画像形成装置
【課題】洗浄効果を向上させる洗浄装置を提供する。
【解決手段】平面を有する洗浄媒体を洗浄対象物に投射し衝突させることで、該洗浄対象物を洗浄する投射手段を有する洗浄装置において、投射手段は、前記洗浄媒体を前記平面と垂直な軸周りに回転させて投射する。具体的には、投射手段は、前記平面の第1領域に該平面の方向に第1速度を与え、前記平面の第2領域に前記方向に第2速度を与える。
【解決手段】平面を有する洗浄媒体を洗浄対象物に投射し衝突させることで、該洗浄対象物を洗浄する投射手段を有する洗浄装置において、投射手段は、前記洗浄媒体を前記平面と垂直な軸周りに回転させて投射する。具体的には、投射手段は、前記平面の第1領域に該平面の方向に第1速度を与え、前記平面の第2領域に前記方向に第2速度を与える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄対象物の付着物を、薄平状の固体の洗浄媒体を用いて除去する洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の使用済みの部品またはユニットは、洗浄され、再利用されている。洗浄とは具体的には、使用済みの部品またはユニットに付着している付着物を除去することである。付着物とは、微粒子粉体であり例えば、トナーである。そして、この洗浄に必要なコストや環境負荷を軽減することが大きな課題となっている。
例えば、水や溶剤を使用した湿式の洗浄方法の場合、付着物を含んだ廃液の処理および洗浄後の乾燥処理のエネルギー消費や環境負荷が大きく、高コストになる。エアブローによる乾式洗浄方法の場合、付着力の強い付着物を十分排除できず、エアブロー後に人手によるウェス拭きなど処理が必要となる。
【0003】
そこで、固体の洗浄媒体を利用した乾式の洗浄装置が提案されている(特許文献1参照)。この洗浄装置は、軽量で投射しやすい薄片状の洗浄媒体を洗浄槽内で高速投射・循環させることで、洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させ、洗浄対象物の付着物を除去するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の洗浄装置は、通常気流を発生させるために、高圧のコンプレッサやブロワを用いるが、高圧のエア(気流)を大量に用いるため、多大なエネルギを必要とする。
一方、エアを用いずに、固体の砥粒を研磨対象物に衝突させる研磨装置が提案されている(特許第3927812号公報 、特開2002−192467号公報、特許第3574593号公報参照)。この研磨装置は、回転する羽根車やベルトによって砥粒に速度を与えて研磨対象物に衝突させることで、研磨対象物を研磨するものである。この研磨装置を用いて、固体の洗浄媒体を洗浄対象物に対して投射し衝突させることで、洗浄対象物の付着物を除去することが考えられる。
しかし、この研磨装置を用いて、薄片状の洗浄媒体を投射しても、距離が離れた洗浄対象物に対しては十分な衝突速度が得られず、十分な洗浄効果が得られないということがわかった。図1にこの研磨装置により投射された洗浄媒体の様子を示す。図1の例では、洗浄媒体は、矩形状の平面10aを有する薄片状のものである。図1に示すように、薄片状の洗浄媒体10の平面10aの面積は、質量に対して大きいため、空気抵抗の影響を大きく受けて急激に減速してしまい、結果として、十分な洗浄効果を得ることができない。
そこで、本発明は、洗浄媒体を投射する洗浄装置において、十分な洗浄効果を得ることができる洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、平面を有する洗浄媒体を洗浄対象物に投射し衝突させることで、該洗浄対象物を洗浄する投射手段を有する洗浄装置において、前記投射手段は、前記洗浄媒体を前記平面と垂直な軸周りに回転させて投射する洗浄装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の洗浄媒体を投射する洗浄装置であれば、十分な洗浄効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】平面を有する洗浄媒体が空気抵抗を受けて投射することを示す図。
【図2】本実施例の原理を示すための図。
【図3】本実施例の原理を示すためのもう1つの図。
【図4】本実施例の洗浄装置を正面からみた断面図。
【図5】本実施例の洗浄装置を側面からみた断面図。
【図6】本実施例の投射手段の拡大図。
【図7】図7(A)は衝突角度θが大きい場合を示す図であり、図7(B)は衝突角度θが小さい場合を示す図である。
【図8】別の実施例の洗浄装置を正面からみた断面図。
【図9】別の実施例の洗浄装置を側面からみた断面図。
【図10】別の実施例の投射手段の拡大図。
【図11】別の実施例の洗浄装置を正面からみた断面図。
【図12】別の実施例の洗浄装置を側面からみた断面図。
【図13】別の実施例の投射手段の拡大図。
【図14】第3駆動回転体の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施例の説明の前に、用語の説明を行う。本実施例の洗浄装置は、平面を有する洗浄媒体を洗浄対象物に投射する、または飛翔させる(以下では、「投射する」という。)ことで、該洗浄対象物を洗浄するいわゆる乾式洗浄を行うものである。平面を有する洗浄媒体とは、例えば、薄片状の洗浄媒体である。洗浄対象物の洗浄とは、洗浄対象物に付着している付着物を除去することである。乾式洗浄とは、洗浄媒体として水や溶剤等の液体を使用せず、常温で固体の薄片状の洗浄媒体を使用して、洗浄対象物を洗浄することを意味する。平面を有する洗浄媒体とは、面積1〜1000mm2、厚み1〜500μm程度の樹脂フィルム、布、紙、金属、セラミクス等の薄片で、矩形、円形、楕円形、三角形、多角形、その他の薄片固体を指す。洗浄媒体の材質や大きさ、厚みは、洗浄対象物の形状や材質、および洗浄対象物へ付着している付着物の性質や付着強度等に応じて適切なものを選択して使用する。また、平面には、多少の凹凸を有する面も含まれるものとする。
例えば、洗浄対象物が傷つきやすい場合は、樹脂フィルム等の柔軟素材で、かつ厚みの薄い洗浄媒体を使用することが好ましい。なぜなら洗浄媒体が撓むので洗浄対象物を傷つけ難いからである。また、塗膜の除去等、強い除去力が必要な場合は、厚みや硬さの大きい洗浄媒体を使用することが好ましい。なぜなら強い除去作用が得られるからである。
洗浄対象物とは、洗浄される対象となる物である。付着物とは、洗浄対象物に付着した塵や粉体である。例えば、洗浄対象物が画像形成装置の部品である場合には、付着物とは、トナーである。
次に、本実施例の洗浄装置の原理について説明する。図2に本実施例の原理を説明するための図を示す。この例では、洗浄媒体20の形状は、薄片矩形状であるとし、2つの平面20a、20bを有し、これら2つの平面20a、20bは平行または略平行である。図2に示すように、平面20aおよび/または平面20bと垂直な軸を軸20eとする。本実施例の洗浄装置の投射手段は、洗浄媒体20を軸20e周りに回転方向Aに回転させて洗浄対象物に投射するものである。図2に示すように、この投射による回転慣性力により投射中の洗浄媒体20の姿勢が安定し、平面20a、20bが受ける空気抵抗を小さくすることができ、洗浄媒体の投射速度はほとんど減少しない。従って、本実施例の洗浄装置は、洗浄対象物に対する洗浄効果を向上させることができる。以下では、図2記載の投射を回転投射と称する。
次に、洗浄媒体20を回転投射させるための手法例を図3に示す。図3では、洗浄媒体20を真上から見た場合を示し、つまり、平面20aのみを示す。本実施例の洗浄装置の投射手段は、例えば、平面20aの第1領域20cに平面20aの方向に沿った方向Xに第1速度αを与え、平面20aの第2領域20dに方向Xと同一方向に第2速度βを与えるものである。図2では、第1領域20c、第2領域20dには、ハッチングを付している。第1領域20bと第2領域20cは共に、洗浄媒体20の縁に近いほど好ましく、第1領域20bと第2領域20cとの距離は大きいほど好ましい。
第1速度αの値、第2速度βの値はそれぞれ異なるものであり、図2の例では、α>βである。第1速度αおよび第2速度βのうち、小さい方の速度(この例では、第2速度β)は、0でもよく、−でもよい。第2速度βが−というのは、方向Xと逆方向(180度逆方向)である。つまり、方向Xに第2速度βを与えるということは、方向Xと逆方向に第2速度βを与えること、および、速度0を与える(つまり、速度を与えない)ことも含むものとする。
換言すると、投射手段は、平面20aの第1領域20cに平面20aの方向に沿った方向Xに第1押出力F1を与え、平面20aの第2領域20dに方向Xに第2押出力F2を与えるものである。F2は、F1と比べて微小であることが好ましいが、F2と反対方向の力であってもよい。また、F2の値は0でもよい。また、平面20aの方向に沿った方向Xとは、平面20aの方向と平行な方向であることを意味する。
また、第2速度βを0にするかまたは方向Xと逆方向に第2速度βを与えるよりも、第2速度β方向Xに対して与えた方が、洗浄媒体20の投射速度は増す。従って、以下では、第1速度α、第2速度βともに方向Xに沿って与えられるとして、説明する。
このようにして、本実施例の洗浄装置の投射手段は、洗浄媒体20を回転投射させることができる。投射手段の構成例については、以下の実施例で説明する。
【実施例1】
【0009】
