説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法及びプログラム

【課題】 断裁処理の際に発生する断裁の位置ずれをユーザが容易に検出できる仕組みを提供する
【解決手段】
搬送されるシートを製本して束ねた後、シート束に対して裁断処理を行う画像形成装置において、シートに対して設定される裁断位置からシートの外周側にマークを付加すべき領域を設定する。そして、マークを付加すべき領域に対する設定に従い入力される印刷情報にマーク画像を付加した印刷データを生成する。そして、印刷データを印刷する印刷したら、印刷したシートを製本して束ねた後、裁断位置に従いシート束から所定領域を裁断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機などの画像形成装置において、シートに後処理を行うための後処理装置を接続することで用紙の中央部を綴じる中綴じ処理や、用紙の中央部を折る中折り処理といった製本処理を行う画像形成装置が提供されている。製本処理された用紙束は、周囲にある余白部分を切り落とす断裁処理により、端部の仕上げを行っている。
【0003】
そして、製本処理によって完成した製本物は、印刷処理における印字の位置ずれ、中綴じ・中折り処理におけるや製本の位置ずれ、または断裁処理における断裁の位置ずれ等の問題がないことが確かめられなければならない。通常、製本検品作業では、検品者が1冊ずつ手に取り目視確認が行われる。
しかし、目視確認による製本検品作業には、検品者の見落としが要因で検品精度を損なう問題や、多くの部数の製本物を1冊ごと全ページにわたって確認することが要因で検品者の作業負荷が大きくなる問題等が懸念される。
【0004】
これらの問題点に対して、特許文献1に記載の技術では、製本物における落丁や乱丁を目視確認により検出するために、製本物の天またはシケタに特定の図形を構成するようなマークを付加する。そして、検品者は製本物に付加されたマークの形状が正しく形成されているかを確認することにより、容易かつ確実に乱丁を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−47771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1で示される製本検品用のマークはシートの外周に沿って付加される。従って、断裁処理の際に断裁の位置ずれが発生したとしても、断裁処理後のシートにはマークは何ら残らないため、ユーザは断裁の位置ずれに容易に気付くことができないという課題がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、断裁処理の際に発生する断裁の位置ずれをユーザが容易に検出できる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は以下に示す構成を備える。
シートに印刷する画像データを取得する取得手段と、前記シートを断裁する断裁処理を実行するか否かを設定する第1の設定手段と、前記第1の設定手段によって前記断裁処理を実行すると設定された場合に、前記画像データに基づいて印刷を実行すると共に、前記断裁処理が実行される断裁位置を基準にシートの外周側にマークを印刷する印刷手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、断裁処理の際に発生する断裁の位置ずれをユーザは容易に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像形成システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した操作表示装置を示す平面図である。
【図4】図1に示したフィニッシャの構成を示す断面図である。
【図5】フィニッシャ制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示したトリマの構成を示す断面図である。
【図7】裁断処理を説明する図である。
【図8】図1に示したトリマ制御部を説明するブロック図である。
【図9】図1に示したフィニッシャの構成を示す断面図である。
【図10】図1に示したフィニッシャの構成を示す断面図である。
【図11A】図1に示したトリマの構成を示す断面図である。
【図11B】図1に示したトリマの構成を示す断面図である。
【図12】製本処理並びに裁断処理を説明する図である
【図13A】図1に示した操作表示装置に表示されるUI画面を示す図である。
【図13B】図1に示した操作表示装置に表示されるUI画面を示す図である。
【図14A】図1に示した操作表示装置に表示されるUI画面を示す図である。
【図14B】図1に示した操作表示装置に表示されるUI画面を示す図である。
【図15】裁断領域を説明する図である。
【図16】製本位置ずれ並びに裁断位置ずれを含む落丁を説明する図である。
【図17】画像形成装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図18】マーク領域の設定方法及び設定されたマーク領域を示す図である。
【図19】マーク領域の設定方法及び設定されたマーク領域を示す図である。
【図20】印刷されるマーク領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態を示す画像形成装置を適用する画像形成システムの構成を示す図である。本例に示す画像形成システムは、画像形成装置10、フィニッシャ500およびトリマ900から構成される。画像形成装置10は、原稿画像を読み取るイメージリーダ200、プリンタ300、操作表示装置400および画像形成システム全体の制御を司るコントローラ(不図示)を有する。なお、本実施形態では、搬送されるシートを製本する製本ユニットにより製本して束ねた後、シート束に対して裁断処理を行う裁断ユニット(トリマ)を備える画像形成装置の一例を用いて製本処理、裁断処理について詳述する。したがって、本実施形態に示す製本経路や裁断経路が異なる経路の画像形成装置であっても、本発明を適用可能である。つまり、裁断処理や製本処理を別のユニットで行う画像形成装置であっても、本発明を適用可能である。なお、トリマは、印刷したシートを製本して束ねた後、裁断位置に従いシート束から所定領域を裁断するが、詳細は後述する。
【0012】
図1において、イメージリーダ200には、原稿給送装置100が搭載されている。原稿給送装置100は、原稿トレイ上に上向きにセットされた原稿を先頭頁から順に1枚ずつ図中左方向へ給紙する。さらに、湾曲したパスを経由してプラテンガラス102上を左側から流し読取り位置を経て右側へ搬送し、その後、外部の排紙トレイ112に向けて排出する。
【0013】
