説明

画像形成装置及びシート搬送方法

【課題】 ローラ対を用いてシートに水分を付加する加湿を行った場合に、ローラ対の一方のローラから水が供給される他方のローラに担持される水の量が減少して、シートの厚み方向の含水量が不均一になって、そりと称されるシートの湾曲が発生するという問題を解決する。
【解決手段】 含水量が変化するローラに担持される水の量を演算により推定水量として計算し、推定水量と閾値との差が閾値以上となったときに、シート間隔を広げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送されるシートを加湿するシート搬送方法及びシート上に画像を形成し、画像形成したシートを加湿する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置、即ち、複写機、プリンタ、ファクシミリにおいては、定着工程において、シートから水分が奪われる結果、シートが波打ち状に変形することが問題となり、この問題を解決する手段として、定着処理後のシートを加湿することが行われている(特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1のように水蒸気をシートに吹き付けるのに対して、特許文献2のようにローラ対でニップを形成し、ローラに水を供給しつつ、前記ニップにシートを通して加湿する方法は、装置の構成が簡単、且つ、小型になり、画像形成装置に組み込むのに適している。
【特許文献1】特開2000−118849号公報
【特許文献2】米国特許第5,264,899号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載されたシート加湿装置に類似のものとして、本出願人は特願2004ー184848号において、ローラ対の一方のローラに水を供給するシート加湿装置を提案した。前記特願のシート加湿装置は特許文献2よりも更に構造が簡単であり、小型になって、画像形成装置に組み込むのにより適している。
【0005】
しかし、前記特願に記載されたシート加湿装置には次に説明する問題がある。この問題を本発明の実施の形態に用いられる加湿装置を示す図2を用いて説明する。
【0006】
ローラ対を形成する加湿ローラ100、101でニップNPを形成し、該ニップNPにシートPを通すことにより、シートPを加湿する。加湿ローラ101に接触して加湿ローラ101に水を供給する給水ローラ102は容器104に収容されている水105に浸漬しており、加湿ローラ101には常に水の供給を可能であって、加湿ローラ101に担持される水の量が少なくなると、不足分が給水される。103は加湿ローラ101上の水の量を規制する棒状の規制部材である。なお、加湿ローラ100、101及び給水ローラ102は金属の芯にスポンジの層を形成したもので構成される。加湿ローラ100には、加湿ローラ101から水が供給される。シートPの下面には加湿ローラ101から水が供給され、シートPの上面には、加湿ローラ100から水が供給される。
【0007】
図及び前記説明から明らかなように、シートSがニップを通過する間においては、加湿ローラ100と101との間にシートPが介在するために、加湿ローラ101から加湿ローラ100への水の供給が実質的にないので、シートPがニップNPを通過する間は、加湿ローラ100に担持される水はシートPに移るのみであって、加湿ローラ100に水が供給されることはない。
【0008】
従って、シートPの連続搬送が行われる場合には、シート間の間隔で供給される水では不足して、加湿ローラ100に担持される水の量が減少し、結果として、シ−トPの上面からの水の供給量が少なくなる。
【0009】
その結果、シートの片面側の含水量は少なくなって、シートにそりがでる、即ち、シートが湾曲するようになる。
【0010】
このようなシートのそりが出る状態になったときは、装置を停止する必要が生ずる場合もあって、装置の稼働効率が低下する。
【0011】
本発明は、ローラ対を用いたシートの加湿における前記の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的は、下記の発明により達成される。
(1)
ニップを形成するローラ対、該ローラ対の一方のローラに水を供給する水供給手段及びシート上に画像を形成し、前記ニップにシートを供給する画像形成部を有する画像形成装置において、
シート間隔を制御する制御手段を有し、該制御手段は、前記ローラ対のうちの前記水供給手段から直接に水の供給を受けない他方のローラに担持される水の量である推定水量を計算し、計算により得られた前記推定水量に応じて前記シート間隔を制御することを特徴とする画像形成装置。
