41μmのポリイソプレンゴム中間層Li-3を得た。
実施例1と同様の方法にて表面層Ls-1を得た。得られた被記録材を被記録材P6とした。
なお、トナーについては、実施例1と同様のトナーT-1を使用し、下記に示す評価を行った。
【0046】
(7)実施例7
<被記録材の作製>
《シリコンゴム中間層の形成》
付加反応型の2液型シリコーン 100 質量部 等量混合し、メチルエチルケトンにて固形分濃度約30 質量% に希釈したシリコーン溶液Li−4aを、41g/m2となるよう基材の上にワイヤーバーで塗工し、130 ℃ で2間加熱し乾燥・硬化させて、層厚41μmのシリコーンゴム中間層Li-4を形成した。
実施例1と同様の方法にて表面層Ls-1を得た。得られた被記録材を被記録材P7とした。
なお、トナーについては、実施例1と同様のトナーT-1を使用し、下記に示す評価を行った。
【0047】
(8)実施例8
<被記録材の作製>
《PVA/澱粉中間層の形成》
部分鹸化ポリビニルアルコール85重量部とリン酸エステル化澱粉35重量部を、75℃に加温したイオン交換水180質量部と混合し、48wt%のPVA/澱粉塗付液Li-5aを調整した。Li-5aを38g/m2になるように基材へ塗付し、50℃で2時間乾燥させた。これをさらに2度繰り返し、40μmの層厚のPVA/澱粉中間層Li-5を得た。得られた被記録材を被記録材P8とした。
なお、トナーについては、実施例1と同様のトナーT-1を使用し、下記に示す評価を行った。
【0048】
(9)実施例9
実施例1のトナーの作製の(i)において、トナーTgが35℃となるようなモノマー単量体組成に調整し、同様の手段でトナー T-2 を作製した。
なお、被記録材については、実施例1と同様の被記録材P1を使用し、下記に示す評価を行った。
【0049】
(10)実施例10
実施例1のトナーの作製の(i)において、トナーTgが60℃となるようなモノマー単量体組成に調整し、同様の手段でトナーT-3 を作製した。
なお、被記録材については、実施例1と同様の被記録材P1を使用し、下記に示す評価を行った。
【0050】
(11)実施例11
実施例1のトナー作製の(iv)において、反応初期の加熱を45分間で83℃へ加温した他は実施例1と同様の条件で作製し、トナーT-4を得た。トナー粒径のCV値を測定すると20%だった。
なお、被記録材については、実施例1と同様の被記録材P1を使用し、下記に示す評価を行った。
【0051】
(12)実施例12
実施例1に示す方法により作成されたトナーT-1及び被記録材P1を用い、市販の複合プリンタを用いて画像定着を行った。画像定着時の被記録材表面温度を、実施例1〜11の100℃に変えて、65℃とした。具体的な定着方法については、後述の評価の定着試験の項目に示す。
【0052】
(13)実施例13
実施例1に示す方法により作成されたトナーT-1 及び被記録材P1を用い、市販の複合プリンタを用いて画像定着を行った。画像定着時の被記録材表面温度を、実施例1〜11の100℃に変えて、120℃とした。具体的な定着方法については、後述の評価の定着試験の項目に示す。
【0053】
(14)実施例14
実施例1に示す方法により作成されたトナーT-1 及び被記録材P1を用い、市販の複合プリンタを用いて画像定着を行った。画像定着時の、被記録材表面にかかる定着圧が、実施例1〜13の120kPaに変えて、80kPaとなるよう、定着ニップ圧を調整した。具体的な定着方法、定着温度については、後述の評価の定着試験の項目に示す。
【0054】
(15)実施例15
実施例1に示す方法により作成されたトナーT-1 及び被記録材P1を用い、市販の複合プリンタを用いて画像定着を行った。画像定着時の、被記録材表面にかかる定着圧が、実施例1〜13の120kPaに変えて、220kPaとなるよう、定着ニップ圧を調整した。具体的な定着方法、定着温度については、後述の評価の定着試験の項目に示す。
【0055】
(16)実施例16
実施例1に示す方法により作成されたトナーT-1 及び被記録材P1を用い、市販の複合プリンタを用いて画像定着を行った。その後、後述の評価の剥離試験で示す再生装置を、実施例1〜15で使用した再生装置C1に変えて、再生装置C2を用い、画像の剥離性を評価した。
【0056】
(17)実施例17
実施例1に示す方法により作成されたトナーT-1 及び被記録材P1を用い、市販の複合プリンタを用いて画像定着を行った。その後、後述の評価の剥離試験で示す再生装置を、実施例1〜15で使用した再生装置C1に変えて、再生装置C3を用い、画像の剥離性を評価した。
【0057】
(18)比較例1
<被記録材の作製>
実施例1と同様の方法で中間層Li-1を得た。
《ポリエチレンテレフタレート表面層の形成》