原稿がプラテンガラス102上の流し読取り位置を左側から右側へ向けて通過する際、原稿の画像は流し読取り位置に対応する位置に保持されたスキャナユニット104によって読み取られる。この読取り方法は、一般的に、原稿流し読みと呼ばれる方法である。具体的に、原稿が流し読取り位置を通過する際、原稿の読取り面がスキャナユニット104内のランプ103の光で照射され、原稿からの反射光はミラー105、106、107を介してレンズ108に導かれる。このレンズ108を通過した光は、イメージセンサ109の撮像面に結像する。
【0014】
このように、流し読取り位置を左側から右側へ通過するように原稿を搬送することで、原稿の搬送方向に対して直交する方向を主走査方向とし、搬送方向を副走査方向とする原稿読取り走査が行われる。
即ち、原稿が流し読取り位置を通過する際、1ライン毎に原稿画像をイメージセンサ109で主走査方向に読み取りながら、原稿を副走査方向に搬送することによって原稿画像全体の読み取りが行われる。そして、光学的に読み取られた画像は、イメージセンサ109によって画像データに変換されて出力される。イメージセンサ109から出力された画像データは、後述する画像信号制御部202において所定の処理が施された後、プリンタ300の露光制御部110にビデオ信号として入力される。
【0015】
なお、原稿給送装置100により原稿をプラテンガラス102上に搬送して所定位置に停止させ、この状態でスキャナユニット104を左側から右側へ走査させることにより原稿を読み取ることも可能である。この読取り方法は、いわゆる原稿固定読みと呼ばれる方法である。原稿給送装置100を使用しないで原稿を読み取る場合、ユーザは、原稿給送装置100を持ち上げてプラテンガラス102上に原稿を載置する。そして、スキャナユニット104を左側から右側へ走査させることにより原稿の読み取りを行う。つまり、原稿給送装置100を使用しないで原稿を読み取る場合、原稿固定読みが行われる。
【0016】
プリンタ300内の露光制御部110は、入力したビデオ信号に従って、レーザ光を変調して出力する。このレーザ光は、ポリゴンミラー110aにより走査されながら感光ドラム111上に照射される。感光ドラム111には走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。なお、露光制御部110は、原稿固定読みの場合、正しい画像(鏡像でない画像)が形成されるようにレーザ光を出力する。
【0017】
感光ドラム111上の静電潜像は、現像器113から供給される現像剤によって現像剤像として可視像化される。また、レーザ光の照射開始と同期したタイミングで、各カセット114,115、手差給紙部125または両面搬送パス124から用紙が給紙され、この用紙は感光ドラム111と転写部116との間に搬送される。
感光ドラム111に形成された現像剤像は、転写部116により給紙された用紙上に転写される。現像剤像が転写された用紙は、定着部117に搬送され、定着部117は用紙を加熱・加圧することで現像剤像を用紙上に定着させる。定着部117を通過した用紙は、フラッパ121および排出ローラ118を経てプリンタ300から外部(フィニッシャ500)に向けて排出される。
【0018】
ここで、用紙をその画像形成面が下向きになる状態(フェイスダウン)で排出する場合、定着部117を通過した用紙をフラッパ121の切換動作により一旦反転パス122内に導く。そして、その用紙の後端がフラッパ121を通過した後に、用紙をスイッチバックさせて排出ローラ118によりプリンタ300から排出する。
以下、この排紙形態を反転排紙と呼ぶ。この反転排紙は、原稿給送装置100を使用して読み取った画像を形成する場合、コンピュータから出力された画像を形成する場合など、先頭頁から順に画像形成する場合に行われ、排紙後の用紙順序は正しい頁順になる。
【0019】
また、手差給紙部125からOHPシートなどの硬い用紙が給紙され、この用紙に画像を形成する場合、用紙を反転パス122に導くことなく、画像形成面を上向きにした状態(フェイスアップ)で排出ローラ118により排出する。
【0020】
さらに、用紙の両面に画像形成を行う両面記録が設定されている場合、用紙を一旦排出ローラ118で排紙した後、スイッチバックしたら、フラッパ121の切換動作により用紙を反転パス122に導いた後に両面搬送パス124に搬送する。そして、両面搬送パス124に導かれた用紙を前述したタイミングで感光ドラム111と転写部116との間に再度給紙する制御が行われる。
【0021】
また、プリンタ300から排出された用紙はフィニッシャ500に送られ、フィニッシャ500は綴じ処理などの各処理を行う。さらに、トリマ900は、フィニッシャ500で中綴じや中折りなどが行われた用紙の端部に断裁処理を行う。
(システム構成)
【0022】
図2は、図1に示す画像形成装置10の制御構成を示すブロック図である。本例は、コントローラは、CPU回路部150を中心に構成されている。
図2において、CPU回路部150には、原稿給送装置制御部101、イメージリーダ制御部201、画像信号制御部202、プリンタ制御部301、操作表示装置制御部401およびフィニッシャ制御部501が接続されている。画像信号制御部202には、コンピュータ210に接続される外部インタフェース(I/F)209が接続されている。また、フィニッシャ制御部501には、トリマ制御部901が接続されている。
【0023】
CPU回路部150は、CPU153、ROM151およびRAM152を内蔵する。CPU153は、ROM151に格納されている制御プログラムを実行することにより各部101、201、202、209、301、401、501を総括的に制御する。RAM152は、制御データを一時的に保持する等、制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
【0024】
原稿給送装置制御部101は、CPU回路部150からの指示に従って、原稿給送装置100の駆動制御を行う。イメージリーダ制御部201は、スキャナユニット104、イメージセンサ109などの駆動制御を行い、イメージセンサ109から出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部202に転送する。
【0025】
画像信号制御部202は、イメージセンサ109からのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各種処理を施し、このデジタル信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部301に出力する。また、コンピュータ210から外部I/F209を介して入力されたデジタル画像信号に各種処理を施し、このデジタル画像信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部301に出力する。この画像信号制御部202による処理動作は、CPU回路部150により制御される。
【0026】