(2)
前記制御手段は、前記推定水量を基準水量と比較し、前記推定水量と前記基準水量との差が第1閾値以上となった場合に、前記シート間隔を広げる制御を行うことを特徴とする前記(1)に記載の画像形成装置。
(3)
前記基準水量は、前記一方のローラに担持される水の量であることを特徴とする前記(2)に記載の画像形成装置。
(4)
前記制御手段は、シートサイズ、シートの坪量及びシートが前記ニップを通過しない時間に基づいて、前記推定水量を計算することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(5)
前記シート間隔を広げた後に、前記推定水量と前記基準水量との差が前記第1閾値以下になったときに、前記制御手段は、前記シート間隔を元に戻すことを特徴とする前記(1)〜(4)に記載の画像形成装置。
(6)
前記シート間隔を広げた後に、前記推定水量と前記基準水量との差が第2閾値以下になったときに、前記制御手段は、前記シート間隔を元に戻すことを特徴とする前記(1)〜(4)に記載の画像形成装置。
(7)
前記第2閾値は前記第1閾値よりも小さいことを特徴とする前記(6)に記載の画像形成装置。
(8)
ローラ対の一方のローラに水を供給しつつ、前記ローラ対により形成されるニップにシートを連続して送り込むシート搬送方法において、
前記一方のローラを介して水の供給を受ける前記ローラ対の他方のローラに担持される水の量である推定水量を計算により求め、求められた前記推定水量に応じて、連続して送り込まれるシート間のシート間隔を制御するすることを特徴とするシート搬送方法。
(9)
前記推定水量を基準水量と比較し、前記推定水量と前記基準水量との差が第1閾値以上となった場合に、前記シート間隔を広げることを特徴とする前記(8)に記載のシート搬送方法。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜9の発明により、シートの搬送を停止することなく、水供給手段から直接に水の供給を受けないローラに担持される水の量が十分に維持されるので、画像形成効率の低下を抑え、しかも、シートの加湿を十分に行うことが可能となる。
【0014】
前記ローラにの担持される水の量を回復させるために、シート間隔を広げるが、シート搬送を停止するのではないので、停止・再起動に伴う効率の低下がなく、画像形成効率が向上する。
【0015】
その結果、シート片面のみが加湿されることによって生ずるシートの湾曲が防止されて、画像が形成されたシートを排紙トレイに排出し堆積する場合や、画像が形成されたシートに対して、ステイプル、折り畳み等の後処理を行う場合に発生するシートの不揃い、搬送不良等が良好に防止される。
【0016】
請求項3の発明により、シートの厚み方向の含水量が均等になるので、そり、即ち、シートの湾曲が特に良好に防止される。
【0017】
請求項6、7の発明により、定常状態においては、シート間隔が標準値に維持されるので、高い画像形成効率が維持される。
【0018】
請求項7の発明により、担持する水の量が十分に回復した後に、定常状態に戻すので、装置がより安定して作動する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、実施の形態により本発明を説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体図であり、該画像形成装置は画像形成部A、加湿装置B及び後処理装置Cから構成される。
【0020】
画像形成部Aは、自動原稿搬送装置1及び画像読取部2を上部に有し、下部がプリンタ部で構成される
プリンタ部において、3、4はシートPを収納する用紙収納部である。感光体6を有し、感光体6に対して、帯電、露光及び現像を行う電子写真プロセスにより、感光体6上にトナー像を形成するプリンタエンジン5において、シートPに画像が形成され、形成された画像は定着装置7において定着される。定着装置7は熱源7cが内蔵された加熱ローラ7aと加圧ローラ7bでシートPを搬送するニップを形成し、シートを搬送しつつ加熱・加圧してトナーを溶融し、画像をシートPに定着する。
【0021】
シートPは用紙収納部3又は4から供給され、給送部5aにおいて一時停止した後に画像形成部の給送部5aから給紙されて画像形成が行われ、画像形成されたシートPは、排紙ローラ10により排紙口13から排出される。
【0022】
シートの搬送経路としては、用紙収納部3、4からプリンタエンジン部5までの給紙路8、プリンタエンジン部5から定着装置7、排紙ローラ10を経て排紙口13に至る搬送路9及び反転搬送を行う裏面用搬送路12が設けられる。
