説明

画像形成装置、電子写真感光体、及びプロセスカートリッジ

【課題】画像濃度が帯状に低下した領域が発生することが抑制される画像形成装置を提供する。
【解決手段】最表面層が水酸基を有する電荷輸送性モノマーの脱水縮合によって架橋した構造を有する電子写真感光体7と、水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段11と、を備え、下記(1)乃至(3)の少なくとも1つを満たす画像形成装置100。
(1)電子写真感光体の最表面層がテトラフルオロエチレン系粒子を含む。
(2)現像剤がテトラフルオロエチレン系粒子を含む。
(3)テトラフルオロエチレン系粒子を電子写真感光体の表面に供給するテトラフルオロエチレン系粒子供給手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置、電子写真感光体、及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるゼログラフィー方式の画像形成装置における電子写真感光体(適宜「感光体」と記す)は、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段などの電気的、機械的外力による傷や磨耗を抑制するため、表面層を構成する材料として機械強度の高い樹脂を使用することで、長寿命化が図られている。
【0003】
特許文献1では、加水分解縮重合性化合物を含有する塗布液を塗布して、基体上に下引き層、感光層および表面保護層の少なくとも1つの塗膜を形成した後、基体を水中に浸漬し、縮重合性化合物を硬化することにより電子写真感光体を製造する方法が開示されている。
特許文献2では、導電性支持体と、導電性支持体の表面に形成した感光層と、有機シラン化合物、アルコール溶解性高分子及び溶媒を含む表面保護層形成用組成物を感光層の表面にコーティング後に熱処理して形成される表面保護層とを含む有機感光体が開示されている。
特許文献3では、感光体表面層は加水分解可能な有機金属化合物を、水と有機溶媒とからなる反応液中において、加水分解、脱水縮合させた後、反応生成物を基材表面に塗布し、200℃以下の温度でガラス化させた単一または多成分系金属酸化物ガラス膜であることを特徴とする電子写真感光体が開示されている。
特許文献4では、導電性基体と、前記導電性基体表面に設けた感光層と、を有し、前記感光層の最表面層が、グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種と−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選択される置換基の少なくとも1つを持つ電荷輸送性材料の少なくとも1種とを用いた架橋物を含んで構成され、前記グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種が0.1質量%以上5質量%以下含有され、且つ前記電荷輸送性材料が90質量%以上含有される、ことを特徴とする電子写真感光体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−128878号公報
【特許文献2】特開2003−316057号公報
【特許文献3】特開2006−259030号公報
【特許文献4】特開2009−229549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、最表面層が水酸基を有する電荷輸送性のモノマーを脱水縮合した架橋構造を有する電子写真感光体と、水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤を用いて画像形成を行う場合に、画像濃度が帯状に低下した領域が発生することが抑制される画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、
最表面層が水酸基を有する電荷輸送性モノマーの脱水縮合によって架橋した構造を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤により前記電子写真感光体の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、
転写後の前記電子写真感光体の表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段と、を備え、
下記(1)乃至(3)の少なくとも1つを満たす画像形成装置である。
(1)前記電子写真感光体の最表面層がテトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含む。
(2)前記現像剤がテトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含む。
(3)テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を前記電子写真感光体の表面に供給するテトラフルオロエチレン系粒子供給手段を備える。
請求項2に係る発明は、
前記テトラフルオロエチレン系粒子がポリテトラフルオロエチレンを含有する請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に係る発明は、
前記テトラフルオロエチレン系粒子の体積平均粒子径が、1μm以下である請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に係る発明は、
最表面層が水酸基を有する電荷輸送性モノマーの脱水縮合によって架橋した構造を有するとともに、テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含み、
水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成装置に用いられる電子写真感光体である。
請求項5に係る発明は、
前記テトラフルオロエチレン系粒子がポリテトラフルオロエチレンを含有する請求項4に記載の電子写真感光体である。
請求項6に係る発明は、
前記テトラフルオロエチレン系粒子の体積平均粒子径が、1μm以下である請求項4又は請求項5に記載の電子写真感光体である。
請求項7に係る発明は、
最表面層が水酸基を有する電荷輸送性モノマーの脱水縮合によって架橋した構造を有するとともに、テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含む電子写真感光体を備え、
水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤により前記電子写真感光体の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
請求項8に係る発明は、
前記テトラフルオロエチレン系粒子がポリテトラフルオロエチレンを含有する請求項7に記載のプロセスカートリッジである。
請求項9に係る発明は、
前記テトラフルオロエチレン系粒子の体積平均粒子径が、1μm以下である請求項7又は請求項8に記載のプロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、最表面層が水酸基を有する電荷輸送性のモノマーを脱水縮合した架橋構造を有する電子写真感光体と、水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤を用いて画像形成を行う画像形成装置が、前記(1)乃至(3)を1つも満たさない場合に比べ、画像濃度が帯状に低下した領域が発生することが抑制される画像形成装置が提供される。
請求項2に係る発明によれば、テトラフルオロエチレン系粒子がポリテトラフルオロエチレン以外のテトラフルオロエチレン系粒子である場合に比べ、画像濃度が帯状に低下した領域が発生することが抑制される画像形成装置が提供される。
請求項3に係る発明によれば、テトラフルオロエチレン系粒子の体積平均粒子径が、1μmより大きい場合に比べ、画像濃度が帯状に低下した領域が発生することが抑制される画像形成装置が提供される。
請求項4に係る発明によれば、水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成装において、電子写真感光体の最表面層が水酸基を有する電荷輸送性のモノマーを脱水縮合した架橋構造を有し、テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子は含まない場合に比べ、画像濃度が帯状に低下した領域が発生することが抑制される電子写真感光体が提供される
請求項5に係る発明によれば、テトラフルオロエチレン系粒子がポリテトラフルオロエチレン以外のテトラフルオロエチレン系粒子である場合に比べ、画像濃度が帯状に低下した領域が発生することが抑制される電子写真感光体が提供される。
請求項6に係る発明によれば、テトラフルオロエチレン系粒子の体積平均粒子径が、1μmより大きい場合に比べ、画像濃度が帯状に低下した領域が発生することが抑制される電子写真感光体が提供される。
請求項7に係る発明によれば、水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジにおいて、電子写真感光体が最表面層が水酸基を有する電荷輸送性モノマーの脱水縮合によって架橋した構造を有し、テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含まない場合に比べ、画像濃度が帯状に低下した領域が発生することが抑制されるプロセスカートリッジが提供される。
請求項8に係る発明によれば、テトラフルオロエチレン系粒子がポリテトラフルオロエチレン以外のテトラフルオロエチレン系粒子である場合に比べ、画像濃度が帯状に低下した領域が発生することが抑制されるプロセスカートリッジが提供される。
請求項9に係る発明によれば、テトラフルオロエチレン系粒子の体積平均粒子径が、1μmより大きい場合に比べ、画像濃度が帯状に低下した領域が発生することが抑制されるプロセスカートリッジが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態で用いられる電子写真感光体の一例を示す模式図である。
【図3】本実施形態で用いられる電子写真感光体の他の例を示す模式図である。
【図4】本実施形態で用いられる電子写真感光体の他の例を示す模式図である。
【図5】本実施形態の画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。
【図6】画像濃度が帯状に低下した領域の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0010】
最表面層が水酸基を有する電荷輸送性のモノマーを脱水縮合した架橋構造を有する電子写真感光体(以下、単に「感光体」と記す場合がある)に対し、いわゆる乳化重合凝集法により製造したトナーを含む現像剤を用いて画像形成する場合、特に数日間使用しない期間を置いて画像形成を再開すると、帯状に画像濃度が低下する領域が生じる場合がある。その理由として、トナーに残留する僅かな水成分が感光体の最表面層内の未反応の水酸基に吸着して感度変化をもたらすことがあり、感光体の表面に接触する部材によって局所的に外気から閉ざされている領域、特にクリーニング装置が感光体の表面と接触し、感光体の表面から回収したトナーを含んで密閉された状態の領域においては、長期間放置によって履歴が残り、帯状の感度低下領域として画像濃度に反映されると推測される。例えば、図6に示すように、クリーニング装置が感光体の表面を外気から遮断していた領域に対応して、一定の間隔で画像濃度が低下した領域10が発生し易い。なお、このような帯状の画像濃度の低下は、クリーニング装置に限らず、接触型の帯電装置や現像装置など、感光体と接触して表面の一部を外気から遮断する領域において発生し易いと考えられる。
【0011】
本発明者は上記のような帯状の画像濃度の低下領域の発生を抑制するべく検討を重ねたところ、感光体の表面に、テトラフルオロエチレン(4フッ化エチレン)由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子が供給される構成とすることで、長期間放置による履歴(感度低下領域の発生)が抑制されることを見出した。その理由として、フッ素系粒子の中でもテトラフルオロエチレン系粒子は圧力によって比較的容易に変形し、感光体の表面に撥水性の被膜が形成された状態が保たれることで、感光体の表面にトナーに含まれる水分の吸着が効果的に抑制されると推測される。
【0012】
本実施形態に係る画像形成装置は、
最表面層が水酸基を有する電荷輸送性モノマーの脱水縮合によって架橋した構造を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤により前記電子写真感光体の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、
転写後の前記電子写真感光体の表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段と、を備え、
下記(1)乃至(3)の少なくとも1つを満たす画像形成装置である。
(1)前記電子写真感光体の最表面層がテトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含む。
(2)前記現像剤がテトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含む。
(3)テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を前記電子写真感光体の表面に供給するテトラフルオロエチレン系粒子供給手段を備える。
【0013】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。画像形成装置100は、主に、電子写真感光体7と、帯電装置8と、露光装置9と、現像装置11と、クリーニング装置13と、転写装置40と、中間転写体50と、を備えている。なお、中間転写体50を備えずに、感光体7の表面に形成されたトナー像を紙などの記録媒体(不図示)に直接転写する構成としてもよい。
【0014】
[電子写真感光体]
まず、本実施形態に係る電子写真感光体について説明する。図2は、本実施形態に係る電子写真用感光体の構成の一例を概略的に示し、図3及び図4はそれぞれ電子写真感光体の他の構成を概略的に示している。
図2に示す電子写真感光体7Aは、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2及び電荷輸送層3を順次形成して構成された感光層が設けられ、その上に最表面層として保護層5が設けられた構造を有するものである。
【0015】
図3に示す電子写真感光体7Bは、図2に示す電子写真感光体7Aと同様に、電荷発生層2と、電荷輸送層3とに機能が分離された機能分離型感光体であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷輸送層3及び電荷発生層2が順次形成された感光層が設けられ、その上に保護層5が設けられた構造を有するものである。
図4に示す電子写真感光体7Cは、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(電荷発生/電荷輸送層6)に含む機能一体型感光体であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生/電荷輸送層6、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。
なお、図2乃至図4に示す電子写真感光体の層構成は一例であり、例えば、下引層1は必ずしも設ける必要はなく、下引層1と感光層との間に中間層を設けてもよい。また、保護層を設けず、感光層を最表面層としてもよい。
以下、本実施形態の代表例として図2に示す電子写真感光体7Aに基づいて、各要素について説明する。
【0016】
<保護層>
保護層5は、電子写真感光体7Aにおける最表面層であり、電荷発生層2及び電荷輸送層3から構成される感光層を保護するために設けられる層である。
【0017】
−水酸基を有する電荷輸送性モノマー−
保護層5は、水酸基を有する電荷輸送性モノマーの脱水縮合によって架橋した構造を有する。保護層5における架橋構造を構成する電荷輸送性モノマーは、少なくとも1つの水酸基を有するものであればよいが、水酸基が多いほど架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られ、電子写真感光体の磨耗が抑制される。架橋密度の向上のため、水酸基以外の反応性基として、アルコキシ基、アミノ基、チオール基、及びカルボキシル基から選択される置換基を有していてもよい。
【0018】
水酸基を有する電荷輸送性モノマーとしては、下記一般式(I)で示される化合物であることが望ましい。
F−((−R−X)n1(Rn2−Y)n3 (I)
一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は0又は1を示し、n3は1以上4以下の整数を示す。Xは酸素、NH、又は硫黄原子を示し、Yは、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、チオール基、及びカルボキシル基から選択される置換基を示し、少なくとも1つは水酸基である。
一般式(I)中、Fを示す正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基における正孔輸送能を有する化合物としては、アリールアミン誘導体が挙げられる。アリールアミン誘導体としては、トリフェニルアミン誘導体、テトラフェニルベンジジン誘導体が挙げられる。
そして、一般式(I)で示される化合物は、下記一般式(II)で示される化合物であることが望ましい。一般式(II)で示される化合物は、特に、電荷移動度、酸化などに対する安定性等に優れる。
【0019】
【化1】

