画像形成装置、方法、システム、及びプリンタドライバ
【課題】交換部品に非純正品を使用した場合であっても、ユーザの利便性を損なうことなく、排紙された印刷物の不整合や排紙ジャムなどを防止する。
【解決手段】画像形成装置100は、画像を形成する画像形成部103と、画像形成部103の交換部品であるトナーカートリッジ108aが非純正品か否かを判定する非純正品判定部101aと、画像形成部103を制御する制御部101とを備える。非純正品判定部101aにより画像形成部103のトナーカートリッジ108aが非純正品と判定された場合、制御部101は、満杯検出機能、オフセット排紙機能などの排紙機能の一部を制限する。
【解決手段】画像形成装置100は、画像を形成する画像形成部103と、画像形成部103の交換部品であるトナーカートリッジ108aが非純正品か否かを判定する非純正品判定部101aと、画像形成部103を制御する制御部101とを備える。非純正品判定部101aにより画像形成部103のトナーカートリッジ108aが非純正品と判定された場合、制御部101は、満杯検出機能、オフセット排紙機能などの排紙機能の一部を制限する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、方法、システム、及びプリンタドライバに関し、より詳細には、交換部品が非純正品か否かを判定する機能を備えた画像形成装置、方法、システム、及びプリンタドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像形成装置に使用される感光体ドラム、転写ベルト、トナーカートリッジなどの交換部品は印刷品位を保証するために、装置の販売メーカが純正品のサプライ品を供給しているが、販売メーカ以外の第3者によって互換部品としてサプライ品を販売するケースが増加している。互換部品は安価で供給されているものの印刷品位について全く保証されたものではなく、互換部品の販売者により機器のメンテナンスも行なわれていないのが現状である。また、一般的に複合機は非純正のサプライ品までサポートするように設計されていないので、非純正品を用いた場合には、高温・高湿、低温・低湿など環境条件により印刷のかすれ、かぶり等が顕著に発生してしまい、印刷品位の低下が問題になっていた。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献1には、交換部品が純正品か否かを識別可能な画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、トナーカートリッジに内蔵されているメモリタグからトナーの製造元社名情報を読み出し、読み出した社名情報と、予め記憶している社名情報とを比較し、一致する場合には、装着されているトナーカートリッジは純正品であると判定して表示部に社名情報を表示し、画像濃度補正動作を実行し、一方、一致しない場合には、装着されているトナーカートリッジは非純正品であると判定し、表示部に社名情報を表示せず、かつ、画像濃度補正動作を実行しない旨を表示する。
【0004】
また、特許文献2には、純正の消耗品の使用を前提とする第1モードと非純正の消耗品の使用を許可する第2モードとが選択可能な画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、装着されている消耗品が純正か非純正かを判定する消耗品判定手段と、印刷指示を受け付ける印刷ジョブ受付手段と、第1モードが選択された場合において、印刷ジョブ受付手段で印刷指示された色を再現するために使用する消耗品が、消耗品判定手段により非純正と判定された消耗品を含む場合は、非純正と判定された消耗品を使用することなく、純正と判定された消耗品のみを使用して画像を形成するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−266588号公報
【特許文献2】特開2009−300694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記の複合機の中には、例えば、満杯検出機能やオフセット排紙機能といった特殊な排紙機能を備えたものがある。まず、満杯検出機能について説明する。複合機の排紙トレイは通常印刷物を収容するスペースが限られているため、印刷物を排紙できる枚数には上限がある。この上限枚数を超えて印刷物の排紙を続けると、排紙された印刷物の高さが印刷物の排紙口の位置よりも高くなってしまう。この場合、排紙された印刷物の先端が先に排紙された印刷物の側面に衝突し、先に排紙された印刷物を押し出す形となり、正しい整合を行うことができない。また、先に排紙された印刷物により排紙口が塞がれてしまう場合には、印刷物の排紙が阻まれ、排紙ジャムが発生するという問題が生じる。
【0007】
これに対して、満杯検出機能は、排紙トレイに排紙された印刷物の枚数が予め設定された上限枚数に到達したことを検出する機能である。排紙トレイに排紙された印刷物の枚数が上限枚数に到達したことを検出した場合、印刷動作を一時停止させ、ユーザに印刷物の取り出しを促すことで、上記の問題を回避するようにしている。この満杯検出機能の上限枚数は、純正トナーを使用していることを前提として決められている。
【0008】
しかしながら、非純正トナーを使用する場合、定着プロセスにおける適切な定着温度が定かではない。このため、適切な印字が行われるように複合機の設定を変更して定着温度を純正トナーの場合より上げるなどの対応を取ることがある。このような対応を取った場合、印刷物としては所望のものが得られたとしても、定着温度を上げているため、定着プロセスを通過した印刷物はカールが大きくなる傾向がある。そして、このように大きくカールした印刷物を排紙トレイに排紙する場合、同じ枚数でも純正トナーの場合よりも嵩が増すため、満杯検出機能の上限枚数に到達する前に、上述のような印刷物の不整合や排紙ジャムなどが発生する可能性が高いと考えられる。
【0009】
次に、図11に基づきオフセット排紙機能について説明する。このオフセット排紙機能とは、排紙トレイに複数頁からなる印刷物を複数部排紙する際に、各部の区切りで長手方向両端が揃わないよう各部毎に短手方向にオフセットして(ずらして)排紙する機能である。図11の例では、401は割り込みコピー前の連続コピーによる印刷物、402は割り込みコピーによる印刷物、403は割り込みコピー後の連続コピーによる印刷物を示す。このように部単位で排紙された印刷物401〜403は、それぞれ各部の区切りで長手方向両端が揃わないようにオフセットされている。これにより、ユーザは、部単位で仕分けする必要がなく、仕分け作業の手間を軽減することができる。
【0010】
しかしながら、非純正トナーを使用した場合、上述の満杯検出機能と同様に、定着温度の上昇により印刷物に大きなカールが発生する。そして、大きくカールした印刷物を排紙トレイに排紙する場合、ただでさえ両端を揃えて印刷物を正しく整合させることは難しいが、この上さらに、オフセット排紙を行うと、不整合の程度が悪化し、印刷物がバラバラに排紙されてしまうことが懸念される。
【0011】
これに対して、上述の特許文献1,2に記載された技術は、トナーカートリッジが非純正品であることを検出すると良好な印刷が行えないため、画像濃度補正を禁止したり、あるいは、高画質が要求された場合には非純正品を使用せずに純正品のみで印刷を行うようにしたものであるが、上記のような問題については何ら考慮されていない。また、非純正品が使用されている場合には、印刷動作を禁止するという方法もあるが、一律に禁止してしまうと、ユーザの利便性を大きく損ねてしまうことになる。
【0012】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、交換部品に非純正品を使用した場合であっても、ユーザの利便性を損なうことなく、排紙された印刷物の不整合や排紙ジャムなどを防止することができる画像形成装置、方法、システム、及びプリンタドライバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、前記画像形成部を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、前記非純正品判定部により前記画像形成部の交換部品が非純正品と判定された場合、前記制御部は、前記画像形成部で画像形成された印刷物を排紙トレイに排紙する際の排紙機能の一部を制限することを特徴としたものである。
【0014】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記排紙機能の一部は、前記排紙トレイに排紙された印刷物の枚数が予め設定された上限枚数に到達したことを検出する満杯検出機能であり、前記制御部は、前記交換部品が純正品と判定された場合よりも、前記満杯検出機能の上限枚数を小さく制限することを特徴としたものである。
【0015】
第3の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記排紙機能の一部は、前記排紙トレイに複数頁からなる印刷物を複数部排紙する際に、各部の区切りで長手方向両端が揃わないよう該各部毎に短手方向にオフセットして排紙するオフセット排紙機能であり、前記制御部は、前記オフセット排紙機能の設定を禁止することを特徴としたものである。
【0016】
第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、前記制御部は、前記排紙機能に係る項目を選択可能に表示する際に、前記オフセット排紙機能の項目を非表示にするように制御することを特徴としたものである。
【0017】
第5の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、前記制御部は、前記排紙機能に係る項目を選択可能に表示する際に、前記オフセット排紙機能の項目をグレーアウト表示するように制御することを特徴としたものである。
【0018】
第6の技術手段は、第1〜第5のいずれか1の技術手段において、前記制御部は、前記排紙機能の一部を制限する場合、前記画像形成部の交換部品が非純正品であるために制限される旨を報知することを特徴としたものである。
【0019】
第7の技術手段は、画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、前記画像形成部を制御する制御部とを備えた画像形成装置による画像形成方法であって、前記非純正品判定部が、前記画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する判定ステップと、前記制御部が、前記判定ステップで非純正品と判定された場合、画像形成条件として、前記画像形成部で画像形成された印刷物を排紙トレイに排紙する際の排紙機能の一部を制限する排紙機能制限ステップと、前記画像形成部が、前記画像形成条件に基づいて、画像形成を行う画像形成ステップとを備えたことを特徴としたものである。
【0020】
第8の技術手段は、プリンタドライバがインストールされた情報処理装置と、該プリンタドライバにより制御される画像形成装置とがネットワークを介して接続された画像形成システムであって、前記画像形成装置は、画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、該非純正品判定部による判定結果を前記情報処理装置に送信する通信部とを備え、前記情報処理装置のプリンタドライバは、前記画像形成装置からの判定結果が非純正品であった場合、前記画像形成部で画像形成された印刷物を排紙トレイに排紙する際の排紙機能の一部を制限することを特徴としたものである。
【0021】
第9の技術手段は、第8の技術手段における画像形成システムを構成する情報処理装置にインストール可能なプリンタドライバである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、装置内部にメーカが供給する純正品以外の非純正品が使用されていると判定された場合に、排紙機能の一部(満杯検出機能、オフセット排紙機能など)を制限することにより、ユーザの利便性を損なうことなく、排紙された印刷物の不整合や排紙ジャムなどを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による画像形成装置を複合機として構成した実施形態を示す図である。
【図2】本発明による画像形成装置および情報処理装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図3】交換部品であるトナーカートリッジの一例を示す図である。
