説明

画像形成装置

【課題】 用紙の良好な搬送状態を維持しつつ、良好な紙粉除去を行い得る構成を提供すること。
【解決手段】 紙粉除去ローラから紙粉を掻き落とすための紙粉掻き落とし部材を支持する支持部材が、紙粉収容ボックスに揺動可能に支持されるとともに、紙粉除去ローラを回転可能に支持する紙粉除去ローラ軸受が、紙粉収容ボックスに係止される。また、紙粉収容ボックスは、フレームによって揺動可能に支持されている。さらに、紙粉除去ローラ軸受は、フレームに対して、紙粉除去ローラと駆動ローラとの軸間方向にスライド可能に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録媒体を搬送しつつ、当該記録媒体上に画像形成を行うように構成された、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンタ等の画像形成装置においては、給紙トレイ(給紙カセット)に積載されたシート状の用紙(記録媒体)が、給紙ローラによってピックアップされ、画像形成部に向かって搬送される。画像形成部においては、静電潜像担持体(感光体ドラム)に形成された静電潜像がトナーによって現像され、かかる現像により静電潜像担持体上に担持された可視像(トナー像)が用紙に転写されることで、用紙に所定の画像が形成される。
【0003】
ここで、画像形成部に向かって搬送される用紙上には、紙粉が付着していることがある。この紙粉は、給紙トレイに積載されている状態ですでに用紙上に付着していたり、用紙搬送中(例えば給紙ローラによるピックアップ等の際)の摩擦により発生したりする。そこで、かかる画像形成装置においては、通常、このような紙紛を除去するための機構が、用紙搬送方向における画像形成部の手前側に設けられている。
【0004】
この種の紙粉除去機構として、用紙の斜行矯正のためのレジストローラ対に設けられたものが従来知られている(例えば、特開平6−336348号公報や特開2011−32057号公報等参照。)。かかる構成においては、レジストローラ対のうちの一方である紙粉除去ローラによって用紙上の紙粉が除去され、これにより紙粉除去ローラに付着した紙粉がさらに所定の掻き落とし手段によって掻き落とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の画像形成装置において、幅広い種類の用紙の使用を許容するためには、レジストローラ対が互いに相対的に軸間方向にスライド可能になっていることが必要である。ここで、レジストローラ対のうちの一方を軸間方向に可動にする場合、用紙の搬送精度等を考慮すると、紙粉除去ローラを他方のローラに対して軸間方向に移動可能に構成することが望ましい。
【0006】
このように紙粉除去ローラをレジストローラ対の軸間方向に可動に構成すると、紙粉除去ローラと上述の掻き落とし手段との位置関係が変動することで紙粉除去ローラ上の紙粉が良好に掻き落とされなくなったり、掻き落とした紙粉が紙粉除去機構の外部に漏出したりする等の不具合が生じる可能性がある。本発明は、このような課題に対処するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、用紙の良好な搬送状態を維持しつつ、良好な紙粉除去を行い得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、シート状の記録媒体を搬送しつつ、当該記録媒体上に画像形成を行うように構成されている。具体的には、この画像形成装置は、レジストローラ対と、紙粉掻き落とし部材と、紙粉収容ボックスと、紙粉除去ローラ軸受と、支持部材と、フレームと、を備えている。
【0008】
前記レジストローラ対は、駆動ローラと、紙粉除去ローラと、を備えている。前記駆動ローラは、前記記録媒体を画像形成部に向かって搬送するために回転駆動されるローラ状の部材であって、周囲にゴム層を有している。前記紙粉除去ローラは、前記記録媒体に付着した紙粉を除去するための平滑な周面を有していて、前記駆動ローラと対向配置されている。そして、前記レジストローラ対は、前記駆動ローラと前記紙粉除去ローラとが互いに最近接する部位に前記記録媒体の先端が当接することで前記記録媒体の斜行を矯正するように設けられている。
【0009】
前記紙粉掻き落とし部材は、前記紙粉除去ローラの前記周面と当接することで当該周面上に付着した前記紙粉を掻き落とすために、当該周面と対向配置されている。前記紙粉収容ボックスは、前記紙粉除去ローラの回転中心軸と直交するように設けられた平板状の側板と、前記回転中心軸方向に沿って外側へ突出するように設けられた突起(例えば、前記側板から外側に突出するように設けられた円柱状のピン部材)と、を少なくとも備えていて、前記紙粉掻き落とし部材によって掻き落とされた前記紙粉を収容するように箱状に形成されている。