【0020】
一般式(II)中、Ar乃至Arは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示し、Arは置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、Dは−(−R−X)n1(Rn2−Yを示し、cはそれぞれ独立に0又は1を示し、kは0又は1を示し、Dの総数は1以上4以下である。また、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は0又は1を示し、Xは酸素、NH、又は硫黄原子を示し、Yは水酸基、アルコキシ基、アミノ基、チオール基、又はカルボキシル基を示し、少なくとも1つは水酸基である。
一般式(II)中、Dを示す「−(−R−X)n1(Rn2−Y」は、一般式(I)と同様であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基である。また、n1として望ましくは、1である。また、n2として望ましくは、1である。また、Xとして望ましくは、酸素である。Yは水酸基、アルコキシ基、アミノ基、チオール基、又はカルボキシル基を示し、少なくとも1つは水酸基である。
なお、一般式(II)におけるDの総数は、一般式(I)におけるn3に相当し、望ましくは、2以上4以下であり、さらに望ましくは3以上4以下である。つまり、一般式(I)や一般式(II)において、Dの総数を、望ましくは一分子中に2以上4以下、さらに望ましくは3以上4以下とすると、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られ、特にクリーニングブレードを用いた際の電子写真感光体の回転トルクが低減され、ブレードへのダメージの抑制や、電子写真感光体の磨耗が抑制される。この詳細は不明であるが、Dの数が増すことで、水酸基等の反応性基の数も増して架橋密度の高い硬化膜が得られ、電子写真感光体の極表面の分子運動が抑制されてブレード部材の表面分子との相互作用が弱まるためと推測される。
【0021】
一般式(II)中、Ar乃至Arとしては、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれかであることが望ましい。なお、下記式(1)乃至(7)は、Ar乃至Arの各々に連結され得る「−(D)C1」乃至「−(D)C4」を総括的に示した「−(D)」と共に示す。
【0022】
【化2】

