説明

画像形成装置

【課題】給紙カセットの個数や記録用紙の種類にかかわらず、簡単な設定操作で、記録用紙上のトナー像の印刷位置を適確に補正することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】工場出荷される前の画像形成装置1の検査時に、基準の給紙カセット38Aから給紙された記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置を調整して、基準画像形成期間ΔTを設定し、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの基準時間Δt11を求めている。そして、ユーザの使用による画像形成装置1の稼動時には、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙について、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの時間Δt12を比較時間として求め、基準時間Δt11と比較時間Δt12との差分dtに基づき基準画像形成期間ΔTを補正している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録用紙に対する画像の印刷位置を補正して、画像の印刷ずれを防止する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では、像担持体表面を均一に帯電し、光ビームにより像担持体表面を走査して、静電潜像を像担持体表面に形成し、像担持体表面の静電潜像を現像して、像担持体表面にトナー像を形成し、トナー像を像担持体から記録用紙に転写し、記録用紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録用紙上に定着させる。
【0003】
ここで、像担持体から記録用紙へのトナー像の転写は、像担持体と転写ローラ間のニップ域に記録用紙を挟み込むことによりなされ、ニップ域に対する記録用紙の到達時点がずれると、記録用紙上のトナー像の印刷位置が用紙搬送方向(副走査方向)にずれる。あるいは、像担持体と転写ローラ間のニップ域に対して記録用紙が用紙搬送方向と直交する主走査方向にずれると、記録用紙上のトナー像の印刷位置が主走査方向にずれる。
【0004】
このため、像担持体と転写ローラ間のニップ域よりも用紙搬送方向上流側にレジストローラを設け、レジストローラによりニップ域への記録用紙の到達時点を調整したり、像担持体上のトナー像の位置を用紙搬送方向に変位させたりして、記録用紙上のトナー像の印刷ずれを防止している。あるいは、像担持体表面のトナー像の位置を主走査方向に変位させて、記録用紙上のトナー像の印刷ずれを防止している。
【0005】
また、記録用紙上のトナー像の印刷ずれは、様々な原因により生じかつ一定ではない。例えば、複数の給紙カセットを設け、各給紙カセットのいずれかより記録用紙を給紙する構成では、給紙カセット毎に、記録用紙上のトナー像の印刷位置が異なる。あるいは、同一の給紙カセットであっても、この給紙カセットより給紙される記録用紙の種類(サイズや坪量等)により記録用紙上のトナー像の印刷位置が異なる。
【0006】
そこで、従来は、各給紙カセット別に、記録用紙上のトナー像の印刷位置を予め測定して、この測定値を給紙カセットに対応付けてメモリに記憶しておき、いずれかの給紙カセットより記録用紙が給紙されるときに、この給紙カセットに対応する測定値をメモリから読み出して、この読み出した測定値に応じて記録用紙上のトナー像の印刷位置を補正し、記録用紙上のトナー像の印刷ずれを防止していた。
【0007】
また、特許文献1では、記録用紙の種類や厚み等別に、印刷位置の調整値を予め求めて、この調整値を記録用紙の種類や厚み等に対応付けてメモリに記憶しておき、トナー像を記録用紙に印刷するときに、記録用紙の種類や厚み等を検出して、この検出した記録用紙の種類や厚み等に対応する調整値をメモリから読み出し、この読み出した調整値に基づき記録用紙上のトナー像の印刷位置を補正して、記録用紙上のトナー像の印刷ずれを防止していた。
【0008】
また、特許文献2では、レジストローラよりも用紙搬送方向の下流側に、記録用紙の先端を検出するセンサを設け、レジストローラによる記録用紙の搬送開始時点からセンサによる記録用紙先端の検出時点までの時間に応じて、レジストローラの回転速度を制御して、記録用紙先端がレジストローラからトナー像の転写位置に達するまでの時間を一定にし、記録用紙上のトナー像の印刷ずれを防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−6332号公報
【特許文献2】特開2006−248644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、大型の画像形成装置では、給紙カセットの個数が多いため、給紙カセット毎に、記録用紙上のトナー像の印刷位置を予め測定することは容易ではない。また、同一の給紙カセットであっても、記録用紙上のトナー像の印刷位置にバラツキが生じるため、記録用紙上のトナー像の印刷位置を測定しても、この測定値の信頼性が低い。このため、その測定値に応じて記録用紙上のトナー像の印刷位置を補正しても、適確な補正がなされるとは限らなかった。
【0011】
また、特許文献1のように記録用紙の種類別に、印刷位置の調整値を予め求めることも容易でない。しかも、給紙カセットと同様に、同一種類の記録用紙であっても、記録用紙上のトナー像の印刷位置にバラツキが生じるため、記録用紙上のトナー像の印刷位置の調整値を求めても、この調整値の信頼性が低く、トナー像の印刷位置が適確に補正されるとは限らなかった。
【0012】
勿論、同一の給紙カセットや同一種類の記録用紙について、複数枚の記録用紙のトナー像の印刷位置を測定して、その平均値を求めれば、測定値や調整値の信頼性が高くなるが、複数の給紙カセットや複数種類の記録用紙別に、そのような作業を行うことは極めて困難である。
【0013】
また、特許文献2のようにレジストローラの回転速度を制御して、記録用紙先端がレジストローラからトナー像の転写位置に達するまでの時間を一定にするにしても、記録用紙の搬送速度が高くなって、レジストローラの回転速度が高くなると、そのようなレジストローラの回転速度の制御が困難であった。
【0014】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、給紙カセットの個数や記録用紙の種類にかかわらず、簡単な設定操作で、記録用紙上のトナー像の印刷位置を適確に補正することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、複数の給紙部と、画像を形成して記録用紙に印刷する印刷部と、前記各給紙部と前記印刷部の間に配され、前記各給紙部のいずれかより搬送されて来た記録用紙を受けて、前記印刷部への記録用紙の搬送開始時点を調整するレジストローラとを備え、前記印刷部による記録用紙上の画像の印刷位置を補正する画像形成装置であって、前記レジストローラよりも前記記録用紙の搬送方向下流側に設けられ、前記記録用紙の先端を検出する用紙先端センサと、前記レジストローラによる前記記録用紙の搬送開始時点から前記用紙先端センサによる前記記録用紙の先端の検出時点までの時間を計時する計時部と、前記各給紙部のうちの任意の給紙部より記録用紙が給紙されると、前記記録用紙について前記計時部により検出された時間を比較時間として求め、前記各給紙部のうちの基準の給紙部より給紙された記録用紙について前記計時部により予め検出された基準時間と前記比較時間との差分を求め、前記差分に基づき前記基準の給紙部より給紙された記録用紙について予め設定された前記印刷部での画像形成タイミングを変更して、前記任意の給紙部より給紙された記録用紙の画像の印刷位置を補正する制御部とを備えている。
【0016】
このような本発明では、基準の給紙部より給紙された記録用紙について、レジストローラによる搬送開始時点から用紙先端センサによる記録用紙先端の検出時点までの時間を基準時間として求め、かつ印刷部での画像形成タイミングを予め設定している。そして、任意の給紙部より給紙された記録用紙について、レジストローラによる搬送開始時点から用紙先端センサによる記録用紙先端の検出時点までの時間を比較時間として求め、基準時間と比較時間の差分を求めている。この差分は、任意の給紙部より給紙された記録用紙先端と基準の給紙部より給紙された記録用紙先端との位置差に対応し、前者の記録用紙上の画像の補正前の印刷位置と後者の記録用紙上の画像の印刷位置とのずれ量に対応する。そこで、この差分に基づき予め設定された印刷部での画像形成タイミングを変更して、任意の給紙部より給紙された記録用紙上の画像の印刷位置を適確に補正している。
【0017】
このような補正による印刷位置は、各給紙部から給紙されたいずれの記録用紙についても求めることができる。従って、基準となる単一の給紙部について基準時間と画像形成タイミングを予め求めて設定すればよく、他の給紙部については基準時間や画像形成タイミングを予め設定しておく必要ではない。
【0018】
また、本発明の画像形成装置は、給紙部と、画像を形成して記録用紙に印刷する印刷部と、前記給紙部と前記印刷部の間に配され、前記給紙部より搬送されて来た記録用紙を受けて、前記印刷部への記録用紙の搬送開始時点を調整するレジストローラとを備え、前記印刷部による記録用紙上の画像の印刷位置を補正する画像形成装置であって、前記レジストローラよりも前記記録用紙の搬送方向下流側に設けられ、前記記録用紙の先端を検出する用紙先端センサと、前記レジストローラによる前記記録用紙の搬送開始時点から前記用紙先端センサによる前記記録用紙の先端の検出時点までの時間を計時する計時部と、前記給紙部より任意の種類の記録用紙が給紙されると、前記記録用紙について前記計時部により検出された時間を比較時間として求め、前記給紙部より給紙された予め設定された規定種類の記録用紙について前記計時部により検出された基準時間と前記比較時間との差分を求め、前記差分に基づき前記規定種類の記録用紙について予め設定された前記印刷部での画像形成タイミングを変更して、前記任意の種類の記録用紙上の画像の印刷位置を補正する制御部とを備えている。
【0019】
このような本発明では、規定種類の記録用紙について、レジストローラによる搬送開始時点から用紙先端センサによる記録用紙先端の検出時点までの時間を基準時間として求め、かつ印刷部での画像形成タイミングを予め設定している。そして、任意の種類の記録用紙について、レジストローラによる搬送開始時点から用紙先端センサによる記録用紙先端の検出時点までの時間を比較時間として求め、基準時間と比較時間との差分を求めている。この差分は、任意の種類の記録用紙先端と規定種類の記録用紙先端との位置差に対応し、前者の記録用紙上の画像の補正前の印刷位置と後者の記録用紙上の画像の印刷位置とのずれ量に対応する。そこで、この差分に基づき予め設定された印刷部での画像形成タイミングを変更して、任意の種類の記録用紙上の画像の印刷位置を適確に補正している。
【0020】
このような補正による印刷位置は、いずれの種類の記録用紙についても求めることができる。従って、規定種類の記録用紙について基準時間と画像形成タイミングを予め求めて設定すればよく、他の種類の記録用紙については基準時間や画像形成タイミングを予め設定しておく必要ではない。
【0021】
例えば、本発明の画像形成装置においては、前記印刷部は、像担持体と、前記像担持体に静電潜像を書込む書込み部と、前記像担持体上の静電潜像をトナー像に現像する現像部と、前記像担持体上のトナー像を前記記録用紙に転写する転写部とを備え、前記制御部は、前記書込み部による静電潜像の副走査方向の書込み開始時点と前記レジストローラの搬送開始時点との間の前記画像形成タイミングを前記差分だけ調整して、前記印刷位置を変更している。
