画像形成装置における表面電位検出器の校正方法
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、レーザプリンタ等の光プリンタ,複写機,ファクシミリ装置等の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】複写機等の電子写真方式の画像形成装置においては、ドラム状あるいはベルト状の感光体を帯電器によって所定電位に均一に帯電し、その帯電面に露光装置からの光によって静電潜像を形成した後、現像ユニットによりトナーを付与して顕像化し、そのトナー像を給紙部からの用紙に転写するようにしている。
【0003】このような画像形成装置において、例えば特開昭56−95255号公報や特開昭63−83743号公報等に見られるように、感光体に対向する位置に表面電位検出器(表面電位センサ)を配置したものがあり、その表面電位検出器によって感光体の表面電位を測定し、その測定値に応じて帯電器や現像ローラ等に印加される電圧を最適値に調整設定して画像品質の安定化を計ることが行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような表面電位検出器として一般に使用されているものには校正用ボリュームが設けられており、そのボリュームによって表面電位検出器を画像形成装置本体あるいはこの表面電位検出器の劣化度合い等の使用頻度に合わせて精度良く校正する必要があり、それが非常に煩わしい作業となっていた。しかも、その校正はサービスマンによってもバラツキが生ずることから、結果的に精度の劣る表面電位検出器となっていた。
【0005】そこで、高精度で高信頼性のあるものを使用することも考えられるが、そうするとコストアップとなってしまい、低価格機には搭載できないという問題が生じる。
【0006】また、前記特開昭56−95255号公報に記載されているように、表面電位検出器の測定面に基準板(校正用電極板)を対向させて設置し、その基準板を用いて表面電位検出器を自動的に校正するようにしたものもあるが、基準板として特別な校正のための電極板が必要になるため、その分コスト高となってしまう。
【0007】しかも、その表面電位検出器によって精度良く感光体の表面を測定できたとしても、その感光体は経時や環境により画像形成に不要な残留電位が生じ、この電位を何等かの手段によりキャンセルしてやらなければならないため、装置及び制御等が複雑になる。
【0008】さらに、比較的安価な距離依存性のある表面電位検出器を使用すれば、コストの低下にはつながるが、表面電位検出器と校正用電極板との距離が表面電位検出器と感光体との距離と同等か、凝似的に等しくなるようにしてやる必要があり、画像形成装置が全体として複雑になってしまう。
【0009】この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、コストアップや装置を複雑化することなく、また感光体に残留電位が生じていても、表面電位検出器を校正するだけで感光体の表面電位を精度良く検出して安定した画像品質が得られるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を達成するため、感光体の表面電位を測定する表面電位検出器を備えた画像形成装置において、感光体をその疲労が十分回復するだけの時間放置した後、感光体の基板に基準電圧を印加し、感光体表面の電位を基準値として用いて表面電位検出器を校正する表面電位検出器の校正方法を提供する。
【0011】なお、上記放置時の感光体の温度を画像形成時の温度以上に保持したり、表面電位検出器の校正時には感光体を停止状態に保持することが望ましい。また、感光体の基板を通常はアースに接続し、表面電位検出器の校正時には現像バイアス電源に接続するとよい。さらに、感光体の疲労回復時期を感光体の連続停止時間によって判定したり、画像形成装置への電源投入後の定着器の温度によって判定すればよい。例えば、定着器の温度が画像形成時の温度より低い所定温度の時に感光体の疲労が回復したと判定する。
【0012】さらにまた、画像形成装置に電源が投入されてから表面電位検出器の校正が終了するまでの間画像形成装置による作像を禁止したり、表面電位検出器の校正に先立って現像ローラを感光体から離間させたり、少なくとも表面電位検出器に電源が投入されてからそれを安定して動作させることが可能な時期に達するまでは表面電位検出器の校正を禁止するとよい。また、基準電圧に対して表面電位検出器から得られる測定値が一定になるように該表面電位検出器を校正することが望ましい。
【0013】
【作用】この発明の表面電位検出器の校正方法では、感光体自体を表面電位検出器の校正時に通常使用される基準板の代わりに使用するが、その使用に先立って感光体をその疲労が十分回復するだけの時間放置した後、その基板に基準電圧を印加し、感光体表面の電位を基準値として用いて表面電位検出器を校正するようにしたので、コストをアップせずに感光体の表面電位を精度良く検出でき、安定した画像品質が得られる。
【0014】また、請求項2乃至11の各校正方法を用いるようにすれば、表面電位検出器の校正を高精度に行なうことができるため、感光体の表面電位の検出精度が一層高まる。
【0015】
【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面を用いて具体的に説明するが、その前にこの発明のポイントをここで簡単に説明しておく。
【0016】画像形成装置で使用されている感光体は、図2に示すように経時により帯電電位が下がり、残留電位Vrが上昇する特性を有しているため、それを解消しないと表面電位検出器の校正時に基準板の代わりに使用することができない。
【0017】図3には、感光体の疲労の度合いによっても異なるが、感光体の放置時間と残留電位との関係を示している。この図を見て分かるように、残留電位が高ければ感光体の回復に要する時間が長くかかるので、その間は感光体を基準板として使用できない。また、感光体は放置時の温度が高い程回復が早く、ある温度以上であれば残留電位のレベルに関係なく回復時間が変わらなくなる。
【0018】このある温度は、画像形成時に感光体がチャージ,光照射等のハザードを受けることで疲労する時の温度と関係し、疲労の度合いはハザードを受けている時の温度が低い程高く、時間が長い(経時)程高くなることが分かった。
【0019】理由は明らかではないが、放置時の感光体の温度を画像形成時に受ける最高温度になるように制御することにより、感光体の回復に要する時間は疲労の度合いに係わらず常にほぼ同じになることが分かった。
【0020】図4はこの発明の一実施例を示す複写機の全体構成図、図5はその要部拡大図である。この複写機は、複写機本体1と循環型原稿給送装置(以下「RDH」と略称する)40とによつて構成されている。
【0021】この複写機の複写動作は、複写機本体1に設けられた操作パネルから必要な複写条件を設定し、コピースタートキーを押すことにより開始される。ここで、RDH40には原稿トレイ41が設けられており、この原稿トレイ41に下向きに載置された原稿は原稿給紙ベルト42により給紙され、原稿搬送路43を通ってコンタクトガラス2上に搬送される。
【0022】原稿がコンタクトガラス2上に搬送されると、露光ランプ3が発光して照射ミラー3aで反射されて、その原稿の画像面が所定時間だけ全面照射される。原稿からの反射光は、光学系を構成する第1ミラー4a,スルーレンズ4b,第2ミラー4cを順次介して感光体ベルト5上を露光する。
【0023】この感光体ベルト5には帯電チャージャ6により電荷が予め一様に帯電され、その表面に露光によって静電潜像が形成され、それをイレーサ7により不要部分の電荷を除去してから現像ユニット8内の現像ローラ8aによってトナーを付着して現像した後、転写部で転写チャージャ9により転写紙に転写する。
【0024】その転写紙は、給紙トレイ10a,10b,10cの何れかより給紙され、搬送路11を通り、レジストローラ12によりトナー像とタイミングをとって転写部へ送られる。転写後の転写紙は、搬送ベルト13によって定着器14に送り込まれて定着ローラ14aにより熱定着され、その後排紙トレイ15へ排紙されたり、図示しない切替爪の切り替えによって両面トレイ10dにスタックされる。
【0025】なお、片面にコピーされた転写紙が両面トレイ10dにスタックされた場合には、その転写紙が所定のタイミングで再給紙され、表裏面が反転した状態で再度転写部へ搬送され、他方の面にも上述した複写プロセス処理が施される。
【0026】一方、露光が終了したコンタクトガラス2上の原稿は原稿搬送ベルト44によって送り出され、原稿排出ローラ45により原稿トレイ41に戻される。また、転写後の感光体ベルト5上に残留している電荷とトナーはクリーニングユニット16により除去され、感光体ベルト5は再び帯電チャージャ6で電荷を与えられて、次の露光に備える。
