説明

画像形成装置

【課題】取っ手を用いて画像形成装置を持ち上げても、フレームの撓み変形による位置精度の低下が生じることがないようにする。
【解決手段】内蔵する画像形成部が取付けられるフレーム1に設けた取付け部14、16、20、22に、内外方向にスライドさせることにより出し入れ可能に棒状の取っ手31〜34が複数取付けられている。フレーム1は前後に設けられた側板2、3と、これらの間に配設されたステー4dとを備えており、このステー4dの近傍に前記取付け部が配設され、各取っ手31〜34で支持される構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、スキャナー、或いはこれらの機能を併有する複合機等の画像形成装置に関し、特にこのような画像形成装置を持ち上げて運搬や移動を行うために装着される取っ手部分の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1〜4に開示されているように、画像形成装置は、一般的に重いためにそれぞれのコーナー部に取っ手が取付けられ、その取っ手を把持して運搬等のために持ち上げることが行われている。その一方、軽量化を図るべく種々の対策が検討されている。
【特許文献1】特開2000−94790号公報
【特許文献2】特開平8−305101号公報
【特許文献3】特開平8−44272号公報
【特許文献4】実願昭53−175136号(実開昭55−92141号)のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような取っ手付きの画像形成装置において、オペレータが装置のコーナー部に配置されている取っ手を用いて該画像形成装置持ち上げた場合、その本体フレームに様々な力が作用し、フレームに撓み変形が生じてしまうことがあった。このような撓み変形が生ずると位置精度が低下してまい、例えばカラー複写機等においては色ズレなどの発生原因となる場合があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたもので、取っ手を用いて画像形成装置を持ち上げても、フレームの撓み変形による位置精度の低下が生じることがない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる画像形成装置は、内蔵する画像形成部が取付けられるフレームに設けた取付け部に、取っ手が複数取付けられた画像形成装置において、前記フレームは前後に設けられた側板と、それら両側板の間に配設されたステーとを有し、該ステーの近傍に前記取付け部が配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このような画像形成装置によれば、取っ手の取付け部がステーの近傍に配設されるので、取っ手を持ち上げる際に、オペレータが取っ手を側板の内側へ押付けたり、外側へ引っ張ったりするような力が作用したとしても、ステーが側板の変形を防止するので、フレームに撓み変形が起こり難くすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0008】
図1は本実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す正面図、図2は同じく内部構造を示す斜視図、図3は前左側の取っ手部分を示す斜視図、図4は前右側の取っ手部分を示す斜視図であり、これら図1〜図4は、共に取っ手が押し入れられている収納状態を表している。また、図5は本実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す正面図、図6は同じく内部構造を示す斜視図、図7は前左側の取っ手部分を示す斜視図、図8は前右側の取っ手部分を示す斜視図であり、これら図5〜図8は、共に取っ手が引き出されている状態を表している。
【0009】
この画像形成装置は、タンデム型のカラー複写機であり、図2および図6に示すフレーム1と、その外側を覆う、例えば樹脂等からなる図示しない外装部とを有し、このフレーム1は、前側の側板2と、背面側の側板3と、両側板2および3の間に掛け渡して配設された多数のステー4a〜4fとを備える。図1に示すように、ステー4aは右端部上側に、ステー4bは底部に、ステー4cは天井部に、ステー4dはステー4bと4cの間の中間高さ位置に、ステー4eは左端部上側に、ステー4fはステー4eの下側であってステー4dよりも高い位置にそれぞれ配設されている。また、図2および図6に示すように前側の側板2には開口6が設けられており、この開口6には、図1および図5に示すように、背面側の側板3との間において4色用の各画像形成部(図示せず)が取付けられる支持板7が、開口6を覆うように取付けられる。
【0010】
