説明

画像形成方法

【課題】 本発明の目的は、画像にじみ耐性に優れ、高い細線再現性、文字再現性、黒地再現性を有する画像形成方法を提供する。
【解決手段】 レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3種の光を受けて、ライン状の出射光を形成する光混合手段を有する画像露光装置を用い、反射鑑賞型のハロゲン化銀カラー感光材料に8ビットの画像データで、R、G、Bともに100値、0値を出力し、現像処理後の100値の画像濃度と0値の画像濃度の差が、レッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度とも1.50以上であることを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像露光装置を用いて、反射鑑賞型のハロゲン化銀カラー感光材料に露光する画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピューターの演算能力の向上や、ネットワーク技術の進歩に合わせて、画像をデジタルデータとして取り扱う機会が急速に増加している。スキャナなどを用いてデジタルデータ化された画像情報は、コンピューター上で編集加工したり、さらには文字やイラスト等のデータを付加することも比較的容易に行える。このようなデジタル化された画像情報に基づいてハードコピーを作製するハードコピー材料には、例えば、昇華型熱転写プリント、溶融型熱転写プリント、インクジェットプリント、静電転写型プリント、サーモオートクロームプリント、ハロゲン化銀カラー写真感光材料等が挙げられるが、中でもハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)は、高感度であること、階調性に優れていること、画像保存性に優れていること等、他のプリント材料に比べて非常に優れた特性を有しているため、特に高品質なハードコピーの作製用の記録材料として今日盛んに用いられている。
【0003】
デジタル化された画像データをハロゲン化銀カラー写真として再生するためには、画像データに応じて露光量を変化させながら露光を行う必要がある。このデジタル化された画像データには、例えば、人物、風景、静物等の写真撮影データに基づいた画像等(以下、「シーン画像」ともいう)に加え、文字画像、特に細くて小さな黒文字画像や白抜きの文字画像が扱われる比率が増加している。特に、細線で構成される細かな文字画像は、細線の縁が本来の文字色と異なって見える現象(以下、「色にじみ」ともいう)が生じやすい場合があった。この現象は、高照度の光ビームを短時間に露光するデジタル露光において、特に顕著であり、これを改良するためのデジタル露光に適したハロゲン化銀カラー写真感光材料に関する様々な技術が開示されてる(例えば、特許文献1〜5参照。)。
【0004】
しかしながら、ハロゲン化銀カラー写真感光材料のデジタル露光適性が向上するにつれて、上記のようなデジタル露光においては、ブルー(B)、グリーン(G)、レッド(R)の3色の露光位置のズレにより、最終的に得られるプリント画像へ与える影響が大きく、露光装置の露光ユニットの調整ズレによる画質劣化が無視できなくなってきた。特に、露光時のハロゲン化銀カラー写真感光材料に形成する最大発色濃度が高い場合に、その影響が顕著に現れ、文字画像のにじみの発生が大きな問題となってきた。この文字にじみを低減するため、露光量を調整すると最大濃度が低下することとなり、文字にじみの改良と高い最高濃度を両立させることが困難な状況にあった。
【0005】
一方、記録材料であるハロゲン化銀カラー写真感光材料に画像形成を行う方法として、例えば、PLZT(Plomb Lanthanum Zirconate Titanate)素子からなる光シャッタを備えたプリントヘッドを、該光シャッタを1画素ずつON/OFF制御して画像を形成する方法が知られている。
【0006】
当該プリントヘッドによって記録される画像の画質を向上させるために、種々の提案がなされており、例えば、光シャッタによる記録動作の待機時に、光源を点滅させてPLZT素子を照射することにより、残留電荷を消滅させ、光電誘起性複屈折の減少を回避して、画質の向上を図る方法などが知られている(例えば、特許文献6参照。)。
【0007】
上記特許文献6に記載の発明は、安定露光を行うためにPLZTとハロゲンランプを組み合わせたデジタル露光装置であるが、特許文献6にはデジタル露光装置としての安定性についての記載のみであり、特定の最高濃度を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料との組み合わせて、文字にじみを改善する方法に関する記載や示唆は一切見られない。
【特許文献1】特開2000−19696号公報
【特許文献2】特開2000−227638号公報
【特許文献3】特開2000−352795号公報
【特許文献4】特開2001−324783号公報
【特許文献5】特開2004−170949号公報
【特許文献6】特開2000−347150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、画像にじみ耐性に優れ、高い細線再現性、文字再現性、黒地再現性を有する画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0010】
(請求項1)
レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3種の光を受けて、ライン状の出射光を形成する光混合手段を有する画像露光装置を用い、反射鑑賞型のハロゲン化銀カラー感光材料に8ビットの画像データで、R、G、Bともに100値、0値を出力し、現像処理後の100値の画像濃度と0値の画像濃度の差が、レッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度とも1.50以上であることを特徴とする画像形成方法。
【0011】
(請求項2)
レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3種の光を受けて、ライン状の出射光を形成する光混合手段を有する画像露光装置を用い、反射鑑賞型のハロゲン化銀カラー感光材料に8ビットの画像データで、R、G、B信号値共に0値、100値、200値を出力し、現像処理後の0値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに2.30以上で、現像処理後の100値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに0.70以上、0.90以下であって、かつ現像処理後の200値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに0.20以上であることを特徴とする画像形成方法。
【0012】
(請求項3)
前記ハロゲン化銀カラー感光材料の青感光性ハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀粒子の平均粒径が立方体換算で0.55〜0.62μmで、かつ総塗布銀量が、0.60g/m2以上、0.75g/m2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像にじみ耐性に優れ、高い細線再現性、文字再現性、黒地再現性を有する画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0015】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3種の光を受けて、ライン状の出射光を形成する光混合手段を有する画像露光装置を用い、反射鑑賞型のハロゲン化銀カラー感光材料に8ビットの画像データで、1)R、G、Bともに100値、0値を出力し、現像処理後の100値の画像濃度と0値の画像濃度の差が、レッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度とも1.50以上であることを特徴とする画像形成方法、あるいは2)R、G、B信号値共に0値、100値、200値を出力し、現像処理後の0値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに2.30以上で、現像処理後の100値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに0.70以上、0.90以下であって、かつ現像処理後の200値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに0.20以上であることを特徴とする画像形成方法により、画像にじみ耐性に優れ、高い細線再現性、文字再現性、黒地再現性を有する画像形成方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0016】
以下、本発明の画像形成方法の詳細について説明する。
【0017】
本発明の画像形成方法においては、光混合手段を有する画像露光装置を用いて、反射鑑賞型のハロゲン化銀カラー感光材料に露光を施す際に、8ビットの画像データを用いることを特徴の1つとする。
【0018】
本発明でいう8bit画像データのR、G、Bの数値は、それぞれ赤色輝度、緑色輝度、青色輝度を0〜255の256段階で表した数値であって、数字が小さくなるほど色輝度が低い値であることを意味する。例えば、白色は最も色輝度が高く、R=255、G=255、B=255で表示され、これを255値という。逆に、黒色は最も色輝度が低く、R=0、G=0、B=0で表示され、これを0値という。これらの8bit画像データは、例えば、アドビ社のPhotoShopを用いることにより容易に作成することができる。
【0019】
本発明においては、R、G、Bともに100値、0値を出力し、現像処理後の100値の画像濃度と0値の画像濃度の差が、レッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度とも1.50以上であることを特徴とし、好ましくはレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度とも1.55以上である。すなわち、0値(黒)と中間輝度である100値(グレー)の画像データを出力し、現像した際の画像濃度(反射濃度)の差がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度とも1.50であれば、本発明の目的効果である白地に黒の文字を印画した際に、黒と白の画像境界領域を明瞭に分離し、認識することができる。
【0020】
本発明でいう反射濃度とは、自動現像機、例えば、R1−super(コニカミノルタフォトイメージング(株)製)を用いて、指定の8bit画像データをもつ画像を露光、現像処理した後、X−Rite938(反射型分光測色/濃度計:X−Rite社製)を用いて反射濃度を測定し得ることができる。また、指定の画像データの反射濃度を求めるには、自動現像機を1日12時間稼働させ、処理量0.1Rずつ、2R以上になるまでコニカミノルタペーパーtypeA9もしくはセンチュリアフォーデジタル(以上、コニカミノルタフォトイメージング(株)製)を用いてランニング処理した処理液を用いて測定を行って得られた値を本発明では用いる。なお、本発明でいう2Rとは、発色現像液タンク容量分(10.2L)の2倍量の発色現像補充液が補充されることを意味する。
【0021】
また、本発明の画像形成方法では、R、G、B信号値共に0値、100値、200値を出力し、現像処理後の0値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに2.30以上で、現像処理後の100値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに0.70以上、0.90以下であって、かつ現像処理後の200値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに0.20以上であることを特徴とすし、より好ましくは、現像処理後の0値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに2.35以上で、現像処理後の100値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに0.75以上、0.85以下であって、かつ現像処理後の200値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに0.22以上である。すなわち、0値(黒)、中間画像である100値(グレー)、よりしろに近似した200値(淡いグレー)の画像データを出力し、現像して得られる反射濃度が0値(黒)、100値(グレー)及び200値(淡いグレー)が上記で規定する要件を全て満たすことにより、本発明の目的効果である白地に黒の文字を印画した際に、黒と白の画像境界領域を明瞭に分離し、認識することができ、十分な最高濃度を維持すると共に、より明瞭な文字画像を表現することができる。
【0022】
本発明で規定する上記0値(黒)、中間画像である100値(グレー)、よりしろに近似した200値(淡いグレー)の画像データを出力した際の画像濃度を実現するための方法としては、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の設計を最適化すると共に、下記で説明するレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3種の光を受けて、ライン状の出射光を形成する光混合手段を有する画像露光装置を用いることを特徴とする。
【0023】
次いで、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置について説明する。
【0024】
本発明の画像形成方法においては、同じ画素に対応するレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の画像データに対応したレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3種の光を受けて、ライン状の出射光を形成する光混合手段を有する画像露光装置を用いることを特徴とする。
【0025】
通常、画像情報をデジタルデータとして扱う場合、オリジナル画像を細かいマス目状に区切り、各マス目毎に濃度情報をデジタル化して扱う方式が一般的である。このオリジナル画像をマス目状に区切って取り扱った場合の最小単位は画素と呼ばれるが、この画素はそれぞれR、G、Bの3つの濃度情報を有している。本発明においては、同一画素に対応するB、G、Rの濃度情報に応じて露光されるR、G、Bの3色の光線を光混合した後、ライン状の出射光に導き、ハロゲン化銀カラー写真感光材料に露光することを特徴としている。
【0026】
ここでいう光混合とは、R、G、Bの発光素子から出射された光をダイクロイックプリズムで混合し、複数個配置されている露光部のうち、同一の画素に対応してラインヘッドのひとつの露光部から露光することを意味する。
【0027】
更に、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置について、図を用いて詳細に説明する。ただし、本発明では、ここで図示例するものに限定されれるものではない。また、限定的な表現をする場合があるが、これに限られるものではない。
【0028】
まず、図1〜図3を参照して、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置の全体構成について説明する。ここで、図1は、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置の主要部を示す概略斜視図であり、図2は、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置の全体構成を示す概略側面図であり、図3は、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置の主要部の構成を示す概略側面図である。
【0029】
本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置は、図1及び図2に示すように、印画紙10をロール状に巻回させて保持するペーパーマガジン11と、印画紙10を所定の搬送速度で搬送する駆動ローラ12a、12b、12c及び12dと、露光された印画紙10を所定の大きさに切断するカッター13と、を備えている。また、印画紙10は、反射鑑賞型のハロゲン化銀カラー感光材料である。
【0030】
また、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置は、図1及び図3に示すように、第1色(赤)について露光を行うアレイ状の発光素子で構成された第1アレイ光源21と、第2色(青)について露光を行うアレイ状の発光素子で構成された第2アレイ光源22と、第3色(緑)について露光を行うアレイ状の発光素子で構成された第3アレイ光源23とを備えている。
【0031】
第1アレイ光源21から出射される第1光(赤)の波長領域は、620〜680nmの範囲に設定されている。また、第2アレイ光源22から出射される第2光(青)の波長領域は、420〜480nmの範囲に設定されている。そして、第3アレイ光源23から出射される第3光(緑)の波長領域は、520〜580nmの範囲に設定されている。
【0032】
ここで、アレイ光源とは、各画素に相当する部分で独立して発光制御が可能となっている発光素子列のことを意味するものである。本実施の形態では、アレイ光源として、画素毎に独立して発光制御可能な複数の発光素子(LEDなど)からなる発光素子列を採用している。
【0033】
なお、感光材料である印画紙10は、波長の短い光に対して高感度とされている。具体的には、波長の最も短い第2光(青)に対する感度と比較すると、第3光(緑)に対する感度は約10分の1であり、波長の最も長い第1光(赤)に対する感度は約100分の1である。このため、第1アレイ光源21から出射される第1光(赤)の光量を最大に設定しておく。
【0034】
また、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置は、図1及び図3に示すように、記録色毎のアレイ光源からの光束を混合して各記録色の光束を同一経路で出射させるダイクロイックプリズム(光混合手段)30と、このダイクロイックプリズム30で混合された各記録色の光束を感光材料に集束させて露光するセルフォックレンズアレイ(光集束手段)40とを備えている。
