説明

画像形成装置

【課題】記録ヘッドに、搬送ベルト清掃機構を取り付けることによって、記録ヘッドが搬送ベルト上を主走査方向に移動する時に、搬送ベルト清掃機構を搬送ベルトに当接させ、搬送ベルトを清掃し、安定した搬送性を可能とし、自動的に搬送ベルト清掃を行なってユーザーによる搬送ベルトの清掃を不要とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成用紙を給紙部から搬送ベルト1を介して画像形成部に給送し、前記搬送ベルト1と対向して配置される記録ヘッド2によって前記画像形成用紙Pに画像を形成する画像形成装置において、前記搬送ベルト1は、少なくとも2本の回転可能なローラ9、10によって張架されかつ前記画像形成用紙Pを密着搬送する構成であり、前記記録ヘッド1近傍にはブラケット13上に支持しかつ清掃部材16を備える搬送ベルト清掃装置12を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式等の種々の記録ヘッドを用い、この記録ヘッドに対向して記録用紙を搬送する搬送ベルトを備えている画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成用紙を給紙部から搬送ベルトを介して画像形成部に給送する画像形成装置では、画像形成用紙を搬送する搬送ベルトの汚れを清掃する搬送ベルト清掃機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の技術は搬送ベルト上に付着した紙粉を除去することを目的としており、この技術は紙粉除去用の弾性部材が搬送ベルトの移動方向に対向する方向に向かって鋭角に常時圧接されているため、搬送ベルトに付着した紙粉を削り取る形になり、搬送ベルトそのものを傷付ける可能性があった。
一方、記録媒体に画像を形成する記録ヘッドを搭載し、少なくとも2本の回転可能なローラによって張架される搬送ベルトに画像形成用紙を密着搬送させるベルト搬送装置においては、搬送ベルトを清掃する機構はなく、インク垂れ、インクミスト、埃等によって、搬送ベルトの汚れを原因とした吸着力低下によって記録紙搬送時に搬送ジャムが発生することがあった。
【特許文献1】特開2004−217373公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、インク垂れ、インクミスト、埃等によって、搬送ベルトの汚れを原因とした吸着力低下によって記録用紙搬送時に搬送ジャムが発生した場合には、ユーザーが搬送ベルト清掃を行い、上記現象を改善しなければならないという問題がある。
そこで、本発明の目的は、記録ヘッドに、搬送ベルト清掃機構を取り付けることによって、記録ヘッドが搬送ベルト上を主走査方向に移動する時に、搬送ベルト清掃機構を搬送ベルトに当接させ、搬送ベルトを清掃し、安定した搬送性を可能とし、自動的に搬送ベルト清掃を行なってユーザーによる搬送ベルトの清掃を不要とする画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像形成用紙を給紙部から搬送ベルトを介して画像形成部に給送し、前記搬送ベルトと対向して配置される記録ヘッドによって前記画像形成用紙に画像を形成する画像形成装置において、前記搬送ベルトは、少なくとも2本の回転可能なローラによって張架されかつ前記画像形成用紙を密着搬送する構成であり、前記記録ヘッド近傍にはブラケット上に支持しかつ清掃部材を備える搬送ベルト清掃装置を設けている画像形成装置を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記清掃部材は、これを支持する清掃部材ブラケットと、前記清掃部材を昇降させるソレノイドと、このソレノイドを固定するソレノイドブラケットとを含み、前記ソレノイドが昇降することによって、前記清掃部材が前記搬送ベルトに当接し、前記記録ヘッドがガイドロッド上で主走査方向に移動することによって、前記搬送ベルトをスキャンして清掃する請求項1記載の画像形成装置を特徴とする。
【0005】
また、請求項3に記載の発明は、前記搬送ベルト清掃装置は、前記清掃部材として前記搬送ベルトを清掃するゴムからなるブレードを有し、かつこのブレードを固定するブレードブラッケトを含んでいる請求項1又は2記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記搬送ベルト清掃装置は、前記清掃部材として、前記搬送ベルトを清掃するフェルトを有し、このフェルトをフェルトブラケットに固定する請求項1又は2記載の画像形成装置を特徴とする。