【0022】
例えば、本発明の画像形成装置においては、前記画像形成タイミングを調整設定するために操作される入力操作部を備えている。
【0023】
また、本発明の画像形成装置においては、前記制御部は、記録用紙が給紙される度に、前記差分を繰り返し求め、これらの差分を平均化して、この平均の差分を前記画像形成タイミングの補正に用いている。
【0024】
ここでは、基準時間及び比較時間のいずれも測定値であって測定誤差を含むため、平均の差分を求めることにより、そのような測定誤差の影響を低減している。この結果、画像での画像形成タイミングを収束させて、その誤差を低減することが可能になる。
【0025】
次に、本発明の画像形成装置は、複数の給紙部と、前記各給紙部のいずれかより搬送されて来た記録用紙に画像を印刷する印刷部とを備え、前記印刷部による記録用紙上の画像の印刷位置を補正する画像形成装置であって、前記印刷部よりも前記記録用紙の搬送方向上流側に設けられ、前記搬送方向とは直交する主走査方向の前記記録用紙の側端位置を検出する側端センサと、前記各給紙部のうちの任意の給紙部より記録用紙が給紙されると、前記記録用紙について前記側端センサにより検出された側端位置を比較側端位置として求め、前記各給紙部のうちの基準の給紙部より給紙された記録用紙について前記側端センサにより予め検出された基準側端位置と前記比較側端位置との差分を求め、前記差分に基づき前記基準の給紙部より給紙された記録用紙について予め設定された前記印刷部での画像形成位置を変更して、前記任意の給紙部より給紙された記録用紙の画像の印刷位置を補正する制御部とを備えている。
【0026】
このような本発明では、基準の給紙部より給紙された記録用紙について、記録用紙の主走査方向の側端位置を基準側端位置として求め、かつ印刷部での画像形成位置を予め設定している。そして、任意の給紙部より給紙された記録用紙について、記録用紙の主走査方向の側端位置を比較側端位置として求め、基準側端位置と比較側端位置との差分を求めている。この差分は、任意の給紙部より給紙された記録用紙上の補正前の画像の印刷位置と基準の給紙部より給紙された記録用紙上の画像の印刷位置とのずれ量に対応する。そこで、この差分に基づき予め設定された印刷部での画像形成位置を変更して、任意の給紙部より給紙された記録用紙上の画像の印刷位置を適確に補正している。
【0027】
このような補正による印刷位置は、各給紙部から給紙されたいずれの記録用紙についても求めることができる。従って、基準となる単一の給紙部について基準側端位置と印刷位置を予め求めて設定すればよく、他の給紙部については基準側端位置や印刷位置を予め設定しておく必要ではない。
【0028】
また、本発明の画像形成装置は、給紙部と、前記給紙部より搬送されて来た記録用紙に画像を印刷する印刷部とを備え、前記印刷部による記録用紙上の画像の印刷位置を補正する画像形成装置であって、前記印刷部よりも前記記録用紙の搬送方向上流側に設けられ、前記搬送方向とは直交する主走査方向の前記記録用紙の側端位置を検出する側端センサと、前記給紙部より任意の種類の記録用紙が給紙されると、前記記録用紙について前記側端センサにより検出された側端位置を比較側端位置として求め、前記給紙部より給紙された予め設定された規定種類の記録用紙について前記側端センサにより予め検出された基準側端位置と前記比較側端位置との差分を求め、前記差分に基づき前記規定種類の記録用紙について予め設定された前記印刷部での画像形成位置を変更して、前記任意の種類の記録用紙上の画像の印刷位置を補正する制御部とを備えている。
【0029】
このような本発明では、規定種類の記録用紙について、記録用紙の主走査方向の側端位置を基準側端位置として求め、かつ印刷部での画像形成位置を予め設定している。そして、任意の種類の記録用紙について、記録用紙の主走査方向の側端位置を比較側端位置として求め、基準側端位置と比較側端位置との差分を求めている。この差分は、任意の種類の記録用紙上の画像の補正前の印刷位置と規定種類の記録用紙上の画像の印刷位置のずれ量に対応する。そこで、この差分に基づき予め設定された印刷部での画像形成位置を変更して、任意の種類の記録用紙上の画像の印刷位置を適確に補正している。
【0030】
このような補正による印刷位置は、いずれの種類の記録用紙についても求めることができる。従って、規定種類の記録用紙について基準側端位置と印刷位置を予め求めて設定すればよく、他の種類の記録用紙については基準側端位置や印刷位置を予め設定しておく必要ではない。
【0031】
例えば、本発明の画像形成装置においては、前記印刷部は、像担持体と、前記像担持体に静電潜像を書込む書込み部と、前記像担持体上の静電潜像をトナー像に現像する現像部と、前記像担持体上のトナー像を前記記録用紙に転写する転写部とを備え、前記制御部は、前記書込み部による静電潜像の主走査方向の書込み開始位置を調整して、前記印刷部での画像形成位置を前記差分だけ調整している。
【0032】
例えば、本発明の画像形成装置においては、前記印刷位置を調整設定するために操作される入力操作部を備えている。
【0033】
また、本発明の画像形成装置においては、前記制御部は、記録用紙が給紙される度に、前記差分を繰り返し求め、これらの差分を平均化して、この平均の差分を前記印刷位置の補正に用いている。
【0034】
ここでは、基準側端位置及び比較側端位置のいずれも測定値であって測定誤差を含むため、平均の差分を求めることにより、そのような測定誤差の影響を低減している。この結果、画像の印刷位置を収束させて、その誤差を低減することが可能になる。
【0035】
更に、本発明の画像形成装置においては、前記記録用紙の種類は、記録用紙のサイズもしくは坪量に応じた種類である。
【0036】
このような記録用紙のサイズもしくは坪量が変わると、記録用紙上の画像の印刷位置が変化する。
【発明の効果】
【0037】
このような本発明によれば、基準の給紙部より給紙された記録用紙について、レジストローラによる搬送開始時点から用紙先端センサによる記録用紙先端の検出時点までの時間を基準時間として求め、かつ印刷部での画像形成タイミングを予め設定している。そして、任意の給紙部より給紙された記録用紙について、レジストローラによる搬送開始時点から用紙先端センサによる記録用紙先端の検出時点までの時間を比較時間として求め、基準時間と比較時間との差分を求めている。この差分は、任意の給紙部より給紙された記録用紙先端と基準の給紙部より給紙された記録用紙先端との位置差に対応し、前者の記録用紙上の画像の補正前の印刷位置と後者の記録用紙上の画像の印刷位置とのずれ量に対応する。そこで、この差分に基づき予め設定された印刷部での画像形成タイミングを変更して、任意の給紙部より給紙された記録用紙上の画像の印刷位置を適確に補正している。
【0038】
また、規定種類の記録用紙について、レジストローラによる搬送開始時点から用紙先端センサによる記録用紙先端の検出時点までの時間を基準時間として求め、かつ印刷部での画像形成タイミングを予め設定している。そして、任意の種類の記録用紙について、レジストローラによる搬送開始時点から用紙先端センサによる記録用紙先端の検出時点までの時間を比較時間として求め、基準時間と比較時間との差分を求めている。この差分は、任意の種類の記録用紙先端と規定種類の記録用紙先端との位置差に対応し、前者の記録用紙上の画像の補正前の印刷位置と後者の記録用紙上の画像の印刷位置とのずれ量に対応する。そこで、この差分に基づき予め設定された印刷部での画像形成タイミングを変更して、任意の種類の記録用紙上の画像の印刷位置を適確に補正している。
【0039】
更に、基準の給紙部より給紙された記録用紙について、記録用紙の主走査方向の側端位置を基準側端位置として求め、かつ印刷部での画像形成位置を予め設定している。そして、任意の給紙部より給紙された記録用紙について、記録用紙の主走査方向の側端位置を比較側端位置として求め、基準側端位置と比較側端位置との差分を求めている。この差分は、任意の給紙部より給紙された記録用紙上の補正前の画像の印刷位置と基準の給紙部より給紙された記録用紙上の画像の印刷位置とのずれ量に対応する。そこで、この差分に基づき予め設定された印刷部での画像形成位置を変更して、任意の給紙部より給紙された記録用紙上の画像の印刷位置を適確に補正している。
【0040】
また、規定種類の記録用紙について、記録用紙の主走査方向の側端位置を基準側端位置として求め、かつ印刷部での画像形成位置を予め設定している。そして、任意の種類の記録用紙について、記録用紙の主走査方向の側端位置を比較側端位置として求め、基準側端位置と比較側端位置との差分を求めている。この差分は、任意の種類の記録用紙上の画像の補正前の印刷位置と規定種類の記録用紙上の画像の印刷位置のずれ量に対応する。そこで、この差分に基づき予め設定された印刷部での画像形成位置を変更して、任意の種類の記録用紙上の画像の印刷位置を適確に補正している。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】(a)、(b)は、図1の画像形成装置におけるレジストローラ対、用紙先端センサ、及びラインセンサの配置関係を拡大して示す側面図及び平面図である。
【図3】図1の画像形成装置における記録用紙上のトナー像の印刷位置の補正に係る制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】図1の画像形成装置における感光体ドラムに対する静電潜像の書込み開始時点、レジストローラ対による記録用紙の搬送開始時点、及びトナー像の転写開始時点等を示すタイミングチャートである。
【図5】記録用紙の4辺に設定される余白領域を示す平面図である。
【図6】図1の画像形成装置における記録用紙上のトナー像の印刷位置等を予め設定するための手順を示すフローチャートである。
【図7】ラインセンサによる記録用紙の一側端の検出状態を示す平面図である。
【図8A】記録用紙上のトナー像の主走査方向の印刷ずれを補正するための手順を示す遷移図である。
【図8B】図8Aに引き続く手順を示す遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。本実施形態の画像形成装置1は、画像データによって示されるモノクロ画像を記録用紙に印刷するものであり、その構成を大別すると、印刷部11、用紙搬送部12、及び用紙供給部13からなる。
【0044】
この画像形成装置1においては、画像データを外部のスキャナーや端末装置等から受信入力し、画像データに種々の画像処理を施してから、画像データを印刷部11に入力し、印刷部11で画像データによって示される画像を記録用紙に印刷する。
【0045】
印刷部11の略中央には、感光体ドラム21が配置され、その周囲に帯電装置22、レーザ露光装置23、現像装置24、転写ローラ25、及びクリーニング装置26が配置されている。
【0046】
感光体ドラム21は、その表面に光感光層を有しており、矢印方向に回転されつつ、その表面をクリーニング装置26によりクリーニングされてから、その表面を帯電装置22により均一に帯電される。帯電装置22は、チャージャー型のものであっても、感光体ドラム21に接触するローラ型やブラシ型のものであっても良い。レーザ露光装置23は、レーザダイオード及び反射ミラーを備えたレーザスキャニング部(LSU)であり、画像データを入力し、画像データに応じてレーザビームの強度を変調しつつ、レーザビームにより感光体ドラム21表面を走査して、感光体ドラム21表面に静電潜像を書込む。現像装置24は、感光体ドラム21表面の静電潜像をトナーにより現像して、感光体ドラム21表面にトナー像を形成する。
【0047】
転写ローラ25は、感光体ドラム21に圧接されて、感光体ドラム21との間にニップ域を形成し、感光体ドラム21と共に回転して、そのニップ域に記録用紙を挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム21表面のトナー像を記録用紙上に転写する。