【0010】
すなわち、前記紙粉収容ボックスは、前記紙粉除去ローラの前記周面と前記紙粉掻き落とし部材とが当接する部位にて当該周面から掻き落とされた前記紙粉を下方から受けるように設けられている。具体的には、前記紙粉収容ボックスは、さらに、前記紙粉掻き落とし部材及び前記紙粉除去ローラの下方にて一対の前記側板の間に架け渡されるように設けられた底板と、前記底板と一対の前記側板とで囲まれた空間における前記紙粉除去ローラよりも前記紙粉掻き落とし部材側の端部を塞ぐように前記底板及び前記側板と接続された前面板と、を備えている。
【0011】
前記紙粉除去ローラ軸受は、前記紙粉収容ボックスにおける前記側板に挿通されるとともに当該側板に対して前記回転中心軸方向に相対移動不能に係止されることで、前記紙粉除去ローラを前記紙粉収容ボックス内にて回転可能に支持するように構成されている。前記支持部材は、前記紙粉収容ボックス内に収容されている。前記支持部材は、前記回転中心軸と平行な揺動中心軸を中心として揺動可能に、前記紙粉収容ボックスに支持されている。そして、前記支持部材における前記揺動中心軸から離隔した位置にて、前記紙粉掻き落とし部材が支持されている。
【0012】
前記フレームは、前記紙粉収容ボックスの前記突起を前記回転中心軸から前記揺動中心軸に向かう方向に沿ってスライド可能且つ回動可能に支持するボックス突起支持部(例えば、前記回転中心軸から前記揺動中心軸に向かう方向に沿って設けられていて、前記ピン部材をスライド可能且つ回動可能に収容するように形成された溝)によって、前記紙粉収容ボックスを揺動可能に支持するようになっている。また、前記フレームは、前記駆動ローラを回転中心が移動しないように回転可能に支持し、且つ前記紙粉除去ローラ軸受を前記駆動ローラと前記紙粉除去ローラとの軸間方向にスライド可能に支持するようになっている。
【0013】
本発明の画像形成装置は、前記支持部材を前記紙粉除去ローラに向けて付勢することで前記紙粉掻き落とし部材を前記紙粉除去ローラの前記周面に当接させるための付勢手段をさらに備えていてもよい。この付勢手段は、前記紙粉収容ボックスと前記支持部材との間に設けられている。
【0014】
前記駆動ローラ、前記紙粉除去ローラ、及び前記紙粉掻き落とし部材は、前記画像形成部にて画像形成可能な最大サイズの前記記録媒体の幅に対応するように設けられ得る。
【発明の効果】
【0015】
かかる構成を備えた、本発明の画像形成装置においては、前記支持部材が前記紙粉収容ボックスに揺動可能に支持されるとともに、前記紙粉除去ローラを回転可能に支持する前記紙粉除去ローラ軸受が前記紙粉収容ボックスに係止される。これにより、前記紙粉掻き落とし部材を支持する前記支持部材と、前記紙粉除去ローラとが、前記紙粉収容ボックスを介して実質的に結合されるとともに、前記紙粉除去ローラの前記周面と前記紙粉掻き落とし部材とが当接する部位が前記紙粉収容ボックスによって下方から覆われる。
【0016】
そして、この状態で、前記紙粉除去ローラ軸受が前記軸間方向にスライドすることで、前記紙粉掻き落とし部材が前記紙粉除去ローラの前記周面から良好に前記紙粉を掻き落とせるように当接した状態、及び、前記紙粉除去ローラの前記周面と前記紙粉掻き落とし部材とが当接する部位が前記紙粉収容ボックスによって下方から覆われた状態が、ともに良好に維持されつつ、前記紙粉除去ローラが前記ゴムローラに対して前記軸間方向に沿って相対移動することが可能になる。
【0017】
したがって、本発明によれば、前記記録媒体の良好な搬送状態を維持しつつ、良好な紙粉除去を行い得る構成を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態であるカラーレーザープリンタの概略的な構成を示す側断面図である。
【図2】図1に示されている給紙部の要部の斜視図である。
【図3】図1に示されている給紙部の要部であってレジストローラ対の周辺の斜視図である。
【図4】図1に示されている給紙部の要部であってレジストローラ対の周辺の斜視図である。
【図5】図3及び図4に示されている紙粉除去ローラ軸受を拡大した斜視図である。
【図6】図4に示されている紙粉収容ボックスに紙粉除去ローラ軸受を装着する際の様子を示す斜視図である。
【図7】図6に示されている紙粉除去ローラ軸受の周辺を拡大した斜視図である。
【図8】図4に示されている紙粉除去ローラ軸受の周辺を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