【0006】
また、請求項5に記載の発明は、前記搬送ベルト清掃装置は、前記清掃部材として、粘着ローラを有し、さらに、この粘着ローラを保持する粘着ローラブラケットと、前記粘着ローラを昇降させるソレノイドと、このソレノイドと前記粘着ローラブラケットを保持する粘着ローラソレノイドブラケットとから形成される請求項1又は2記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記搬送ベルト清掃装置は、前記清掃部材として、粘着ローラ及び清掃ローラを有し、さらに、前記粘着ローラ及び前記清掃ローラを保持するローラブラケットと、このローラブラケット及び前記ソレノイドを保持するローラソレノイドブラケットとから形成される請求項1又は2記載の画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録ヘッドに搬送ベルト清掃装置を取り付けることによって、記録ヘッドが主走査方向に移動する際に、搬送ベルト清掃装置にて搬送ベルトを清掃し、搬送ベルトのインク垂れ、インクミスト、埃等によっての、吸着力低下による搬送ジャムを防止し、自動的に搬送ベルト清掃を行なうことにより、上記現象を未然に防止し、ユーザーにおいて搬送ベルト清掃を行なう必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明による搬送ベルト清掃装置を含む画像形成装置の1部分を示す概略図である。図2は図1に示した搬送ベルト清掃装置のテンションローラを示す図1の右側面図である。
図1及び図2において、画像形成装置Aは、画像形成用紙Pを画像形成部Cに向けて給送する給紙部B、画像形成されかつ所定の処理を施された画像形成用紙Pを画像形成装置A外に排紙する排紙部Dを含んでいる。
【0009】
画像形成部Cの左右側板3、4の間には、給紙部Bを構成する給紙トレイ5、排紙部Dを構成する排紙ローラ6、拍車ローラ7及び排紙トレイ8、画像形成用紙Pを搬送する搬送ベルト1、この搬送ベルト1を架け渡す搬送ローラ9及びテンションローラ10、搬送ベルト1の上方にはガイドロッド11に支持された画像形成部Cを形成する記録ヘッド2が配置されている。
記録ヘッド2近傍には、インク垂れ、インクミスト、埃等によっての搬送ベルト1の吸着力低下による搬送ジャムを防止するために、画像形成用紙Pを搬送する搬送ベルト1の表面を清掃するための搬送ベルト清掃装置12が適宜な方法で固定かつ配置されている。
【0010】
搬送ベルト1の清掃を行なう時に、画像形成部Cの記録ヘッド2に保持されている後述のソレノイド14(図3で説明)の可動部(プランジャ)14aが昇降し(下方へ突出入し)、可動部14aに固定されたブレード機構(図3で説明)が搬送ベルト1に当接した状態を保つ構成となっており、記録ヘッド2の主走査方向に移動することによって、当接した状態を保ったブレード機構が搬送ベルト1のインク垂れ、インクミスト、埃等を取る構成となっている。
また、ブレード機構が搬送ベルト1に常時圧接することによる搬送ベルト1そのものへの影響を少なくするため、ソレノイドによる昇降動作で、清掃時のみ搬送ベルト1にブレード機構を圧接する。
【0011】
図1及び図2に示した搬送ベルト1は、搬送ローラ9、テンションローラ10にて張架されて搬送ユニットを構成しており、この搬送ユニットと、排紙ローラ6、拍車ローラ7、ガイドロッド11は互いに平行な左右側板3、4を有する筐体の両側板部に支持されており、記録ヘッド2は、ガイドロッド11に沿って、主走査方向に移動する構成になっている。
【0012】
図3は本発明による搬送ベルト清掃装置の第1の実施の形態を示す概略図である。図4は図3の第1の実施の形態を作動状態において示す概略図である。図3及び図4を参照して、ソレノイドブラケット13は、記録ヘッド2に適宜な手段で固定され、ソレノイド14は、ソレノイドブラケット13に固定され、搬送ベルト清掃装置12のブレード機構17はソレノイド14の可動部14aに適宜な手段で固定された構成になっている。
ブレード機構17は、ブレード16をブレードブラケット15に適宜な手段で固定された構成になっている。また、記録ヘッド2、及びブレード機構17は、記録ヘッドカバー18に覆われている構成になっている。
