説明

画像形成装置

【課題】良好な画像形成が可能な画像形成装置を実現する。
【解決手段】画像形成装置1において、「生産性優先モード」と「画質優先モード」を選択して、各モードに応じた画像形成を実行することを可能にし、「生産性優先モード」を選択して実行することにより、従動ローラ30bの移動速度を比較的速い第1速度に変更して、単位時間当たりのプリント可能枚数をより多くし生産性を重視した良好な画像形成が可能になるとともに、「画質優先モード」を選択して実行することにより、従動ローラ30bの移動速度を比較的遅い第2速度に変更して、画像形成の妨げになる振動を抑えて画質の向上を図った良好な画像形成が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、画像データに基づいてLD(Laser Diode)などによって像担持体(例えば、感光体ドラム)に潜像を書き込み、これをトナーで現像し、得られたトナー像を直接または中間転写体(例えば、転写ベルト)を介して用紙に転写することで画像形成を行っている。
用紙は画像形成装置の内部または外部の給紙トレイに収容されており、当該用紙は搬送用のローラ対でニップされて所定の転写位置に搬送され、トナー像の転写がなされるようになっている(例えば、特許文献1、2参照。)。
そして、搬送される用紙の位置を調整する際など、ローラ対における一方のローラを他方のローラから離間させてニップを解除したり、再度ローラ対で用紙をニップしたりする動作が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−314045号公報
【特許文献2】特開平3−94275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の場合、ローラ対で用紙をニップしたり、ローラ対のニップを解除したりする際のローラの移動速度は、単位時間当たりのプリント可能枚数をより多くするように生産性を重視した所定の速度に設定されている。
そのため、速い速度で移動した一方のローラが他方のローラに突き当たる際の振動や、速い速度で移動した一方のローラが他方のローラから離間して止まる際の振動が、装置内の各部に影響を及ぼしてしまい、画像形成の妨げになることがあるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、良好な画像形成が可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置であって、
用紙への画像形成を行う画像形成部と、
第1ローラと第2ローラとを有し、該第1ローラが該第2ローラに対して相対的に移動可能であり、用紙をニップして前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラ対と、
前記画像形成部による画像形成が行われている際に、前記第1ローラを前記第2ローラから離間させる方向に移動させる速度と、前記第1ローラを前記第2ローラに接触させる方向に移動させる速度の、少なくとも一方の速度を変更させる制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記第1ローラを前記第2ローラから離間させる方向に移動させる速度を、第1速度、または第1速度とは異なる第2速度に変更することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記第1ローラを前記第2ローラに接触させる方向に移動させる速度を、第3速度、または第3速度とは異なる第4速度に変更することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、
前記第1速度は前記第2速度よりも速く、前記第3速度は前記第4速度よりも速く、
前記第1ローラを前記第2ローラから離間させる方向に移動させる速度を前記第1速度とし、かつ前記第1ローラを前記第2ローラに接触させる方向に移動させる速度を前記第3速度とする生産性優先モードと、
前記第1ローラを前記第2ローラから離間させる方向に移動させる速度を前記第2速度とし、かつ前記第1ローラを前記第2ローラに接触させる方向に移動させる速度を前記第4速度とする画質優先モードと、を備え、
前記制御部は、前記生産性優先モードと前記画質優先モードの何れかのモードに切り替えて画像形成を実行することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記搬送ローラ対は、前記用紙を収容している用紙収容部から前記画像形成部に向う搬送路において最も前記画像形成部寄りにある搬送ローラ対であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記用紙の種類に応じて、前記生産性優先モードと前記画質優先モードとを切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、搬送ローラ対における第1ローラを第2ローラに対して移動させる速度を変更することで、用紙をニップしたり解除したりする動作を穏やかに行うことを可能にし、第1ローラが第2ローラに突き当たる際の振動や、第1ローラが第2ローラから離間して止まる際の振動を低減するようにして、画像形成の妨げになる振動を抑え、画質の向上を重視した画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る画像生成装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る画像生成装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】画像生成装置のローラ圧着切替部の概要を示す説明図である。
【図4】画像生成装置のローラ圧着切替部を側面視した説明図であり、停止状態(a)と、作動状態(b)を示している。
【図5】画像形成装置における搬送部の動作(a)〜(d)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0015】