【0027】なお、感光体ベルト5として、図1に示すようにアルミニウムからなるAl基板5a上に積層タイプの有機光導電体5bを塗布したものを使用している。21は表面電位検出器である表面電位センサであり、その検出面が感光体ベルト5に対向して固定配置され、その表面電位検出出力が帯電チャージャ6や現像ユニツト8内の現像ローラ8a等に印加する電圧を最適値に調整設定するのに使用される。
【0028】この表面電位センサ21としては、感光体ベルト5の表面との距離(ギャップ)により出力が変化する距離依存性を有するタイプの低コストの表面電位センサを用いている。そのギャップは感光体ベルト5の着脱時の容易性を考慮して約4mmに設定している。
【0029】22はフォトセンサ等からなる濃度センサ(Pセンサ)であり、これも感光体ベルト5に対向する位置に固定配置され、その表面の画像領域外にパターン形成されるトナー像及び感光体面の地肌部分の各濃度を検出(光を照射してその反射光量を受光)して、複写機の制御部へその検出信号を出力する。制御部はその各濃度の比に応じて現像バイアスを補正し、画像の濃度を適正に維持する。
【0030】23は接触ブラシであり、図1にも示すように感光体ベルト5のAl基板5aに接触して配置され、後述する切換スイッチを通じてAl基板5aを接地したり、Al基板5aに表面電位センサ21を校正する際の基準電圧を印加する。
【0031】24は転写前除電ランプ(PTL)であり、感光体ベルト5の裏側から光を当てて、感光体ベルト5の表面電位を除電する。25はヒータであり、この複写機への電源が遮断されている間に感光体ベルト5を裏側から温めてその疲労を短時間で回復できるようにしている。
【0032】図1は、この複写機の制御系のこの発明に係わる部分のみを示す回路図である。感光体ベルト5のAl基板5aは、通常は図示しないリレーのリレースイッチ(切換スイッチ)30を介してアース(装置筐体)に接続されている。
【0033】31はマイクロプロセッサ,ROM,RAM,タイマ,カウンタ,及びI/O等からなるマイクロコンピュータ(以下「CPU」と略称する)であり、コピーモード時には後述する処理を行なって感光体ベルト5の実際の表面電位を求めて、現像バイアス電源32(表面電位センサ21の駆動電源及び表面電位センサ21校正時の基準電源を兼ねる)にフィードバックをかけ、現像ユニット8内の現像ローラ8a(現像スリーブ)に最適な現像バイアス電圧を印加させる。
【0034】なお、図示は省略するが、図2の帯電チャージャ6に印加する電圧もこの表面電位の測定結果に応じて最適に制御する。また、CPU31は感光体ベルト5に近接して配置されているサーミスタ33により常時その感光体ベルト5の温度を測定し、その最高温度を内部RAMにメモリしておく。なお、その内容は図示しないメインスイッチにより複写機への電源がオフになっても、別電源(バックアップ電源)により記憶保持する。
【0035】その後、複写機への電源がオフになると同時に、ヒータ25をオンにする共に感光体ベルト5の放置時間を測定するタイマを作動させる。このタイマは感光体ベルト5の疲労が回復して表面電位センサ21を校正できる時期までその感光体ベルト5が放置されたか否かを判断するために使用する。
【0036】感光体ベルト5は図3に示したように約6時間放置されると、表面電位センサ21の校正時の基準板として十分使用できるが、感光体ベルト5の温度制御の変動や実際の使用頻度に合わせて10時間(約一晩放置)に設定している。したがって、複写機への電源がオフになりヒータ25がオンになると、感光体ベルト5の温度をそれまでの最高温度レベルを一定に保つようにサーミスタ33を用いて温度制御を行なう。
【0037】複写機への電源がオンになると、複写機への電源がオフになってから10時間以上経過したか否かを判定する。そして、10時間以上経過していればセンサ校正モードに入り、現像バイアス電源32の安定時間も含めて4分後に、表面電位センサ21から出力される電位レベルを初期値(工場出荷時の設定値で、ここでは0Vとする)に校正する。
【0038】次いで、図示しないリレーを作動させてそのリレースイッチ30を常閉接点bを開いて常開接点aを閉じるように切り換え、感光体ベルト5のAl基板5aを現像バイアス電源32の出力端に接続して、Al基板5aに基準電圧を印加させる。この電圧は、表面電位センサ21の精度及び安定度により必要に応じて決めればよい。
【0039】この時、表面電位センサ21から出力される電圧レベルを基準電圧(ここでは−1000V)と同じ値に校正する。ここで表面電位センサ21の校正とは、表面電位センサ21の出力を例えば0Vとして内部RAMにメモリすることであり、この内容は次に校正する時期まで記憶保持される。
【0040】校正終了後は、リレースイッチ30を常閉接点bを閉じる状態に戻して感光体ベルト5のAl基板5aを再びアースに接続し、センサ校正モードを抜ける。その後、ヒータ25をオフにし、今までメモリしていた感光体の最高温度をクリアすると同時にタイマによる感光体の放置時間測定もオフ(タイマクリア)にする。この実施例における表面電位センサ21の校正に係わる処理の詳細を図6のフローチャートに示す。図中、Nは内部カウンタのカウント値である。
【0041】このように、この実施例では、感光体ベルト5をその疲労が十分回復するだけの時間放置した後、その基板に基準電圧を印加し、感光体ベルト5の表面の電位を基準値として用いて表面電位センサ21を校正するようにしたので、コストを上げずに感光体の表面電位を高精度で検出でき、安定した画像品質が得られる。
【0042】また、コピー時の残留電位Vrの変化も測定できるため、残留電位Vrに見合った現像バイアスの印加等による制御も可能となり、画像の安定化をより簡単に行なうことができる。さらに、感光体ベルト5の放置時の温度をコピー時の最高温度に保持して、感光体ベルト5の疲労回復時間を一定にしたので、その時間設定が固定となり、処理が簡単になる。
【0043】図7はこの発明の他の実施例における制御系のこの発明に係わる部分のみを示す回路図であり、図1R>1と同一又は対応する部分には同じ符号を付している。この実施例においては、ヒータ25の温度をサーモスタットによって管理するようにしている。すなわち、メインスイッチがオフの間もヒータ電源(AC100V)は印加されており、図示しないリレーの常閉接点35が閉じているので、ヒータ温度が低いとサーモスタットのサーモスイッチ34が閉じて、ヒータ25に通電する。そして、ヒータ25の温度が所定温度(作像時の感光体ベルト5の最高温度)より高くなると、サーモスタットが作動してそのサーモスイッチ34を開いてヒータ25をオフにし、所定温度より低くなると再びサーモスイッチ34を閉じてヒータ25をオンにする。
【0044】図8はこの実施例におけるCPU31による表面電位センサ21の校正に係わる処理のルーチンを示している。このルーチンは電源の投入により図示しないメインルーチンからコールされるとスタートし、まず内部タイマをスタートさせ、次に定着器14の温度(定着温度)が100℃以下か否かを判断する。すなわち、定着器14に設けられている定着用ローラ14aの表面温度を図示しない温度センサ(サーミスタ)を用いて測定し、その検出温度が適正温度である196℃より低い所定温度、この例では約50%低い温度である100℃以下か否かを判断する。
【0045】なお、図9には感光体の放置時間と定着器の温度(定着温度)との関係を示しており、この関係から、定着器14の温度が適正温度から100℃以下に低下していれば、放置時間が6時間以上経過しており、感光体ベルト5の疲労が回復されたと判断することができる。
【0046】そして、定着器14の温度が100℃以下でなければ作像モードに入るが、100℃以下ならばセンサ校正モードに入り、感光体ベルト5の回動及び作像をそれぞれ禁止した後、内部タイマがスタートしてから4分(表面電位センサ21が安定して作動するのに要する時間)が経過していればセンサ校正指令により表面電位センサ21の校正動作を実行する。
【0047】すなわち、図示しないリレーをオン状態にしてリレースイッチ30が常開接点aを閉じるように切り換え、感光体ベルト5のAl基板5aを現像バイアス電源32の出力端に接続して、Al基板5aに基準電圧を印加し、この時表面電位センサ21から出力される電圧を基準電圧として内部RAMにメモリした後、リレースイッチ30を常閉接点bを閉じる元の状態に戻して感光体ベルト5のAl基板5aを再びアースに接続する。ここでは、作像時の目標電位と同じ電圧を基準電圧として印加し、作像時の電位精度の向上を図っている。
【0048】例えば、表面電位センサ21を−50〜−1050Vの範囲で校正する場合には、まず現像バイアス電圧を−50Vにしてそれを感光体ベルト5のAl基板5aに印加し、その時表面電位センサ21から出力される電圧を−50Vとして内部RAMにメモリした後、今度は現像バイアス電圧を−1050VにしてそれをAl基板5aに印加し、その時表面電位センサ21から出力される電圧を−1050Vとして内部RAMにメモリする。これによって、感光体電位が−50〜−1050Vの範囲で表面電位センサ21が校正されたことになる。なお、その記憶内容はこの複写機の電源がオフになるまで保持される。
