説明

画像形成装置

【課題】簡単な構造で耐久性が高く、搬送手段の清掃性能に優れた清掃手段を有する画像形成装置を提供する。
【解決手段】ジャム解除ダイヤル21は、駆動ローラ9に連動しており、ジャム時に駆動ローラを逆転させて用紙を除去可能な位置まで搬送する。ばね27に付勢された清掃部材22は待機位置と待清掃置の間で回動軸23を中心として回動可能である。駆動ローラの軸と回動軸を連動する駆動力伝達機構28は、駆動ローラの正転Fは回動軸に伝達せず、駆動ローラの逆転Rは回動軸に伝達する。用紙搬送時には、清掃手段はばねで記待機位置に設定され、ジャム時にジャム解除ダイヤルを操作すると清掃手段が清掃位置に設定され、逆転する駆動ローラを清掃する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性のよい簡単な構成であり、用紙搬送手段を効果的に清掃できる清掃手段を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ライン型インクジェットプリンタのような大型プリンタでは、高速化や多種多様な用紙への印刷に対する要求とともに、印字品質の向上や低価格化も望まれている。このようなプリンタにおける枚葉紙の搬送では、構成の簡易さ、コストの安さ等の理由により、ローラ対のニップによる搬送方式が多く使用されているが、印字直後の印面をローラ対で圧力をかけてニップするためにインクがローラに転写され、そのインクが印刷用紙へ再転写されることで印字品質が低下するという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、ローラの材質や表面性を最適化することにより、印字品質の低下を防止することが可能となっている。例えば、ゴム等の一般的な弾性体からなるローラの表面にセラミック粒子を接着したセラミックコートローラが知られているが、このセラミックコートローラによれば、用紙搬送に必要な搬送力(摩擦力)を低下させることなく、用紙との接触を点接触とすることができるため、印字品質の低下を効果的に防止することができる。
【0004】
このようにローラ自体の材質や表面性を最適化して印字品質の低下を防止する手法の他、インクや紙粉等で汚れた搬送用のローラをクリーニングする清掃部材を画像形成装置内に設けておき、ローラを清掃するようにした発明も下記各特許文献に開示されている。
【0005】
下記特許文献1の紙送りローラのクリーニング装置は、紙送りローラ202にクリーニングローラ205を常時圧接した状態で設けたものであり、クリーニングローラ205をゴム硬度がJISAで20度以下のシリコーンゴムで形成している。この発明によれば、紙送りローラに付着したトナー、紙粉を効率良く除去することができるものとされている。
【0006】
下記特許文献2の記録装置のローラ清掃機構は、クリーニング部材をローラに対してソレノイドで移動可能とし、ソレノイドの電気的な制御でクリーニング部材のローラに対する接触・非接触の選択を行なうようにしたものである。この発明によれば、ローラの清掃を容易に自動的に行なうことができるものとされている。
【0007】
下記特許文献3の記録装置は、排紙ローラにクリーニング部材を圧接させることでインク汚れを除去するものであり、該クリーニング部材が駆動ローラから離間を行う駆動機構を有し、当該駆動ローラが記録媒体を搬送しているか否かによって、クリーニング部材を当該駆動ローラに圧接させるか否か選択するものである。この発明によれば、インクジェット記録装置において、記録ヘッドから吐出されるインクミストにより排紙ローラ外周部にインク汚れが付着することで、表面印字時に記録媒体裏面に該インク汚れが転写され、裏面印字の際に転写されたインク汚れが記録画像と重なり画像品質を低下させることを防止できるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−44080号公報
【特許文献2】特開平03−88666号公報
【特許文献3】特開2009−102138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
材質や表面性を最適化して印字品質の低下を防止した前述したようなローラであっても、耐久的な使用(例えば数十万〜数百万枚レベル)をした場合には徐々に摩耗や劣化が進行するため、印字品質の低下を防止できないばかりか、搬送力の低下も顕著となることが多く、用紙搬送時のジャムが頻発し、プリンタの生産性が低下してしまうという問題があった。
【0010】