【0023】
画像形成モードとしては、片面フェースダウン排紙モード、片面フェースアップ排紙モード及び両面モードがあり、片面フェースダウン排紙モードでは、片面に画像が形成され、定着装置7を通過したシートPは、反転処理により表裏反転した後に、排紙ローラ10で搬送されて排出される。
【0024】
片面フェースアップ排紙モードでは、片面に画像形成され、搬送路9を搬送されたシートPは、そのまま排紙ローラ10により搬送され排出される。
【0025】
両面モードにおいては、片面に画像形成され、定着装置7を通過したシートPは、下方に走行して裏面用搬送路12に進行し、表裏反転した後に、給紙路8に再給紙される。
【0026】
再給紙されたシートPの裏面にプリンタエンジン部5において裏面画像が形成され、裏面画像形成されたシートPは定着装置7を通過し、排紙ローラ10により搬送されて排出される。14は操作部であり、画像形成部Aにおける各種のモード及び後処理装置Cを用いた出力モードの設定を操作部14における操作で設定することができる。
【0027】
画像形成部Aから排出されたシートPは加湿装置Bを経て後処理装置Cに搬送される。加湿装置Bについては、後に説明する。
【0028】
後処理装置Cは、ステイプル処理部202、シフト処理部203及び中間スタッカ204を有し、シートに対して、ステイプル処理又はシフト処理を行って、昇降排紙皿206に排出する。
【0029】
後処理装置Cは更に、固定排紙皿205を有し、少量の画像形成ジョブにおいては、固定排紙皿205にシートPが排出される。
【0030】
ステイプル処理は中間スタッカ204に設定枚数シートを集積した後にステイプル処理部202によりステイプル処理を行い、処理されたシートPの束は、スタッカ204上を上昇して昇降排紙皿206に排出される。
【0031】
少量の画像形成ジョブにおいては、導入口201から導入されたシートPは固定排紙皿205に排紙される。
【0032】
ステイプル処理やシフト処理等の後処理を行わないモードの場合でも、大量の画像形成形成を行う場合には、昇降排紙皿206にシートPが排出される。
【0033】
図2は本発明の実施の形態における加湿装置Bの例を示す。
【0034】
図において、100、101はシートに水を付与する加湿ローラであり、ともに金属、硬質樹脂等の剛性体からなる軸芯100a、101aの上に多孔質ウレタンゴム等からなる多孔質層100b、101bが形成されたものであり、多孔質層100b、101bは、その表面から水の供給を受けるとともに、シートPに対して水分を付与し加湿する多孔質の表面を形成する。102は下側の加湿ローラ101に接触して水を供給する給水手段としての給水ローラであり、金属、硬質樹脂等の剛性体からなる軸芯102a及び軸芯102a上に形成された多孔質ウレタンゴム等からなる多孔質層102bからなるローラで構成されることが好ましい。給水ローラ102には、軸芯102aがなく、多孔質材料のみからなるローラあるいはパッドの形態を持ったものを使用することもできる。給水ローラ102は、起動時に、加湿ローラ101に対して迅速な給水を行うために、前記のように多孔質層102bを設けることが好ましいが、多孔質層を設けることは必ずしも必要ではなく、水を吸収せず、表面に水を保持することが出来る親水性の表面を持った材料、たとえば、金属や親水化処理した樹脂又はソリッドなゴムからなるローラを用いることもできる。103は規制手段を構成する規制部材であり、丸棒状の金属、硬質樹脂等の剛体からなる規制部材である。規制部材103は加湿ローラ101に圧接して、多孔質層101bの表面部に含まれる水分を抑制し、シートPに供給する水分の量を規制する。すなわち、規制部材103は加湿ローラ101の多孔質層101bに圧接し、多孔質層101bを変形させて、多孔質層101bに含まれる水をスクイズする。これによってシートPに付与される水の量が規制され、シートPが適度に加湿され、過剰な加湿によるシートPのベタツキ等が防止される。規制部材103の接触圧を調節することにより、適度な加湿が可能となる。
【0035】
加湿ローラ100、101及び給水ローラ102は図示しないモータにより駆動されて矢印のように回転し、シートPを搬送する。搬送されるシートPは加湿ローラ100、101でニップされ搬送されるが、加湿ローラ100、101間のニップNPにおいて、多孔質層からしみ出した水で加湿される。シートPに供給される水の量は、規制部材103でスクイズすることにより、適量に規制される。
【0036】