図1は、画像形成装置1を示す概略構成図であり、図2は、画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。
画像形成装置1は、原稿から画像を読み取り、読み取った画像データに基づく画像を用紙P上に形成して出力するコピー機能や、外部装置等から画像データを含むページデータや各画像データの画像形成条件等を含むジョブデータを受信し、受信したページデータ及びジョブデータに基づく画像を用紙P上に形成して出力するプリント機能等を具備している。
【0016】
画像形成装置1は、図1、図2に示すように、画像読取部10と、画像形成部20と、用紙収容部25と、搬送部30と、操作部40と、制御部50等を備えて構成されている。
【0017】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿送り部11と、読取部12とを備えている。
読取部12は、読取個所であるコンタクトガラス12a上に載置された原稿dの画像をCCD(Charge Coupled Device)により読み取る。
また、自動原稿送り部11の原稿トレイ11aに載置された原稿dは、読取個所であるコンタクトガラス12a上に搬送され、CCDによってその原稿dの片面又は両面の画像が読み取られる。
ここで、画像とは、図形や写真等のイメージデータに限らず、文字や記号等のテキストデータ等も含む。
【0018】
画像読取部10により読み取られた画像(アナログ画像信号)は、後述するCPU51図2参照)に出力され、アナログ処理、A/D変換処理、シェーディング補正、画像圧縮処理等の各種画像処理が施された後、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に色分解され、デジタルの画像データとして画像形成部20に出力される。
【0019】
画像形成部20は、入力された画像データに基づいて、電子写真方式の画像形成処理を行う。
画像形成部20は、露光ユニット2Y、2M、2C、2Kと、現像ユニット3Y、3M、3C、3Kと、感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kと、帯電部5Y、5M、5C、5Kと、クリーニング部6Y、6M、6C、6Kと、一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kと、中間転写ベルト8と、ベルトクリーニング部9と、二次転写ローラ21と、定着部22と、を備えて構成されている。
この画像形成部20において、中間転写ベルト8と二次転写ローラ21とが圧接している箇所が、用紙Pに画像を転写して画像形成を行う画像転写部として機能する。
【0020】
露光ユニット2Y、2M、2C、2Kは、LD等のレーザ光源、ポリゴンミラー、複数のレンズ等から構成されている。
露光ユニット2Y、2M、2C、2Kは、CPU51から送られた画像データに基づいて、感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kの表面をレーザビームにより走査露光する。このレーザビームの走査露光により、帯電部5Y、5M、5C、5Kによって帯電された感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kに潜像が形成され、すなわち画像が書き込まれる。なお、画像の書き込みは、CPU51からの主走査方向と副走査方向とにおける画像書き込みの開始タイミングの指示に基づいて実行される。
【0021】
感光体ドラム4Y、4M、4C、4K上に形成された潜像は、対応する現像ユニット3Y、3M、3C、3Kによる現像によって顕像化され、各感光体ドラム4Y、4M、4C、4K上にはトナー像が形成される。
【0022】
感光体ドラム4Y、4M、4C、4K上に形成されて担持されたトナー像は一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kにより、中間転写ベルト8上の所定位置に順次転写され、一次転写される。
【0023】
トナー像の転写を終えた各感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kの表面は、クリーニング部6Y、6M、6C、6Kによって残留トナーが除去される。
【0024】
中間転写ベルト8は、複数のローラに懸架され回転可能に支持された半導電性エンドレスベルトであり、ローラの回転に伴って図中時計回りに回転される。
この中間転写ベルト8は、一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kによりそれぞれの感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kに圧着される。これにより各感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kの表面に現像された各トナー像が、各一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kによる転写位置で中間転写ベルト8に転写(一次転写)される。
また、中間転写ベルト8は、二次転写ローラ21による転写位置で用紙Pと圧接し、その用紙Pにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー像を順次重ねて転写(二次転写)する。
そして、中間転写ベルト8は、二次転写ローラ21によって用紙Pにトナー像を転写した後、用紙Pを曲率及び静電的に分離して定着部22へ送り、ベルトクリーニング部9により残留トナーが除去される。
【0025】
定着部22は、用紙Pに転写されたトナー像を熱定着させる。これにより、用紙Pにトナー像が定着して画像が形成される。この定着部22による定着処理を終えた用紙Pは排紙トレイ91に排紙される。
【0026】