実施例1の洗浄装置100について説明する。洗浄対象物は洗浄装置100内に固定されて、洗浄される。図4に実施例1の洗浄装置100を洗浄対象物側から見た断面図を示す。以下では、洗浄装置100を洗浄対象物側から見た場合を正面とする。図4において、幅方向をX方向(X軸)とし、奥行き方向をY方向(Y軸)とし、高さ方向をZ方向(Z軸)とする。図5に、図4に示す洗浄装置を右から見た断面図を示す。
【0010】
洗浄槽102は中空形状であり、この例での断面は、底部のテーパを有する六角形の六角柱である。洗浄槽102には、洗浄媒体20、洗浄対象物104、などが収容される。洗浄槽102の上面102aにメッシュ部106および集塵機接続部108を設ける。
ここで、メッシュ部106は小穴を多数有するものである。メッシュ部106は例えば、金網、プラスチック網、メッシュ、パンチメタル板、スリット板、金網等からなる多孔性部材で形成される。この小穴は、気体、粉体状の付着物、所定の体積以下の洗浄媒体20を通過させる。洗浄媒体20は、洗浄対象物に衝突し磨耗や欠けが生じたり、長期使用により弾力性が劣化することで、体積が小さくなる。この小穴を通過した気体、粉体状の付着物、所定の体積以下の洗浄媒体20は、洗浄槽102の外部に排出される。また、この小穴は、所定の体積以上の洗浄媒体20を通過させない。小穴の形状は、円形やスリット状などであればよい。
また、メッシュ部106の上方には、集塵機接続部108が設けられ、該集塵機接続部108は集塵機(図示せず)に接続される。集塵機は、付着物や小さくなった洗浄媒体20を吸引する。
次に、供給手段110(図4、図5では図示せず)について説明する。供給手段110とは、洗浄媒体20を投射手段130に供給するものである。投射手段130については後述する。この例での供給手段110は、第1供給ベルト112と第2供給ベルト114とホッパー116とで構成される。第1供給ベルト112と第2供給ベルト114は共に無端ベルトである。この例では、第1供給ベルト112は、2つのローラ112a、112bに掛け渡されており、第2供給ベルト114は2つのローラ114a、114bに掛け渡されているとする。
この例では、第1供給ベルト112は第2供給ベルト114の上方に配置される。第1供給ベルト112と第2供給ベルト114とは対向して配置される。第2供給ベルト114の奥行き方向(Y方向の)長さが、第1供給ベルト112よりも長い。供給ベルト駆動手段118がローラ112a、112b、114a、114bを回動させることで、第1供給ベルト112と第2供給ベルト114は駆動される。図5の例では、第1供給ベルト112は、時計方向に回転駆動され、第2供給ベルト114は時計と反対方向に回転駆動される。
ホッパー116には、洗浄媒体20が収容される。ホッパー116の下方に設けられた開放口116aから、洗浄媒体20が所定量排出され、第2供給ベルト114上に積載される。第2供給ベルト114が回転駆動されることで、第2供給ベルト114上に積載された洗浄媒体20は第1供給ベルト112と第2供給ベルト114とが対向する空間(以下、「対向空間」という。)まで搬送される。そして、洗浄媒体20は、第1供給ベルト112と第2供給ベルト114とに挟まれて投射手段130まで搬送される。
また、ホッパー116の開放口116aから対向空間までの途中で、規制部材120が設けられる。この規制部材120により、第1回転体132が位置する側に、洗浄媒体20がはみ出すように、第2供給ベルト114の幅方向の洗浄媒体20の位置が規制される。
【0011】
次に投射手段130について説明する。本実施例の投射手段130は、図4中の一点鎖線で示す箇所である。図6に、投射手段130の拡大図を示す。この実施例の投射手段130は、1対の第1回転体132、134、および1対の第2回転体136、138からなる。ここで、回転体とは、回転軸を中心として回転する円柱、円錐、羽根車その他、軸対象形状の回転体を意味し、第1供給ベルト112や第2供給ベルト114などの無端ベルトも意味する。この例では、第1回転体132、134は円柱形状であるとし、第2回転体136、138は無端ベルトであるとする。
第1回転体132、134は、例えばロータであり、それぞれ第1回転軸140、142と一体化されている。第1回転軸140、142の回転により、第1回転体132a、132bは回転される。第1回転軸140、142は、ロータ駆動手段150(図4参照)の駆動により回転される。
【0012】
第2回転体136、138は、それぞれ第1供給ベルト112、第2供給ベルト114の端部112d、114d(図5参照)に相当する。また、第2回転軸144、146の回転により、第2回転体136、138は回転される。つまり第2回転軸144、146はローラ112a、ローラ114aに相当する。
【0013】
次に、投射手段130の投射の手法について説明する。図6に示すように、洗浄媒体20は、第1回転体132の周面、第1回転体134の周面、第2回転体136の周面、第2回転体138の周面に挟まれて、これら4つの回転体の回転により回転投射される。規制手段120の規制により、洗浄媒体20は、これら4つの回転体に適切に挟まれる。また、図3で、第1平面20aには第1領域20c、第2領域20dがあると説明したが、第2平面20b(第1平面20aと平行または略平行である平面)にも第1領域20f、第2領域20gがある。第1領域20fは、第1領域20cと対向する位置にあり、第2領域20gは、第2領域20dと対向する位置にある。
【0014】
そして、第1回転体132の周面は、第1領域20cを圧接し、第1回転体134の周面は、第1領域20fを圧接し、第2回転体136の周面は、第2領域20dを圧接し、第2回転体138の周面は、第2領域20gを圧接する。そして、第1回転体132、第1回転体134、第2回転体136、第2回転体138の回転により、洗浄媒体20に速度が付与され、洗浄媒体20は投射される。
【0015】
つまり、1対の第1回転体132、134で第1領域20c、20fを挟み込み、1対の第2回転体136、138で第2領域20d、20gを挟み込む。
【0016】
ここで、第1回転体132、134のそれぞれの回転速度は同じであり、この回転速度をV1とする。また、第2回転体136、138のそれぞれの回転速度は同じであり、この回転速度をV2とする。第1回転体132の回転速度V1、第2回転体136の回転速度V2は異なるように駆動される。この例では、V1>V2とする。
そうすると、図3に示すように、第1領域20cには、第1速度αが与えられ、第2領域20dには、第2速度βが与えられ、V1>V2であることからα>βになる。従って、図2に示すように、V1とV2の速度差により投射手段130は洗浄媒体20を回転投射させることができる。また、投射手段130は、洗浄媒体20を洗浄対象物104に対して回転投射させることができる。
洗浄対象物104は、保持手段により保持される。ここで、保持手段として、人間が洗浄対象物104を保持してもよいし、保持治具を用いて洗浄対象物104を保持してもよい。また、洗浄対象物104の洗浄中に、該洗浄対象物104の投射手段130に対する向きを適宜変更することで、洗浄対象物104を全体的に洗浄することができる。例えば、洗浄対象物104を所定の速度で回転させるなどすればよい。
そして、洗浄対象物104の洗浄中、または洗浄終了後には、洗浄対象物104と衝突し終わった洗浄媒体20は、洗浄槽102の底に溜まる。この溜まった洗浄媒体20または、新しい洗浄媒体20を、人間がホッパー116に収容してもよいし、落下した洗浄媒体20を自動的にホッパー116に収容してもよい。このようにして、次回の洗浄対象物104の洗浄処理に備える。
また、洗浄対象物104の洗浄媒体20による衝突箇所において、洗浄媒体20の平面20aの方向と洗浄対象物104の衝突する面104aとがなす角度(以下、衝突角度という。)θにより、得られる洗浄効果が異なる。図7に洗浄効果の違いを示す。
図7(A)に示すように、衝突角度θが大きい(例えば、θがπ/2またはこれに近い値)場合について説明する。この場合には、洗浄媒体20のエッジ20hが洗浄対象物104に衝突され、洗浄媒体20と洗浄対象物104との接触面積が小さい。従って、洗浄媒体20が洗浄対象物104へ与える圧力は大きくなり、結果として、洗浄媒体20の衝突力を増すことができる。よって、洗浄対象物104の付着力の強い付着物を排除できる。また、洗浄媒体20は薄片状であるため、洗浄媒体20は撓んで、力が逃げるので洗浄対象物104を傷つけることもない。
また、図7(B)−1に示すように、衝突角度θが小さい(例えば、θ=π/6の場合)、つまり、洗浄媒体20が洗浄対象物104に対して斜めに衝突した場合について説明する。この場合には、図7(B)−2に示すように、洗浄媒体20が洗浄対象物104に対して滑りながら接触移動をする。図7(B)−2では、滑り接触移動と示し、滑り接触移動の方向は上方である。従って、衝突角度θが小さい場合には、洗浄媒体20の一度の衝突で洗浄対象物104の広い面積に接触しながら移動する。従って、洗浄媒体20の掻き取り作用や摺擦作用により、洗浄対象物104の広い範囲での付着物が除去される。
また、上記では、第1回転体134を回転させると説明した。しかし、第1回転体134の回転駆動力がない場合であっても、第1回転体132と第2回転体134とで洗浄媒体20を挟んでいる状態では、第1回転体132の回転の従動により、第2回転体134は回転する。この構成であると、第1回転体134の回転駆動力を削減できる。
【0017】
このように、除去する付着物の特性に応じて、衝突角度θを調整すればよい。衝突角度θの調整は、例えば、洗浄対象物104の投射手段130に対する向きを変えるか、投射手段130の洗浄対象物104に対する向きを変える方向変換手段(図示せず)を用いればよい。方向変換手段による方向変換処理は、人間による操作で行われるようにすれば良い。
【0018】
