画像形成装置
【課題】剛度が低いシートでもシート両面の画像形成位置の幅方向のずれを低減させることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート搬送路R1の幅方向の一側に、シートSの、シート搬送方向に沿った一側端の位置を規制する基準部材31を、シート搬送方向に沿って、かつシート搬送方向下流側端部を支点として回動可能に設ける。そして、シート搬送路R1にシート搬送方向に沿って配置された複数の斜送ローラ対32a〜32cにより、シートSの一側端を基準部材31に向けて斜送する。そして、制御部は、シートの両面に画像を形成するときには、基準部材31を、シートSの片面に画像を形成するときに比べて、シートSがシート搬送路中央側にずれるように回動させる。
【解決手段】シート搬送路R1の幅方向の一側に、シートSの、シート搬送方向に沿った一側端の位置を規制する基準部材31を、シート搬送方向に沿って、かつシート搬送方向下流側端部を支点として回動可能に設ける。そして、シート搬送路R1にシート搬送方向に沿って配置された複数の斜送ローラ対32a〜32cにより、シートSの一側端を基準部材31に向けて斜送する。そして、制御部は、シートの両面に画像を形成するときには、基準部材31を、シートSの片面に画像を形成するときに比べて、シートSがシート搬送路中央側にずれるように回動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特にシートの斜行及びシートの幅方向の位置を補正する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、画像形成部にシートを搬送するシート搬送装置を備えている。ここで、画像形成部に向けて搬送される際、シートに斜行や、シート搬送方向に対して直交する幅方向の位置(横レジ位置)のズレが発生すると、画像位置がずれた状態でシート上に画像が形成される。そこで、従来のシート搬送装置には、シートの斜行を補正する共に、横レジ位置を整合するための斜行補正部が、画像形成部のシート搬送方向上流側に設けられている。このような斜行補正部の一例としては、搬送中のシートの側端の位置ズレをサイドレジストレーション基準により補正する構成が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
サイドレジストレーション基準によりシートの整合を行う斜行補正部は、シート搬送路の一方側に、シートの一側端を突き当てる基準部材をシート搬送方向に沿って設けると共に、シート搬送路上に複数の斜送ローラを配置する。そして、斜送ローラにより、シート搬送方向上流側に設けられたシート搬送ローラによって搬送されているシートを基準部材側へ斜送して幅寄せし、シートの一側端を基準部材に突き当てて幅方向の位置ズレとシート側端の傾きの両方を補正している。
【0004】
ところで、このような斜送ローラを用いた斜行補正部では、シートの側端を基準部材の基準面に突き当てた際、基準面に対するシートの押し付け力(斜送ローラによる幅寄せ力)が強すぎると、シートが撓んでシートの詰まり(ジャム)や補正精度の悪化を招く。このため、従来の斜行補正部では、斜送ローラの挟持圧を変更して基準面に対するシート側端の押し付け力を調整することにより、シートを撓ませることなく基準面へシート側端を沿わせることができるようにした構成も提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−189355号公報
【特許文献2】特開平5−246584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような従来の斜行補正部を備えた画像形成装置においては、基準面に対するシート側端の押し付け力の調整は可能であるが、シートの剛度(コシ)が低い場合、押し付け力の調整だけでは精度よく斜行補正を行うことできない場合がある。例えば、シートが超薄紙(坪量70gsm未満のコート紙)の場合、シートの剛度が低く、また高温多湿環境下ではシートの剛度が低くなる。
【0007】
通常、薄紙のコート紙は定着部での定着ローラへの巻き付きジャムが発生しやすいことから、図18の(a)に示すように、シートSを、すき目方向がシート搬送方向と平行になるようにして通紙することにより、定着ローラへの巻き付きを防止している。なお、すき目とは、シートの繊維の向きであり、すき目の方向でシートの剛度やカールの形成し易さが異なる。このようにすき目方向にシートを搬送すると、両面モードの場合、定着部を通過して2面に画像が定着されたシートは、すき目にならって、言い換えればシート搬送方向に平行にカールする。そして、シートSに、このようなシート搬送方向に平行なカール(以下、樋状カールという)が生じると、シートSの幅方向の剛度が低くなる。
【0008】