【0035】
ダイクロイックプリズム30は、長尺の三角柱状の第1透明部材31、長尺の五角柱状の第2透明部材32、及び、長尺の四角柱状の第3透明部材33を備え、各透明部材の長尺の側面同士が接合されて構成されたものである。
【0036】
各透明部材の材料としては、可視領域の波長の光線に対して優れた透過性を有するホウケイ酸ガラスなどを挙げることができる。本実施の形態では、第1透明部材31、第2透明部材32及び第3透明部材33の材料として「BK7」(商品名:ショットグラス社製)を採用している。
【0037】
本発明においては、各アレイ光源の長さに合わせてダイクロイックプリズム30の長さ(図1のL)を適宜設定する。また、集光効率を高める目的で、ダイクロイックプリズムの高さ(図3のH)も適宜設定する。通常、ダイクロイックプリズム30は、全体として細長い柱状体とされている。
【0038】
第1透明部材31の第1光(赤)の入射面31aには、第1板状ガラス部材38Aが接合されており、第1板状ガラス部材38Aの第1光(赤)の入射面には、第1光(赤)の一部の波長領域(640〜680nm)に対して90%以上の透過率を有する第1入射光選択膜39Aが設けられている。第1入射光選択膜39Aは、本発明における第1入射光波長変更手段である。第1入射光選択膜39Aによって、第1アレイ光源21から出射された第1光(赤)の一部の波長領域(640〜680nm)のみが第1透明部材31に入射することとなる。
【0039】
また、第2透明部材32の第2光(青)の入射面32aには、第2板状ガラス部材38Bが接合されており、第2板状ガラス部材38Bの第2光(青)の入射面には、第2光(青)の一部の波長領域(420〜450nm)に対して90%以上の透過率を有する第2入射光選択膜39Bが設けられている。第2入射光選択膜39Bは、本発明における第2入射光波長変更手段である。第2入射光選択膜39Bによって、第2アレイ光源22から出射された第2光(青)の一部の波長領域(420〜450nm)のみが第2透明部材32に入射することとなる。
【0040】
また、第3透明部材33の第3光(緑)の入射面33aには、第3板状ガラス部材38Cが接合されており、第3板状ガラス部材38Cの第3光(緑)の入射面には、第3光(緑)の一部の波長領域(530〜570nm)に対して90%以上の透過率を有する第3入射光選択膜39Cが設けられている。第3入射光選択膜39Cは、本発明における第3入射光波長変更手段である。第3入射光選択膜39Cによって、第3アレイ光源23から出射された第3光(緑)の一部の波長領域(530〜570nm)のみが第3透明部材33に入射することとなる。
【0041】
なお、第1透明部材31の入射面31a、第2透明部材32の入射面32a及び第3透明部材33の入射面33aは、各々、第1板状ガラス部材38Aとの接合面、第2板状ガラス部材38Bとの接合面及び第3板状ガラス部材38Cとの接合面であるので、非研磨面とされている。また、第1入射光選択膜39A〜第3入射光選択膜39Aは、所定の金属膜の蒸着によって設けられる。
【0042】
また、第1透明部材31の一の側面31bと、第2透明部材32の一の側面32bと、が接合されて、第1接合面34が形成されている。この第1接合面34には、波長に応じて光を選択的に透過または反射させる第1光選択膜35が設けられている。この第1光選択膜35は、第1光(赤)を透過させるとともに、第2光(青)を反射させるように機能する。第1光選択膜35は、所定の金属膜の蒸着によって設けられる。
【0043】
また、第2透明部材32の他の側面32cと第3透明部材33の一の側面33bとが接合されて第2接合面36が形成されている。この第2接合面36には、波長に応じて光を選択的に透過または反射させる第2光選択膜37が設けられている。この第2光選択膜37は、第1光(赤)及び第2光(青)を透過させるとともに、第3光(緑)を反射させるように機能する。第2光選択膜37は、所定の金属膜の蒸着によって設けられる。
【0044】
これら第1光選択膜35及び第2光選択膜37が有する特性(光の透過率)を示す特性図を、図4に示した。図4には、第1光選択膜35におけるP偏光及びS偏光の透過率を示す曲線と、第2選択膜37におけるP偏光及びS偏光の透過率を示す曲線と、の計4種類の曲線が示されている。なお、図4においては、縦軸に透過率を、横軸に波長(nm)を、各々採用している。
【0045】
図4に示されるとおり、第1光選択膜35は、波長620〜680nmの領域(すなわち第1光(赤)の全波長領域)において、P偏光及びS偏光の双方に対して高い透過率を有している。一方、第1光選択膜35は、波長420〜470nmの領域(すなわち第2光(青)の全波長領域)において、P偏光及びS偏光の双方に対して低い透過率を有している。すなわち、第1光選択膜35は、第2光(青)の全波長領域において、P偏光及びS偏光の双方に対して高い反射率を有している。
【0046】
このため、第1アレイ光源21から出射される第1光(赤)の偏光面が揃っておらずP偏光とS偏光とが入り交じっている場合においても、第1光選択膜35において、第1光(赤)を良好に透過させることができる。また、第2アレイ光源22から出射される第2光(青)の偏光面が揃っておらずP偏光とS偏光とが入り交じっている場合においても、第1光選択膜35において、第2光(青)を良好に反射させることができる。
【0047】
また、図4に示されるとおり、第2光選択膜37は、波長635nm以上の領域(すなわち第1光(赤)の一部の波長領域)と、波長460nm以下の領域(すなわち第2光(青)の一部の波長領域)と、において、P偏光及びS偏光の双方に対して高い透過率を有している。一方、第2光選択膜37は、波長520〜590nmの領域(すなわち第3光(緑)の一部の波長領域)において、P偏光及びS偏光の双方に対して低い透過率を有している。すなわち、第2光選択膜37は、第3光(緑)の一部の波長領域において、P偏光及びS偏光の双方に対して高い反射率を有している。
【0048】
本実施の形態においては、図4に示すとおり、第2光選択膜37でP偏光が反射から透過へ切り替わる際の波長(約590nm)と、第2光選択膜37でS偏光が反射から透過へ切り替わる際の波長(約635nm)とに、差異が生じている。これら波長間の差異領域(波長約590〜約635nm)を、以下、「第1差異領域A」と称することとする。ここで、第2光選択膜37でP偏光(S偏光)が反射から透過へ切り替わる際の波長とは、第2光選択膜37の透過率が0%から徐々に上昇して50%に達した時点での波長を意味する。
【0049】
第1差異領域Aは、P偏光とS偏光とが平均化される「中間領域」であり、本来の分光特性を得ることができない領域である。第1差異領域Aは、緑色光と赤色光とが混在する波長領域内に存在しているため、第1光(赤)の波長領域に第1差異領域Aが含まれていると、印画紙10への露光の際に混色を引き起こし、画質が低下してしまう場合がある。従って、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置においては、第1光(赤)の波長領域のうち、第1差異領域Aに含まれる波長領域をカットする波長変更手段を設けている。
【0050】
この波長変更手段とは、すでに述べた第1入射光選択膜39Aである。すなわち、第1光選択膜39Aによって、第1アレイ光源21から出射された第1光(赤)(波長620〜680nm)の一部の波長領域(640〜680nm)のみが透過し、この一部の波長領域(640〜680nm)のみが第1透明部材31に入射することとなる。この波長領域(波長640〜680nm)は、図4に示した第1差異領域A(波長約590〜約635nm)に含まれていない。
【0051】
すなわち、第1光(赤)の波長領域のうち、第1差異領域Aに含まれる波長領域をカットすることができるため、印画紙10への露光の際における混色を防ぎ、画質低下を防止することができる。
【0052】
また、本実施の形態においては、図4に示すとおり、第2光選択膜37でP偏光が透過から反射へ切り替わる際の波長(約520nm)と、第2光選択膜37でS偏光が透過から反射へ切り替わる際の波長(約460nm)とにも、差異が生じている。これら波長間の差異領域(波長約460〜約520nm)を、以下、「第2差異領域B」と称することとする。ここで、第2光選択膜37でP偏光(S偏光)が透過から反射へ切り替わる際の波長とは、第2光選択膜37の透過率が100%から徐々に低下して50%に達した波長を意味する。
【0053】
第2差異領域Bは、P偏光とS偏光とが平均化される「中間領域」であり、本来の分光特性を得ることができない領域である。第2差異領域Bは、青色光と緑色光とが混在する波長領域内に存在しているため、第2光(青)の波長領域に第2差異領域Bが含まれていると、印画紙10への露光の際に混色を引き起こし、画質が低下してしまう場合がある。従って、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置においては、第2光(青)の波長領域のうち、第2差異領域Bに含まれる波長領域をカットする波長変更手段を設けている。
【0054】
この波長変更手段とは、すでに述べた第2入射光選択膜39Bである。すなわち、第2入射光選択膜39Bによって、第2アレイ光源22から出射された第2光(青)(波長420〜480nm)の一部の波長領域(420〜450nm)のみが透過し、この一部の波長領域(420〜450nm)のみが第2透明部材32に入射することとなる。この波長領域(波長420〜450nm)は、図4に示した第2差異領域B(波長約460〜約520nm)に含まれていない。
【0055】
すなわち、第2光(青)の波長領域のうち、第2差異領域Bに含まれる波長領域をカットすることができるため、印画紙10への露光の際における混色を防ぎ、画質低下を防止することができる。
【0056】
ここで、第2アレイ光源22から出射された第2光(青)(波長420〜470nm)が第2入射光選択膜39Bを通過するときに、若干光量が低下するが、前記したように第2光(青)に対する印画紙10の感度は良好であるため、総体的にみれば、光の利用効率の低下を防ぐことができる。
【0057】
また、本実施の形態においては、波長変更手段である第3入射光選択膜39Cによって、第3アレイ光源23から出射された第3光(緑)(波長510〜590nm)の一部の波長領域(530〜570nm)のみが透過し、この一部の波長領域(530〜570nm)のみが第3透明部材33に入射することとなる。この波長領域(波長530〜570nm)は、図4に示した第1差異領域A(波長約590〜約635nm)及び第2差異領域B(波長約460〜約520nm)の何れにも含まれていない。
【0058】
すなわち、第3光(緑)の波長領域のうち、第1差異領域A及び第2差異領域Bに含まれる波長領域をカットすることができるため、印画紙10への露光の際における混色を防ぎ、画質低下を防止することができる。
【0059】
これら第1入射光選択膜39A、第2入射光選択膜39B及び第3入射光選択膜39Cは、空気との界面を有するため、ダイクロイックプリズム30内に光選択膜を設けるときのように接合面による干渉を考慮する必要がない。従って、所望の特性を有する層構成を得るための労力を省くことができる。
【0060】
なお、各透明部材の側面同士を接合する際、及び、各透明部材に板状ガラス部材を接合する際には、接着剤を用いることができる。接着剤の種類としては、アクリル系樹脂(特に、アクリル系紫外線硬化樹脂)などを挙げることができる。
【0061】
また、第1光選択膜35を設けるには、まず、第1透明部材31の一の側面31bまたは第2透明部材32の一の側面32bに所定の金属膜を蒸着によって設ける。次いで、第1透明部材31の一の側面31bと第2透明部材32の一の側面32bとを接着剤によって接合する。
【0062】
また、第2光選択膜37を設けるには、まず、第2透明部材32の他の側面32cまたは第3透明部材33の一の側面33bに所定の金属膜を蒸着によって設ける。次いで、第2透明部材32の他の側面32cまたは第3透明部材33の一の側面33bとを接着剤によって接合する。
【0063】
次に、このようにして構成されたダイクロイックプリズム30を用いた光混合の手順を説明する。
【0064】
まず、第1アレイ光源21から出射される第1光(赤)を第1透明部材31で、第2アレイ光源22から出射される第2光(青)を第2透明部材32で、第3アレイ光源23から出射される第3光(緑)を第3透明部材33で、それぞれ受ける。次いで、第1光選択膜35によって、第1光(赤)を第2透明部材31側に透過させるとともに、第1光選択膜35を透過させた第1光(赤)と同じ方向に第2光(青)を反射させる。続いて、第2光選択膜37によって、第1光(赤)及び第2光(青)を第3透明部材33側に透過させて出射させるとともに、第2光選択膜37を透過させて出射させる第1光(赤)及び第2光(青)と同じ方向に第3光(緑)を反射させて出射させる。以上の手順により、光混合を行うことができる。
【0065】
また、ダイクロイックプリズム30で光混合された出射光は、図1及び図2に示すように、光集束手段であるセルフォックレンズアレイ40により、印画紙10に集束して露光するように構成されている。
【0066】
また、図5は、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置の電気的構成を示す機能ブロック図である。なお、この図5においては、すでに説明した図1ないし図3と同一の構成には同一番号を付してある。
【0067】
図5に示すように、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置は、各部を制御する制御手段としてのCPU50と、外部からの画像データを受けて色別のアレイ光源駆動用の画像信号を生成するヘッドドライバコントロール回路(HDC回路)60と、HDC回路31からの第1の色の画像信号を受けて階調に応じて第1アレイ光源21の発光素子を発光させる発光信号を生成するヘッドドライバ回路(HD回路)71と、HDC回路32からの第2の色の画像信号を受けて階調に応じて第2アレイ光源22の発光素子を発光させる発光信号を生成するヘッドドライバ回路(HD回路)72と、HDC回路33からの第3の色の画像信号を受けて階調に応じて第3アレイ光源23の発光素子を発光させる発光信号を生成するヘッドドライバ回路(HD回路)73と、駆動モータや駆動ローラ12a、12b、12c及び12dなどからなる印画紙搬送機構80とを備えている。
【0068】
ここで、図5に示したように構成された本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置の動作説明を行う。
【0069】
まず、CPU50は印画紙搬送機構80によって印画紙10を所定の速度で送り出す。次いで、外部のカメラや画像処理回路などからのカラーの画像データは、HDC回路60において色別の画像信号に分解される。この場合に、従来では、アレイ光源の配置と印画紙10の搬送速度に応じて色ごとに発光のタイミングをずらしていたが、第1の実施の形態例においてはタイミングをずらす必要はない。
【0070】
すなわち、色別の画像信号を、同じタイミングでHD回路71ないし73に供給すればよい。例えば、HDC回路60はR、B、Gに色分解を行って、R画像信号をHD回路71に、B画像信号をHD回路72に、G画像信号をHD回路73に供給する。
【0071】
次いで、HDC回路60から同じタイミングで色別の画像信号を受けたHD回路71〜73は、画像信号の階調に応じてアレイ光源の発光素子を発光させる発光信号を生成する。このような発光信号をHD回路71〜73より受けた第1アレイ光源21〜第3アレイ光源23は、それぞれ同じタイミングで、色別の画像信号に応じた発光を行う。
【0072】
このような第1アレイ光源21〜第3アレイ光源23における同一タイミングの発光は、複数の入射端からダイクロイックプリズム30内に入射する。そして、ダイクロイックプリズム30の第1光選択膜35及び第2光選択膜37における光の透過及び反射により、複数の色の入射光が混合されて一つの出射端から出射光として出力される。
【0073】
すなわち、従来は、各アレイ光源が複数列であるためのタイミング調整、RBG各色別配置用タイミング調整、及び、各色の露光を行う搬送面内の搬送方向と垂直な方向への移動を抑える機構を必要としていたが、本実施の形態では不要になる。
【0074】
従って、記録色ごとのアレイ光源からの光束は1つにまとめられて1ラインとしての露光がなされるので、光量の損失無くプリズムによる光混合を行うと共に、駆動回路の構成やタイミング制御を容易にし、搬送速度にムラが生じても色ずれを生じることがない画像露光装置を実現することができる。すなわち、レーザビームのように拡散せずに遠距離まで到達する光ビームとは異なって拡散性の強い光束であるにもかかわらず、印画紙10上で各アレイ光源からの光束を一致させることが可能になる。
【0075】
画像データに基づいて露光が完了した印画紙10は、カッター13により所定の大きさに切断されて、図示していない現像装置で現像される。
【0076】
以上説明した実施の形態に係る画像露光装置においては、第1入射光選択膜39A(波長変更手段)により、第1アレイ光源21から出射した第1光(赤)の波長領域から、第1差異領域Aに含まれる波長領域をカットすることができるので、印画紙10への露光の際における混色を防ぎ、画質低下を防止することができる。また、第1入射光選択膜39Aを採用することにより、ダイクロイックプリズム30の内部に複雑な層構成を有する光選択膜を設ける必要がなくなる。この結果、光選択膜を設けるための労力及びコストを低減させることができる。
【0077】
また、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置においては、第2入射光選択膜39B(波長変更手段)により、第2アレイ光源22から出射した第2光(青)の波長領域から、第2差異領域Bに含まれる波長領域をカットすることができるので、印画紙10への露光の際における混色を防ぎ、画質低下を防止することができる。また、第2入射光選択膜39Bを採用することにより、ダイクロイックプリズム30の内部に複雑な層構成を有する光選択膜を設ける必要がなくなる。この結果、光選択膜を設けるための労力及びコストを低減させることができる。
【0078】