<カラーレーザープリンタの全体構成>
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるカラーレーザープリンタ1の概略的な構成を示す側断面図である。以下、図1における左側(図中y軸負側)を、当該カラーレーザープリンタ1の「前面」側と称し、図1における右側(図中y軸正側)を、当該カラーレーザープリンタ1の「背面」側と称する。また、図1における上下方向(図中z軸方向)を、当該カラーレーザープリンタ1の「高さ方向」又は「上下方向」と称し、図1における左右方向(図中y軸方向)を、当該カラーレーザープリンタの「前後方向」と称する。さらに、図1の紙面と垂直な方向(図中x軸方向)を、当該カラーレーザープリンタ1の「幅方向」あるいは「用紙幅方向」と称する。
【0021】
本実施形態のカラーレーザープリンタ1は、シート状の用紙Pを用紙搬送経路PPに沿って搬送しつつ、当該用紙P上に乾式現像剤としてのトナーによる多色画像を形成可能に構成されている(なお、用紙搬送経路PP上の任意の位置における接線方向であて、用紙Pが搬送される方向を、以下、「用紙搬送方向」と称する。)。具体的には、このカラーレーザープリンタ1は、給紙部2と、画像形成部3(ブラック画像形成部3K,イエロー画像形成部3Y,マゼンタ画像形成部3M,及びシアン画像形成部3C)と、転写部4と、定着部5と、を備えている。画像形成部3、転写部4、及び定着部5は、カラーレーザープリンタ1の本体部10内に収容されている。
【0022】
ブラック画像形成部3K,イエロー画像形成部3Y,マゼンタ画像形成部3M,及びシアン画像形成部3Cは、互いに並列に設けられていて、この順に前面側から背面側に向かって配列されている。ブラック画像形成部3K,イエロー画像形成部3Y,マゼンタ画像形成部3M,及びシアン画像形成部3Cは、それぞれ、ブラック現像用感光体ドラム31K,イエロー現像用感光体ドラム31Y,マゼンタ現像用感光体ドラム31M,及びシアン現像用感光体ドラム31Cを備えている。ブラック現像用感光体ドラム31K,イエロー現像用感光体ドラム31Y,マゼンタ現像用感光体ドラム31M,及びシアン現像用感光体ドラム31Cは、互いに平行に配置されていて、それぞれの周面上に、黒色、イエロー、マゼンタ、及びシアンのトナー像が形成されるようになっている。
【0023】
転写部4は、ブラック現像用感光体ドラム31K,イエロー現像用感光体ドラム31Y,マゼンタ現像用感光体ドラム31M,及びシアン現像用感光体ドラム31Cの下方にて、これらと対向するように配置されている。この転写部4は、無端ベルトである転写ベルト41を備えていて、転写ベルト41の表面に用紙Pを担持させつつ当該表面をイエロー現像用感光体ドラム31Y,マゼンタ現像用感光体ドラム31M,及びシアン現像用感光体ドラム31Cに沿って移動させることで、ブラック現像用感光体ドラム31K,イエロー現像用感光体ドラム31Y,マゼンタ現像用感光体ドラム31M,及びシアン現像用感光体ドラム31Cの周面上のトナー像を用紙P上に転写するように構成されている。
【0024】
定着部5は、転写部4よりも用紙搬送方向における下流側に配置されている。この定着部5は、加熱ローラ51と、加圧ローラ52と、を備えていて、両者の間で用紙Pを挟んで加圧及び加熱しつつ用紙搬送方向に送出することで、用紙P上に転写されたトナー像を当該用紙P上に定着させるように構成されている。
【0025】
<給紙部の構成>
給紙部2は、画像形成部3(用紙搬送方向における最上流に位置するブラック画像形成部3K)と転写部4とが対向する位置に向けて、用紙Pを給送するように構成されている。具体的には、この給紙部2は、給紙カセット201と、用紙押圧板202と、ピックアップローラ203と、分離ローラ204と、を備えている。
【0026】
給紙カセット201は、シート状の用紙Pを積層状態で貯留し得るように形成された箱状の部材であって、その内部には用紙押圧板202が収容されている。用紙押圧板202は、給紙カセット201内に積層保持された用紙Pの前端部(前面側の端部)を上方に付勢するように設けられている。ピックアップローラ203は、用紙押圧板202によって上方に付勢された用紙Pの前端部と当接するように、カラーレーザープリンタ1の底部であって前面寄りの位置に設けられている。このピックアップローラ203は、回転駆動されることで、用紙Pの前端部を用紙搬送方向に送出するようになっている。
【0027】