【図4】本発明の画像形成装置による画像形成方法の一例を説明するためのフロー図である。
【図5】画像形成装置が備える操作パネルの外観の一例を示す図である。
【図6】コピーモード時の初期画面の一例を示す図である。
【図7】排紙機能に係る項目を選択可能に表示する排紙機能設定画面の一例を示す図である。
【図8】情報処理装置のプリンタドライバにより表示される印刷条件入力画面の一例を示す図である。
【図9】情報処理装置のプリンタドライバにより表示される印刷条件入力画面の他の例を示す図である。
【図10】情報処理装置のプリンタドライバにより表示される印刷条件入力画面の他の例を示す図である。
【図11】オフセット排紙機能について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の画像形成装置、方法、システム、及びプリンタドライバの好適な実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明による画像形成装置を複合機として構成した実施形態を示す図で、スキャナ機能を備えた複合機として構成された画像形成装置の一例を示すものである。
画像形成装置100は、外部から伝送され、もしくはスキャナ(画像読み取り手段)で読み取った画像データを記録紙に画像形成するもので、装置本体130と、自動原稿処理装置120とにより構成されている。
【0026】
装置本体130は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等を有する。
装置本体130の上部には、透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、その上側には原稿載置台92に原稿を自動搬送する自動原稿処理装置120が取り付けられる。自動原稿処理装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0027】
装置本体130は、筐体内に収容される画像読取手段90を有している。画像読取手段90は、光源及び第1ミラーを保持する光源ユニット93と、第2及び第3ミラーを保持するミラーユニット94と、レンズ及びCCD95とから構成された縮小光学系の画像読取手段である。また、装置本体130には、図示しない操作パネルが設けられ、ユーザによる操作入力が可能となっている。また装置本体130には、外部接続された装置から画像データを入力する手段、あるいは可搬型の記録媒体から画像データを読み取る手段(いずれも図示せず)を備えている。
【0028】
画像形成装置100において扱われる画像データは、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。従って、現像器2、感光体ドラム(像担持体)3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、これらにより4つの画像ステーションが構成されている。
【0029】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
露光ユニット1には、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット1は、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。また、露光ユニット1としては、この他にも発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いる手法も採用できる。
【0030】
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0031】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、Y,M,C,Kの各色に対応して4本設けられている。
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。また、各中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
【0032】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0033】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本構成例では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0034】
上述のように各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化された静電像は、中間転写ベルト61で積層される。このように積層された静電像は、中間転写ベルト61の回転によって、後述の用紙と中間転写ベルト61の接触位置に配置される二次転写機構部である転写ローラ10によって記録紙に転写される。二次転写機構部としては、転写ローラに限らず、コロナチャージャや転写ベルトを用いることも可能である。
【0035】
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10は所定ニップで圧接されるとともに、転写ローラ10にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ10は、上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10若しくは中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)としている。
【0036】
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、若しくは転写ローラ10によって記録紙に転写が行われず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0037】
給紙カセット81は、画像形成に使用する記録紙(シート)を蓄積しておくためのトレイであり、装置本体130の露光ユニット1の下側に設けられている。また、手差し給紙カセット82にも画像形成に使用する記録紙を置くことができる。装置本体110の上方に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みの記録紙をフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0038】
また、装置本体110には、給紙カセット81及び手差し給紙カセット82の記録紙を転写ローラ10や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状の用紙搬送路S1が設けられている。給紙カセット81ないし手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの用紙搬送路S1の近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d,レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
【0039】
搬送ローラ12a〜12dは、記録紙の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路S1に沿って複数設けられている。また、ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から記録紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路S1に供給する。同様に、ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82から記録紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路S1に供給する。
【0040】
また、レジストローラ13は、用紙搬送路S1を搬送されている記録紙を一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と記録紙の先端を合わせるタイミングで記録紙を転写ローラ10に搬送する機能を有している。
【0041】
定着ユニット7は、ヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えている。ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、記録紙を挟んで回転するようになっている。またヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御手段によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーを記録紙に熱圧着することにより、記録紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、記録紙に対して熱定着させる機能を有している。また、ヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
【0042】
次に、記録紙の搬送経路をより具体的に説明する。上述のように、画像形成装置100には、予め記録紙を収納する給紙カセット81、及び手差し給紙カセット82が設けられている。これら給紙カセット81,82から記録紙を給紙するために、各々ピックアップローラ11a,11bが配置され、記録紙を1枚ずつ用紙搬送路S1に導くようになっている。
【0043】
各給紙カセット81,82から搬送される記録紙は、用紙搬送路S1の搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、記録紙の先端と中間転写ベルト61上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、記録紙上に画像情報が書き込まれる。その後、記録紙は定着ユニット7を通過することによって記録紙上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、その後に配された搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
【0044】
上記の搬送経路は、記録紙に対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求のときは、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過した記録紙の後端が最終の搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによって記録紙を搬送ローラ12c,12dが配された搬送路S2に導く。そして、搬送路S2は搬送路S1に合流して、記録紙はレジストローラ13から転写ローラ10に搬送される。このとき、搬送路S2からS1に合流する段階で記録紙の表裏が反転されているため、転写ローラ10では記録紙の裏面に印刷が行わる。そして裏面に印刷された記録紙は定着ユニット7で定着され、排紙トレイ91に排出される。
【0045】
図2は、本発明による画像形成装置および情報処理装置の要部構成例を示すブロック図である。画像形成装置100は、例えば、上述の複合機として構成され、画像形成装置100の各機能を制御し内部にCPU,ROM,RAM等を有するマイクロコンピュータによって実現される制御部101と、操作部102a及び表示部102bからなる操作パネル102と、制御部101の制御に従って記録紙上に画像データの画像形成を行う画像形成部103と、ネットワークNを介して情報処理装置200と接続するための通信部104と、ハードディスクなどの記憶部105と、トナーカートリッジ108に付与されたICチップからID情報を読み取る読取部106と、各種センサ及びセンサからの信号を加工する周辺回路からなるセンサ回路107と、交換部品の一例であるトナーカートリッジ108と、温度及び/又は湿度を検出する検出部109とを備えて構成される。
【0046】
操作パネル102は、操作部102a及び表示部102bで構成され、操作部102aは、ユーザによる操作入力を受け付けて制御部101に出力する。また、表示部102bは、操作用の画面や各種情報を表示させる。操作部102aと表示部102bによって、操作画面に対して入力操作が可能なタッチパネルが構成されている。
【0047】