本実施例の洗浄装置の投射手段130で、洗浄媒体20を回転投射(図2参照)できることから、従来と比較して、洗浄対象物104の洗浄効果を向上させることができる。
また、従来では、洗浄媒体20は平面20aが多大な空気抵抗を受け、図1のように投射されることから、衝突角度θの調節が非常に困難であった。しかし、本実施例の洗浄装置の投射手段130であれば、洗浄媒体20を回転投射させることから、平面20aはほとんど空気抵抗を受けることがないので、衝突角度θを容易に変更できる。
【実施例2】
【0019】
実施例2の洗浄装置200について説明する。図8に、洗浄装置200を正面からみた断面図を示す。図9に、図8に示す洗浄装置を右から見た断面図を示す。
洗浄装置200の洗浄槽は、外筒202、内筒204の二重構造になっている。外筒202、内筒204は共に、ドラム形状(X方向の長さが短い円筒形状)である。内筒204は外筒202に収容される。また、内筒204内には滑り板212、投射手段230などが収容される。
【0020】
図10に示すように、内筒204は、周面204aがメッシュ部となっており、一方の面(洗浄槽側壁)204bには、円形の開口部204dが形成されており、面204bと対向する面204c(洗浄槽側壁)は閉塞されている。メッシュ部については実施例1で説明したメッシュ部106と同様である。上述のように、メッシュ部は、多数の小穴を有する。メッシュ部により、除去された付着物のほか、体積が小さくなった洗浄媒体20を内筒204の外部に排出できる。つまり、メッシュ部は所定以上の体積を有する洗浄媒体20(以下、第1洗浄媒体201という。)と、付着物および所定以下の体積の洗浄媒体20(以下、第2洗浄媒体202という。)と、を分離する分離手段205としての役割を果たす。実施例2の投射手段230は、第1洗浄媒体201を、洗浄対象物104に対して回転投射することで、洗浄対象物104を洗浄する。
【0021】
また、内筒204の洗浄槽側壁204cは、内筒回転軸208と一体化されており、回転軸の回転とともに、内筒204は回転される。内筒回転軸208は、図示しない駆動手段により所定速度で回転される。内筒204の周面204aには一定ピッチで、内側に向かってリブ板214が取付けられる。
【0022】
外筒202の側壁202bには、内筒回転軸208が貫通される貫通孔202cが設けられる。貫通孔202cの径は、内筒回転軸208の径よりも若干大きい。従って、内筒回転軸208は、貫通孔202cにより回転可能に軸支されている。図9の例では、内筒204は時計と反対周りに回転する。
【0023】
また、外筒202の内側に向かって、側壁202bと対向する側壁202dには、(高さの低い)円柱状の凸部202aが設けられる。凸部202aは、洗浄槽側壁204bの開口部204bに勘合される。円柱状の凸部202aの径は、開口部204bの径よりも若干小さい。従って、内筒204は、外筒202内で、回転可能になる。また、開口部204bと凸部202aとの間で生じた空隙には、該空隙から洗浄媒体20が漏れないように、ブラシ等の摺動可能なシール部材212が付される。
【0024】
また、外筒202の上方には流入口220が設けられ、下方には吸引口222が設けられる。吸引口222には、集塵機(図示せず)等が接続される。分離手段205により分離された付着物および第2洗浄媒体202は集塵機により吸引される。また、流入口220からは、気流流入手段(図示せず)により気流が流入される。つまり、流入口220よりの気流の流入、および吸引口222への気流の流出により下方向への気流Bが生成される。
【0025】
投射手段230により投射され洗浄対象物104に衝突された洗浄媒体20、および付着物は、重力および気流Bにより、落下する。落下した洗浄媒体20中の第2洗浄媒体202は、分離手段205により分離され、内筒204から落下され、外筒202の底面に蓄積される。
【0026】
また、隣接するリブ(図9では、例えばリブ2141、2142とする)の間は、第1洗浄媒体201を収容する収容部214aとなる。内筒204は所定速度で回転されていることから、収容部214aに収容された第1洗浄媒体201は、上方に搬送される。そして、ある程度、上方(図9では例えば、γの位置)に搬送されると、気流Bおよび重力により、該搬送された第1洗浄媒体201は下方に落下する。落下した第1洗浄媒体201の一部は滑り板212上に積載される。
滑り板212は、薄板状であり、凸部202aの上面に取付けられる。滑り板212上に積載された第1洗浄媒体201は、滑り板212上を滑り落ちて投射手段230に供給される。該供給が適切に行われるように、滑り板212は取付けられる。つまり、実施例2の供給手段210は、内筒204の回転、隣接するリブ板214により生成された収容部214a、気流B、滑り板212により構成されるものである。また、滑り板212ではなく、ホッパー116(実施例1で説明)を用いてもよい。
【0027】
次に、投射手段230について説明する。実施例2の投射手段230は図8で一点鎖線で囲んだ箇所である。図10に投射手段230の拡大図を示す。投射手段230は、N個の1対の第1回転体132、134と、N個の1対の第2回転体232、234で構成される。ただし、Nは自然数とし、図10の例ではN=4である。第1回転体132、134、第2回転体232、234は共にロータである。図10では、第1回転体にはドットを施し、第2回転体にはドットを施さない。また、投射手段230は、1対の第1回転体と1対の第2回転体が交互に配置されることで構成される。1対の第1回転体と前記1対の第2回転体との合計の幅は、洗浄媒体20と等しく、または略等しくすることが好ましい。
以下では、第1回転体132を第1駆動回転体132とし、第1回転体134を第1従動回転体134とし、第2回転体232を第2従動回転体232とし、第2回転体234を第2駆動回転体234とする。
【0028】
N個の第1駆動回転体132は、第1回転軸240と一体構成されている。従って、第1回転軸240の回転と共にN個の第1駆動回転体132は回転する。
【0029】
N個の第1従動回転体134は、第2回転軸242に回転可能に保持されている。第2回転軸242が回転されたとしても、第1従動回転体134は回転しない。つまり、第1従動回転体134の第2回転軸242が貫通される貫通孔の径は、第2回転軸242の径よりも小さい。
【0030】
図10に示すように、第1駆動回転体132と第1従動回転体134とで洗浄媒体20を挟んだ状態であれば、第1駆動回転体132の回転駆動に従動して、第1従動回転体134は回転する。
【0031】
N個の第2駆動回転体234は、第2回転軸242と一体構成されている。従って、第2回転軸242の回転と共にN個の第2駆動回転体134は回転する。
【0032】
N個の第2従動回転体232は、第1回転軸240に保持されている。第1回転軸240が回転されたとしても、第2従動回転体232は回転しない。つまり、第2従動回転体232の第1回転軸240が貫通される貫通孔の径は、第1回転軸240の径よりも小さい。
図10に示すように、第2駆動回転体234と第2従動回転体232とで洗浄媒体20を挟んだ状態であれば、第2駆動回転体234の回転駆動に従動して、第2従動回転体232は回転する。
【0033】
また、第1回転軸240および第2回転軸242は、ロータ駆動手段250により回転駆動される。ここで、第1回転軸の回転速度V1は第2回転軸の回転速度V2よりも大きい。図10で示した通り、第1駆動回転体132の周面は、第1領域20cを圧接し、第1従動回転体134の周面は、第1領域20fを圧接し、第2従動回転体232の周面は、第2領域20dを圧接し、第2駆動回転体234の周面は、第2領域20gを圧接する。このようにして、第1駆動回転体132、第1従動回転体134、第2従動回転体232、第2駆動回転体234により洗浄媒体20が挟まれた状態であると、第1駆動回転体132、第1従動回転体134は高速回転し、第2従動回転体232、第2駆動回転体234は低速回転することになる。従って、洗浄媒体20は、V1とV2の速度差より、回転投射(図3参照)される。
【0034】
またN=1つまり、1個の第1駆動回転体、第1従動回転体134、第2従動回転体232、第2駆動回転体234で構成してもよい。
【0035】
また図8の例では、保持治具262を有する。保持治具262は、洗浄対象物104を保持する。また、保持治具262は洗浄対象物保持回転手段260に接続されており、洗浄対象物保持回転手段260が保持治具262を所定速度で回転させることで、洗浄対象物104も該所定速度で回転される。従って、洗浄対象物104を全体的に洗浄できる。
【0036】
この実施例2の投射手段230は、複数の第1駆動回転体、第1従動回転体134、第2従動回転体232、第2駆動回転体234を有することから、多数の洗浄媒体20を回転投射することができ、洗浄効果を向上させることができる。
また、上記Nの値は大きいほうが良い。滑り板212上に積載された第1洗浄媒体201が滑り落ちて、投射手段230に供給されやすくなるからである。従って、N個の第1駆動回転体132と第2従動回転体232との合計幅L(図10参照)は、滑り板212の幅と略等しくなるように、Nの値を定めることが好ましい。
【実施例3】
【0037】
実施例3の洗浄装置300について説明する。図11に、洗浄装置300を正面からみた断面図を示す。図12に、図11に示す洗浄装置300を右から見た断面図を示す。洗浄装置300は、洗浄装置200と比較して、投射手段230が投射手段330に代替されている点で異なる。そのほか異なる点は、滑り板212がホッパー116に代替されている点、ローラーフィーダー(材料送り装置)350が設けられている点で異なる。ホッパー116は滑り板212でもよい。また、実施例3の供給手段については実施例2の供給手段210と同様であることから、説明を省略する。