分離ローラ204は、ピックアップローラ203による用紙Pの前端部の送出先側(給紙カセット201内に積層保持された用紙Pの前面側の端部よりもさらに前面側)にて、ピックアップローラ203と隣接するように設けられている。図2は、図1に示されている給紙部2の要部の斜視図である。図2に示されているように、ピックアップローラ203及び分離ローラ204は、用紙幅方向について、画像形成部3にて画像形成可能な最大サイズの用紙Pの幅(例えば当該最大サイズがA4である場合は210mm)よりも短く形成されていて、当該用紙幅方向における中央寄りの一部分に対応するように設けられている。
【0028】
再び図1を参照すると、分離ローラ204と用紙搬送経路PPを挟んで対向するように、分離パッド205が、分離ローラ204の下方に配置されている。分離パッド205の、分離ローラ204と対向する面は、ゴム等の、用紙よりも摩擦係数が高い材質によって構成されている。この分離パッド205は、下方から図示しないバネによって上方に向けて(すなわち分離ローラ204に向けて)付勢されている。
【0029】
給紙部2は、また、レジストローラ対210を備えている。レジストローラ対210は、ピックアップローラ203及び分離ローラ204よりも上方に設けられている。すなわち、ピックアップローラ203の直下から開始される用紙搬送経路PPが、分離ローラ204と分離パッド205とが対向する位置に向かって一旦前面側に向かった後に、レジストローラ対210に向かって上昇し、さらに、レジストローラ対210の手前で背面側に向かって反転しつつ上昇するように、レジストローラ対210が配置されている。
【0030】
レジストローラ対210は、レジスト駆動ローラ211と、紙粉除去ローラ212と、を備えている。レジスト駆動ローラ211は、周囲にゴム層を有する、いわゆるゴムローラであって、用紙搬送経路PPを挟んで紙粉除去ローラ212と対向するように、紙粉除去ローラ212よりも下方に配置されている。紙粉除去ローラ212は、用紙Pに付着した紙粉を除去するための平滑な周面(具体的にはフッ素系合成樹脂のコーティング面)を有する剛体ローラであって、用紙搬送経路PPよりも上側(すなわち画像形成部3側)に配置されている。
【0031】
レジスト駆動ローラ211及び紙粉除去ローラ212は、レジスト部位RPにて互いに当接するように設けられている。また、レジスト駆動ローラ211及び紙粉除去ローラ212は、図示しない動力伝達機構を介して回転駆動力が伝達されることで、用紙Pを用紙搬送方向に搬送するようになっている。すなわち、レジストローラ対210は、レジスト部位RPにおける用紙Pの先端の当接により用紙Pの斜行を矯正しつつ、用紙Pの画像形成部3と転写部4とが対向する位置に向けて給送されるタイミングを調整するように構成されている。なお、レジスト駆動ローラ211及び紙粉除去ローラ212は、レジスト部位RPを形成可能な部分が、用紙幅方向について、上述の最大サイズの用紙Pの幅に対応するように(具体的には当該幅よりも若干広い幅に)形成されている。
【0032】
紙粉除去ローラ212よりも前面側には、紙粉掻き落としパッド213が、用紙幅方向における全体に亘って紙粉除去ローラ212の周面と当接するように設けられている。紙粉掻き落としパッド213は、紙粉除去ローラ212の周面上に付着した紙粉を掻き落とすように、当該周面と対向配置されている。紙粉掻き落としパッド213は、紙粉除去ローラ212の回転駆動による周面の移動方向における、レジスト部位RPよりも上流側にて、当該周面と当接するように配置されている。
【0033】
図3及び図4は、図1に示されている給紙部2の要部であってレジストローラ対210の周辺の斜視図である。以下、図2〜図4を参照しつつ、本実施形態の給紙部2の要部の構成について詳細に説明する。
【0034】
給紙部2は、各ローラ部材を回転可能に支持するための合成樹脂製のフレーム220を備えている。フレーム220は、ボトムフレーム221と、一対のサイドフレーム222と、を備えている。ボトムフレーム221は、フレーム220における下部にて、用紙幅方向に沿って設けられている。ボトムフレーム221には、分離ローラ204が回転可能に支持されている。また、ピックアップローラ203は、ボトムフレーム221によって、回転可能且つ上下方向に移動可能に支持されている。
【0035】
サイドフレーム222は、用紙幅方向と直交するように立設された板状部材であって、ボトムフレーム221の用紙幅方向における両端部にて互いに平行に配置されている。レジスト駆動ローラ211は、用紙幅方向と平行な回転中心軸が上下方向及び前後方向のいずれにも移動あるいは揺動しないように、サイドフレーム222によって回転可能に支持されている。一方、紙粉除去ローラ212は、レジスト駆動ローラ211と紙粉除去ローラ212との軸間方向(図1における一点鎖線参照)に回転中心軸がスライドし得るように、回転可能に支持されている。以下、紙粉除去ローラ212の支持構成について、さらに詳細に説明する。