また、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置においては、第3入射光選択膜39C(波長変更手段)により、第3アレイ光源23から出射した第3光(緑)の波長領域から、第1差異領域A及び第2差異領域Bに含まれる波長領域をカットすることができるので、印画紙10への露光の際における混色を防ぎ、画質低下を防止することができる。また、第3入射光選択膜39Cを採用することにより、ダイクロイックプリズム30の内部に複雑な層構成を有する光選択膜を設ける必要がなくなる。この結果、光選択膜を設けるための労力及びコストを低減させることができる。
【0079】
また、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置おいては、波長変更手段として、第1透明部材31〜第3透明部材33の表面に露出させて設けられる第1入射光選択膜39A〜第3入射光選択膜39Cを採用しており、これら第1入射光選択膜39A〜第3入射光選択膜39Cは空気との界面を有するため、所望の特性を有する層構成を得るための労力を省くことができる。
【0080】
また、ダイクロイックプリズム30内に設けられた第1光選択膜35及び/又は第2光選択膜37の層構成に起因して第1差異領域A及び/又は第2差異領域Bが変動した場合においても、その差異領域の変動に対応させた第1入射光選択膜39A〜第3入射光選択膜39Cを容易に設けることができ、印画紙10への露光の際における混色を防止して画質低下を防ぐことができる。
【0081】
また、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置おいては、図6に示すように、第2アレイ光源22の出射面22aに第2板状ガラス部材38Bを接合し、第2板状ガラス部材38Bの第2光(青)の出射面に、第2光(青)の一部の波長領域(420〜450nm)に対して90%以上の透過率を有する第2入射光選択膜39Bを設けている。第2入射光選択膜39Bは、本発明における第2入射光波長変更手段である。第2入射光選択膜39Bによって、第2アレイ光源22から出射された第2光(青)の一部の波長領域(420〜450nm)のみが第2透明部材32に入射することとなる。
【0082】
また、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置おいては、図6に示すように、第3アレイ光源23の出射面23aに第3板状ガラス部材38Cを接合し、第3板状ガラス部材38Cの第3光(青)の出射面に、第3光(緑)の一部の波長領域(530〜570nm)に対して90%以上の透過率を有する第3入射光選択膜39Cを設けている。第3入射光選択膜39Cは、本発明における第3入射光波長変更手段である。第3入射光選択膜39Cによって、第3アレイ光源23から出射された第3光(緑)の一部の波長領域(530〜570nm)のみが第3透明部材33に入射することとなる。
【0083】
本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置においては、波長変更手段として、第1アレイ光源21〜第3アレイ光源23の出射面21a〜23aに露出させて設けられる第1入射光選択膜39A〜第3入射光選択膜39Cを採用しており、これら第1入射光選択膜39A〜第3入射光選択膜39Cは空気との界面を有するため、所望の特性を有する層構成を得るための労力を省くことができる。
【0084】
また、ダイクロイックプリズム30内に設けられた第1光選択膜35及び/又は第2光選択膜37の層構成に起因して第1差異領域A及び/又は第2差異領域Bが変動した場合においても、その差異領域の変動に対応させた第1入射光選択膜39A〜第3入射光選択膜39Cを容易に設けることができ、印画紙10への露光の際における混色を防止して画質低下を防ぐことができる。
【0085】
次に、図7に示す光混合手段を有する画像露光装置は、上記説明した光混合手段を有する画像露光装置において採用した第1〜第3入射光波長変更手段に代えて出射光波長変更手段を採用したものであり、その他の構成や動作については上記説明した光混合手段を有する画像露光装置と実質的に同一である。このため、重複する構成や動作については説明を省略する。
【0086】
第1アレイ光源21から出射される第1光(赤)の波長領域を640〜680nmの範囲に設定するとともに、第3アレイ光源23から出射される第3光(緑)の波長領域を530〜570nmの範囲に設定している。また、第2アレイ光源22から出射される第2光(青)の波長領域を、第1及び第2の実施の形態と同様に420〜480nmの範囲に設定している。
【0087】
図7に示すように、ダイクロイックプリズム30の出射面30dに板状ガラス部材38Dを接合し、板状ガラス部材38Dの出射面に、第2光(青)の一部の波長領域(420〜450nm)に対して90%以上の透過率を有する出射光選択膜39Dを設けている。出射光選択膜39Dは、本発明における出射光波長変更手段である。出射光選択膜39Dによって、第2アレイ光源22から出射されダイクロイックプリズム30を通過した第2光(青)の一部の波長領域(420〜450nm)のみが出射することとなる。
【0088】
波長変更手段として、ダイクロイックプリズム30の出射面30dに露出させて設けられる出射光選択膜39Dを採用しており、この出射光選択膜39Dは空気との界面を有するため、所望の特性を有する層構成を得るための労力を省くことができる。
【0089】
また、ダイクロイックプリズム30内に設けられた第1光選択膜35及び/又は第2光選択膜37の層構成に起因して第1差異領域A及び/又は第2差異領域Bが変動した場合においても、その差異領域の変動に対応させた出射光選択膜39Dを容易に設けることができ、印画紙10への露光の際における混色を防止して画質低下を防ぐことができる。
【0090】
次に、図8を用いて、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置の他の一例を示す。図8に示すように、セルフォックレンズアレイ40の出射面40aに板状ガラス部材38Eを接合し、板状ガラス部材38Eの出射面に、第2光(青)の一部の波長領域(420〜450nm)に対して90%以上の透過率を有する出射光選択膜39Eを設けている。出射光選択膜39Eは、本発明における出射光波長変更手段である。出射光選択膜39Eによって、第2アレイ光源22から出射されダイクロイックプリズム30を通過した第2光(青)の一部の波長領域(420〜450nm)のみが出射することとなる。
【0091】
本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置においては、波長変更手段として、セルフォックレンズアレイ40の出射面40aに露出させて設けられる出射光選択膜39Eを採用しており、この出射光選択膜39Eは空気との界面を有するため、所望の特性を有する層構成を得るための労力を省くことができる。
【0092】
また、ダイクロイックプリズム30内に設けられた第1光選択膜35及び/又は第2光選択膜37の層構成に起因して第1差異領域A及び/又は第2差異領域Bが変動した場合においても、その差異領域の変動に対応させた出射光選択膜39Eを容易に設けることができ、印画紙10への露光の際における混色を防止して画質低下を防ぐことができる。
このような吸収フィルタを第1〜第3入射光波長変更手段として採用した場合には、複数の板状ガラス部材を設ける必要がなくなり、しかも、かかる吸収フィルタはきわめて安価であるので、所望の波長制御を達成するためのコストを格段に削減することができる。また、板状ガラス部材の表面に蒸着する手間・費用を省くことができる。
【0093】
上記説明した本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置に対し、図9は、従来の画像露光装置を用いて露光を行う様子を示す説明図である。この画像露光装置は、印画紙100に対して露光を行うために、印画紙100とほぼ同じ幅を有する3つのアレイ光源210、220、230を備えている。
【0094】
これら3つのアレイ光源210、220、230は、各々R、G、Bの各記録色に応じて発光するものである。印画紙100が図中の矢印方向に搬送されているときには、アレイ光源210、220、230の各々を、印画紙100の搬送速度に応じてタイミングをずらして駆動することによって、印画紙100の同一位置にR、G、Bの露光を施していた。
【0095】
前記したようにアレイ光源210、220、230の各々を、印画紙100の搬送速度に応じてタイミングをずらして駆動を行う場合には、各アレイ光源に供給する駆動信号のタイミングを搬送速度に応じてずらす必要がある。このため、駆動回路の構成やタイミング制御が複雑となるという問題があった。また、ある記録色の露光を行った後に、同一画素についての他の色の露光を行うまでの間に搬送速度にムラが生じると、色ずれが生じることになる。
【0096】
本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置において、露光に用いる光源の種類としては特に制限はなく、例えば、発光ダイオード(LED)、ガスレーザー、半導体レーザー(LD)、LDあるいはLDを励起光源として用いた固体レーザーと第2高調波変化素子(いわゆるSHG素子)との組み合わせ、ハロゲンランプとフィルタの組合せ等、公知の光源を用いることができるが、その中でも光源としてLEDを用いた場合、光混合手段が容易なため特に好ましい。
【0097】
ライン状の画像露光装置においては300dpi以上の記録密度であることが好ましく、細かな文字の再現をより良好にするためには350dpiの記録密度であることが好ましい。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
【0098】
また、本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置は、現像処理装置と一体型になっていることが、出力プリントを得る時間短くなるため好ましく、その場合、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の露光が完了してから、発色現像液に入るまでの時間は5秒から60秒の範囲であることが好ましい。
【0099】
次いで、本発明の画像形成方法に適用するハロゲン化銀カラー写真感光材料とその現像方法について説明する。
【0100】
はじめに、本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料の各構成要素について説明する。
【0101】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は、塩化銀含有率が90モル%以上であることが好ましく、塩化銀含有率が93モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることが更に好ましい。臭化銀含有率は、0.1〜10モル%であることが好ましく、0.5〜8モル%であることがより好ましく、2〜8モル%であることが更に好ましい。沃化銀含有率は、0.05〜2モル%であることが好ましく、0.05〜1モル%であることが更に好ましい。
【0102】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては、臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤も好ましく用いられ、この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀乳剤粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよいが、ハロゲン化銀粒子が最外シェルの少なくとも一部に臭化銀局在相を有することが好ましく、頂点近傍に臭化銀局在相を有することが更に好ましい。
【0103】
本発明でいう臭化銀局在相とは、本発明に係るハロゲン化銀粒子の平均臭化銀含有率の2倍以上の臭化銀含有率の臭化銀を含むハロゲン化銀相であり、ハロゲン化銀粒子の平均臭化銀含有率の3倍以上の臭化銀含有率の臭化銀を含むことが好ましく、5倍以上の臭化銀含有率臭化銀を含むことが好ましい。
【0104】
該臭化銀局在相中には後記の8族金属化合物を含有することが好ましい。この場合用いられる8族金属化合物はイリジウム錯体であることが好ましい。
【0105】
本発明においては、粒子内部に少なくとも1つの沃化銀局在相を有するハロゲン化銀粒子も好ましく用いることができる。本発明において、粒子内部とは、ハロゲン化銀粒子において粒子表面をのぞいたハロゲン化銀相をいう。本発明において沃化銀局在相とは、本発明に係るハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率の2倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むハロゲン化銀相であり、ハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率の3倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むことが好ましく、5倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むことが好ましい。本発明において上記沃化銀局在相の位置は粒子中心からハロゲン化銀体積で60%以上外側に存在することが好ましく、70%以上外側であることが更に好ましく、80%以上外側であることが最も好ましい。
【0106】
上記沃化銀局在相における好ましい形態の一つは、ハロゲン化銀粒子内部において該沃化銀局在相が層状に存在する(以下沃化銀局在層ともいう)ことであり、該沃化銀局在層を2層以上導入することも好ましく、その場合は、主層を上記の条件で導入し最大ヨウ化物濃度未満である層(以下副層)の少なくとも一つを主層よりも更に粒子表面近くに導入することが好ましい。主層および副層のI濃度は目的に応じて任意に選択することができる。潜像安定性の観点からは、主層は可能な限り高濃度が好ましく、副層は主層よりも低濃度であることが好ましい。本発明において、沃化銀局在相の他の好ましい形態はハロゲン化銀粒子の頂点近傍や稜線近傍に該沃化銀局在相が存在することであり、上記沃化銀局在層と併用することも好ましい。
【0107】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤が、臭化銀または沃化銀を含有する場合においては、ハロゲン化銀粒子の臭化銀含有率または沃化銀含有率の粒子間変動係数がそれぞれ30%未満であることが好ましく、20%未満であることがより好ましい。なお臭化銀含有率の粒子間変動係数の下限は0.01%である。
【0108】
ハロゲン化銀粒子の上記臭化銀含有率及び沃化銀含有率は、EPMA法(Electron Probe Micro Analyzer法)により求めることができる。具体的には、ハロゲン化銀粒子を互いに接触しないようによく分散させた試料を作製し、液体窒素で−100℃以下に冷却しながら電子ビームを照射し、個々のハロゲン化銀粒子から放射される銀、臭素、及び沃素の特性X線強度を求めることにより、該個々のハロゲン化銀粒子の臭化銀含有率及び沃化銀含有率が決定できる。
【0109】
上記方法により、個々のハロゲン化銀粒子について求めたハロゲン化銀粒子の臭化銀含有率及び沃化銀含有率を300個以上のハロゲン化銀粒子について求め、平均したものをそれぞれ平均臭化銀含有率及び沃化銀含有率とし、本発明に係るハロゲン化銀粒子の臭化銀含有率及び沃化銀含有率の粒子間変動係数は、下記計算式により求めるものとする。
【0110】
臭化銀含有率の粒子間変動係数=(ハロゲン化銀粒子の臭化銀含有率の標準偏差)/(平均臭化銀含有率)×100(%)
沃化銀含有率の粒子間変動係数=(ハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率の標準偏差)/(平均沃化銀含有率)×100(%)
本発明においては、粒子内部に転位線を有するハロゲン化銀粒子を用いることも好ましい。
【0111】
本発明において、ハロゲン化銀粒子に臭化銀あるいは沃化銀を含有させるには、種々の臭化物あるいは沃化物を使用することができる。例えば、臭化カリウム水溶液や沃化カリウムのような臭化物塩や沃化物塩の水溶液を用いる方法、特開平2−68538号等に開示されている臭化銀や沃化銀を含むハロゲン化銀微粒子あるいはハロゲン化物イオン放出剤を用いる方法等を任意に用いることができる。本発明におけるハロゲン化銀粒子中の沃化銀含有率や臭化銀含有率及び沃化銀局在相や臭化銀局在層あるいは転位線の導入等は、これら添加物の濃度及び量等で任意に調整することができる。
【0112】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤を得るには、重金属イオンを含有させるのが有利である。このような目的に用いることのできる重金属イオンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。
【0113】
本発明においては、ハロゲン化銀粒子が8族金属錯体を1種類以上含有することが好ましく、水配位子または有機配位子を1つ以上有する8族金属錯体錯体の1種類以上を含有することが更に好ましい。
【0114】
本発明において用いられる8族金属錯体は、鉄、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト、白金の金属錯体であることが好ましい。該金属錯体は、6配位錯体、5配位錯体、4配位錯体、2配位錯体等を用いることができるが、6配位錯体、4配位錯体が好ましい。上記水配位子及び/または有機配位子を1つ以上有する8族金属錯体はイリジウムの金属錯体であることがより好ましい。
【0115】
本発明において、8族金属錯体を構成する配位子は、カルボニル配位子、フルミネート配位子、チオシアネート配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、あるいはアンモニア、水酸化物、亜硝酸、亜硫酸、過酸化物の配位子及び有機配位子等、任意のものを用いることができるが、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子及び有機配位子から選ばれる1つ以上の配位子を含有することが好ましい。
【0116】