前側の側板2は左右両端部に前側に折り返された折り返し部2a、2bを有し、左側の折り返し部2aにおけるステー4dの近傍には取付け部14が、右側の折り返し部2bにおけるステー4dの近傍には取付け部16が設けられている。取付け部14は、折り返し部2aに設けられた取付け孔11と、その右側であって側板2および折り返し部2aに設けられ、取付け孔11と所定間隔をあけて支持孔13aを有する支持部材13とを有する。上記支持孔13aと取付け孔11とは、ほぼ同じ高さ位置にかつほぼ同じ大きさで矩形状に形成され、取付け孔11には上縁部に下側に突出してロック部11aが設けられている。この取付け部14に取っ手31がスライドさせることにより内外方向へ出し入れ可能に設けられている。
【0011】
一方、取付け部16は、上記取付け部14とほぼ左右対称な構成となっている。具体的は、取付け部16は、折り返し部2bに設けられた取付け孔12と、その左側であって側板2および折り返し部2bに設けられ、取付け孔12と所定間隔をあけて支持孔15a(図4参照)を有する支持部材15とを有する。上記支持孔15aと取付け孔12とは、ほぼ同じ高さ位置にかつほぼ同じ大きさで矩形状に形成され、取付け孔12には上縁部に下側に突出してロック部12aが設けられている。この取付け部16に取っ手32がスライドさせることにより内外方向へ出し入れ可能に設けられている。なお、支持部材15は、前記支持部材13と形状・大きさ等が異なっているが、取っ手をスライドさせる等の機能については同一に形成されている。
【0012】
また、背面側の側板3も左右両端部に前側に折り返された折り返し部3a、3bを有し、左側の折り返し部3aにおけるステー4dの近傍には取付け部20(図1参照)が、右側の折り返し部3bにおけるステー4dの近傍には取付け部22が設けられている。取付け部20は、前記取付け部14と前後対称(図3および図7と左右対称)な構成となっている。具体的には、取付け部20は、折り返し部3aに設けられた取付け孔17と、その右側(図1および図5において)であって側板3および折り返し部3aに設けられ、取付け孔17と所定間隔をあけて支持孔19aを有する支持部材19とを有する。上記支持孔19aと取付け孔17とは、ほぼ同じ高さ位置にかつほぼ同じ大きさで矩形状に形成され、取付け孔17には上縁部に下側に突出してロック部17aが設けられている。この取付け部20に取っ手33がスライドさせることにより内外方向へ出し入れ可能に設けられている。
【0013】
一方、取付け部22は、前記取付け部16と前後対称(図4および図8と左右対称)の構成となっている。具体的には、取付け部22は、折り返し部3bに設けられた取付け孔18と、その左側(図1および図5において)であって側板3および折り返し部3bに設けられ、取付け孔18と所定間隔をあけて支持孔21aを有する支持部材21とを有する。上記支持孔21aと取付け孔18とは、ほぼ同じ高さ位置にかつほぼ同じ大きさで矩形状に形成され、取付け孔18には上縁部に下側に突出してロック部18aが設けられている。この取付け部22に取っ手34がスライドさせることにより内外方向へ出し入れ可能に設けられている。なお、ロック部11a、12a、17a、18aの下端位置は、各取っ手31、32、33、34の上面と接触しない高さに設定しておき、取っ手31等をスライドさせる際に、ロック部11a等との接触に伴う摩擦抵抗の発生を抑制させるようにすることが好ましい。
【0014】
図9は取っ手の構成を示す斜視図であり、(a)は外側に向けられる端部側から見た図で、(b)はその反対側から見た図である。
【0015】
前記4つの取っ手31〜34は、すべて同一構成であり、棒状把持部31a〜34aと、その一端側に設けられた滑り止め部31b〜34bとを有する。棒状把持部31a〜34aは角部が角落としされた状態で角筒状に形成され、ほぼ中央の上面にはロック孔35が貫通状態に設けられ、また他端側の左右側面には貫通孔36a、36bが設けられている。棒状把持部31a〜34aは、矩形状に形成された前記支持孔13a等と取付け孔11等に対し、棒状把持部31a等を持ち上げない状態では、上部に若干の隙間を有し、かつ、ロック部11a等が非接触となるように寸法設定がなされている。なお、貫通孔36a、36bの少なくとも一方には、後述するストッパが取付けられる。
【0016】
滑り止め部31b〜34bは棒状把持部31a〜34aの一端側の開口を覆うとともに下端が棒状把持部31a〜34aの下面よりも下側に突出しており、左右の端部が棒状把持部31a〜34aの他端側に向けて折り曲げられている。この滑り止め部31b等は、取っ手31等を押し込んで収納した状態で各取付け孔11等の周縁部に当接する。
【0017】
次に、これら取っ手31〜34の作製内容を、図10に基づき説明する。なお、これら取っ手31〜34の作製は、すべて同一であり、ここで一つの取っ手31を例に挙げて述べる。
【0018】