【0036】
サイドフレーム222には、ボックスガイド溝223と、軸受ガイド溝224と、が設けられている。ボックスガイド溝223は、用紙幅方向における内側及び前面側に向かって開口する、側面視にて略転倒U字(90度回転させたU字)状の溝であって、長手方向が前後方向に沿うように設けられている。ボックスガイド溝223は、上下方向における幅、及び用紙幅方向における深さが、一定になるように形成されている。軸受ガイド溝224は、側面視にて上述の軸間方向に長手方向を有する略長方形状の貫通孔であって、用紙幅方向にサイドフレーム222を貫通するように設けられている。
【0037】
フレーム220における上部には、紙粉収容ボックス230が、相対移動可能に装着されている。紙粉収容ボックス230は、紙粉除去ローラ212の周面と紙粉掻き落としパッド213とが当接する部位にて当該周面から掻き落とされた紙粉を下方から受けるように設けられている。すなわち、紙粉収容ボックス230は、紙粉掻き落としパッド213によって掻き落とされた紙粉を下方から受けることで収容するとともに、紙粉が掻き落とされた後の紙粉除去ローラ212の周面を下方及び背面側に露出させることでレジスト部位RP(図1参照)にてレジスト駆動ローラ211と用紙搬送経路PPを挟んで対向させるように、上方及び背面側に開口する箱状に形成されている。具体的には、紙粉収容ボックス230は、底板231と、前面板232と、一対の側板233と、を備えている。
【0038】
底板231は、用紙幅方向と平行で且つ上下方向と交差するように設けられた平板状の部材であって、紙粉掻き落としパッド213及び紙粉除去ローラ212の下方にて、一対の側板233の下端部の間に架け渡されるように設けられている。底板231の背面側における端部は、レジスト部位RPにて紙粉除去ローラ212の周面がレジスト駆動ローラ211と対向するように(図1参照)、当該レジスト部位RPよりも前面側に設けられている。
【0039】
前面板232は、底板231の前面側の端部から上方に立設するように、当該端部と接続された、平板状の部材であって、底板231と一対の側板233とで囲まれた空間における前面側の端部(紙粉除去ローラ212よりも紙粉掻き落としパッド213側の端部)を塞ぐように設けられている。側板233は、平板状の部材であって、側面視にて前後方向に長手方向を有する長方形状に形成されている。側板233は、紙粉除去ローラ212の回転中心軸と直交するように(すなわち用紙幅方向と直交するように)設けられている。
【0040】
一対の側板233には、それぞれ、用紙幅方向に沿って外側に向けて突出するように、ボックス突起ピン234が設けられている。ボックス突起ピン234は、ボックスガイド溝223内にて上下方向についてのガタが生じることなくスムーズに前後方向に沿ってスライド可能且つ回転可能に支持されるように形成された円柱状の部材であって、側板233と一体に形成されている。一対のボックス突起ピン234は、側板233の長手方向における中央よりも前面側にて、それぞれの用紙幅方向と平行な中心軸線が互いに一致するように配置されている。
【0041】
また、一対の側板233には、それぞれ、用紙幅方向に沿って貫通する略円形の貫通孔である軸受支持孔235が形成されている。一対の軸受支持孔235は、側板233の長手方向における中央よりも背面側にて、それぞれの用紙幅方向と平行な中心軸線が互いに一致するように設けられている。各軸受支持孔235には、径方向に沿って外側に延出するように、一対の係止片挿通部235aが設けられている。係止片挿通部235aは、側面視にて略矩形状に形成された切り欠き部であって、軸受支持孔235の軸中心に対して対称に設けられている。
【0042】
一対の側板233には、それぞれ、紙粉除去ローラ212を回転可能に支持するための紙粉除去ローラ軸受240が装着されている。紙粉除去ローラ軸受240は、紙粉収容ボックス230における側板233に挿通されるとともに当該側板233に対して紙粉除去ローラ212の回転中心軸方向(用紙幅方向)に実質的に相対移動不能に係止されることで、紙粉除去ローラ212を紙粉収容ボックス230内にて回転可能に支持するように構成されている。また、紙粉除去ローラ軸受240は、紙粉収容ボックス230に装着されて紙粉除去ローラ212を回転可能に支持した状態で、フレーム220(サイドフレーム222)に設けられた軸受ガイド溝224内にて上述の軸間方向にスライド可能に収容されている。
【0043】