【0049】このようにして校正動作が終了すると、図示しないリレーの作動により常閉接点35を開いてヒータ25をオフにし、タイマをクリアして感光体ベルト5の回動禁止及び作像禁止をそれぞれ解除した後、メインルーチンへリターンして、本体のシーケンスへ戻る。
【0050】したがって、この実施例においては前述と同様の効果の他に、次のような効果も得られる。すなわち、表面電位センサ21の校正時に感光体ベルト5が回動していると、摩擦によりその表面が帯電してしまう(これを防止するのに除電チャージャと光照射を用いる方法もあるが、それにより感光体の疲労が進んでしまう)ため、校正後の表面電位センサ21からは真の出力が得られなくなるが、この実施例では表面電位センサ21の校正時には感光体ベルト5の回動を禁止するようにしたので、摩擦帯電による電位の変動(基準電圧の変動)をなくすことができる。
【0051】それに加えて、複写機に電源が投入されてから作像時の感光体ベルト5の校正が終了するまでの間作像を禁止したり、少なくとも表面電位センサ21に電源が投入されてからそれを安定して動作させることが可能な時期に達するまでは表面電位センサ21の校正を禁止するようにしたので、表面電位センサ21の校正をより精度良く行なうことができ、それによって作像時の感光体ベルト5の電位も正確に測定できるため、画像の長期安定化を容易に実現することが可能になる。
【0052】また、前述の実施例では感光体ベルト5の疲労回復時間を判定すべく、複写機への電源がオフになった後の感光体の放置時間をタイマによって計測するようにし、そのためにバッテリ等の内部電源(バックアップ電源)を使用しなければならなかったが、この実施例では感光体の疲労回復時間と定着器の温度の低下時間との関係が見い出せたことにより、また感光体温度制御のためのヒータ25をサーモスタットによる直接駆動にしたため、複写機に特別な内部電源を用いる必要がなくなった。したがって、複写機全体がシンプルで低コストなものとなり、しかも電源交換が不要になった分メンテナンス性にも優れている。
【0053】なお、ここでは図示を省略しているが、その本体シーケンスではコピーが可能か否かを判定して、可能ならばコピー動作オン信号を発している。また、この複写機の作像モード時、コピー終了後は必ず表面電位センサ21に対して感光体ベルト5を常に同じ位置で停止するように設定してあり、停止した際の感光体ベルト5の表面電位センサ21と対向する部分を非画像形成領域としている。
【0054】したがって、感光体ベルト5が作像モードにより劣化しても、表面電位センサ21の校正時におけるそのセンサ21による電位検出位置は初期と同じハザードか、より経時劣化の少ない領域とすることができるため、表面電位センサ21の校正精度がより一層高まる。
【0055】図10はこの発明のさらに他の実施例を示す複写機の全体構成図、図11はその要部拡大図であり、それぞれ図4及び図5に示したものとヒータ25を備えていない他は同じであるので、それらの説明を省略する。図12はこの複写機の制御系のこの発明に係わる部分のみを示す回路図であり、図1と同じ部分には同一符号を付している。
【0056】この回路において、51は温度センサ(サーミスタ)であり、感光体ドラム5の有機光導電体5bに対向する位置に固定設置され、その表面の温度を検出して、CPU31へその検出信号を出力する。52はセンサ出力変換部で、例えば図13に示すように構成されており、オペアンプ53が表面電位センサ21の出力を抵抗54を介して入力し、それを電子ボリューム55,56の各抵抗値により補正してCPU31へ出力する。
【0057】図14は、この実施例におけるCPU31による表面電位センサ21の校正に係わる処理を示すフローチャートである。このルーチンは電源の投入により図示しないメインルーチンからコールされるとスタートし、まず内部タイマをスタートさせ、次いで定着器14の温度(定着温度)が100℃以下か否かを判断する。
【0058】そして、定着器14の温度が100℃以下でなければ、表面電位センサ21の校正のために表面電位を測定する測定モードを禁止した後、リレースイッチ30の常閉接点bが開状態か(リレーがオン状態)否かを判断し、閉状態で感光体ベルト5のAl基板5aがアースに接続されていればそのまま、開状態で感光体ベルト5のAl基板5aが現像バイアス電源32の出力端に接続されていればリレーをオフにして常閉接点bを閉じてAl基板5aをアースに接続した後、内部タイマをクリアしてメインルーチンへリターンする。
【0059】また、定着温度が100℃以下の場合には、感光体ベルト5の連続停止時間,温度,使用時間(感光体交換時からのコピー枚数に比例する),及び感光体ベルト5の停止時の残留電位Vrの各因子を演算して現在の残留電位Vrを推定する。その際、通常のPID制御を用いたり、近年盛んに用いられているファジィ制御やニューラルネットワークを用いてもよい。
【0060】そして、推定した残留電位Vrが表面電位センサ21を校正可能なVr≦20Vでなければ、上述した測定モードの禁止処理等の各処理を行なってメインルーチンへリターンするが、Vr≦20Vならば測定モードに入って作像モード(コピーモード)を禁止し、それから表面電位センサ21が安定して作動する4分経過後に図11の現像ローラ8aを2sec 間逆回転させてその円周上の現像剤を掻き取り、感光体ベルト5から離間させて非接触状態にする。
【0061】その後、リレーをオンにしてそのリレースイッチ30の常開接点aを閉じ、感光体ベルト5のAl基板5aを現像バイアス電源32の出力端に接続し、3sec経過後に現像バイアス電源32をオンにしてセンサ校正モードにした後、後述する図15及び図16のセンサ校正処理を行なう。センサ校正処理が終了すると、接点マーク防止のために現像バイアス電源32をオフした後リレーをオフにしてそのリレースイッチ30の常閉接点bを閉じる状態に戻す。以上で測定モードが終了となり、100msec経過した後内部タイマをクリアし、続いて作像モードの禁止を解除して測定モードを禁止した後メインルーチンへリターンする。
【0062】図15及び図16は図14のセンサ校正処理のサブルーチンを示すフローチャートであり、まず内部カウンタに「1」をセット(N←1)し、次いで現像バイアス電源32からAl基板5aに基準電圧(校正電圧)として使用領域の下限値100Vを印加し、それが確実に立ち上がる50msec経過後、表面電位センサ21及びセンサ出力変換部52(図12)を用いて感光体ベルト5の表面電位を測定する。すなわち、表面電位センサ21の出力電圧をセンサ出力変換部52によって補正した電圧(以後「電位測定値」という)を入力する。なお、ここでは表面電位センサ21の出力は入力(感光体ベルト5の表面電位)の約1/200倍であるものとする。
【0063】次いで、カウンタのカウント値Nが「1」かどうかを判断するが、最初のステップで「1」にしてあるので、100Vの印加電圧に対する電位測定値をV1として内部メモリAに記憶してカウンタを「0」にクリア(N←0)した後、現像バイアス電源32からAl基板5aに基準電圧(校正電圧)として使用領域の上限値800Vを印加し、50msec後に表面電位センサ21及びセンサ出力変換部52を用いて感光体ベルト5の表面電位を測定する。
【0064】次いで、カウンタのカウント値Nが「1」かどうかを判断するが、今度は「0」になっているので、800Vの印加電圧に対する電位測定値をV2として内部メモリBに記憶した後、Vcal 1=V2−V1を計算する。ここで、Al基板5aへの電圧印加時に電位測定値によって求められる感光体ベルト5の表面電位の許容範囲を実際の表面電位の±10Vと仮定した場合、Vcal 1の正常範囲は3.5±0.05V となる。
【0065】そこで、今度はVcal 1の値が正常範囲である3.5±0.05V内であるか否かを判断し、正常範囲でなければ正常範囲内に収まるように図13の電子ボリューム55の抵抗値R2を可変設定する。すなわち、Vcal 1<3.45V ならば電子ボリューム55の抵抗値R2を予め設定した値だけ増加させ、Vcal 1>3.55V ならば予め設定した値だけ減少させる。その後、最初のステップに戻って上述の処理を繰り返し、Vcal 1が3.5±0.05V内になった時、すなわち800V印加時の電位測定値と100V印加時の電位測定値とを通る直線の傾きが所定の傾きになった時に電子ボリューム55の抵抗値R2を内部メモリCに記憶する。
【0066】次いで、図16の処理に進んでAl基板5aに再び100Vを印加し、50msec経過してから表面電位センサ21及びセンサ出力変換部52を用いて感光体ベルト5の表面電位を測定する。そして、その電位測定値をVcal 2とした場合、Vcal 2が正常範囲である0.5±0.02V内であるか否かを判断し、正常範囲でなければ正常範囲内に収まるように図13の電子ボリューム56の抵抗値R3を可変設定する。