すなわち、画像形成部20による画像形成とは、露光ユニット2Y、2M、2C、2Kにより各感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kに潜像を形成し、形成された潜像にトナーを付着させて現像したトナー像を中間転写ベルト8に一次転写し、さらに用紙Pに二次転写して、その用紙P上に転写されたトナー像を定着部22で熱定着する一連の動作のことを意味する。
【0027】
用紙収容部25は、複数の給紙トレイ25a、25b、25cと、給紙手段25dとを備えて構成されている。
給紙トレイ25a、25b、25cには、用紙Pの斤量やサイズ等に応じて識別された各種用紙(例えば、上質紙、再生紙など)が予め設定された種類毎に格納されている。
給紙手段25dは、各給紙トレイに収容されている用紙Pを最上部から1枚ずつ搬送部30に向けて給紙する。
【0028】
搬送部30は、用紙収容部25から画像転写部(中間転写ベルト8および二次転写ローラ21)に向かう搬送路Rと、その搬送路Rに配置されて用紙収容部25から給紙された用紙Pを画像転写部に搬送するための複数の搬送ローラ対(31、32、33)とにより構成されている。なお、搬送路Rの一部は、画像転写部から排紙トレイ91に向かう経路や、用紙の表裏を反転させるための経路に延在している。
特に、搬送部30は、搬送ローラ対として、搬送路Rにおいて画像転写部(中間転写ベルト8および二次転写ローラ21)の上流側直近に配されたレジストローラ32と、そのレジストローラ32の上流側に隣接して配されたループローラ31と、そのループローラ31と給紙トレイ(給紙手段25d)との間に配された給紙用ローラ33とを備えている。
【0029】
搬送ローラ対であるループローラ31と、レジストローラ32と、給紙用ローラ33とはそれぞれ、所定の駆動源によって回転駆動される駆動ローラ30aと、その駆動ローラ30aに弾性的に付勢されて接することにより回転する従動ローラ30bとで対を成しているローラ対である。この搬送ローラ対(31、32、33)は、駆動ローラ30aと従動ローラ30bとの間に用紙Pをニップして回転することによって、用紙Pを搬送路Rの上流側から下流側に向かって送給し搬送するようになっている。
具体的に、搬送ローラ対であるループローラ31と、レジストローラ32と、給紙用ローラ33は、例えば、図3、図4に示すように、所定の駆動源によって回転駆動される駆動ローラ30aと、駆動ローラ30aに接離する従動ローラ30bとを有しており、駆動ローラ30aに対する従動ローラ30bの配置を切り替える切り替え手段としてローラ圧着切替部(31b、32b、33b)を備えている。
ローラ圧着切替部(31b、32b、33b)は、例えば、図3、図4に示すように、従動ローラ30bを駆動ローラ30aに向けて付勢する弾性部材である引張りコイルばね34と、駆動ローラ30aに対して従動ローラ30bを接離させるように移動させる接離部材35と、接離部材35の回動軸36と、回動軸36に一端が軸支されたリンク部材37と、リンク部材37の他端に当接する偏心カム38と、偏心カム38を回転させるステッピングモータ軸39等を備えている。このステッピングモータ軸39は、図示しないステッピングモータの駆動によって回転して偏心カム38を回転させる。また、引張りコイルばね34は、画像形成装置1の機枠1aに固定されており、従動ローラ30bに付勢力を付与している。
【0030】
ここで、ローラ圧着切替部(31b、32b、33b)によって、駆動ローラ30aに対する従動ローラ30bの配置を切り替える動作について説明する。
【0031】
図3、図4(a)に示すように、ローラ圧着切替部(31b、32b、33b)が停止状態であるとき、接離部材35は従動ローラ30bに当接しておらず、従動ローラ30bは引張りコイルばね34によって付勢されて、駆動ローラ30aに圧着されている。このように、駆動ローラ30aと従動ローラ30bとの配置が、引張りコイルばね34によりこれらのローラが圧着している状態を圧着状態とする。
駆動ローラ30aに従動ローラ30bが圧着した配置で、駆動ローラ30aが回転駆動すると従動ローラ30bも連動して回転するので、この駆動ローラ30aと従動ローラ30bとの間にニップした用紙Pを搬送路Rの上流側から下流側に向かって搬送することが可能になる。
【0032】
また、図4(b)に示すように、ローラ圧着切替部(31b、32b、33b)が停止状態から作動状態に切り替わることで、接離部材35によって従動ローラ30bは駆動ローラ30aから離間する方向に移動される。
具体的に、ローラ圧着切替部(31b、32b、33b)における図示しないステッピングモータの駆動によってステッピングモータ軸39が回転して、図4(a)に示す偏心カム38が回転されたことで、回動軸36を軸心とするリンク部材37が図中時計回りに揺動されると、その回動軸36の図中時計回りの回動に伴って接離部材35が図中時計回りに回動する。そして、図4(b)に示すように、接離部材35の先端側が従動ローラ30bを押し上げるようにして、接離部材35が従動ローラ30bを駆動ローラ30aから離間させる方向に移動させる。このように、駆動ローラ30aと従動ローラ30bとの配置が、圧着状態が解除している状態であってこれらのローラが所定の距離Lだけ離れている状態を離間状態とする。なお、この距離Lは、製品の仕様によって適宜変更可能である。
そして、ステッピングモータの駆動を制御することによってステッピングモータ軸39の回転速度を調節することで、従動ローラ30bを駆動ローラ30aから離間させる方向に移動させる速度を変更することができる。
例えば、ステッピングモータ軸39の回転速度を上げて、リンク部材37の図中時計回りの揺動を速くして、接離部材35の図中時計回りの回動を速くすることによって、駆動ローラ30aに対する従動ローラ30bの移動速度を速くして、従動ローラ30bを駆動ローラ30aからより速く離間させることができる。
一方、ステッピングモータ軸39の回転速度を下げて、リンク部材37を図中時計回りにゆっくり揺動させ、接離部材35を図中時計回りにゆっくり回動させることによって、駆動ローラ30aに対する従動ローラ30bの移動速度を遅くして、従動ローラ30bを駆動ローラ30aからゆっくり離間させることができる。