【0038】
ローラーフィーダー350が回転することで、ホッパー116内の洗浄媒体20を投射手段330に対して定量供給できる。ホッパー116を用いるのであれば、ローラーフィーダー350を用いることが好ましい。
【0039】
図13に投射手段330の拡大図を示す。投射手段は1対の第3回転体322、324により構成される。1対の第3回転体のうち、第3回転体322を第3駆動回転体322とし、第3回転体324を第3従動回転体324とする。また、第3駆動回転体322および第3従動回転体324は、円錐または円錐台形の形状をなす。この例では円錐台形であるとする。第3駆動回転体322および第3従動回転体324は同じ形状であるとする。また、第3駆動回転体322および第3従動回転体324の組をN個設けてよい。図13の例ではN=4である。
【0040】
第3駆動回転体322は、回転軸326と一体構成されており、第1回転軸326が回転すると、第3駆動回転体322も回転する。また、第3従動回転体324は、固定軸328に回転可能に保持されている。洗浄媒体20は、第3駆動回転体322の側面322aと第3駆動回転体324の側面324aとで挟まされる。この状態で、第3駆動回転体322が回転されると、第3駆動回転体322の回転に従動して第3従動回転体324は回転する。第3駆動回転体322および第3従動回転体324の回転により、洗浄媒体20は回転投射される。回転投射される理由を詳細に説明する。
図14に第3駆動回転体322の斜視図を示す。図14に示すように、第3駆動回転体322は側面322aを有する。また、第3駆動回転体322の両平面のうち、径の小さい平面322b側の側面を端部側面322dとし、径の大きい平面322d側の側面を基部側面322eとする。また、第3駆動回転体322を回転させると、基部側面322eの回転速度(周速度)V1は、端部側面322dの回転速度(周速度)V2より速くなる。なぜなら、平面322cは、平面322bよりも径が大きいからである。
また、第3従動回転体324は、第3駆動回転体322と同様、側面324a、端部側面324c、基部側面324eを有する。
図13に示すように、第3駆動回転体322の基部側面322eは、第1領域20cを圧接し、第3従動回転体324の基部側面324eは、第1領域20fを圧接し、第3駆動回転体322の端部側面322dは、第2領域20dを圧接し、第3駆動回転体322の端部側面324dは、第2領域20gを圧接する。また、ホッパー116と投射手段330との間に、規制部材(図示せず)を設け、図13に示す圧接をさせるようにすればよい。
この状態で、第3駆動回転体322が回転すると、V1とV2の速度差により洗浄媒体20は回転投射される。また、上述ではN=4として説明したが、また、ホッパー116の代わりに、滑り板212を用いる場合には、第3駆動回転体322の合計幅Lが、滑り板212の幅に近い滑り板212の幅と略等しくなるように、Nの値を定めることが好ましい。滑り板212上に積載された洗浄媒体20が滑り落ちて、投射手段330に供給されやすくなるからである。
また、
[回転体について]
また、実施例1で説明した第1回転体132、134、第2回転体136、138のうち少なくとも1つの回転体は、柔軟性を有することが好ましい。また、実施例2で説明したN個の、第1駆動回転体132、第1従動回転体134、第2従動回転体232、第2駆動回転体234のうち少なくとも1つは柔軟性を有することが好ましい。実施例3で説明したN個の、第3駆動回転体322、第3従動回転体324のうち少なくとも1つは柔軟性を有することが好ましい。
何故なら、供給手段から投射手段に洗浄媒体20が重なることで厚みが増して供給された場合であっても、柔軟性を有する回転体が洗浄媒体20の厚みを吸収する。従って、回転体の回転駆動力が過大にならずに、安定して、洗浄媒体の回転投射を投射手段にさせることができる。
図10では、第1駆動回転体132と第1従動回転体134とが離れ、第2駆動回転体232と第2従動回転体234とが洗浄媒体20の厚み分だけ離れて記載されている。また図13では、第3駆動回転体322と第3従動回転体324が洗浄媒体20の厚み分だけ離れて記載されている。第1駆動回転体132、第2駆動回転体232、第3駆動回転体322をまとめて駆動回転体といい、第1従動回転体134、第2従動回転体234、第3従動回転体324をまとめて従動回転体というと、駆動回転体、従動回転体のうち少なくとも一方が、柔軟性を有する場合には、駆動回転体、従動回転体とは常に接触した状態でよい。駆動回転体、従動回転体が常に接触した状態とすることで、従動回転体の回転速度を安定させ、洗浄媒体20の投射速度および回転速度を速める(安定化させる)ことができる。
[回転軸について]
また、実施例1で説明した第1回転軸140、142、第2回転軸144、第2回転軸146のうち少なくとも1つは可撓性を有することが好ましい。また、実施例2で説明した第1回転軸240、第2回転軸242のうち少なくとも1つは可撓性を有することが好ましい。また、実施例3で説明した第1回転軸326、第2回転軸328のうち少なくとも1つは、可撓性を有することが好ましい。
なぜなら、[回転体について]で説明したものと同様に、供給手段から投射手段に洗浄媒体20が重なることで厚みが増して供給された場合であっても、可撓性を有する回転軸が、洗浄媒体20の厚みを吸収する。従って、回転体の回転駆動力が過大にならずに、安定して、洗浄媒体の回転投射を投射手段にさせることができる。
また、第2領域20d、20gに速度を与えない場合には、第2回転体136、第2回転体138(図6参照)、第2駆動回転体(図10参照)は回転させる必要はなく、第2領域20d、20gを圧接するのみでよい。また、第2領域20d、20gを圧接するものであれば、回転体ではなく、単に圧接部材でもよい。
また、第2領域20d、20gにマイナスの速度を与える場合には、第2回転体136、第2回転体138(図6参照)、第2駆動回転体(図10参照)をそれぞれ第1回転体132、第1回転体134、1駆動回転体を逆回転させればよい。
また、実施例1〜3説明した供給手段110、210の他に投射手段に洗浄媒体20を供給することができるのであれば、他の供給手段を用いても良い。また、実施例1〜3で説明した投射手段130、230、330の他に、洗浄媒体を回転投射させることができるのであれば、他の投射手段を用いても良い。供給手段110、210と投射手段130、230、330の組み合わせにおいて、実施例1〜3で説明した組み合わせ以外の組み合わせを用いてもよい。
【符号の説明】
【0041】
20・・・洗浄媒体
102・・・洗浄槽
104・・・洗浄対象物
106・・・メッシュ部
108・・・集塵機接続口
110・・・供給手段
112・・・第1供給ベルト
114・・・第2供給ベルト
116・・・ホッパー
118・・・供給ベルト駆動手段
120・・・規制部材
130・・・投射手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特開2007−029945号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄対象物の付着物を、薄平状の固体の洗浄媒体を用いて除去する洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の使用済みの部品またはユニットは、洗浄され、再利用されている。洗浄とは具体的には、使用済みの部品またはユニットに付着している付着物を除去することである。付着物とは、微粒子粉体であり例えば、トナーである。そして、この洗浄に必要なコストや環境負荷を軽減することが大きな課題となっている。
例えば、水や溶剤を使用した湿式の洗浄方法の場合、付着物を含んだ廃液の処理および洗浄後の乾燥処理のエネルギー消費や環境負荷が大きく、高コストになる。エアブローによる乾式洗浄方法の場合、付着力の強い付着物を十分排除できず、エアブロー後に人手によるウェス拭きなど処理が必要となる。
【0003】
そこで、固体の洗浄媒体を利用した乾式の洗浄装置が提案されている(特許文献1参照)。この洗浄装置は、軽量で投射しやすい薄片状の洗浄媒体を洗浄槽内で高速投射・循環させることで、洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させ、洗浄対象物の付着物を除去するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の洗浄装置は、通常気流を発生させるために、高圧のコンプレッサやブロワを用いるが、高圧のエア(気流)を大量に用いるため、多大なエネルギを必要とする。
一方、エアを用いずに、固体の砥粒を研磨対象物に衝突させる研磨装置が提案されている(特許第3927812号公報 、特開2002−192467号公報、特許第3574593号公報参照)。この研磨装置は、回転する羽根車やベルトによって砥粒に速度を与えて研磨対象物に衝突させることで、研磨対象物を研磨するものである。この研磨装置を用いて、固体の洗浄媒体を洗浄対象物に対して投射し衝突させることで、洗浄対象物の付着物を除去することが考えられる。
しかし、この研磨装置を用いて、薄片状の洗浄媒体を投射しても、距離が離れた洗浄対象物に対しては十分な衝突速度が得られず、十分な洗浄効果が得られないということがわかった。図1にこの研磨装置により投射された洗浄媒体の様子を示す。図1の例では、洗浄媒体は、矩形状の平面10aを有する薄片状のものである。図1に示すように、薄片状の洗浄媒体10の平面10aの面積は、質量に対して大きいため、空気抵抗の影響を大きく受けて急激に減速してしまい、結果として、十分な洗浄効果を得ることができない。
