説明

画像形成装置

【課題】記録メディアにおけるプラテン上からはみ出た部分の平面性を維持することにより、画像の形成精度を向上させることができる画像消形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、記録メディアWKの一部を載置するプラテン101と、プラテン101上に載置された記録メディアWKを搬送するグリッドローラ102と、プラテン101に対向配置されて記録メディアWKの搬送方向に直交する方向に変位しながら記録メディアWKの表面に画像を形成する画像形成キャリッジ105と、プラテン101に対して記録メディアWKの搬送方向の上流側および下流側に配置されて搬送される記録メディアWKの他の一部を支持する記録メディア支持テーブル112と、記録メディア支持テーブル112上を搬送される記録メディアWKを同記録メディア支持テーブル112上にて押える記録メディア押さえ機構120を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録メディアの表面に所望する画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シート状または板状の記録メディアの表面に印刷または切抜き加工によって所望する画像を形成する画像形成装置がある。画像形成装置は、一般に、プラテン上に保持した記録メディアを所定の搬送方向に変位させながら、画像を印刷するための印刷ヘッドまたは画像を切断するためのカッティングヘッドを記録メディアの搬送方向に直交する方向に往復変位させることにより画像の印刷または切断を行う。
【0003】
このような画像形成装置においては、プラテン上に保持された記録メディアのうち、同プラテン上からはみ出た部分を支持するための記録メディア支持テーブルを備えたものがある。例えば、下記特許文献1には、プラテンに対して記録メディアの搬送方向の上流側および下流側に記録メディア支持テーブルを着脱自在に備えた画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−201107号公報
【0005】
しかしながら、このような画像形成装置においては、記録メディア支持テーブルはプラテン上からはみ出た記録メディアを単に載置した状態で支持するのみであるため、反りなどにより平面性が損なわれた記録メディア、特に板状の記録メディアに対する画像の形成精度が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、記録メディアにおけるプラテン上からはみ出た部分の平面性を維持することにより、画像の形成精度を向上させることができる画像消形成装置を提供することにある。
【発明の概要】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、記録メディアの一部を載置するプラテンと、プラテン上に載置された記録メディアを搬送する搬送手段と、プラテンに対向配置されて搬送手段による記録メディアの搬送方向に直交する方向に変位しながら、プラテン上に載置された記録メディアの表面に画像を形成する画像形成手段と、プラテンに対して記録メディアの搬送方向の上流側および下流側のうちの少なくとも一方に配置されて前記搬送される記録メディアの他の一部を支持する記録メディア支持テーブルとを備えた画像形成装置において、記録メディア支持テーブル上を搬送される記録メディアを同記録メディア支持テーブル上にて押える記録メディア押さえ手段を備えたことにある。
【0008】
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、画像形成装置は、記録メディアにおけるプラテン上からはみ出た部分を記録メディア支持テーブル上で押える記録メディア押え手段を備えている。これにより、画像形成装置は、記録メディアにおけるプラテン上からはみ出た部分を押えて平面形状を維持しながら画像形成を行うことができるため、画像の形成精度を向上させることができる。
【0009】
また、請求項2に係る本発明の他の特徴は、前記画像形成装置において、記録メディア支持テーブルは、少なくとも記録メディアの搬送方向下流側に設けられており、記録メディア押さえ手段は、記録メディア支持テーブルにおける幅方向両端部にそれぞれ回転可能に支持された支持アームと、記録メディア支持テーブルにおける幅方向両端部に設けられた2つの支持アーム間に架設された記録メディア押さえ体とで構成されていることにある。
【0010】