【0023】
式(1)乃至(7)中、Rは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R10乃至R12はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、D及びcは一般式(II)における「D」、「c」と同様であり、sはそれぞれ0又は1を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
ここで、式(7)中のArとしては、下記式(8)又は(9)で表されるものが望ましい。
【0024】
【化3】

【0025】
式(8)、(9)中、R13及びR14はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
また、式(7)中のZ’としては、下記式(10)乃至(17)のうちのいずれかで表されるものが望ましい。
【0026】
【化4】

【0027】
式(10)乃至(17)中、R15及びR16はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ1以上10以下の整数を表し、tはそれぞれ1以上3以下の整数を表す。
上記式(16)乃至(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
【0028】
【化5】

【0029】
また、一般式(II)中、Arは、kが0のときはAr乃至Arの説明で例示された上記(1)乃至(7)のアリール基であり、kが1のときはかかる上記(1)乃至(7)のアリール基から所定の水素原子を除いたアリーレン基である。
一般式(I)で示される水酸基を有する電荷輸送性化合物の具体例としては、例えば、以下に示す化合物I−1乃至I−21が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
【化6】

【0031】
【化7】

【0032】
【化8】

【0033】
【化9】

【0034】
−テトラフルオロエチレン系粒子−
感光体の保護層5には、テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子が含まれることが望ましい。本実施形態に係る画像形成装置において、テトラフルオロエチレン系粒子が感光体の外部から感光体の表面に供給されてもよいが、感光体7Aの保護層5にテトラフルオロエチレン系粒子が含まれていれば、外部からテトラフルオロエチレン系粒子を供給しなくても、保護層5の摩耗に伴って感光体の表面にテトラフルオロエチレン系粒子が確実に供給され、クリーニングブレード等の感光体の表面に接触する部材によって薄膜状に容易に変形して感光体の表面にテトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体の薄膜が形成される。
【0035】
テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体としては、テトラフルオロエチレンの重合体又はテトラフルオロエチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適であり、特にPTFEが好適である。
【0036】
一方、テトラフルオロエチレン系粒子以外のフッ素系樹脂粒子として、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素系樹脂粒子もあるが、テトラフルオロエチレン由来の構成単位を含まないフッ素系樹脂粒子では、帯状の画像濃度低下領域の発生を抑制する効果が得られない。その理由として、PVDFのようにテトラフルオロエチレン系粒子以外のフッ素系樹脂粒子では、クリーニングブレード等の接触部材による圧力によって変形し難く、感光体の表面にフッ素樹脂の薄膜が形成され難いためと推測される。
【0037】
保護層5に含まれるテトラフルオロエチレン系粒子の体積平均粒子径は1μm以下であることが望ましい。テトラフルオロエチレン系粒子の粒子径が1μm以下であれば、クリーニングブレード131と感光体との間に入り込んで圧力によって薄膜状に変形し易い。テトラフルオロエチレン系粒子の粒子径は、0.05μm以上0.5μm以下であることがより望ましく、0.1μm以上0.3μm以下であることが特に望ましい。
なお、テトラフルオロエチレン系粒子の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)を用いて、テトラフルオロエチレン系粒子が分散された分散液と同じ溶剤に希釈した測定液を屈折率1.35で測定した値である。
【0038】
保護層5におけるテトラフルオロエチレン系粒子の含有量は、少な過ぎると十分な効果が得られず、多過ぎると感光体表面の摩擦係数が下がりすぎ、クリーニング性能が低下して画像不良が発生する可能性がある。かかる観点から、保護層5におけるテトラフルオロエチレン系粒子の含有量は、保護層5の全固形分に対して3質量%以上20質量%以下が望ましく、5質量%以上15質量%以下がさらに望ましい。
【0039】
保護層5は、水酸基を有する電荷輸送性モノマーの脱水縮合によって形成された架橋物と、テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子のほか、フッ化アルキル基含有共重合体、グアナミン化合物、メラミン化合物、導電性粒子など他の成分を含有してもよい。
【0040】
−フッ化アルキル基含有共重合体−
保護層5がフッ化アルキル基含有共重合体を含有することで、テトラフルオロエチレン系粒子の分散安定性が保たれる。
保護層5に含まれるフッ化アルキル基含有共重合体としては、特に限定されるものではないが、下記構造式A及び構造式Bで表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体であることが望ましく、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、等からなるマクロモノマー及びパーフルオロアルキルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレートを用いて例えばグラフト重合により合成される樹脂であることがより望ましい。ここで、(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを示す。
【0041】
【化10】

【0042】
上記構造式A及び構造式Bにおいて、l、m及びnは1以上の整数を、p、q、r及びsは0または1以上の整数を、tは1以上7以下の整数を、R、R、R及びRは水素原子又はアルキル基を、Xはアルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−S−、−O−、−NH−又は単結合を、Yはアルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−(C2z−1(OH))−又は単結合を表す。zは1以上の整数を表す。Qは−O−又は−NH−を表す。
【0043】
フッ化アルキル基含有共重合体の重量平均分子量は、10000以上100000以下が望ましく、さらに望ましくは30000以上100000以下である。
【0044】
フッ化アルキル基含有共重合体において、構造式(A)と構造式(B)との含有比即ちl:mは、1:9乃至9:1が望ましく、3:7乃至7:3がさらに望ましい。
【0045】
構造式(A)及び構造式(B)において、R、R、R及びRで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。R、R、R及びRとしては、水素原子、メチル基が望ましく、これらの中でもメチル基がさらに望ましい。
【0046】
フッ化アルキル基含有共重合体は、構造式(C)で表される繰り返し単位をさらに含んでもよい。構造式(C)の含有量は、構造式(A)及び構造式(B)の含有量の合計即ちl+mとの比で、l+m:zとして10:0乃至7:3が望ましく、9:1乃至7:3がさらに望ましい。
【0047】
【化11】

【0048】
〔構造式(C)において、R及びRは水素原子またはアルキル基を、zは1以上の整数を表す。〕
【0049】
尚、R、Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基が望ましく、これらの中でもメチル基がさらに望ましい。
【0050】
保護層5におけるフッ化アルキル基含有共重合体の含有量は、テトラフルオロエチレン系粒子の質量に対して1質量%以上10質量%以下であることが望ましい。
【0051】
‐グアナミン化合物及びメラミン化合物‐
保護層5は、グアナミン構造を有する化合物(適宜「グアナミン化合物」と称する。)及びメラミン構造を有する化合物(適宜「メラミン化合物」と称する。)から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
グアナミン化合物及びメラミン化合物の総含有量は、フッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体を除いた最表面層の全固形分に対して0.1質量%以上20質量%以下であることが望ましい。
保護層5がグアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種を含むことことで、電子写真感光体の耐摩耗性及び電気的安定性がより向上し、また像流れの発生も抑制し、良好な画質の形成が繰り返し得られ、画像形成装置の高信頼性、長寿命化がより高められる。
【0052】
ここで、グアナミン化合物について説明する。本実施形態で用いるグアナミン化合物は、グアナミン骨格(構造)を有する化合物であり、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ホルモグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、シクロヘキシルグアナミンなどが挙げられる。
【0053】
グアナミン化合物としては、特に下記一般式(A)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(A)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(A)で示される化合物は、一種単独で用いもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、一般式(A)で示される化合物を2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上する。
【0054】
【化12】