昇降機構であるソレノイド14の可動部14aの昇降によって、ブレード機構17が搬送ベルト1に当接したり離間する構成になっている。これによって、搬送ベルト1に当接したブレード機構17は、記録ヘッド2の主走査方向への移動とともに、当接した状態にて搬送ベルト1をスキャンすることによって、搬送ベルト1に付着している、インク垂れ、インクミスト埃等の汚れを搬送ベルト外に掻き出し、清掃を可能としている。
【0013】
図5は本発明による搬送ベルト清掃装置の第2の実施の形態を示す概略図である。図6は図5の第2の実施の形態を作動状態において示す概略図である。この第2の実施の形態では、搬送ベルト1と当接する搬送ベルト清掃装置12の清掃部材をフェルト20とフェルトブラケット19によって構成している。
この構成によって、搬送ベルト1とフェルト20が面接触することができ、小さい段差に対しては清掃が不安定であるゴムから構成されるブレード機構17による搬送ベルト1への線接触に比して、小さい段差に対しても対応してインク垂れ、インクミスト、埃等の汚れを取ることを可能としている。なお、図5及び図6において、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して繰り返しとなる説明は省略する。
【0014】
図7は本発明による搬送ベルト清掃装置の第3の実施の形態を示す概略図である。図8は図7の第3の実施の形態を作動状態において示す概略図である。この第3の実施の形態では、搬送ベルト1と当接する搬送ベルト清掃装置12の清掃部材として、粘着性を有する粘着ローラ21を有している。
搬送ベルト清掃装置12は、さらに、粘着ローラ21を昇降させるソレノイド14(可動部14a)と、粘着ローラ21を保持している粘着ローラブラケット22と、この粘着ローラブラケット22及びソレノイド14を保持しているソレノイドブラケット13aとから構成されている。
【0015】
記録ヘッド2が主走査方向に移動することによって、これに適宜な手段でソレノイドブラケット13aと粘着ローラブラケット22によって支持された粘着ローラ21が回転しながら、その粘着性によって、搬送ベルト1に付着しているインク垂れ、インクミスト、埃等の汚れを取りながら清掃を行なうことを可能としている。
また、清掃時の搬送ベルト劣化、又は清掃時に発生するキズを防止する構成となっている。さらには、清掃してない時には、搬送ベルト1から粘着ローラ21を引き離すためにソレノイド14の可動部14aによって搬送ベルト1との非接触位置に移動可能である。なお、図7及び図8において、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して繰り返しとなる説明は省略している。
【0016】
図9は本発明による搬送ベルト清掃装置の第4の実施の形態を示す概略図である。図10は図9の第4の実施の形態を作動状態において示す概略図である。この第4の実施の形態では、搬送ベルト1と当接する搬送ベルト清掃装置12の清掃部材として、粘着性を有する粘着ローラ21と、この粘着ローラ21より粘着性の高い粘着性を有する粘着面を備えた清掃ローラ24を有している。
搬送ベルト清掃装置12は、さらに、これらの2本のローラ21、24を保持しているローラブラケット23と、このローラブラケット23を昇降させるためのソレノイド14と、ローラブラケット23及びソレノイド14を保持しているソレノイドブラケット13bとから構成されている。
この構成によって、粘着ローラ21に付着したインク垂れ、インクミスト、埃等を、清掃ローラ24に転写させ、粘着ローラ21の粘着性を初期状態に保つことを可能とし、小スペース化を可能とした構成となっている。
【0017】
搬送ベルト清掃装置12の清掃部材として粘着ローラ21を使用すると、その 外形全周に、インク垂れ、インクミスト、埃等が付着することによって、粘着ローラ21の粘着性が劣化する恐れがあり、十分な粘着性を維持するためには、粘着ローラ21は大径になってしまい、小スペース化が困難である。
しかし、この不都合は、清掃部材としての粘着ローラ21と、この粘着ローラ21より粘着性の高い清掃ローラ24を、粘着ローラ21上に配置する構成とすることによって、粘着ローラ21で取った搬送ベルト1の、インク垂れ、インクミスト、埃等の汚れを、清掃ローラ24に転写させる2段清掃の形を採ることによって解消される。
すなわち、搬送ベルト1から取った汚れは粘着ローラ22から清掃ローラ24に転写されるので粘着ローラ22の粘着性の劣化を防止し、粘着ローラ22の粘着性を維持することによって安定した清掃を行なうことができる。また、2段清掃の形を採ることによって粘着ローラ径を小さくすることができ、小スペース化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による搬送ベルト清掃装置を含む画像形成装置の1部分を示す概略図である。