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、画像形成装置は、記録メディアを押える記録メディア押さえ体が記録メディア支持テーブルの幅方向両端部に支持アームによって支持されている。この場合、各支持アームは記録メディア支持テーブルの幅方向両端部に互いに平行な回転平面で回転可能に支持されているため、これらの支持アームに支持された記録メディア押さえ体は、記録メディア支持テーブルに対して接近および離隔する方向に回転変位する。これにより、記録メディア押さえ手段は、記録メディア支持テーブル上における記録メディアの円滑な搬送を妨げることなく記録メディアを押えることができる。
【0011】
また、請求項3に係る本発明の他の特徴は、前記画像形成装置において、記記録メディア押さえ手段における記録メディア押さえ体は、前記2つの支持アームに回転自在に支持されたロール体であることにある。
【0012】
このように構成した請求項3に係る本発明の他の特徴によれば、画像形成装置は、記録メディアを押える記録メディア押さえ体がローラで構成されている。これにより、記録メディア押さえ手段は、記録メディア支持テーブル上を搬送される記録メディアを回転しながら押えるため、記録メディアの搬送への負荷を抑えながら記録メディアを精度良く押えることができる。
【0013】
また、請求項4に係る本発明の他の特徴は、前記画像形成装置において、記録メディア押さえ手段は、前記2つの支持アームに記録メディア押さえ体を記録メディアに押し付けるためのウエイト体を備えることにある。
【0014】
このように構成した請求項4に係る本発明の他の特徴によれば、画像形成装置は、記録メディア押さえ手段が記録メディアを押えるウエイト体を備えている。これにより、記録メディア押さえ手段は、より大きな力で記録メディアを押えることができるため、記録メディアの平面性をより精度良く確保することができる。
【0015】
また、請求項5に係る本発明の他の特徴は、前記画像形成装置において、記録メディア支持テーブルは、プラテンに対して着脱自在であることにある。
【0016】
このように構成した請求項5に係る本発明の他の特徴によれば、画像形成装置は、記録メディア支持テーブルがプラテンに対して着脱自在に構成されている。これにより、画像形成装置は、記録メディアの種類、すなわち、プラテン上からはみ出た記録メディアの支持の必要性に応じて記録メディア支持テーブルを着脱できるため、幅広い種類の記録メディアの画像形成に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の作動を制御するための制御システムのブロック図である。
【図3】図1に示す画像形成装置における記録メディア支持テーブルを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す画像形成装置における記録メディア押さえ機構の詳細を示す部分拡大斜視図である。
【図5】プラテン上および記録メディア支持テーブル上を搬送される記録メディアを記録メディア押さえ機構によって押える状態を模式的に示す断面図である。の詳細を示す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置100の外観構成を概略的に示す斜視図である。また、図2は、同画像形成装置100の作動を制御するための制御システムのブロック図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この画像形成装置100は、画像の形成対象であるシート状または板状の記録メディアWK(図において二点鎖線で示す)に対してインクを付着させることにより所望する文字、記号または図形などの二次元状からなる画像を形成する所謂インクジェット式の印刷装置である。
【0019】
(画像形成装置100の構成)
画像形成装置100は、平面部を有するとともに同平面部における画像形成装置100の前方側および後方側が図示下方に向かってそれぞれ湾曲したプラテン101を備えている。プラテン101は、前記平面部上に記録メディアWKが載置されて支持する載置台であり、図示左右(Y軸)方向に延びて形成されている。このプラテン101における平面部には、図示左右方向に沿って円筒状のグリッドローラ102がその上面部を露出させた状態で設けられている。グリッドローラ102は、後述するコントローラ130によって駆動が制御されるX軸方向フィードモータ103によって回転駆動される。なお、図1において、プラテン101が延びる長手方向(図示Y軸方向)を主走査方向、同主走査方向に直交する図示前後方向(図示X軸方向)を記録メディアWKが搬送される副走査方向とする。また、記録メディアWKが画像形成装置100の前方側に搬送されることを前進とし、同記録メディアWKが画像形成装置100の後方側に搬送されることを後進とする。