また、上記特許文献1記載の発明によれば、紙送りローラにクリーニングローラが常に接触状態にあるため、紙送りローラやクリーニングローラの摩耗が促進される懸念があり、耐久的な使用にはさらに耐え得ないという問題があった。また、上記特許文献2記載の発明によれば、クリーニング部材をソレノイドで移動させてローラに接触させる構造であるため、機構が複雑であり、製造コストが増大するという問題があった。さらにまた、上記特許文献3記載の発明によれば、用紙搬送中は駆動機構でクリーニング部材を駆動ローラから離間させる構造であるため、制御・構造が複雑であり、製造コストが増大するという問題があった。
【0011】
本発明は、以上説明したような従来の技術における課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で耐久性が高く、搬送手段の清掃性能に優れた清掃手段を有する画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載された画像形成装置によれば、
用紙を搬送する用紙搬送手段と、
前記用紙搬送手段で搬送される用紙に画像を形成する画像形成手段と、
搬送ジャムが発生した場合にユーザーによる操作が可能であり、前記用紙搬送手段に連動するように設けられたジャム解除手段と、
ユーザーが前記ジャム解除手段を操作した場合に前記用紙搬送手段に接触しない待機位置から前記用紙搬送手段に接触する清掃位置まで移動する清掃手段とを有することを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載された画像形成装置によれば、請求項1記載の画像形成装置において、
ユーザーが前記ジャム解除手段を操作した場合に、前記用紙搬送手段は、残留した用紙を、前記画像形成手段に用紙を搬送する際の方向に対して逆方向に移動させて除去可能な位置まで搬送することを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載された画像形成装置によれば、請求項2記載の画像形成装置において、
ユーザーが前記ジャム解除手段の操作を終了した場合には、清掃位置にある前記清掃手段が待機位置に復帰するように構成されたことを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載された画像形成装置によれば、請求項1乃至3の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像形成手段によって画像が形成された用紙を排出する排紙部を有しており、
前記清掃手段は、前記画像形成手段と前記排紙部の間に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載された画像形成装置によれば、用紙の搬送中に搬送ジャムが生じて用紙搬送手段が停止した場合、ジャム解除手段を操作すると、用紙搬送手段はこれに連動するので、停止した用紙を装置外に取り除ける位置まで搬送することができる。この際、ジャム解除手段の操作による用紙搬送手段の駆動に連動して清掃手段が待機位置から清掃位置に移動し、用紙搬送手段に接触するので、ジャム解除手段の操作によって用紙搬送手段が駆動されている間、用紙搬送手段は清掃手段によって清掃される。
【0017】
請求項2に記載された画像形成装置によれば、ジャム解除手段を操作した場合に用紙搬送手段はこれに連動し、残留した用紙を逆方向に移動させて用紙を除去可能な位置まで搬送し、その場合にのみ清掃手段は待機位置から清掃位置に移動して用紙搬送手段に接触してこれを清掃することができる。
【0018】
請求項3に記載された画像形成装置によれば、ジャム解除手段の操作を終了すると、清掃位置にある清掃手段が待機位置に復帰するので、清掃後には直ちに用紙搬送手段を正転させて用紙を搬送し、画像形成工程を再開することができる。
【0019】
請求項4に記載された画像形成装置によれば、画像形成手段と排紙部の間に清掃手段を設けたので、画像形成された直後に用紙を搬送するために最も汚れ易い位置にある用紙搬送手段を清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の構造を模式的に示す断面図である。
【図2】実施形態に係る画像形成装置のローラ清掃機構の構成例において、清掃部材が待機位置にある状態を示した図である。
【図3】実施形態に係る画像形成装置のローラ清掃機構の構成例において、清掃部材が清掃位置にある状態を示した図である。
【図4】実施形態における清掃部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図1〜図4を参照して説明する。
(1)画像形成装置の基本構造
図1に本発明の実施形態に係る画像形成装置1を示す。
この印刷装置1は両面印刷用であり、一枚の印刷用紙の表裏両面に画像を形成することができる。この印刷装置1は、機構を収納する本体である筐体2と、筐体2の内部に連続して設けられた用紙の搬送経路3とを備えている。用紙の搬送経路3は、筐体2内にある閉ループ部4と、閉ループ部4から用紙の排出を受ける第1及び第2排紙部5,6と、閉ループ部4に連続するように筐体2内で第2排紙部6の下方に設けられた反転部7と、第2排紙部6及び反転部7の下方に設けられて閉ループ部4に用紙を送り込む給紙部8とを備えている。