【0067】すなわち、Vcal 2<0.48V ならば電子ボリューム56の抵抗値R3を予め設定した値だけ増加させ、Vcal 2>0.52V ならば予め設定した値だけ減少させる。その後、再び表面電位を測定してこの処理を繰り返し、Vcal 2が0.5±0.02Vになった時に電子ボリューム56の抵抗値R3を内部メモリDに記憶し、図14のルーチンへリターンする。
【0068】なお、電子ボリューム56を調整する際にAl基板5aに印加すべき電圧として100Vを選択したのは、使用領域で低い電圧の精度を要求したためであるが、使用領域全体から見れば中央の(800−100)/2=350Vを選択した方がよい。
【0069】したがって、この実施例によっても前述の実施例と略同様な効果を得られ、さらに以下に示す効果も得られる。すなわち、表面電位センサ21の校正に先立って現像ローラ8aを逆回転させてその円周上のトナーを掻きとり、感光体ベルト5から離間させるので、電圧のリークを防止でき、感光体ベルト5のAl基板5aに正確な基準電圧を印加することができる。
【0070】また、機械間で感光体ベルトと表面電位センサとのギャップが異なったり表面電位センサの感度がばらついても、表面電位センサを校正する際の感光体ベルト5のAl基板5aに印加する基準電圧に対する電位測定値を一定に保持できるため、表面電位センサの校正をより高精度に行なうことができる。さらに、感光体ベルトの連続停止時間,温度,使用時間,及び感光体ベルトの停止時の残留電位の各因子に基づいて、感光体ベルトの疲労回復度合いをよりきめ細かく推定するので、表面電位センサの校正時期をより精度よく判定することができる。
【0071】以上、この発明を感光体としてベルト状の感光体を用いた全面露光式の電子写真複写機に適用した実施例について説明したが、この発明はこれに限らず、ドラム状の感光体を用いた走査露光式の電子写真複写機には勿論、レーザプリンタ等の光プリンタやファクシミリ装置等の画像形成装置にも適用できる。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、表面電位検出器の取り付け位置を固定したまま、感光体を基準板として使用し、その感光体表面の非画像形成時の電位を基準値として用いて表面電位検出器を校正するようにしたので、基準板を使用しない分だけコストが低減し、校正時に特別な作業をする必要もなくなる。しかも、感光体の相対的な表面電位を精度良く検出できるため、安定した画像品質が得られる。
【0073】さらに、低コストの表面電位センサ(距離依存性のあるもの)でも、長期間安定して使用できるため、低価格の画像形成装置に搭載できる。また、請求項2乃至11の発明によれば、表面電位検出器の校正精度をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図4に示す複写機の制御系のこの発明に係わる部分のみを示す回路図である。
【図2】露光量と感光体表面電位との関係を示す線図である。
【図3】感光体放置時間と残留電位との関係を示す線図である。
【図4】この発明の一実施例である複写機の全体構成図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】図1のCPU31による表面電位センサの校正に係わる処理を示すフロー図である。
【図7】この発明の他の実施例における制御系のこの発明に係わる部分のみを示す回路図である。
【図8】図7のCPU31による表面電位センサの校正に係わる処理を示すフロー図である。
【図9】感光体放置時間と定着温度との関係を示す線図である。
【図10】この発明のさらに他の実施例である複写機の全体構成図である。
【図11】図10の要部拡大図である。
【図12】図10に示した複写機の制御系のこの発明に係わる部分のみを示す回路図である。
【図13】図12のセンサ出力変換部52の構成例を示すブロック図である。
【図14】図12のCPU31による表面電位センサの校正に係わる処理を示すフロー図である。
【図15】図14のセンサ校正処理のサブルーチンを示すフロー図である。
【図16】同じくその続きのフロー図である。
【符号の説明】
1 複写機本体 5 感光体ベルト
5a Al基板 5b 有機光導電体
8 現像ユニット 8a 現像ローラ
14 定着器 14a 定着ローラ
21 表面電位センサ 23 接触ブラシ
25 ヒータ 30 リレースイッチ
31 マイクロコンピュータ 32 現像バイアス電源
33,51 温度センサ 34 サーモスイッチ
35 常閉接点 52 センサ出力変換部
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、レーザプリンタ等の光プリンタ,複写機,ファクシミリ装置等の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】複写機等の電子写真方式の画像形成装置においては、ドラム状あるいはベルト状の感光体を帯電器によって所定電位に均一に帯電し、その帯電面に露光装置からの光によって静電潜像を形成した後、現像ユニットによりトナーを付与して顕像化し、そのトナー像を給紙部からの用紙に転写するようにしている。
【0003】このような画像形成装置において、例えば特開昭56−95255号公報や特開昭63−83743号公報等に見られるように、感光体に対向する位置に表面電位検出器(表面電位センサ)を配置したものがあり、その表面電位検出器によって感光体の表面電位を測定し、その測定値に応じて帯電器や現像ローラ等に印加される電圧を最適値に調整設定して画像品質の安定化を計ることが行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような表面電位検出器として一般に使用されているものには校正用ボリュームが設けられており、そのボリュームによって表面電位検出器を画像形成装置本体あるいはこの表面電位検出器の劣化度合い等の使用頻度に合わせて精度良く校正する必要があり、それが非常に煩わしい作業となっていた。しかも、その校正はサービスマンによってもバラツキが生ずることから、結果的に精度の劣る表面電位検出器となっていた。
【0005】そこで、高精度で高信頼性のあるものを使用することも考えられるが、そうするとコストアップとなってしまい、低価格機には搭載できないという問題が生じる。
【0006】また、前記特開昭56−95255号公報に記載されているように、表面電位検出器の測定面に基準板(校正用電極板)を対向させて設置し、その基準板を用いて表面電位検出器を自動的に校正するようにしたものもあるが、基準板として特別な校正のための電極板が必要になるため、その分コスト高となってしまう。
【0007】しかも、その表面電位検出器によって精度良く感光体の表面を測定できたとしても、その感光体は経時や環境により画像形成に不要な残留電位が生じ、この電位を何等かの手段によりキャンセルしてやらなければならないため、装置及び制御等が複雑になる。
【0008】さらに、比較的安価な距離依存性のある表面電位検出器を使用すれば、コストの低下にはつながるが、表面電位検出器と校正用電極板との距離が表面電位検出器と感光体との距離と同等か、凝似的に等しくなるようにしてやる必要があり、画像形成装置が全体として複雑になってしまう。
【0009】この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、コストアップや装置を複雑化することなく、また感光体に残留電位が生じていても、表面電位検出器を校正するだけで感光体の表面電位を精度良く検出して安定した画像品質が得られるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を達成するため、感光体の表面電位を測定する表面電位検出器を備えた画像形成装置において、感光体をその疲労が十分回復するだけの時間放置した後、感光体の基板に基準電圧を印加し、感光体表面の電位を基準値として用いて表面電位検出器を校正する表面電位検出器の校正方法を提供する。
【0011】なお、上記放置時の感光体の温度を画像形成時の温度以上に保持したり、表面電位検出器の校正時には感光体を停止状態に保持することが望ましい。また、感光体の基板を通常はアースに接続し、表面電位検出器の校正時には現像バイアス電源に接続するとよい。さらに、感光体の疲労回復時期を感光体の連続停止時間によって判定したり、画像形成装置への電源投入後の定着器の温度によって判定すればよい。例えば、定着器の温度が画像形成時の温度より低い所定温度の時に感光体の疲労が回復したと判定する。
【0012】さらにまた、画像形成装置に電源が投入されてから表面電位検出器の校正が終了するまでの間画像形成装置による作像を禁止したり、表面電位検出器の校正に先立って現像ローラを感光体から離間させたり、少なくとも表面電位検出器に電源が投入されてからそれを安定して動作させることが可能な時期に達するまでは表面電位検出器の校正を禁止するとよい。また、基準電圧に対して表面電位検出器から得られる測定値が一定になるように該表面電位検出器を校正することが望ましい。