【0020】
プラテン101の上方には、プラテン101と平行に図示Y軸方向に延びる図示しないガイドレールが設けられており、このガイドレールに複数(本実施形態においては4つ)のピンチローラ104と1つの画像形成キャリッジ105(図1において図示せず)とがそれぞれ支持されている。ピンチローラ104は、グリッドローラ102と協働して記録メディアWKを図示上下方向から挟持することにより同記録メディアWKを図示前後方向(図示X軸方向)に搬送するための部品である。これらのピンチローラ104は、グリッドローラ102に対向した状態でそれぞれ略等間隔に配置されて設けられている。すなわち、グリッドローラ102、X軸方向フィードモータ103およびピンチローラ104が、本発明に係る搬送手段に相当する。
【0021】
画像形成キャリッジ105は、画像の形成対象である記録メディアWKに対してインクを付着させることにより所望する文字、記号または図形などの画像を形成する機械装置であり、前記コントローラ130によって作動が制御される。より具体的には、この画像形成キャリッジ105は、コントローラ130による作動制御によりインクの液滴を噴射するインクヘッドを互いに異なる複数(例えば、4つ)の色のインクごとに備えて構成されている。すなわち、画像形成キャリッジ106は、互いに異なる複数(例えば、4つ)の色のインクの組み合わせによって記録メディアWKの表面にカラー画像を印刷する。
【0022】
この画像形成キャリッジ105は、前記図示しないガイドレールに摺動自在な状態で支持されるとともに図示Y軸方向に沿って架設された図示しない環状の駆動ベルトが連結されており、この駆動ベルトに連結されたY軸方向スキャンモータ106の回転駆動によってガイドレール上を往復変位する。すなわち、この画像形成キャリッジ105が、本発明に係る画像形成手段に相当する。
【0023】
画像形成キャリッジ105の上方には、画像形成装置100の上側の筐体を構成する長尺状の上カバー107が設けられている。また、プラテン101および上カバー107の両側には、画像形成装置100の両側の筐体を構成するサイドカバー108R,108Lがそれぞれ設けられている。これらのうち、サイドカバー108Rの前面には、画像形成装置100に指示を与えるとともに、画像形成装置100からの情報を表示するための操作パネル109が設けられている。一方、プラテン101の下方には、画像形成装置100を支持するとともに、同画像形成装置100をユーザの所望する位置に移動させることができるキャスターを備えたスタンド110が設けられている。
【0024】
また、プラテン101に対して記録メディアWKの搬送方向(図示X軸方向)の上流側および下流側、すなわち、画像形成装置100の前方側および後方側には、図3に示すように、画像形成装置100の前面および背面にそれぞれ設けられた連結部111を介して記録メディア支持テーブル112が着脱自在な状態で設けられている。記録メディア支持テーブル112は、プラテン101上に保持された記録メディアWKうち、画像形成装置100の前方側および後方側にはみ出た部分を支持するための台であり、主として、テーブル部113と脚部114とで構成されている。なお、これら2つの記録メディア支持テーブル112は、互いに同様の構成であるため、画像形成装置100の前方側に配置される記録メディア支持テーブル112についてのみ説明する。
【0025】
テーブル部113は、記録メディアにおけるプラテン101上からはみ出した部分を支持する部分であり、記録メディアWKの搬送方向に沿って回転する複数の支持ローラ113aが複数の列(本実施形態においては5列)ごとに搬送方向に沿って直列的に並んで配置されて構成されている。この支持ローラ113aは、テーブル部113に対して回転自在に支持されており、搬送される記録メディアWKによって回転する。また、このテーブル部113には、プラテン101に隣接配置された連結部111に対してテーブル部113を着脱自在に連結するための図示しない接続機構が設けられている。一方、脚部114は、テーブル部113をプラテン101の平面部に対して略面一の水平状態に支持する支柱で構成されているとともに同支柱の底部に記録メディア支持テーブル112をユーザの所望する位置に移動させるためのキャスター114aを備えて構成されている。