そこで、本発明は、洗浄媒体を投射する洗浄装置において、十分な洗浄効果を得ることができる洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、平面を有する洗浄媒体を洗浄対象物に投射し衝突させることで、該洗浄対象物を洗浄する投射手段を有する洗浄装置において、前記投射手段は、前記洗浄媒体を前記平面と垂直な軸周りに回転させて投射する洗浄装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の洗浄媒体を投射する洗浄装置であれば、十分な洗浄効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】平面を有する洗浄媒体が空気抵抗を受けて投射することを示す図。
【図2】本実施例の原理を示すための図。
【図3】本実施例の原理を示すためのもう1つの図。
【図4】本実施例の洗浄装置を正面からみた断面図。
【図5】本実施例の洗浄装置を側面からみた断面図。
【図6】本実施例の投射手段の拡大図。
【図7】図7(A)は衝突角度θが大きい場合を示す図であり、図7(B)は衝突角度θが小さい場合を示す図である。
【図8】別の実施例の洗浄装置を正面からみた断面図。
【図9】別の実施例の洗浄装置を側面からみた断面図。
【図10】別の実施例の投射手段の拡大図。
【図11】別の実施例の洗浄装置を正面からみた断面図。
【図12】別の実施例の洗浄装置を側面からみた断面図。
【図13】別の実施例の投射手段の拡大図。
【図14】第3駆動回転体の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施例の説明の前に、用語の説明を行う。本実施例の洗浄装置は、平面を有する洗浄媒体を洗浄対象物に投射する、または飛翔させる(以下では、「投射する」という。)ことで、該洗浄対象物を洗浄するいわゆる乾式洗浄を行うものである。平面を有する洗浄媒体とは、例えば、薄片状の洗浄媒体である。洗浄対象物の洗浄とは、洗浄対象物に付着している付着物を除去することである。乾式洗浄とは、洗浄媒体として水や溶剤等の液体を使用せず、常温で固体の薄片状の洗浄媒体を使用して、洗浄対象物を洗浄することを意味する。平面を有する洗浄媒体とは、面積1〜1000mm2、厚み1〜500μm程度の樹脂フィルム、布、紙、金属、セラミクス等の薄片で、矩形、円形、楕円形、三角形、多角形、その他の薄片固体を指す。洗浄媒体の材質や大きさ、厚みは、洗浄対象物の形状や材質、および洗浄対象物へ付着している付着物の性質や付着強度等に応じて適切なものを選択して使用する。また、平面には、多少の凹凸を有する面も含まれるものとする。
例えば、洗浄対象物が傷つきやすい場合は、樹脂フィルム等の柔軟素材で、かつ厚みの薄い洗浄媒体を使用することが好ましい。なぜなら洗浄媒体が撓むので洗浄対象物を傷つけ難いからである。また、塗膜の除去等、強い除去力が必要な場合は、厚みや硬さの大きい洗浄媒体を使用することが好ましい。なぜなら強い除去作用が得られるからである。
洗浄対象物とは、洗浄される対象となる物である。付着物とは、洗浄対象物に付着した塵や粉体である。例えば、洗浄対象物が画像形成装置の部品である場合には、付着物とは、トナーである。
次に、本実施例の洗浄装置の原理について説明する。図2に本実施例の原理を説明するための図を示す。この例では、洗浄媒体20の形状は、薄片矩形状であるとし、2つの平面20a、20bを有し、これら2つの平面20a、20bは平行または略平行である。図2に示すように、平面20aおよび/または平面20bと垂直な軸を軸20eとする。本実施例の洗浄装置の投射手段は、洗浄媒体20を軸20e周りに回転方向Aに回転させて洗浄対象物に投射するものである。図2に示すように、この投射による回転慣性力により投射中の洗浄媒体20の姿勢が安定し、平面20a、20bが受ける空気抵抗を小さくすることができ、洗浄媒体の投射速度はほとんど減少しない。従って、本実施例の洗浄装置は、洗浄対象物に対する洗浄効果を向上させることができる。以下では、図2記載の投射を回転投射と称する。
次に、洗浄媒体20を回転投射させるための手法例を図3に示す。図3では、洗浄媒体20を真上から見た場合を示し、つまり、平面20aのみを示す。本実施例の洗浄装置の投射手段は、例えば、平面20aの第1領域20cに平面20aの方向に沿った方向Xに第1速度αを与え、平面20aの第2領域20dに方向Xと同一方向に第2速度βを与えるものである。図2では、第1領域20c、第2領域20dには、ハッチングを付している。第1領域20bと第2領域20cは共に、洗浄媒体20の縁に近いほど好ましく、第1領域20bと第2領域20cとの距離は大きいほど好ましい。
第1速度αの値、第2速度βの値はそれぞれ異なるものであり、図2の例では、α>βである。第1速度αおよび第2速度βのうち、小さい方の速度(この例では、第2速度β)は、0でもよく、−でもよい。第2速度βが−というのは、方向Xと逆方向(180度逆方向)である。つまり、方向Xに第2速度βを与えるということは、方向Xと逆方向に第2速度βを与えること、および、速度0を与える(つまり、速度を与えない)ことも含むものとする。
換言すると、投射手段は、平面20aの第1領域20cに平面20aの方向に沿った方向Xに第1押出力F1を与え、平面20aの第2領域20dに方向Xに第2押出力F2を与えるものである。F2は、F1と比べて微小であることが好ましいが、F2と反対方向の力であってもよい。また、F2の値は0でもよい。また、平面20aの方向に沿った方向Xとは、平面20aの方向と平行な方向であることを意味する。
また、第2速度βを0にするかまたは方向Xと逆方向に第2速度βを与えるよりも、第2速度β方向Xに対して与えた方が、洗浄媒体20の投射速度は増す。従って、以下では、第1速度α、第2速度βともに方向Xに沿って与えられるとして、説明する。
このようにして、本実施例の洗浄装置の投射手段は、洗浄媒体20を回転投射させることができる。投射手段の構成例については、以下の実施例で説明する。
【実施例1】
【0009】
実施例1の洗浄装置100について説明する。洗浄対象物は洗浄装置100内に固定されて、洗浄される。図4に実施例1の洗浄装置100を洗浄対象物側から見た断面図を示す。以下では、洗浄装置100を洗浄対象物側から見た場合を正面とする。図4において、幅方向をX方向(X軸)とし、奥行き方向をY方向(Y軸)とし、高さ方向をZ方向(Z軸)とする。図5に、図4に示す洗浄装置を右から見た断面図を示す。
【0010】
洗浄槽102は中空形状であり、この例での断面は、底部のテーパを有する六角形の六角柱である。洗浄槽102には、洗浄媒体20、洗浄対象物104、などが収容される。洗浄槽102の上面102aにメッシュ部106および集塵機接続部108を設ける。
ここで、メッシュ部106は小穴を多数有するものである。メッシュ部106は例えば、金網、プラスチック網、メッシュ、パンチメタル板、スリット板、金網等からなる多孔性部材で形成される。この小穴は、気体、粉体状の付着物、所定の体積以下の洗浄媒体20を通過させる。洗浄媒体20は、洗浄対象物に衝突し磨耗や欠けが生じたり、長期使用により弾力性が劣化することで、体積が小さくなる。この小穴を通過した気体、粉体状の付着物、所定の体積以下の洗浄媒体20は、洗浄槽102の外部に排出される。また、この小穴は、所定の体積以上の洗浄媒体20を通過させない。小穴の形状は、円形やスリット状などであればよい。
また、メッシュ部106の上方には、集塵機接続部108が設けられ、該集塵機接続部108は集塵機(図示せず)に接続される。集塵機は、付着物や小さくなった洗浄媒体20を吸引する。
次に、供給手段110(図4、図5では図示せず)について説明する。供給手段110とは、洗浄媒体20を投射手段130に供給するものである。投射手段130については後述する。この例での供給手段110は、第1供給ベルト112と第2供給ベルト114とホッパー116とで構成される。第1供給ベルト112と第2供給ベルト114は共に無端ベルトである。この例では、第1供給ベルト112は、2つのローラ112a、112bに掛け渡されており、第2供給ベルト114は2つのローラ114a、114bに掛け渡されているとする。
この例では、第1供給ベルト112は第2供給ベルト114の上方に配置される。第1供給ベルト112と第2供給ベルト114とは対向して配置される。第2供給ベルト114の奥行き方向(Y方向の)長さが、第1供給ベルト112よりも長い。供給ベルト駆動手段118がローラ112a、112b、114a、114bを回動させることで、第1供給ベルト112と第2供給ベルト114は駆動される。図5の例では、第1供給ベルト112は、時計方向に回転駆動され、第2供給ベルト114は時計と反対方向に回転駆動される。
ホッパー116には、洗浄媒体20が収容される。ホッパー116の下方に設けられた開放口116aから、洗浄媒体20が所定量排出され、第2供給ベルト114上に積載される。第2供給ベルト114が回転駆動されることで、第2供給ベルト114上に積載された洗浄媒体20は第1供給ベルト112と第2供給ベルト114とが対向する空間(以下、「対向空間」という。)まで搬送される。そして、洗浄媒体20は、第1供給ベルト112と第2供給ベルト114とに挟まれて投射手段130まで搬送される。
また、ホッパー116の開放口116aから対向空間までの途中で、規制部材120が設けられる。この規制部材120により、第1回転体132が位置する側に、洗浄媒体20がはみ出すように、第2供給ベルト114の幅方向の洗浄媒体20の位置が規制される。