プリンタ制御部301は、入力されたビデオ信号に基づき、露光制御部110を駆動する。フィニッシャ制御部501は、フィニッシャ500に搭載され、CPU回路部150と情報のやり取りを行い、フィニッシャ全体の駆動制御を行う。
トリマ制御部901は、トリマ900に搭載され、フィニッシャ制御部501と情報のやり取りを行い、トリマ全体の駆動制御を行う。
【0027】
操作表示装置制御部401は、操作表示装置400とCPU回路部150との間で情報のやり取りを行う。操作表示装置400は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するための表示部などを有する。操作表示装置制御部401は、各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部150に出力するとともに、CPU回路部150からの信号に従って、対応する情報を表示部に表示させる。
(操作表示装置)
【0028】
図3は、図1に示した操作表示装置400を示す平面図である。
図3において、操作表示装置400には、画像形成動作を開始させるスタートキー402、画像形成動作を中断させるストップキー403を備える。さらに、操作表示装置400には、置数設定等を行うテンキー404〜412および414、IDキー413、クリアキー415、リセットキー416などが配置されている。また、上部にタッチパネルが形成された液晶表示部420が配置されており、その画面上にソフトキーが生成される。
【0029】
本実施形態の画像形成装置では、後処理モードとしてノンソート、ソート、ステイプルソート(綴じモード)、製本モードなどを有する。このような後処理モードの設定は、操作表示装置400からの入力操作により行われる。例えば、後処理モードを設定する場合、初期画面(図3参照)でソフトキーである「ソータ」を選択すると、メニュー選択画面が液晶表示部420に表示され、このメニュー選択画面を用いて後処理モードの設定が行われる。
(フィニッシャ)
【0030】
図4は、図1に示したフィニッシャ500の構成を示す断面図である。
図4において、フィニッシャ500は、画像形成装置10から排出された用紙を順に取り込み、取り込んだ複数の用紙を整合して1つの束に束ねる処理、束ねた用紙束の後端をステイプルで綴じるステイプル処理を行う。さらに、フィニッシャ500は、および取り込んだ用紙の後端付近に穴あけを行うパンチ処理を行う。また、ソート処理、ノンソート処理、製本処理などの各用紙後処理を行う。
【0031】
フィニッシャ500では、画像形成装置10から排出された用紙は、入口ローラ対502により内部に取り込まれる。この内部に取り込まれた用紙は、搬送ローラ対503を介してバッファローラ505に向けて送られる。入口ローラ対502および搬送ローラ対503間の搬送経路途中には、入口センサ531が設けられている。また、搬送ローラ対503およびバッファローラ505間の搬送経路途中には、パンチユニット550Pが設けられている。パンチユニット550Pは、必要に応じて動作し、搬送されてきた用紙の後端付近に穴あけを行う。
【0032】
バッファローラ505は、搬送ローラ対503を介して送られた用紙を、その外周に所定枚数積層して巻き付け可能なローラである。このバッファローラ505の外周には、押下コロ512、513、514が設けられており、ローラの回転中に各押下コロ512、513、514により用紙が巻き付けられる。巻き付けられた用紙は、バッファローラ505の回転方向に搬送される。
【0033】
押下コロ513、514間には、切換フラッパ511が配置されており、押下コロ514下流側には、切換フラッパ510が配置されている。切換フラッパ511は、バッファローラ505に巻き付けられた用紙をバッファローラ505から剥離してノンソートパス521またはソートパス522に導くためのフラッパである。切換フラッパ510は、バッファローラ505に巻き付けられた用紙をバッファローラ505から剥離してソートパス522に、またはバッファローラ505に巻き付けられた用紙を巻き付けられた状態でバッファパス523に導くためのフラッパである。
【0034】
バッファローラ505に巻き付けられた用紙をノンソートパス521に導く場合、切換フラッパ511が動作し、巻き付けられた用紙はバッファローラ505から剥離され、ノンソートパス521に導かれる。そして、ノンソートパス521に導かれた用紙は、排出ローラ対509を介してサンプルトレイ701上に排紙される。ノンソートパス521の途中には、排紙センサ533が設けられており、排紙を検知する。
【0035】
また、バッファローラ505に巻き付けられた用紙をバッファパス523に導く場合、切換フラッパ510および切換フラッパ511はともに動作せず、用紙はバッファローラ505に巻き付けられた状態でバッファパス523に送られる。バッファパス523途中には、パスセンサ532が設けられており、バッファパス523上の用紙を検知する。
【0036】
また、バッファローラ505に巻き付けられた用紙をソートパス522に導く場合、切換フラッパ511は動作せずに切換フラッパ510が動作し、巻き付けられた用紙はバッファローラ505から剥離され、ソートパス522に導かれる。
【0037】
ソートパス522の下流には、ソート排出パス524または製本パス525に導くための切換フラッパ542が配置されている。ソート排出パス524に導かれた用紙は、搬送ローラ対507を介して中間トレイ(以下、処理トレイという)630上に積載される。
【0038】
処理トレイ630上に束状に積載された用紙は、必要に応じて手前側と奥側に設けられた整合部材641による整合処理や、ステイプル処理などが施された後、排出ローラ680a、680bによりスタックトレイ700上に排出される。
【0039】
排出ローラ680bは、揺動ガイド650に支持され、揺動ガイド650は揺動モータ(図示せず)により排出ローラ680bを処理トレイ630上の最上部の用紙に当接させるように揺動する。排出ローラ680bが処理トレイ630上の最上部の用紙に当接された状態にある場合、排出ローラ680bは排出ローラ680aと協働して処理トレイ630上の用紙束をスタックトレイ700に向けて排出することが可能である。
【0040】
ステイプル処理は、ステイプラ601により行われる。ステイプラ601は、処理トレイ630の外周に沿って移動自在に構成されており、処理トレイ630に積載された用紙束を、用紙搬送方向(図中左方向)に対して用紙の最後尾位置(後端)で綴じることが可能である。
【0041】
また、製本パス525に導かれた用紙は、搬送ローラ対802を介して製本中間トレイ(以下、製本処理トレイという)830に搬送される。製本パス525の途中には、製本入口センサ831が設けられている。製本処理トレイ830には、中間ローラ803および可動式の用紙位置決め部材816が設けられている。また、一対のステイプラ810と対向する位置には、アンビル811が設けられており、ステイプラ810とアンビル811が協働し、製本処理トレイ830の収納された用紙束に対してステイプル処理を行う。