【0026】
この記録メディア支持テーブル112のうち、画像形成装置100の前方側に配置された記録メディア支持テーブル112には、図4に示すように、プラテン101側の端部に記録メディア押さえ機構120が設けられている。記録メディア押さえ機構120は、記録メディア支持テーブル112上に搬送された記録メディアWKを図示上方から押えることにより記録メディアWKの反りなどを矯正して平面状態とするためのものであり、主として、支持アーム121、ロール体122およびウエイト体123によって構成されている。
【0027】
支持アーム121は、略L字状に形成された板状体であり、鋼板を板金加工することにより成形されている。この支持アーム121は、記録メディア支持テーブル112におけるテーブル部113の幅方向両端部に回転自在な状態でそれぞれ支持される。より具体的には、2つの支持アーム121は、それぞれプラテン101側に向って延びた後、図示上方に屈曲する向きで支持アーム121の一方の端部がテーブル部113の幅方向両端部に起立した壁部113bに対してそれぞれ回転自在に支持される。
【0028】
一方、テーブル部113の壁部113bにそれぞれ回転自在に支持された2つの支持アーム121における他方の端部側には、ロール体122が架設されている。ロール体122は、記録メディア支持テーブル112上に搬送された記録メディアWKを図示上方から押えるアルミニウム製の筒状部品であり、前記2つの支持アーム121に対して回転自在な状態で支持されている。また、これら2つの支持アーム121における他方の端部には、前記ロール体122に対して所定の隙間を介してウエイト体123が架設されている。
【0029】
ウエイト体123は、テーブル部113上の記録メディアWKに対してロール体122を押し付けるための錘であり、鋼材を丸棒状に形成して構成されている。このウエイト体123は、2つの支持アーム121に対して回転不能な状態で固定的に支持されている。なお、これら2つの支持アーム121をそれぞれ回転自在に支持するテーブル部113の壁部113bには、ロール体122の図示下方への回転変位を規制するために支持アーム121の図示下方への回転変位を規制するストッパー113cがそれぞれ設けられている。この場合、ロール体122の下限位置は、テーブル部113上に支持される記録メディアWKの上面より若干低い位置である。
【0030】
コントローラ130は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、ユーザからの指示、またはインターフェース131を介して接続される外部コンピュータ装置140からの指示に従って、ROMなどの記憶装置に予め記憶された制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100の各種作動を制御する。具体的には、このコントローラ130は、X軸方向フィードモータ103、画像形成キャリッジ(インクヘッド)105およびY軸方向スキャンモータ106の各作動をそれぞれ制御する。また、外部コンピュータ装置140は、キーボードおよびマウスからなる入力装置141および液晶ディスプレイからなる表示装置142を備えるパーソナルコンピュータ(所謂パソコン)である。
【0031】
(画像形成装置100の作動)
次に、上記のように構成した画像形成装置100の作動について説明する。まず、ユーザは、プラテン101における画像形成装置100の前方側および後方側に記録メディア支持テーブル112をそれぞれ配置してプラテン101に隣接配置された連結部111に連結する。この場合、記録メディア押さえ機構120は、支持アーム121、ロール体122およびウエイト体123の各重さによってテーブル部113のストッパー113c上に載置された状態、すなわち、下限位置に位置した状態で静止している。
【0032】
次いで、ユーザは、外部コンピュータ装置140と画像形成装置100とをインターフェース131を介して接続し、外部コンピュータ装置140および画像形成装置100の電源をそれぞれONにする。これにより、外部コンピュータ装置140は、図示しない所定の制御プログラムを実行することによりユーザからの指令の入力を待つ待機状態となる。また、画像形成装置100は、コントローラ130内のROMに予め記憶されている図示しない所定の制御プログラムを実行することにより、画像形成キャリッジ105を原点復帰させた後、外部コンピュータ装置140からの指示を待つ待機状態となる。なお、この場合、画像形成キャリッジ105の原点とは、画像形成キャリッジ105の主走査方向における移動可能範囲内における一方の移動可能限界位置(図示最右端)である。