【0011】
次に投射手段130について説明する。本実施例の投射手段130は、図4中の一点鎖線で示す箇所である。図6に、投射手段130の拡大図を示す。この実施例の投射手段130は、1対の第1回転体132、134、および1対の第2回転体136、138からなる。ここで、回転体とは、回転軸を中心として回転する円柱、円錐、羽根車その他、軸対象形状の回転体を意味し、第1供給ベルト112や第2供給ベルト114などの無端ベルトも意味する。この例では、第1回転体132、134は円柱形状であるとし、第2回転体136、138は無端ベルトであるとする。
第1回転体132、134は、例えばロータであり、それぞれ第1回転軸140、142と一体化されている。第1回転軸140、142の回転により、第1回転体132a、132bは回転される。第1回転軸140、142は、ロータ駆動手段150(図4参照)の駆動により回転される。
【0012】
第2回転体136、138は、それぞれ第1供給ベルト112、第2供給ベルト114の端部112d、114d(図5参照)に相当する。また、第2回転軸144、146の回転により、第2回転体136、138は回転される。つまり第2回転軸144、146はローラ112a、ローラ114aに相当する。
【0013】
次に、投射手段130の投射の手法について説明する。図6に示すように、洗浄媒体20は、第1回転体132の周面、第1回転体134の周面、第2回転体136の周面、第2回転体138の周面に挟まれて、これら4つの回転体の回転により回転投射される。規制手段120の規制により、洗浄媒体20は、これら4つの回転体に適切に挟まれる。また、図3で、第1平面20aには第1領域20c、第2領域20dがあると説明したが、第2平面20b(第1平面20aと平行または略平行である平面)にも第1領域20f、第2領域20gがある。第1領域20fは、第1領域20cと対向する位置にあり、第2領域20gは、第2領域20dと対向する位置にある。
【0014】
そして、第1回転体132の周面は、第1領域20cを圧接し、第1回転体134の周面は、第1領域20fを圧接し、第2回転体136の周面は、第2領域20dを圧接し、第2回転体138の周面は、第2領域20gを圧接する。そして、第1回転体132、第1回転体134、第2回転体136、第2回転体138の回転により、洗浄媒体20に速度が付与され、洗浄媒体20は投射される。
【0015】
つまり、1対の第1回転体132、134で第1領域20c、20fを挟み込み、1対の第2回転体136、138で第2領域20d、20gを挟み込む。
【0016】
ここで、第1回転体132、134のそれぞれの回転速度は同じであり、この回転速度をV1とする。また、第2回転体136、138のそれぞれの回転速度は同じであり、この回転速度をV2とする。第1回転体132の回転速度V1、第2回転体136の回転速度V2は異なるように駆動される。この例では、V1>V2とする。
そうすると、図3に示すように、第1領域20cには、第1速度αが与えられ、第2領域20dには、第2速度βが与えられ、V1>V2であることからα>βになる。従って、図2に示すように、V1とV2の速度差により投射手段130は洗浄媒体20を回転投射させることができる。また、投射手段130は、洗浄媒体20を洗浄対象物104に対して回転投射させることができる。
洗浄対象物104は、保持手段により保持される。ここで、保持手段として、人間が洗浄対象物104を保持してもよいし、保持治具を用いて洗浄対象物104を保持してもよい。また、洗浄対象物104の洗浄中に、該洗浄対象物104の投射手段130に対する向きを適宜変更することで、洗浄対象物104を全体的に洗浄することができる。例えば、洗浄対象物104を所定の速度で回転させるなどすればよい。
そして、洗浄対象物104の洗浄中、または洗浄終了後には、洗浄対象物104と衝突し終わった洗浄媒体20は、洗浄槽102の底に溜まる。この溜まった洗浄媒体20または、新しい洗浄媒体20を、人間がホッパー116に収容してもよいし、落下した洗浄媒体20を自動的にホッパー116に収容してもよい。このようにして、次回の洗浄対象物104の洗浄処理に備える。
また、洗浄対象物104の洗浄媒体20による衝突箇所において、洗浄媒体20の平面20aの方向と洗浄対象物104の衝突する面104aとがなす角度(以下、衝突角度という。)θにより、得られる洗浄効果が異なる。図7に洗浄効果の違いを示す。
図7(A)に示すように、衝突角度θが大きい(例えば、θがπ/2またはこれに近い値)場合について説明する。この場合には、洗浄媒体20のエッジ20hが洗浄対象物104に衝突され、洗浄媒体20と洗浄対象物104との接触面積が小さい。従って、洗浄媒体20が洗浄対象物104へ与える圧力は大きくなり、結果として、洗浄媒体20の衝突力を増すことができる。よって、洗浄対象物104の付着力の強い付着物を排除できる。また、洗浄媒体20は薄片状であるため、洗浄媒体20は撓んで、力が逃げるので洗浄対象物104を傷つけることもない。
また、図7(B)−1に示すように、衝突角度θが小さい(例えば、θ=π/6の場合)、つまり、洗浄媒体20が洗浄対象物104に対して斜めに衝突した場合について説明する。この場合には、図7(B)−2に示すように、洗浄媒体20が洗浄対象物104に対して滑りながら接触移動をする。図7(B)−2では、滑り接触移動と示し、滑り接触移動の方向は上方である。従って、衝突角度θが小さい場合には、洗浄媒体20の一度の衝突で洗浄対象物104の広い面積に接触しながら移動する。従って、洗浄媒体20の掻き取り作用や摺擦作用により、洗浄対象物104の広い範囲での付着物が除去される。
また、上記では、第1回転体134を回転させると説明した。しかし、第1回転体134の回転駆動力がない場合であっても、第1回転体132と第2回転体134とで洗浄媒体20を挟んでいる状態では、第1回転体132の回転の従動により、第2回転体134は回転する。この構成であると、第1回転体134の回転駆動力を削減できる。
【0017】
このように、除去する付着物の特性に応じて、衝突角度θを調整すればよい。衝突角度θの調整は、例えば、洗浄対象物104の投射手段130に対する向きを変えるか、投射手段130の洗浄対象物104に対する向きを変える方向変換手段(図示せず)を用いればよい。方向変換手段による方向変換処理は、人間による操作で行われるようにすれば良い。
【0018】
本実施例の洗浄装置の投射手段130で、洗浄媒体20を回転投射(図2参照)できることから、従来と比較して、洗浄対象物104の洗浄効果を向上させることができる。
また、従来では、洗浄媒体20は平面20aが多大な空気抵抗を受け、図1のように投射されることから、衝突角度θの調節が非常に困難であった。しかし、本実施例の洗浄装置の投射手段130であれば、洗浄媒体20を回転投射させることから、平面20aはほとんど空気抵抗を受けることがないので、衝突角度θを容易に変更できる。
【実施例2】
【0019】
実施例2の洗浄装置200について説明する。図8に、洗浄装置200を正面からみた断面図を示す。図9に、図8に示す洗浄装置を右から見た断面図を示す。
洗浄装置200の洗浄槽は、外筒202、内筒204の二重構造になっている。外筒202、内筒204は共に、ドラム形状(X方向の長さが短い円筒形状)である。内筒204は外筒202に収容される。また、内筒204内には滑り板212、投射手段230などが収容される。
【0020】
図10に示すように、内筒204は、周面204aがメッシュ部となっており、一方の面(洗浄槽側壁)204bには、円形の開口部204dが形成されており、面204bと対向する面204c(洗浄槽側壁)は閉塞されている。メッシュ部については実施例1で説明したメッシュ部106と同様である。上述のように、メッシュ部は、多数の小穴を有する。メッシュ部により、除去された付着物のほか、体積が小さくなった洗浄媒体20を内筒204の外部に排出できる。つまり、メッシュ部は所定以上の体積を有する洗浄媒体20(以下、第1洗浄媒体201という。)と、付着物および所定以下の体積の洗浄媒体20(以下、第2洗浄媒体202という。)と、を分離する分離手段205としての役割を果たす。実施例2の投射手段230は、第1洗浄媒体201を、洗浄対象物104に対して回転投射することで、洗浄対象物104を洗浄する。
【0021】
また、内筒204の洗浄槽側壁204cは、内筒回転軸208と一体化されており、回転軸の回転とともに、内筒204は回転される。内筒回転軸208は、図示しない駆動手段により所定速度で回転される。内筒204の周面204aには一定ピッチで、内側に向かってリブ板214が取付けられる。
【0022】
外筒202の側壁202bには、内筒回転軸208が貫通される貫通孔202cが設けられる。貫通孔202cの径は、内筒回転軸208の径よりも若干大きい。従って、内筒回転軸208は、貫通孔202cにより回転可能に軸支されている。図9の例では、内筒204は時計と反対周りに回転する。
【0023】
また、外筒202の内側に向かって、側壁202bと対向する側壁202dには、(高さの低い)円柱状の凸部202aが設けられる。凸部202aは、洗浄槽側壁204bの開口部204bに勘合される。円柱状の凸部202aの径は、開口部204bの径よりも若干小さい。従って、内筒204は、外筒202内で、回転可能になる。また、開口部204bと凸部202aとの間で生じた空隙には、該空隙から洗浄媒体20が漏れないように、ブラシ等の摺動可能なシール部材212が付される。
【0024】