平均粒径3μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂微粒子120質量部と、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル5質量部とともに230質量部のイオン交換水に分散させ、PET中間層塗付液Ls-6aを得た。Ls-5aを40.5g/m2になるように実施例1の方法で作成した中間層へ塗付し、200℃で30分乾燥させた。塗付および乾燥を同様の方法で繰り返し、21μmのPTFE表面層Ls-6を得た。得られた被記録材を被記録材P9とした。
【0058】
(19)比較例2
<中間層のない被記録材の作製>
無溶剤型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーング・シリコーン社製「LTC−1056L」)と架橋反応に必要な触媒と混合した後、クラフト紙(80g/m2)を基材へ20g/m2塗布後、常温にて硬化し被記録材P10を得た。
【0059】
[評価]
下記に示す評価を行い、その結果を表1に示した。
(1)定着試験
市販の複合プリンタ「bizhub C353(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製」を使い、同プリンタに搭載された二成分現像剤トナーによって画像形成および定着を行った。定着時の被記録材表面温度は定着部の加熱ローラ温度にて調整した。そのときの実施例1〜11の被記録材の表面温度は100℃だった。
フルカラーおよびテキスト画像を出力し、画像に欠陥があるか目視観察を行った。転写材表面とトナーの定着性が不十分の場合には、溶融トナーが不均一になり色ムラが発生したり中抜けが生じる。
また、画像のハンドリング性を評価するため、指触による定着性の試験を行った。10cm2のベタパッチ(トナー付着量12g/m2)の画像表面を、エチルアルコールで清浄にした指先で触れながら5回往復し、画像剥離の有無を目視確認する。さらに試験後の指をエチルアルコールで拭き取り、着色を確認する。下記評価基準2〜3点を合格とする。
評価基準
0点:定着直後の画像において、中抜け等のオフセット、ムラが発生
1点:定着直後の画像において、軽微なオフセット(エッジ微小欠けや光学顕微鏡で観察できる中抜けなど)が発生。指触試験でも画像剥離や着色が確認できる。
2点:画像は良好。指触後の画像は目視上 変化ないが、拭き取ったウエスが軽微に着色。
3点:画像もハンドリングも良好
【0060】
(2)剥離試験
図1、図3、図4に示す再生装置を用い、画像の再生性を評価した。図1の再生装置C1では、剥離体として弾性部材からなるブレードを用いた。図3の再生装置C2では、剥離体としてブラシ状ローラの摺動によって剥離を行った。図4の再生装置C3では、剥離体としてローラ及びベルトを用いた。被記録材は、線速100mm/secで駆動させた。
各剥離体でトナー画像を剥離する剥離工程は標準状態(温度25℃、相対湿度50%)で行い、過熱によるトナーの溶融を抑制するためにファンを使用して剥離体が25℃に保たれるようにした。
画像定着前と被記録材再生後の被記録材表面の平均画素数の差ΔDを算出することにより、剥離できずに被記録材表面に残ったトナーの割合Rdを評価した。スキャナで被記録材表面の状態を300dpiの解像度で取り込み、画像解析ソフトを用いて、輝度ヒストグラムを測定することで平均画素数を算出した。定着前と再生後の平均画素数をそれぞれDb、Drと表すとき、ΔDを以下に定義する。下記評価基準2〜3点を合格とする。
ΔD=Dr - Db
RD= (ΔD/Db)×100 (%)
評価基準
0点:被記録材と画像が完全に定着し、再生装置による剥離は困難 RD≧90
1点:画像を一部剥離することが可能 90>RD>10
2点:画像を概ね剥離することが可能だが、目視により着色が確認できる 10≧RD>3
3:画像を完全もしくは殆ど剥離可能で、目視により着色は確認できない若しくは白紙として許容できる RD≦3
【0061】
(3)繰り返し再生性
画像の出力および再生を繰り返し行い、画像不良の有無と、転写材の耐久性(摩耗の有無)と剥離性能の低下度合いを評価した。被記録材の厚さを定着前と再生後に測定し、摩耗量を算出する。これらをLb、Lr、この差をΔLと表記する。被記録材が摩耗した度合いを以下で定義される厚さの変動率RLで評価する。剥離性能の低下は前記剥離試験におけるRD値を記録し、増加傾向の場合には剥離性能が低下していると判断する。下記評価基準下記評価基準2〜3点を合格とする。
ΔL=Lb−Lr
RL=ΔL/Lb
評価基準
0点:繰り返し再生が困難。 ;5度以内の繰り返し再生で画像不良が発生、若しくはRLが5%以上