【0022】
ここで、搬送経路3とは印刷用紙が移動していく際の軌道に相当するものであり、用紙を案内するガイド状の通路と、通路に沿って用紙を搬送する用紙搬送手段とによって構成することができる。ここで用紙搬送手段は、図1に示すように通路に沿って配置された駆動ローラ9及び従動ローラ10からなる複数対のローラ対11を有している。これらのローラ対11の一部については、搬送経路3についての以下の説明において再度説明する。また、通路に沿って配置されたローラ対11の間隔によっては、これらのローラ対11の一部が駆動力のない一対の案内ローラであってもよい。また通路及び用紙搬送手段の一部は、後述するベルト搬送部12のような搬送装置で代替されていてもよい。
【0023】
搬送経路3の閉ループ部4のうち、給紙部8の下流にある水平部分の上方には画像形成手段13が設けられている。本例の画像形成手段13は、例えば印刷用紙とは非接触で画像を形成するインクジェット装置であり、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの少なくとも4色のインクを吐出することができる。画像形成手段13の下方には、印刷用紙を搬送する用紙搬送手段としてのベルト搬送部12が配置されている。ベルト搬送部12は、上側のベルトの下方に吸引ファン14を備えており、溝乃至孔を有するベルトの上に載置された用紙を吸引してベルトの上面に保持し、ベルトの移動によって用紙を搬送できるようになっている。
【0024】
閉ループ部4のうち、画像形成手段13の下流側では、切り替え手段15を介して第1排紙部5が水平方向に分岐しており、その先には用紙搬送手段である排出ローラとしてのローラ対11が設けられている。第1排紙部5のローラ対11で送られた用紙は、筐体2の右面外側に配置された第1排紙台17に用紙を排出できるようになっている。この第1排紙台17は、両面印刷を行なう場合と、片面印刷を行なう場合との両方の場合に用いることができる。片面印刷で第1排紙台17を利用する場合には、片面だけ印刷した印刷用紙を表向きで排出することができる。
【0025】
閉ループ部4のうち、画像形成手段13の真上にある水平部分の下流側では、第2排紙部6が上方に分岐しており、用紙搬送手段としての排出ローラとしてのローラ対11が設けられている。第2排紙部6のローラ対11で送られた用紙は、筐体2の上面外側に配置された第2排紙台18に用紙を排出できるようになっている。この第2排紙台18は、両面印刷を行なわず、片面だけ印刷した印刷用紙を裏向きで排出するために用いられる。
【0026】
閉ループ部4は、第2排紙部6を分岐したのち、前述した反転部7分岐している。反転部7には用紙搬送手段としての反転ローラであるローラ対11が設けられている。この反転部7は、両面印刷を行なう場合に表面を印刷された印刷用紙を導き入れ、これを逆行させて再び閉ループ部4に送り込むことによって表裏を逆にし、再度画像形成手段13に送り込むために用いられる。
【0027】
反転部7とベルト搬送部12の間には、前述した給紙部8が接続されている。給紙部8には給紙ローラ19が設けられて、給紙台上に積載された印刷用紙を一枚ずつ閉ループ部4に送り込む一次給紙を行なえるようになっている。そして、ベルト搬送部12の上流側にはローラレジストローラとしてのローラ対11が設けられており、給紙部8から送り込まれた印刷用紙や、反転部7から送り込まれた印刷用紙を、所望のタイミングでベルト搬送部12に送り込めるようになっている。
【0028】
(2)画像形成装置1に設けられたジャム解除機構
搬送経路3に沿って用紙を搬送する本実施形態の画像形成装置1においては、搬送されている用紙が、種々の原因によって通路内に引っ掛かり又は詰まる等して停止してしまう現象(ジャム)が発生する場合がある。このような場合に備え、図1に示す画像形成装置1には、ジャムした用紙を装置外に除去してジャムを解除するための機構が設けられている。
【0029】
図1に示すように、搬送経路3の一部に近接した筐体2の正面側には、筐体2の内部の通路にアクセスするためのアクセス部20が設けられている。アクセス部20は、筐体2に設けられた開口と、この開口を開閉するカバー乃至蓋体から構成される。用紙がこのアクセス部20の近傍でジャムした場合には、以下に説明するジャム解除手段を操作することにより、用紙搬送手段(具体的には駆動ローラ9と従動ローラ10の対)を逆転させて用紙をジャム位置に近いアクセス部20まで戻し、ここで蓋を開いて開口から指を入れ、通路から用紙を引き出して装置外に除去する。このジャム解除手段について、図2及び図3を参照して説明する。