【0033】
また、図4(a)に示すように、ローラ圧着切替部(31b、32b、33b)が作動状態から停止状態に切り替わることで、接離部材35によって従動ローラ30bは駆動ローラ30aと接触する方向に移動される。
具体的に、ローラ圧着切替部(31b、32b、33b)における図示しないステッピングモータの駆動によってステッピングモータ軸39が回転して、図4(b)に示す偏心カム38が回転されたことで、回動軸36を軸心とするリンク部材37が図中反時計回りに揺動されると、その回動軸36の図中反時計回りの回動に伴って接離部材35が図中反時計回りに回動し、図4(a)に示すように、引張りコイルばね34による押圧を伴って従動ローラ30bを押し下げるようにして、接離部材35が従動ローラ30bを駆動ローラ30aに接触させる方向に移動させるようになっている。
そして、ステッピングモータの駆動を制御することによってステッピングモータ軸39の回転速度を調節することで、従動ローラ30bを駆動ローラ30aに近接させ接触させる方向に移動させる速度を変更することができる。
例えば、ステッピングモータ軸39の回転速度を上げて、リンク部材37の図中反時計回りの揺動を速くして、接離部材35の図中反時計回りの回動を速くすることによって、駆動ローラ30aに対する従動ローラ30bの移動速度を速くして、従動ローラ30bを駆動ローラ30aにより速く接触させることができる。
一方、ステッピングモータ軸39の回転速度を下げて、リンク部材37を図中反時計回りにゆっくり揺動させ、接離部材35を図中反時計回りにゆっくり回動させることによって、駆動ローラ30aに対する従動ローラ30bの移動速度を遅くして、従動ローラ30bを駆動ローラ30aにゆっくり接触させることができる。
【0034】
このように、ローラ圧着切替部(31b、32b、33b)によって、第1ローラである従動ローラ30bを第2ローラである駆動ローラ30aに対して接離する方向(従動ローラ30bを駆動ローラ30aに接触させる方向及び/又は従動ローラ30bを駆動ローラ30aから離間させる方向)に移動させて配置を切り替える際、所定の速度である第1速度で移動させることと、第1速度よりも遅い速度の第2速度で移動させることができる。
そして、画像形成部40により画像形成が行われる際に、従動ローラ30bを駆動ローラ30aから離間させる方向に移動させる速度と、従動ローラ30bを駆動ローラ30aに接触させる方向に移動させる速度の、少なくとも一方の速度を第1速度または第2速度に変更させることができる。
なお、上記した第1速度と第2速度の「速度」とは、ローラ圧着切替部(31b、32b、33b)により駆動ローラ30aと従動ローラ30bとの配置が圧着状態から離間状態、または離間状態から圧着状態に切り替えられるまでの平均速度を指す。すなわち、この平均速度は、距離Lを、圧着状態から離間状態に切り替えるのに要する時間、または離間状態から圧着状態に切り替えるのに要する時間で割ることで求められる。
また、画像形成部40により画像形成が行われる際に、従動ローラ30bを駆動ローラ30aから離間させる方向に移動させる速度と、従動ローラ30bを駆動ローラ30aに接触させる方向に移動させる速度は、必ずしも同じでなくてよい。例えば、後述する制御部50は、前者の速度を第1速度または第2速度に変更できる場合、後者の速度を第1速度とは異なる第3速度または第2速度とは異なる第4速度に変更しても良い。そして、その際に、例えば第4速度を第3速度よりも遅くする。
以下、第3速度は第1速度と等しく、第4速度は第2速度と等しいとする。ゆえに、第1速度と第2速度の2つを用いて説明を続ける。
【0035】
また、図2に示すように、画像形成装置1におけるレジストローラ32は、後述する制御部50により駆動が制御されるレジストローラ回転駆動部32a、レジストローラ圧着切替部32b、レジストローラ揺動駆動部32cの動作にしたがって作動する。
レジストローラ回転駆動部32aは、レジストローラ32の駆動ローラを回転駆動させる。
レジストローラ圧着切替部32bは、前述したようにステッピングモータにより駆動される接離部材35の動作によって駆動ローラ30aに対する従動ローラ30bの配置を切り替えることにより、駆動ローラ30aと従動ローラ30bとが圧着した状態と、駆動ローラ30aと従動ローラ30bとが離間した状態とに切り替える。
レジストローラ揺動駆動部32cは、用紙Pをニップしているレジストローラ32を、その用紙Pの搬送方向と交差する方向(搬送方向と直交する方向)に揺動させて、トナー像が転写される用紙Pの位置を適正な位置に調整する。また、レジストローラ揺動駆動部32cは、用紙Pのニップを解除した状態のレジストローラ32を、その用紙Pの搬送方向と交差する方向(搬送方向と直交する方向)に揺動させて、レジストローラ32をホームポジション(初期位置)に戻す。
【0036】
同様に、ループローラ31は、後述する制御部50により駆動が制御されるループローラ回転駆動部31a、ループローラ圧着切替部31bの動作にしたがって作動する。
ループローラ回転駆動部31aは、ループローラ31の駆動ローラを回転駆動させる。
ループローラ圧着切替部31bは、前述したようにステッピングモータにより駆動される接離部材35の動作によって駆動ローラ30aに対する従動ローラ30bの配置を切り替えることにより、駆動ローラ30aと従動ローラ30bとが圧着した状態と、駆動ローラ30aと従動ローラ30bとが離間した状態とに切り替える。
また同様に、給紙用ローラ33は、後述する制御部50により駆動が制御される給紙用ローラ回転駆動部33a、給紙用ローラ圧着切替部33bの動作にしたがって作動する。
給紙用ローラ回転駆動部33aは、給紙用ローラ33の駆動ローラを回転駆動させる。
給紙用ローラ圧着切替部33bは、前述したようにステッピングモータにより駆動される接離部材35の動作によって駆動ローラ30aに対する従動ローラ30bの配置を切り替えることにより、駆動ローラ30aと従動ローラ30bとが圧着した状態と、駆動ローラ30aと従動ローラ30bとが離間した状態とに切り替える。