【0033】
次に、ユーザは、画像の形成対象となる発泡材からなる記録メディアWKをプラテン101上にセットする。具体的には、ユーザは、記録メディアWKの一方の端部をプラテン101上に載置するとともに他方の端部側を図示後方側に配置した記録メディア支持テーブル112上に載置した状態で、ピンチローラ104を下降させることにより、同一方の端部をピンチローラ104とグリッドローラ102とで挟持させる。
【0034】
次に、ユーザは、外部コンピュータ装置140の入力装置141を操作して、画像形成装置100に画像の形成を指示する。この場合、ユーザは、記録メディアWKに形成する形成対象画像データを外部コンピュータ装置140上にて予め作成しておく。外部コンピュータ装置140は、前記指示に応答して、外部コンピュータ装置140内に記憶されている形成対象となる画像データに対応する加工用画像データを生成して画像形成装置100(コントローラ130)に出力する。この場合、加工用画像データとは、インクの液滴の集合により画像を形成するための印刷加工用画像データである。
【0035】
これにより、画像形成装置100、具体的には、画像形成装置100に内蔵されるコントローラ130は、外部コンピュータ装置140から出力される加工用画像データに基づいて画像形成キャリッジ105と記録メディアWKとの相対的な位置関係を変化させながら、画像形成キャリッジ105の作動を制御して同記録メディアWKに印刷による画像の形成処理を実行する。
【0036】
具体的には、コントローラ130は、X軸方向フィードモータ103の作動を制御してグリッドローラ102を回転駆動することによりプラテン101上に保持した記録メディアWKを図示X軸方向の副走査方向に変位させる。また、コントローラ130は、Y軸方向スキャンモータ106の作動を制御して図示しない駆動ベルトを回転駆動することにより画像形成キャリッジ105を図示Y軸方向の主走査方向に変位させる。また、コントローラ130は、画像形成キャリッジ105の作動を制御して記録メディアWKに向けてインクの液滴を噴射させて画像の形成を行なう。
【0037】
この記録メディアWKに対する画像の印刷過程においては、プラテン101上に載置された記録メディアWKはグリッドロール102およびピンチロール104によって図示X軸方向に沿って変位する。このため、プラテン101に対して画像形成装置100の前方側および後方側の各外側に搬送された記録メディアWKの一部は、プラテン101に対して画像形成装置100の前方側および後方側にそれぞれ隣接配置された記録メディア支持テーブル112のテーブル部113上に導かれて同テーブル部113によってそれぞれ支持される。
【0038】
この場合、プラテン101に対して画像形成装置100の前方側に配置された記録メディア支持テーブル112上に導かれた記録メディアWKは、図5に示すように、同記録メディア支持テーブル112のテーブル部113に設けられた記録メディア押さえ機構120によって押えられる。具体的には、記録メディア押さえ機構120に向って前進方向に搬送された記録メディアWKは、ロール体122に衝突した後さらに前進することによりロール体122を同前進方向に向かって押圧する。このため、記録メディア押さえ機構120は、ロール体122が記録メディアWKの前進方向に対応した方向に回転するとともに支持アーム121が図示上側に向って回転変位する。これにより、記録メディアWK上にロール体122が乗り上げた状態となって同記録メディアWKを押圧する。すなわち、前進方向に搬送過程にある記録メディアWKは、ウエイト体123の重量に抗してロール体122を図示上方に回転変位させる。
【0039】
そして、ロール体122は、記録メディアWK上に位置する間、回転しながら同記録メディアWKの上面を押圧し続ける。これにより、記録メディアWKは、ピンチローラ104とロール体122との間の部分の反りが矯正されて平面状態となる。この結果、プラテン101上の記録メディアWKに対して精度良く画像形成が行なわれる。すなわち、この記録メディア押さえ機構120が、本発明に係る記録メディア押さえ手段に相当する。
【0040】