【0048】
印刷部11の上側には、定着装置27が配置されている。定着装置27は、相互に圧接された加熱ローラ28と加圧ローラ29を有し、加熱ローラ28と加圧ローラ29との間のニップ域に記録用紙を挟みこんで、記録用紙を加熱及び加圧し、記録用紙上に転写されたトナー像を定着させる。
【0049】
用紙搬送部12は、記録用紙を搬送するための複数の搬送ローラ対31、レジストローラ対32、搬送経路33、迂回経路34、分岐爪35、排紙ローラ対36、及び排紙トレイ37等を備えている。
【0050】
また、用紙供給部13は、複数の給紙カセット38A、38B、38Cを備えている。各給紙カセット38A、38B、38Cは、記録用紙を収容しておくためのトレイであり、画像形成装置1の下方で複数段に設けられている。また、各給紙カセット38A、38B、38Cは、記録用紙を一枚ずつ引き出すためのそれぞれのピックアップローラ39等を備えており、引き出した記録用紙を用紙搬送部12の搬送経路33へと送り出す。
【0051】
搬送経路33では、いずれかの給紙カセットから引き出された記録用紙を用紙搬送方向Cに搬送してレジストローラ対32へと受け渡し、記録用紙の先端を一時的に停止されたレジストローラ対32に突き当てて、記録用紙を撓ませ、記録用紙の弾性力により該記録用紙の先端をレジストローラ対32と平行に揃え、この後にレジストローラ対32の回転を開始して、レジストローラ対32により記録用紙を感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域へと搬送する。この記録用紙は、感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域を通過して、トナー像を転写され、加熱ローラ28と加圧ローラ29間のニップ域を通過して、トナー像を定着され、排紙ローラ対36により順方向Aに搬送されて排紙トレイ37へと排出される。
【0052】
また、記録用紙の裏面にも画像を印刷する場合は、記録用紙を順方向Aに搬送して排紙トレイ37へと排出する途中で排紙ローラ対36を停止させ、つまり記録用紙を挟み込んだ状態で排紙ローラ対36を停止させ、分岐爪35を斜め下方の向きに切替えてから、排紙ローラ対36を逆回転させて、記録用紙を逆方向Bに搬送して迂回経路34へと導き、記録用紙を迂回経路34を通じて搬送経路33へと再び導いて、この記録用紙をレジストローラ対32へと戻す。
【0053】
このような記録用紙の搬送方向の切替えをスイッチバック搬送と称し、このスイッチバック搬送により記録用紙の表裏が反転され、同時に記録用紙の先端及び後端が入れ替わる。従って、記録用紙が反転されて戻されると、記録用紙の後端がレジストローラ対32に当接して、記録用紙の後端がレジストローラ対32と平行に揃えられ、レジストローラ対32により記録用紙がその後端から感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域へと搬送されて、記録用紙の裏面に印刷がなされ、加熱ローラ28と加圧ローラ29によりトナー像が記録用紙の裏面に定着され、記録用紙が排紙ローラ対36を介して排紙トレイ37へと排出される。
【0054】
ところで、画像形成装置1においては、様々な原因により記録用紙上のトナー像の印刷位置にずれが生じる。このため、本実施形態では、レジストローラ対32よりも用紙搬送方向C(副走査方向)下流側に記録用紙の先端を検出する用紙先端センサ41を設け、レジストローラ対32による記録用紙の搬送開始時点から用紙先端センサ41による記録用紙先端の検出時点までの時間を求め、この時間を用いて、記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置を補正している。また、レジストローラ対32よりも用紙搬送方向C上流側に記録用紙の側端を検出するラインセンサ42を設け、ラインセンサ42により検出された記録用紙の主走査方向の側端位置を用いて、記録用紙上のトナー像の主走査方向の印刷位置を補正している。
【0055】
また、複数の給紙カセット38A、38B、38Cを設けたことが、記録用紙上のトナー像の印刷位置にずれが生じる原因の1つとなっており、各給紙カセット38A、38B、38Cのいずれから記録用紙が給紙されたかにより記録用紙上のトナー像の印刷位置が変化する。例えば、各給紙カセット38A、38B、38C別に、レジストローラ対32に突き当てられたときの記録用紙の先端の位置が異なったり、あるいは記録用紙の主走査方向の側端位置が異なったりすることから、記録用紙上のトナー像の印刷位置が変化する。このため、各給紙カセット38A、38B、38C別に、記録用紙上のトナー像の印刷位置を補正している。
【0056】
次に、そのような記録用紙上のトナー像の印刷位置の補正を行うための構成を説明する。図2(a)、(b)は、レジストローラ対32、用紙先端センサ41、及びラインセンサ42の配置関係を拡大して示す側面図及び平面図である。図2(a)、(b)に示すようにレジストローラ対32よりも用紙搬送方向C下流側に用紙先端センサ41が配置され、更に用紙先端センサ41よりも下流側に感光体ドラム21と転写ローラ25が配置され、またレジストローラ対32よりも用紙搬送方向C上流側にラインセンサ42が配置されている。
【0057】
ここでは、レジストローラ対32は、一方の軸32aに複数の短小ローラ32bを通して固定し、他方の軸32aにも複数の短小ローラ32bを通して固定し、一方の軸32aの各短小ローラ32bと他方の軸32aの各短小ローラ32bを互いに圧接してなる。このレジストローラ対32が一時的に停止された状態で、搬送ローラ対31により搬送されて来た記録用紙の先端がレジストローラ対32に突き当てられて、記録用紙の先端がレジストローラ対32と平行に揃えられ、この後にレジストローラ対32による記録用紙の搬送が開始されて、レジストローラ対32により記録用紙が感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域へと搬送される。
【0058】
用紙先端センサ41は、レジストローラ対32のニップ域から用紙搬送方向C下流側に規定距離だけ離間した位置に、かつレジストローラ対32の長手方向(用紙搬送方向Cと直交する主走査方向D)の中央位置に位置決めされている。また、用紙先端センサ41は、例えば発光素子と受光素子を備える光学センサであり、発光素子の光を記録用紙の搬送経路33に出射して、搬送経路33に沿って搬送されている記録用紙からの反射光を受光素子で受光し、受光素子の出力変化により記録用紙の先端を検出する。
【0059】
ラインセンサ42は、最小幅〜最大幅の記録用紙の一側端の位置を検出することができるように、例えば記録用紙の最大幅の1/2以上の長さを有し、かつ搬送経路33に沿って搬送される最大幅の記録用紙の一側端から中央にかかるように配置されている。このラインセンサ42は、例えば密着印刷画像センサ(Contact Image Sensor、以下CISと称する)であって、主走査方向Dに沿うライン状の光を搬送経路33に出射する光源と、主走査方向Dに配列されて、搬送経路33の記録用紙からの反射光を受光する複数の受光素子とを備え、搬送経路33の記録用紙からの反射光を受光した受光素子と反射光を受光しなかった受光素子との間の位置を記録用紙の一側端位置として検出する。
【0060】
尚、ラインセンサ42は、記録用紙の最大幅以上の長さを有し、記録用紙の両端位置を検出することができるものを適用してもよい。また、ラインセンサ42として、他の種類のものを適用しても構わない。更に、ラインセンサ42を、レジストローラ対32のニップ域から用紙搬送方向C下流側に配してもよい。
【0061】
図3は、記録用紙上のトナー像の印刷位置の補正に係る制御系の構成を示すブロック図である。図3において、駆動部51は、搬送ローラ対31、レジストローラ対32、排紙ローラ対36、及びピックアップローラ39を駆動する各モータ52と、各モータ52を駆動制御するモータ制御部53とを備えている。入力操作部54は、表示画面や複数の操作キー等を備え、画像形成装置1の操作ガイダンスを表示画面に表示したり、各操作キーの操作による入力指示を可能にする。レーザ制御部55は、レーザビームにより感光体ドラム21表面に静電潜像を書込むレーザ露光装置23を駆動制御するものであって、レーザビームによる感光体ドラム21表面への静電潜像の副走査方向の書込み開始時点や主走査方向の書込み開始位置を制御する。主制御部56は、用紙先端センサ41やラインセンサ42の検出出力等に基づき記録用紙上のトナー像の印刷位置を求めるための演算処理などを行う演算部57、演算部57により求められた各種データ等を記憶するメモリ部58、モータ制御部53を通じて各モータ52を制御して、搬送ローラ対31、レジストローラ対32、排紙ローラ対36、及びピックアップローラ39を回転及び停止させたり、レーザ制御部55を通じてレーザ露光装置23を制御したりする印刷制御部59を備えている。
【0062】
このような構成において、記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置の補正は、次のようにして行われる。
【0063】
まず、先に述べたように各給紙カセット38A、38B、38Cのいずれから記録用紙が給紙されたかにより記録用紙上のトナー像の印刷位置が異なる。例えば、図4のタイミングチャートに示すように時点t1でレーザによる感光体ドラム21表面への静電潜像の書込みが開始され、感光体ドラム21表面の静電潜像の現像が行われて、感光体ドラム21表面にトナー像が形成され、時点t4で感光体ドラム21表面のトナー像が感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域に到達し、また時点t2よりも前に記録用紙の先端がレジストローラ対32に達し、時点t2でレジストローラ対32による記録用紙の搬送が開始され、時点t4で記録用紙の先端が感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域に到達し、ニップ域で感光体ドラム21表面のトナー像が記録用紙の転写されるものとすると、各給紙カセット38A、38B、38Cのいずれから記録用紙が給紙されたかにより、記録用紙の先端がニップ域に到達する時点が変化して、この時点が感光体ドラム21表面のトナー像がニップ域に到達する時点t4に一致しなくなるため、記録用紙上のトナー像の印刷位置がずれる。
【0064】
そこで、本実施形態では、例えば工場出荷される前の画像形成装置1の検査時に給紙カセット38Aを基準の給紙カセットとして予め設定して、この基準の給紙カセット38Aから給紙された記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置を適宜に調整して、このときの時点t1から時点t2までの基準画像形成期間ΔT(画像形成タイミング、図4を参照)を予め求めて設定している。また、基準の給紙カセット38Aから給紙された記録用紙について、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの時間Δt11を基準時間として求めて設定している(図4を参照)。
【0065】
そして、ユーザの使用による画像形成装置1の稼動時には、各給紙カセット38A、38B、38Cのうちの任意の給紙カセットから給紙された記録用紙について、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの時間Δt12を比較時間として求めて、基準時間Δt11と比較時間Δt12との差分dtを求め(図4を参照)、差分dtだけ基準画像形成期間ΔTを補正している。つまり、差分dtだけ、感光体ドラム21表面への静電潜像の副走査方向の書込み開始時点t1もしくはレジストローラ対32による記録用紙の搬送開始時点t2を変更している。