【図2】図1に示した搬送ベルト清掃装置のテンションローラを示す図1の右側面図である。
【図3】本発明による搬送ベルト清掃装置の第1の実施の形態を示す概略図である。
【図4】図3の第1の実施の形態を作動状態において示す概略図である。
【図5】本発明による搬送ベルト清掃装置の第2の実施の形態を示す概略図である。
【図6】図5の第2の実施の形態を作動状態において示す概略図である。
【図7】本発明による搬送ベルト清掃装置の第3の実施の形態を示す概略図である。
【図8】図7の第3の実施の形態を作動状態において示す概略図である。
【図9】本発明による搬送ベルト清掃装置の第4の実施の形態を示す概略図である。
【図10】図9の第4の実施の形態を作動状態において示す概略図である。
【符号の説明】
【0019】
A 画像形成装置、B 給紙部、C 画像形成部、P 画像形成用紙、1 搬送ベルト、2 記録ヘッド、9 ローラ(搬送ローラ)、10 ローラ(テンションローラ)、11 ガイドロッド、12 搬送ベルト清掃装置、13 ブラケット(ソレノイドブラケット)、13a ブラケット(粘着ローラソレノイドブラケット)、13b ブラケット(ローラソレノイドブラケット)、14 ソレノイド、15 ブラケット(ブレードブラケット)、16 清掃部材(ブレード)、19 ブラケット(フェルトブラケット)、20 清掃部材(フェルト)、21 清掃部材(粘着ローラ)、22 ブラケット(粘着ローラブラケット)、23 ブラケット(ローラブラケット)、24 清掃ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成用紙を給紙部から搬送ベルトを介して画像形成部に給送し、前記搬送ベルトと対向して配置される記録ヘッドによって前記画像形成用紙に画像を形成する画像形成装置において、前記搬送ベルトは、少なくとも2本の回転可能なローラによって張架されかつ前記画像形成用紙を密着搬送する構成であり、前記記録ヘッド近傍にはブラケット上に支持しかつ清掃部材を備える搬送ベルト清掃装置を設けていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記清掃部材は、これを支持する清掃部材ブラケットと、前記清掃部材を昇降させる可動部を備えたソレノイドと、このソレノイドを固定するソレノイドブラケットとを含み、前記ソレノイドの可動部が昇降することによって、前記清掃部材が前記搬送ベルトに当接し、前記記録ヘッドがガイドロッド上で主走査方向に移動することによって、前記搬送ベルトを清掃することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送ベルト清掃装置は、前記清掃部材として前記搬送ベルトを清掃するゴムからなるブレードを有し、かつこのブレードを固定するブレードブラッケトを含んでいることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送ベルト清掃装置は、前記清掃部材として、前記搬送ベルトを清掃するフェルトを有し、このフェルトをフェルトブラケットに固定した構成を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送ベルト清掃装置は、前記清掃部材として、粘着ローラを有し、さらに、この粘着ローラを保持する粘着ローラブラケットと、前記粘着ローラを昇降させる可動部を備えたソレノイドと、このソレノイドと前記粘着ローラブラケットを保持する粘着ローラソレノイドブラケットとから形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送ベルト清掃装置は、前記清掃部材として、粘着ローラ及び清掃ローラを有し、さらに、前記粘着ローラ及び前記清掃ローラを保持するローラブラケットと、このローラブラケット及び前記ソレノイドを保持するローラソレノイドブラケットとから形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−302396(P2007−302396A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131862(P2006−131862)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】