一方、記録メディアWKに対する画像の印刷過程において、記録メディアWKが後進方向に向って搬送される場合には、ロール体122は記録メディアWKの後進方向に対応した方向に回転しながら記録メディアWKの上面を押圧する。そして、記録メディアWKがさらに後進することによってロール体122が記録メディアWK上から外れることにより、ロール体122を支持する支持アーム体121がウエイト体123の重量などによって図示下方のストッパー113cに向って回転変位する。これにより、記録メディア押さえ機構120は、支持アーム121がロール体122およびウエイト体123とともに下降してストッパー113cに支持されることにより、元の静止状態に戻る。すなわち、記録メディア押さえ機構120は、記録メディアWKに画像を形成している間、記録メディアWKの位置に応じて記録メディアWKの押圧と静止状態とを繰り返す。
【0041】
そして、記録メディアWKに対する画像形成が終了した場合には、ユーザは、プラテン101上に保持された記録メディアWKを取り外す。具体的には、ユーザは、ピンチローラ104を上昇させることにより記録メディアWKからピンチローラ104をそれぞれ離隔させた後、プラテン101上から記録メディアWKを取り除く。そして、ユーザは、他の記録メディアWKに画像を形成する場合には、前記と同様の手順にて新たな記録メディアWKをプラテン101上にセットする。また、ユーザは、記録メディアWKへの画像形成を終了する場合には、外部コンピュータ装置140および画像形成装置100の電源をそれぞれOFFにする。これにより、記録メディアWKに対する画像形成作業が終了する。
【0042】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、画像形成装置100は、記録メディアWKにおけるプラテン101上からはみ出た部分を記録メディア支持テーブル112上で押える記録メディア押え機構120を備えている。これにより、画像形成装置100は、記録メディアWKにおけるプラテン101上からはみ出た部分を押えて平面形状を維持しながら画像形成を行うことができるため、画像の形成精度を向上させることができる。
【0043】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0044】
例えば、上記実施形態においては、画像形成キャリッジ105は、インクの液滴を噴射することにより画像の形成を行なうインクヘッドによって構成されている。しかし、画像形成キャリッジ105は、記録メディア上に印刷や切抜き加工により画像を形成するものであれば、必ずしも前記インクヘッドに限定されるものではない。例えば、画像形成キャリッジ105は、前記インクヘッドに代えてまたは加えて、刃物によって記録メディアWKを切断することにより画像を切抜き加工するカッティングヘッドによって構成することができる。
【0045】
また、上記実施形態においては、記録メディア押さえ機構120は、プラテン101に対して画像形成装置100の前方側に配置した記録メディア支持テーブル112に設けた。しかし、記録メディア押さえ機構120は、プラテン101に対して記録メディアWKの搬送方向(図示X軸方向)の上流側および下流側、換言すれば、画像形成装置100の前方側および後方側にのうちの少なくとも一方に設けられていればよい。すなわち、記録メディア押さえ機構120は、プラテン101に対して画像形成装置100の前方側に代えてまたは加えて同画像形成装置100の後方側に配置してもよい。
【0046】
また、上記実施形態においては、記録メディア押さえ機構120は、記録メディア支持テーブル112のテーブル部113に設けた。しかし、記録メディア押さえ機構120は、記録メディア支持テーブル112のテーブル112上に支持された記録メディアWKを押圧することができれば、テーブル部113以外の場所に設けることができる。例えば、記録メディア押さえ機構120は、支持アーム121がプラテン101側に支持されることによりロール体122が記録メディア支持テーブル112のテーブル部113側に張り出すように設けることもできる。
【0047】
また、上記実施形態においては、記録メディア押さえ機構120は、記録メディアWKを押圧するロール体122を筒状体で構成した。すなわち、ロール体122は、本発明に係る記録メディア押さえ体に相当する。そして、この記録メディア押さえ体は、記録メディアWKを押圧可能な形状であれば、ロール体122以外で構成することもできる。例えば、記録メディア押さえ体は、断面形状が長方形状の板状体で構成することもできる。
【0048】
また、上記実施形態においては、記録メディア押さえ機構120は、ウエイト体123を備えて構成されている。しかし、ロール体122の質量を重くすることやウエイト体123に代えてまたは加えてスプリングなどの弾性体による付勢力によってロール体122を記録メディアWKに押し付けるように構成することもできる。すなわち、記録メディア押さえ機構120は、ウエイト体123を省略して構成することができる。