規制部材103は加湿ローラ101に圧接して水の供給量を規制するが、加湿ローラ101に従動して回転してもよいし、回転しないで圧接してもよい。また、規制部材103が圧接する場合の圧力は適切に設定される。
【0037】
このように規制部材103により加湿ローラ100、101に対する水供給量を規制することにより、搬送されるシートPが適切に加湿されるので、加湿不足により、シートPの波打ちが十分に矯正されなかったり、過剰な加湿により、排紙部において堆積したシートPが互いに接着したり、接触した部材、シート等に画像を形成しているトナーが付着する等の不具合が良好に防止される。
【0038】
加湿ローラ100を点線で示す上位置に移動させることができる。すなわち、装置の停止時には点線の位置に加湿ローラ100を設定し、加湿ローラ101から離すことにより、加湿ローラ100、101の変形を防止することが出来る。同様に、規制部材103を停止時に、点線で示す位置に移動させて加湿ローラ101から離すことが出来る。これにより加湿ローラ100、101の変形が防止される。
【0039】
図3は図1に示す画像形成装置の制御系のブロック図である。
【0040】
CPUからなる制御手段300は、画像形成における制御とともに、下記に説明する推定水量の計算及び計算により求めた推定水量に基づいたシート間隔の制御を行う。
【0041】
301は画像形成のプログラム、推定水量計算のプログラム等各種のプログラムを記憶しているROMメモリ、302はワーク用のRAMメモリである。303はシートセンサ、画像濃度センサ、トナー濃度センサ等の各種センサである。304はモータ、ソレノイド、クラッチ、ランプ等の各種負荷であり、負荷304には、プリンタエンジン部5における給送部5aを駆動するモータ304aが含まれる。センサには、加湿装置Bに設けられたシートセンサ303aが含まれる。305はセンサ303の出力を制御手段300に入力する入力部、306は出力部304に制御手段300からの制御信号を出力する出力部である。14は画像形成条件等の各種条件を設定する釦、コピー釦等を含む操作部であり、操作部14には、シートサイズ及びシートの坪量を設定する紙サイズ・紙種設定釦14aが含まれる。
【0042】
制御手段300は、画像読取部2を制御して、原稿の画像を読み取り、プリンタエンジン部5を制御して、帯電、露光、現像、転写、クリーニング及び定着からなる電子写真プロセスを実行してシートPに画像を形成する。画像形成においては、用紙収納部3、4からシートPが1枚ずつ送り出され、給送部5aのレジストローラにより、所定のシート間隔でシートPをプリンタエンジン5にシートPが供給される。
【0043】
連続画像形成において、制御手段300は、加湿ローラ100に担持される水の量を計算により推定水量として算出し、算出した推定水量に基づいて、モータ304aを制御して、シート間隔を制御する。
【0044】
推定水量WはシートPのサイズ、シートPの坪量及び加湿ローラ100、101間のニップNPをシートPが通過しない時間T2に基づいて計算される。計算式は次のとおりである。シートPのサイズ及び坪量はオペレータの操作により操作部14の紙サイズ・紙種設定釦14aから入力される。
【0045】
推定水量W=イニシャル保持量−1枚のシートの水補給量V+単位時間当たりの水補給量U×シートが通過しない時間T2
シート1枚の水補給量V=シートの重さG×0.03、
シートの重さG=シートの坪量M×シートの面積N
図4はシート間隔Tと、ニップNPをシートが通過する時間T1と、ニップNPをシートPが通過しない時間T2との関係を示す。
【0046】
図4において、同一サイズのシートを搬送する場合、時間T1は一定であるので、シート間隔Tを広げるほど、時間T2は長くなる。前記に説明したように、時間T1においては、加湿ローラ100への水の供給がなく、時間T2において加湿ローラ100に水が供給される。
【0047】
制御手段300は前記計算式により推定水量を計算し、推定水量が所定値よりも少なくなったときに、モータ304aを制御して、シート間隔Tを広げて画像形成を行う。シート間隔Tを広げることにより、時間T2が長くなって、加湿ローラ100への水の供給量が増加して、加湿ローラ100により担持される水の量が増加する。このような制御により、加湿ローラ100に担持される水の量が回復したときに、制御手段300はシート間隔Tを元に戻して画像形成を行う。
【0048】
図5、6は推定水量の計算及び推定水量Wに基づいたシート間隔Tの制御のフローチャートである。
【0049】