【0066】
ここで、記録用紙の先端は、用紙先端センサ41に達した後、引き続いて用紙先端センサ41から感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域に到るまで一定の搬送速度で搬送される。従って、差分dtは、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙先端がニップ域に到る時点と基準の給紙カセット38Aから給紙された記録用紙先端がニップ域に到る時点との時間差に一致し、前者の記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの補正前の印刷位置と後者の記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置との差に対応する。
【0067】
また、基準の給紙カセット38Aから給紙された記録用紙について時点t1から時点t2までの基準画像形成期間ΔTを変更すると、この基準画像形成期間ΔTの変更の分だけ記録用紙先端がニップ域に到達する時点が変更され、記録用紙上のトナー像の印刷位置が変更される。
【0068】
このため、基準時間Δt11と比較時間Δt12との差分dtだけ基準画像形成期間ΔTを変更すると、例えばレジストローラ対32による搬送開始時点t2を早くするか遅らせると、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙の先端が、時点t4で感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域に到達するようになり、この記録用紙上のトナー像の印刷位置が適確に補正される。
【0069】
次に、記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置の補正の具体的な手順を説明する。工場出荷される前の画像形成装置1の検査時には、図5に示すように記録用紙Pの先端pfの余白領域Bbの幅sb及び後端pbの余白領域Bcの幅scを設定するボイド調整を行っており、各余白領域Bb、Bcの内側にトナー像を転写して印刷するため、各余白領域Bb、Bcの幅sb、scの調整により用紙搬送方向Cの印刷位置も調整することができる。
【0070】
このボイド調整による記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置の設定手順を、図6のフローチャートに従って説明する。
【0071】
まず、基準の給紙カセット38Aから感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域へと記録用紙を給紙する。また、レーザ露光装置23により感光体ドラム21表面にテストパターンの静電潜像を形成し、現像装置24により感光体ドラム21表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム21表面にテストパターンのトナー像を形成し、感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域に記録用紙を挟み込んで、感光体ドラム21から記録用紙へとテストパターンのトナー像を転写し、定着装置27により記録用紙上のテストパターンのトナー像を定着させる(ステップS101)。このとき、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの時間を計時して、この計時時間を基準時間Δt11としてメモリ部58に記憶して仮設定する(ステップS102)。
【0072】
そして、作業者は、図5に示すような記録用紙Pの各余白領域Bb、Bcの幅sb、scを測定し、各余白領域Bb、Bcの幅sb、scと規定幅との差が許容値以下であるか否かを確認する。
【0073】
各余白領域Bb、Bcの幅sb、scと規定幅との差が許容値以下でない場合は、用紙搬送方向Cの印刷位置がずれているため、各余白領域Bb、Bcの幅sb、scを調整変更して、印刷位置を調整する。各余白領域Bb、Bcの幅sb、scの変更量は、入力操作部54の操作により入力指示することができる(ステップ103)。
【0074】
主制御部56の演算部57は、各余白領域Bb、Bcの幅sb、scの変更量に応じた時間だけ、基準画像形成期間ΔT(初期設定値)を変更し、この基準画像形成期間ΔTをメモリ部58に記憶して仮設定する(ステップS104)。
【0075】
この後、演算部57は、各余白領域Bb、Bcの幅sb、scの変更量が一定値以下であるか否かを判定し(ステップS105)、変更量が一定値以下でなければ(ステップS105で「No」)、ステップS101からの処理に戻る。
【0076】
この場合、印刷制御部59は、レーザ制御部55を通じてレーザ露光装置23を制御し、レーザビームによる感光体ドラム21表面への静電潜像の書込みを開始すると、この書込み開始時点t1からの計時を開始し、この計時時間がメモリ部58内の基準画像形成期間ΔTに達すると、モータ制御部53を通じてレジストローラ対32の駆動用のモータ52を駆動制御し、レジストローラ対32による記録用紙の搬送を開始する。これにより、記録用紙の先端が感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域に到達する時点が変更され、各余白領域Bb、Bcの幅sb、scが調整されて、用紙搬送方向Cの印刷位置が変更される(ステップS101)。また、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの時間を計時して、この計時時間を基準時間Δt11としてメモリ部58に記憶して、仮設定の基準時間Δt11を更新する(ステップS102)。
【0077】
そして、作業者は、記録用紙Pの各余白領域Bb、Bcの幅sb、scを測定し、各余白領域Bb、Bcの幅sb、scと規定幅との差が許容値以下であるか否かを確認する。
【0078】
各余白領域Bb、Bcの幅sb、scと規定幅との差が許容値以下でない場合は、入力操作部54の操作により各余白領域Bb、Bcの幅sb、scの更なる変更量を入力指示して(ステップS103)、各余白領域Bb、Bcの幅sb、scを再び変更して、印刷位置を再び調整する。
【0079】
主制御部56の演算部57は、入力操作部54から入力指示された各余白領域Bb、Bcの幅sb、scの更なる変更量に応じてメモリ部58内の基準画像形成期間ΔTを更新する(ステップS104)。
【0080】
この後、演算部57は、各余白領域Bb、Bcの幅sb、scの更なる変更量が一定値以下であるか否かを判定し(ステップS105)、変更量が一定値以下でなければ(ステップS105で「No」)、ステップS101からの処理に再び戻る。
【0081】
また、変更量が一定値以下であれば(ステップS105で「Yes」)、メモリ部58内の基準時間Δt11及び基準画像形成期間ΔTが確定されて、基準時間Δt11及び基準画像形成期間ΔTが各給紙カセット38A、38B、38Cのいずれにも適用され、図6のフローチャートの処理が終了となる。
【0082】
尚、各余白領域Bb、Bcの幅sb、scの変更量が一定値以下になるまで、ステップS101〜S105を繰返すのは、各余白領域Bb、Bcの幅sb、scを確認するためと、基準時間Δt11及び基準画像形成期間ΔTの精度を向上させるためである。
【0083】
次に、ユーザの使用による画像形成装置1の稼動時には、入力操作部54の操作により各給紙カセット38A、38B、38Cのうちの任意の給紙カセットが入力指示されるので、主制御部56の印刷制御部59は、モータ制御部53を通じて任意の給紙カセットのピックアップローラ39等の駆動用のモータ52を制御して、任意の給紙カセットからの記録用紙の給紙を行う。このとき、演算部57は、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙について、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙先端の検出時点t3までの時間Δt12を比較時間として求め、この比較時間Δt12とメモリ部58内の基準時間Δt11との差分dtを求め、この差分dtをメモリ部58内の基準画像形成期間ΔT(画像形成タイミング)から差し引いて、調整画像形成期間ΔT1(画像形成タイミング)を求め、この調整画像形成期間ΔT1をメモリ部58に記憶する。
【0084】
この後、印刷制御部59は、レーザ制御部55を通じてレーザ露光装置23を制御し、レーザビームによる感光体ドラム21表面への静電潜像の書込みを開始して、この書込み開始時点t1からの計時を開始し、この計時時間がメモリ部58内の調整画像形成期間ΔT1に達すると、例えば図4に示すように時点(t2−差分dt)に達すると、モータ制御部53を通じてレジストローラ対32の駆動用のモータ52を駆動制御し、レジストローラ対32による記録用紙の搬送を開始し、記録用紙を感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域へと導いて、トナー像を記録用紙に転写させる。すなわち、調整画像形成期間ΔT1に基づき、差分dtだけレジストローラ対32による搬送開始時点t2を早くする。これにより、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙の先端が、時点t4で感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域に到達して、トナー像が記録用紙上の適確な印刷位置に印刷される。
【0085】
ただし、図4のタイミングチャートから明らかなように任意の給紙カセットから給紙された1枚の記録用紙について、比較時間Δt12とメモリ部58内の基準時間Δt11との差分dtが求められ、メモリ部58内の基準画像形成期間ΔTから差分dtが差し引かれて、調整画像形成期間ΔT1が求められたときには、レジストローラ対32による該記録用紙の搬送が開始されており、レジストローラ対32による該記録用紙の搬送開始時点を調整することはできない。このため、任意の給紙カセットから1枚の記録用紙が給紙されたときには、同一の給紙カセットから以前に給紙された記録用紙について求められた調整画像形成期間ΔT1に基づきレジストローラ対32によるその1枚の記録用紙の搬送開始時点を調整する。
【0086】
ここで、同一の給紙カセットから給紙される限り、複数の記録用紙を給紙しても、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの比較時間Δt12の変化が小さい。このため、以前の記録用紙について比較時間Δt12及び調整画像形成期間ΔT1を求め、次の記録用紙について、以前の調整画像形成期間ΔT1に基づきレジストローラ対32による搬送開始時点を調整しても、記録用紙上のトナー像の印刷位置を適確に補正することができる。また、レジストローラ対32の回転速度を高速化しても、レジストローラ対32による記録用紙の搬送開始時点を調整するだけであるから、的確な補正が可能である。
【0087】
尚、トナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置の補正は、各給紙カセット38A、38B、38Cのいずれでも行われるため、各給紙カセット38A、38B、38C別に、比較時間Δt12、基準時間Δt11と比較時間Δt12との差分dt、及び調整画像形成期間ΔT1を求める必用がある。
【0088】
一方、先に述べたように比較時間Δt12の変化が小さくても、比較時間Δt12に誤差が生じており、同様の誤差が基準時間Δt11にも含まれている。この誤差は、間欠回転するレジストローラ対32に回転を伝達するギア群のバックラッシが主な原因であると考えられる。
【0089】