このため、図18の(b)に示すように、斜送ローラ対32a〜32cにより、2面に画像が形成されたシートSを基準部材31に突き当てた際、シートSに、突き当て方向のたわみが発生する場合がある。この場合、斜行補正精度は、1面に画像が形成されたときよりも低下する。つまり、超薄紙コート紙の場合、1面に画像が形成された場合と2面に画像が形成された場合とでは、シートの撓み分で側端位置が変わるため、同じ基準面にシートを突き当てているにも関わらず、表裏の幅方向の位置が一致しなくなる場合がある。この結果、シートの両面に画像を形成すると、シート両面の画像形成位置が幅方向にずれるようになり、画像品位が低下する。
【0009】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、剛度が低いシートでもシート両面の画像形成位置の幅方向のずれを低減させることのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、画像形成部にシートを搬送してシートに画像を形成し、シートの両面に画像を形成する際には、片面に画像が形成されたシートを反転させて再度、前記画像形成部に搬送する画像形成装置において、シートの幅方向の中央を基準とする中央基準で前記画像形成部にシートを案内するシート搬送路と、前記シート搬送路のシート搬送方向に沿って配置され、かつシート搬送方向下流側端部を支点として回動可能に設けられ、シートの、シート搬送方向に沿った一側端が当接してシートの幅方向の位置を規制する基準部材と、前記シート搬送路にシート搬送方向に沿って配置され、シートを前記基準部材に向けて斜めに搬送する複数の斜送ローラと、前記基準部材を回動させる駆動部と、前記駆動部の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部により前記駆動部の駆動を制御し、シートの両面に画像を形成するとき、シートの片面に画像を形成するときに比べて、シートがシート搬送路中央側にずれるように前記基準部材を回動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のように、シートの両面に画像を形成するとき、基準部材を、シートの片面に画像を形成するときよりもシート搬送路側に回動させることにより、剛度が低いシートでもシート両面の画像形成位置の幅方向のずれを低減させることのできる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラー画像形成装置の概略構成を示す図。
【図2】上記カラー画像形成装置のシート搬送装置に設けられた斜行補正装置及び搬送ローラ装置の構成を説明する図。
【図3】上記斜行補正装置及び搬送ローラ装置の構成を説明する側面図。
【図4】上記搬送ローラ対の離間機構を説明する図。
【図5】上記搬送ローラ対を構成する駆動ローラの駆動部を説明する図。
【図6】上記斜行補正装置の斜送ローラ対を駆動する駆動部の上視図。
【図7】上記斜送ローラ対を構成する従動ローラの移動機構を説明する図。
【図8】上記従動ローラの移動機構の動作を説明する図。
【図9】上記カラー画像形成装置に設けられたコントローラの制御ブロック図。
【図10】上記斜行補正装置による斜行補正の際のシートの挙動を説明する第1の図。
【図11】上記斜行補正装置による斜行補正の際のシートの挙動を説明する第2の図。
【図12】上記斜行補正装置による斜行補正の際のシートの挙動を説明する第3の図。
【図13】上記斜行補正装置の基準部材を回動させる構成を説明する図。
【図14】上記基準部材が回動したときのシートの挙動を説明する図。
【図15】上記斜行補正装置の斜行調整方向を説明する図。
【図16】上記斜行補正装置の両面シートの斜行調整を行う動作を示すフローチャート。
【図17】上記斜行補正装置の両面シートの斜行補正動作を示すフローチャート。
【図18】従来の斜行補正部における薄紙のコート紙の状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。図1において、100はカラー画像形成装置であり、100Aはカラー画像形成装置本体(以下、装置本体という)である。なお、カラー画像形成装置100は構成上から主に、複数の画像形成部を並べて配置したタンデム方式と、円筒状に配置したロータリ方式に分類される。また、転写方式としては、感光体ドラムから直接シートにトナー像を転写する直接転写方式と一旦中間転写体に転写した後、シートに転写する中間転写方式に分類される。ここで、中間転写方式は、直接転写方式のようにシートを転写ベルト上に保持する必要がないため、超厚紙やコート紙等の多種多様なシートに対応できる。また、複数の画像形成部における並列処理およびフルカラー画像の一括転写という特長から高生産性の実現に適している。そして、本実施の形態に係るカラー画像形成装置100は、4色の画像形成ユニットを中間転写ベルト上に並べて配置した中間転写タンデム方式である。
【0014】