例えば鋼板を、図10(取っ手の展開図)に示す所定の形状に切断する。つまり、棒状把持部31aを形成するための広面積部40と、滑り止め部31bを形成するための狭面積部41と、これら両者間に設けた繋ぎ部42とを有するように切断する。
【0019】
その後、波線で示す折り曲げ線の箇所で、すべて山折りまたは谷折りで曲げる。ただし、曲げる際に角部が所定の曲率となるように曲げる。すると、図9に示す取っ手31が作製される。なお、取っ手31〜34の素材としては、上述した鋼板に限らず、所望の強度が確保できる金属板を使用することが可能である。
【0020】
上述した図3および図7は、その取っ手31を取付け部14に取付けた状態を示す斜視図であり、図3は取っ手31を押し込んだ収納状態を表し、図7は取っ手31を引き出した状態を表している。
【0021】
上述のようにして作製された取っ手31を、取付け部14に対して挿入し、貫通孔36a、36bが支持部材13を抜け出るようにする。そして、例えば貫通孔36aに抜け防止用のストッパ37を取付けることで、取っ手31は取付け部14に抜け防止された状態になる。なお、他の取っ手32〜34についても、各取付け部16、20、22に対して同様に取付けられる。
【0022】
次に、このように構成された画像形成装置を運搬等すべく持ち上げる場合につき説明する。なお、通常は、取っ手31〜34は外側に飛び出さないように、つまり滑り止め部31b〜34bが折り返し部2a、2b、3a、3bに当接するように押し込まれて収納状態にされる。
【0023】
まず、取っ手31等を各取付け部14等から、ストッパ37が各取付け部14等の支持孔13a等の周縁に当たる最大引き出し状態にまで引き出す。このとき、滑り止め部31bとロック孔35との離隔距離L1と、収納状態におけるストッパ37と支持部材13との離隔距離L2とをほぼ同一寸法に調整しておくことが好ましい。このようにすると、ストッパ37が支持部材13に接触する最大引き出し状態にまで引き出したときに、各取っ手31等に設けたロック孔35の上方にロック部12a等が位置するようにできる。
【0024】
次に、運搬等を行う作業者は、引き出された取っ手31等を把持する。このとき、取っ手31等の下面が床面から40ミリ以上で上側に位置するようにしておくことが好ましい。このようにすると、取っ手31等と床面との間の隙間に容易に手の指が入るので、取っ手を掴み易くすることが可能となる。但し、あまり高い位置に取っ手31等を設けると、重くなったように感じるため、比較的低い位置とするのがよい。
【0025】
次に、把持した取っ手31等を持ち上げる。すると、棒状把持部31a等の上面と取付け孔11等の上辺との間の隙間がなくなることにより、ロック部12a等が、各取っ手31等のロック孔35に入り、取っ手31等がスライドするのをロックされる。よって、取っ手31等を持ち上げた状態では取っ手31等が勝手にスライドせずに安定した取っ手把持状態を維持できる。
【0026】
然る後、所望箇所に画像形成装置を運搬し終わり、取っ手31等から手を離すと、容易にロック解除される。つまり、取っ手31等が最大引き出し状態に引き出されても持ち上げない限りロック状態にはならないので、手を離すことで容易にロック解除される。その後、取っ手31等を各取付け部14等に押し込み、外側に飛び出さないように収納する。
【0027】
したがって、本実施形態による場合には、各取っ手31〜34が金属板の曲げ加工により形成されているので、コストの低廉化が図れる。また、滑り止め部31b〜34bも金属板の曲げ加工により一体的に形成されているので、曲げ加工工程において棒状把持部の形成と同時的に滑り止め部を作製でき、すなわち金属板として、前記棒状把持部を形成するための広面積部と、前記滑り止め部を形成するための狭面積部と、これら両者間に設けた繋ぎ部とを有するものを用いているので、棒状把持部の一端側において、その下端が棒状把持部下面よりも下側に突出するような滑り止め部を同時的に作製でき、作業性良く形成することが可能となり、実質的な軽量化を図り得る。また、各取っ手31〜34は、棒状把持部31a〜34aが角落としされた状態で角筒状に形成されているので、持ち易くかつ強度的に強いものになる。
【0028】
更に、本発明においては、図1および図11においてこの実施形態でも示しているように、取付け部14等がステー4dの近傍にほぼ同一高さ位置に配設されているので、取っ手31〜34を持ち上げる際に、オペレータが取っ手31〜34の滑り止め部側を矢印方向(F方向)に動くように作用させても、つまり取っ手31〜34の滑り止め部側とは反対側が側板2や3を内側へ押付けたり、外側へ引っ張るように作用させても、ステー4dが側板2と3の変形を防止するので、フレーム1に撓み変形が起こり難くすることが可能となる。よって、ステーを最低限必要な箇所に設ければよく実質的な軽量化を図り得る。但し、取付け部14等のステー4dに対する配設位置に関しては、そのステー4dの直ぐ近くの位置が望ましいが、フレーム1に発生する撓み変形に伴う位置精度の低下、本実施形態のカラー複写機における色ズレなどを起こり難くすることが可能なように、例えばステー4dと支持部材14等との離隔距離L3を70ミリ〜80ミリ以内とすればよい。本実施形態では、離隔距離L3は50ミリとしている。なお、離隔距離L3が70ミリ〜80ミリ以内であれば、ステー4dと同一高さ位置にする必要はない。また、取付け部14等は、ステー4d以外の他のステー4a〜4fの近傍位置に同様にして設けてもよい。