従って、工場出荷される前の画像形成装置1の検査時に、基準の給紙カセット38Aから給紙された記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置を調整して、基準画像形成期間ΔTを設定し、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの基準時間Δt11を求めたとしても、基準時間Δt11に誤差が含まれ、基準画像形成期間ΔTにも誤差が含まれていることになる。つまり、誤差を含まない真の基準画像形成期間及び真の基準時間が定かではない。
【0090】
このため、同一の給紙カセットから記録用紙が給紙される度に、比較時間Δt12、及び基準時間Δt11と比較時間Δt12との差分dtを繰り返し求め、これらの差分dtを平均化して、この差分の平均値/dtを基準画像形成期間ΔTから差し引いて、調整画像形成期間ΔT1を求めるのが好ましい。
【0091】
ここで、基準時間Δt11及び比較時間Δt12に誤差が含まれていても、基準時間Δt11と比較時間Δt12との差分dtを繰り返し求めて、これらの差分dtを平均化すると、この差分の平均値/dtが、基準時間Δt11と誤差を含まない真の基準時間との差分に収束して行く。よって、差分の平均値/dtを基準画像形成期間ΔTから差し引いて、調整画像形成期間ΔT1を求め、記録用紙上のトナー像の印刷位置を補正すれば、記録用紙上のトナー像の印刷位置が記録用紙上の最も適確な印刷位置に収束するようになる。
【0092】
具体的には、同一の給紙カセットから記録用紙が給紙される度に、演算部57は、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの時間Δt12を比較時間として求め、この比較時間Δt12とメモリ部58内の基準時間Δt11との差分dtを求め、この差分dtをメモリ部58に記憶する。そして、同一の給紙カセットから記録用紙が給紙される度に繰り返し求めた全ての差分dtをメモリ部58から読出し、これらの差分dtの平均値を求め、この差分の平均値/dtを基準画像形成期間ΔTから差し引いて、調整画像形成期間ΔT1を求め、この調整画像形成期間ΔT1をメモリ部58に記憶する。印刷制御部59は、レーザビームによる感光体ドラム21表面への静電潜像の書込み開始時点t1からの計時を開始し、この計時時間がメモリ部58内の調整画像形成期間ΔT1に達すると、レジストローラ対32による記録用紙の搬送を開始し、記録用紙を感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域へと導いて、記録用紙にトナー像を転写させる。これにより、記録用紙上のトナー像の印刷位置を最も適確な印刷位置に近づけることができる。
【0093】
このように記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置の補正では、工場出荷される前の画像形成装置1の検査時に、基準の給紙カセット38Aから給紙された記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置を調整して、基準画像形成期間ΔTを設定し、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの基準時間Δt11を求めている。そして、ユーザの使用による画像形成装置1の稼動時には、各給紙カセット38A、38B、38Cのうちの任意の給紙カセットから給紙された記録用紙について、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの時間Δt12を比較時間として求め、基準時間Δt11と比較時間Δt12との差分dtに基づき基準画像形成期間ΔTを補正することにより、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙上のトナー像の適確な印刷位置を設定するための調整画像形成期間ΔT1を求めている。
【0094】
このため、工場出荷される前の画像形成装置1の検査時には、基準の給紙カセット38Aのみに関して、基準画像形成期間ΔT及び基準時間Δt11を設定しておけばよく、調整及び設定の作業が容易である。
【0095】
また、同一の給紙カセットから記録用紙が給紙される度に、基準時間Δt11と比較時間Δt12との差分dtを繰り返し求め、これらの差分dtを平均化して、この差分の平均値/dtを基準画像形成期間ΔTから差し引いて、調整画像形成期間ΔT1を求めているので、記録用紙上のトナー像の印刷位置を最も適確な印刷位置に収束させることができる。
【0096】
尚、基準時間Δt11と比較時間Δt12との差分dtが一定値以下のときにだけ、平均値/dtを更新するようにしてもよい。これにより、用紙先端センサ41の検出エラーによるイレギュラーな比較時間Δt12の影響を排除することができる。また、メモリ部58の記憶容量を節減するために、差分dtの記憶数を制限して、差分dtを記憶日時の旧いものから順次消去してもよい。また、平均値/dtと、平均値/dtを求めるために用いた差分dtの個数kとを記憶して、新たに求められた差分dt、平均値/dt、及び個数kに基づき平均値/dtを更新するようにしても構わない。
【0097】
次に、記録用紙上のトナー像の主走査方向Dの印刷位置の補正について詳しく説明する。この主走査方向Dの印刷位置も、各給紙カセット38A、38B、38Cのいずれから記録用紙が給紙されたかにより異なる。これは、各給紙カセット38A、38B、38Cにおけるそれぞれの記録用紙のセット位置のバラツキ等が原因となっている。
【0098】
このため、工場出荷される前の画像形成装置1の検査時に給紙カセット38Aを基準の給紙カセットとして予め設定し、この基準の給紙カセット38Aから給紙された記録用紙上のトナー像の主走査方向Dの印刷位置を適宜に調整して、このときのレーザ露光装置23のレーザビームにより走査される感光体ドラム21表面上の主走査ラインの書込み開始位置に対応する基準画像形成位置ΔMを予め求めて設定している。また、図7に示すように基準の給紙カセット38Aから給紙された記録用紙Pの側端paをラインセンサ42により検出し、この記録用紙Pの側端paの位置を基準側端位置j1として設定する。
【0099】
そして、ユーザの使用による画像形成装置1の稼動時には、各給紙カセット38A、38B、38Cのうちの任意の給紙カセットから記録用紙が給紙されると、図7に示すようにラインセンサ42により主走査方向Dの記録用紙PBの側端pbの位置を検出し、この側端位置を比較側端位置j2として求め、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δjを求め(図7を参照)、この差分Δjにより基準画像形成位置ΔMを補正している。
【0100】
ここで、レーザ露光装置23のレーザビームにより走査される主走査ラインの一端の基準位置に受光素子を設け、この受光素子によるレーザ露光装置23のレーザビームの検出時点からレーザビームによる主走査ラインの書込み開始時点までの時間を調整することにより、主走査ラインの書込み開始位置を変更している。この書込み開始位置が変更されると、感光体ドラム21表面に形成される静電潜像並びにトナー像の主走査方向Dの位置が変更され、感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域で記録用紙に転写されるトナー像の主走査方向Dの位置が変更される。
【0101】
また、差分Δjは、基準の給紙カセット38Aから給紙された記録用紙の側端位置と任意の給紙カセットから給紙された記録用紙の側端位置との主走査方向Dのずれ量である。
【0102】
このため、主走査方向Dの差分Δjだけ基準画像形成位置ΔMを補正し、この補正された画像形成位置に応じてレーザビームによる感光体ドラム21表面上の主走査ラインの書込み開始位置を変更すると、感光体ドラム21表面上の静電潜像並びにトナー像の主走査方向Dの位置が変更され、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙上のトナー像の印刷位置が適確に補正される。
【0103】
次に、記録用紙上のトナー像の主走査方向Dの印刷位置の補正の具体的な手順を説明する。工場出荷される前の画像形成装置1の検査時には、図5に示すように記録用紙Pの両端にそれぞれの余白領域Bd、Beの幅sd、seを設定するボイド調整を行っており、各余白領域Bd、Beの内側にトナー像を転写して印刷するため、各余白領域Bd、Beの幅sd、seの調整により主走査方向Dの印刷位置も調整することができる。
【0104】
このボイド調整による記録用紙上のトナー像の主走査方向Dの印刷位置の設定手順を、図6のフローチャートに従って説明する。
【0105】
まず、基準の給紙カセット38Aから感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域へと記録用紙を給紙する。また、レーザ露光装置23により感光体ドラム21表面にテストパターンの静電潜像を形成し、現像装置24により感光体ドラム21表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム21表面にテストパターンのトナー像を形成し、感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域に記録用紙を挟み込んで、感光体ドラム21から記録用紙にテストパターンのトナー像を転写し、定着装置27により記録用紙上のテストパターンのトナー像を定着させる(ステップS101)。このとき、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の側端位置を検出し、この側端位置を基準側端位置j1としてメモリ部58に記憶して仮設定する(ステップS102)。
【0106】
そして、作業者は、図5に示すような記録用紙Pの各余白領域Bd、Beの幅sd、seを測定し、各余白領域Bd、Beの幅sd、seと規定幅との差が許容値以下であるか否かを確認する。
【0107】
各余白領域Bd、Beの幅sd、seと規定幅との差が許容値以下でない場合は、主走査方向Dの印刷位置がずれているため、各余白領域Bd、Beの幅sd、seを変更して、印刷位置を調整する。各余白領域Bd、Beの幅sd、seの変更量は、入力操作部54の操作により入力指示することができる(ステップS103)。
【0108】
主制御部56の演算部57は、入力操作部54から入力指示された各余白領域Bb、Bcの幅sb、scの変更量に応じて基準画像形成位置ΔM(初期設定値)を変更し、この基準画像形成位置ΔMをメモリ部58に記憶して仮設定する(ステップS104)。この基準画像形成位置ΔMは、規定のピッチで配列された画素数で表される。
【0109】
この後、演算部57は、各余白領域Bd、Beの幅sd、seの変更量が一定値以下であるか否かを判定し(ステップS105)、各余白領域Bd、Beの幅sd、seの変更量が一定値以下でなければ(ステップS105で「No」)、ステップS101からの処理に戻る。
【0110】
この場合、印刷制御部59は、メモリ部58内の基準画像形成位置ΔMに応じてレーザ露光装置23のレーザビームによる主走査方向Dでの書込み開始位置を調整設定して、感光体ドラム21表面に形成される静電潜像並びにトナー像の主走査方向Dの位置を変更し、感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域で記録用紙に転写されるトナー像の主走査方向Dの位置を変更する。これにより、各余白領域Bd、Beの幅sd、seが変更されて、主走査方向Dの印刷位置が変更される(ステップS101)。また、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の側端位置を検出し、この側端位置を基準側端位置j1としてメモリ部58に記憶して、仮設定の基準側端位置j1を更新する(ステップS102)。