【0037】
なお、各搬送ローラ対(31、32、33)の設置箇所、または各搬送ローラ対(31、32、33)における用紙Pの送入側や送出側には、搬送される用紙Pを検出するセンサが設けられている。
そのセンサは、搬送路R中の用紙Pの位置や、その用紙Pが搬送路Rで幾つの搬送ローラ対(31、32、33)に亘っているかを検出し、その検出結果を後述する制御部50に出力するようになっている。
【0038】
操作部40は、例えば、液晶表示パネルとその液晶表示パネルの表示画面上に設けられたタッチパネルとを備えて構成されており、液晶表示パネルに表示される各種操作キー等をタッチ操作することにより、タッチパネルがタッチ指示された位置を検出し、検出した位置に応じた操作信号を後述する制御部50(CPU51)に出力するようになっている。
【0039】
また、画像形成装置1は、図2に示すように、装置の各部を統括制御する制御部50を備えており、その制御部50に、画像読取部10、画像形成部20、搬送部30、操作部40等が接続されている。
【0040】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)51と、RAM(Random Access Memory)52と、ROM(Read Only Memory)53と、を備えて構成されている。
【0041】
CPU51は、ROM53に格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAM52に展開し、RAM52に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、画像形成装置1の各部を集中制御する。
【0042】
RAM52は、例えば揮発性のメモリであって、CPU51により実行される各種プログラムやこれら各種プログラムに係るデータ等を格納するワークエリアを有し、その情報を一時的に記憶する。
【0043】
ROM53は、例えば、画像形成装置1(CPU51)で実行可能なシステムプログラムや、そのシステムプログラムによって実行される各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータなどを記憶する。例えば、ROM53は、第1ローラである従動ローラ30bを第2ローラである駆動ローラ30aに対して接離する方向に移動させる際、所定の速度である第1速度で移動させる生産性優先モード用プログラムと、第1ローラである従動ローラ30bを第2ローラである駆動ローラ30aに対して接離する方向に移動させる際、第1速度よりも遅い速度の第2速度で移動させる画質優先モード用プログラム等を記憶している。
【0044】
生産性優先モード用プログラムは、画像転写部(中間転写ベルト8および二次転写ローラ21)に向けて搬送する用紙Pのニップや解除を行うにあたり、従動ローラ30bを駆動ローラ30aに対して接離する方向(従動ローラ30bを駆動ローラ30aに接触させる方向及び/又は従動ローラ30bを駆動ローラ30aから離間させる方向)に移動させる際、所定の速度である第1速度で移動させるようにして、画像形成装置1で画像形成を実行させる制御処理を制御部50に実現させるプログラムである。
そして、CPU51が、生産性優先モード用プログラムを実行すると、従動ローラ30bを駆動ローラ30aに対して接離する方向に移動させる際、比較的速い第1速度で従動ローラ30b移動させることで、用紙Pをニップしたり解除したりする動作を速やかに行う駆動制御が行われる。
つまり、単位時間当たりのプリント可能枚数をより多くする生産性を重視した画像形成が行われる。
【0045】
画質優先モード用プログラムは、画像転写部(中間転写ベルト8および二次転写ローラ21)に向けて搬送する用紙Pのニップや解除を行うにあたり、従動ローラ30bを駆動ローラ30aに対して接離する方向(従動ローラ30bを駆動ローラ30aに接触させる方向及び/又は従動ローラ30bを駆動ローラ30aから離間させる方向)に移動させる際、第1速度よりも遅い第2速度で移動させるようにして、画像形成装置1で画像形成を実行させる制御処理を制御部50に実現させるプログラムである。
そして、CPU51が、画質優先モード用プログラムを実行すると、従動ローラ30bを駆動ローラ30aに対して接離する方向に移動させる際、比較的遅い第2速度で従動ローラ30b移動させることで、用紙Pをニップしたり解除したりする動作を穏やかに行う駆動制御が行われる。
つまり、従動ローラ30bが駆動ローラ30aに突き当たる際の振動や、従動ローラ30bが駆動ローラ30aから離間して止まる際の振動を低減するようにして、画像形成の妨げになる振動を抑え、画質の向上を重視した画像形成が行われる。
【0046】
次に、本発明に係る画像形成装置1における生産性優先モードと画質優先モードとの切り替えと、それぞれのモードにおける搬送部30の動作について説明する。
【0047】
発明者に要チェック依頼
例えば、坪量が80g/mレベルの一般紙の場合、その用紙Pの剛性は低いので、用紙Pをニップしたりニップ解除したりする際の振動が用紙Pを伝播するようにして、画像形成装置1の各部に影響を及ぼすようなことは少ない。そこで、ユーザが画像形成装置1で一般紙を使う場合には、操作部40において「生産性優先モード」を選択する入力操作を行って、搬送部30を生産性優先モードで動作させるようにする。
これに対し、例えば、坪量が105g/mレベルの厚紙の場合、その用紙Pの剛性は高いので、用紙Pをニップしたりニップ解除したりする際の振動が用紙Pを伝播するようにして、画像形成装置1の各部に影響を及ぼしてしまい、画像形成の妨げになってしまうことがある。そこで、ユーザが画像形成装置1で厚紙を使う場合には、操作部40において「画質優先モード」を選択する入力操作を行って、搬送部30を画質優先モードで動作させるようにする。
なお、一般紙を収容した給紙トレイ(例えば給紙トレイ25a)と、厚紙を収容した給紙トレイ(例えば給紙トレイ25b)とを予め制御部50に登録しておき、ユーザによって選択された給紙トレイに応じて「生産性優先モード」と「画質優先モード」とが選択されるようにしてもよい。