【0042】
ステイプラ810の下流側には、折りローラ対804、および折りローラ対804の対向位置に突き出し部材815が設けられている。この突き出し部材815を製本処理トレイ830に収納された用紙束に向けて突出させることにより、製本処理トレイ830で束状に収納された用紙束を折りローラ対804間に押し出す。これにより、用紙の中央に中折りが行われ、本実施形態では、最大3枚の用紙を中折りすることが可能である。また、折りローラ対804は、用紙束を折るとともに、折り込まれた用紙束を下流に搬送する。
そして、折り込まれた用紙束は、排紙ローラ対によってトリマ900に受け渡される。折りローラ対804の下流には、排紙センサ832が設けられている。
(フィニッシャ制御部)
【0043】
図5は、図4に示すフィニッシャ500の内部に搭載されるフィニッシャ500全体の制御を司るフィニッシャ制御部501の構成を示すブロック図である。本例は、フィニッシャ制御部501は、CPU550、ROM551、RAM552等から構成される。CPU550には、各種モータM1〜M3,M5〜M9、入口センサ531、パスセンサ532、533等が接続されている。
【0044】
図5において、フィニッシャ制御部501は、通信IC(図示せず)を介して画像形成装置10内に設けられたCPU回路部150と通信してデータ交換を行う。そして、フィニッシャ制御部501は、CPU回路部150からの指示に従って、ROM551に格納されている各種プログラムを実行し、フィニッシャ500の駆動制御を行う。また、画像形成装置とは別に、通信IC(図示せず)を介してトリマ制御部901と通信を行う。
(トリマ)
【0045】
図6は、図1に示したトリマ900の構成を示す図である。図6の(A)は縦断面図であり、図6の(B)は上視図である。
図6において、トリマ900は、フィニッシャ500の製本処理部で中折りされた用紙をセンタ基準で受け取る。このとき、フィニッシャ500内の排紙ローラ対805から落下した用紙を受け取り部に設けられた整合部材910の手前整合部材910aおよび奥整合部材910bで挟み込み、搬送パス中央に寄せた後、搬送ベルト902(搬送ベルト902a、902b)で下流へと搬送する。これにより、フィニッシャ500と受け渡し時に発生する用紙の位置ずれが補正される。
【0046】
トリマ900内の搬送パスでは、搬送パスの中心から均等な距離に、それぞれ一対の搬送ベルト902(902a、902b)、903(903a、903b)、904(904a、904b)、905(905a、905b)が設けられており、用紙は上下一対の搬送ベルトに挟持された状態で下流へと搬送される。
【0047】
搬送ベルト902、903の間には、用紙搬送下流側である、中折り端部とは反対側の端部を断裁(以下、小口断裁という)する機構が設けられている。図7の(A)は小口断裁を示す図である。搬送されてくる用紙は、その先端が小口ストッパ911に突き当てられ、断裁位置で停止する(図6の(A)、(B)参照)。停止した用紙を挟んで、固定された小口断裁下刃912bに対し、対向する昇降可能な小口断裁上刃912aが下降することで、小口断裁が行われる(図8の破線位置参照)。
【0048】
小口ストッパ911は、小口断裁を行わずに用紙を搬送したり、あるいは断裁後に用紙を下流へと搬送するために、搬送ベルト903に向かって出没自在である(図6の(A)の符号Aは没した状態を示す)。また、用紙サイズに応じた用紙停止位置の切り替えや、断裁位置を調整するべく用紙停止位置を切り替えるために搬送方向に移動自在である(図6の(A)の符号Bは移動した状態を示す)。
【0049】
断裁された切り屑は、小口屑箱915内に収納される。小口断裁上刃912aは、通常、用紙の搬送の妨げにならないように、上昇した位置で待機している(図6の(A)の符号Cは待機した状態を示す)。
【0050】
また、小口断裁部より下流に設けられた搬送ベルト905には、中折り端部と直交する端部を断裁(以下、天地断裁)する機構が設けられている。図7の(B)は天地断裁を示す。搬送ベルト905の手前側と奥側には、固定された天地断裁下刃921b、922bが設けられている。天地断裁下刃921b、922bに対し、天地断裁上刃921a、922aがそれぞれ下降することで、小口断裁と同様、搬送ベルト905で停止した用紙の天地断裁が行われる(図7の(B)の破線位置参照)。
【0051】
天地断裁刃921a、921b、922a、922bは手前奥方向に移動自在であり、用紙サイズや断裁位置の調整に応じて移動される。天地断裁部で断裁された切り屑は、天地屑箱925内に収納される。天地断裁を行わない場合、搬送ベルト905で用紙を停止させずに下流へと搬送する。
【0052】
搬送ベルト905を通過した用紙は、積載トレイ930上に排出される。このとき、積載トレイ930の上方に設けられた搬送大ローラ931は駆動し、排出された用紙を積載トレイ930上で移動させる。また、積載トレイ930上の既積載の用紙もトレイ上下流側に移動させ、搬送ベルト905の排紙口で用紙が滞留することを防止する。
(トリマ制御部の構成)
【0053】
図8は、図1に示したトリマ900の内部に搭載されるトリマ900全体の制御を司るトリマ制御部901の構成を示すブロック図である。本例は、トリマ制御部901は、CPU950、ROM951、RAM952等から構成される。CPU950には、各種のモータM10〜M17、ストッパソレノイド(SL)SL1、パスセンサ941、942、943等が接続されている。
【0054】
トリマ制御部901は、通信IC(図示せず)を介してフィニッシャ500に設けられたフィニッシャ制御部501と通信してデータ交換を行う。そして、フィニッシャ制御部501からの指示に従って、ROM951に格納されている各種プログラムを実行し、トリマ900を制御する。
【0055】
受取搬送モータM10には、搬送ベルト902a、902bが接続されており、搬送ベルト902a、902bは受取搬送モータM10によって駆動される。小口搬送モータM11には、搬送ベルト903a、903bが接続されており、搬送ベルト903a、903bは小口搬送モータM11によって駆動される。縦パス搬送モータM12には、搬送ベルト904a、904bが接続されており、搬送ベルト904a、904bは縦パス搬送モータM12によって駆動される。天地搬送モータM13には、搬送ベルト905a、905bが接続されており、搬送ベルト905a、905bは天地搬送モータM13によって駆動される。モータM10〜M13はいずれもステッピングモータからなる。
【0056】
また、受取整合モータM14には、手前整合部材910aおよび奥整合部材910bが接続されており、手前整合部材910aおよび奥整合部材910bは、受取整合モータM14によって駆動され、正転で中心方向に、逆転で外側方向に対称に移動する。