本発明において、有機配位子とは、1つ以上のH−C、C−CあるいはC−N−H結合を含み、金属イオンに配位可能な化合物をいう。本発明に用いられる有機配位子は、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピラン、ピリダジン、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピラゾール、フラン、フラザン、オキサゾール、イソオキサゾール、チオフェン、フェナントロリン、ビピリジン、エチレンジアミンから選ばれる化合物、イオン、あるいはこれらの化合物に置換基を導入した化合物であることが好ましい。
【0117】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては、下記一般式(A)で表される8族金属錯体も好ましく用いることができる。
【0118】
一般式(A)
n[MXm6-m
式中、Mは周期表8族元素から選択される金属を表し、鉄、コバルト、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、白金であり、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウムであることがより好ましい。Rはアルカリ金属を表し好ましくはセシウム、ナトリウムまたはカリウムである。mは0〜6、nは0〜4の整数を表す。X及びYは配位子を表し、カルボニル配位子、フルミネート配位子、チオシアネート配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、ハロゲン配位子、あるいはアンモニア、水酸化物、亜硝酸、亜硫酸、過酸化物の配位子を表す。
【0119】
これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。金属イオンが錯体を形成する場合、カウンターカチオンはカリウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン等、任意のものを用いることができる。また、金属錯体が陽イオンである場合に、対陰イオンとして、硝酸イオン、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン等、当業界で公知のものを用いることができる。
【0120】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。前述の条件を満たすハロゲン化銀乳剤を得るには、重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加することができる。
【0121】
前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10-9モル〜1×10-2モルが好ましく、1×10-8モル〜5×10-5モルがより好ましい。
【0122】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることができるが、好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許4,183,756号、同4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21巻,39頁(1973年)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、二十四面体、十二面体等の形状を有する粒子を造り、これを用いることもできる。更に、正常晶以外の双晶面を有する粒子や平板状粒子を用いてもよい。
【0123】
本発明に係るハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加することもできる。
【0124】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は、特に制限はないが、迅速処理性及び、感度など、他の写真性能などを考慮すると好ましくは0.1〜5.0μm、更に好ましくは0.2〜3.0μmの範囲である。特に立方体粒子を用いる場合は、好ましくは、0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.15〜1.0μmの範囲である。その中でも、特に、青感光性ハロゲン化銀乳剤層で用いるハロゲン化銀粒子の平均粒径は、立方体換算で0.55〜0.62μmの範囲であり、加えて総塗布銀量を、0.60g/m2以上、0.75g/m2以下であることが、本発明の目的効果をより奏する観点から好ましい。
【0125】
本発明のハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下の単分散ハロゲン化銀粒子である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0126】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、また、立方体や球状以外の形状の粒子の場合は、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
【0127】
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0128】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該粒子は一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0129】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0130】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許2921164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0131】
更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0132】
本発明に係るハロゲン化銀写真乳剤は、粒子形成後に脱塩を行うことが好ましい。脱塩は、例えば、RD17643号II項の方法により行うことができる。更に詳しくは、沈殿生成物あるいは物理熟成後の乳剤から不要な可溶性塩類を除去する為には、ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いてもよく、また無機塩類、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸等)を用いることができるが、ゼラチン誘導体及び化学修飾ゼラチン(例えば、アシル化ゼラチン、カルバモイル化ゼラチン等)を利用した沈殿法または、膜分離を利用した限外濾過脱塩であることが好ましい。
【0133】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造において用いられる分散媒は、ハロゲン化銀粒子に対する保護コロイド性を有する化合物を任意に用いることができる。本発明で好ましく用いることができる分散媒には、ゼラチンや親水性コロイド等があり、ゼラチンとしては、通常分子量10万程度のアルカリ処理ゼラチンや酸処理ゼラチン、或いは酸化処理したゼラチンや酵素処理ゼラチン等を好ましく用いることができる。ハロゲン化銀粒子の核生成時のゼラチンの平均分子量は1万〜7万であることがが好ましく、1万〜5万であることが更に好ましい。また、核生成時にメチオニン含有量が少ないゼラチンを用いることも好ましく、分散媒単位質量(グラム)当たりのメチオニン含有量としては50μモル以下が好ましく、20μモル以下がより好ましい。親水性コロイドとしては、例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質等を用いることができる。
【0134】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることができる。
【0135】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、イオウ増感剤及び/またはセレン増感剤が好ましい。
【0136】
イオウ増感剤としては、1,3−ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、1−エチル−3−(2−チアゾリル)チオ尿素などのチオ尿素誘導体、ローダニン誘導体、ジチカルバミン酸類、ポリスルフィド有機化合物、チオ硫酸塩、硫黄単体などが好ましい。尚、硫黄単体としては、斜方晶系に属するα−硫黄が好ましい。その他、米国特許第1,574,944号、同第2,410,689号、同第2,278,947号、同第2,728,668号、同第3,501,313号、同第3,656,955号等の各明細書、西独出願公開(OLS)1,422,869号、特開昭56−24937号、同55−45016号等に記載されている硫黄増感剤を用いることができる。
【0137】
セレン増感剤としては、特に水溶液中で硝酸銀と反応して銀セレニドの沈殿を形成しうる不安定セレン化合物が好ましく用いられる。例えば、米国特許第1,574,944号、同第1,602,592号、同第1,623,499号、特開昭60−150046号、特開平4−25832号、同4−109240号、同4−147250号等に記載されている。有用なセレン増感剤としては、コロイドセレン金属、イソセレノシアネート類(例えば、アリルイソセレノシアネート等)、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、N,N,N′−トリエチルセレノ尿素、N,N,N′−トリメチル−N′−ヘプタフルオロセレノ尿素、N,N,N′−トリメチル−N′−ヘプタフルオロプロピルカルボニルセレノ尿素、N,N,N′−トリメチル−N′−4−ニトロフェニルカルボニルセレノ尿素等)、セレノケトン類(例えば、セレノアセトン、セレノアセトフェノン等)、セレノアミド(例えば、セレノアセトアミド、N,N−ジメチルセレノベンズアミド等)、セレノカルボン酸類及びセレノエステル類(例えば、2−セレノプロピオン酸、メチル−3−セレノブチレート等)、セレノフォスフェート類(例えば、トリ−p−トリセレノフォスフェート等)、セレニド類(例えば、ジメチルセレニド、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニル−ジフェニルフォスフィンセレニド、トリフリルフォスフィンセレニド、トリピリジルフォスフィンセレニド等)が挙げられる。特に好ましいセレン増感剤はセレノ尿素、セレノアミド類、セレニド類である。
【0138】
本発明において、更にRD誌307巻307105号などに記載されている金、白金、パラジウム、イリジウムなどの貴金属塩を用いることが好ましく、中でも特に金増感剤を併用することが好ましい。有用な金増感剤としては、塩化金酸、チオ硫酸金、チオシアン酸金等の他に、米国特許第2,597,856号、同第5,049,485号、特公昭44−15748号、特開平1−147537号、同4−70650号等に開示されている有機金化合物、あるいは硫化金、硫化金銀などが挙げられる。また金錯塩を用いた増感法を行う場合には、補助剤として、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、チオエーテルなどの金のリガンドを併用することが好ましく、特に、チオシアン酸塩を用いるのが好ましい。
【0139】
本発明に係る上記各種の化学増感剤や後記抑制剤、酸化剤等においては、特開2001−318443号、特開2003−29472号、特開2004−37554号、同2004−4144号、同2004−4446号、同2004−4452号、同2004−4456号、同2004−4458号、同2004−4656号、同2004−4672号、同2003−307803号、同2003−287841号、同2003−287842号、同2003−233146号、同2003−172990号、同2003−172991号、同2003−113193号、同2003−113194号、同2003−114489号、同2002−372765号、同2002−296721号、同2002−278011号、同2002−268169号、同2002−244241号、同2002−250982号、同2002−258427号、同2002−268168号、同2002−268170号、同2000−193942号、同2001−75214号、同2001−75215号、同2001−75216号、同2001−75217号、同2001−75218号、同2001−100352号、同2004−70363号、同2004−67695号、同2002−131858号、同2001−166412号等の各公報、欧州特許第1,094,360号明細書、同第1,388,752号明細書、米国特許第6,686,143号明細書、同第6,322,961号明細書等に記載の化合物及びその使用技術も好ましく用いることができる。
【0140】
上記カルコゲン増感剤及び金増感剤の添加量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件によって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10-9〜1×10-5モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10-8モル〜1×10-4モルである。前記の各種増感剤の添加方法は、用いる増感剤の性質に応じて、水またはメタノール等の有機溶媒の単独または混合溶媒に溶解して添加する方法でも、あるいはゼラチン溶液と予め混合して添加する方法でも、特開平4−140739号に開示されている方法、すなわち有機溶媒可溶性の重合体との混合溶液の乳化分散物の形態で添加する方法でもよい。
【0141】
本発明においては、還元増感法を用いてもよく、リサーチ・ディスクロージャー誌307巻307105号や特開平7−78685号などに記載されている還元性化合物を用いることもできる。
【0142】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀写真感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、酸化剤、抑制剤、安定剤等を用いることができる。こうした目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、更に好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物、特開平8−6201記載の一般式(S)化合物、チオスルフォン酸化合物、ジスルフィド化合物、ポリスルフィド化合物等が好ましく、特開2004−145202号、同2004−226434号、同2004−240182号等に記載の化合物を好ましく用いることができる。
【0143】
これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の好ましい添加量は、ハロゲン化銀1モル当り1×10-8〜1×10-1モル/モルAg×、更に好ましくは1×10-7〜1×10-2モルである。これら化合物の添加には、当業界で写真乳剤あるいは塗布液、調製液等に添加剤を加える場合に通常用いられる方法を適用できる。例えば、水溶性の化合物である場合は、適当な濃度の水溶液とし、水に不溶または難溶性の化合物の場合は、水と混合しうる任意の有機溶媒、例えば、アルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等の写真特性に悪影響を与えない溶媒に溶解し、溶液として添加することができる。
【0144】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−252840号公報30頁に記載のAI−1〜11の染料および特開平6−37706号公報記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号公報2頁左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。好ましい化合物の具体例として、同公報3頁左下欄〜5頁左下欄に挙げられた例示化合物(1)〜(45)を挙げることができる。
【0145】
これらの染料を添加する量として、鮮鋭性を改良する目的には感光材料の未処理試料の680nmにおける分光反射濃度が0.7〜3.0にする量が好ましく更には0.8〜3.0にすることがより好ましい。
【0146】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料中に、蛍光増白剤を添加することが白地性を改良でき好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号公報記載の一般式(II)で示される化合物が挙げられる。
【0147】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0148】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号公報28頁に記載のBS−1〜BS−8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28頁に記載のGS−1〜GS−5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29頁に記載のRS−1〜RS−8が好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号公報6〜8頁に記載のIRS−1〜IRS−11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号公報8〜9頁に記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−66515号公報15〜17頁に記載の化合物S−1〜S−17を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0149】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から塗布液調製までの任意の時期でよい。
【0150】
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
【0151】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得る如何なる化合物をも用いることができるが、特に代表的なカプラーとしては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが挙げられる。