【0111】
そして、作業者は、記録用紙Pの各余白領域Bd、Beの幅sd、seを測定し、各余白領域Bd、Beの幅sd、seと規定幅との差が許容値以下であるか否かを確認する。
【0112】
各余白領域Bd、Beの幅sd、seと規定幅との差が許容値以下でない場合は、入力操作部54の操作により各余白領域Bd、Beの幅sd、seの更なる変更量を入力指示して(ステップS103)、各余白領域Bd、Beの幅sd、seを再び変更して、印刷位置を再び調整する。
【0113】
主制御部56の演算部57は、入力操作部54から入力指示された各余白領域Bb、Bcの幅sb、scの更なる変更量に応じてメモリ部58内の基準画像形成位置ΔMを更新する(ステップS104)。
【0114】
この後、演算部57は、各余白領域Bd、Beの幅sd、seの更なる変更量が一定値以下であるか否かを判定し(ステップS105)、変更量が一定値以下でなければ(ステップS105で「No」)、ステップS101からの処理に再び戻る。
【0115】
また、変更量が一定値以下であれば(ステップS105で「Yes」)、メモリ部58内の基準側端位置j1及び基準画像形成位置ΔMが確定されて、基準側端位置j1及び基準画像形成位置ΔMが各給紙カセット38A、38B、38Cのいずれにも適用され、図6のフローチャートの処理が終了となる。
【0116】
尚、各余白領域Bd、Beの幅sd、seの変更量が一定値以下になるまで、ステップS101〜S105を繰返すのは、各余白領域Bd、Beの幅sd、seを確認するためと、基準画像形成位置ΔM及び基準側端位置j1の精度を向上させるためである。
【0117】
次に、ユーザの使用による画像形成装置1の稼動時には、入力操作部54の操作により各給紙カセット38A、38B、38Cのうちの任意の給紙カセットが入力指示されるので、主制御部56の印刷制御部59は、モータ制御部53を通じて任意の給紙カセットのピックアップローラ39等の駆動用のモータ52を制御して、任意の給紙カセットからの記録用紙の給紙を行う。このとき、演算部57は、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙について、ラインセンサ42により検出された主走査方向の側端位置を比較側端位置j2として求め、この比較側端位置j2とメモリ部58内の基準側端位置j1との差分Δjを求め、この差分Δjをメモリ部58内の基準画像形成位置ΔMに加算して、調整画像形成位置ΔM1を求め、この調整画像形成位置ΔM1をメモリ部58に記憶する。
【0118】
この後、印刷制御部59は、レーザ制御部55を通じてレーザ露光装置23を制御し、レーザビームによる感光体ドラム21表面への静電潜像の書込みを開始すると、レーザビームが主走査方向に走査される度に、メモリ部58内の調整画像形成位置ΔM1に応じてレーザビームによる主走査ラインの書込み開始位置を設定する。これにより、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙上のトナー像の印刷位置が基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δjだけ変更されて、トナー像が記録用紙上の適確な印刷位置に印刷される。
【0119】
ただし、任意の給紙カセットから給紙された1枚の記録用紙について、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の側端位置が検出されたときには、レーザビームによる感光体ドラム21表面への静電潜像の書込みが開始されており、レーザビームによる主走査ラインの書込み開始位置を変更することはできない。このため、任意の給紙カセットから1枚の記録用紙が給紙されたときには、レーザビームによる主走査ラインの書込み開始位置を同一の給紙カセットから以前に給紙された記録用紙について求められた調整画像形成位置ΔM1に応じて変更することになる。
【0120】
ここで、同一の給紙カセットから給紙される限り、複数の記録用紙を給紙しても、ラインセンサ42により検出された比較側端位置j2の変化が小さい。このため、以前の記録用紙について比較側端位置j2及び調整画像形成位置ΔM1を求め、次の記録用紙について、レーザビームによる主走査ラインの書込み開始位置を以前の調整画像形成位置ΔM1に変更しても、記録用紙上のトナー像の印刷位置を適確に補正することができる。
【0121】
尚、トナー像の主走査方向Dの印刷位置の補正は、各給紙カセット38A、38B、38Cのいずれでも行われるため、各給紙カセット38A、38B、38C別に、比較側端位置j2及び調整画像形成位置ΔM1を求める必用がある。
【0122】
一方、そのような比較側端位置j2の変化が小さくても、比較側端位置j2に誤差が生じ、同様の誤差が基準側端位置j1にも含まれており、誤差を含まない真の基準画像形成位置及び真の基準側端位置が定かではない。
【0123】
このため、同一の給紙カセットから記録用紙が給紙される度に、比較側端位置j2、及び基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δjを繰り返し求め、これらの差分Δjを平均化して、この差分の平均値を基準画像形成位置ΔMに加算して、調整画像形成位置ΔM1を求めるのが好ましい。
【0124】
ここで、基準側端位置j1及び比較側端位置j2に誤差が含まれていても、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δjを繰り返し求めて、これらの差分Δjを平均化すると、この差分の平均値が、基準側端位置j1と誤差を含まない真の基準側端位置との差分に収束して行く。よって、差分の平均値を基準側端位置j1に加算して、調整画像形成位置ΔM1を求め、記録用紙上のトナー像の印刷位置を補正すれば、記録用紙上のトナー像の印刷位置が記録用紙上の最も適確な印刷位置に収束するようになる。
【0125】
具体的には、同一の給紙カセットから記録用紙が給紙される度に、ラインセンサ42による記録用紙の比較側端位置j2の測定を繰り返し、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δjを繰り返し求めてメモリ部58に一旦記憶する。そして、同一の給紙カセットから給紙された記録用紙について繰り返し求められた全ての差分Δjをメモリ部58から読出し、これらの差分Δjの平均値を求め、この差分の平均値/Δjを基準画像形成位置ΔMに加算して、調整画像形成位置ΔM1を求め、この調整画像形成位置ΔM1をメモリ部58に記憶する。印刷制御部59は、レーザビームが主走査方向に走査される度に、メモリ部58内の調整画像形成位置ΔM1に応じてレーザビームによる主走査ラインの書込み開始位置を設定して、感光体ドラム21表面に形成される静電潜像並びにトナー像の主走査方向Dの位置を変更し、感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域で記録用紙に転写されるトナー像の主走査方向Dの位置を変更する。これにより、記録用紙上のトナー像の印刷位置が最も適確な印刷位置に近づく。
【0126】
次に、図8A、図8Bの遷移図に従って、基準画像形成位置ΔM及び調整画像形成位置ΔM1を求める手順の具体例を説明する。
【0127】
ここでは、基準の給紙カセット38Aと他の給紙カセット38Bに着目している。また、差分Δj、基準画像形成位置ΔM、及び調整画像形成位置ΔM1を規定のピッチで配列される画素数で表している。更に、基準側端位置j1は、画像形成装置1の設計上の規定位置から主走査方向に離間した該基準側端位置j1までの距離を画素数で表したものである。
【0128】
さて、図8Aに示すように工場出荷される前の画像形成装置1の検査の前段階では、各給紙カセット38A、38Bから給紙されるそれぞれの記録用紙に対し、画像形成位置が初期値R(=50)として予め設定されている。この初期値Rは、画像形成装置1の設計上の値であって、主走査ラインの一端の基準位置に設けられた受光素子によるレーザ露光装置23のレーザビームの検出時点からレーザビームによる主走査ラインの書込み開始時点までの時間(画素数)を示すものである。また、基準画像形成位置ΔM及び差分Δjが「0」に初期設定されている。
【0129】
この状態で、図6のフローチャートに従って、記録用紙上のテストパターンのトナー像を印刷し、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の基準側端位置j1を検出し、記録用紙Pの各余白領域Bd、Beの幅sd、seを測定し、入力操作部54の操作により各余白領域Bd、Beの幅sd、seの変更量を入力指示して、基準画像形成位置ΔMを調整し、主走査方向Dの印刷位置を調整するという処理が繰返される。そして、基準画像形成位置ΔM(=10)及び基準側端位置j1(=−5)がメモリ部58に記憶されて確定され、初期値Rと基準画像形成位置ΔMの和が制御値Q(=60)としてメモリ部58に記憶される。
【0130】
次に、ユーザの使用による画像形成装置1の稼動時には、例えば給紙カセット38Aから1枚目の記録用紙が給紙されると、レーザビームによる主走査ラインの書込み開始位置がメモリ部58内の制御値Q(基準画像形成位置ΔMに対応する)に設定されて、感光体ドラム21表面への静電潜像の書込みが開始される。そして、現像装置24により感光体ドラム21表面の静電潜像が現像されて、感光体ドラム21表面にトナー像が形成され、感光体ドラム21と転写ローラ25との間のニップ域で感光体ドラム21から記録用紙へとトナー像が転写される。
【0131】
また、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の比較側端位置j2(=−3)が検出され、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δj(=2)が求められてメモリ部58に記憶される。
【0132】
従って、1枚目の記録用紙については、工場で設定された基準画像形成位置ΔMに対応する主走査方向Dの印刷位置にトナー像が印刷され、比較側端位置j2及び差分Δjが初めて求められる。
【0133】
引き続いて、給紙カセット38Aから2枚目の記録用紙が給紙されると、メモリ部58内の制御値Q(=60)に差分Δj(=2)が加算されて、制御値Qが「62」(調整画像形成位置ΔM1に対応する)に再設定され、レーザビームによる主走査ラインの書込み開始位置が制御値Q(調整画像形成位置ΔM1に対応する)に設定されて、感光体ドラム21表面への静電潜像の書込みが開始され、静電潜像が現像されて、ニップ域でトナー像が記録用紙に転写される。
【0134】
また、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の比較側端位置j2(=−1)が検出され、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δj(=4)が求められてメモリ部58に記憶され,前回の差分Δj(=2)と今回の差分Δj(=4)が平均化されて、この差分の平均値/Δj(=3)が求められてメモリ部58に記憶される。
【0135】
従って、2枚目の記録用紙については、1枚目の記録用紙について求められた差分Δjが基準画像形成位置ΔMに加算されて、調整画像形成位置ΔM1が求められ、調整画像形成位置ΔM1に対応する主走査方向Dの印刷位置にトナー像が印刷され、差分Δjの平均値/Δjが初めて求められる。
【0136】
引き続いて、図8Bに示すように給紙カセット38Aから3枚目の記録用紙が給紙されると、メモリ部58内の制御値Q(=60)に平均値/Δj(=3)が加算されて、制御値Qが「63」(調整画像形成位置ΔM1に対応する)に再設定され、レーザビームによる主走査ラインの書込み開始位置が制御値Q(調整画像形成位置ΔM1に対応する)に設定されて、感光体ドラム21表面への静電潜像の書込みが開始され、静電潜像が現像されて、ニップ域でトナー像が記録用紙に転写される。