【0013】
【作用】この発明の表面電位検出器の校正方法では、感光体自体を表面電位検出器の校正時に通常使用される基準板の代わりに使用するが、その使用に先立って感光体をその疲労が十分回復するだけの時間放置した後、その基板に基準電圧を印加し、感光体表面の電位を基準値として用いて表面電位検出器を校正するようにしたので、コストをアップせずに感光体の表面電位を精度良く検出でき、安定した画像品質が得られる。
【0014】また、請求項2乃至11の各校正方法を用いるようにすれば、表面電位検出器の校正を高精度に行なうことができるため、感光体の表面電位の検出精度が一層高まる。
【0015】
【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面を用いて具体的に説明するが、その前にこの発明のポイントをここで簡単に説明しておく。
【0016】画像形成装置で使用されている感光体は、図2に示すように経時により帯電電位が下がり、残留電位Vrが上昇する特性を有しているため、それを解消しないと表面電位検出器の校正時に基準板の代わりに使用することができない。
【0017】図3には、感光体の疲労の度合いによっても異なるが、感光体の放置時間と残留電位との関係を示している。この図を見て分かるように、残留電位が高ければ感光体の回復に要する時間が長くかかるので、その間は感光体を基準板として使用できない。また、感光体は放置時の温度が高い程回復が早く、ある温度以上であれば残留電位のレベルに関係なく回復時間が変わらなくなる。
【0018】このある温度は、画像形成時に感光体がチャージ,光照射等のハザードを受けることで疲労する時の温度と関係し、疲労の度合いはハザードを受けている時の温度が低い程高く、時間が長い(経時)程高くなることが分かった。
【0019】理由は明らかではないが、放置時の感光体の温度を画像形成時に受ける最高温度になるように制御することにより、感光体の回復に要する時間は疲労の度合いに係わらず常にほぼ同じになることが分かった。
【0020】図4はこの発明の一実施例を示す複写機の全体構成図、図5はその要部拡大図である。この複写機は、複写機本体1と循環型原稿給送装置(以下「RDH」と略称する)40とによつて構成されている。
【0021】この複写機の複写動作は、複写機本体1に設けられた操作パネルから必要な複写条件を設定し、コピースタートキーを押すことにより開始される。ここで、RDH40には原稿トレイ41が設けられており、この原稿トレイ41に下向きに載置された原稿は原稿給紙ベルト42により給紙され、原稿搬送路43を通ってコンタクトガラス2上に搬送される。
【0022】原稿がコンタクトガラス2上に搬送されると、露光ランプ3が発光して照射ミラー3aで反射されて、その原稿の画像面が所定時間だけ全面照射される。原稿からの反射光は、光学系を構成する第1ミラー4a,スルーレンズ4b,第2ミラー4cを順次介して感光体ベルト5上を露光する。
【0023】この感光体ベルト5には帯電チャージャ6により電荷が予め一様に帯電され、その表面に露光によって静電潜像が形成され、それをイレーサ7により不要部分の電荷を除去してから現像ユニット8内の現像ローラ8aによってトナーを付着して現像した後、転写部で転写チャージャ9により転写紙に転写する。
【0024】その転写紙は、給紙トレイ10a,10b,10cの何れかより給紙され、搬送路11を通り、レジストローラ12によりトナー像とタイミングをとって転写部へ送られる。転写後の転写紙は、搬送ベルト13によって定着器14に送り込まれて定着ローラ14aにより熱定着され、その後排紙トレイ15へ排紙されたり、図示しない切替爪の切り替えによって両面トレイ10dにスタックされる。
【0025】なお、片面にコピーされた転写紙が両面トレイ10dにスタックされた場合には、その転写紙が所定のタイミングで再給紙され、表裏面が反転した状態で再度転写部へ搬送され、他方の面にも上述した複写プロセス処理が施される。
【0026】一方、露光が終了したコンタクトガラス2上の原稿は原稿搬送ベルト44によって送り出され、原稿排出ローラ45により原稿トレイ41に戻される。また、転写後の感光体ベルト5上に残留している電荷とトナーはクリーニングユニット16により除去され、感光体ベルト5は再び帯電チャージャ6で電荷を与えられて、次の露光に備える。
【0027】なお、感光体ベルト5として、図1に示すようにアルミニウムからなるAl基板5a上に積層タイプの有機光導電体5bを塗布したものを使用している。21は表面電位検出器である表面電位センサであり、その検出面が感光体ベルト5に対向して固定配置され、その表面電位検出出力が帯電チャージャ6や現像ユニツト8内の現像ローラ8a等に印加する電圧を最適値に調整設定するのに使用される。
【0028】この表面電位センサ21としては、感光体ベルト5の表面との距離(ギャップ)により出力が変化する距離依存性を有するタイプの低コストの表面電位センサを用いている。そのギャップは感光体ベルト5の着脱時の容易性を考慮して約4mmに設定している。
【0029】22はフォトセンサ等からなる濃度センサ(Pセンサ)であり、これも感光体ベルト5に対向する位置に固定配置され、その表面の画像領域外にパターン形成されるトナー像及び感光体面の地肌部分の各濃度を検出(光を照射してその反射光量を受光)して、複写機の制御部へその検出信号を出力する。制御部はその各濃度の比に応じて現像バイアスを補正し、画像の濃度を適正に維持する。
【0030】23は接触ブラシであり、図1にも示すように感光体ベルト5のAl基板5aに接触して配置され、後述する切換スイッチを通じてAl基板5aを接地したり、Al基板5aに表面電位センサ21を校正する際の基準電圧を印加する。
【0031】24は転写前除電ランプ(PTL)であり、感光体ベルト5の裏側から光を当てて、感光体ベルト5の表面電位を除電する。25はヒータであり、この複写機への電源が遮断されている間に感光体ベルト5を裏側から温めてその疲労を短時間で回復できるようにしている。
【0032】図1は、この複写機の制御系のこの発明に係わる部分のみを示す回路図である。感光体ベルト5のAl基板5aは、通常は図示しないリレーのリレースイッチ(切換スイッチ)30を介してアース(装置筐体)に接続されている。
【0033】31はマイクロプロセッサ,ROM,RAM,タイマ,カウンタ,及びI/O等からなるマイクロコンピュータ(以下「CPU」と略称する)であり、コピーモード時には後述する処理を行なって感光体ベルト5の実際の表面電位を求めて、現像バイアス電源32(表面電位センサ21の駆動電源及び表面電位センサ21校正時の基準電源を兼ねる)にフィードバックをかけ、現像ユニット8内の現像ローラ8a(現像スリーブ)に最適な現像バイアス電圧を印加させる。
【0034】なお、図示は省略するが、図2の帯電チャージャ6に印加する電圧もこの表面電位の測定結果に応じて最適に制御する。また、CPU31は感光体ベルト5に近接して配置されているサーミスタ33により常時その感光体ベルト5の温度を測定し、その最高温度を内部RAMにメモリしておく。なお、その内容は図示しないメインスイッチにより複写機への電源がオフになっても、別電源(バックアップ電源)により記憶保持する。
【0035】その後、複写機への電源がオフになると同時に、ヒータ25をオンにする共に感光体ベルト5の放置時間を測定するタイマを作動させる。このタイマは感光体ベルト5の疲労が回復して表面電位センサ21を校正できる時期までその感光体ベルト5が放置されたか否かを判断するために使用する。
【0036】感光体ベルト5は図3に示したように約6時間放置されると、表面電位センサ21の校正時の基準板として十分使用できるが、感光体ベルト5の温度制御の変動や実際の使用頻度に合わせて10時間(約一晩放置)に設定している。したがって、複写機への電源がオフになりヒータ25がオンになると、感光体ベルト5の温度をそれまでの最高温度レベルを一定に保つようにサーミスタ33を用いて温度制御を行なう。
【0037】複写機への電源がオンになると、複写機への電源がオフになってから10時間以上経過したか否かを判定する。そして、10時間以上経過していればセンサ校正モードに入り、現像バイアス電源32の安定時間も含めて4分後に、表面電位センサ21から出力される電位レベルを初期値(工場出荷時の設定値で、ここでは0Vとする)に校正する。
【0038】次いで、図示しないリレーを作動させてそのリレースイッチ30を常閉接点bを開いて常開接点aを閉じるように切り換え、感光体ベルト5のAl基板5aを現像バイアス電源32の出力端に接続して、Al基板5aに基準電圧を印加させる。この電圧は、表面電位センサ21の精度及び安定度により必要に応じて決めればよい。
【0039】この時、表面電位センサ21から出力される電圧レベルを基準電圧(ここでは−1000V)と同じ値に校正する。ここで表面電位センサ21の校正とは、表面電位センサ21の出力を例えば0Vとして内部RAMにメモリすることであり、この内容は次に校正する時期まで記憶保持される。