【0048】
まず、「生産性優先モード」における搬送部30の動作について、図5に基づいて説明する。なお、画像形成装置1に給紙用ローラ33は複数(図1においては5つ)備えられているが、図5においては便宜上、ループローラ31に隣接している給紙用ローラ33のみを図示している。
【0049】
画像形成装置1の操作部40において、「生産性優先モード」を選択する操作や、一般紙が収容されている給紙トレイ(例えば給紙トレイ25a)を選択する操作がなされることで、画像形成装置1の搬送部30は「生産性優先モード」で動作するように制御される。
そして、画像形成装置1においてコピーやプリントの実行指示がなされると、給紙トレイから用紙Pが搬送路Rに送給され、その用紙Pを給紙用ローラ33がニップして画像転写部(中間転写ベルト8および二次転写ローラ21)に向けて搬送する。
【0050】
次いで、図5(a)に示すように、給紙用ローラ33によって搬送された用紙Pがループローラ31に到達すると、ループローラ31と給紙用ローラ33で用紙Pをニップして搬送する。
【0051】
次いで、図5(b)に示すように、ループローラ31を通過した用紙Pは、停止した状態のレジストローラ32に突き当たる。
そして、そのレジストローラ32に突き当たった用紙Pは、さらにループローラ31により搬送されることで湾曲し、レジストローラ32のニップ線に倣って斜行が矯正される。
【0052】
次いで、図5(c)に示すように、レジストローラ32が回転駆動することで、レジストローラ32に用紙Pがニップされると、ループローラ31による用紙Pのニップが解除される。なお、例えば、A3サイズなどの長い用紙Pであって、レジストローラ32にニップされた用紙Pが給紙用ローラ33にまで亘っている場合、給紙用ローラ33による用紙Pのニップも解除される。ここで、ループローラ31や給紙用ローラ33におけるニップの解除に伴い移動する従動ローラ30bは、比較的速い第1速度(例えば、40m/s)で速やかに移動する。
そして、レジストローラ32は、レジストローラ揺動駆動部32c(図2参照)の駆動によって、画像形成に備えて搬送途中の用紙Pを挟持しながら用紙の搬送方向と直交する方向に揺動して、中間転写ベルト8に一次転写されたトナー像に対する用紙Pの位置調整を行う。
なお、レジストローラ32の揺動動作の終了後、ループローラ31(給紙用ローラ33)は閉じてニップ状態になる。ここで、ループローラ31のニップに伴い移動する従動ローラ30bは、比較的速い第1速度(例えば、40m/s)で速やかに移動する。
【0053】
次いで、図5(d)に示すように、レジストローラ32の回転駆動により搬送された用紙Pが画像転写部に到達すると、その用紙Pは中間転写ベルト8と二次転写ローラ21とにニップされる。その画像転写部(中間転写ベルト8および二次転写ローラ21)でニップされた用紙Pが中間転写ベルト8に圧接されることで、中間転写ベルト8に一次転写されているトナー像が用紙Pに二次転写されて、画像転写部における画像形成が実行される。
中間転写ベルト8と二次転写ローラ21とで用紙Pがニップされると、レジストローラ32による用紙Pのニップが解除される。ここで、レジストローラ32におけるニップの解除に伴い移動する従動ローラ30bは、比較的速い第1速度(例えば、40m/s)で速やかに移動する。
また、用紙Pのニップを解除した状態のレジストローラ32は、レジストローラ揺動駆動部32c(図2参照)の駆動によって、用紙の搬送方向と直交する方向に揺動されて、次にループローラ31側から搬送されてくる用紙Pをニップするためのホームポジションに戻される。ホームポジションに戻ったレジストローラ32は図5(a)に示すように閉じてニップ状態になる。ここで、レジストローラ32のニップに伴い移動する従動ローラ30bは、比較的速い第1速度(例えば、40m/s)で速やかに移動する。
そして、トナー像が二次転写された用紙Pは定着部22に送給され、そのトナー像が用紙Pに熱定着された後、定着処理を終えた用紙Pが排紙トレイ91に排紙される。
こうして、用紙Pへの画像形成が完了する。
【0054】
以上のように、画像形成装置1の「生産性優先モード」では、画像転写部での画像形成に備えて搬送途中の用紙Pを搬送ローラ対(31、32、33)でニップ可能とするように比較的速い第1速度で従動ローラ30bを駆動ローラ30aに接触させる方向に移動させるとともに、搬送途中の用紙Pの搬送ローラ対(31、32、33)によるニップを解除する際に比較的速い第1速度で従動ローラ30bを駆動ローラ30aから離間させる方向に移動させる。
このように比較的速い第1速度で従動ローラ30bを移動させることで、用紙Pをニップしたり解除したりする動作を速やかに行うことを可能にし、単位時間当たりのプリント可能枚数をより多くする生産性を重視した画像形成を行うことができる。
こうして、単位時間当たりのプリント可能枚数をより多くして、生産性を重視した良好な画像形成が可能になる。
【0055】
次に、「画質優先モード」における搬送部30の動作について、図5に基づいて説明する。
【0056】
画像形成装置1の操作部40において、「画質優先モード」を選択する操作や、厚紙が収容されている給紙トレイ(例えば給紙トレイ25b)を選択する操作がなされることで、画像形成装置1の搬送部30は「画質優先モード」で動作するように制御される。
そして、画像形成装置1においてコピーやプリントの実行指示がなされると、給紙トレイから用紙Pが搬送路Rに送給され、その用紙Pを給紙用ローラ33がニップして画像転写部(中間転写ベルト8および二次転写ローラ21)に向けて搬送する。
【0057】
次いで、図5(a)に示すように、給紙用ローラ33によって搬送された用紙Pがループローラ31に到達すると、ループローラ31と給紙用ローラ33で用紙Pをニップして搬送する。
【0058】
次いで、図5(b)に示すように、ループローラ31を通過した用紙Pは、停止した状態のレジストローラ32に突き当たる。