また、情報処理装置200は、例えば、汎用的なPC(パーソナルコンピュータ)であり、ネットワークNを介して画像形成装置100と接続するための通信部201と、情報処理装置200の各機能を制御するためのCPU,RAM,ROM等からなる演算処理部202と、プリンタドライバ203aがインストールされたハードディスクなどの記憶部203と、キーボードやマウスなどの入力部204と、液晶ディスプレイ等の表示部205とを備えて構成される。プリンタドライバ203aは、画像形成装置100を制御して、画像形成処理(印刷処理)を実行させるためのソフトウェア(プログラム)である。このプリンタドライバ203aは、印刷実行時に、演算処理部202によって記憶部203から読み出され、演算処理部202のRAM上で展開され実行される。
【0048】
本発明の主たる目的は、交換部品に非純正品を使用した場合であっても、ユーザの利便性を損なうことなく、排紙された印刷物の不整合や排紙ジャムなどを防止できるようにすることにある。このための構成として、画像形成装置100は、画像形成部103の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部101aと、画像形成部103を制御する制御部101とを備え、非純正品判定部101aにより画像形成部103の交換部品が非純正品と判定された場合、制御部101は、画像形成部103で画像形成された印刷物を排紙トレイ(例えば、図1の排紙トレイ91)に排紙する際の排紙機能の一部を制限する。なお、非純正品判定部101aは、制御部101の一機能として実現される。
【0049】
排紙機能の一部は、例えば、排紙トレイに排紙された印刷物の枚数が予め設定された上限枚数に到達したことを検出する満杯検出機能である。満杯検出機能はデフォルトでは有効に設定されている。具体的には、例えば、排紙トレイに印刷物検知センサ(図示せず)が設けられており、このセンサで印刷物を検知した場合、検知している間は継続的に印刷物の枚数をカウントする。カウントの途中で排紙トレイから印刷物が取り除かれたことを検知した場合には、カウントをリセットし、最初からカウントをやり直す。このようにカウントした枚数が上限枚数に到達した場合、印刷動作を一時停止させ、ユーザに印刷物の取り出しを促すための警告等を行うように構成されている。
【0050】
トナーカートリッジ108が非純正品と判定された場合、制御部101は、交換部品が純正品と判定された場合よりも、満杯検出機能の上限枚数を小さく制限する。通常この満杯検出機能の上限枚数は、交換部品が純正品であることを前提に、例えば500枚などと予め設定されている。そして、制御部101は、非純正品判定部101aによりトナーカートリッジ108が非純正品と判定された場合、満杯検出機能の上限枚数を例えば400枚に小さく制限する。これらの上限枚数は記憶部105に予め記憶しておけばよい。
【0051】
また、排紙機能の一部は、排紙トレイに複数頁からなる印刷物を複数部排紙する際に、各部の区切りで長手方向両端が揃わないよう各部毎に短手方向にオフセットして排紙するオフセット排紙機能であってもよい。この場合、制御部101は、非純正品判定部101aによりトナーカートリッジ108が非純正品と判定された場合に、オフセット排紙機能の設定を禁止する。
【0052】
上記において、交換部品とは、機能から見れば装置の一部を構成し、交換により性能が回復・保持できるものをいう。例えば、画像形成装置100の場合、トナーカートリッジ(あるいは現像カートリッジ)、感光体カートリッジ、現像部材と感光体が一体的に形成されたカートリッジ、インクカートリッジ、インクタンクと印字ヘッドが一体的に形成されたカートリッジ、熱転写方式用のインクシートカートリッジ等が相当する。そして、これらの交換部品をサプライ品と呼ぶ場合がある。本実施形態の説明では、交換部品としてトナーカートリッジ108を例示して説明するが、これに限定されるものではない。
【0053】
図2において、非純正品判定部101aは、画像形成装置100に装着されたトナーカートリッジ108が純正品か、非純正品かの判定を行う。非純正品の判定方法としては、前述の特許文献1,2に記載の技術をはじめ、例えば、特開2002−202697号公報、特開2009−145396号公報など従来公知の技術を用いて実現することができ、その方法について特に限定されるものではない。以下、非純正品判定部101aによる非純正品の判定方法として、画像形成装置100内で判定を行う場合を例示して説明するが、外部のサーバ装置等を利用して判定を行うようにしてもよい。
【0054】
トナーカートリッジ108には、トナーカートリッジ108を個別に特定し得る固有のID情報が記録されている。例えば、図3に示すように、ICチップ108aとして搭載し、その中のEEPROM、強誘電体メモリ等の不揮発性メモリにID情報を予め記録しておく。あるいは、このID情報をバーコードなどの簡易な方法により構成してもよい。ID情報としては、少なくとも純正品を提供する製造メーカであることが分かればよいため、製造メーカの識別番号などであってもよい。そして、読取部106は、トナーカートリッジ108に付与されたID情報の形態によって異なり、バーコードの場合にはバーコードリーダであり、また、ICチップの場合には電気的あるいは高周波による読み取り手段で構成される。
【0055】
また、記憶部105には、トナーカートリッジの純正品のID情報が予め格納されており、トナーカートリッジ108の交換装着が確認されると、非純正品判定部101aは、読取部106で読み取られたトナーカートリッジ108のID情報と、記憶部105に格納されている純正品のID情報とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。なお、画像形成装置100の製造メーカは、その製造段階において、純正品のトナーカートリッジのID情報を全て記憶部105に格納しておくとよい。ID情報が一致した場合には、純正品と判定され、ID情報が一致しない場合には、非純正品と判定される。なお、非純正品の中には、ID情報が付与されていない場合も考えられるため、読取部106で読み取り不能であった場合も非純正品と判定するようにする。
【0056】
トナーカートリッジ108の交換装着は、センサ回路107により検知することができる。センサ回路107は、前述したように、各種センサ及びセンサからの信号を加工する周辺回路からなる。センサとしては、機械式あるいは光学式の扉センサ、カートリッジセンサで構成される。扉センサは、画像形成装置100の扉の開閉状態を検出するセンサであり、また、カートリッジセンサは、トナーカートリッジ108が画像形成装置100に装着されているか否かを検出するためのセンサである。周辺回路としては、センサ出力の波形整形を行う波形整形回路、フィルタ回路、2値化回路、電圧レベル調整回路等が含まれ、センサ出力を、例えば、0−5Vの論理レベルを有するデジタル信号に変換する。
【0057】
制御部101は、センサ回路107でトナーカートリッジ108の交換があったことを検知した場合には、ICチップ108aにアクセスし、ID情報を読み取るように、読取部106に指示する。そして、非純正品判定部101aは、読取部106で読み取られたID情報と、記憶部105に記憶されているID情報とを比較することで、交換されたトナーカートリッジ108が純正品か、非純正品かの判定を行う。このようにして、非純正品判定部101aによりID情報の一致・不一致を判定することができる。読取部106で読み取り不能な場合にも、不一致、つまり、非純正品と判定されるものとする。
【0058】
以下、本発明の画像形成システムにおける画像形成装置の満杯検出機能について、コピーモードの場合を例に説明する。
図4は、本発明の画像形成装置による画像形成方法の一例を説明するためのフロー図である。また、図5は、画像形成装置が備える操作パネルの外観の一例を示す図であり、図6は、コピーモード時の初期画面の一例を示す図である。本例では図2の画像形成装置100の構成に基づき、センサ回路107がトナーカートリッジ108の装着を検出した際に、ID情報読み出し命令を発生させる場合について説明する。
【0059】
まず、制御部101は、トナーカートリッジ108の装着に伴い、センサ回路107からのID情報読み出し命令が発生したか否かを判定し(ステップS11)、ID情報読み出し命令が発生したと判定した場合(YESの場合)、読取部106に対して、トナーカートリッジ108のID情報の読み出しを指示する(ステップS12)。また、ステップS11において、ID情報読み出し命令が発生していないと判定した場合(NOの場合)、ステップS11で待機状態に移行する。
【0060】
次に、制御部101(非純正品判定部101a)は、読取部106により読み出したID情報と、記憶部105に記憶されているID情報(登録済みID情報)とを比較する(ステップS13)。そして、両者が一致するか否かを判定し(ステップS14)、一致する場合(YESの場合)、トナーカートリッジ108は純正品と判定され、画像形成装置100は、ユーザによるコピー操作に従って、通常の初期画面を表示する(ステップS15)。
【0061】
ここで、通常の初期画面とは、例えば、コピーモード時においては、図6(A)に示すような初期画面300であり、「コピー読み込みできます。」というメッセージ301とともに、コピー時の各種コピー条件の設定をユーザから受け付けるための画面である。この初期画面300が操作パネル102の表示部102bに表示される。操作パネル102は、図5に示すように、操作部102aおよび表示部102bで構成され、表示部102bはタッチパネルになっている。そして、表示部102bはこのタッチパネルを介してユーザのタッチ操作による入力を受け付けることができ、例えば、コピーを行う場合、ユーザは操作部102aのコピーモード選択ボタン102dを押下することにより、通常、コピーモード時の初期画面300が表示部102bに表示される。
【0062】
次に、制御部101は、図5で示す操作パネルの印刷ボタン(スタートボタン)102cが押されたか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16で印刷ボタン102cが押下された場合(YESの場合)、満杯検出機能の上限枚数をデフォルトのまま、ステップS15で入力されたコピー条件に基づき、画像形成部103が記録紙に画像形成を行う(ステップS17)。また、ステップS16で印刷ボタン102cが押下されない場合(NOの場合)、押下されるまで待機する。
【0063】
また、ステップS14において、一致しない、あるいは、読取部106で読取不能であった場合(NOの場合)、トナーカートリッジ108は非純正品と判定され、画像形成装置100は、ユーザによるコピー操作に従って、満杯検出機能の上限枚数を小さくして印刷を行う旨のメッセージを付加した初期画面を表示する(ステップS18)。ここで、満杯検出機能の上限枚数を小さくして印刷を行う旨のメッセージを付加した初期画面とは、例えば、コピーモード時においては、図6(B)に示すような初期画面300′であり、「トナーカートリッジが非純正品のため満杯検出機能の上限枚数を小さくして印刷します。」というメッセージ303とともに、コピー時の各種コピー条件の設定をユーザから受け付けるための画面である。このように、排紙機能の一部(この例では満杯検出機能)を制限する場合、その理由がユーザに分かるように、トナーカートリッジ108が非純正品であるために制限される旨をメッセージ等で表示して報知することが望ましい。
【0064】
次に、制御部101は、図5で示す操作パネルの印刷ボタン(スタートボタン)102cが押されたか否かを判定する(ステップS19)。ステップS19で印刷ボタン102cが押下された場合(YESの場合)、満杯検出機能の上限枚数を小さくして、ステップS18で入力されたコピー条件に基づき、画像形成部103が記録紙に画像形成を行う(ステップS20)。また、ステップS19で印刷ボタン102cが押下されない場合(NOの場合)、押下されるまで待機する。
【0065】
なお、ステップS14での判定結果は、純正品判定情報として画像形成装置100から情報処理装置200に送信される。そして、この純正品判定情報は情報処理装置200の記憶部203に記憶され、プリンタドライバ203aの起動時などに参照される。これにより、情報処理装置200側でもトナーカートリッジ108が非純正品であるか否かを判定することができる。また、ステップS14での判定結果を純正品判定情報として画像形成装置100の記憶部105に記憶しておいてもよい。この場合、情報処理装置200でプリンタドライバ203aが起動されたときに、情報処理装置200が画像形成装置100に対して純正品判定情報の送信を要求し、画像形成装置100から純正品判定情報を取得する。そして、画像形成装置100から取得した純正品判定情報に基づいて、情報処理装置200側でもトナーカートリッジ108が非純正品であるか否かを判定することができる。トナーカートリッジ108が非純正品と判定された場合、プリンタドライバ203aは、排紙機能の一部を制限する。本例の場合、満杯検出機能の上限枚数を小さく設定する。