【0040】校正終了後は、リレースイッチ30を常閉接点bを閉じる状態に戻して感光体ベルト5のAl基板5aを再びアースに接続し、センサ校正モードを抜ける。その後、ヒータ25をオフにし、今までメモリしていた感光体の最高温度をクリアすると同時にタイマによる感光体の放置時間測定もオフ(タイマクリア)にする。この実施例における表面電位センサ21の校正に係わる処理の詳細を図6のフローチャートに示す。図中、Nは内部カウンタのカウント値である。
【0041】このように、この実施例では、感光体ベルト5をその疲労が十分回復するだけの時間放置した後、その基板に基準電圧を印加し、感光体ベルト5の表面の電位を基準値として用いて表面電位センサ21を校正するようにしたので、コストを上げずに感光体の表面電位を高精度で検出でき、安定した画像品質が得られる。
【0042】また、コピー時の残留電位Vrの変化も測定できるため、残留電位Vrに見合った現像バイアスの印加等による制御も可能となり、画像の安定化をより簡単に行なうことができる。さらに、感光体ベルト5の放置時の温度をコピー時の最高温度に保持して、感光体ベルト5の疲労回復時間を一定にしたので、その時間設定が固定となり、処理が簡単になる。
【0043】図7はこの発明の他の実施例における制御系のこの発明に係わる部分のみを示す回路図であり、図1R>1と同一又は対応する部分には同じ符号を付している。この実施例においては、ヒータ25の温度をサーモスタットによって管理するようにしている。すなわち、メインスイッチがオフの間もヒータ電源(AC100V)は印加されており、図示しないリレーの常閉接点35が閉じているので、ヒータ温度が低いとサーモスタットのサーモスイッチ34が閉じて、ヒータ25に通電する。そして、ヒータ25の温度が所定温度(作像時の感光体ベルト5の最高温度)より高くなると、サーモスタットが作動してそのサーモスイッチ34を開いてヒータ25をオフにし、所定温度より低くなると再びサーモスイッチ34を閉じてヒータ25をオンにする。
【0044】図8はこの実施例におけるCPU31による表面電位センサ21の校正に係わる処理のルーチンを示している。このルーチンは電源の投入により図示しないメインルーチンからコールされるとスタートし、まず内部タイマをスタートさせ、次に定着器14の温度(定着温度)が100℃以下か否かを判断する。すなわち、定着器14に設けられている定着用ローラ14aの表面温度を図示しない温度センサ(サーミスタ)を用いて測定し、その検出温度が適正温度である196℃より低い所定温度、この例では約50%低い温度である100℃以下か否かを判断する。
【0045】なお、図9には感光体の放置時間と定着器の温度(定着温度)との関係を示しており、この関係から、定着器14の温度が適正温度から100℃以下に低下していれば、放置時間が6時間以上経過しており、感光体ベルト5の疲労が回復されたと判断することができる。
【0046】そして、定着器14の温度が100℃以下でなければ作像モードに入るが、100℃以下ならばセンサ校正モードに入り、感光体ベルト5の回動及び作像をそれぞれ禁止した後、内部タイマがスタートしてから4分(表面電位センサ21が安定して作動するのに要する時間)が経過していればセンサ校正指令により表面電位センサ21の校正動作を実行する。
【0047】すなわち、図示しないリレーをオン状態にしてリレースイッチ30が常開接点aを閉じるように切り換え、感光体ベルト5のAl基板5aを現像バイアス電源32の出力端に接続して、Al基板5aに基準電圧を印加し、この時表面電位センサ21から出力される電圧を基準電圧として内部RAMにメモリした後、リレースイッチ30を常閉接点bを閉じる元の状態に戻して感光体ベルト5のAl基板5aを再びアースに接続する。ここでは、作像時の目標電位と同じ電圧を基準電圧として印加し、作像時の電位精度の向上を図っている。
【0048】例えば、表面電位センサ21を−50〜−1050Vの範囲で校正する場合には、まず現像バイアス電圧を−50Vにしてそれを感光体ベルト5のAl基板5aに印加し、その時表面電位センサ21から出力される電圧を−50Vとして内部RAMにメモリした後、今度は現像バイアス電圧を−1050VにしてそれをAl基板5aに印加し、その時表面電位センサ21から出力される電圧を−1050Vとして内部RAMにメモリする。これによって、感光体電位が−50〜−1050Vの範囲で表面電位センサ21が校正されたことになる。なお、その記憶内容はこの複写機の電源がオフになるまで保持される。
【0049】このようにして校正動作が終了すると、図示しないリレーの作動により常閉接点35を開いてヒータ25をオフにし、タイマをクリアして感光体ベルト5の回動禁止及び作像禁止をそれぞれ解除した後、メインルーチンへリターンして、本体のシーケンスへ戻る。
【0050】したがって、この実施例においては前述と同様の効果の他に、次のような効果も得られる。すなわち、表面電位センサ21の校正時に感光体ベルト5が回動していると、摩擦によりその表面が帯電してしまう(これを防止するのに除電チャージャと光照射を用いる方法もあるが、それにより感光体の疲労が進んでしまう)ため、校正後の表面電位センサ21からは真の出力が得られなくなるが、この実施例では表面電位センサ21の校正時には感光体ベルト5の回動を禁止するようにしたので、摩擦帯電による電位の変動(基準電圧の変動)をなくすことができる。
【0051】それに加えて、複写機に電源が投入されてから作像時の感光体ベルト5の校正が終了するまでの間作像を禁止したり、少なくとも表面電位センサ21に電源が投入されてからそれを安定して動作させることが可能な時期に達するまでは表面電位センサ21の校正を禁止するようにしたので、表面電位センサ21の校正をより精度良く行なうことができ、それによって作像時の感光体ベルト5の電位も正確に測定できるため、画像の長期安定化を容易に実現することが可能になる。
【0052】また、前述の実施例では感光体ベルト5の疲労回復時間を判定すべく、複写機への電源がオフになった後の感光体の放置時間をタイマによって計測するようにし、そのためにバッテリ等の内部電源(バックアップ電源)を使用しなければならなかったが、この実施例では感光体の疲労回復時間と定着器の温度の低下時間との関係が見い出せたことにより、また感光体温度制御のためのヒータ25をサーモスタットによる直接駆動にしたため、複写機に特別な内部電源を用いる必要がなくなった。したがって、複写機全体がシンプルで低コストなものとなり、しかも電源交換が不要になった分メンテナンス性にも優れている。
【0053】なお、ここでは図示を省略しているが、その本体シーケンスではコピーが可能か否かを判定して、可能ならばコピー動作オン信号を発している。また、この複写機の作像モード時、コピー終了後は必ず表面電位センサ21に対して感光体ベルト5を常に同じ位置で停止するように設定してあり、停止した際の感光体ベルト5の表面電位センサ21と対向する部分を非画像形成領域としている。
【0054】したがって、感光体ベルト5が作像モードにより劣化しても、表面電位センサ21の校正時におけるそのセンサ21による電位検出位置は初期と同じハザードか、より経時劣化の少ない領域とすることができるため、表面電位センサ21の校正精度がより一層高まる。
【0055】図10はこの発明のさらに他の実施例を示す複写機の全体構成図、図11はその要部拡大図であり、それぞれ図4及び図5に示したものとヒータ25を備えていない他は同じであるので、それらの説明を省略する。図12はこの複写機の制御系のこの発明に係わる部分のみを示す回路図であり、図1と同じ部分には同一符号を付している。
【0056】この回路において、51は温度センサ(サーミスタ)であり、感光体ドラム5の有機光導電体5bに対向する位置に固定設置され、その表面の温度を検出して、CPU31へその検出信号を出力する。52はセンサ出力変換部で、例えば図13に示すように構成されており、オペアンプ53が表面電位センサ21の出力を抵抗54を介して入力し、それを電子ボリューム55,56の各抵抗値により補正してCPU31へ出力する。
【0057】図14は、この実施例におけるCPU31による表面電位センサ21の校正に係わる処理を示すフローチャートである。このルーチンは電源の投入により図示しないメインルーチンからコールされるとスタートし、まず内部タイマをスタートさせ、次いで定着器14の温度(定着温度)が100℃以下か否かを判断する。
【0058】そして、定着器14の温度が100℃以下でなければ、表面電位センサ21の校正のために表面電位を測定する測定モードを禁止した後、リレースイッチ30の常閉接点bが開状態か(リレーがオン状態)否かを判断し、閉状態で感光体ベルト5のAl基板5aがアースに接続されていればそのまま、開状態で感光体ベルト5のAl基板5aが現像バイアス電源32の出力端に接続されていればリレーをオフにして常閉接点bを閉じてAl基板5aをアースに接続した後、内部タイマをクリアしてメインルーチンへリターンする。