【0055】
一般式(A)中、Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキル基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数4以上10以下の置換若しくは未置換の脂環式炭化水素基を示す。R乃至Rは、それぞれ独立に水素、−CH−OH、又は−CH−O−Rを示す。Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状又は分鎖状のアルキル基を示す。
一般式(A)において、Rを示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以下8以上であり、より望ましくは炭素数が1以上5以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。
一般式(A)中、Rを示すフェニル基は、炭素数6以上10以下であるが、より望ましくは6以上8以下である。当該フェニル基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、Rを示す脂環式炭化水素基は、炭素数4以上10以下であるが、より望ましくは5以上8以下である。当該脂環式炭化水素基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、R乃至Rを示す「−CH−O−R」において、Rを示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以下8以上であり、より望ましくは炭素数が1以上6以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。望ましくは、メチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
一般式(A)で示される化合物としては、特に望ましくは、Rが炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基を示し、R乃至Rがそれぞれ独立に−CH−O−Rを示される化合物である。また、Rは、メチル基又はn−ブチル基から選ばれることが望ましい。
一般式(A)で示される化合物は、例えば、グアナミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページ)で合成される。
以下、一般式(A)で示される化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体のものを示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。
【0056】
【化13】

【0057】
【化14】

【0058】
【化15】

【0059】
【化16】

【0060】
一般式(A)で示される化合物の市販品としては、例えば、”スーパーベッカミン(R)L−148−55、スーパーベッカミン(R)13−535、スーパーベッカミン(R)L−145−60、スーパーベッカミン(R)TD−126”以上大日本インキ社製、”ニカラックBL−60、ニカラックBX−4000”以上日本カーバイド社製、などが挙げられる。
また、一般式(A)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後又は市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
【0061】
次に、メラミン化合物について説明する。本実施形態で用いるメラミン化合物としては、メラミン骨格(構造)を有する化合物であり、特に下記一般式(B)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(B)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(B)で示される化合物又はその多量体は、一種単独で用いもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記一般式(A)で示される化合物又はその多量体と併用してもよい。特に、一般式(B)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上する。
【0062】
【化17】

【0063】
一般式(B)中、R乃至R11はそれぞれ独立に、水素原子、−CH−OH、−CH−O−R12を示し、R12は炭素数1以上5以下の分岐してもよいアルキル基を示す。当該アルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
一般式(B)で示される化合物は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページのメラミン樹脂と同様に合成される)で合成される。
以下、一般式(B)で示される化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体のものを示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。
【0064】
【化18】