【0066】
ここで、トナーカートリッジ108が非純正品と判定された場合に、満杯検出機能の制限に加えて、あるいは、満杯検出機能の代わりに、前述したオフセット排紙機能の設定を禁止するようにしてもよい。図7は、排紙機能に係る項目を選択可能に表示する排紙機能設定画面の一例を示す図である。図7(A)の排紙機能設定画面304は、コピー条件入力画面(コピー条件設定画面ともいう)に含まれる仕上げ設定画面の一例であり、図6(A)の初期画面300の仕上げボタン302が押下された場合に、表示部102bに表示される画面である。すなわち、トナーカートリッジ108が純正品と判定された場合に表示される画面である。図7(A)の例では、排紙機能に係る項目として、ソート、ステープル、パンチ、さらに、オフセット排紙305を選択入力することができる。
【0067】
また、図7(B)の排紙機能設定画面306は、排紙機能が制限されたコピー条件入力画面に含まれる仕上げ設定画面の一例であり、図6(B)の初期画面300′の仕上げボタン302′が押下された場合に、表示部102bに表示される画面である。すなわち、トナーカートリッジ108が非純正品と判定された場合に表示される画面である。図7(B)の例では、排紙機能に係る項目として、オフセット排紙305を非表示にして選択不可とし、「トナーカートリッジが非純正品のためオフセット排紙の設定はできません」というメッセージ307が表示される。なお、オフセット排紙305を非表示ではなく、グレーアウト表示により選択できないようにしてもよい。
【0068】
ここで、満杯検出機能の上限枚数を小さく制限する処理と、オフセット排紙機能の設定を禁止する処理との両方を実行するか、いずれか一方のみを実行するかは、ユーザの設定により適宜行えるようにすればよい。
【0069】
なお、図7(B)において、排紙機能設定画面306にオフセット排紙が表示されていない場合、ユーザは「キャンセル」ボタンを押下することができる。この場合、ユーザは、メッセージ307により、トナーカートリッジ108が非純正品であるために、オフセット排紙を設定できないことを認識しているため、非純正品のトナーカートリッジ108を純正品に再度交換するなどの処置を行なうことが考えられる。そして、純正品のトナーカートリッジに交換された場合、図4のフローが再度実行され、オフセット排紙を設定して画像形成を行うことが可能となる。
【0070】
ここで、前述の図2において、画像形成装置100は、例えば、画像形成装置100が設置されている環境下の温度及び/又は湿度を検出する検出部109を備える。そして、トナーカートリッジ108が非純正品であると判定され、且つ、検出部109により検出された温度及び/又は湿度が所定範囲内にない場合、制御部101は、入力可能な画像形成条件の入力を全て禁止し、画像形成処理を実行できないようにしてもよい。トナーカートリッジ108が非純正品である場合、所定範囲を超える高温・高湿、あるいは、低温・低湿の環境下では良好な画像形成処理を行うことは難しい。従って、画像形成条件の入力を全て禁止することで、無駄な画像形成処理が実行されないようにする。この場合も、画像形成処理を実行できない理由をユーザに報知し、トナーカートリッジの純正品への交換を促すことが望ましい。
【0071】
次に、画像形成装置100及び情報処理装置200からなる画像形成システムによる印刷処理例について説明する。前述の図2において、画像形成装置100は、非純正品判定部101aによる判定結果を情報処理装置200に送信する通信部104を備える。情報処理装置200のプリンタドライバ203aは、画像形成装置100からの判定結果が非純正品であった場合、排紙機能の一部を制限する。排紙機能の一部とは、例えば、前述の満杯検出機能、オフセット排紙機能である。プリンタドライバ203aは、表示部205に印刷条件入力画面(印刷条件設定画面ともいう)を表示することによって、種々の画像形成条件をユーザに提示すると共に、ユーザによる入力部204からの入力操作に応じて、画像形成条件を設定する。この画像形成条件は、印刷データと共に、通信部201を介して画像形成装置100に送られ、画像形成装置100では、画像形成条件に従って印刷データを画像形成部103で記録紙に印刷する。
【0072】
上記において、非純正品判定部101aによる判定結果は、純正品判定情報として画像形成装置100から情報処理装置200に送信される。そして、この純正品判定情報は情報処理装置200の記憶部203に記憶され、プリンタドライバ203aの起動時などに参照される。これにより、情報処理装置200側でもトナーカートリッジ108が非純正品であるか否かを判定することができる。また、非純正品判定部101aによる判定結果を純正品判定情報として画像形成装置100の記憶部105に記憶しておいてもよい。この場合、情報処理装置200でプリンタドライバ203aが起動されたときに、情報処理装置200が画像形成装置100に対して純正品判定情報の送信を要求し、画像形成装置100から純正品判定情報を取得する。そして、画像形成装置100から取得した純正品判定情報に基づいて、情報処理装置200側でもトナーカートリッジ108が非純正品であるか否かを判定することができる。
【0073】
以下、画像形成装置100の印刷処理における情報処理装置200のプリンタドライバ203aの画面例について図8〜図10に基づき説明する。図8は、情報処理装置200のプリンタドライバ203aにより表示される印刷条件入力画面の一例を示す図である。プリンタドライバ203aは、トナーカートリッジ108が非純正品であると判定した場合、満杯検出機能の上限枚数を小さく制限する。そして、プリンタドライバ203aは、図8の印刷条件入力画面310に、「トナーカートリッジが非純正品のため満杯検出機能の上限枚数を小さくして印刷します」というメッセージ311を表示させ、これによりユーザに満杯検出機能の上限枚数が引き下げられたことを報知する。
【0074】
図9、10は、情報処理装置200のプリンタドライバ203aにより表示される印刷条件入力画面の他の例を示す図である。プリンタドライバ203aは、トナーカートリッジ108が非純正品であると判定した場合、オフセット排紙機能を禁止するようにしてもよい。図9の画面例は、トナーカートリッジ108が純正品の場合の画面表示例を示す。図9の印刷条件入力画面312では、排紙機能の項目として、オフセット排紙313が選択可能に表示され、ユーザはこのオフセット排紙313を選択して設定することができる。一方、図10の画面例は、トナーカートリッジ108が非純正品の場合の画面表示例を示す。図10の印刷条件入力画面314では、排紙機能の項目として、オフセット排紙313が非表示とされ、「トナーカートリッジが非純正品のためオフセット排紙の設定はできません」というメッセージ315が表示される。つまり、オフセット排紙機能は選択できないように非表示となっている。この場合もオフセット排紙機能をグレーアウト表示して、選択不可にしてもよい。
【0075】
なお、図8〜図10の印刷条件入力画面310,312、314で「OK」ボタンが選択されると、前述したように、プリンタドライバ203aで設定した画像形成条件が印刷データと共に、通信部201を介して画像形成装置100に送られ、画像形成装置100では、画像形成条件に従って印刷データが画像形成部103で記録紙に印刷される。
【0076】
このように本発明によれば、装置内部にメーカが供給する純正品以外の非純正品が使用されていると判定された場合に、排紙機能の一部(満杯検出機能、オフセット排紙機能など)を制限することにより、ユーザの利便性を損なうことなく、排紙された印刷物の不整合や排紙ジャムなどを防止することができる。
【符号の説明】
【0077】
1…露光ユニット、2…現像器、3…感光体ドラム、4…クリーナユニット、5…帯電器、6…中間転写ベルトユニット、7…定着ユニット、10…転写ローラ、11a,11b…ピックアップローラ、12a,12b,12c,12d…搬送ローラ、13…レジストローラ、61…中間転写ベルト、62…中間転写ベルト駆動ローラ、63…中間転写ベルト従動ローラ、64…中間転写ローラ、65…中間転写ベルトクリーニングユニット、71…ヒートローラ、72…加圧ローラ、73…外部加熱ベルト、81…給紙カセット、82…手差し給紙カセット、90…画像読取手段、91…排紙トレイ、92…原稿載置台、93…光源ユニット、94…ミラーユニット、95…CCD、100…画像形成装置、101…制御部、101a…非純正品判定部、102…操作パネル、102a…操作部、102b,205…表示部、103…画像形成部、104,201…通信部、105,203…記憶部、106…読取部、107…センサ回路、108…トナーカートリッジ、108a…ICチップ、109…検出部、120…自動原稿処理装置、130…装置本体、200…情報処理装置、202…演算処理部、203a…プリンタドライバ、204…入力部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、方法、システム、及びプリンタドライバに関し、より詳細には、交換部品が非純正品か否かを判定する機能を備えた画像形成装置、方法、システム、及びプリンタドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像形成装置に使用される感光体ドラム、転写ベルト、トナーカートリッジなどの交換部品は印刷品位を保証するために、装置の販売メーカが純正品のサプライ品を供給しているが、販売メーカ以外の第3者によって互換部品としてサプライ品を販売するケースが増加している。互換部品は安価で供給されているものの印刷品位について全く保証されたものではなく、互換部品の販売者により機器のメンテナンスも行なわれていないのが現状である。また、一般的に複合機は非純正のサプライ品までサポートするように設計されていないので、非純正品を用いた場合には、高温・高湿、低温・低湿など環境条件により印刷のかすれ、かぶり等が顕著に発生してしまい、印刷品位の低下が問題になっていた。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献1には、交換部品が純正品か否かを識別可能な画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、トナーカートリッジに内蔵されているメモリタグからトナーの製造元社名情報を読み出し、読み出した社名情報と、予め記憶している社名情報とを比較し、一致する場合には、装着されているトナーカートリッジは純正品であると判定して表示部に社名情報を表示し、画像濃度補正動作を実行し、一方、一致しない場合には、装着されているトナーカートリッジは非純正品であると判定し、表示部に社名情報を表示せず、かつ、画像濃度補正動作を実行しない旨を表示する。
【0004】
また、特許文献2には、純正の消耗品の使用を前提とする第1モードと非純正の消耗品の使用を許可する第2モードとが選択可能な画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、装着されている消耗品が純正か非純正かを判定する消耗品判定手段と、印刷指示を受け付ける印刷ジョブ受付手段と、第1モードが選択された場合において、印刷ジョブ受付手段で印刷指示された色を再現するために使用する消耗品が、消耗品判定手段により非純正と判定された消耗品を含む場合は、非純正と判定された消耗品を使用することなく、純正と判定された消耗品のみを使用して画像を形成するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−266588号公報
【特許文献2】特開2009−300694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記の複合機の中には、例えば、満杯検出機能やオフセット排紙機能といった特殊な排紙機能を備えたものがある。まず、満杯検出機能について説明する。複合機の排紙トレイは通常印刷物を収容するスペースが限られているため、印刷物を排紙できる枚数には上限がある。この上限枚数を超えて印刷物の排紙を続けると、排紙された印刷物の高さが印刷物の排紙口の位置よりも高くなってしまう。この場合、排紙された印刷物の先端が先に排紙された印刷物の側面に衝突し、先に排紙された印刷物を押し出す形となり、正しい整合を行うことができない。また、先に排紙された印刷物により排紙口が塞がれてしまう場合には、印刷物の排紙が阻まれ、排紙ジャムが発生するという問題が生じる。