【0137】
また、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の比較側端位置j2(=−2)が検出され、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δj(=3)が求められてメモリ部58に記憶され,これまでの差分Δj(=2、4、3)が平均化されて、この差分の平均値/Δj(=3)が求められてメモリ部58に記憶される。
【0138】
従って、3枚目の記録用紙については、1枚目と2枚目の記録用紙について求められた各差分Δjの平均値/Δjが基準画像形成位置ΔMに加算されて、調整画像形成位置ΔM1が求められ、調整画像形成位置ΔM1に対応する主走査方向Dの印刷位置にトナー像が印刷され、差分Δjの平均値/Δjが更新される。
【0139】
以降同様に、給紙カセット38Aからn枚目の記録用紙が給紙されると、メモリ部58内の制御値Q(=60)に、(n−1)枚目の記録用紙までに求められた各差分Δjの平均値/Δj(=3)が加算されて、制御値Qが「63」(調整画像形成位置ΔM1に対応する)に再設定され、レーザビームによる主走査ラインの書込み開始位置が制御値Q(調整画像形成位置ΔM1に対応する)に設定されて、感光体ドラム21表面への静電潜像の書込みが開始され、静電潜像が現像されて、ニップ域でトナー像が記録用紙に転写される。
【0140】
また、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の比較側端位置j2(=−6)が検出され、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δj(=−1)が求められてメモリ部58に記憶され,これまでの差分Δjが平均化されて、この差分の平均値/Δj(=2.3)が求められてメモリ部58に記憶される。
【0141】
一方、他の給紙カセット38Bから1枚目の記録用紙が給紙されると、メモリ部58内の制御値Q(=60)に応じてレーザビームによる主走査ラインの書込み開始位置(基準画像形成位置ΔMに対応する)が設定されて、感光体ドラム21表面への静電潜像の書込みが開始され、静電潜像が現像されて、ニップ域でトナー像が記録用紙に転写される。
【0142】
また、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の比較側端位置j2(=4)が検出され、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δj(=9)が求められてメモリ部58に記憶される。
【0143】
従って、1枚目の記録用紙については、工場で設定された基準画像形成位置ΔMに対応する主走査方向Dの印刷位置にトナー像が印刷され、比較側端位置j2及び差分Δjが初めて求められる。
【0144】
引き続いて、同一の他の給紙カセット38Bから2枚目の記録用紙が給紙されると、メモリ部58内の制御値Q(=60)に差分Δj(=9)が加算されて、制御値Qが「69」(調整画像形成位置ΔM1に対応する)に再設定され、レーザビームによる主走査ラインの書込み開始位置が制御値Q(調整画像形成位置ΔM1に対応する)に設定されて、感光体ドラム21表面への静電潜像の書込みが開始され、静電潜像が現像されて、ニップ域でトナー像が記録用紙に転写される。
【0145】
また、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の比較側端位置j2が検出され、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δjが求められてメモリ部58に記憶され,前回の差分Δj(=9)と今回の差分Δjが平均化されて、この差分の平均値/Δjが求められてメモリ部58に記憶される。
【0146】
従って、2枚目の記録用紙については、1枚目の記録用紙について求められた差分Δjが基準画像形成位置ΔMに加算されて、調整画像形成位置ΔM1が求められ、調整画像形成位置ΔM1に対応する主走査方向Dの印刷位置にトナー像が印刷され、差分Δjの平均値/Δjが初めて求められる。
【0147】
引き続いて、同一の他の給紙カセット38Bから3枚目以降の記録用紙が給紙されたときには、基準の給紙カセット38Aと同様の手順で、制御値Q(調整画像形成位置ΔM1に対応する)が再設定され、差分Δjが求められ、差分の平均値/Δjが求められる。
【0148】
尚、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δjが一定値以下のときにだけ、平均値/Δjを更新するようにしてもよい。これにより、ラインセンサ42の検出エラーによるイレギュラーな比較側端位置j2の影響を排除することができる。また、メモリ部58の記憶容量を節減するために、差分Δjの記憶数を制限して、差分Δjを記憶日時の旧いものから順次消去してもよい。また、平均値/Δjと、平均値/Δjを求めるために用いた差分Δjの個数kとを記憶して、新たに求められた差分Δj、平均値/Δj、及び個数kに基づき平均値/Δjを更新するようにしても構わない。
【0149】
このように記録用紙上のトナー像の主走査方向Dの印刷位置の補正では、工場出荷される前の画像形成装置1の検査時に、基準の給紙カセット38Aから給紙された記録用紙上のトナー像の主走査方向Dの印刷位置を調整して、基準画像形成位置ΔMを設定し、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の側端位置を検出して、この側端位置を基準側端位置j1として求めている。そして、ユーザの使用による画像形成装置1の稼動時には、各給紙カセット38A、38B、38Cのうちの任意の給紙カセットから給紙された記録用紙について、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の比較側端位置j2を検出して、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δjを求め、この差分Δjに応じて基準画像形成位置ΔMを補正することにより、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙上のトナー像の適確な印刷位置を設定するための調整画像形成位置ΔM1を求めている。
【0150】
このため、工場出荷される前の画像形成装置1の検査時には、基準の給紙カセット38Aのみに関して、基準画像形成位置ΔM及び基準側端位置j1を設定しておけばよく、調整及び設定の作業が容易である。
【0151】
また、任意の給紙カセットから記録用紙が給紙される度に、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δjを繰り返し求め、これらの差分Δjを平均化して、この差分の平均値/Δjを基準画像形成位置ΔMに加算して、調整画像形成位置ΔM1を求めているので、記録用紙上のトナー像の印刷位置を記録用紙上の最も適確な印刷位置に収束させることができる。
【0152】
ところで、上記実施形態では、各給紙カセット別に、記録用紙上のトナー像の印刷位置を副走査方向及び主走査方向で調整して補正しているが、記録用紙の種類別に、記録用紙上のトナー像の印刷位置を副走査方向及び主走査方向で調整して補正することができる。
【0153】
この場合、記録用紙をそのサイズや坪量(もしくは厚み)で類別する。これは、記録用紙のサイズや坪量(もしくは厚み)が異なると、記録用紙上のトナー像の印刷位置にずれが生じるためである。例えば、記録用紙のサイズや坪量により、レジストローラ対32に突き当てられたときの記録用紙の先端の位置が異なり、これが原因となって記録用紙上のトナー像の印刷位置にずれが生じる。
【0154】
例えば、給紙カセット38Aに普通サイズかつ普通坪量(もしくは普通の厚み)の記録用紙を収容し、他の各給紙カセット38B、38Cに他の異なるそれぞれの種類の記録用紙を収容するものとすると、上記実施形態と略同様に、記録用紙上のトナー像の印刷位置を補正することができる。
【0155】
すなわち、記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置の補正では、工場出荷される前の画像形成装置1の検査時に、基準の給紙カセット38Aから普通サイズかつ普通坪量(もしくは普通の厚み)の記録用紙を給紙して、この記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置を調整して、基準画像形成期間ΔTを設定し、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの基準時間Δt11を求めておく。そして、ユーザの使用による画像形成装置1の稼動時には、各給紙カセット38A、38B、38Cのいずれかより給紙された任意の種類の記録用紙について、レジストローラ対32による搬送開始時点t2から用紙先端センサ41による記録用紙の先端の検出時点t3までの時間Δt12を比較時間として求め、基準時間Δt11と比較時間Δt12との差分dtに基づき基準画像形成期間ΔTを補正することにより、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙上のトナー像の適確な印刷位置を設定するための調整画像形成期間ΔT1を求める。
【0156】
また、任意の種類の記録用紙が給紙される度に、差分dtを繰り返し求め、これらの差分dtを平均化して、この差分の平均値/dtを基準画像形成期間ΔTから差し引いて、調整画像形成期間ΔT1を求め、記録用紙上のトナー像の印刷位置を記録用紙上の最も適確な印刷位置に収束させる。
【0157】
同様に、記録用紙上のトナー像の主走査方向Dの印刷位置の補正では、工場出荷される前の画像形成装置1の検査時に、基準の給紙カセット38Aから普通サイズかつ普通坪量(もしくは普通の厚み)の記録用紙を給紙して、この給紙された記録用紙上のトナー像の主走査方向Dの印刷位置を調節して、基準画像形成位置ΔMを設定し、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の基準側端位置j1を検出しておく。そして、ユーザの使用による画像形成装置1の稼動時には、各給紙カセット38A、38B、38Cのいずれかより給紙された任意の種類の記録用紙について、ラインセンサ42により記録用紙の主走査方向の比較側端位置j2を検出して、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δjを求め、この差分Δjに基づき基準画像形成位置ΔMを補正して、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙上のトナー像の適確な印刷位置を設定するための調整画像形成位置ΔM1を求める。
【0158】
また、任意の給紙カセットから記録用紙が給紙される度に、差分Δjを繰り返し求め、これらの差分Δjを平均化して、この差分の平均値/Δjに基づき基準画像形成位置ΔMを補正して、調整画像形成位置ΔM1を求め、記録用紙上のトナー像の印刷位置を記録用紙上の最も適確な印刷位置に収束させる。
【0159】
ただし、給紙カセットに収容される記録用紙の種類が変更されたときには、差分dtを平均化した平均値/dt及び差分Δjを平均化した平均値/Δjを初期化する必用がある。あるいは、記録用紙の種類に対応付けて、平均値/dtや平均値/Δj及び平均値を求めるために用いた差分の個数kをメモリ部58に記憶して残しておき、同一種類の記録用紙が給紙カセットに再び収容され、入力操作部54の操作によりその種類が入力指示されたときに、メモリ部58からその平均値/dtや平均値/Δj及び個数kを読出して継続利用してもよい。