装置本体100Aには、画像形成部513と、シートSを搬送するシート給送部100Bと、画像形成部513で形成されたトナー画像をシート給送部100Bにより給送されたシートSに転写する転写部100Cとが設けられている。また、装置本体100Aには、シートを搬送するシート搬送装置100Dが設けられている。ここで、画像形成部513は、それぞれ感光体ドラム508、露光装置511、現像装置510、一次転写装置507及びクリーナ509等を備えたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の画像形成ユニットにより構成される。なお、各画像形成ユニットの形成する色は、これら4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。
【0015】
シート給送部100Bは、シートSをリフトアップ装置52の上に積載される形で収納するシート収納部51と、シート収納部51に収納されたシートSを送り出すシート給送手段53とを備えている。なお、このシート給送手段53としては給紙ローラ等による摩擦分離を利用する方式や、エアによる分離吸着を利用する方式等が挙げられるが、本実施の形態においては、エアによる給紙方式を例に挙げている。また、転写部100Cは、駆動ローラ504、テンションローラ505及び二次転写内ローラ503等のローラ類によって張架され、図中矢印Bの方向へと搬送駆動される中間転写ベルト506を備えている。
【0016】
ここで、この中間転写ベルト506は、一次転写装置507により与えられる所定の加圧力及び静電的負荷バイアスにより、感光体ドラム上に形成されたトナー像が転写される。また、この中間転写ベルト506は、略対向する二次転写内ローラ503及び二次転写外ローラ56により形成される二次転写部において所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることでシートSへ未定着画像を吸着させる。シート搬送装置100Dは、搬送ユニット54、搬送ローラ部を構成する搬送ローラ装置50、斜行補正部を構成する斜行補正装置55、レジストローラ7、定着前搬送部57、分岐搬送装置59、反転搬送装置501、両面搬送装置502等から構成されている。なお、図1において、600は、カラー画像形成装置100の画像形成動作及び後述するシートの斜行補正動作等を制御する制御部であるコントローラである。
【0017】
そして、このような構成のカラー画像形成装置100において、画像を形成する際には、まず、感光体ドラム508を図中矢印Aの方向に回転させ、予め不図示の帯電手段により感光体ドラム表面を一様に帯電させる。この後、回転する感光体ドラム508に対し、送られてきた画像情報の信号に基づいて露光装置511が発光し、この光を反射手段512等を適宜経由して照射することにより、感光体ドラム508上に潜像が形成される。なお、感光体ドラム508上に僅かに残った転写残トナーはクリーナ509により回収され、再び次の画像形成に備える。
【0018】
次に、このようにして感光体ドラム508上に形成された静電潜像に対して、現像装置510によるトナー現像が行われ、感光体ドラム上にトナー像が形成される。この後、一次転写装置507により所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが与えられ、中間転写ベルト506上にトナー像が転写される。なお、画像形成部513のY、M、C及びBkの各画像形成ユニットによる画像形成は、中間転写ベルト上に一次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。この結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト506上に形成される。
【0019】
また、シートSは、シート給送手段53により画像形成部513の画像形成タイミングに合わせて送り出される。この後、シートSは搬送ユニット54に設けられた搬送パス54aを通過して搬送中のシートのシート搬送方向と直交する幅方向の位置ズレ及び斜行を補正するための斜行補正装置55に搬送される。そして、斜行補正装置55により位置ズレ及び斜行が補正されたシートSは、レジストローラ7へと搬送され、レジストローラ7においてタイミング補正を行った後、二次転写内ローラ503及び二次転写外ローラ56により形成される二次転写部へと搬送される。この後、二次転写部においてシートS上にフルカラーのトナー像が二次転写される。次に、このようにトナー像が二次転写されたシートSは定着前搬送部57により定着装置58へと搬送される。そして、この定着装置58において、略対向するローラもしくはベルト等による所定の加圧力と、一般的にはヒータ等の熱源による加熱効果を加えてシートS上にトナー像が溶融固着される。
【0020】