【0007】
これに対して、満杯検出機能は、排紙トレイに排紙された印刷物の枚数が予め設定された上限枚数に到達したことを検出する機能である。排紙トレイに排紙された印刷物の枚数が上限枚数に到達したことを検出した場合、印刷動作を一時停止させ、ユーザに印刷物の取り出しを促すことで、上記の問題を回避するようにしている。この満杯検出機能の上限枚数は、純正トナーを使用していることを前提として決められている。
【0008】
しかしながら、非純正トナーを使用する場合、定着プロセスにおける適切な定着温度が定かではない。このため、適切な印字が行われるように複合機の設定を変更して定着温度を純正トナーの場合より上げるなどの対応を取ることがある。このような対応を取った場合、印刷物としては所望のものが得られたとしても、定着温度を上げているため、定着プロセスを通過した印刷物はカールが大きくなる傾向がある。そして、このように大きくカールした印刷物を排紙トレイに排紙する場合、同じ枚数でも純正トナーの場合よりも嵩が増すため、満杯検出機能の上限枚数に到達する前に、上述のような印刷物の不整合や排紙ジャムなどが発生する可能性が高いと考えられる。
【0009】
次に、図11に基づきオフセット排紙機能について説明する。このオフセット排紙機能とは、排紙トレイに複数頁からなる印刷物を複数部排紙する際に、各部の区切りで長手方向両端が揃わないよう各部毎に短手方向にオフセットして(ずらして)排紙する機能である。図11の例では、401は割り込みコピー前の連続コピーによる印刷物、402は割り込みコピーによる印刷物、403は割り込みコピー後の連続コピーによる印刷物を示す。このように部単位で排紙された印刷物401〜403は、それぞれ各部の区切りで長手方向両端が揃わないようにオフセットされている。これにより、ユーザは、部単位で仕分けする必要がなく、仕分け作業の手間を軽減することができる。
【0010】
しかしながら、非純正トナーを使用した場合、上述の満杯検出機能と同様に、定着温度の上昇により印刷物に大きなカールが発生する。そして、大きくカールした印刷物を排紙トレイに排紙する場合、ただでさえ両端を揃えて印刷物を正しく整合させることは難しいが、この上さらに、オフセット排紙を行うと、不整合の程度が悪化し、印刷物がバラバラに排紙されてしまうことが懸念される。
【0011】
これに対して、上述の特許文献1,2に記載された技術は、トナーカートリッジが非純正品であることを検出すると良好な印刷が行えないため、画像濃度補正を禁止したり、あるいは、高画質が要求された場合には非純正品を使用せずに純正品のみで印刷を行うようにしたものであるが、上記のような問題については何ら考慮されていない。また、非純正品が使用されている場合には、印刷動作を禁止するという方法もあるが、一律に禁止してしまうと、ユーザの利便性を大きく損ねてしまうことになる。
【0012】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、交換部品に非純正品を使用した場合であっても、ユーザの利便性を損なうことなく、排紙された印刷物の不整合や排紙ジャムなどを防止することができる画像形成装置、方法、システム、及びプリンタドライバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、前記画像形成部を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、前記非純正品判定部により前記画像形成部の交換部品が非純正品と判定された場合、前記制御部は、前記画像形成部で画像形成された印刷物を排紙トレイに排紙する際の排紙機能の一部を制限することを特徴としたものである。
【0014】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記排紙機能の一部は、前記排紙トレイに排紙された印刷物の枚数が予め設定された上限枚数に到達したことを検出する満杯検出機能であり、前記制御部は、前記交換部品が純正品と判定された場合よりも、前記満杯検出機能の上限枚数を小さく制限することを特徴としたものである。
【0015】
第3の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記排紙機能の一部は、前記排紙トレイに複数頁からなる印刷物を複数部排紙する際に、各部の区切りで長手方向両端が揃わないよう該各部毎に短手方向にオフセットして排紙するオフセット排紙機能であり、前記制御部は、前記オフセット排紙機能の設定を禁止することを特徴としたものである。
【0016】
第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、前記制御部は、前記排紙機能に係る項目を選択可能に表示する際に、前記オフセット排紙機能の項目を非表示にするように制御することを特徴としたものである。
【0017】
第5の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、前記制御部は、前記排紙機能に係る項目を選択可能に表示する際に、前記オフセット排紙機能の項目をグレーアウト表示するように制御することを特徴としたものである。
【0018】
第6の技術手段は、第1〜第5のいずれか1の技術手段において、前記制御部は、前記排紙機能の一部を制限する場合、前記画像形成部の交換部品が非純正品であるために制限される旨を報知することを特徴としたものである。
【0019】
第7の技術手段は、画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、前記画像形成部を制御する制御部とを備えた画像形成装置による画像形成方法であって、前記非純正品判定部が、前記画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する判定ステップと、前記制御部が、前記判定ステップで非純正品と判定された場合、画像形成条件として、前記画像形成部で画像形成された印刷物を排紙トレイに排紙する際の排紙機能の一部を制限する排紙機能制限ステップと、前記画像形成部が、前記画像形成条件に基づいて、画像形成を行う画像形成ステップとを備えたことを特徴としたものである。
【0020】
第8の技術手段は、プリンタドライバがインストールされた情報処理装置と、該プリンタドライバにより制御される画像形成装置とがネットワークを介して接続された画像形成システムであって、前記画像形成装置は、画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、該非純正品判定部による判定結果を前記情報処理装置に送信する通信部とを備え、前記情報処理装置のプリンタドライバは、前記画像形成装置からの判定結果が非純正品であった場合、前記画像形成部で画像形成された印刷物を排紙トレイに排紙する際の排紙機能の一部を制限することを特徴としたものである。
【0021】
第9の技術手段は、第8の技術手段における画像形成システムを構成する情報処理装置にインストール可能なプリンタドライバである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、装置内部にメーカが供給する純正品以外の非純正品が使用されていると判定された場合に、排紙機能の一部(満杯検出機能、オフセット排紙機能など)を制限することにより、ユーザの利便性を損なうことなく、排紙された印刷物の不整合や排紙ジャムなどを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による画像形成装置を複合機として構成した実施形態を示す図である。
【図2】本発明による画像形成装置および情報処理装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図3】交換部品であるトナーカートリッジの一例を示す図である。
【図4】本発明の画像形成装置による画像形成方法の一例を説明するためのフロー図である。
【図5】画像形成装置が備える操作パネルの外観の一例を示す図である。
【図6】コピーモード時の初期画面の一例を示す図である。
【図7】排紙機能に係る項目を選択可能に表示する排紙機能設定画面の一例を示す図である。
【図8】情報処理装置のプリンタドライバにより表示される印刷条件入力画面の一例を示す図である。
【図9】情報処理装置のプリンタドライバにより表示される印刷条件入力画面の他の例を示す図である。
【図10】情報処理装置のプリンタドライバにより表示される印刷条件入力画面の他の例を示す図である。
【図11】オフセット排紙機能について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の画像形成装置、方法、システム、及びプリンタドライバの好適な実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明による画像形成装置を複合機として構成した実施形態を示す図で、スキャナ機能を備えた複合機として構成された画像形成装置の一例を示すものである。
画像形成装置100は、外部から伝送され、もしくはスキャナ(画像読み取り手段)で読み取った画像データを記録紙に画像形成するもので、装置本体130と、自動原稿処理装置120とにより構成されている。
【0026】
装置本体130は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等を有する。
装置本体130の上部には、透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、その上側には原稿載置台92に原稿を自動搬送する自動原稿処理装置120が取り付けられる。自動原稿処理装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0027】
装置本体130は、筐体内に収容される画像読取手段90を有している。画像読取手段90は、光源及び第1ミラーを保持する光源ユニット93と、第2及び第3ミラーを保持するミラーユニット94と、レンズ及びCCD95とから構成された縮小光学系の画像読取手段である。また、装置本体130には、図示しない操作パネルが設けられ、ユーザによる操作入力が可能となっている。また装置本体130には、外部接続された装置から画像データを入力する手段、あるいは可搬型の記録媒体から画像データを読み取る手段(いずれも図示せず)を備えている。
【0028】
画像形成装置100において扱われる画像データは、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。従って、現像器2、感光体ドラム(像担持体)3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、これらにより4つの画像ステーションが構成されている。
【0029】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
露光ユニット1には、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット1は、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。また、露光ユニット1としては、この他にも発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いる手法も採用できる。
【0030】
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0031】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、Y,M,C,Kの各色に対応して4本設けられている。
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。また、各中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
【0032】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0033】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本構成例では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0034】