【0057】
小口断裁モータM15には、小口断裁上刃912aが接続されており、小口断裁上刃912aは、小口断裁モータM15の正逆転により昇降駆動される。この小口断裁モータM15は、断裁する用紙の枚数や厚さによってモータ負荷が変動するので、DCモータからなる。
【0058】
ストッパ移動モータM16には、小口ストッパ911が接続されており、小口ストッパ911は、ストッパ移動モータM16によって位置制御され、搬送方向に移動する。ストッパ移動モータM16はステッピングモータからなる。また、小口ストッパ911の昇降は、ストッパソレノイドSL1によって駆動される。
【0059】
天地断裁モータM17には、天地断裁上刃921aが接続されており、天地断裁上刃921aは、小口断裁上刃912aと同様、天地断裁モータM17の正逆転で昇降駆動される。この天地断裁モータM17はDCモータからなる。
(製本モード動作)
次に、製本モードの用紙の流れについて図9と図10を参照しながら説明する。なお、図9において、図4と同一のものには同一の符号を付してある。
【0060】
図9の(A)に示すように、製本モードが指定されると、入口ローラ対502、搬送ローラ対503、バッファローラ505が回転駆動され、画像形成装置10から排出された用紙Pはフィニッシャ500内に取り込まれて搬送される。各切換フラッパ510,511、512は図示位置に停止しており、用紙Pはソートパス522から製本パス525に導かれ、搬送ローラ対802により製本処理トレイ830に収納される。中間ローラ803が回転駆動されており、製本処理トレイ830に収納された用紙の先端が用紙位置決め部材816に接するまで搬送される。この時、用紙位置決め部材816は、ステイプラ810により収納された用紙束の中央にステイプル処理が行われる位置にある。
【0061】
用紙先端が用紙位置決め部材に達し搬送が停止すると、図示しない整合部材が用紙搬送方向と垂直方向に動作し、用紙の整合が行われる。所定枚数の用紙が整合されて収納されると、ステイプラ810により、上述したように用紙束の中央にステイプル処理(以下、中綴じ)が行われる。
【0062】
そして、図9の(B)および図10の(A)に示すように、ステイプル位置(用紙の中央)が折りローラ対804の中央位置になる位置まで用紙位置決め部材816を下降させる。そして、折りローラ対804、排紙ローラ対を回転駆動させると同時に、突き出し部材815を突出させて用紙束を折りローラ対804間に押し出す。用紙束は図10の(B)に示すように、折りローラ対804に折り込まれつつ下流へと搬送され、排紙ローラ対により、トリマ900へと排出される。
【0063】
中綴じしない製本モードの場合は、上述した中綴じする場合と同様に、一旦用紙束の中央にステイプル処理が行われる位置で用紙を収納した後、ステイプル処理を行わずに用紙の中央が折りローラ対804の中央位置になる位置まで用紙位置決め部材816を下降させる。その後、突き出し部材815を突出させて用紙束を折りローラ対804間に押し出し、用紙束は折りローラ対804に降りこまれつつ下流へと搬送される。
(断裁モード動作)
【0064】
次に、断裁モードの用紙の流れについて図11A、図11Bを参照しながら説明する。 図11Aの(A)に示すように、上述の製本モードで中綴じおよび中折りされた用紙束P'がフィニッシャ500の排紙ローラ対805から排出されはじめると、搬送ベルト902a、902bが回転駆動される。搬送ベルト902b上のパスセンサ941で用紙束P'の先端を検知してから所定距離搬送し用紙束P'の後端が搬送ベルト902b上に落下した時点で、搬送ベルト902a、902bの駆動を停止する。この時、用紙先端は搬送ベルト902aに達しない構成なので、用紙束P'は搬送部材に狭持されておらずフリーな状態となっており、整合部材910a、910bが搬送方向と垂直方向に動作し、搬送パス中心と用紙束中心とを合わせる整合動作が行われる。整合動作が終了すると、再度搬送ベルト902a、902b、903a、903bが駆動され下流へと搬送される。
【0065】
小口断裁を行う場合、小口ストッパを破線で示す待機位置から実線で示すように搬送パスに吐出した位置に上昇させ、更に、断裁量に応じた位置へと搬送方向に移動を行う。搬送ベルト902a、902b、903a、903bにより下流へ搬送された用紙束Pは、パスセンサ942で用紙先端を検知してから所定距離搬送後に搬送ベルト902a、902b、903a、903bが停止し、用紙先端が小口ストッパ911に当接して、搬送ベルト903a、903bに狭持された状態になる。この時、用紙束Pの後端は搬送ベルト902から抜けた状態となっている。
【0066】
そして、図11Aの(B)に示すように、小口断裁上刃912aが下降し用紙束Pの後端側が断裁され、断裁された屑Ptは、断裁刃の下部に設けられた小口屑箱915に自重で落下し収納される。断裁動作が終了すると、小口ストッパ911が下降し搬送パスが開放され、搬送ベルト903a、903b、904a、904b、図11Bの(C)に示す905a、905bが回転駆動され、更に下流へ用紙束Pを搬送する。なお、以下の説明において搬送ベルトについて付した符号a、bについて省略して説明する場合がある。
【0067】
小口断裁を行わない場合は、整合部材910で整合動作を行った後、小口ストッパ911を下降した待機位置のまま、搬送ベルト902、903、904、905を回転駆動し、小口断裁部で用紙束Pを一旦停止させることなく下流へと搬送していく。
【0068】
次に、図11Bの(C)に示すように、搬送ベルト904a、904bで下流へ搬送された用紙束Pに天地断裁を行う場合、パスセンサ943で用紙先端を検知してから所定距離搬送後に搬送ベルト905の駆動を停止する。用紙束Pが搬送ベルト904を搬送されている間に天地断裁刃921a、921bは断裁量に応じた位置へ移動しており、天地断裁上刃921aが下降し、用紙束Pの天地端部が断裁される。断裁された断裁屑Psは天地屑箱925に落下し、収納される。その後、天地断裁上刃921aが上昇すると搬送ベルト905a、905bが駆動され、図11Bの(D)に示すように、用紙束Pが積載トレイ930へと排出される。排紙トレイ上の搬送大ローラ931は、用紙束Pの先端が搬送大ローラ931に到達する前に回転駆動されており、用紙束Pを積載トレイ930上で移動させる。
【0069】
以上のような製本処理の各モードを備えた画像形成装置で発生しうる位置ずれの種類を、図12に示す。図12の左図のような印刷処理における位置ずれは、感光ドラム111上の静電潜像や現像器113における現像剤像、転写部116における用紙への転写時の不良で発生する場合がある。また、定着部117において用紙を加熱・加圧する際に紙の伸び縮みが発生することも位置ずれの要因となる。図12の中央図のような製本処理における位置ずれは、中綴じ処理や中折り処理において用紙束がずれてしまうことで、図中の点線で囲まれた部分のように発生する場合がある。さらに、図12の右図のような断裁処理における位置ずれは、図中の実線で示すように断裁位置に対して用紙束自体がずれてセットされたまま断裁されることで発生する。これらの位置ずれは、いずれも製本物の完成品の品質を損なうため、検品にて検出されなければならない。