【0152】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料に好ましく用いることのできるシアン色素形成カプラーとしては、特開平4−114154号公報5頁左下欄に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報5頁右下欄〜6頁左下欄にCC−1〜CC−9として記載されているものを挙げることができる。
【0153】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料に好ましく用いることのできるマゼンタ色素形成カプラーとしては、特開平4−114154号公報4頁右上欄に記載の一般式(M−I)、(M−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報4頁左下欄〜5頁右上欄にMC−1〜MC−11として記載されているものを挙げることができる。上記マゼンタ色素形成カプラーの内より好ましいのは、同号公報4頁右上欄に記載の一般式(M−I)で表されるカプラーであり、その内、上記一般式(M−I)のRMが3級アルキル基であるカプラーが耐光性に優れ特に好ましい。同公報5頁上欄に記載されている MC−8〜MC−11は青から紫、赤に到る色の再現に優れ、更にディテールの描写力にも優れており好ましい。
【0154】
上記一般式(M−I)で表される好ましいカプラーの例としては、特開昭63−253943号公報の5頁〜9頁に記載の例示化合物1〜64、特開平2−100048号公報の5頁〜6頁に記載の例示化合物M−1〜M−29、特開平7−175186号公報の5頁〜12頁に記載の例示化合物(1)〜(36)、特開平7−219170号公報の14頁〜22頁に記載の例示化合物M−1〜M−33、特開平8−304972号公報の5頁〜9頁に記載の例示化合物M−1〜M−16、特開平10−207024号公報の5頁〜10頁に記載の例示化合物M−1〜M−26、特開平10−207025号公報の5頁〜22頁に記載の例示化合物M−1〜M−36、米国特許第5,576,150号明細書の3頁〜6頁に記載の例示化合物M−1〜M−24、米国特許第5,609,996号明細書の3頁〜9頁に記載の例示化合物M−1〜M−48、米国特許第5,667,952号明細書の3頁〜5頁に記載の例示化合物M−1〜M−23、米国特許第5,698,386号明細書の3頁〜6頁に記載の例示化合物M−1〜M−26等を挙げることができる。
【0155】
好ましく用いることのできるイエロー色素形成カプラーとしては、特開平4−114154号公報3頁右上欄に記載の一般式(Y−I)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報3頁左下欄以降にYC−1〜YC−9として記載されているものを挙げることができる。中でも一般式[Y−1]のRY1がアルコキシ基であるカプラー、または特開平6−67388号公報記載の一般式[I]で示されるカプラーは好ましい色調の黄色を再現でき好ましい。このうち特に好ましい化合物例として特開平4−114154号公報明細書4頁左上欄に記載されているYC−8、YC−9及び特開平6−67388号公報13頁〜14頁に記載のNo(1)〜(47)で示される化合物を挙げることができる。更に最も好ましい化合物は特開平4−81847号公報明細書1頁及び11〜17頁に記載の一般式[Y−1]で示される化合物である。
【0156】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または分散と同時に、低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。
【0157】
カプラーを溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、ジオクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等の燐酸エステル類、が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また2種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0158】
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性且つ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
【0159】
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号公報記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基にフッ素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は、通常、ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加される迄の時間、および塗布液に添加後塗布迄の時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0160】
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報明細書3頁記載の一般式[I]及び[II]で示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−1741503号公報記載の一般式[IIIB]で示されるフェノール系化合物、特開平64−90445号公報記載の一般式[A]で示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式[XII]、[XIII]、[XIV]、[XV]で示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また、特開平1−196049号公報記載の一般式[I]で示される化合物及び特開平5−11417号公報記載の一般式[II]で示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0161】
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号公報9頁左下欄に記載の化合物(d−11)、同10頁左下欄に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも米国特許第4,774,187号明細書に記載の蛍光色素放出化合物を用いることもできる。
【0162】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、更に好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号公報記載の一般式[II]で示される化合物であり、同号13〜14頁に記載の化合物II−1〜II−14及び17頁記載の化合物−1が挙げられる。
【0163】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり、色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物として特開平1−250944号公報記載の一般式[III−3]で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式[III]で示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式[I]で示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0164】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体の如き合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。ゼラチン中のカルシウム含有量は100ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、30ppm以下が更に好ましい。また、ゼラチン中の亜鉛、銅、マンガン、鉄等の重金属の含有量は10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、3ppm以下が更に好ましい。
【0165】
これらバインダーの硬膜剤としては、ビニルスルホン型硬膜剤、クロロトリアジン型硬膜剤、カルボキシル基活性型硬膜剤を単独又は併用して使用することが好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号記載の化合物を使用することが好ましい。又、写真性能や画像保存性に悪影響する黴や細菌の繁殖を防ぐため、コロイド層中に特開平3−157646号記載のような防腐剤及び抗黴剤を添加することが好ましい。又、感光材料又は処理後の試料の表面の物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号や特開平2−73250号記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
【0166】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、構成層中の総塗設ゼラチン量は3g/m2以上、6g/m2以下であることが好ましく、3g/m2以上、5g/m2以下であることが更に好ましい。また、超迅速処理した場合でも、現像進行性、及び定着漂白性、残色を満足するために、構成層全体の膜厚が3μm〜7.5μmであることが好ましく、更に3μm〜6.5μmであることが好ましい。乾燥膜厚の評価方法は、乾燥膜剥離前後の膜厚の変化、あるいは断面の光学顕微鏡や電子顕微鏡での観察により測定することができる。本発明において、現像進行性と乾燥速度を上げることを両立するために、膨潤膜厚が8μm〜19μmであることが好ましく、更に9μm〜18μmであることが好ましい。膨潤膜厚の測定としては、35℃の水溶液中に乾燥した感光材料を浸し、膨潤して十分平衡に達した状態で打点方法にて測定することができる。本発明における塗布銀量は、0.3g/m2〜0.6g/m2である。
【0167】
また、写真性能や画像保存性に悪影響する黴や細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に特開平3−157646号公報記載のような防腐剤及び抗黴剤を添加することが好ましい。また感光材料または処理後の試料の表面の物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号公報や特開平2−73250号公報に記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。また感光材料の皮膜pHは4.0〜7.0が好ましく、4.0〜6.5がより好ましい。
【0168】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、イエロー画像形成層、マゼンタ画像形成層、シアン画像形成層をそれぞれ少なくとも1層有していればよいが、必要に応じて複数の色画像形成層でユニットを形成してもよい。
【0169】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。中でも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する反射支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0170】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0171】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、更には15質量%が好ましい。
【0172】
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号公報に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0173】
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、更には0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。また反射支持体の白色顔料含有耐水性樹脂中や塗布された親水性コロイド層中に処理後の白地部の分光反射濃度バランスを調整し白色性を改良するため群青、油溶性染料等の微量の青味付剤や赤味付剤を添加することが好ましい。
【0174】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0175】
ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。塗布装置としては、スライドコーター、カーテンコーターあるいは押し出しコーター等を用いることができる。
【0176】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料を用いて、写真画像を形成するには、ネガ上に記録された画像を、プリントしようとするハロゲン化銀写真感光材料上に光学的に結像させて焼き付けてもよいし、画像を一旦デジタル情報に変換した後その画像をCRT(陰極線管)上に結像させ、この像をプリントしようとするハロゲン化銀写真感光材料上に結像させて焼き付けてもよいし、デジタル情報に基づいてレーザー光の強度を変化させて走査することによって焼き付けてもよい。
【0177】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、現像主薬を内蔵していないハロゲン化銀カラー写真感光材料に適用することが好ましく、特に、直接鑑賞用の画像を形成するハロゲン化銀カラー写真感光材料であることが好ましい。例えば、カラーペーパー、カラー反転ペーパー、ポジ画像を形成する感光材料、ディスプレイ用感光材料、カラープルーフ用感光材料を挙げることができ、その中でも、特に、反射支持体を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料に適用することが好ましい。
【0178】
上記説明した本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法は、露光を施したハロゲン化銀カラー写真感光材料を、発色処理工程(発色現像液)に続いて、漂白工程(漂白液)、定着工程(定着液)あるいは漂白定着工程(漂白定着液)、安定化工程(安定化液)を経て、乾燥する。また、それぞれ補充用発色現像液、補充用漂白液、補充用定着液、あるいは補充用漂白定着液、補充用安定化液等を補充しながら連続的に現像処理することができる。以下に本発明で用いられる発色現像液、漂白液、漂白定着液、定着液、安定液、リンス液について説明する。
【0179】
本発明に係る発色現像液に用いられる発色現像主薬として好ましい例は、公知の芳香族第1級アミン発色現像主薬、特にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
【0180】
1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
2)4−アミノ−3−メチル−N,N−ジエチルアニリン
3)4−アミノ−N−(β−ヒドロキシエチル)−N−メチルアニリン
4)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
5)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)アニリン
7)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)アニリン
8)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
9)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
10)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メトキシエチル)アニリン
11)4−アミノ−3−メチル−N−(β−エトキシエチル)−N−エチルアニリン
12)4−アミノ−3−メチル−N−(3−カルバモイルプロピル)−N−n−プロピル−アニリン
13)4−アミノ−N−(4−カルバモイルブチル)−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
14)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシピロリジン
15)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−(ヒドロキンメチル)ピロリジン
16)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ピロリジンカルボキサミド
上記p−フェニレンジアミン誘導体のうち、特に好ましくは例示化合物5)、6)、7)、8)及び12)であり、その中でも例示化合物5)と8)が好ましい。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩の形、或いは遊離塩基型(フリー体ともいう)である。上記芳香族第1級アミン現像主薬の使用液中の濃度は、現像液1L当たり2mmol〜200mmolが好ましく、より好ましくは6mmol〜100mmolであり、特に10mmol〜40mmolが好ましい。
【0181】
本発明に用いられる発色現像液においては、発色現像主薬の酸化による消失を減じるため、保恒剤を含有することが好ましい。代表的な保恒剤としては、ヒドロキシルアミン誘導体が挙げられる。本発明で用いることのできるヒドロキシルアミン誘導体としては、硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン塩の他、例えば、特開平1−97953号、同1−186939号、同1−186940号、同1−187557号公報などに記載されているヒドロキシルアミン誘導体を用いることができるが、特に、下記一般式〔A〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体が好ましい。
【0182】
【化1】