STEP1は加湿ローラ100、101に担持される水の量を一定にするイニシャル動作である。シートPをニップNPに通すことなく、加湿ローラ100、101を所定時間回転駆動することにより、給水ローラ102から水が供給されて、加湿ローラ100、101に所定量の水が担持される。
【0050】
STEP2において画像形成を開始し、加湿ローラ100、101の直ぐ上流に排紙されたシートセンサ303aにオン・オフの変化がない場合には(STEP3のno)終了するが、変化がある場合、即ち、オンからオフへの変化又はオフからオンへの変化があった場合には(STEP3のyes)、推定水量Wを計算する(STEP4)。
【0051】
STEP5では、以下に説明するシート間隔制御が、標準状態にシート間隔が設定されている段階において実行されるか、拡張したシート間隔が設定状態されている段階で実行されるかを見ている。
【0052】
本実施の形態においては、シート間隔は標準状態と拡張状態の2種類に設定可能となっている。勿論、シート間隔は、シートサイズや、主として厚さ(坪量)に基づいて分類されたシートの種類により、拡張状態におけるシート間隔として異なる値が用意されている。
【0053】
なお、シート間隔を拡張する場合、本実施の形態のように、1段階の拡張ではなく、複数段階に拡張することや連続的にシート間隔を変えることも可能である。
【0054】
STEP5の判断において、シート間隔が標準状態のときは(STEP5のyes)、推定水量Wと基準水量との差が第1閾値以上か否かを判断する(STEP6)。前記差が第1閾値以上の場合、即ち、推定水量Wが不足し、加湿が十分に行い得ないと判断したときは(STEP6のyes)、シート間隔を拡張して加湿ローラ100に対する水の供給量を増加させる処理を行う(STEP7)。
【0055】
シート間隔を拡張した後、又は前記差が第1閾値よりも小さい場合、画像形成が終了したときは(STEP8のyes)シート間隔制御を終了するが、画像形成が終了しないときは、STEP3に戻って、前記に説明した推定水量Wの計算及びシート間隔制御が繰り返される。
【0056】
STEP5の判断において、シート間隔が拡張されている場合には(STEP5のno)、推定水量Wと基準水量との差が第2閾値以下か否かを判断する(STEP9)。
【0057】
前記差が第2閾値以下である場合には(STEP9のyes)、加湿ローラ100に担持されている水の量が十分であり加湿を十分に行い得るので、シート間隔を拡張状態から標準状態に戻す(STEP10)。前記差が第2閾値よりも大きい場合には(STEP9のno)、拡張されたシート間隔が維持されて、画像形成の終了によりシート間隔制御を終了し、画像形成が終了していないときは、前記に説明した推定水量の計算及びシート間隔制御が繰り返される。
【0058】
第1閾値と第2閾値とは等しくても良いが、第2閾値を第1閾値よりの小さく設定することが望ましい。これによって、加湿ローラ100に担持される水の量が十分になってからシート間隔が標準状態に戻るので、装置の作動が安定する。
【0059】
STEP6、9において推定水量Wの比較相手である基準水量としては、下ローラである加湿ローラ101により担持される水の量が用いられる。この水の量はSTEP1のイニシャル動作により一定に制御されている。
【0060】
図6の推定水量Wの計算において、シートセンサ303aによりシートPが検知されると(STEP20のyes)、シートセンサ303aのオフからオンまでの時間を取得する(STEP21)。STEP2において取得された時間は、前記計算式におけるシートが通過しない時間T2である。
【0061】
STEP22において、シートが通過しない時間T2において、加湿ローラ100に供給される水の量が計算される。即ち、供給される水の量=T2×Uが計算される。
【0062】
STEP23において、現在加湿ローラ100により担持されている水の量にSTEP22において計算された補給された水の量を加算して、上ローラである加湿ローラ100により担持されている水の量を算出する。
【0063】
STEP23における計算に用いられる、現在加湿ローラ100により担持されている水の量は、STEP22で算出された補給量や、次に説明するSTEP25において計算されるシート1枚分の水補給量をイニシャル水量から加減算することにより求められている。
【0064】
STEP20においてシートが検知された場合(STEP20のno)、1枚のシートに対する水補給量Vが計算される(STEP24)。水補給量Vは前記のように、シートの重さに関連する、言い換えるとシートの吸湿力に関連している。
【0065】