(製本モードおよび断裁モードの設定)
次に、製本モードおよび断裁モード設定の流れについて図13A、図13Bを参照しながら説明する。
【0070】
図3に示す初期画面でソフトキーである「応用モード」を選択すると、液晶表示部420が図13Aの(A)に示すような各種モードを選択する画面に切り替わる。ここで、「製本」を選択すると、図13Aの(B)に示すように、出力する記録紙を収納したカセットを選択可能なキーが表示される。ここで、使用するサイズの用紙が収納されカセットを選択し「次へ」のソフトキーを押下すると、図13Bの(C)に示すように、製本束に対する処理を設定する画面となる。製本モードを選択した場合、少なくとも中折りを行うが、中綴じを行うか否かはユーザが選択可能であり、「中綴じする」と「中綴じしない」のいずれかを選択する。更に、中綴じとは独立に、断裁するか否かも選択可能となっている。ここで、中綴じの設定がいずれであっても、「断裁しない」が選択され、「OK」キーが押されると設定が終了し、図3に示す初期画面へと戻り、スタートキー402が押下されて動作が開始するのを待つ状態となる。
【0071】
図13Bの(C)にて、中綴じの設定がいずれであっても「断裁する」が選択され「OK」キーが押されると、次に、断裁処理を設定する第1の設定画面となる(図13Bの(D)参照)。小口断裁のみを行うか、小口断裁と天地断裁と両方行う三方断裁を行うかを選択する。小口断裁が選択され「OK」キーが押されると、図14Aの(A)に示すように、用紙端部から断裁する長さxを設定する画面となり、操作表示部のテンキーから任意の断裁量を設定可能となる。また、図14Aの(A)にて、三方断裁が選択された場合、図14Aの(B)に示すように、小口断裁の断裁量指定と同様に、小口側の断裁量xおよび天地側の断裁量yを操作表示部のテンキーから入力する。
【0072】
設定された断裁量x、yはトリマ制御部901に送られ、小口断裁上刃912a、912b及び天地断裁上刃921a 、921b 、922a 、922bの位置の制御に用いられる。この時、小口断裁の場合には、小口断裁は小口ストッパ911を基準として断裁量xに対する小口断裁下刃912bの位置が一意に決定される。また、天地断裁の場合には、断裁量yから天地断裁下刃921b、922bの位置が所定の間隔に決定される。
【0073】
図14Aの(A)または図14Aの(B)で断裁量の入力後、「OK」キーが押されると、次に、図14Bの(C)のような断裁マークを設定する画面に切り替わる。図14Bの(C)は三方断裁設定時の断裁マーク設定画面(第2の設定画面)である。図14Bの(C)の設定画面において、ユーザはx2、y2の値を指定する。これにより、図14Aの(B)の画面で設定された断裁量x、yから決定される断裁位置からすぐ外側にx2、y2の範囲で所定サイズの断裁マークが付加されることとなる。
ここで設定された断裁マークの情報は、CPU回路部150により画像信号制御部202へ送られ、デジタル画像信号はビデオ信号に変換されたのち、プリンタ制御部301にて製本検品の目視確認用のマークを付加した印刷画像が形成される。
【0074】
また、ユーザはこのマークの種類を設定するための第3の設定画面で、断裁される範囲に塗るマークの色やパターンを選択することができる。マークのパターンはベタの塗りつぶし以外にドットや格子、グラデーションが選択できるが、ユーザが特に指定しない場合はベタ塗りとなる。
【0075】
さらに、画像形成装置のトナー残量に応じて断裁マーカの範囲や色、パターンを設定してもよい。具体的には、画像形成装置のトナー残量が少なくなっている場合、図18の設定画面にトナー残量情報を表示し、トナー消費量を抑えることが可能な断裁マークの範囲、色、パターンのみユーザが選択できるように各設定の表示を限定する。ユーザは設定画面に表示されるトナー残量情報と選択可能な設定に応じて、トナー消費量を加味した範囲や色、パターンを選択することができる。
【0076】
図14Bの(C)で示した印刷画像に対する断裁マーク付加設定は、ページ単位での設定も可能である。ページごとに断裁マーク付加設定をする場合、図14Bの(C)の設定画面上の「ページ指定」ボタンをチェックし、ページに合わせた断裁マーク付加設定を行う。図14Bの(C)において、あるページにおける断裁マークの設定後、「次のページ」キーが押下されると、別のページに対する異なる断裁マークの設定もできる。また、「プレビュー」キーが押下されると、マーカ付加された印刷画像のプレビューを液晶表示部420に表示する。また、「OK」キーが押されると、図3に示す初期画面へと戻り、スタートキー402が押下されて動作が開始するのを待つ状態となる。
【0077】
また、図14Bの(C)では三方断裁設定に対する断裁マーク設定画面を示したが、小口断裁設定時には断裁マークの設定は小口断裁部に対してのみの設定画面に切り替わることで、小口断裁用の断裁マークも設定可能である。
【0078】
このようなページ単位での断裁マーク付加設定は、製本物に含まれるページの特徴によって使用するのがよい。例えば、ページの色味に合わせて目視確認がしやすいような色やパターンを選択したり、白紙ページなど位置ずれ検出が不要なページに対しては断裁マークを付加しないなどの設定ができる。
【0079】
図15は、図1に示した画像形成装置10により断裁マークを付加した印刷画像のー例を示す図である。
図15において、用紙1000に対して、前述の断裁モードで設定された断裁量x、yに対する断裁位置が、1001の点線で示される。この断裁位置に対して、断裁後の用紙の範囲1002が得られる。また断裁位置1001の外側からx2、y2の範囲に製本物の位置ずれ検出用の断裁マーク1003がユーザによって設定された色、パターンで付加されることとなる。
図16は、図15のような断裁マークが付加された印刷画像に対して、製本処理の各モードを備えた画像形成装置で位置ずれが発生した場合の製本物の完成品の例を示す図である。
【0080】
印刷処理における位置ずれに対しては、図16の左図のように製本物を見開いた際に断裁マークが残っていることが確認できる。また、製本処理における位置ずれは、図16の中央図のように用紙束からずれて製本された用紙で断裁マークが確認できる。さらに、断裁処理における位置ずれに対しても、図16の右図のように断裁位置から用紙束自体がずれた分、断裁マークが残こることになる。すなわち、この断裁マークが残った製本物は何らかの位置ずれが発生したことを示しているため、断裁マークの有無を目視確認するだけで、容易に製本不良か否かを判別できる。
(製本検品フロー)