図5は、図3及び図4に示されている紙粉除去ローラ軸受240を拡大した斜視図である。以下、図3〜図5を参照しつつ、紙粉除去ローラ軸受240の構成の詳細について説明する。
【0044】
紙粉除去ローラ軸受240は、基端部241と、突出部242と、一対の係止片243と、を備えている。基端部241は、軸受ガイド溝224内にてガタつきなく上述の軸間方向に沿ってスライド可能に支持されるように、立方体状に形成されている。突出部242は、外径が軸受支持孔235の内径と所定の嵌め合い状態となるような寸法(例えば軸受支持孔235の内径の寸法公差がH7である場合に当該内径と同径でh7の寸法公差)に形成された円筒状の部分であって、基端部241から用紙幅方向に沿って内側に突出するように設けられている。
【0045】
一対の係止片243は、突出部242の先端部から径方向における外側に向かって突出するように設けられていて、突出部242の軸中心に対して対称に配置されている。この係止片243は、突出部242を軸受支持孔235に挿通する際に係止片挿通部235aをスムーズに通過して側板233よりも用紙幅方向における内側に位置するとともに、その後に突出部242と側板233とが相対的に回転して係止片挿通部235aとは異なる位置に移動することで側板233の用紙幅方向における内側面と当接するような形状に形成されている。
【0046】
紙粉収容ボックス230内には、紙粉掻き落としパッド213、及びこれを支持するパッド支持部材260が収容されている。パッド支持部材260は、パッド固定板261と、一対の揺動アーム262と、を備えている。パッド固定板261は、用紙幅方向に沿って長尺状に形成された板状の部材である。このパッド固定板261には、紙粉掻き落としパッド213が固定されている。
【0047】
揺動アーム262は、パッド固定板261の長手方向における端部から上方に延出するように設けられた平板状の部材であって、側板233と対向するように配置されている。具体的には、揺動アーム262は、パッド固定板261の長手方向における端部から外側に延出するように当該パッド固定板261と一体的に設けられた舌片状の部分を上方に屈曲することによって形成されている。この揺動アーム262は、用紙幅方向と平行な揺動支持ピン270を介して、側板233によって揺動可能に支持されている。すなわち、パッド支持部材260は、揺動支持ピン270を揺動中心軸として、当該揺動支持ピン270から離隔した位置にて紙粉掻き落としパッド213を揺動可能に支持するようになっている。
【0048】
図3を参照すると、紙粉収容ボックス230における前面板232と、パッド支持部材260におけるパッド固定板261と、の間には、付勢バネ280が装着されている。この付勢バネ280は、パッド固定板261を紙粉除去ローラ212に向けて付勢することで、紙粉掻き落としパッド213を紙粉除去ローラ212の周面に当接させるように設けられている。
【0049】
<実施形態の構成による作用・効果>
以下、本実施形態の構成による作用・効果を、各図面を参照しつつ説明する。
【0050】
図6は、図4に示されている紙粉収容ボックス230に紙粉除去ローラ軸受240を装着する際の様子を示す斜視図である。図7は、図6に示されている紙粉除去ローラ軸受240の周辺を拡大した斜視図である。図8は、図4に示されている紙粉除去ローラ軸受240の周辺を拡大した斜視図である。以下、図4〜図8を参照しつつ、本実施形態における紙粉収容ボックス230に対する紙粉除去ローラ軸受240の装着動作について説明する。
【0051】
まず、紙粉収容ボックス230における軸受支持孔235側をレジスト駆動ローラ211から離隔するように持ち上げた状態で、紙粉除去ローラ軸受240が、係止片243側が用紙幅方向における内側に向く状態で、軸受ガイド溝224の外側から挿入される(図6及び図7参照)。これにより、紙粉除去ローラ212の回転中心軸方向における両端部が、紙粉除去ローラ軸受240と相対的に回転可能に係合する。このとき、係止片243が係止片挿通部235aを通過して側板233の内側に位置した状態で紙粉除去ローラ軸受240における突出部242が側板233に挿通されるとともに、紙粉除去ローラ軸受240における基端部241が軸受ガイド溝224内にスライド可能に収容される。
【0052】
その後、紙粉除去ローラ軸受240を、軸受ガイド溝224に沿って下降させる。これにより、紙粉収容ボックス230は、ボックスガイド溝223内に収容されたボックス突起ピン234を中心として回転する(なお、このとき、ボックス突起ピン234は、ボックスガイド溝223に沿って、前面側にスライドする。)。すると、突出部242と側板233とが相対的に回転することで、係止片243が、係止片挿通部235aとは異なる位置に移動(回転)する(図4及び図8参照)。これにより、紙粉除去ローラ軸受240が、側板233に対して用紙幅方向に実質的に相対移動不能に係止される(些細な「ガタ」が生じることはあり得るが、事実上、紙粉除去ローラ212の回転中心軸方向について固定的に係止される。)。