続くSTEP25において、現在加湿ローラ100により担持されている水の量からSTEP24において計算された水補給量Vが減算される。次に、シートが通過しない時間T2を計測するためのタイマーがスタートする(STEP26)。
【0066】
STEP23又はSTEP25において算出された、上加湿ローラである加湿ローラ100に担持されている推定水量Wを基水量、即ち、下加湿ローラである加湿ローラ101に担持されている水の量と比較して差が計算される(STEP27)。
【0067】
図5、6の推定水量Wの計算及びシート間隔Tの制御は、STEP3、7から明らかなように、シートセンサ303aのオン・オフ変化毎に行われので、1枚のシートPがニップNPを通過する毎に実行される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体図である。
【図2】本発明の実施の形態における加湿装置の例を示す図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の制御系のブロック図である。
【図4】シート間隔と、ニップをシートが通過する時間と、ニップをシートが通過しない時間との関係を示す図である。
【図5】推定水量に基づいてシート間隔の制御のフローチャートである。
【図6】推定水量の計算のフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
A 画像形成部
B 加湿装置
5a 給送部
14 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニップを形成するローラ対、該ローラ対の一方のローラに水を供給する水供給手段及びシート上に画像を形成し、前記ニップにシートを供給する画像形成部を有する画像形成装置において、
シート間隔を制御する制御手段を有し、該制御手段は、前記ローラ対のうちの前記水供給手段から直接に水の供給を受けない他方のローラに担持される水の量である推定水量を計算し、計算により得られた前記推定水量に応じて前記シート間隔を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記推定水量を基準水量と比較し、前記推定水量と前記基準水量との差が第1閾値以上となった場合に、前記シート間隔を広げる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記基準水量は、前記一方のローラに担持される水の量であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、シートサイズ、シートの坪量及びシートが前記ニップを通過しない時間に基づいて、前記推定水量を計算することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シート間隔を広げた後に、前記推定水量と前記基準水量との差が前記第1閾値以下になったときに、前記制御手段は、前記シート間隔を元に戻すことを特徴とする請求項1〜4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記シート間隔を広げた後に、前記推定水量と前記基準水量との差が第2閾値以下になったときに、前記制御手段は、前記シート間隔を元に戻すことを特徴とする請求項1〜4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2閾値は前記第1閾値よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
ローラ対の一方のローラに水を供給しつつ、前記ローラ対により形成されるニップにシートを連続して送り込むシート搬送方法において、
前記一方のローラを介して水の供給を受ける前記ローラ対の他方のローラに担持される水の量である推定水量を計算により求め、求められた前記推定水量に応じて、連続して送り込まれるシート間のシート間隔を制御するすることを特徴とするシート搬送方法。
【請求項9】
前記推定水量を基準水量と比較し、前記推定水量と前記基準水量との差が第1閾値以上となった場合に、前記シート間隔を広げることを特徴とする請求項8に記載のシート搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−65008(P2007−65008A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247254(P2005−247254)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】