図17は、本実施形態を示す画像形成装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、画像形成装置において断裁マーク付加設定をする場合の製本処理の例である。なお、各ステップは、図2に示すCPU153がROM151等から制御プログラムをRAM152にロードして実行することで実現される。なお、CPU153は、当該制御プログラムに従い、各ユニットの制御を行うCPUと通信して印刷処理、製本処理、断裁処理を実行する。以下、シートに対して設定される裁断位置からシートの外周側にマークを付加すべき領域を設定し、当該マーク領域に対する設定に従い入力される印刷情報にマーク画像を付加した印刷データを生成して、マーク画像を含む印刷処理を詳述する。
なお、製本設定と断裁設定に関わる詳細については、図13A、図13B、図14A、図14Bにおいて説明した通りであって、ユーザが操作表示装置400に表示されるUI画面を操作して行う。しかしながら、当該UI画面をネットワーク上のPC等に送信して、ユーザがリモート画面を用いて設定する構成であってもよい。
【0081】
まず、S1100では、CPU153が操作表示装置400を用いてユーザが製本モードを選択しているかどうかを判断する。ここで、製本モードを選択しないとCPU153が判断した場合、S1101の製本設定をスルーし、S1102に進む。
一方、S1100で製本モードを選択したとCPU153が判断した場合、ユーザは前述のように給紙断の設定や中綴じ処理を選択する。
【0082】
次に、S1102では、CPU153が操作表示装置400を用いてユーザが断裁モードを選択しているかどうかを判断する。ここで、断裁モードを選択していないとCPU153が判断した場合は、S1103の断裁設定をスルーし、S1105に進む。
一方、S1102で断裁モードを選択したとCPU153が判断した場合、ユーザは前述のように、小口または三方の断裁設定をした後、断裁量の設定をする。続いて、S1104では、CPU153は、S1103で設定された断裁方法と断裁量に基づいて、断裁マーク付加の設定を行う。ここでは、断裁マークの範囲、断裁マークを付加するページ、断裁マークの色やパターン設定等が行われる。
【0083】
次に、S1105では、CPU153は、S1100〜1104までの製本処理設定に基づいて、印刷データを生成し、印刷処理を行う。この時、S1104で断裁マーク付加設定がされた場合、印刷画像データに断裁マークを付加する印刷処理が行われる。
次に、S1106では、CPU153からの指示に従い、フィニッシャ制御部5015がS1105で印刷処理された用紙束に対し、S1101で選択された製本設定に基づいて製本処理を行う。
そして、S1107では、CPU153からの指示に従い、トリマ制御部901のCPUがS1106で製本処理された用紙束に対し、S1103及びS1104で選択、設定された断裁設定に基づいて断裁処理を行い、製本物が完成したら、本処理を終了する。
【0084】
以上のフローによって完成された製本物は、検品者による検品作業へ渡される。従来の目視確認による検品とは異なり、検品対象が断裁マーク付加の製本物であるため、検品者は目視確認で製本物に断裁マークが残っていないかを確認することで、製本不良の検出を行うことができる。
〔第2実施形態〕
【0085】
次に、本発明の第2実施形態について図面を用いて説明する。
本実施形態における画像形成システムの構成は前記第1実施形態と同様であるので、同一の構成要素については同一の符号を付すことによりその説明を省略し、ここでは、異なる動作について説明する。
【0086】
図18は、図1に示した操作表示装置400に表示されるユーザインタフェース画面(UI画面)の一例を示す図である。本例は、第2実施形態における断裁マークの設定画面を示す例である。
図18の(A)の設定画面において、ユーザは操作表示装置400を用いて、x2、y2およびx3、y3の値を指定する。これにより、図14Aの(B)のUI画面で設定された断裁量x、yから決定される断裁位置からすぐ外側にx2、y2およびx3、y3範囲に断裁マークが付加されることとなる。
すなわち、ユーザは図18に示すUI画面で断裁位置からすぐ外側のx2、y2の範囲と、断裁位置からさらに外側のx3、y3までの範囲の2つの範囲に対して異なるマークの色やパターンを選択することができる。
【0087】
図18の(B)、図1に示した操作表示装置400に表示されるユーザインタフェース画面(UI画面)の一例を示す図である。本例は、図18の(A)に示した表示画面で2つの範囲に断裁マークを付加した印刷画像のー例である。まず、断裁位置1001から外側にx2、y2の範囲に第1の断裁マーク1004がユーザによって設定された色、パターンで付加される。さらに、第1の断裁マークの外側に、断裁位置1001からx3、y3までの範囲に第2の断裁マーク1005が、ユーザによって指定された色、パターンで付加される。
このように、断裁位置の内側と外側でそれぞれ異なる色やパターンのマーク1、2を付加することで、位置ずれの大きさ(レベル)に応じて異なるマークを設定することができる。そのため、ユーザの好みに応じた検品レベルを設定できる。
例えば、位置ずれのレベルが小さい範囲には目立たない色のマーカを付加することで、検品時にこの位置ずれを許容できるかどうかをユーザに判断させる。一方、位置ずれのレベルが大きい範囲には目立つ色のマーカを付加することで、検品者が確実に検品不良を検出できるようになる。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態について図面を用いて説明する。ここでも、前述の実施形態と異なる動作について説明する。
【0088】
図19の(A)は、本実施形態を示す画像形成装置において断裁マークを付加した印刷画像のー例を示す図である。第1実施形態に示す図15では、断裁位置1001からすぐ外側に断裁マークが付加されたが、第3実施形態では、図19の(A)が示すように断裁位置1001から少し外側の位置から断裁マークを付加する。これは、製本処理において発生する位置ずれの許容範囲を考慮するためである。
すなわち、図19の(A)の断裁マークを付加した印刷画像は、断裁後の用紙の範囲1002から外側の位置ずれ許容範囲1007には断裁マークは付加されず、そこの範囲から断裁位置1001に対してx2、y2の範囲1006に断裁マークが付加される。
【0089】