【0065】
一般式(B)で示される化合物の市販品としては、例えば、スーパーメラミNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60(大日本インキ社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。
また、一般式(B)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後又は市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
【0066】
保護層5中における、グアナミン化合物及びメラミン化合物の総含有量は、保護層の全固形分に対して0.1質量%以上20質量%以下であること望ましい。
グアナミン化合物(例えば、一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(例えば、一般式(B)で示される化合物)の総含有量が上記範囲内であれば、上記範囲未満である場合に比べて緻密な膜となり、耐摩耗性が向上し、上記範囲外である場合に比べて電気特性や耐ゴースト性が向上する。
【0067】
保護層5中における、前記電荷輸送性化合物の総含有量や、上記グアナミン化合物及びメラミン化合物の総含有量は、保護層5を形成するための塗布液におけるこれらの化合物の固形分濃度を調整することによって制御される。
【0068】
‐その他の成分‐
感光体の表面の耐汚染物付着性、潤滑性を改善するために、シリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノ−ル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0069】
保護層5には、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの他の熱硬化性樹脂を混合して用いてもよい。また、スピロアセタール系グアナミン樹脂(例えば「CTU−グアナミン」(味の素ファインテクノ(株)))など、一分子中の官能基のより多い化合物を当該架橋物中の材料に共重合させてもよい。
【0070】
また、保護層5には界面活性剤を添加してもよい。フッ素原子、アルキレンオキサイド構造、シリコーン構造のうち少なくとも一種類以上の構造を含む界面活性剤が好適に挙げられる。
【0071】
保護層5には、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系またはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
【0072】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
【0073】
保護層5には、硬化を促進するための硬化触媒を含有させてもよい。硬化触媒として酸系の触媒が望ましく用いられる。酸系の触媒としては、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族カルボン酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、などの脂肪族、および芳香族スルホン酸類などが用いられるが、含硫黄系材料を用いることが望ましい。
【0074】
硬化触媒としての含硫黄系材料は、常温(例えば25℃)、または加熱後に酸性を示すものが望ましく、有機スルホン酸およびその誘導体の少なくとも1種が最も望ましい。
【0075】
有機スルホン酸および/またはその誘導体としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸が望ましい。また、硬化性樹脂組成物中で、解離し得るものであれば、有機スルホン酸塩を用いてもよい。
【0076】
また、熱をかけた際に触媒能力が高くなる、所謂熱潜在性触媒を用いてもよい。
熱潜在性触媒として、たとえば有機スルホン化合物等をポリマーで粒子状に包んだマイクロカプセル、ゼオライトの如く空孔化合物に酸等を吸着させたもの、プロトン酸および/またはプロトン酸誘導体を塩基でブロックした熱潜在性プロトン酸触媒や、プロトン酸および/またはプロトン酸誘導体を一級もしくは二級のアルコールでエステル化したもの、プロトン酸および/またはプロトン酸誘導体をビニルエーテル類および/またはビニルチオエーテル類でブロックしたもの、三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素のピリジン錯体などが挙げられる。
【0077】
中でも、プロトン酸および/またはプロトン酸誘導体を塩基でブロックしたものが望ましい。
熱潜在性プロトン酸触媒のプロトン酸として、硫酸、塩酸、酢酸、ギ酸、硝酸、リン酸、スルホン酸、モノカルボン酸、ポリカルボン酸類、プロピオン酸、シュウ酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フタル酸、マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、o、m、p−トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。また、プロトン酸誘導体として、スルホン酸、リン酸等のプロトン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属円などの中和物、プロトン酸骨格が高分子鎖中に導入された高分子化合物(ポリビニルスルホン酸等)等が挙げられる。プロトン酸をブロックする塩基として、アミン類が挙げられる。
【0078】
アミン類は、1級、2級または3級アミンに分類される。特に制限はなく、いずれも使用してもよい。
【0079】
1級アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、セカンダリーブチルアミン、アリルアミン、メチルヘキシルアミン等が挙げられる。
【0080】
2級アミンとして、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジt−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、N−イソプロピルN−イソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジセカンダリーブチルアミン、ジアリルアミン、N−メチルヘキシルアミン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、モルホリン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
【0081】
3級アミンとして、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリt−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N,N,N’,N’ーテトラメチルー1,2ージアミノエタン、N,N,N’,N’ーテトラメチルー1,3ージアミノプロパン、N,N,N’,N’ーテトラアリルー1,4ージアミノブタン、Nーメチルピペリジン、ピリジン、4ーエチルピリジン、Nープロピルジアリルアミン、3−ジメチルアミノプロパノ−ル、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−コリジン、2−メチル−4−エチルピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、N,N,N’,N’ −テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−エチル−3−ヒドロキシピペリジン、3−メチル−4−エチルピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン、4−(5−ノニル)ピリジン、イミダゾ−ル、N−メチルピペラジン等が挙げられる。
【0082】
市販品としては、キングインダストリーズ社製の「NACURE2501」(トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.2以下、解離温度80℃)、「NACURE2107」(p−トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH8.0以上pH9.0以下、解離温度90℃)、「NACURE2500」(p−トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.0以下、解離温度65℃)、「NACURE2530」(p−トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH5.7以上pH6.5以下、解離温度65℃)、「NACURE2547」(p−トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH8.0以上pH9.0以下、解離温度107℃)、「NACURE2558」(p−トルエンスルホン酸解離、エチレングリコール溶媒、pH3.5以上pH4.5以下、解離温度80℃)、「NACUREXP−357」(p−トルエンスルホン酸解離、メタノール溶媒、pH2.0以上pH4.0以下、解離温度65℃)、「NACUREXP−386」(p−トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH6.1以上pH6.4以下、解離温度80℃)、「NACUREXC−2211」(p−トルエンスルホン酸解離、pH7.2以上pH8.5以下、解離温度80℃)、「NACURE5225」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5414」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE5528」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH7.0以上pH8.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5925」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、pH7.0以上pH7.5以下、解離温度130℃)、「NACURE1323」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン溶媒、pH6.8以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE1419」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン/メチルイソブチルケトン溶媒、解離温度150℃)、「NACURE1557」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、ブタノール/2−ブトキシエタノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACUREX49−110」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度90℃)、「NACURE3525」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH7.0以上pH8.5以下、解離温度120℃)、「NACUREXP−383」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE3327」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE4167」(リン酸解離、イソプロパノール/イソブタノール溶媒、pH6.8以上pH7.3以下、解離温度80℃)、「NACUREXP−297」(リン酸解離、水/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度90℃、「NACURE4575」(リン酸解離、pH7.0以上pH8.0以下、解離温度110℃)等が挙げられる。
これらの熱潜在性触媒は単独または二種類以上組み合わせても使用される。
【0083】
ここで、触媒の配合量は、保護層形成用塗布液におけるテトラフルオロエチレン系粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を除いた全固形分に対し、0.1質量%以上10質量%以下の範囲であることが望ましく、特に0.1質量%以上5質量%以下が望ましい。
【0084】
−保護層の形成−
保護層5は、支持体上に下引層1、電荷発生層2および電荷輸送層3を順次形成した後、保護層形成用塗布液を塗布して架橋することによって形成される。
【0085】
保護層5の形成に使用される溶媒としては、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等の環状脂肪族ケトン化合物が挙げられる。また、該脂肪族環状ケトン化合物と他の溶媒とを併用してもよく、併用される該他の溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロペンタノール等の環状或いは直鎖状アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等の直鎖状ケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒等の溶媒が挙げられる。
前記環状脂肪族ケトン化合物としては、環を構成する炭素の数が4以上7以下のものが望ましく、5以上6以下のものが特に望ましい。
【0086】
保護層5を形成するための塗布法としては、突き上げ塗布法、リング塗布法、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、インクジェット塗布法等の公知の方法が挙げられる。
塗布後は、例えば温度100℃以上170℃以下で加熱し硬化(架橋)させることで、保護層5が得られる。
【0087】
保護層5の厚さは、長寿命化および画質安定性の観点から、1μm以上20μm以下の範囲であることが望ましい。
【0088】
<導電性支持体>
導電性支持体4としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケル等の金属ドラム;シート、紙、プラスチック、ガラス等の基材上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記基材に蒸着したもの;金属箔を上記基材にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散し、上記基材に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。なお、本明細書中において「導電性」とは、体積抵抗率が1013Ω・cm未満である性質を指す。
【0089】
導電性支持体4の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。例えば、導電性支持体として金属製パイプを用いる場合、当該金属製パイプの支持体の表面は素管のままのものであってもよいが、予め表面処理により支持体の表面を粗面化してもよい。かかる粗面化により、露光光源としてレーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に、感光体の内部で発生し得る干渉光による木目状の濃度ムラが防止される。表面処理の方法としては、鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング等が挙げられる。