【0030】
図2に示すように、本実施形態のジャム解除手段であるジャム解除ダイヤル21は、用紙搬送手段の駆動ローラ9の駆動軸に同軸に連結されて駆動ローラ9と連動するようになっている。すなわち、図2において駆動ローラ9が白抜きの矢印で示す正転方向Fに回転する場合、用紙は従動ローラ10との間に挟持されて画像形成時の正規の搬送方向Aに搬送される。駆動ローラ9が駆動して用紙が搬送される時、ジャム解除ダイヤル21も駆動ローラ9と同じ正転方向Fに同回転速度で回動する。また、ジャムが発生して駆動ローラ9が停止している場合には、図3に示すように、操作者がジャム解除ダイヤル21を白抜きの矢印で示す逆転方向Rに手動で逆転させれば、駆動ローラ9も同じ逆転方向Rに回動するので、適当な回数だけジャム解除ダイヤル21を回すことにより、駆動ローラ9と従動ローラ10の間に停止した用紙を前述した筐体2の最寄りのアクセス部20の位置まで戻し、当該アクセス部20から装置外に取り出すことができる。
【0031】
図2に示すように、駆動ローラ9の上方には、駆動ローラ9を清掃するブレード状の清掃手段22が設けられている。この清掃手段22は、上端が回動軸23に取り付けられて下方に垂下されており、回動軸23を中心として揺動可能とされている。清掃手段22の回動方向の前後所要位置には、それぞれストッパ24,25が設けられており、清掃手段22の揺動可能範囲を規定している。すなわち、清掃手段22は、駆動ローラ9から離れた右上方の待機位置と、駆動ローラ9の周面に接触する待清掃置との間で、回動軸23を中心として回動可能となっている。
【0032】
図2に示すように、清掃手段22は、装置内の不動部材26に対して付勢手段としてのばね27で連結されており、常時右上方に引っ張られている。従って清掃手段22は、清掃位置に向けて回動する力を受けない限り、同図に示すように付勢手段の付勢力によってストッパ25に当接する待機位置に設定される。
【0033】
図2に示すように、駆動ローラ9と清掃手段22の回動軸23は駆動力伝達機構28によって連動連結されている。
まず、駆動ローラ9の駆動軸と清掃手段22の回動軸23は連動手段としてのベルト29によって連動連結されている。また、この駆動ローラ9の駆動軸には、図示しないワンウェイクラッチが設けられている。図2に示すように、用紙を搬送方向Aに搬送するために駆動ローラ9が正転方向Fに回転する場合には清掃手段22の回動軸23へは駆動力が伝達されず、従って清掃手段22はばね27によって待機位置に設定される。
【0034】
また、駆動ローラ9の駆動軸とジャム解除ダイヤル21の間には、図示しないトルクリミッタが設けられている。図3に示すように、ジャム時にジャム解除ダイヤル21を逆転方向Rに回動して駆動ローラ9を逆転させ、用紙を逆方向Bに搬送する場合には、清掃手段22の回動軸23には一定のトルクを限度とした回動が駆動軸から伝達され、清掃手段22はばね27の付勢力に抗して回動し、清掃位置に設定される。すなわち、清掃手段22は駆動ローラ9の周面に接触するが、下方のストッパ24に当接し、それ以上は回動できない状態となる。さらにジャム解除ダイヤル21を逆転方向Rに回動させるた場合、駆動軸は回転するが、清掃手段22にはある一定値以上のトルクは伝達されないので、清掃手段22は図3に示す清掃位置を維持し、この状態で逆転する駆動ローラ9の周面に付着している異物(例えば紙粉が混ざったインクが固化した物質等)を除去することができる。
【0035】
ジャムが解消され、ジャム解除ダイヤル21の操作を終了して駆動軸が逆転方向Rに回動しなくなると、図2に示すようにばね27の力によって清掃手段22は清掃位置から離れ、上方に移動して待機位置に復帰し、同位置に設定される。
【0036】
このように、本実施形態の画像形成装置1に設けられたジャム解除機構によれば、駆動ローラ9と従動ローラ10が画像形成時に用紙を搬送する場合には、清掃手段22はばね27の付勢力によって待機位置に設定される。また、搬送ジャムが発生した場合には、図示しないセンサ等によってジャム位置が検出されるので、検出されたジャム位置に最も近いアクセス部20に設けられたジャム解除ダイヤル21を逆転方向に操作する。これによって駆動ローラ9が逆転し、ジャム用紙は搬送方向Aと逆の方向Bに戻される。また、清掃手段22は、ばね27の付勢力に抗して待機位置から清掃位置にまで移動し、一定のトルクでこの状態に保持される。このジャム解除ダイヤル21の逆転操作は操作員が手動で行なうので、駆動ローラ9には必要なトルクを加えることができ、清掃位置に保持した清掃手段22のかきとり動作によって駆動ローラ9を効果的に清掃することができる。
【0037】