また、外筒202の上方には流入口220が設けられ、下方には吸引口222が設けられる。吸引口222には、集塵機(図示せず)等が接続される。分離手段205により分離された付着物および第2洗浄媒体202は集塵機により吸引される。また、流入口220からは、気流流入手段(図示せず)により気流が流入される。つまり、流入口220よりの気流の流入、および吸引口222への気流の流出により下方向への気流Bが生成される。
【0025】
投射手段230により投射され洗浄対象物104に衝突された洗浄媒体20、および付着物は、重力および気流Bにより、落下する。落下した洗浄媒体20中の第2洗浄媒体202は、分離手段205により分離され、内筒204から落下され、外筒202の底面に蓄積される。
【0026】
また、隣接するリブ(図9では、例えばリブ2141、2142とする)の間は、第1洗浄媒体201を収容する収容部214aとなる。内筒204は所定速度で回転されていることから、収容部214aに収容された第1洗浄媒体201は、上方に搬送される。そして、ある程度、上方(図9では例えば、γの位置)に搬送されると、気流Bおよび重力により、該搬送された第1洗浄媒体201は下方に落下する。落下した第1洗浄媒体201の一部は滑り板212上に積載される。
滑り板212は、薄板状であり、凸部202aの上面に取付けられる。滑り板212上に積載された第1洗浄媒体201は、滑り板212上を滑り落ちて投射手段230に供給される。該供給が適切に行われるように、滑り板212は取付けられる。つまり、実施例2の供給手段210は、内筒204の回転、隣接するリブ板214により生成された収容部214a、気流B、滑り板212により構成されるものである。また、滑り板212ではなく、ホッパー116(実施例1で説明)を用いてもよい。
【0027】
次に、投射手段230について説明する。実施例2の投射手段230は図8で一点鎖線で囲んだ箇所である。図10に投射手段230の拡大図を示す。投射手段230は、N個の1対の第1回転体132、134と、N個の1対の第2回転体232、234で構成される。ただし、Nは自然数とし、図10の例ではN=4である。第1回転体132、134、第2回転体232、234は共にロータである。図10では、第1回転体にはドットを施し、第2回転体にはドットを施さない。また、投射手段230は、1対の第1回転体と1対の第2回転体が交互に配置されることで構成される。1対の第1回転体と前記1対の第2回転体との合計の幅は、洗浄媒体20と等しく、または略等しくすることが好ましい。
以下では、第1回転体132を第1駆動回転体132とし、第1回転体134を第1従動回転体134とし、第2回転体232を第2従動回転体232とし、第2回転体234を第2駆動回転体234とする。
【0028】
N個の第1駆動回転体132は、第1回転軸240と一体構成されている。従って、第1回転軸240の回転と共にN個の第1駆動回転体132は回転する。
【0029】
N個の第1従動回転体134は、第2回転軸242に回転可能に保持されている。第2回転軸242が回転されたとしても、第1従動回転体134は回転しない。つまり、第1従動回転体134の第2回転軸242が貫通される貫通孔の径は、第2回転軸242の径よりも小さい。
【0030】
図10に示すように、第1駆動回転体132と第1従動回転体134とで洗浄媒体20を挟んだ状態であれば、第1駆動回転体132の回転駆動に従動して、第1従動回転体134は回転する。
【0031】
N個の第2駆動回転体234は、第2回転軸242と一体構成されている。従って、第2回転軸242の回転と共にN個の第2駆動回転体134は回転する。
【0032】
N個の第2従動回転体232は、第1回転軸240に保持されている。第1回転軸240が回転されたとしても、第2従動回転体232は回転しない。つまり、第2従動回転体232の第1回転軸240が貫通される貫通孔の径は、第1回転軸240の径よりも小さい。
図10に示すように、第2駆動回転体234と第2従動回転体232とで洗浄媒体20を挟んだ状態であれば、第2駆動回転体234の回転駆動に従動して、第2従動回転体232は回転する。
【0033】
また、第1回転軸240および第2回転軸242は、ロータ駆動手段250により回転駆動される。ここで、第1回転軸の回転速度V1は第2回転軸の回転速度V2よりも大きい。図10で示した通り、第1駆動回転体132の周面は、第1領域20cを圧接し、第1従動回転体134の周面は、第1領域20fを圧接し、第2従動回転体232の周面は、第2領域20dを圧接し、第2駆動回転体234の周面は、第2領域20gを圧接する。このようにして、第1駆動回転体132、第1従動回転体134、第2従動回転体232、第2駆動回転体234により洗浄媒体20が挟まれた状態であると、第1駆動回転体132、第1従動回転体134は高速回転し、第2従動回転体232、第2駆動回転体234は低速回転することになる。従って、洗浄媒体20は、V1とV2の速度差より、回転投射(図3参照)される。
【0034】
またN=1つまり、1個の第1駆動回転体、第1従動回転体134、第2従動回転体232、第2駆動回転体234で構成してもよい。
【0035】
また図8の例では、保持治具262を有する。保持治具262は、洗浄対象物104を保持する。また、保持治具262は洗浄対象物保持回転手段260に接続されており、洗浄対象物保持回転手段260が保持治具262を所定速度で回転させることで、洗浄対象物104も該所定速度で回転される。従って、洗浄対象物104を全体的に洗浄できる。
【0036】
この実施例2の投射手段230は、複数の第1駆動回転体、第1従動回転体134、第2従動回転体232、第2駆動回転体234を有することから、多数の洗浄媒体20を回転投射することができ、洗浄効果を向上させることができる。
また、上記Nの値は大きいほうが良い。滑り板212上に積載された第1洗浄媒体201が滑り落ちて、投射手段230に供給されやすくなるからである。従って、N個の第1駆動回転体132と第2従動回転体232との合計幅L(図10参照)は、滑り板212の幅と略等しくなるように、Nの値を定めることが好ましい。
【実施例3】
【0037】
実施例3の洗浄装置300について説明する。図11に、洗浄装置300を正面からみた断面図を示す。図12に、図11に示す洗浄装置300を右から見た断面図を示す。洗浄装置300は、洗浄装置200と比較して、投射手段230が投射手段330に代替されている点で異なる。そのほか異なる点は、滑り板212がホッパー116に代替されている点、ローラーフィーダー(材料送り装置)350が設けられている点で異なる。ホッパー116は滑り板212でもよい。また、実施例3の供給手段については実施例2の供給手段210と同様であることから、説明を省略する。
【0038】
ローラーフィーダー350が回転することで、ホッパー116内の洗浄媒体20を投射手段330に対して定量供給できる。ホッパー116を用いるのであれば、ローラーフィーダー350を用いることが好ましい。
【0039】
図13に投射手段330の拡大図を示す。投射手段は1対の第3回転体322、324により構成される。1対の第3回転体のうち、第3回転体322を第3駆動回転体322とし、第3回転体324を第3従動回転体324とする。また、第3駆動回転体322および第3従動回転体324は、円錐または円錐台形の形状をなす。この例では円錐台形であるとする。第3駆動回転体322および第3従動回転体324は同じ形状であるとする。また、第3駆動回転体322および第3従動回転体324の組をN個設けてよい。図13の例ではN=4である。
【0040】
第3駆動回転体322は、回転軸326と一体構成されており、第1回転軸326が回転すると、第3駆動回転体322も回転する。また、第3従動回転体324は、固定軸328に回転可能に保持されている。洗浄媒体20は、第3駆動回転体322の側面322aと第3駆動回転体324の側面324aとで挟まされる。この状態で、第3駆動回転体322が回転されると、第3駆動回転体322の回転に従動して第3従動回転体324は回転する。第3駆動回転体322および第3従動回転体324の回転により、洗浄媒体20は回転投射される。回転投射される理由を詳細に説明する。
図14に第3駆動回転体322の斜視図を示す。図14に示すように、第3駆動回転体322は側面322aを有する。また、第3駆動回転体322の両平面のうち、径の小さい平面322b側の側面を端部側面322dとし、径の大きい平面322d側の側面を基部側面322eとする。また、第3駆動回転体322を回転させると、基部側面322eの回転速度(周速度)V1は、端部側面322dの回転速度(周速度)V2より速くなる。なぜなら、平面322cは、平面322bよりも径が大きいからである。
また、第3従動回転体324は、第3駆動回転体322と同様、側面324a、端部側面324c、基部側面324eを有する。
図13に示すように、第3駆動回転体322の基部側面322eは、第1領域20cを圧接し、第3従動回転体324の基部側面324eは、第1領域20fを圧接し、第3駆動回転体322の端部側面322dは、第2領域20dを圧接し、第3駆動回転体322の端部側面324dは、第2領域20gを圧接する。また、ホッパー116と投射手段330との間に、規制部材(図示せず)を設け、図13に示す圧接をさせるようにすればよい。
この状態で、第3駆動回転体322が回転すると、V1とV2の速度差により洗浄媒体20は回転投射される。また、上述ではN=4として説明したが、また、ホッパー116の代わりに、滑り板212を用いる場合には、第3駆動回転体322の合計幅Lが、滑り板212の幅に近い滑り板212の幅と略等しくなるように、Nの値を定めることが好ましい。滑り板212上に積載された洗浄媒体20が滑り落ちて、投射手段330に供給されやすくなるからである。
また、
[回転体について]