【0059】また、定着温度が100℃以下の場合には、感光体ベルト5の連続停止時間,温度,使用時間(感光体交換時からのコピー枚数に比例する),及び感光体ベルト5の停止時の残留電位Vrの各因子を演算して現在の残留電位Vrを推定する。その際、通常のPID制御を用いたり、近年盛んに用いられているファジィ制御やニューラルネットワークを用いてもよい。
【0060】そして、推定した残留電位Vrが表面電位センサ21を校正可能なVr≦20Vでなければ、上述した測定モードの禁止処理等の各処理を行なってメインルーチンへリターンするが、Vr≦20Vならば測定モードに入って作像モード(コピーモード)を禁止し、それから表面電位センサ21が安定して作動する4分経過後に図11の現像ローラ8aを2sec 間逆回転させてその円周上の現像剤を掻き取り、感光体ベルト5から離間させて非接触状態にする。
【0061】その後、リレーをオンにしてそのリレースイッチ30の常開接点aを閉じ、感光体ベルト5のAl基板5aを現像バイアス電源32の出力端に接続し、3sec経過後に現像バイアス電源32をオンにしてセンサ校正モードにした後、後述する図15及び図16のセンサ校正処理を行なう。センサ校正処理が終了すると、接点マーク防止のために現像バイアス電源32をオフした後リレーをオフにしてそのリレースイッチ30の常閉接点bを閉じる状態に戻す。以上で測定モードが終了となり、100msec経過した後内部タイマをクリアし、続いて作像モードの禁止を解除して測定モードを禁止した後メインルーチンへリターンする。
【0062】図15及び図16は図14のセンサ校正処理のサブルーチンを示すフローチャートであり、まず内部カウンタに「1」をセット(N←1)し、次いで現像バイアス電源32からAl基板5aに基準電圧(校正電圧)として使用領域の下限値100Vを印加し、それが確実に立ち上がる50msec経過後、表面電位センサ21及びセンサ出力変換部52(図12)を用いて感光体ベルト5の表面電位を測定する。すなわち、表面電位センサ21の出力電圧をセンサ出力変換部52によって補正した電圧(以後「電位測定値」という)を入力する。なお、ここでは表面電位センサ21の出力は入力(感光体ベルト5の表面電位)の約1/200倍であるものとする。
【0063】次いで、カウンタのカウント値Nが「1」かどうかを判断するが、最初のステップで「1」にしてあるので、100Vの印加電圧に対する電位測定値をV1として内部メモリAに記憶してカウンタを「0」にクリア(N←0)した後、現像バイアス電源32からAl基板5aに基準電圧(校正電圧)として使用領域の上限値800Vを印加し、50msec後に表面電位センサ21及びセンサ出力変換部52を用いて感光体ベルト5の表面電位を測定する。
【0064】次いで、カウンタのカウント値Nが「1」かどうかを判断するが、今度は「0」になっているので、800Vの印加電圧に対する電位測定値をV2として内部メモリBに記憶した後、Vcal 1=V2−V1を計算する。ここで、Al基板5aへの電圧印加時に電位測定値によって求められる感光体ベルト5の表面電位の許容範囲を実際の表面電位の±10Vと仮定した場合、Vcal 1の正常範囲は3.5±0.05V となる。
【0065】そこで、今度はVcal 1の値が正常範囲である3.5±0.05V内であるか否かを判断し、正常範囲でなければ正常範囲内に収まるように図13の電子ボリューム55の抵抗値R2を可変設定する。すなわち、Vcal 1<3.45V ならば電子ボリューム55の抵抗値R2を予め設定した値だけ増加させ、Vcal 1>3.55V ならば予め設定した値だけ減少させる。その後、最初のステップに戻って上述の処理を繰り返し、Vcal 1が3.5±0.05V内になった時、すなわち800V印加時の電位測定値と100V印加時の電位測定値とを通る直線の傾きが所定の傾きになった時に電子ボリューム55の抵抗値R2を内部メモリCに記憶する。
【0066】次いで、図16の処理に進んでAl基板5aに再び100Vを印加し、50msec経過してから表面電位センサ21及びセンサ出力変換部52を用いて感光体ベルト5の表面電位を測定する。そして、その電位測定値をVcal 2とした場合、Vcal 2が正常範囲である0.5±0.02V内であるか否かを判断し、正常範囲でなければ正常範囲内に収まるように図13の電子ボリューム56の抵抗値R3を可変設定する。
【0067】すなわち、Vcal 2<0.48V ならば電子ボリューム56の抵抗値R3を予め設定した値だけ増加させ、Vcal 2>0.52V ならば予め設定した値だけ減少させる。その後、再び表面電位を測定してこの処理を繰り返し、Vcal 2が0.5±0.02Vになった時に電子ボリューム56の抵抗値R3を内部メモリDに記憶し、図14のルーチンへリターンする。
【0068】なお、電子ボリューム56を調整する際にAl基板5aに印加すべき電圧として100Vを選択したのは、使用領域で低い電圧の精度を要求したためであるが、使用領域全体から見れば中央の(800−100)/2=350Vを選択した方がよい。
【0069】したがって、この実施例によっても前述の実施例と略同様な効果を得られ、さらに以下に示す効果も得られる。すなわち、表面電位センサ21の校正に先立って現像ローラ8aを逆回転させてその円周上のトナーを掻きとり、感光体ベルト5から離間させるので、電圧のリークを防止でき、感光体ベルト5のAl基板5aに正確な基準電圧を印加することができる。
【0070】また、機械間で感光体ベルトと表面電位センサとのギャップが異なったり表面電位センサの感度がばらついても、表面電位センサを校正する際の感光体ベルト5のAl基板5aに印加する基準電圧に対する電位測定値を一定に保持できるため、表面電位センサの校正をより高精度に行なうことができる。さらに、感光体ベルトの連続停止時間,温度,使用時間,及び感光体ベルトの停止時の残留電位の各因子に基づいて、感光体ベルトの疲労回復度合いをよりきめ細かく推定するので、表面電位センサの校正時期をより精度よく判定することができる。
【0071】以上、この発明を感光体としてベルト状の感光体を用いた全面露光式の電子写真複写機に適用した実施例について説明したが、この発明はこれに限らず、ドラム状の感光体を用いた走査露光式の電子写真複写機には勿論、レーザプリンタ等の光プリンタやファクシミリ装置等の画像形成装置にも適用できる。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、表面電位検出器の取り付け位置を固定したまま、感光体を基準板として使用し、その感光体表面の非画像形成時の電位を基準値として用いて表面電位検出器を校正するようにしたので、基準板を使用しない分だけコストが低減し、校正時に特別な作業をする必要もなくなる。しかも、感光体の相対的な表面電位を精度良く検出できるため、安定した画像品質が得られる。
【0073】さらに、低コストの表面電位センサ(距離依存性のあるもの)でも、長期間安定して使用できるため、低価格の画像形成装置に搭載できる。また、請求項2乃至11の発明によれば、表面電位検出器の校正精度をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図4に示す複写機の制御系のこの発明に係わる部分のみを示す回路図である。
【図2】露光量と感光体表面電位との関係を示す線図である。
【図3】感光体放置時間と残留電位との関係を示す線図である。
【図4】この発明の一実施例である複写機の全体構成図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】図1のCPU31による表面電位センサの校正に係わる処理を示すフロー図である。
【図7】この発明の他の実施例における制御系のこの発明に係わる部分のみを示す回路図である。
【図8】図7のCPU31による表面電位センサの校正に係わる処理を示すフロー図である。
【図9】感光体放置時間と定着温度との関係を示す線図である。
【図10】この発明のさらに他の実施例である複写機の全体構成図である。
【図11】図10の要部拡大図である。
【図12】図10に示した複写機の制御系のこの発明に係わる部分のみを示す回路図である。
【図13】図12のセンサ出力変換部52の構成例を示すブロック図である。
【図14】図12のCPU31による表面電位センサの校正に係わる処理を示すフロー図である。
【図15】図14のセンサ校正処理のサブルーチンを示すフロー図である。
【図16】同じくその続きのフロー図である。
【符号の説明】
1 複写機本体 5 感光体ベルト
5a Al基板 5b 有機光導電体
8 現像ユニット 8a 現像ローラ
14 定着器 14a 定着ローラ
21 表面電位センサ 23 接触ブラシ
25 ヒータ 30 リレースイッチ
31 マイクロコンピュータ 32 現像バイアス電源
33,51 温度センサ 34 サーモスイッチ