【0183】
上記一般式〔A〕において、Lは置換してもよいアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアミノ基、アルキル置換してもよいアンモニオ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基、アルキル置換してもよいスルファモイル基、アルキルスルホニル基、水素原子、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′を表し、R、R′は各々水素原子、置換してもよいアルキル基を表す。Bは置換してもよいアルキレン基を表し、nは1〜4の整数を表す。
【0184】
上記一般式〔A〕において、Lは炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖の置換してもよいアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン等の基が好ましい例として挙げられる。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアンモニオ基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基が好ましい例として挙げられる。Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基、または、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基またはスルファモイル基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基が好ましい例として挙げられる。−L−Aの例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基を好ましい例として挙げることができ、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。Rは水素原子、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖の置換してもよいアルキル基が好ましく、特に、炭素数1〜5が好ましい。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、または、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシル基、−O−(B−O)n−R′等が挙げられる。なお、B及びR′は前記Aの説明に記載のそれらと同義である。置換基は二つ以上あってもよい。Rとして水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい例として挙げることができ、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。LとRが連結して環を形成してもよい。
【0185】
以下に、一般式〔A〕で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0186】
【化2】

【0187】
【化3】

【0188】
【化4】

【0189】
また、保恒剤として亜硫酸塩を使用することも好ましく、その濃度は、カラーネガフィルム用発色現像液においては、0.005〜1.0mol/Lが好ましく、カラーペーパー用は色現像液においては、0〜0.1mol/Lが好ましい。本発明で用いることのできる亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウムなどを挙げることができる。
【0190】
発色現像液には、上記説明した本発明に係る保恒剤の他に、下記に示す保恒剤の使用を制限するものではない。ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などを挙げることができる。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号などの各公報または明細書に開示されている。
【0191】
その他、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンの如き特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。
【0192】
本発明に用いられる発色現像液は9.0以上、13.5以下であることが好ましく、更に好ましく9.5以上、12.0以下であり、そのpH値を維持できるようにアルカリ剤、緩衝剤及び必要によっては酸を含ませることができる。
【0193】
発色現像処理液を調整したときに、上記pHを保持する観点からは、下記に示す緩衝剤を用いるのが好ましい。緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロバンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキンアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH10.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、発色現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カプリなど)がなく、安価であるといった観点から好ましい緩衝剤である。
【0194】
上記緩衝剤の例示化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0195】
これら緩衝剤は、発色現像液1リットルあたり0.01〜2モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5モルである。
【0196】
本発明に用いられる発色現像液には、その他の成分として、例えばカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤や、安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。また、これらのキレート剤の量は、発色現像液処理中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば、1リットル当り0.lg〜10g程度になるように添加する。
【0197】
本発明に用いられる発色現像液には、必要により任意の現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等の各公報または明細書に表されるネオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号公報に表されるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号公報等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等の各公報または明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等の各公報または明細書に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ビラゾリトン類またはイミダゾール類を必要に応じて添加することができる。それらの濃度は、発色現像液1リットルあたり0.001〜0.2モルが好ましく、より好ましくは0.01〜0.05モルである。
【0198】
発色現像液には、必要に応じて、ハロゲンイオンのほかに、任意のカブリ防止剤を添加できる。有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げられる。
【0199】
また、本発明に用いられる発色現像液には、必要に応じて、蛍光増白剤を使用することができる。蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、公知もしくは市販のジアミノスチルベン系増自剤を用いることができる。公知のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、例えば、特開平6−329936号、同7−140625号、同10−140849号などの公報に記載の化合物が好ましい。市販の化合物としては、例えば、「染色ノート」第9版(色染社),165〜168頁に記載されており、その中に記載されている化合物の中でも、Blankophor BSU liq.及びHakkol BRKが好ましい。
【0200】
また、その他のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48及び特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16を挙げることもできる。上記した蛍光増白剤の添加量としては、発色現像液1リットルあたり0.1ミリモル〜0.1モルが好ましい。
【0201】
カラーペーパー用の発色現像処理液中に臭素イオンが含まれる場合は、1.0×10-3モル/リットル以下であることが好ましい。カラ−ペーパー用の発色現像処理液では、塩素イオンを3.5×10-2〜1.5×10-1モル/リットル含有することが好ましいが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として現像液に放出されるので補充液には添加不要のこともある。
【0202】
また、本発明において、処理方法で適用されうる発色現像の処理温度は、現像処理されるハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーである場合は、30〜55℃が好ましく、より好ましくは35〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。発色現像処理時間は、5〜90秒が好ましく、より好ましくは、15〜60秒である。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり15〜600mlが適当であり、好ましくは15〜120ml、特に好ましくは30〜60mlである。なお、本発明でいう発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程(例えば漂白定着液)に入るまでの時間をいう。自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ、次の処理工程に向けて液外を搬送される時間(いわゆるクロスオーバータイム)との両者の合計を発色現像時間という。また、クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。
【0203】
本発明において、漂白液あるいは漂白定着液において用いられる漂白剤としては、いかなる漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III)の有機錯塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸などのアミノポリカルボン酸類、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸および有機ホスホン酸などの錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸;過硫酸塩;過酸化水素などが好ましい。
【0204】
これらのうち、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、メチルイミノ二酢酸の鉄(III)錯塩が漂白力が高いことから好ましい。これらの第二鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第二鉄塩、例えば硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、燐酸第二鉄などとアミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第二鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を第二鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましく、その添加量は0.01〜1.0モル/リットルが好ましく、より好ましくは0.05〜0.50モル/リットルである。
【0205】
漂白液あるいは漂白定着液には、漂白促進剤として種々の化合物を用いることができる。例えば、リサーチディスクロージヤー17129号(1978年7月号)に記載のメルカプト基またはジスルフイド結合を有する化合物や、チオ尿素系化合物、あるいは沃素、臭素イオン等のハロゲン化物が漂白力に優れる点で好ましい。
【0206】
その他、漂白液あるいは漂白定着液には、臭化物(例えば、臭化カリウム)または塩化物(例えば、塩化カリウム)または沃化物(例えば、沃化アンモニウム)等の再ハロゲン化剤を含むことができる。必要に応じ硼砂、メタ硼酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、グリコール酸などのpH緩衝能を有する一種類以上の無機酸、有機酸およびこれらのアルカリ金属またはアンモニウム塩または、硝酸アンモニウム、グアニジンなどの腐蝕防止剤などを添加することができる。
【0207】
定着液あるいは漂白定着液に使用される定着剤は、公知の定着剤、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩;チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩;エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを一種あるいは二種以上混合して使用することができる。本発明においては、チオ硫酸特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。1リットルあたりの定着剤の量は、0.1〜5.0モルが好ましく、更に好ましくは0.3〜2.0モルの範囲である。漂白定着液または定着液のpH領域は、3〜10が好ましく、更には5〜9が特に好ましい。
【0208】
また、漂白液、定着液、漂白定着液には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤あるいは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることができる。
【0209】
漂白液、定着液、漂白定着液は、保恒剤として亜硫酸塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等などの添加が一般的であるが、その他、アスコルビン酸や、カルボニル重亜硫酸付加物、あるいは、カルボニル化合物等を添加してもよい。
【0210】
更には緩衝剤、蛍光増白剤、キレート剤、消泡剤、防カビ剤等を必要に応じて添加してもよい。また、漂白液、定着液、漂白定着液のアンモニウムカチオン濃度は作業性の点からは全カチオンに対して50mol%以下であること好ましいが、処理性の点からはアンモニウムカチオン濃度が50mol%以上であること好ましい。
【0211】
また、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に適用されうる漂白定着工程に要する時間は90秒以下であることが好ましく、より好ましくは45秒以下である。ここでいう漂白定着工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また。漂白定着液の温度は20〜70℃が好ましく、望ましくは25〜50℃である。また、漂白定着液の補充量は200ml/m2以下が好ましく、より好ましくは20ml/m2〜100ml/m2である。
【0212】