上述のように各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化された静電像は、中間転写ベルト61で積層される。このように積層された静電像は、中間転写ベルト61の回転によって、後述の用紙と中間転写ベルト61の接触位置に配置される二次転写機構部である転写ローラ10によって記録紙に転写される。二次転写機構部としては、転写ローラに限らず、コロナチャージャや転写ベルトを用いることも可能である。
【0035】
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10は所定ニップで圧接されるとともに、転写ローラ10にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ10は、上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10若しくは中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)としている。
【0036】
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、若しくは転写ローラ10によって記録紙に転写が行われず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0037】
給紙カセット81は、画像形成に使用する記録紙(シート)を蓄積しておくためのトレイであり、装置本体130の露光ユニット1の下側に設けられている。また、手差し給紙カセット82にも画像形成に使用する記録紙を置くことができる。装置本体110の上方に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みの記録紙をフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0038】
また、装置本体110には、給紙カセット81及び手差し給紙カセット82の記録紙を転写ローラ10や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状の用紙搬送路S1が設けられている。給紙カセット81ないし手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの用紙搬送路S1の近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d,レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
【0039】
搬送ローラ12a〜12dは、記録紙の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路S1に沿って複数設けられている。また、ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から記録紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路S1に供給する。同様に、ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82から記録紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路S1に供給する。
【0040】
また、レジストローラ13は、用紙搬送路S1を搬送されている記録紙を一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と記録紙の先端を合わせるタイミングで記録紙を転写ローラ10に搬送する機能を有している。
【0041】
定着ユニット7は、ヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えている。ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、記録紙を挟んで回転するようになっている。またヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御手段によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーを記録紙に熱圧着することにより、記録紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、記録紙に対して熱定着させる機能を有している。また、ヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
【0042】
次に、記録紙の搬送経路をより具体的に説明する。上述のように、画像形成装置100には、予め記録紙を収納する給紙カセット81、及び手差し給紙カセット82が設けられている。これら給紙カセット81,82から記録紙を給紙するために、各々ピックアップローラ11a,11bが配置され、記録紙を1枚ずつ用紙搬送路S1に導くようになっている。
【0043】
各給紙カセット81,82から搬送される記録紙は、用紙搬送路S1の搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、記録紙の先端と中間転写ベルト61上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、記録紙上に画像情報が書き込まれる。その後、記録紙は定着ユニット7を通過することによって記録紙上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、その後に配された搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
【0044】
上記の搬送経路は、記録紙に対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求のときは、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過した記録紙の後端が最終の搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによって記録紙を搬送ローラ12c,12dが配された搬送路S2に導く。そして、搬送路S2は搬送路S1に合流して、記録紙はレジストローラ13から転写ローラ10に搬送される。このとき、搬送路S2からS1に合流する段階で記録紙の表裏が反転されているため、転写ローラ10では記録紙の裏面に印刷が行わる。そして裏面に印刷された記録紙は定着ユニット7で定着され、排紙トレイ91に排出される。
【0045】
図2は、本発明による画像形成装置および情報処理装置の要部構成例を示すブロック図である。画像形成装置100は、例えば、上述の複合機として構成され、画像形成装置100の各機能を制御し内部にCPU,ROM,RAM等を有するマイクロコンピュータによって実現される制御部101と、操作部102a及び表示部102bからなる操作パネル102と、制御部101の制御に従って記録紙上に画像データの画像形成を行う画像形成部103と、ネットワークNを介して情報処理装置200と接続するための通信部104と、ハードディスクなどの記憶部105と、トナーカートリッジ108に付与されたICチップからID情報を読み取る読取部106と、各種センサ及びセンサからの信号を加工する周辺回路からなるセンサ回路107と、交換部品の一例であるトナーカートリッジ108と、温度及び/又は湿度を検出する検出部109とを備えて構成される。
【0046】
操作パネル102は、操作部102a及び表示部102bで構成され、操作部102aは、ユーザによる操作入力を受け付けて制御部101に出力する。また、表示部102bは、操作用の画面や各種情報を表示させる。操作部102aと表示部102bによって、操作画面に対して入力操作が可能なタッチパネルが構成されている。
【0047】
また、情報処理装置200は、例えば、汎用的なPC(パーソナルコンピュータ)であり、ネットワークNを介して画像形成装置100と接続するための通信部201と、情報処理装置200の各機能を制御するためのCPU,RAM,ROM等からなる演算処理部202と、プリンタドライバ203aがインストールされたハードディスクなどの記憶部203と、キーボードやマウスなどの入力部204と、液晶ディスプレイ等の表示部205とを備えて構成される。プリンタドライバ203aは、画像形成装置100を制御して、画像形成処理(印刷処理)を実行させるためのソフトウェア(プログラム)である。このプリンタドライバ203aは、印刷実行時に、演算処理部202によって記憶部203から読み出され、演算処理部202のRAM上で展開され実行される。
【0048】
本発明の主たる目的は、交換部品に非純正品を使用した場合であっても、ユーザの利便性を損なうことなく、排紙された印刷物の不整合や排紙ジャムなどを防止できるようにすることにある。このための構成として、画像形成装置100は、画像形成部103の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部101aと、画像形成部103を制御する制御部101とを備え、非純正品判定部101aにより画像形成部103の交換部品が非純正品と判定された場合、制御部101は、画像形成部103で画像形成された印刷物を排紙トレイ(例えば、図1の排紙トレイ91)に排紙する際の排紙機能の一部を制限する。なお、非純正品判定部101aは、制御部101の一機能として実現される。
【0049】
排紙機能の一部は、例えば、排紙トレイに排紙された印刷物の枚数が予め設定された上限枚数に到達したことを検出する満杯検出機能である。満杯検出機能はデフォルトでは有効に設定されている。具体的には、例えば、排紙トレイに印刷物検知センサ(図示せず)が設けられており、このセンサで印刷物を検知した場合、検知している間は継続的に印刷物の枚数をカウントする。カウントの途中で排紙トレイから印刷物が取り除かれたことを検知した場合には、カウントをリセットし、最初からカウントをやり直す。このようにカウントした枚数が上限枚数に到達した場合、印刷動作を一時停止させ、ユーザに印刷物の取り出しを促すための警告等を行うように構成されている。
【0050】
トナーカートリッジ108が非純正品と判定された場合、制御部101は、交換部品が純正品と判定された場合よりも、満杯検出機能の上限枚数を小さく制限する。通常この満杯検出機能の上限枚数は、交換部品が純正品であることを前提に、例えば500枚などと予め設定されている。そして、制御部101は、非純正品判定部101aによりトナーカートリッジ108が非純正品と判定された場合、満杯検出機能の上限枚数を例えば400枚に小さく制限する。これらの上限枚数は記憶部105に予め記憶しておけばよい。
【0051】
また、排紙機能の一部は、排紙トレイに複数頁からなる印刷物を複数部排紙する際に、各部の区切りで長手方向両端が揃わないよう各部毎に短手方向にオフセットして排紙するオフセット排紙機能であってもよい。この場合、制御部101は、非純正品判定部101aによりトナーカートリッジ108が非純正品と判定された場合に、オフセット排紙機能の設定を禁止する。
【0052】
上記において、交換部品とは、機能から見れば装置の一部を構成し、交換により性能が回復・保持できるものをいう。例えば、画像形成装置100の場合、トナーカートリッジ(あるいは現像カートリッジ)、感光体カートリッジ、現像部材と感光体が一体的に形成されたカートリッジ、インクカートリッジ、インクタンクと印字ヘッドが一体的に形成されたカートリッジ、熱転写方式用のインクシートカートリッジ等が相当する。そして、これらの交換部品をサプライ品と呼ぶ場合がある。本実施形態の説明では、交換部品としてトナーカートリッジ108を例示して説明するが、これに限定されるものではない。
【0053】
図2において、非純正品判定部101aは、画像形成装置100に装着されたトナーカートリッジ108が純正品か、非純正品かの判定を行う。非純正品の判定方法としては、前述の特許文献1,2に記載の技術をはじめ、例えば、特開2002−202697号公報、特開2009−145396号公報など従来公知の技術を用いて実現することができ、その方法について特に限定されるものではない。以下、非純正品判定部101aによる非純正品の判定方法として、画像形成装置100内で判定を行う場合を例示して説明するが、外部のサーバ装置等を利用して判定を行うようにしてもよい。