【0053】
上述のようにして、紙粉収容ボックス230に紙粉除去ローラ軸受240が装着され、且つ紙粉除去ローラ212が紙粉収容ボックス230に収容されつつ回転可能に支持された状態において、フレーム220は、紙粉収容ボックス230におけるボックス突起ピン234を、紙粉除去ローラ212の回転中心軸からパッド支持部材260の揺動中心軸(揺動支持ピン270)に向かう方向に沿ってスライド可能且つ回動可能に支持している。また、フレーム220は、紙粉収容ボックス230に装着された紙粉除去ローラ軸受240を、軸受ガイド溝224によって上述の軸間方向に沿ってスライド可能に支持している。したがって、紙粉除去ローラ212は、フレーム220によって、回転可能且つ通過する用紙Pの厚さに応じて上述の軸間方向に沿ってスムーズにスライド可能に支持される。
【0054】
ここで、上述の通り、本実施形態の構成においては、パッド支持部材260が紙粉収容ボックス230に揺動可能に支持されるとともに、紙粉除去ローラ212を回転可能に支持する紙粉除去ローラ軸受240が紙粉収容ボックス230に係止される。このため、紙粉掻き落としパッド213を支持するパッド支持部材260と、紙粉除去ローラ212(紙粉除去ローラ軸受240)とが、紙粉収容ボックス230を介して実質的に結合されるとともに、紙粉除去ローラ212の周面と紙粉掻き落としパッド213とが当接する部位が紙粉収容ボックス230によって側方、前方、及び下方の三方から覆われる。
【0055】
これにより、紙粉掻き落としパッド213を紙粉除去ローラ212の周面に対して用紙幅方向について良好に当接させることができ、以て紙粉除去ローラ212の周面から紙粉が良好に掻き落とされる。また、紙粉掻き落としパッド213によって掻き落とされた紙粉が紙粉収容ボックス230の外部に漏出することが、可及的に抑制される。
【0056】
そして、紙粉除去ローラ212の周面と紙粉掻き落としパッド213とが良好に当接した状態で、紙粉除去ローラ軸受240が上述の軸間方向にスライドする。このため、紙粉掻き落としパッド213が紙粉除去ローラ212の周面から良好に紙粉を掻き落とせるように当接した状態、及び、紙粉除去ローラ212の周面と紙粉掻き落としパッド213とが当接する部位が紙粉収容ボックス230によって覆われた状態が、ともに良好に維持されつつ、紙粉除去ローラ212がレジスト駆動ローラ211に対して上述の軸間方向に沿って相対移動することが可能になる。したがって、本実施形態の構成によれば、用紙Pの良好な搬送状態を維持しつつ、良好な紙粉除去を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0057】
1 カラーレーザープリンタ 10 本体部
2 給紙部 201 給紙カセット
202 用紙押圧板 203 ピックアップローラ
204 分離ローラ 205 分離パッド
210 レジストローラ対 211 レジスト駆動ローラ
212 紙粉除去ローラ 213 紙粉掻き落としパッド
220 フレーム 221 ボトムフレーム
222 サイドフレーム 223 ボックスガイド溝
224 軸受ガイド溝
230 紙粉収容ボックス
231 底板 232 前面板
233 側板 234 ボックス突起ピン
235 軸受支持孔 235a 係止片挿通部
240 紙粉除去ローラ軸受 241 基端部
242 突出部 243 係止片
260 パッド支持部材
261 パッド固定板 262 揺動アーム
270 揺動支持ピン 280 付勢バネ
3 画像形成部
P 用紙 PP 用紙搬送経路
RP レジスト部位
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開平6−336348号公報
【特許文献2】特開2011−32057号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の記録媒体を搬送しつつ、当該記録媒体上に画像形成を行うように構成された、画像形成装置において、
前記記録媒体を画像形成部に向かって搬送するために回転駆動されるローラ状の部材であって周囲にゴム層を有する駆動ローラと、前記記録媒体に付着した紙粉を除去するための平滑な周面を有していて前記駆動ローラと対向配置された紙粉除去ローラと、を備えていて、互いに最近接する部位に前記記録媒体の先端が当接することで前記記録媒体の斜行を矯正するように設けられた、レジストローラ対と、