【0049】
また、上記実施形態においては、記録メディア支持テーブル112は、プラテン101に対して着脱自在に構成されている。これにより、画像形成装置100は、平面状態に矯正する必要がある板状の記録メディアWKに画像を形成する場合には記録メディア支持テーブル112をプラテン101に連結するとともに、平面状態への矯正が必要ないシート状の記録メディアWKに画像を形成する場合には記録メディア支持テーブル112をプラテン101から分離して記録メディア支持テーブル112を使い分けることができる。すなわち、画像形成装置100は、記録メディア支持テーブル112を着脱自在に構成することにより、幅広い種類の記録メディアWKに画像形成することができる。しかし、画像形成装置100は、記録メディア支持テーブル112をプラテン101に対して着脱不能な固定状態で設けて構成することもできる。これによれば、画像形成装置100の構成を簡単にすることができる。
【符号の説明】
【0050】
WK…記録メディア、
100…画像形成装置、101…プラテン、102…グリッドローラ、103…X軸方向フィードモータ、104…ピンチローラ、105…画像形成キャリッジ、106…Y軸方向スキャンモータ、107…上カバー、108R,108L…サイドカバー、109…電源スイッチ、110…スタンド、111…連結部、112…記録メディア支持テーブル、113…テーブル部、113a…支持ローラ、113b…壁部、113c…ストッパー、114…脚部、114a…キャスター、
120…記録メディア押さえ機構、121…支持アーム、122…ローラ体、123…ウエイト体、
130…コントローラ、131…インターフェース、
140…外部コンピュータ装置、141…入力装置、142…表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録メディアの一部を載置するプラテンと、
前記プラテン上に載置された前記記録メディアを搬送する搬送手段と、
前記プラテンに対向配置されて前記搬送手段による前記記録メディアの搬送方向に直交する方向に変位しながら、前記プラテン上に載置された前記記録メディアの表面に画像を形成する画像形成手段と、
前記プラテンに対して前記記録メディアの搬送方向の上流側および下流側のうちの少なくとも一方に配置されて前記搬送される前記記録メディアの他の一部を支持する記録メディア支持テーブルとを備えた画像形成装置において、
前記記録メディア支持テーブル上を搬送される前記記録メディアを同記録メディア支持テーブル上にて押える記録メディア押さえ手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載した画像形成装置において、
前記記録メディア支持テーブルは、少なくとも前記記録メディアの搬送方向下流側に設けられており、
前記記録メディア押さえ手段は、
前記記録メディア支持テーブルにおける幅方向両端部にそれぞれ回転可能に支持された支持アームと、
前記記録メディア支持テーブルにおける幅方向両端部に設けられた2つの支持アーム間に架設された記録メディア押さえ体とで構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載した画像形成装置において、
前記記録メディア押さえ手段における前記記録メディア押さえ体は、
前記2つの支持アームに回転自在に支持されたロール体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載した画像形成装置において、
前記記録メディア押さえ手段は、
前記2つの支持アームに前記記録メディア押さえ体を前記記録メディアに押し付けるためのウエイト体を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した画像形成装置において、
前記記録メディア支持テーブルは、前記プラテンに対して着脱自在であることを特徴とする画像形成装置。

【図2】
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【図5】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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