【0160】
更に、単一の給紙カセットに対して入れ替えられる複数種類の記録用紙についても、上記実施形態と略同様に、記録用紙上のトナー像の印刷位置を補正することができる。
【0161】
この場合、記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置の補正では、工場出荷される前の画像形成装置1の検査時に、給紙カセットから普通サイズかつ普通坪量(もしくは普通の厚み)の記録用紙を給紙して、この記録用紙上のトナー像の用紙搬送方向Cの印刷位置を調整して、基準画像形成期間ΔTを設定し、また基準時間Δt11を求めておく。そして、ユーザの使用による画像形成装置1の稼動時には、給紙カセットより給紙された任意の種類の記録用紙について比較時間Δt12を求め、基準時間Δt11と比較時間Δt12との差分dtに基づき基準画像形成期間ΔTを補正することにより、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙上のトナー像の適確な印刷位置を設定するための調整画像形成期間ΔT1を求める。
【0162】
また、任意の種類の記録用紙が給紙される度に、差分dtを平均化して、この差分の平均値/dtを基準画像形成期間ΔTから差し引いて、調整画像形成期間ΔT1を求め、記録用紙上のトナー像の印刷位置を記録用紙上の最も適確な印刷位置に収束させる。
【0163】
同様に、記録用紙上のトナー像の主走査方向Dの印刷位置の補正では、工場出荷される前の画像形成装置1の検査時に、給紙カセットから普通サイズかつ普通坪量(もしくは普通の厚み)の記録用紙を給紙して、この給紙された記録用紙上のトナー像の主走査方向Dの印刷位置を調節して、基準画像形成位置ΔMを設定し、また記録用紙の主走査方向の基準側端位置j1を検出しておく。そして、ユーザの使用による画像形成装置1の稼動時には、給紙カセットより給紙された任意の種類の記録用紙について、記録用紙の主走査方向の比較側端位置j2を検出して、基準側端位置j1と比較側端位置j2との差分Δjを求め、この差分Δjに基づき基準画像形成位置ΔMを補正して、任意の給紙カセットから給紙された記録用紙上のトナー像の適確な印刷位置を設定するための調整画像形成位置ΔM1を求める。
【0164】
また、任意の種類の記録用紙が給紙される度に、差分Δjを平均化して、この差分の平均値/Δjを基準画像形成位置ΔMに加算して、調整画像形成位置ΔM1を求め、記録用紙上のトナー像の印刷位置を記録用紙上の最も適確な印刷位置に収束させる。
【0165】
更に、給紙カセットに収容される記録用紙の種類を変更したときには、差分dtを平均化した平均値/dt及び差分Δjを平均化した平均値/Δjを初期化する。あるいは、記録用紙の種類に対応付けて、平均値/dtや平均値/Δj及び平均値を求めるために用いた差分の個数kをメモリ部58に記憶して残しておき、同一種類の記録用紙が給紙カセットに再び収容され、入力操作部54の操作によりその種類が入力指示されたときに、メモリ部58からその平均値/dtや平均値/Δj及び個数kを読出して継続利用してもよい。
【0166】
また、給紙カセットと同様に、任意サイズの記録用紙を収納して供給する手差しトレイ(給紙部)についても、本発明を適用することができる。例えば、手差しトレイより記録用紙が給紙されたときの比較時間を求めて、基準時間と比較時間との差分を求め、この差分に基づき基準の給紙カセットより給紙された記録用紙について予め設定された画像形成タイミングを補正して、手差しトレイより給紙された記録用紙の画像の印刷位置を補正する。あるいは、手差しトレイより記録用紙が給紙されたときの比較側端位置を求めて、基準側端位置と比較側端位置との差分を求め、この差分に基づき基準の給紙カセットより給紙された記録用紙について予め設定された画像形成位置を補正して、手差しトレイより給紙された記録用紙の画像の印刷位置を補正する。
【0167】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【符号の説明】
【0168】
1 画像形成装置
11 印刷部
12 用紙搬送部
13 用紙供給部
21 感光体ドラム
22 帯電装置
23 レーザ露光装置
24 現像装置
25 転写ローラ
26 クリーニング装置
32 レジストローラ対
38A、38B、38C 給紙カセット(給紙部)
41 用紙先端センサ
42 ラインセンサ(側端センサ)
51 駆動部
52 モータ
53 モータ制御部
54 入力操作部
55 レーザ制御部
56 主制御部
57 演算部
58 メモリ部
59 印刷制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の給紙部と、画像を形成して記録用紙に印刷する印刷部と、前記各給紙部と前記印刷部の間に配され、前記各給紙部のいずれかより搬送されて来た記録用紙を受けて、前記印刷部への記録用紙の搬送開始時点を調整するレジストローラとを備え、前記印刷部による記録用紙上の画像の印刷位置を補正する画像形成装置であって、
前記レジストローラよりも前記記録用紙の搬送方向下流側に設けられ、前記記録用紙の先端を検出する用紙先端センサと、
前記レジストローラによる前記記録用紙の搬送開始時点から前記用紙先端センサによる前記記録用紙の先端の検出時点までの時間を計時する計時部と、
前記各給紙部のうちの任意の給紙部より記録用紙が給紙されると、前記記録用紙について前記計時部により検出された時間を比較時間として求め、前記各給紙部のうちの基準の給紙部より給紙された記録用紙について前記計時部により予め検出された基準時間と前記比較時間との差分を求め、前記差分に基づき前記基準の給紙部より給紙された記録用紙について予め設定された前記印刷部での画像形成タイミングを変更して、前記任意の給紙部より給紙された記録用紙の画像の印刷位置を補正する制御部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
給紙部と、画像を形成して記録用紙に印刷する印刷部と、前記給紙部と前記印刷部の間に配され、前記給紙部より搬送されて来た記録用紙を受けて、前記印刷部への記録用紙の搬送開始時点を調整するレジストローラとを備え、前記印刷部による記録用紙上の画像の印刷位置を補正する画像形成装置であって、
前記レジストローラよりも前記記録用紙の搬送方向下流側に設けられ、前記記録用紙の先端を検出する用紙先端センサと、
前記レジストローラによる前記記録用紙の搬送開始時点から前記用紙先端センサによる前記記録用紙の先端の検出時点までの時間を計時する計時部と、
前記給紙部より任意の種類の記録用紙が給紙されると、前記記録用紙について前記計時部により検出された時間を比較時間として求め、前記給紙部より給紙された予め設定された規定種類の記録用紙について前記計時部により検出された基準時間と前記比較時間との差分を求め、前記差分に基づき前記規定種類の記録用紙について予め設定された前記印刷部での画像形成タイミングを変更して、前記任意の種類の記録用紙上の画像の印刷位置を補正する制御部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記印刷部は、像担持体と、前記像担持体に静電潜像を書込む書込み部と、前記像担持体上の静電潜像をトナー像に現像する現像部と、前記像担持体上のトナー像を前記記録用紙に転写する転写部とを備え、
前記制御部は、前記書込み部による静電潜像の副走査方向の書込み開始時点と前記レジストローラの搬送開始時点との間の前記画像形成タイミングを前記差分だけ調整して、前記印刷位置を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成タイミングを調整設定するために操作される入力操作部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、記録用紙が給紙される度に、前記差分を繰り返し求め、これらの差分を平均化して、この平均の差分を前記画像形成タイミングの補正に用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
複数の給紙部と、前記各給紙部のいずれかより搬送されて来た記録用紙に画像を印刷する印刷部とを備え、前記印刷部による記録用紙上の画像の印刷位置を補正する画像形成装置であって、
前記印刷部よりも前記記録用紙の搬送方向上流側に設けられ、前記搬送方向とは直交する主走査方向の前記記録用紙の側端位置を検出する側端センサと、
前記各給紙部のうちの任意の給紙部より記録用紙が給紙されると、前記記録用紙について前記側端センサにより検出された側端位置を比較側端位置として求め、前記各給紙部のうちの基準の給紙部より給紙された記録用紙について前記側端センサにより予め検出された基準側端位置と前記比較側端位置との差分を求め、前記差分に基づき前記基準の給紙部より給紙された記録用紙について予め設定された前記印刷部での画像形成位置を変更して、前記任意の給紙部より給紙された記録用紙の画像の印刷位置を補正する制御部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
給紙部と、前記給紙部より搬送されて来た記録用紙に画像を印刷する印刷部とを備え、前記印刷部による記録用紙上の画像の印刷位置を補正する画像形成装置であって、
前記印刷部よりも前記記録用紙の搬送方向上流側に設けられ、前記搬送方向とは直交する主走査方向の前記記録用紙の側端位置を検出する側端センサと、
前記給紙部より任意の種類の記録用紙が給紙されると、前記記録用紙について前記側端センサにより検出された側端位置を比較側端位置として求め、前記給紙部より給紙された予め設定された規定種類の記録用紙について前記側端センサにより予め検出された基準側端位置と前記比較側端位置との差分を求め、前記差分に基づき前記規定種類の記録用紙について予め設定された前記印刷部での画像形成位置を変更して、前記任意の種類の記録用紙上の画像の印刷位置を補正する制御部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の画像形成装置であって、
前記印刷部は、像担持体と、前記像担持体に静電潜像を書込む書込み部と、前記像担持体上の静電潜像をトナー像に現像する現像部と、前記像担持体上のトナー像を前記記録用紙に転写する転写部とを備え、
前記制御部は、前記書込み部による静電潜像の主走査方向の書込み開始位置を調整して、前記印刷部での画像形成位置を前記差分だけ調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の画像形成装置であって、
前記印刷位置を調整設定するために操作される入力操作部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項6又は7に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、記録用紙が給紙される度に、前記差分を繰り返し求め、これらの差分を平均化して、この平均の差分を前記印刷位置の補正に用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項6又は7に記載の画像形成装置であって、
前記記録用紙の種類は、記録用紙のサイズもしくは坪量に応じた種類であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2012−230240(P2012−230240A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98298(P2011−98298)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】