前記紙粉除去ローラの前記周面と当接することで当該周面上に付着した前記紙粉を掻き落とすために、当該周面と対向配置された、紙粉掻き落とし部材と、
前記紙粉除去ローラの回転中心軸と直交するように設けられた平板状の側板と、前記側板から外側に突出するように設けられた円柱状のピン部材と、を少なくとも備えていて、前記紙粉掻き落とし部材によって掻き落とされた前記紙粉を収容するように箱状に形成された、紙粉収容ボックスと、
前記紙粉収容ボックスにおける前記側板に挿通されるとともに当該側板に対して前記回転中心軸方向に相対移動不能に係止されることで、前記紙粉除去ローラを前記紙粉収容ボックス内にて回転可能に支持するように構成された、紙粉除去ローラ軸受と、
前記紙粉収容ボックス内に収容されているとともに前記回転中心軸と平行な揺動中心軸を中心として揺動可能に前記紙粉収容ボックスに支持されていて、前記揺動中心軸から離隔した位置にて前記紙粉掻き落とし部材を支持する、支持部材と、
前記回転中心軸から前記揺動中心軸に向かう方向に沿って設けられ前記ピン部材をスライド可能且つ回動可能に収容する溝によって前記紙粉収容ボックスを揺動可能に支持するとともに、前記駆動ローラを回転中心が移動しないように回転可能に支持し、且つ前記紙粉除去ローラ軸受を前記駆動ローラと前記紙粉除去ローラとの軸間方向にスライド可能に支持する、フレームと、
を備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
シート状の記録媒体を搬送しつつ、当該記録媒体上に画像形成を行うように構成された、画像形成装置において、
前記記録媒体を画像形成部に向かって搬送するために回転駆動されるローラ状の部材であって周囲にゴム層を有する駆動ローラと、前記記録媒体に付着した紙粉を除去するための平滑な周面を有していて前記駆動ローラと対向配置された紙粉除去ローラと、を備えていて、互いに最近接する部位に前記記録媒体の先端が当接することで前記記録媒体の斜行を矯正するように設けられた、レジストローラ対と、
前記紙粉除去ローラの前記周面と当接することで当該周面上に付着した前記紙粉を掻き落とすために、当該周面と対向配置された、紙粉掻き落とし部材と、
前記紙粉除去ローラの回転中心軸と直交するように設けられた平板状の側板と、前記回転中心軸方向に沿って外側へ突出するように設けられた突起と、を少なくとも備えていて、前記紙粉掻き落とし部材によって掻き落とされた前記紙粉を収容するように箱状に形成された、紙粉収容ボックスと、
前記紙粉収容ボックスにおける前記側板に挿通されるとともに当該側板に対して前記回転中心軸方向に相対移動不能に係止されることで、前記紙粉除去ローラを前記紙粉収容ボックス内にて回転可能に支持するように構成された、紙粉除去ローラ軸受と、
前記紙粉収容ボックス内に収容されているとともに前記回転中心軸と平行な揺動中心軸を中心として揺動可能に前記紙粉収容ボックスに支持されていて、前記揺動中心軸から離隔した位置にて前記紙粉掻き落とし部材を支持する、支持部材と、
前記紙粉収容ボックスの前記突起を前記回転中心軸から前記揺動中心軸に向かう方向に沿ってスライド可能且つ回動可能に支持するボックス突起支持部によって前記紙粉収容ボックスを揺動可能に支持するとともに、前記駆動ローラを回転中心が移動しないように回転可能に支持し、且つ前記紙粉除去ローラ軸受を前記駆動ローラと前記紙粉除去ローラとの軸間方向にスライド可能に支持する、フレームと、
を備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の、画像形成装置において、
前記支持部材を前記紙粉除去ローラに向けて付勢することで前記紙粉掻き落とし部材を前記紙粉除去ローラの前記周面に当接させるように、前記紙粉収容ボックスと前記支持部材との間に設けられた、付勢手段
をさらに備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の、画像形成装置であって、
前記駆動ローラ、前記紙粉除去ローラ、及び前記紙粉掻き落とし部材は、前記画像形成部にて画像形成可能な最大サイズの前記記録媒体の幅に対応するように設けられたことを特徴とする、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−206805(P2012−206805A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72346(P2011−72346)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】