そして、そのレジストローラ32に突き当たった用紙Pは、さらにループローラ31により搬送されることで湾曲し、レジストローラ32のニップ線に倣って斜行が矯正される。
【0059】
次いで、図5(c)に示すように、レジストローラ32が回転駆動することで、レジストローラ32に用紙Pがニップされると、ループローラ31による用紙Pのニップが解除される。なお、例えば、A3サイズなどの長い用紙Pであって、レジストローラ32にニップされた用紙Pが給紙用ローラ33にまで亘っている場合、給紙用ローラ33による用紙Pのニップも解除される。ここで、ループローラ31や給紙用ローラ33におけるニップの解除に伴い移動する従動ローラ30bは、比較的遅い第2速度(例えば、15m/s)でゆっくり移動する。
そして、レジストローラ32は、レジストローラ揺動駆動部32c(図2参照)の駆動によって、画像形成に備えて搬送途中の用紙Pを挟持しながら用紙の搬送方向と直交する方向に揺動して、中間転写ベルト8に一次転写されたトナー像に対する用紙Pの位置調整を行う。
なお、レジストローラ32の揺動動作の終了後、ループローラ31(給紙用ローラ33)は閉じてニップ状態になる。ここで、ループローラ31のニップに伴い移動する従動ローラ30bは、比較的比較的遅い第2速度(例えば、15m/s)でゆっくり移動する。
【0060】
次いで、図5(d)に示すように、レジストローラ32の回転駆動により搬送された用紙Pが画像転写部に到達すると、その用紙Pは中間転写ベルト8と二次転写ローラ21とにニップされる。その画像転写部(中間転写ベルト8および二次転写ローラ21)でニップされた用紙Pが中間転写ベルト8に圧接されることで、中間転写ベルト8に一次転写されているトナー像が用紙Pに二次転写されて、画像転写部における画像形成が実行される。
中間転写ベルト8と二次転写ローラ21とで用紙Pがニップされると、レジストローラ32による用紙Pのニップが解除される。ここで、レジストローラ32におけるニップの解除に伴い移動する従動ローラ30bは、比較的遅い第2速度(例えば、15m/s)でゆっくり移動する。
また、用紙Pのニップを解除した状態のレジストローラ32は、レジストローラ揺動駆動部32c(図2参照)の駆動によって、用紙の搬送方向と直交する方向に揺動されて、次にループローラ31側から搬送されてくる用紙Pをニップするためのホームポジションに戻される。ホームポジションに戻ったレジストローラ32は図5(a)に示すように閉じてニップ状態になる。ここで、レジストローラ32のニップに伴い移動する従動ローラ30bは、比較的遅い第2速度(例えば、15m/s)でゆっくり移動する。
そして、トナー像が二次転写された用紙Pは定着部22に送給され、そのトナー像が用紙Pに熱定着された後、定着処理を終えた用紙Pが排紙トレイ91に排紙される。
こうして、用紙Pへの画像形成が完了する。
【0061】
以上のように、画像形成装置1の「画質優先モード」では、画像転写部での画像形成に備えて搬送途中の用紙Pを搬送ローラ対(31、32、33)でニップ可能とするように比較的遅い第2速度で従動ローラ30bを駆動ローラ30aに接触させる方向に移動させるとともに、搬送途中の用紙Pの搬送ローラ対(31、32、33)によるニップを解除する際に比較的遅い第2速度で従動ローラ30bを駆動ローラ30aから離間させる方向に移動させる。
このように比較的遅い第2速度で従動ローラ30bをゆっくり移動させることで、用紙Pをニップしたり解除したりする動作を穏やかに行うことを可能にし、従動ローラ30bが駆動ローラ30aに突き当たる際の振動や、従動ローラ30bが駆動ローラ30aから離間して止まる際の振動を低減するようにして、画像形成の妨げになる振動を抑え、画質の向上を重視した画像形成を行うことができる。
こうして、画像形成の妨げになる振動を抑えて、画質の向上を図った良好な画像形成が可能になる。
【0062】
以上のように、本発明に係る画像形成装置1は、「生産性優先モード」と「画質優先モード」を選択して、各モードに応じた画像形成を実行することができる。
そして、「生産性優先モード」を選択して画像形成を実行した場合には、比較的速い第1速度で従動ローラ30bを移動させることで、用紙Pをニップしたり解除したりする動作を速やかに行うことを可能にし、単位時間当たりのプリント可能枚数をより多くする生産性を重視した画像形成を行うことができる。
また、「画質優先モード」を選択して画像形成を実行した場合には、比較的遅い第2速度で従動ローラ30bをゆっくり移動させることで、用紙Pをニップしたり解除したりする動作を穏やかに行うことを可能にし、従動ローラ30bが駆動ローラ30aに突き当たる際の振動や、従動ローラ30bが駆動ローラ30aから離間して止まる際の振動を低減するようにして、画像形成の妨げになる振動を抑え、画質の向上を重視した画像形成を行うことができる。
このように、本発明に係る画像形成装置1は、「生産性優先モード」を選択して実行することにより、単位時間当たりのプリント可能枚数をより多くし生産性を重視した良好な画像形成が可能になるとともに、「画質優先モード」を選択して実行することにより、画像形成の妨げになる振動を抑えて画質の向上を図った良好な画像形成が可能になる。
【0063】
