説明

画像形成装置

【課題】容易かつ安全で、背の低いユーザや車椅子に乗ったユーザにとって、操作性を向上させた画像形成装置を提供する。
【解決手段】本実施形態の画像形成装置は、引掛け部21と、弾性部材22と、グリップ23とを有するレバー20が、収納箱41内に備え付けられている。背の低いユーザや車椅子に乗ったユーザは、ADF5を閉じる際に、グリップ23を手で持って、レバー20の先端部にある引掛け部21をADF5の取手部6に引っ掛けた後にレバー20を引く。これによりADF5を閉じることができるので、非常に容易にかつ安全にADF5を開閉することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ、スキャナ、コピー機および複合機等の画像形成装置に関し、特に、車椅子の人や子供でも容易に扱うことのできる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、コピーを行う場合には、まず、原稿自動搬送装置(ADF:Automatic Document Feeder)などの取手部を手で押し上げてADFを開放し、コンタクトガラス上に原稿をセットする。そして、原稿をセットした後で、ADFの取手部をユーザの手で再度持ち、ADFを閉じる必要がある。
【0003】
しかし、従来のコピー機や複合機等の画像形成装置は、健常者を対象として作られているため、例えば、車椅子に乗ったユーザや背の低いユーザにとって、ADFの開放状態によっては、取手部に、ユーザの手が届かず、ADFを閉めることができない可能性があった。
【0004】
このような問題に対する従来の発明としては、特許文献1から特許文献3に記載された発明が公知である。特許文献1には、開放した状態のプラテンカバーや自動原稿搬送装置等の原稿押さえ手段を車椅子の人や子供でも容易に閉鎖可能に構成した画像形成装置の発明が記載されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、画像形成装置の自動原稿搬送装置部分、又は、自動原稿搬送装置の原稿が載置される原稿載置台部分の前後への移動、回転、又は、設置角度変更を可能とし、操作性を向上させた画像形成装置の発明が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述した従来の発明には、以下に述べるような問題がある。
【0007】
特許文献1に記載の発明は、把手を設けることによって、開放した状態の自動原稿搬送装置を用意に閉鎖可能としているが、自動原稿搬送装置と原稿台ガラスとの間に誤って手を挟んでしまうおそれがある。また、特許文献2に記載の発明では、レバーを付けることによって操作性を向上させているが、設置スペースやコスト増という点で問題がある。また、特許文献3に記載の発明では、ADFと画像読取装置を画像形成装置から分離して、ADFと画像読取装置を車椅子のユーザが操作可能な低い位置に配置するものであるが、別途、設置スペースが必要となるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、容易かつ安全で、背の低いユーザや車椅子に乗ったユーザにとって、操作性を向上させた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像を読み取る画像読み取り手段に原稿画像を載置する際に、ヒンジの支点軸を中心に回動するように設けられて原稿画像を押さえる原稿画像押さえ手段を有する画像形成装置であって、画像形成装置に着脱可能なレバーを備え、原稿画像押さえ手段は取手部を有し、レバーは、原稿画像押さえ手段と画像読み取り装置とをヒンジを支点として開閉する際に、取手部に引掛けて係合させる引掛け部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、レバーは、引掛け部に連設された柄部と、柄部に連設され、ユーザがレバーを使用するときに握るグリップとを有することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、引掛け部は、取手部と引掛け部とを係合する際に、取手部と引掛け部とに挟持される弾性部材をさらに有することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、レバーを使用しない時に、レバーを収納することが可能である収納箱を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明の画像形成装置によれば、容易かつ安全で、背の低いユーザや車椅子に乗ったユーザにとって、操作性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態のデジタル複写機の一例を示す斜視図である。
【図2】本実施形態のデジタル複写機において、ADF5を開いた状態を示す図である。
【図3】レバー20を収納箱41に収納した場合のデジタル複写機の側面図である。
【図4】レバー20の外観の一例を示す図である。
【図5】本実施形態のデジタル複写機に突起部42を備えた場合を示す図である。
【図6】本実施形態のデジタル複写機を、車椅子に座ったユーザが利用する場合を示す図である。
【図7】従来のデジタル複写機を、車椅子に座ったユーザが利用する場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本実施形態の画像形成装置を、図面を用いて説明する。なお、本実施形態は以下に述べるものに限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。また、本実施形態では画像形成装置として、デジタル複写機を用いて説明する。
【0016】
図1は、本実施形態のデジタル複写機の外観を示す斜視図である。また、図2は、本実施形態のデジタル複写機において、原稿自動搬送装置を開いた状態の外観を示す斜視図である。
【0017】
本実施形態のデジタル複写機は、図1に示すように、画像読み取り装置1と、画像形成部2と、排紙部4と、ADF5と、取手部6と、操作部8と、原稿排紙トレイ29と、給紙部30と、収納箱41とを備えている。給紙部30は、給紙する転写紙に応じて分けられている各給紙トレイ25,26,27,28を備えている。また、本実施形態のデジタル複写機は、図2に示すように、コンタクトガラス3とヒンジ7も備えている。
【0018】
ADF5またはコンタクトガラス3上にセットされた原稿は、画像読み取り装置1にて原稿画像が読み取られる。ADF5にセットされた原稿は、コンタクトガラス3上で原稿画像を読み取られた後に、原稿排紙トレイ29へと排紙される。
【0019】
コンタクトガラス3上で読み取られた原稿画像は画像データ化されて、画像形成部2にて、給紙部30から給紙されてくる転写紙に画像の転写を行う。画像が形成された転写紙は、画像を記録(転写)済の転写紙をスタックする排紙部4へと排紙されることになる。