この断裁マークを付加しない許容範囲1007は、設定された断裁量に対する小口断裁上刃912a、912b及び天地断裁上刃921a 、921b 、922a 、922bの位置制御の誤差を許容するための範囲となる。このような断裁刃の位置制御の許容量に対しては、製本検品の位置ずれ検出においてはマーカを付加しないのが望ましい。この許容範囲は、画像形成装置が持っている固有の値として予め使用することが可能なため、図14Bの(C)の設定画面で指定された範囲にエンジン固有の位置ずれ量を加味することで、図19の(A)のような断裁時の位置ずれの許容範囲を含んだ断裁マークを付加できる。なお、本実施形態では、ユーザが操作表示装置400に表示されるUI画面上に表示されるように、マーク位置の入力、マークの色、マークのパターンの選択、あるいはマークを載せるページを全ページか指定ページであるかを選択することが可能に構成されている。これにより、ユーザは、マークを付加すべき領域の色、パターンを含む領域属性を設定することができる。さらに、ユーザは、マークを付加すべき領域の色、パターンを含む領域属性をページ単位で設定することができる。さらに、シート束を裁断する裁断手段の特性情報を取得して、マークを付加すべき領域設定することもできる。さらに、印刷手段としての画像形成装置10が使用する現像材の残量に応じて、マークを付加すべき領域、色、パターンを設定することもできるように構成してもよい。
【0090】
また、上述のような許容範囲を含んだ断裁マークは、図19の(B)に示すような断裁マーク設定画面において、ユーザがその許容範囲を指定することも可能である。図19の(B)は実施形態3における断裁マークの設定画面を示す図である。図19の(B)の設定画面において、ユーザは断裁位置から断裁マークを付加しない範囲x2、y2、および断裁マークを付加する範囲x3、y3の値を指定する。また、断裁マークを付加するx3、y3の範囲に対してはマークの色やパターンを選択することができる。
【0091】
図20は、図19の(B)に示した設定画面で位置ずれの許容範囲を含んだ断裁マークを付加した印刷画像のー例を示す図である。
図20は図19の(A)と同様に、断裁後の用紙の範囲1002から外側の許容範囲1007には断裁マークは付加されず、そこの範囲から断裁位置1001に対してx2、y2の範囲1006に断裁マークが付加されることとなる。ただし、断裁マークが付加されない許容範囲は図19の(B)でユーザが指定したx2、y2の値に基づいて決定される。
【0092】
以上のように、位置ずれの許容範囲を含んだ断裁マークを付加することで、製本物の位置ずれの中でユーザが許容できる範囲にはマーカが付加されないため、許容範囲外の位置ずれのみ検出可能な製本物を作ることができる。
<その他の実施形態>
【0093】
本発明のその他の実施形態として、実施形態1から3で示した断裁マークの設定方法を組み合わせて使うことも可能である。これにより、画像形成装置10が有するエンジン性能やユーザの好みの検品レベルに応じた断裁マークを設定できるため、目視確認による製本検品の精度向上や検品者の負荷低減により効果的といえる。
【0094】
また、上述した実施例の機能を有するソフトウェア(アプリケーション)をコンピュータ210に搭載し、断裁マーク情報を含んだ製本設定を外部I/F209を介して画像形成装置10へ送信する。そして、同様の製本処理を実行することによっても実現ができる。その際、上述の実施例における操作表示装置400での製本・断裁モードに係る各種設定や、画像信号制御部202での各種設定に基づいた印刷画像の生成等の処理は、コンピュータ210上のソフトウェアで代替されることとなる。
【0095】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウェア(プログラム)をパソコン(コンピュータ)等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【0096】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【符号の説明】
【0097】
10 画像形成装置
400 操作表示装置
420 表示部
500 フィニッシャ
900 トリマ
901 トリマ制御部
950 CPU
951 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに印刷する画像データを取得する取得手段と、
前記シートを断裁する断裁処理を実行するか否かを設定する第1の設定手段と、
前記第1の設定手段によって前記断裁処理を実行すると設定された場合に、前記画像データに基づいて印刷を実行すると共に、前記断裁処理が実行される断裁位置を基準にシートの外周側にマークを印刷する印刷手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記マークのサイズを設定する第2の設定手段を更に備え、
前記印刷手段は、前記第2の設定手段によって設定されたサイズのマークを前記断裁位置からシートの外周側に印刷することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の設定手段は、前記断裁位置からシートの外周側に前記マークを印刷しない領域のサイズを更に設定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記マークの種類を設定する第3の設定手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記マークの種類は、前記マークの色とパターンを含むことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記断裁処理を実行する断裁手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の設定手段によって前記断裁処理を実行しないと設定された場合に、前記印刷手段は、所定のサイズのマークを印刷せずに、前記画像データに基づいて印刷を実行することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像データと所定サイズのマークを印刷するための印刷データを生成する生成手段を更に備え、
前記第1の設定手段によって前記断裁処理を実行すると設定された場合に、前記印刷手段は、前記印刷データに基づいて印刷を実行することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
シートに印刷する画像データを取得する取得ステップと、
前記シートを断裁する断裁処理を実行するか否かを設定する設定ステップと、
前記設定ステップで前記断裁処理を実行すると設定された場合に、前記画像データに基づいて印刷を実行すると共に、前記断裁処理が実行される断裁位置を基準にシートの外周側にマークを印刷する印刷ステップとを備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−111931(P2013−111931A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262270(P2011−262270)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】