【0054】
トナーカートリッジ108には、トナーカートリッジ108を個別に特定し得る固有のID情報が記録されている。例えば、図3に示すように、ICチップ108aとして搭載し、その中のEEPROM、強誘電体メモリ等の不揮発性メモリにID情報を予め記録しておく。あるいは、このID情報をバーコードなどの簡易な方法により構成してもよい。ID情報としては、少なくとも純正品を提供する製造メーカであることが分かればよいため、製造メーカの識別番号などであってもよい。そして、読取部106は、トナーカートリッジ108に付与されたID情報の形態によって異なり、バーコードの場合にはバーコードリーダであり、また、ICチップの場合には電気的あるいは高周波による読み取り手段で構成される。
【0055】
また、記憶部105には、トナーカートリッジの純正品のID情報が予め格納されており、トナーカートリッジ108の交換装着が確認されると、非純正品判定部101aは、読取部106で読み取られたトナーカートリッジ108のID情報と、記憶部105に格納されている純正品のID情報とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。なお、画像形成装置100の製造メーカは、その製造段階において、純正品のトナーカートリッジのID情報を全て記憶部105に格納しておくとよい。ID情報が一致した場合には、純正品と判定され、ID情報が一致しない場合には、非純正品と判定される。なお、非純正品の中には、ID情報が付与されていない場合も考えられるため、読取部106で読み取り不能であった場合も非純正品と判定するようにする。
【0056】
トナーカートリッジ108の交換装着は、センサ回路107により検知することができる。センサ回路107は、前述したように、各種センサ及びセンサからの信号を加工する周辺回路からなる。センサとしては、機械式あるいは光学式の扉センサ、カートリッジセンサで構成される。扉センサは、画像形成装置100の扉の開閉状態を検出するセンサであり、また、カートリッジセンサは、トナーカートリッジ108が画像形成装置100に装着されているか否かを検出するためのセンサである。周辺回路としては、センサ出力の波形整形を行う波形整形回路、フィルタ回路、2値化回路、電圧レベル調整回路等が含まれ、センサ出力を、例えば、0−5Vの論理レベルを有するデジタル信号に変換する。
【0057】
制御部101は、センサ回路107でトナーカートリッジ108の交換があったことを検知した場合には、ICチップ108aにアクセスし、ID情報を読み取るように、読取部106に指示する。そして、非純正品判定部101aは、読取部106で読み取られたID情報と、記憶部105に記憶されているID情報とを比較することで、交換されたトナーカートリッジ108が純正品か、非純正品かの判定を行う。このようにして、非純正品判定部101aによりID情報の一致・不一致を判定することができる。読取部106で読み取り不能な場合にも、不一致、つまり、非純正品と判定されるものとする。
【0058】
以下、本発明の画像形成システムにおける画像形成装置の満杯検出機能について、コピーモードの場合を例に説明する。
図4は、本発明の画像形成装置による画像形成方法の一例を説明するためのフロー図である。また、図5は、画像形成装置が備える操作パネルの外観の一例を示す図であり、図6は、コピーモード時の初期画面の一例を示す図である。本例では図2の画像形成装置100の構成に基づき、センサ回路107がトナーカートリッジ108の装着を検出した際に、ID情報読み出し命令を発生させる場合について説明する。
【0059】
まず、制御部101は、トナーカートリッジ108の装着に伴い、センサ回路107からのID情報読み出し命令が発生したか否かを判定し(ステップS11)、ID情報読み出し命令が発生したと判定した場合(YESの場合)、読取部106に対して、トナーカートリッジ108のID情報の読み出しを指示する(ステップS12)。また、ステップS11において、ID情報読み出し命令が発生していないと判定した場合(NOの場合)、ステップS11で待機状態に移行する。
【0060】
次に、制御部101(非純正品判定部101a)は、読取部106により読み出したID情報と、記憶部105に記憶されているID情報(登録済みID情報)とを比較する(ステップS13)。そして、両者が一致するか否かを判定し(ステップS14)、一致する場合(YESの場合)、トナーカートリッジ108は純正品と判定され、画像形成装置100は、ユーザによるコピー操作に従って、通常の初期画面を表示する(ステップS15)。
【0061】
ここで、通常の初期画面とは、例えば、コピーモード時においては、図6(A)に示すような初期画面300であり、「コピー読み込みできます。」というメッセージ301とともに、コピー時の各種コピー条件の設定をユーザから受け付けるための画面である。この初期画面300が操作パネル102の表示部102bに表示される。操作パネル102は、図5に示すように、操作部102aおよび表示部102bで構成され、表示部102bはタッチパネルになっている。そして、表示部102bはこのタッチパネルを介してユーザのタッチ操作による入力を受け付けることができ、例えば、コピーを行う場合、ユーザは操作部102aのコピーモード選択ボタン102dを押下することにより、通常、コピーモード時の初期画面300が表示部102bに表示される。
【0062】
次に、制御部101は、図5で示す操作パネルの印刷ボタン(スタートボタン)102cが押されたか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16で印刷ボタン102cが押下された場合(YESの場合)、満杯検出機能の上限枚数をデフォルトのまま、ステップS15で入力されたコピー条件に基づき、画像形成部103が記録紙に画像形成を行う(ステップS17)。また、ステップS16で印刷ボタン102cが押下されない場合(NOの場合)、押下されるまで待機する。
【0063】
また、ステップS14において、一致しない、あるいは、読取部106で読取不能であった場合(NOの場合)、トナーカートリッジ108は非純正品と判定され、画像形成装置100は、ユーザによるコピー操作に従って、満杯検出機能の上限枚数を小さくして印刷を行う旨のメッセージを付加した初期画面を表示する(ステップS18)。ここで、満杯検出機能の上限枚数を小さくして印刷を行う旨のメッセージを付加した初期画面とは、例えば、コピーモード時においては、図6(B)に示すような初期画面300′であり、「トナーカートリッジが非純正品のため満杯検出機能の上限枚数を小さくして印刷します。」というメッセージ303とともに、コピー時の各種コピー条件の設定をユーザから受け付けるための画面である。このように、排紙機能の一部(この例では満杯検出機能)を制限する場合、その理由がユーザに分かるように、トナーカートリッジ108が非純正品であるために制限される旨をメッセージ等で表示して報知することが望ましい。
【0064】
次に、制御部101は、図5で示す操作パネルの印刷ボタン(スタートボタン)102cが押されたか否かを判定する(ステップS19)。ステップS19で印刷ボタン102cが押下された場合(YESの場合)、満杯検出機能の上限枚数を小さくして、ステップS18で入力されたコピー条件に基づき、画像形成部103が記録紙に画像形成を行う(ステップS20)。また、ステップS19で印刷ボタン102cが押下されない場合(NOの場合)、押下されるまで待機する。
【0065】
なお、ステップS14での判定結果は、純正品判定情報として画像形成装置100から情報処理装置200に送信される。そして、この純正品判定情報は情報処理装置200の記憶部203に記憶され、プリンタドライバ203aの起動時などに参照される。これにより、情報処理装置200側でもトナーカートリッジ108が非純正品であるか否かを判定することができる。また、ステップS14での判定結果を純正品判定情報として画像形成装置100の記憶部105に記憶しておいてもよい。この場合、情報処理装置200でプリンタドライバ203aが起動されたときに、情報処理装置200が画像形成装置100に対して純正品判定情報の送信を要求し、画像形成装置100から純正品判定情報を取得する。そして、画像形成装置100から取得した純正品判定情報に基づいて、情報処理装置200側でもトナーカートリッジ108が非純正品であるか否かを判定することができる。トナーカートリッジ108が非純正品と判定された場合、プリンタドライバ203aは、排紙機能の一部を制限する。本例の場合、満杯検出機能の上限枚数を小さく設定する。
【0066】
ここで、トナーカートリッジ108が非純正品と判定された場合に、満杯検出機能の制限に加えて、あるいは、満杯検出機能の代わりに、前述したオフセット排紙機能の設定を禁止するようにしてもよい。図7は、排紙機能に係る項目を選択可能に表示する排紙機能設定画面の一例を示す図である。図7(A)の排紙機能設定画面304は、コピー条件入力画面(コピー条件設定画面ともいう)に含まれる仕上げ設定画面の一例であり、図6(A)の初期画面300の仕上げボタン302が押下された場合に、表示部102bに表示される画面である。すなわち、トナーカートリッジ108が純正品と判定された場合に表示される画面である。図7(A)の例では、排紙機能に係る項目として、ソート、ステープル、パンチ、さらに、オフセット排紙305を選択入力することができる。
【0067】
また、図7(B)の排紙機能設定画面306は、排紙機能が制限されたコピー条件入力画面に含まれる仕上げ設定画面の一例であり、図6(B)の初期画面300′の仕上げボタン302′が押下された場合に、表示部102bに表示される画面である。すなわち、トナーカートリッジ108が非純正品と判定された場合に表示される画面である。図7(B)の例では、排紙機能に係る項目として、オフセット排紙305を非表示にして選択不可とし、「トナーカートリッジが非純正品のためオフセット排紙の設定はできません」というメッセージ307が表示される。なお、オフセット排紙305を非表示ではなく、グレーアウト表示により選択できないようにしてもよい。
【0068】
ここで、満杯検出機能の上限枚数を小さく制限する処理と、オフセット排紙機能の設定を禁止する処理との両方を実行するか、いずれか一方のみを実行するかは、ユーザの設定により適宜行えるようにすればよい。
【0069】
なお、図7(B)において、排紙機能設定画面306にオフセット排紙が表示されていない場合、ユーザは「キャンセル」ボタンを押下することができる。この場合、ユーザは、メッセージ307により、トナーカートリッジ108が非純正品であるために、オフセット排紙を設定できないことを認識しているため、非純正品のトナーカートリッジ108を純正品に再度交換するなどの処置を行なうことが考えられる。そして、純正品のトナーカートリッジに交換された場合、図4のフローが再度実行され、オフセット排紙を設定して画像形成を行うことが可能となる。
【0070】
ここで、前述の図2において、画像形成装置100は、例えば、画像形成装置100が設置されている環境下の温度及び/又は湿度を検出する検出部109を備える。そして、トナーカートリッジ108が非純正品であると判定され、且つ、検出部109により検出された温度及び/又は湿度が所定範囲内にない場合、制御部101は、入力可能な画像形成条件の入力を全て禁止し、画像形成処理を実行できないようにしてもよい。トナーカートリッジ108が非純正品である場合、所定範囲を超える高温・高湿、あるいは、低温・低湿の環境下では良好な画像形成処理を行うことは難しい。従って、画像形成条件の入力を全て禁止することで、無駄な画像形成処理が実行されないようにする。この場合も、画像形成処理を実行できない理由をユーザに報知し、トナーカートリッジの純正品への交換を促すことが望ましい。
【0071】
次に、画像形成装置100及び情報処理装置200からなる画像形成システムによる印刷処理例について説明する。前述の図2において、画像形成装置100は、非純正品判定部101aによる判定結果を情報処理装置200に送信する通信部104を備える。情報処理装置200のプリンタドライバ203aは、画像形成装置100からの判定結果が非純正品であった場合、排紙機能の一部を制限する。排紙機能の一部とは、例えば、前述の満杯検出機能、オフセット排紙機能である。プリンタドライバ203aは、表示部205に印刷条件入力画面(印刷条件設定画面ともいう)を表示することによって、種々の画像形成条件をユーザに提示すると共に、ユーザによる入力部204からの入力操作に応じて、画像形成条件を設定する。この画像形成条件は、印刷データと共に、通信部201を介して画像形成装置100に送られ、画像形成装置100では、画像形成条件に従って印刷データを画像形成部103で記録紙に印刷する。