特に、感光層の密着性向上や成膜性向上の点では、例えば、アルミニウムの表面に陽極酸化処理を施したものを導電性支持体として用いることが望ましい。
【0090】
<下引層>
下引層1は、支持体4の表面における光反射の防止、支持体4から保護層5への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。
下引層1の構成材料としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を結着樹脂に分散し、支持体上に塗布したものが挙げられる。また、導電性金属酸化物は2種以上混合して用いてもよい。さらに、導電性金属酸化物へカップリング剤による表面処理を行うことで、粉体抵抗を制御して用いてもよい。
【0091】
下引層1に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが用いられる。
下引層1中の導電性金属酸化物と結着樹脂との比率は特に制限されず、任意に設定し得る。
【0092】
下引層1には、アクセプター性化合物(電子受容物質)を含有させてもよい。アクセプター性化合物としてはいかなるものでも使用し得るが、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。さらに、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
【0093】
これらのアクセプター性化合物の含有量は任意に設定してもよいが、望ましくは無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下含有される。さらに0.05質量%以上10質量%以下が望ましい。
【0094】
アクセプター化合物は、下引層1の塗布時に添加するだけでもよいし、無機粒子表面にあらかじめ付着させておいてもよい。無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法、または、湿式法が挙げられる。
【0095】
下引層1の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた塗布液が使用される。かかる溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独または2種以上混合して用いられる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶解し得るものであれば、いかなるものも使用される。
【0096】
また、下引層1を形成するための塗布液中に導電性金属酸化物を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機等が利用される。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
【0097】
下引層1を形成するための塗布液を支持体4上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。下引層1の厚さは15μm以上が望ましく、20μm以上50μm以下がより望ましい。下引層1には、表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子を添加してもよい。該樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等が用いられる。
【0098】
また、表面粗さ調整のために下引層1の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等が用いられる。
【0099】
<中間層>
下引層1上に中間層(不図示)をさらに設けてもよい。中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物または重縮合物として用いられる。
【0100】
中間層の形成に使用される溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いられる。尚、混合する際使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かし得るものであればいかなるものでも使用される。
【0101】
中間層を形成する際の塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層を形成する場合の厚さは、0.1μm以上3μm以下の範囲であることが望ましい。
【0102】
<電荷発生層>
電荷発生層2は、電荷発生材料を真空蒸着法により蒸着させて形成するか、有機溶剤及び結着樹脂を含む溶液を塗布することにより形成される。
電荷発生材料としては、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化合物;セレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体;又はこれらを色素増感したもの、無金属フタロシアニン,チタニルフタロシアニン,銅フタロシアニン,錫フタロシアニン,ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン化合物;スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料;又は染料が用いられる。
【0103】
また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン化合物ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型を用いてもよい。
なお、上述した電荷発生材料の中でも、フタロシアニン化合物が望ましい。この場合、感光層に光が照射されると、感光層に含まれるフタロシアニン化合物がフォトンを吸収してキャリアを発生させる。このとき、フタロシアニン化合物は、高い量子効率を有するため、吸収したフォトンを効率よく吸収してキャリアが発生する。
【0104】
電荷発生層2に用いられる結着樹脂としては、以下のものが例示される。即ちビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂およびその共重合体、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどである。
これらの結着樹脂は、単独であるいは2種以上混合して用いられる。電荷発生材料と結着樹脂との配合比(電荷発生材料:結着樹脂)は、質量比で、10:1から1:10の範囲が望ましい。
電荷発生層2の厚みは、一般には0.01μm以上5μm以下の範囲内であることが望ましく、0.05μm以上2.0μm以下の範囲内であることがより望ましい。
【0105】
電荷発生層2は、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有してもよい。電荷発生層2に用いられる電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などが挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。
電荷発生材料を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法が用いられる。
【0106】
電荷発生層2を形成するための塗布液の溶媒として公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
【0107】
<電荷輸送層>
電荷輸送層3は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して形成される。
【0108】
電荷輸送材料としては、公知のものが適用され、例えば下記に示すものが例示される。
すなわち、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体等の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質、あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用される。
【0109】
電荷輸送層3における結着樹脂としては、ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールA型あるいはビスフェノールZ型等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
【0110】
電荷輸送層3は、上記成分を溶剤に加えた塗布液を用いて形成される。電荷輸送層3の形成に使用される溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。併用する際に使用される溶剤としては、結着樹脂が溶解されるのであれば特に制限は無い。
【0111】
電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は、質量比で、10:1から1:5までが望ましい。
【0112】
このようにして得られる電荷輸送層形成用の塗布液を電荷発生層2上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が適用される。
【0113】
電荷輸送層3の膜厚は、5μm以上50μm以下が望ましく、10μm以上40μm以下がより望ましい。
【0114】
[帯電手段]
帯電装置8としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等が使用される。また、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器を使用してもよい。
【0115】
[静電潜像形成手段]
静電潜像形成手段となる露光装置9としては、例えば、感光体7の表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、所望の像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザーの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下近傍に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビーム出力をするタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
【0116】
[現像手段]
現像装置11としては、水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤を収容し、静電潜像が形成された感光体7の表面にトナー像を形成する構成を有するものを用いる。例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤又は二成分系現像剤等を接触又は非接触させて現像する現像装置が使用され、上記一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器を備えたもの等が挙げられる。
【0117】
−トナー−
本実施形態で用いるトナーは、具体的には、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させて形成された分散液と、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させてトナー粒子を得る乳化重合凝集法によって作製される。凝集工程を2段階にした湿式法によって作製したトナーを用いることが望ましい。
かかる乳化重合凝集法によって製造したトナーは、いわゆる粉砕法によって製造したトナーに比べて含水量が多く、通常、0.5質量%以上2質量%以下の水分を含む。
【0118】
乳化重合凝集法は、より具体的には、樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散した着色剤粒子分散液、離型剤粒子を分散した離型剤粒子分散液、凝集剤等を混合し、加熱することにより前記樹脂粒子、着色剤粒子、離型剤粒子等を凝集させて凝集粒子を形成する工程と、前記樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度に加熱して融合させ、トナー粒子を形成する工程と、を有する方法である。ここで凝集粒子を形成する方法としては、前記樹脂粒子、着色剤粒子、離型剤粒子等を混合した溶液を、加熱する方法、pHをコントロールする方法が挙げられるが、凝集剤を更に混合する方法が望ましい。
【0119】
なお、凝集粒子を形成する途中で、無機酸化物や帯電制御剤分散液等の添加物を加えてもよい。更に樹脂粒子分散液を加えて樹脂粒子を付着させてもよい。
【0120】
・結着樹脂
本実施形態に使用するトナー用樹脂として用いられる熱可塑性結着樹脂となる重合体の例としては、スチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n―プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2―エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2―エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体などの重合体、これらを2種以上組み合せて得られる共重合体、またはこれらの混合物、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物やこれらの共存下でビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等が挙げられる。
【0121】
樹脂粒子分散液は、乳化重合法またはそれに類似した重合法で容易に得られる。また、予め溶液重合法や塊状重合法等で重合した重合体を、その重合体が溶解しない溶媒中へ安定剤とともに添加して機械的に混合分散する方法など、任意の方法で得られる。
【0122】
例えば、ビニル系単量体の場合は、イオン性界面活性剤などを用いてその製法に応じて、乳化重合、懸濁重合を実施して樹脂粒子分散液を調製する。また、その他の樹脂の場合は油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、樹脂をそれらの溶剤に解かして水中にイオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機により水中に粒子分散し、その後加熱または減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂分散液が調製される。
【0123】
前記樹脂粒子分散液の樹脂粒子の粒径は、体積平均粒径で1μm以下であることが望ましく、100nm以上800nm以下であることがより望ましい。
【0124】
前記界面活性剤としては、硫酸エステルスルホン酸塩系、燐酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型当のカチオン系海面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、アルキルアルコールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤、および、種々のグラフトポリマー等が挙げられるが、特に制限されるものではない。
【0125】
また、乳化重合法で樹脂粒子分散液を調製する場合は、少量の不飽和酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸等により保護コロイド層を形成してもよく、ソープフリー重合が行なわれるので特に望ましい。