なお、上述した実施形態では、レジストローラ32とループローラ31と給紙用ローラ33のニップとその解除における駆動ローラ30aに対する従動ローラ30bの移動速度を変更する制御によって「生産性優先モード」と「画質優先モード」を切り替えるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、画像転写部(中間転写ベルト8および二次転写ローラ21)に最も近い(最も画像転写部寄り)レジストローラ32におけるニップとその解除による振動が、特に画像形成に影響を及ぼすという場合には、そのレジストローラ32のみに駆動ローラ30aに対する従動ローラ30bの移動速度を変更する制御を行うようにして「生産性優先モード」と「画質優先モード」を切り替えるようにしてもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、「生産性優先モード」を選択した際、比較的速い第1速度で従動ローラ30bを移動させることで、用紙Pをニップしたり解除したりする両方の動作を速やかに行うようにし、また、「画質優先モード」を選択した際、比較的遅い第2速度で従動ローラ30bをゆっくり移動させることで、用紙Pをニップしたり解除したりする両方の動作を穏やかに行うようにしたが、搬送ローラ対によるニップを解除する際に従動ローラ30bを駆動ローラ30aから離間させる方向に移動させる速度と、搬送ローラ対でニップ可能に従動ローラ30bを駆動ローラ30aに接触させる方向に移動させる速度の、少なくとも一方の速度を変更させるようにしてもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、用紙Pの坪量に応じて一般紙と厚紙とに区分し、その一般紙を用いる場合に「生産性優先モード」を選択し、厚紙を用いる場合に「画質優先モード」を選択するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、A3サイズなどの比較的長い用紙Pと、B5サイズなどの比較的短い用紙Pとを区分して、比較的長い用紙Pを用いる場合に「生産性優先モード」を選択し、比較的短い用紙Pを用いる場合に「画質優先モード」を選択するようにしてもよい。
A3サイズなどの比較的長い用紙Pに画像形成処理を施す場合、画像転写部(中間転写ベルト8および二次転写ローラ21)を通過した用紙Pが定着部22のローラ対にニップされた後に、レジストローラ32におけるニップの解除がなされるようになる。画像転写部と定着部22との二箇所でローラ対にニップされている用紙Pは安定しているので、従動ローラ30bの移動に伴う振動の影響を受け難く、その振動を画像形成装置1の各部に伝播させてしまうことはない。それにより比較的長い用紙Pを用いる場合に「生産性優先モード」を選択し、従動ローラ30bを第1速度で移動させる制御が可能になり、生産性を重視した良好な画像形成が可能になる。
これに対し、B5サイズなどの比較的短い用紙Pに画像形成処理を施す場合、画像転写部(中間転写ベルト8および二次転写ローラ21)を通過した用紙Pが定着部22のローラ対にニップされる前に、レジストローラ32におけるニップの解除がなされるようになる。画像転写部と定着部22との二箇所でローラ対にニップされることなく、画像転写部のみでニップされている用紙Pは従動ローラ30bの移動に伴う振動の影響を受け易く、その振動を画像形成装置1の各部に伝播させてしまいやすい。そのため、比較的短い用紙Pを用いる場合には「画質優先モード」を選択し、従動ローラ30bを比較的遅い第2速度で移動させるようにして、画像形成の妨げになる振動を抑える画像形成を行うことが好ましい。
【0066】
また、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
8 中間転写ベルト(画像転写部)
10 画像読取部
20 画像形成部
21 二次転写ローラ(画像転写部)
25 用紙収容部
30 搬送部
31 ループローラ(搬送ローラ対)
31b ループローラ圧着切替部
32 レジストローラ(搬送ローラ対)
32b レジストローラ圧着切替部
33 給紙用ローラ(搬送ローラ対)
33b 給紙用ローラ圧着切替部
34 引張りコイルばね
35 接離部材
36 回動軸
37 リンク部材
38 偏心カム
39 ステッピングモータ軸
40 操作部
50 制御部
P 用紙
R 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙への画像形成を行う画像形成部と、
第1ローラと第2ローラとを有し、該第1ローラが該第2ローラに対して相対的に移動可能であり、用紙をニップして前記画像形成部に向けて搬送する搬送ローラ対と、
前記画像形成部による画像形成が行われている際に、前記第1ローラを前記第2ローラから離間させる方向に移動させる速度と、前記第1ローラを前記第2ローラに接触させる方向に移動させる速度の、少なくとも一方の速度を変更させる制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1ローラを前記第2ローラから離間させる方向に移動させる速度を、第1速度、または第1速度とは異なる第2速度に変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1ローラを前記第2ローラに接触させる方向に移動させる速度を、第3速度、または第3速度とは異なる第4速度に変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1速度は前記第2速度よりも速く、前記第3速度は前記第4速度よりも速く、
前記第1ローラを前記第2ローラから離間させる方向に移動させる速度を前記第1速度とし、かつ前記第1ローラを前記第2ローラに接触させる方向に移動させる速度を前記第3速度とする生産性優先モードと、
前記第1ローラを前記第2ローラから離間させる方向に移動させる速度を前記第2速度とし、かつ前記第1ローラを前記第2ローラに接触させる方向に移動させる速度を前記第4速度とする画質優先モードと、を備え、
前記制御部は、前記生産性優先モードと前記画質優先モードの何れかのモードに切り替えて画像形成を実行することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送ローラ対は、前記用紙を収容している用紙収容部から前記画像形成部に向う搬送路において最も前記画像形成部寄りにある搬送ローラ対であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記用紙の種類に応じて、前記生産性優先モードと前記画質優先モードとを切り替えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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