【0072】
上記において、非純正品判定部101aによる判定結果は、純正品判定情報として画像形成装置100から情報処理装置200に送信される。そして、この純正品判定情報は情報処理装置200の記憶部203に記憶され、プリンタドライバ203aの起動時などに参照される。これにより、情報処理装置200側でもトナーカートリッジ108が非純正品であるか否かを判定することができる。また、非純正品判定部101aによる判定結果を純正品判定情報として画像形成装置100の記憶部105に記憶しておいてもよい。この場合、情報処理装置200でプリンタドライバ203aが起動されたときに、情報処理装置200が画像形成装置100に対して純正品判定情報の送信を要求し、画像形成装置100から純正品判定情報を取得する。そして、画像形成装置100から取得した純正品判定情報に基づいて、情報処理装置200側でもトナーカートリッジ108が非純正品であるか否かを判定することができる。
【0073】
以下、画像形成装置100の印刷処理における情報処理装置200のプリンタドライバ203aの画面例について図8〜図10に基づき説明する。図8は、情報処理装置200のプリンタドライバ203aにより表示される印刷条件入力画面の一例を示す図である。プリンタドライバ203aは、トナーカートリッジ108が非純正品であると判定した場合、満杯検出機能の上限枚数を小さく制限する。そして、プリンタドライバ203aは、図8の印刷条件入力画面310に、「トナーカートリッジが非純正品のため満杯検出機能の上限枚数を小さくして印刷します」というメッセージ311を表示させ、これによりユーザに満杯検出機能の上限枚数が引き下げられたことを報知する。
【0074】
図9、10は、情報処理装置200のプリンタドライバ203aにより表示される印刷条件入力画面の他の例を示す図である。プリンタドライバ203aは、トナーカートリッジ108が非純正品であると判定した場合、オフセット排紙機能を禁止するようにしてもよい。図9の画面例は、トナーカートリッジ108が純正品の場合の画面表示例を示す。図9の印刷条件入力画面312では、排紙機能の項目として、オフセット排紙313が選択可能に表示され、ユーザはこのオフセット排紙313を選択して設定することができる。一方、図10の画面例は、トナーカートリッジ108が非純正品の場合の画面表示例を示す。図10の印刷条件入力画面314では、排紙機能の項目として、オフセット排紙313が非表示とされ、「トナーカートリッジが非純正品のためオフセット排紙の設定はできません」というメッセージ315が表示される。つまり、オフセット排紙機能は選択できないように非表示となっている。この場合もオフセット排紙機能をグレーアウト表示して、選択不可にしてもよい。
【0075】
なお、図8〜図10の印刷条件入力画面310,312、314で「OK」ボタンが選択されると、前述したように、プリンタドライバ203aで設定した画像形成条件が印刷データと共に、通信部201を介して画像形成装置100に送られ、画像形成装置100では、画像形成条件に従って印刷データが画像形成部103で記録紙に印刷される。
【0076】
このように本発明によれば、装置内部にメーカが供給する純正品以外の非純正品が使用されていると判定された場合に、排紙機能の一部(満杯検出機能、オフセット排紙機能など)を制限することにより、ユーザの利便性を損なうことなく、排紙された印刷物の不整合や排紙ジャムなどを防止することができる。
【符号の説明】
【0077】
1…露光ユニット、2…現像器、3…感光体ドラム、4…クリーナユニット、5…帯電器、6…中間転写ベルトユニット、7…定着ユニット、10…転写ローラ、11a,11b…ピックアップローラ、12a,12b,12c,12d…搬送ローラ、13…レジストローラ、61…中間転写ベルト、62…中間転写ベルト駆動ローラ、63…中間転写ベルト従動ローラ、64…中間転写ローラ、65…中間転写ベルトクリーニングユニット、71…ヒートローラ、72…加圧ローラ、73…外部加熱ベルト、81…給紙カセット、82…手差し給紙カセット、90…画像読取手段、91…排紙トレイ、92…原稿載置台、93…光源ユニット、94…ミラーユニット、95…CCD、100…画像形成装置、101…制御部、101a…非純正品判定部、102…操作パネル、102a…操作部、102b,205…表示部、103…画像形成部、104,201…通信部、105,203…記憶部、106…読取部、107…センサ回路、108…トナーカートリッジ、108a…ICチップ、109…検出部、120…自動原稿処理装置、130…装置本体、200…情報処理装置、202…演算処理部、203a…プリンタドライバ、204…入力部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、前記画像形成部を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記非純正品判定部により前記画像形成部の交換部品が非純正品と判定された場合、前記制御部は、前記画像形成部で画像形成された印刷物を排紙トレイに排紙する際の排紙機能の一部を制限することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記排紙機能の一部は、前記排紙トレイに排紙された印刷物の枚数が予め設定された上限枚数に到達したことを検出する満杯検出機能であり、前記制御部は、前記交換部品が純正品と判定された場合よりも、前記満杯検出機能の上限枚数を小さく制限することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記排紙機能の一部は、前記排紙トレイに複数頁からなる印刷物を複数部排紙する際に、各部の区切りで長手方向両端が揃わないよう該各部毎に短手方向にオフセットして排紙するオフセット排紙機能であり、前記制御部は、前記オフセット排紙機能の設定を禁止することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記排紙機能に係る項目を選択可能に表示する際に、前記オフセット排紙機能の項目を非表示にするように制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記排紙機能に係る項目を選択可能に表示する際に、前記オフセット排紙機能の項目をグレーアウト表示するように制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記排紙機能の一部を制限する場合、前記画像形成部の交換部品が非純正品であるために制限される旨を報知することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、前記画像形成部を制御する制御部とを備えた画像形成装置による画像形成方法であって、
前記非純正品判定部が、前記画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する判定ステップと、
前記制御部が、前記判定ステップで非純正品と判定された場合、画像形成条件として、前記画像形成部で画像形成された印刷物を排紙トレイに排紙する際の排紙機能の一部を制限する排紙機能制限ステップと、
前記画像形成部が、前記画像形成条件に基づいて、画像形成を行う画像形成ステップとを備えたことを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
プリンタドライバがインストールされた情報処理装置と、該プリンタドライバにより制御される画像形成装置とがネットワークを介して接続された画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、該非純正品判定部による判定結果を前記情報処理装置に送信する通信部とを備え、
前記情報処理装置のプリンタドライバは、前記画像形成装置からの判定結果が非純正品であった場合、前記画像形成部で画像形成された印刷物を排紙トレイに排紙する際の排紙機能の一部を制限することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成システムを構成する情報処理装置にインストール可能なプリンタドライバ。
【請求項1】
画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、前記画像形成部を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記非純正品判定部により前記画像形成部の交換部品が非純正品と判定された場合、前記制御部は、前記画像形成部で画像形成された印刷物を排紙トレイに排紙する際の排紙機能の一部を制限することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記排紙機能の一部は、前記排紙トレイに排紙された印刷物の枚数が予め設定された上限枚数に到達したことを検出する満杯検出機能であり、前記制御部は、前記交換部品が純正品と判定された場合よりも、前記満杯検出機能の上限枚数を小さく制限することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記排紙機能の一部は、前記排紙トレイに複数頁からなる印刷物を複数部排紙する際に、各部の区切りで長手方向両端が揃わないよう該各部毎に短手方向にオフセットして排紙するオフセット排紙機能であり、前記制御部は、前記オフセット排紙機能の設定を禁止することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記排紙機能に係る項目を選択可能に表示する際に、前記オフセット排紙機能の項目を非表示にするように制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記排紙機能に係る項目を選択可能に表示する際に、前記オフセット排紙機能の項目をグレーアウト表示するように制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記排紙機能の一部を制限する場合、前記画像形成部の交換部品が非純正品であるために制限される旨を報知することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、前記画像形成部を制御する制御部とを備えた画像形成装置による画像形成方法であって、
前記非純正品判定部が、前記画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する判定ステップと、
前記制御部が、前記判定ステップで非純正品と判定された場合、画像形成条件として、前記画像形成部で画像形成された印刷物を排紙トレイに排紙する際の排紙機能の一部を制限する排紙機能制限ステップと、
前記画像形成部が、前記画像形成条件に基づいて、画像形成を行う画像形成ステップとを備えたことを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
プリンタドライバがインストールされた情報処理装置と、該プリンタドライバにより制御される画像形成装置とがネットワークを介して接続された画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、該非純正品判定部による判定結果を前記情報処理装置に送信する通信部とを備え、
前記情報処理装置のプリンタドライバは、前記画像形成装置からの判定結果が非純正品であった場合、前記画像形成部で画像形成された印刷物を排紙トレイに排紙する際の排紙機能の一部を制限することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成システムを構成する情報処理装置にインストール可能なプリンタドライバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−104948(P2013−104948A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247326(P2011−247326)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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