1点:繰り返し再生が不十分。 ;10回以内の繰り返しで画像不良が発生、若しくはRLが5%以上変動し、RDが増加傾向。
2点:繰り返し再生が不十分。 ;20回以内の繰り返しで画像不良が発生、若しくはRLが5%以上変動、若しくはRDが増加傾向
3点:繰り返し再生が可能。 ;20回繰り返しでのRLの変動が5%未満、かつ、RDが殆ど変化しない。画像不良も発生しない。
【0062】
【表1】

【0063】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜実施例17の場合、剥離性、繰り返し再生性の点において、比較例1、比較例2に比べて良好であった。比較例1、比較例2は、定着性は良好であるものの、繰り返し使用の観点からは定着過多の状態であり、画像からのトナーの剥離性が劣る。
【符号の説明】
【0064】
3A ブレード
3B ブラシ
3C ローラ
3D ベルト
11 画像形成装置
100(C1、C2、C3) 被記録材再生装置
241 加熱ローラ
242 加圧ローラ
300 被記録材
301 基材
302 中間層
303 表面層
T トナー画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真法により熱可塑性樹脂からなるトナーを被記録材に転写及び定着して得られたトナー画像から、前記トナー画像をトナーのガラス転移点Tg(t)以下で除去し前記被記録材を再生する画像形成方法であって、
前記被記録材が、基材と、前記基材に設けられた表面層と、前記基材と前記表面層との間に設けられた中間層と、を有し、
前記表面層が低表面エネルギー材からなることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記被記録材上の前記トナーをヒートローラで熱定着して前記被記録材上に前記トナー画像を形成する画像形成装置は、内部にヒータを有する加熱ローラと、内部にヒータを有する加圧ローラと、を備え、少なくともいずれか一方が弾性部材で構成され、
前記被記録材に掛かる圧力Pが、80≦P≦250kPaであり、
定着時の被記録材の表面温度T(Re)が、60≦T(Re)≦120(℃)であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記トナーのガラス転移点Tg(t)が、30≦Tg≦65であり、
前記トナーの粒度分布を変動係数CV値で表すときに、前記トナーのCV値であるCVtが、CVt≦20%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記表面層を形成する低表面エネルギー材の25℃での表面張力γが、γ≦40dyn/cmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記中間層は、常温において、弾性反発を発現する弾性材からなることを特徴とする請
求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
電子写真法により熱可塑性樹脂からなるトナーを、基材と、前記基材に設けられた低表面エネルギー材からなる表面層と、前記基材と前記表面層との間に設けられた中間層とを有する被記録材に転写及び定着する画像形成方法によって得られたトナー画像から、当該トナー画像のトナーを、前記被記録材を摺擦可能な剥離体により、トナーのガラス転移点Tg(t)以下で除去する被記録材再生装置。
【請求項7】
前記トナー画像が形成された前記被記録材を搬入する一対の搬入ローラと、
搬入された前記被記録材に形成されたトナー画像を摺擦してトナー画像を剥離する剥離体と、
前記被記録材を支持して、前記剥離体にトナー画像を接触させる支持ローラと、
前記トナー画像が剥離された被記録材を装置外に排出する一対の搬出ローラと、
除去されたトナー画像が回収される回収容器と、を備えたことを特徴とする請求項6に記載の被記録材再生装置。
【請求項8】
前記剥離体が、弾性材料からなるブレードであることを特徴とする請求項6又は7に記載の被記録材再生装置。
【請求項9】
前記剥離体が、ブラシからことを特徴とする請求項6又は7に記載の被記録材再生装置。
【請求項10】
前記剥離体が、ローラ及びローラに張架されたベルトであることを特徴とする請求項6又は7に記載の被記録材再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−128046(P2012−128046A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277611(P2010−277611)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】