【0126】
前記樹脂粒子のガラス転移温度は、45℃以上65℃以下の範囲にあることが望ましく、更に50℃以上60℃以下の範囲にあることがより望ましく、53℃以上60℃以下の範囲がさらに望ましい。
【0127】
また、前記樹脂粒子は、重量平均分子量Mwが15000以上60000以下の範囲にあることが望ましく、20000以上50000以下の範囲がより望ましく、25000以上40000以下の範囲がさらに望ましい。
【0128】
・離型剤
離型剤の例としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用される。
上記離型剤の添加量は、5質量%以上20質量%以下が望ましく、7質量%以上13質量%以下がより望ましい。
【0129】
・着色剤
着色剤については、種々の顔料、染料などを1種もしくは複数種類を併せて使用してもよい。
着色剤の例としては、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、プリリアンカーミン6B、デイボンオイルレッド、ビラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メリレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレートなどの種々顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、リオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、リオインジコ系、フタロシアニン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、リアジン系、リアゾール系、キサンテン系などの各種染料などを1種または2種以上を合わせて使用される。
また、磁性トナーとして用いる場合は、フェライトやマグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金またはこれら金属を含む化合物などの磁性粉を使用する。
【0130】
前記着色剤の分散方法は、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、アルティマイザーなどの一般的な分散手段が採用され、なんら制限されるものではない。例えば、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と伴に分散される。
【0131】
乳化重合凝集法によってトナーを製造する際、トナー粒子を構成する分散粒子の分散径は、母体凝集に用いる場合も、母体粒子に追加する粒子(追加粒子)に用いる場合も1μm以下であることが望ましい。分散粒子の分散径が1μmを超える場合には、最終的に生成するトナー粒子の粒径の分布が広くなったり、遊離した粒子の発生が生じ、性能低下や信頼性低下の原因となりやすい。
【0132】
追加粒子の分散液の量は、含まれる粒子の体積分率に依存し、追加粒子の量として最終的に生成する体積で凝集粒子の50%以内であることが望ましい。追加粒子の量が最終的に生成する凝集粒子の50%以内であれば、母体粒子への凝集ではなく、新たに凝集粒子が生成することが抑制され、組成の分布や粒径の分布の広がりが抑制される。
また、粒子の追加を段階的に分割しておこなったり、徐々に連続的に行うことにより、新たな微小な凝集粒子の発生が抑制され、粒度分布が狭くなる。
さらに添加の段階ごとに母体凝集粒子または追加粒子のガラス転移温度以下の範囲で温度を上昇させることにより、遊離粒子の発生が抑制される。
【0133】
・凝集剤
凝集剤は、樹脂粒子分散液や着色粒子分散液に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤の他、2価以上の無機金属塩が好適に用いられ、特に無機金属塩が好適である。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方がより適している。
凝集剤の添加量は、凝集するときのイオン濃度により変わるが、混合溶液の固形分(トナー成分)の0.05質量%以上1.00質量%以下が望ましく、0.10質量%以上0.50質量%以下がより望ましい。
【0134】
トナー粒子を求められる粒径・形状にするには、前記樹脂粒子、着色剤粒子、離型剤粒子等を凝集させて凝集粒子を形成した後、pH調整により粒径を安定させ、前記樹脂粒子のTg以上に昇温、融合する際に、温度・時間・pHを調節することで行なわれる。融合して得た粒子は、ろ過などの固液分離工程や、洗浄工程、乾燥工程等を経てトナー粒子とされる。
洗浄工程では、硝酸・硫酸・塩酸などの酸や水酸化ナトリウムに代表されるアルカリ溶液で処理し、イオン交換水等で洗浄することが望ましい。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法が採用されが、フラッシュジェットの如き気流型乾燥機を使用することが望ましい。
【0135】
本実施形態に係る画像形成装置100では、現像剤にテトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含ませてもよい。現像装置11からトナーと共にテトラフルオロエチレン系粒子が供給されることで、感光体7の表面にテトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含む薄膜が形成されることになる。現像剤にテトラフルオロエチレン系粒子を含ませる場合、感光体7の保護層5には、テトラフルオロエチレン系粒子を含んでもよいし、含まなくてもよい。ただし、感光体7の保護層5にテトラフルオロエチレン系粒子を含ませておけば保護層5の摩耗とともにテトラフルオロエチレン系粒子が感光体7の表面に供給されるのに対し、例えば、トナー粒子にテトラフルオロエチレン系粒子を外添させた場合は、クリーニングブレード131等の感光体7の表面と接触する部材によってトナー粒子からテトラフルオロエチレン系粒子を離脱させる必要がある。そのため、感光体7の保護層5にテトラフルオロエチレン系粒子を含ませておくことが望ましい。
【0136】
[転写手段]
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
【0137】
[中間転写体]
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
【0138】
[クリーニング手段]
クリーニング装置13は、先端がゴム部材からなるクリーニングブレード131が感光体(不図示)表面に接触し、転写後の感光体7の表面に残留するトナーを除去する。クリーニング装置13は、クリーニングブレード131によって感光体7の表面から除去されたトナーを収容するため、感光体7の表面の一部の領域を略密閉する構造を有している。
クリーニング装置13は、潤滑材14を感光体7の表面に供給する繊維状部材132を備えてもよい。また、必要に応じて、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えてもよい。
【0139】
[テトラフルオロエチレン系粒子供給手段]
本実施形態に係る画像形成装置100は、現像手段とは別に、前記テトラフルオロエチレン系粒子を感光体の表面に供給するテトラフルオロエチレン系粒子供給手段(不図示)を備えてもよい。かかるテトラフルオロエチレン系粒子供給手段を設けておけば、感光体7の表面にテトラフルオロエチレン系粒子が確実に供給されることになる。
【0140】
画像形成装置100は、上述した各装置の他に、例えば、感光体7に対して光除電を行う光除電装置を備えていてもよい。
【0141】
図5は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す概略断面図である。画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。
かかる構成の画像形成装置120でも、各プロセスカートリッジ300において、電子写真感光体の最表面層が水酸基を有する電荷輸送性モノマーの脱水縮合によって架橋した構造を有するとともに、テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含み、現像装置は、水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する構成とすることで、帯状の画像濃度低下領域が発生することが抑制される。
【実施例】
【0142】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。尚、以下において「部」は、特に断りのない限り質量基準である。
【0143】
<トナーの作製>
−樹脂分散液1の作製−
スチレン 370g
n−ブチルアクリレート 30g
アクリル酸 6g
ドデカンチオール 24g
4臭化炭素 4g
【0144】
上記の各成分を混合溶解したものを、非イオン性界面活性剤「ノニポール400」6g、アニオン性界面活性剤「ネオゲンSC」10gをイオン交換水550gに溶解したものに加えてフラスコ中で分散、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換をおこなった。そののちフラスコを攪拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。
これにより中心径155nm、ガラス転移点59℃、Mw12000のアニオン性樹脂分散液を得た。
【0145】
−樹脂分散液2の作製−
スチレン 280g
n−ブチルアクリレート 120g
アクリル酸 8g
上記各成分を混合溶解したものを、非イオン性界面活性剤「ノニポール400」6g、アニオン性界面活性剤「ネオゲンSC」12gをイオン交換水550gに溶解したものに加えてフラスコ中で分散、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム3gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換をおこなった。そののちフラスコを攪拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。
これにより中心径105nm、ガラス転移点53℃、Mw550000のアニオン性樹脂分散液を得た。
【0146】
−顔料分散液の作製−
カーボンブラック モーガルL(キャボット) 50g
非イオン性界面活性剤ノニポール400 5g
イオン交換水 200g
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分間分散し、中心粒径250nmのカーボンブラック分散液を得た。
【0147】
−離型剤分散液の作製−
パラフィンワックスHNP0190(融点85℃ 日本精蝋) 50g
カチオン性界面活性剤サニゾールB50(花王) 5g
イオン交換水 200g
以上を95℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、中心径550nmのワックス分散液を得た。
【0148】
−凝集粒子の作製−
樹脂分散液1 120g
樹脂分散液2 80g
顔料分散液 30g
離型剤分散液 40g
サニゾールB50 1.5g
【0149】
以上を丸型ステンレス製フラスコ中でウルトラタラックスT50で混合分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると約5μmの凝集粒子が生成していることが確認された。ここに樹脂分散液1を緩やかに60g追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて50℃で1時間保持した。
光学顕微鏡にて観察すると約5.7μmの凝集粒子が生成していることが確認された。
その後、ここにネオゲンSC3gを追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら105℃まで加熱し、3時間保持した。
冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、コールターカウンターで粒径を測定すると5.6μmであった。
【0150】
[現像剤A]
上記凝集粒子100質量部に対して平均粒径12nmのシリカ粒子を0.5質量部および平均粒径40nmのシリカ粒子を1.0質量部ヘンシェルミキサーにて混合してトナー1を調製した。
トナー1に帯電制御剤である無機粒子を外添し、ポリメチルメタクリレートをコートした平均径50μmのフェライトキャリアと混合することにより現像剤Aを得た。
【0151】
[現像剤B]
また、上記凝集粒子100質量部に対して平均粒径12nmのシリカ粒子を0.5質量部、平均粒径40nmのシリカ粒子を1.0質量部、及びPTFE粒子(ルブロンL−2)を0.3質量部をヘンシェルミキサーにて混合してトナー2を調製した。
トナー2に帯電制御剤である無機粒子を外添し、ポリメチルメタクリレートをコートした平均径50μmのフェライトキャリアと混合することにより現像剤Bを得た。
【0152】
−感光体の作製−
[感光体A]
・下引層
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.25部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤にて酸化亜鉛に表面処理を施した。
前記表面処理を施した酸化亜鉛100部を500部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン1部を50部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いアリザリン付与酸化亜鉛顔料を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛顔料60部と硬化剤ブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15部をメチルエチルケトン85部に溶解した溶液38部と、メチルエチルケトン25部と、を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)40部を添加し、170℃、40分の乾燥硬化を行い下引層形成用塗布液を得た。
この下引層形成用塗布液を浸漬塗布法にて直径84mm、長さ347mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に浸漬塗布し、厚さ21μmの下引層を得た。
【0153】
・電荷発生層
次いで、電荷発生物質としてX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶1部を、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)1部とともに酢酸ブチル100部に加え、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させて、電荷発生層形成用塗布液を得た。
この電荷発生層形成用塗布液を前記下引層表面に浸漬塗布し、100℃にて10分間加熱乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0154】
・電荷輸送層
下記式で示される電荷輸送材料A1(第1の電荷輸送材料)2部、下記構造式1で示される高分子化合物(粘度平均分子量:39,000)3部を、テトラヒドロフラン10部およびトルエン5部に溶解して電荷輸送層用塗布液を得た。
この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層表面に浸漬塗布し、135℃にて35分間加熱乾燥して、膜厚22μmの電荷輸送層を形成した。この感光体を下地感光体とした。
【0155】
【化19】