【0020】
ADF5は、ヒンジ7の支点軸を中心に回転して、コンタクトガラス3に対して開閉するものである。ADF5を閉じた場合には、コンタクトガラス3上にセットされた原稿を押さえてずれないようにする。
【0021】
通常、ユーザが自身でコンタクトガラス3上に原稿をセットしてコピーを行う場合には、まず、ADF5の取手部6を手で押し上げてADF5を開く。そして、開放されたコンタクトガラス3上に原稿をセットした後で、再度取手部6を持ち、ADF5を閉めることになる。
【0022】
しかし、例えば図7に示すように、車椅子に乗ったユーザや背の低いユーザは、ADF5が開放された状態では取手部6に手が届かない場合がある。この場合には、ADF5を閉めることができずに、正確なコピーがとれない可能性が高い。
【0023】
そこで、本実施形態のデジタル複写機では、図6に示すように、取手部6に引っ掛けることのできるレバー20を備えている。このレバー20は、図3に示すように、本実施形態のデジタル複写機に備え付けられた収納箱41に収納されている。レバー20を収納する収納箱41をデジタル複写機に設けることにより、外観を向上させ、また、ユーザにレバー20の置き位置を分かり易くしている。このレバー20について、さらに詳細に説明する。
【0024】
図4(a),(b)は、レバー20の外観の一例を示す図である。
レバー20は、引掛け部21と、弾性部材22と、グリップ23とを備えている。ユーザはグリップ23を手で持って、レバー20の先端部にある引掛け部21をADF5の取手部6に引っ掛け、図4中の矢印の方向に引くことでADF5を閉じることができる。
【0025】
グリップ23は、図4に示すように、ユーザが握り易いように環状になっている。また、グリップ23が環状になっていることにより、後述する突起部42にレバー20を吊り下げることを可能としている。
【0026】
このようにレバー20を用いることによって、背の低いユーザや車椅子に乗ったユーザでもADF5の開閉動作が容易に行えるので、操作性が向上することになる。
【0027】
レバー20の先端部にある引掛け部21には、ゴム等の弾性部材22が備えられている。ゴム等の弾性部材は摩擦力が強いので、レバー20先端の引掛け部21が取手部6に引っ掛かりやすくなり、したがって、ユーザの操作性を向上させている。なお、この弾性部材22の材料・材質はゴム等に限定されず、ある程度の摩擦力を有するものであれば、どのようなものでもよい。
【0028】
また、引掛け部21と弾性部材22の大きさは、取手部6の大きさに応じて適宜変更が可能である。ユーザの操作性の観点からすると、引掛け部21の引っ掛ける部分(及び弾性部材22)の大きさと、ADF5から突出している取手部6の突出部分との大きさがほぼ一致するくらいの大きさであることが好ましい。
【0029】
さらに、本実施形態のデジタル複写機では、図5に示すように、収納箱41の代わりに突起部42を設けることとしてもよい。この場合には、レバー20のグリップ23の部分を突起部42に引っ掛けて収納することになる。このようにすれば、突起部42を設けることも容易に行えるので、より一層の低コスト化・省スペース化につながり、安価なデジタル複写機を提供することができる。
【0030】
以上のように、本実施形態のデジタル複写機によれば、先端部分に引掛け部21を有している脱着可能なレバー20を、デジタル複写機本体に備え付けることによって、ADF5を開放するときに、レバー20のグリップ23を手で持ち、引掛け部21を取手部6に引っ掛けてレバー20を引くことで、背の低いユーザや車椅子に乗ったユーザでも、ADF5を閉じることができる。したがって、手が届かない位置にある機器を操作可能にできるので、幅広くユーザに対する操作性を向上させることが可能となる。
【0031】
また、レバー20先端の引掛け部21に、ゴム等の弾性部材22が備えられているので、ADF5の取手部6に引っ掛かりやすくなる。したがって、ユーザの操作性を向上させることが可能となる。
【0032】
このレバー20には、専用の収納箱41が設けられているので、外観の向上と、ユーザにレバー20の置き位置を、分かりやすくしている。また、収納箱41の代わりに、突起部42を設けてレバー20のグリップ23を引っ掛けて収納することで、より一層低コストでレバー20を収納することも可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 画像読み取り装置
2 画像形成部
3 コンタクトガラス
4 排紙部
5 ADF
6 取手部
7 ヒンジ
8 操作部
20 レバー
21 引掛け部
22 弾性部材
23 グリップ
25,26,27,28 給紙トレイ
29 原稿排紙トレイ
30 給紙部
40 用紙搬送部
41 収納箱
42 突起部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開2003−344960号公報
【特許文献2】特開2003−066544号公報
【特許文献3】特開2005−142734号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を読み取る画像読み取り手段に原稿画像を載置する際に、ヒンジの支点軸を中心に回動するように設けられて前記原稿画像を押さえる原稿画像押さえ手段を有する画像形成装置であって、
前記画像形成装置に着脱可能なレバーを備え、
前記原稿画像押さえ手段は取手部を有し、
前記レバーは、
前記原稿画像押さえ手段と前記画像読み取り装置とを前記ヒンジを支点として開閉する際に、前記取手部に引掛けて係合させる引掛け部を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記レバーは、前記引掛け部に連設された柄部と、該柄部に連設され、ユーザが前記レバーを使用するときに握るグリップとを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記引掛け部は、
前記取手部と前記引掛け部とを係合する際に、前記取手部と前記引掛け部とに挟持される弾性部材をさらに有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記レバーを使用しない時に、該レバーを収納することが可能である収納箱を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−191789(P2011−191789A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138347(P2011−138347)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2005−264171(P2005−264171)の分割
【原出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】