漂白処理液の補充量は、200ml/m2以下が好ましく、より好ましくは50ml/m2〜200ml/m2である。また、漂白工程の処理時間の合計は、15秒〜90秒であることが好ましい。ここでいう漂白工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また、処理温度は25℃〜50℃であることが好ましい。定着処理液の補充量は、600ml/m2以下が好ましく、より好ましくは20ml/m2〜500ml/m2である。また、定着工程の処理時間の合計は、15秒〜90秒であることが好ましい。ここでいう定着工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また、処理温度は25℃〜50℃であることが好ましい。
【0213】
次に、リンスまたは安定化工程及びそこで用いる処理液について説明する。
【0214】
安定化工程で用いるリンスまたは安定化液には、キレート剤(エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等)、緩衝剤(炭酸カリウム、硼酸塩、酢酸塩、リン酸塩等)、防黴剤(ディアサイド702(米国ディアボーン社製)、p−クロロ−m−クレゾール、ベンゾイソチアゾリン−3−オン等)、蛍光増白剤(トリアジニルスチルベン系化合物等)、酸化防止剤(アスコルビン酸塩等)、水溶性金属塩(亜鉛塩、マグネシウム塩等)等、通常安定液に含有せしめる成分を適宜用いることができる。
【0215】
更にリンスまたは安定化液には、液保存性の点からp−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸などのアリ−ルスルフィン酸などを含有させてもよく、亜硫酸塩、重亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩も含有させることが好ましい。亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物いかなるものでもよいが、好ましくは無機塩である。好ましい具体的化合物としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。これらの塩は安定液中に少なくとも1×10-3モル/L以上になるような量が添加されることが好ましく、更に好ましくは5×10-3モル/L〜5×10-2モル/Lになるようなに添加されることである。
【0216】
安定化工程の好ましいpHは4〜10が好ましく、更に好ましくは5〜8である。
【0217】
安定化工程の温度は、処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には15〜45℃が好ましく、より好ましくは20〜40℃である。時間は任意に設定できるが短い方が処理時間の低減の見地から望ましい。好ましくは5秒〜1分45秒、更に好ましくは10秒〜1分であるが、ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーである場合には、安定化処理工程に要する時間が8〜26秒であることが好ましく、またハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーネガフィルムである場合には、安定化処理工程に要する時間が10〜40秒であることが好ましい。
【0218】
補充量は、少ない方がランニングコスト、排出量減、取扱い性等の観点で好ましい。
【0219】
具体的な好ましい補充量は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料、単位面積あたり前浴からの持込み量の0.5〜50倍が好ましく、より好ましくは3倍〜40倍である。またはハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2当たり1リットル以下が好ましく、より好ましくは500ml以下である。また補充は連続的に行っても間欠的に行ってもよい。
【0220】
本発明に係る処理方法においては、安定化液を用いた安定化工程の構成としては、1槽で構成されていても、あるいは2層以上で構成されていても良いが、好ましくは2槽以上で構成された多段向流方式を用いることが好ましい。
【0221】
多段向流方式とは、複数に分割された安定化槽において、感光材料の搬送方向の下流から上流にかけて安定化液が多段の各分割安定化槽にオーバーフローしながらハロゲン化銀写真感光材料の搬送路に沿って流れ、安定化処理がなされる方式である。
【0222】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料を挟んで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、
本発明の目的効果をいかんなく発揮する観点から、シート状に断裁したハロゲン化銀カラー写真感光材料を、ローラーに挟んで搬送するローラートランスポートタイプであ留ことが好ましい。
【0223】
また、処理槽としては、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給すると共に感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが、通常だがこの際、補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技法94−16935号に記載の方法が最も好ましい。
【実施例】
【0224】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0225】
実施例1
《ハロゲン化銀乳剤の調製》
〔ハロゲン化銀乳剤(B−1)の調製〕
40℃に保温した両イオン交換処理オセインゼラチン(カルシウム含有量10ppm)2%ゼラチン水溶液1.5リットルを、特開昭62−160128号公報記載の混合撹拌装置を用いて激しく撹拌しながら、ダブルジェット法を用いて、下記(A1液)及び(B1液)を、pAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ17分かけて同時添加した。続いて、下記(A2液)及び(B2液)を、pAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ90分かけて同時添加した。更に、下記(A3液)及び(B3液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ15分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、これらpHの制御及び調整は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0226】
(A1液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.021g
水を加えて200mlに仕上げた。
【0227】
(A2液)
塩化ナトリウム 72.0g
2[IrCl6] 4.8×10-9モル/モルAgX
2[IrBr6] 3.2×10-9モル/モルAgX
2[IrCl5(H2O)] 2.9×10-7モル/モルAgX
2[IrCl5(チアゾール)] 1.6×10-8モル/モルAgX
4Fe(CN)6 8.0×10-6モル/モルAgX
臭化カリウム 0.44g
水を加えて420mlに仕上げた。
【0228】
(A3液)
塩化ナトリウム 30.7g
臭化カリウム 0.63g
水を加えて180mlに仕上げた。
【0229】
(B1液)
硝酸銀 10g
水を加えて200mlに仕上げた。
【0230】
(B2液)
硝酸銀 210g
水を加えて420mlに仕上げた。
【0231】
(B3液)
硝酸銀 90g
水を加えて180mlに仕上げた。
【0232】
添加終了後、特開平5−72658号に記載の方法を用いアミノ基をフェニルカルバモイル化した化学修飾ゼラチン(修飾率95%)30gを含む15%水溶液を添加して脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して、平均粒径0.65μmのハロゲン化銀乳剤(B−1)を調製した。
【0233】
〔ハロゲン化銀乳剤(G−1)の調製〕
前記ハロゲン化銀乳剤(B−1)の調製において、(A2液)中のK2[IrCl6]、K2[IrBr6]、K2[IrCl5(H2O)]、K2[IrCl5(チアゾール)]及びK4Fe(CN)6の量を、各々2.0倍に変更し、かつ(A1液)、(A2液)、(A3液)、(B1液)、(B2液)、(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径が0.54μmのハロゲン化銀乳剤(G−1)を調製した。
【0234】
〔ハロゲン化銀乳剤(GG−1)の調製〕
前記ハロゲン化銀乳剤(B−1)の調製において、(A2液)中のK2[IrCl6]、K2[IrBr6]、K2[IrCl5(H2O)]、K2[IrCl5(チアゾール)]及びK4Fe(CN)6の量を、各々3.8倍に変更し、かつ(A1液)、(A2液)、(A3液)、(B1液)、(B2液)、(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径が0.43μmのハロゲン化銀乳剤(GG−1)を調製した。
【0235】
〔ハロゲン化銀乳剤(R−1)の調製〕
前記ハロゲン化銀乳剤(B−1)の調製において、(A2液)中のK2[IrCl6]、K2[IrBr6]、K2[IrCl5(H2O)]、K2[IrCl5(チアゾール)]及びK4Fe(CN)6の量を、各々8.0倍に変更し、かつ(A1液)、(A2液)、(A3液)、(B1液)、(B2液)、(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径が0.40μmのハロゲン化銀乳剤(R−1)を調製した。
【0236】
以上のようにして調製した各ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀粒子個数で99%以上を立方体ハロゲン化銀粒子が占めていた。
【0237】
《青感性ハロゲン化銀乳剤の調製》
〔青感性ハロゲン化銀乳剤(B−1a)の調製〕
前記調製したハロゲン化銀乳剤(B−1)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素BS−1及びBS−2を添加し、引き続きチオ硫酸ナトリウム、トリフリルホスフィンセレニド及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成した後、化合物(S−1)、(S−2)、(S−3)を順次添加し、熟成を停止させ、青感性ハロゲン化銀乳剤(B−1a)を得た。
【0238】
チオ硫酸ナトリウム 3.9×10-6モル/モルAgX
トリフリルホスフィンセレニド 2.6×10-6モル/モルAgX
塩化金酸 1.9×10-5モル/モルAgX
化合物(S−1) 2.0×10-4モル/モルAgX
化合物(S−2) 2.0×10-4モル/モルAgX
化合物(S−3) 2.0×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 5.2×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1.3×10-4モル/モルAgX
《緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製》
〔緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−1a)の調製〕
前記ハロゲン化銀乳剤(G−1)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素(GS−1)を添加し、引き続きチオ硫酸ナトリウム、トリフリルホスフィンセレニド及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成した後、化合物(S−1)を添加し、熟成を停止させ、緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−1a)を得た。
【0239】
増感色素:GS−1 5.3×10-4モル/モルAgX
チオ硫酸ナトリウム 3.3×10-6モル/モルAgX
トリフリルホスフィンセレニド 2.2×10-6モル/モルAgX
塩化金酸 1.5×10-5モル/モルAgX
化合物(S−1) 1.5×10-4モル/モルAgX
〔緑感性ハロゲン化銀乳剤(GG−1a)の調製〕
上記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−1a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(G−1)に代えて、前記調製したハロゲン化銀乳剤(GG−1)に変更し、かつチオ硫酸ナトリウム、トリフリルフォスフィンセレニド、塩化金酸、増感色素(GS−1)の添加量を、ハロゲン化銀粒子の平均粒径が0.55μmから0.43μmに変更となることに伴うハロゲン化銀粒子表面積の増加を考慮し、単位表面積あたりの添加量が同じとなるよう、各々変更すること以外は同様にして、緑感性ハロゲン化銀乳剤(GG−1a)を調製した。
【0240】
《赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製》
〔赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a)の調製〕
前記ハロゲン化銀乳剤(R−1)に対し、60℃、pH5.0、pAg7.1にて下記増感色素(RS−1)及び(RS−2)を添加し、引き続きチオ硫酸ナトリウム、トリフリルホスフィンセレニド及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成した後、化合物(S−1)を添加し、熟成を停止させ、赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a)を調製した。
【0241】
チオ硫酸ナトリウム 8.3×10-6モル/モルAgX
トリフリルホスフィンセレニド 5.5×10-6モル/モルAgX
塩化金酸 1.7×10-5モル/モルAgX
化合物(S−1) 1.4×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1.2×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1.2×10-4モル/モルAgX
尚、各赤感光性ハロゲン化銀乳剤の調製では、調製終了時にSS−1を2.0×10-3モル/モルAgX添加した。
【0242】
【化5】

【0243】
【化6】

【0244】
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
〔試料101の作製〕
坪量180g/m2の紙パルプの感光層塗布面に、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む高密度溶融ポリエチレンをラミネートし、裏面には高密度ポリエチレンをラミネートした反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、更に表1、表2に記載の構成からなる各写真構成層を塗設して、ハロゲン化銀カラー写真感光材料である試料101を作製した。尚、表中に記載のハロゲン化銀乳剤は、銀に換算した値で示した。なお、試料101の総塗布銀量は0.564g/m2である。
【0245】
また、各層のカプラー分散液の調製には界面活性剤(SU−2)を、また各構成層の表面張力調整用の塗布助剤として、界面活性剤(SU−1)、(SU−3)を添加した。また、各層に、防黴剤(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。その他に、硬膜剤(H−1)、(H−2)、染料(AI−1)、(AI−2)、(AI−3)及び添加剤−1を適宜添加した。
【0246】
試料101の作製に用いた各添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0247】
Sol−1:トリクレジルホスフェート
マット剤1:SiO2(平均粒径3.0μm)
【0248】
【表1】