35 常閉接点 52 センサ出力変換部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 感光体の表面電位を測定する表面電位検出器を備えた画像形成装置において、前記感光体をその疲労が十分回復するだけの時間放置した後、該感光体の基板に基準電圧を印加し、該感光体表面の電位を基準値として用いて前記表面電位検出器を校正することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項2】 請求項1記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記放置時の感光体の温度を画像形成時の温度以上に保つことを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項3】 請求項1又は2記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記表面電位検出器の校正時には前記感光体を停止状態に保つことを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記感光体の基板を通常はアースに接続し、前記表面電位検出器の校正時には現像バイアス電源に接続することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記感光体の疲労回復時期を前記感光体の連続停止時間によって判定することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項6】 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記感光体の疲労回復時期を画像形成装置への電源投入後の定着器の温度によって判定することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項7】 請求項6記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、定着器の温度が画像形成時の温度より低い所定温度の時に、感光体の疲労が回復したと判定することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、画像形成装置に電源が投入されてから表面電位検出器の校正が終了するまでの間、画像形成装置による作像を禁止することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項9】 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記表面電位検出器の校正に先立って現像ローラを前記感光体から離間させることを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項10】 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、少なくとも表面電位検出器に電源が投入されてからそれを安定して動作させることが可能な時期に達するまでは、該表面電位検出器の校正を禁止することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項11】 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記基準電圧に対して前記表面電位検出器から得られる測定値が一定になるように該表面電位検出器を校正することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項1】 感光体の表面電位を測定する表面電位検出器を備えた画像形成装置において、前記感光体をその疲労が十分回復するだけの時間放置した後、該感光体の基板に基準電圧を印加し、該感光体表面の電位を基準値として用いて前記表面電位検出器を校正することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項2】 請求項1記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記放置時の感光体の温度を画像形成時の温度以上に保つことを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項3】 請求項1又は2記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記表面電位検出器の校正時には前記感光体を停止状態に保つことを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記感光体の基板を通常はアースに接続し、前記表面電位検出器の校正時には現像バイアス電源に接続することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記感光体の疲労回復時期を前記感光体の連続停止時間によって判定することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項6】 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記感光体の疲労回復時期を画像形成装置への電源投入後の定着器の温度によって判定することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項7】 請求項6記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、定着器の温度が画像形成時の温度より低い所定温度の時に、感光体の疲労が回復したと判定することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、画像形成装置に電源が投入されてから表面電位検出器の校正が終了するまでの間、画像形成装置による作像を禁止することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項9】 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記表面電位検出器の校正に先立って現像ローラを前記感光体から離間させることを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項10】 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、少なくとも表面電位検出器に電源が投入されてからそれを安定して動作させることが可能な時期に達するまでは、該表面電位検出器の校正を禁止することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【請求項11】 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像形成装置における表面電位検出器の校正方法において、前記基準電圧に対して前記表面電位検出器から得られる測定値が一定になるように該表面電位検出器を校正することを特徴とする表面電位検出器の校正方法。
【図1】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【特許番号】特許第3124805号(P3124805)
【登録日】平成12年10月27日(2000.10.27)
【発行日】平成13年1月15日(2001.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−332246
【出願日】平成3年12月16日(1991.12.16)
【公開番号】特開平5−196671
【公開日】平成5年8月6日(1993.8.6)
【審査請求日】平成10年11月27日(1998.11.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【参考文献】
【文献】特開 昭61−56372(JP,A)
【文献】特開 昭62−44755(JP,A)
【文献】特開 平1−107179(JP,A)
【登録日】平成12年10月27日(2000.10.27)
【発行日】平成13年1月15日(2001.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成3年12月16日(1991.12.16)
【公開番号】特開平5−196671
【公開日】平成5年8月6日(1993.8.6)
【審査請求日】平成10年11月27日(1998.11.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【参考文献】
【文献】特開 昭61−56372(JP,A)
【文献】特開 昭62−44755(JP,A)
【文献】特開 平1−107179(JP,A)
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