以上説明したジャム解除機構では、ジャム解除時にジャム解除ダイヤル21を逆転させることにより、用紙を搬送方向と逆方向に引き戻して装置内から取り出し、逆転する駆動ローラ9に清掃手段22を接触させて清掃していた。しかしながら、ジャム解除時にジャム解除ダイヤル21を正転させ、用紙を搬送方向の先方に送って近隣のアクセス部20から装置外に取り出し、ジャム解除ダイヤル21の正転に連動して清掃手段22が清掃位置に設定され、正転する駆動ローラ9を清掃するような機構を採用してもよい。
【0038】
また、本実施形態では、清掃手段22で駆動ローラ9を清掃していたが、図4(a)に示すように、ジャム解除ダイヤル21に連動するブレード状の清掃手段22を駆動ローラ9の上方と従動ローラ10の下方にそれぞれ設け、駆動ローラ9と従動ローラ10の両方を清掃するようにしてもよい。また、ブレード状の清掃手段22でなく、図4(b)に示すようにブラシ状の清掃手段22aでもよいし、図4(c)に示すようにローラ状の清掃手段22bでもよい。
【0039】
また、ジャム解除ダイヤル21は手動で操作するものとしたが、駆動ローラ9を駆動するモータ又はその他の駆動源を用いて動力駆動としてもかまわない。このように、本発明におけるジャム解除手段としては、ユーザーが手動により直接的に操作して搬送手段を画像形成時とは逆方向に駆動するものでもよいし、ユーザーが操作パネルのスイッチ等を操作することにより間接的に搬送手段を操作して、手動以外の動力により搬送手段を画像形成時とは逆方向に駆動するものでもよい。また、搬送手段は実施形態では回転するローラにベルトを巻装したベルト搬送手段を例示したが、これに限定するものではなく、回転、直動その他の形態で駆動される駆動手段で用紙を所定の経路に沿って搬送できるものであればよく、従って本発明における清掃手段は、このような搬送手段において用紙との接触等で汚損される部分を清掃できるものであればよい。
【0040】
また、ジャム解除機構は、図1中に示したようにジャム用紙を取り出すアクセス部20が設けられた複数箇所又はその近傍に設けられており、特に搬送経路3においてジャムが発生する可能性の高い位置や、用紙に付着したインクによって駆動ローラ9又は従動ローラ10が汚れやすい位置に設けることが好ましい。例えば、本実施形態では、画像形成手段13と第2排紙部6の間の数箇所にアクセス部20があるので、これら各アクセス部20の近傍に清掃手段22を設けている。この部分は、画像形成手段13で転移したインクが乾燥しながら通過する部分であり、搬送手段が最もインクで汚れやすい部分でもあるので、効果的である。なお図1には示していないが、画像形成手段13と第1排紙台17の間にある搬送手段としてのローラ対11に清掃手段22を設けても同様に効果的である。
【符号の説明】
【0041】
1…画像形成装置
9…用紙搬送手段としての駆動ローラ
10…用紙搬送手段としての従動ローラ
11…用紙搬送手段としてのローラ対
12…用紙搬送手段としてのベルト搬送部
13…画像形成手段
20…アクセス部
21…ジャム解除手段としてのジャム解除ダイヤル
22,22a,22b…清掃手段
27…清掃手段の付勢手段としてのばね
28…駆動力伝達機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する用紙搬送手段と、
前記用紙搬送手段で搬送される用紙に画像を形成する画像形成手段と、
搬送ジャムが発生した場合にユーザーによる操作が可能であり、前記用紙搬送手段に連動するように設けられたジャム解除手段と、
ユーザーが前記ジャム解除手段を操作した場合に前記用紙搬送手段に接触しない待機位置から前記用紙搬送手段に接触する清掃位置まで移動する清掃手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ユーザーが前記ジャム解除手段を操作した場合に、前記用紙搬送手段は、残留した用紙を、前記画像形成手段に用紙を搬送する際の方向に対して逆方向に移動させて除去可能な位置まで搬送することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
ユーザーが前記ジャム解除手段の操作を終了した場合には、清掃位置にある前記清掃手段が待機位置に復帰するように構成されたことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段によって画像が形成された用紙を排出する排紙部を有しており、
前記清掃手段は、前記画像形成手段と前記排紙部の間に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−111624(P2012−111624A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264184(P2010−264184)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】