【0029】
なお、上述した実施形態では滑り止め部31b〜34bを、棒状把持部31a〜34aの一端側の開口を覆うように形成しているが、本発明はこれに限らず、棒状把持部31a〜34aの一端側の下面から下側に折り曲げ、棒状把持部31a〜34aの一端側の開口を覆うことなく、棒状把持部31a〜34aの下面よりも下側に突出するようにしてもよい。
【0030】
また、上述した実施形態ではロック部12a等を取付け部14等の最外端に位置する取付け孔11等に設けるようにしているが、本発明はこれに限らず、取付け部14等の外側寄りの位置であって、取付け孔11等よりも内側に設ける構成としても実施できる。但し、この場合には、前記L1及びL2の関係を維持しつつロック孔の位置を別途設定し直すようにする。
【0031】
また、上述した実施形態では棒状把持部31a〜34aの断面形状を角筒状に形成しているが、本発明はこれに限らない。例えば、三角形や五角形等の多角形の筒状にしてもよく、或いは円筒状にしてもよい。但し、円筒状の場合には、取っ手が回転し易くロック部とロック孔との位置関係がずれるため、取っ手と取付け部とに、例えばキーとキー溝のような回転防止用の凹部と凸部を設けるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す正面図であり、取っ手が押し入れられている状態を表している。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す斜視図であり、取っ手が押し入れられている状態を表している。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置の前左側の取っ手部分を示す斜視図であり、取っ手が押し入れられている状態を表している。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置の前右側の取っ手部分を示す斜視図であり、取っ手を押し込んだ状態を表している。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す正面図であり、取っ手が引き出されている状態を表している。
【図6】本実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す斜視図であり、取っ手が引き出されている状態を表している。
【図7】本実施形態に係る画像形成装置の前左側の取っ手部分を示す斜視図であり、取っ手が引き出されている状態を表している。
【図8】本実施形態に係る画像形成装置の前右側の取っ手部分を示す斜視図であり、取っ手を引き出した状態を表している。
【図9】取っ手の構成を示す斜視図であり、(a)は外側に向けられる端部側から見た図で、(b)はその反対側から見た図である。
【図10】取っ手の展開図である。
【図11】取っ手とステーとの位置関係を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 フレーム
2、3 側板
4a、4b、4c、4d、4e、4f ステー
11、12、17、18 取付け孔
11a、12a、17a、18a ロック部
14、16、20、22 取付け部
31、32、33、34 取っ手
31a、32a、33a、34a 棒状把持部
31b、32b、33b、34b 滑り止め部
35 ロック孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵する画像形成部が取付けられるフレームに設けた取付け部に、取っ手が複数取付けられた画像形成装置において、
前記フレームは前後に設けられた側板と、それら両側板の間に配設されたステーとを有し、該ステーの近傍に前記取付け部が配設されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−99142(P2006−99142A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372982(P2005−372982)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【分割の表示】特願2004−88965(P2004−88965)の分割
【原出願日】平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】