【0156】
・保護層
4フッ化エチレン樹脂粒子としてルブロンL−2(ダイキン工業社製、粒子径:0.2μm)4部、および下記構造式2で表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体(重量平均分子量50,000、l:m=1:1、s=1、n=60)0.2部を、シクロペンタノン16部に十分に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を作製した。
【0157】
【化20】

【0158】
次に、下記構造式Aで表される電荷輸送化合物:94部及びベンゾグアナミン樹脂:1部をシクロペンタノン220部に加えて、十分に溶解混合した後、前記4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて攪拌混合し、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興業製、YSNM−1500AR)を用いて700kgf/cmまで昇圧しての分散処理を30回繰返した。
【0159】
【化21】

【0160】
その後、ジメチルポリシロキサン(グラノール450、共栄社化学社製)を0.9部、NACURE5225(キングインダストリー社製)を0.1部加え、保護層形成用塗布液を調製した。
この保護層形成用塗布液を浸漬塗布法で、前述の下地感光体上に塗布して155℃で40分間乾燥し、膜厚6μmの保護層を形成し、この感光体を感光体Aとした。
【0161】
[感光体B]
感光体Aの保護層に用いた、4フッ化エチレン樹脂粒子としてルブロンL−2(ダイキン工業社製)に代えて、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体粒子としてFEP120−JR(三井・デュポンフロロケミカル社、粒径:0.2μm)を用いた以外は感光体Aと同様として、感光体Bを作製した。
【0162】
[感光体C]
感光体Aの保護層に用いた、4フッ化エチレン樹脂粒子としてルブロンL−2(ダイキン工業社製)を用いず、構造式Aの電荷輸送材料:94部、ベンゾグアナミン樹脂1部をシクロペンタノン220部に加えて、さらにジメチルポリシロキサン(グラノール450、共栄社化学社製)を0.9部、NACURE5225(キングインダストリー社製)を0.1部加え、保護層形成用塗布液を調製した。この保護層形成用塗布液を浸漬塗布法で、前述の下地感光体上に塗布して155℃で40分間乾燥し、膜厚6μmの保護層を形成し、この感光体を感光体Cとした。
【0163】
[感光体D]
感光体Aの保護層に用いた、4フッ化エチレン樹脂粒子としてルブロンL−2(ダイキン工業社製)に代えて、PVDF粒子(アルケマ社、粒径:1.0μm)を用いた以外は感光体Aと同様として、感光体Dを作製した。
【0164】
[評価]
表1に示す感光体と現像剤との組み合わせにより、富士ゼロックス社製デジタル印刷機C1000を用いて、印字率10%のチャートを10000枚プリントを実施し、3日間常温常湿環境下で放置したのち、全面ハーフトーン画像(カバレッジ濃度50%)の出力を行い、濃度低下部の発生の有無を確認した。
【0165】
◎:濃度差発生なし
○:ごく軽微に濃度差発生するが、気にならない
△:軽微に濃度差発生
×:顕著な濃度差発生
【0166】
結果を表1に示す。
【0167】
【表1】

【符号の説明】
【0168】
1 下引層、2 電荷発生層、3 電荷輸送層、4 導電性基体、5 保護層、6 単層型感光層、7,7A,7B,7C 電子写真感光体、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑材、18 帯電器、40 転写装置、50 中間転写体、100,120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材、133 繊維状部材、300 プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最表面層が水酸基を有する電荷輸送性モノマーの脱水縮合によって架橋した構造を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤により前記電子写真感光体の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、
転写後の前記電子写真感光体の表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段と、を備え、
下記(1)乃至(3)の少なくとも1つを満たす画像形成装置。
(1)前記電子写真感光体の最表面層がテトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含む。
(2)前記現像剤がテトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含む。
(3)テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を前記電子写真感光体の表面に供給するテトラフルオロエチレン系粒子供給手段を備える。
【請求項2】
前記テトラフルオロエチレン系粒子がポリテトラフルオロエチレンを含有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記テトラフルオロエチレン系粒子の体積平均粒子径が、1μm以下である請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
最表面層が水酸基を有する電荷輸送性モノマーの脱水縮合によって架橋した構造を有するとともに、テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含み、
水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成装置に用いられる電子写真感光体。
【請求項5】
前記テトラフルオロエチレン系粒子がポリテトラフルオロエチレンを含有する請求項4に記載の電子写真感光体。
【請求項6】
前記テトラフルオロエチレン系粒子の体積平均粒子径が、1μm以下である請求項4又は請求項5に記載の電子写真感光体。
【請求項7】
最表面層が水酸基を有する電荷輸送性モノマーの脱水縮合によって架橋した構造を有するとともに、テトラフルオロエチレン由来の構成単位を有する重合体を含有するテトラフルオロエチレン系粒子を含む電子写真感光体を備え、
水を含む溶媒中にトナーを構成する粒子を分散した後、凝集及び加熱によって製造されたトナーを含む現像剤により前記電子写真感光体の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記テトラフルオロエチレン系粒子がポリテトラフルオロエチレンを含有する請求項7に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記テトラフルオロエチレン系粒子の体積平均粒子径が、1μm以下である請求項7又は請求項8に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−20129(P2013−20129A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153928(P2011−153928)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】