また、実施例1で説明した第1回転体132、134、第2回転体136、138のうち少なくとも1つの回転体は、柔軟性を有することが好ましい。また、実施例2で説明したN個の、第1駆動回転体132、第1従動回転体134、第2従動回転体232、第2駆動回転体234のうち少なくとも1つは柔軟性を有することが好ましい。実施例3で説明したN個の、第3駆動回転体322、第3従動回転体324のうち少なくとも1つは柔軟性を有することが好ましい。
何故なら、供給手段から投射手段に洗浄媒体20が重なることで厚みが増して供給された場合であっても、柔軟性を有する回転体が洗浄媒体20の厚みを吸収する。従って、回転体の回転駆動力が過大にならずに、安定して、洗浄媒体の回転投射を投射手段にさせることができる。
図10では、第1駆動回転体132と第1従動回転体134とが離れ、第2駆動回転体232と第2従動回転体234とが洗浄媒体20の厚み分だけ離れて記載されている。また図13では、第3駆動回転体322と第3従動回転体324が洗浄媒体20の厚み分だけ離れて記載されている。第1駆動回転体132、第2駆動回転体232、第3駆動回転体322をまとめて駆動回転体といい、第1従動回転体134、第2従動回転体234、第3従動回転体324をまとめて従動回転体というと、駆動回転体、従動回転体のうち少なくとも一方が、柔軟性を有する場合には、駆動回転体、従動回転体とは常に接触した状態でよい。駆動回転体、従動回転体が常に接触した状態とすることで、従動回転体の回転速度を安定させ、洗浄媒体20の投射速度および回転速度を速める(安定化させる)ことができる。
[回転軸について]
また、実施例1で説明した第1回転軸140、142、第2回転軸144、第2回転軸146のうち少なくとも1つは可撓性を有することが好ましい。また、実施例2で説明した第1回転軸240、第2回転軸242のうち少なくとも1つは可撓性を有することが好ましい。また、実施例3で説明した第1回転軸326、第2回転軸328のうち少なくとも1つは、可撓性を有することが好ましい。
なぜなら、[回転体について]で説明したものと同様に、供給手段から投射手段に洗浄媒体20が重なることで厚みが増して供給された場合であっても、可撓性を有する回転軸が、洗浄媒体20の厚みを吸収する。従って、回転体の回転駆動力が過大にならずに、安定して、洗浄媒体の回転投射を投射手段にさせることができる。
また、第2領域20d、20gに速度を与えない場合には、第2回転体136、第2回転体138(図6参照)、第2駆動回転体(図10参照)は回転させる必要はなく、第2領域20d、20gを圧接するのみでよい。また、第2領域20d、20gを圧接するものであれば、回転体ではなく、単に圧接部材でもよい。
また、第2領域20d、20gにマイナスの速度を与える場合には、第2回転体136、第2回転体138(図6参照)、第2駆動回転体(図10参照)をそれぞれ第1回転体132、第1回転体134、1駆動回転体を逆回転させればよい。
また、実施例1〜3説明した供給手段110、210の他に投射手段に洗浄媒体20を供給することができるのであれば、他の供給手段を用いても良い。また、実施例1〜3で説明した投射手段130、230、330の他に、洗浄媒体を回転投射させることができるのであれば、他の投射手段を用いても良い。供給手段110、210と投射手段130、230、330の組み合わせにおいて、実施例1〜3で説明した組み合わせ以外の組み合わせを用いてもよい。
【符号の説明】
【0041】
20・・・洗浄媒体
102・・・洗浄槽
104・・・洗浄対象物
106・・・メッシュ部
108・・・集塵機接続口
110・・・供給手段
112・・・第1供給ベルト
114・・・第2供給ベルト
116・・・ホッパー
118・・・供給ベルト駆動手段
120・・・規制部材
130・・・投射手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特開2007−029945号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面を有する洗浄媒体を洗浄対象物に投射し衝突させることで、該洗浄対象物を洗浄する投射手段を有する洗浄装置において、
前記投射手段は、前記洗浄媒体を前記平面と垂直な軸周りに回転させて投射する洗浄装置。
【請求項2】
前記投射手段は、前記平面の第1領域に該平面の方向に沿って第1速度を与え、前記平面の第2領域に前記方向と同一方向に第2速度を与えるものであり、
前記第1速度と前記第2速度とは異なることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記投射手段は、1対の第1回転体および1対の第2回転体により構成され、
前記第1領域を前記1対の第1回転体の周面で挟み込み、
前記第2領域を前記1対の第2回転体の周面で挟み込み、
前記第1回転体と第2回転体とは回転速度が異なることを特徴とする請求項2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記投射手段は、前記1対の第1回転体と前記1対の第2回転体が交互に配置されることで構成されていることを特徴とする請求項3記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記1対の第1回転体および前記1対の第2回転体のうち、少なくとも1つが柔軟性を有することを特徴とする請求項3または4記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記1対の第1回転体の回転軸および前記1対の第2回転体の回転軸のうち、少なくとも1つが可撓性を有することを特徴とする請求項3〜5何れかに記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記投射手段は、円錐または円錐台形の形状である、1対の第3回転体であり、
前記1対の第3回転体の側面で前記洗浄媒体を挟み込むことを特徴とする請求項2記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記投射手段は、複数の前記1対の第3回転体により構成されていることを特徴とする請求項7記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記複数の1対の回転体のうち、少なくとも1つが柔軟性を有することを特徴とする請求項8記載の洗浄装置。
【請求項10】
前記複数の1対の回転体の回転軸のうち、少なくとも1つが可撓性を有することを特徴とする請求項8または9記載の洗浄装置。
【請求項1】
平面を有する洗浄媒体を洗浄対象物に投射し衝突させることで、該洗浄対象物を洗浄する投射手段を有する洗浄装置において、
前記投射手段は、前記洗浄媒体を前記平面と垂直な軸周りに回転させて投射する洗浄装置。
【請求項2】
前記投射手段は、前記平面の第1領域に該平面の方向に沿って第1速度を与え、前記平面の第2領域に前記方向と同一方向に第2速度を与えるものであり、
前記第1速度と前記第2速度とは異なることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記投射手段は、1対の第1回転体および1対の第2回転体により構成され、
前記第1領域を前記1対の第1回転体の周面で挟み込み、
前記第2領域を前記1対の第2回転体の周面で挟み込み、
前記第1回転体と第2回転体とは回転速度が異なることを特徴とする請求項2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記投射手段は、前記1対の第1回転体と前記1対の第2回転体が交互に配置されることで構成されていることを特徴とする請求項3記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記1対の第1回転体および前記1対の第2回転体のうち、少なくとも1つが柔軟性を有することを特徴とする請求項3または4記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記1対の第1回転体の回転軸および前記1対の第2回転体の回転軸のうち、少なくとも1つが可撓性を有することを特徴とする請求項3〜5何れかに記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記投射手段は、円錐または円錐台形の形状である、1対の第3回転体であり、
前記1対の第3回転体の側面で前記洗浄媒体を挟み込むことを特徴とする請求項2記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記投射手段は、複数の前記1対の第3回転体により構成されていることを特徴とする請求項7記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記複数の1対の回転体のうち、少なくとも1つが柔軟性を有することを特徴とする請求項8記載の洗浄装置。
【請求項10】
前記複数の1対の回転体の回転軸のうち、少なくとも1つが可撓性を有することを特徴とする請求項8または9記載の洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−41915(P2011−41915A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192342(P2009−192342)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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