【0249】
【表2】

【0250】
【化7】

【0251】
【化8】

【0252】
【化9】

【0253】
【化10】

【0254】
【化11】

【0255】
〔試料102の作製〕
上記試料101の作製において、第1層の青感性ハロゲン化銀乳剤(B−1a)の添加量を0.356g/m2に、イエローカプラー(Y−1)の添加量を0.615g/m2に、第3層の緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−1a)の添加量を0.13g/m2に、マゼンタカプラー(M−1)の添加量を0.248g/m2に、第5層の赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a)の添加量を0.204g/m2に、シアンカプラー(C−1)の添加量を0.257g/m2に変更した以外は同様にして、試料102を作製した。
【0256】
〔試料103の作製〕
上記試料102の作製において、第1層の青感性層ハロゲン化銀乳剤(B−1a)を平均粒径が0.59μmの青感性層ハロゲン化銀乳剤(B−2a)に変更し、更に添加量を0.340g/m2にし、第2層の中間層の蛍光増白剤(W−1)を除いた以外は同様にして、試料103を作製した。
【0257】
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の評価》
〔デジタル露光〕
上記作製した試料101〜103について、以下に示す2つの露光装置E1、E2を用い、画像データと露光量制御値を対応づける制御用変換テーブル(LUT)を作成し、(R,G,B)=(0,0,0)及び(100,100,100)及び(200,200,200)の画像データを露光した後、コニカミノルタフォトイメージング社製のカラーペーパー用自動現像機を改造し、下記に示す処理条件からなる現像処理工程を用いて現像処理を行い、表3に示す露光装置及び試料番号の組み合わせで、画像試料101〜106を作成した。
【0258】
(露光装置E1)
露光装置E1としては、図9に記載の露光ユニットを使用した。
【0259】
試料(印画紙100)に対して露光を行うために、印画紙100とほぼ同じ幅を有する3つのアレイ光源210、220、230を備えている。
【0260】
これら3つのアレイ光源210、220、230は、各々R、G、Bの各記録色に応じて発光するものである。印画紙100が図中の矢印方向に搬送されているときには、アレイ光源210、220、230の各々を、印画紙100の搬送速度に応じてタイミングをずらして駆動することによって、印画紙100の同一位置にR、G、Bの露光を施していた。
【0261】
(露光装置E2)
露光装置E2としては、前述の図1、図3に記載のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3種の光を受けて、ライン状の出射光を形成する光混合手段を有する画像露光装置を用いた。
【0262】
(現像処理)
コニカミノルタフォトイメージング(株)製のカラーペーパー用自動現像機を処理条件が下記になるように改造し、上記露光済の感光材料を連続処理(ランニング処理)を行った。処理は、自動現像機を1日12時間稼働させ、2Rになるまでランニング処理した。本発明でいう2Rとは、発色現像液タンク容量分(10.2L)の2倍量の発色現像補充液が補充されることを意味する。
【0263】
(処理条件)
〈処理工程〉 〈処理温度〉 〈処理時間〉 〈タンク容量〉 〈補充量〉
発色現像 38.0℃ 30秒 10.2L 50ml/m2
漂白定着 38.0℃ 30秒 10.0L 37ml/m2
安定化−1 38.0℃ 24秒 8.0L −
安定化−2 38.0℃ 24秒 8.3L −
安定化−3 38.0℃ 24秒 8.6L −
安定化−4 38.0℃ 24秒 9.0L 150ml/m2
乾燥 60〜80℃ 30秒
安定化工程は安定化−4→安定化−3→安定化−2→安定化−1への多段向流方式とした。
【0264】
(各処理液の調製)
〈発色現像液:1L当たり〉
タンク液 補充液
ジエチレングリコール 10.0g 10.0g
ポリエチレングリコール(平均分子量4000) 6.0g 6.0g
p−トルエンスルホン酸 10.0g 10.0g
塩化カリウム 4.0g −
ジエチレントリアミン五酢酸 6.0g 6.0g
ビス(トリアジニルアミノ)スチルベン系蛍光増白剤 1.0g 1.0g
N,N−ビス(スルホエチル)ヒドロキシルアミン 5.0g 11.0g
水酸化リチウム − 3.5g
炭酸カリウム 14.0g 14.0g
炭酸ナトリウム 10.0g 10.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン・2/3硫酸塩 6.0g 12.0g
1−オクタンスルホン酸ナトリウム 1.0g 1.0g
pH 10.00 12.10
水を加えて1Lとし、pHは水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液または硫酸により調整した。
【0265】
〈漂白定着液:1L当たり〉
タンク液 補充液
エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム 0.20mol 0.37mol
チオ硫酸アンモニウム 0.54mol 1.0mol
亜硫酸アンモニウム 0.15mol 0.25mol
コハク酸 10.0g 18.0g
N−ラウロイルサルコシンナトリウム 1.5g 1.5g
硝酸(67%) 10.0g 16.0g
pH 6.0 4.8
水を加えて1Lとし、pHはアンモニア水または硫酸を用いて調整した。
【0266】
〈安定化液:1L当たり〉
タンク液=補充液
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム 2.0g
エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム 2.0g
o−フェニルフェノール 0.1g
ビス(トリアジニルアミノ)スチルベン系蛍光増白剤 1.0g
亜硫酸ナトリウム 0.2g
ベンゼンスルフィン酸ナトリウム 0.8g
1−オクタンスルホン酸ナトリウム 0.2g
pH 7.5
水を加えて1Lとし、pHはアンモニア水溶液または硫酸を用いて調整した。
【0267】
《形成画像の評価》
〔各画像信号値の測定〕
得られた現像済試料について、(R,G,B)=(0,0,0)及び(100,100,100)及び(200,200,200)の各画像データの濃度を、X−Rite938(反射型分光測色/濃度計;X−Rite社製)を用い、ステータスA反射濃度を測定し、R、G、Bの0値の濃度、100値の濃度、200値の濃度及び0値と100値との濃度差を求めた。
【0268】
以上により得られた結果を、表3に示す。
【0269】
【表3】

【0270】
〔細線再現性の評価〕
上記露光装置E1、E2と試料101〜103とを表4に記載の組み合わせで、1画素おきに白と黒の細線(細線幅:0.64mm)が繰り返される画像パターンの露光を行った後、上記現像処理を行った。画像データと露光量制御値を対応づける制御用変換テーブル(LUT)は、表3に記載のものと同様なものを使用した。
【0271】
次いで、得られた細線画像について、マイクロデンシトメーター(PDM−5AR:コニカミノルタフォトイメージング社製)と、B、G、Rのラッテンフィルター(Kodak社製 No.98/98/2E、74、25/29)を組み合わせて、総合倍率50倍、アパチャーサイズを400×4μmとし、4μm間隔で、細線と垂直方向にスキャンしながら濃度測定することでイエロー・マゼンタ及びシアン成分の濃度プロファイルを求めた。この細線画像の濃度プロファイルから、細線の最大濃度の1/2濃度を与える位置を各色の細線エッジ位置とし、細線エッジ位置が最も離れている組合せにおける細線エッジ位置ずれ量を、色にじみ量の尺度として求めた。また、細線のマゼンタ成分の半値幅(プロファイル中の最大濃度の1/2濃度を与える2点間の距離)を文字再現性の尺度として求めた。このようにして得られた細線の半値幅を、画像試料101で作成したプリントの値をそれぞれ1とした場合の相対値として表4に示す。文字再現性については、相対値が小さいほど、文字がシャープに再現され好ましいことを示す。
【0272】
〔主観評価:文字の再現、黒のしまりの評価〕
細線再現性の評価を行ったものと同様の露光装置、試料、LUTを用い、白地(画像データ255値)に各種サイズ黒文字(画像データ0値)と黒のタキシードを着用したウエディングシーンを露光した後、上記と同様に現像処理してプリント画像を得た。
【0273】
得られたプリント画像について、一般評価者20名により、文字品質、タキシードの再現性について目視評価を行い、下記の基準に従ってランク付を行った後、その平均評価値を求めた。
【0274】
5:黒文字及びタキシードの黒い部分が、色にじみの発生もなく極めて明瞭に再現されている
4:黒文字及びタキシードの黒い部分が、色にじみの発生もなく明瞭に再現されている
白線と黒い部分の境界線が明瞭に再現されている
3:黒文字及びタキシードの黒い部分で、一部で弱い色にじみが認められるが、実用上許容範囲内である
2:黒文字及びタキシードの黒い部分で、色にじみが認められ、実用上問題となる品質である
1:黒文字及びタキシードの黒い部分で、強い色にじみが認められ、実用に耐えない品質である
以上により得られた各評価結果を、表4に示す。
【0275】
【表4】

【0276】
表3及び表4に記載の結果より明らかなように、ライン状の出射光を形成する光混合手段を有する画像露光装置を用い、100値の画像濃度と0値の画像濃度の差が、レッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度とも1.50以上である画像試料105、106は、比較例に対し、細線再現性が良好で、かつ文字再現性、タキシードの黒色再現性に優れていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0277】
【図1】本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置の主要部の構成を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置の全体の構成を示す概略側面図である。
【図3】本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置における第1〜第3アレイ光源、ダイクロイックプリズム及びセルフォックレンズアレイの位置関係を示す側面図である。
【図4】本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置のダイクロイックプリズムの第1光選択膜及び第2光選択膜の特性を示す特性図である。
【図5】本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置の全体の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【図6】本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置における第1〜第3アレイ光源、ダイクロイックプリズム及びセルフォックレンズアレイの位置関係の他の一例を示す側面図である。
【図7】本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置における第1〜第3アレイ光源、ダイクロイックプリズム及びセルフォックレンズアレイの位置関係の他の一例を示す側面図である。
【図8】本発明に係る光混合手段を有する画像露光装置における第1〜第3アレイ光源、ダイクロイックプリズム及びセルフォックレンズアレイの位置関係の他の一例を示す側面図である。
【図9】従来の画像露光装置の画像形成の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0278】
10 印画紙(感光材料)
21 第1アレイ光源(第1発光素子列)
21a 出射面
22 第2アレイ光源(第2発光素子列)
22a 出射面
23 第3アレイ光源(第3発光素子列)
23a 出射面
30 ダイクロイックプリズム(光混合手段)
30d 出射面
31 第1透明部材
32 第2透明部材
33 第3透明部材
34 第1接合面
35 第1光選択膜
36 第2接合面
37 第2光選択膜
39A 第1入射光選択膜(第1入射光波長変更手段、波長変更手段)
39B 第2入射光選択膜(第2入射光波長変更手段、波長変更手段)
39C 第3入射光選択膜(第3入射光波長変更手段、波長変更手段)
39D 出射光選択膜(出射光波長変更手段、波長変更手段)
39E 出射光選択膜(出射光波長変更手段、波長変更手段)
40 セルフォックレンズアレイ(光集束手段)
40a 出射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3種の光を受けて、ライン状の出射光を形成する光混合手段を有する画像露光装置を用い、反射鑑賞型のハロゲン化銀カラー感光材料に8ビットの画像データで、R、G、Bともに100値、0値を出力し、現像処理後の100値の画像濃度と0値の画像濃度の差が、レッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度とも1.50以上であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3種の光を受けて、ライン状の出射光を形成する光混合手段を有する画像露光装置を用い、反射鑑賞型のハロゲン化銀カラー感光材料に8ビットの画像データで、R、G、B信号値共に0値、100値、200値を出力し、現像処理後の0値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに2.30以上で、現像処理後の100値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに0.70以上、0.90以下であって、かつ現像処理後の200値の画像濃度がレッド濃度、グリーン濃度、ブルー濃度ともに0.20以上であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項3】
前記ハロゲン化銀カラー感光材料の青感光性ハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀粒子の平均粒径が立方体換算で0.55〜0.62μmで、かつ総塗布銀量が、0.60g/m2以上、0.75g/m2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−227166(P2006−227166A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38971(P2005−38971)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】