次に、このようにして得られた定着画像を有するシートSは分岐搬送装置59により、そのまま排紙トレー500上に排出される。なお、シートSの両面に画像を形成する場合には、不図示の切替部材の切替により、この後、反転搬送装置501へと搬送される。ここで、このように反転搬送装置501へと搬送されると、シートSはスイッチバック動作を行うことで先後端を入れ替え、両面搬送装置502に設けられ、シートを案内するシート搬送路である再搬送通路Rへと搬送される。この後、シート給送部100Bから搬送されてくる後続ジョブのシートとのタイミングを合わせて搬送ユニット54が有する再給紙パス54bから合流し、再度、二次転写部へと送られる。画像形成プロセスに関しては1面目と同様なので省略する。なお、搬送ユニット54、分岐搬送装置59、反転搬送装置501、両面搬送装置502には、多数の搬送ローラが配置されている。そして、これらの搬送ローラでは、駆動ローラと従動ローラとの間でシートを挟持した状態で、駆動ローラ及び従動ローラが回転することにより、シートを搬送するようにしている。また、これらの搬送ローラは、従動ローラを不図示のスプリング等の付勢部材により駆動ローラ側に付勢することにより、両ローラの間にシートをニップする圧力を設定している。なお、本実施の形態では、シートの幅方向の中央とシートの搬送路の搬送方向と直交する方向での中央とを一致させてシートを搬送する中央基準でシートが搬送される構成を採用している。
【0021】
ところで、本実施の形態において、搬送中のシートの位置ズレ及び斜行を補正するための斜行補正装置55は、搬送中のシートの側端を基準にシートの位置ズレを補正するサイドレジストレーション基準による補正方式である。このため、この斜行補正装置55には、図2に示すように、シートSの搬送ガイドとして機能する固定式ガイド33と、搬送されるシートSのサイズに応じて矢印に示す幅方向(主走査方向)に移動可能な可動ガイド30が設けられている。
【0022】
さらに、可動ガイド30には、シート搬送路R1に沿って駆動ローラ332a〜332cを備えた複数の斜送ローラ対32a〜32cと、斜送ローラ対32a〜32cにより斜送されたシートSが突き当てられる突き当て基準部材31が垂設されている。なお、駆動ローラ332a〜332cは、シートの側端の位置決めを行う突き当て基準部材31(以下、基準部材という)に対する突き当て搬送成分が得られるようにシート搬送方向に対して角度θだけ傾いて可動ガイド30に取り付けられている。また、基準部材31は、画像形成部513にシートを案内するシート搬送路R1の幅方向の一側にシート搬送方向に沿って配置されている。
【0023】
また、図2に示すように、斜行補正装置55のシート搬送方向上流に配置され、シートを斜行補正装置55に搬送する搬送ローラ装置50には、複数の搬送ローラ対34が設けられている。ここで、この複数の搬送ローラ対34は、それぞれ図3に示すように下部ローラであるゴム製の駆動ローラ13と、駆動ローラ13に接離可能に圧接して駆動ローラ13と共にシートを搬送する上部ローラである樹脂製の従動ローラ14とから構成されている。
【0024】
なお、図3において、Pはプレレジセンサであり、このプレレジセンサPは光学式で発光部と受光部を持ち、シートSが通過するとシートSから反射した光が受光部で検知する事でシートの通過タイミングを検知している。そして、シートSの先端がプレレジセンサPを通過すると搬送ローラ対34は、一旦停止し、シート搬送時間(紙間距離)のバラツキを調整する。そして、シート搬送時間(紙間距離)のバラツキを調整した後、搬送ローラ対34が回転を再開することにより、シートは斜行補正装置55に搬送される。また、図3において、Qはレジ前センサであり、斜行補正装置55により斜行が補正されたシート先端を検知する。
【0025】
図4は搬送ローラ対34を離間させる離間機構50Aの構成を説明する図であり、従動ローラ14は従動軸20を介してアーム部材101に回転自在に支持され、アーム部材101は揺動軸102を介してステー部材18に揺動可能に支持されている。そして、搬送ローラ対34を離間させる場合は、レジ前圧解除モータ104を回転させ、ギア列105,106を介して偏芯コロ103を回転させ、偏芯コロ103によりアーム部材101の端部を押圧する。これにより、図4の(a)に示す位置にあるアーム部材101が、揺動軸102を中心にニップ解除方向に回動し、図4の(b)に示すように従動ローラ14が上昇し、駆動ローラ13とのニップを解除する。すなわち、搬送ローラ対34が離間状態となる。なお、本実施の形態においては、プレレジセンサPの検知タイミングにあわせてレジ前圧解除モータ104を駆動させることにより、ニップ解除のタイミングを可変としている。
【0026】
図5は駆動ローラ13の駆動部を説明する図であり、駆動ローラ13は駆動ゴムローラ13aが固着されたローラ軸13bに、プーリ302aとベルト302を介してレジ前駆動モータMpからの駆動が伝達される。なお、駆動ローラ13を駆動する駆動部であるレジ前駆動モータMpはステッピングモータであり、レジ前駆動モータMpにより、停止タイミングや搬送速度はプレレジセンサPのタイミングに合わせて可変になっている。
【0027】
そして、従動ローラ14は、搬送ユニット54から搬送されたシートSを搬送する際は、図3の(a)に示すように駆動ローラ13に圧接してニップNprを形成する位置に有る。これにより、搬送ユニット54から搬送された後、シートSは複数の搬送ローラ対34により挟持され、斜送ローラ対32a〜32cを複数設けた斜行補正装置55に搬送される。なお、このとき斜送ローラ対32a〜32cは離間した状態となっている。
【0028】
次に、シートSが斜行補正装置55のシート搬送方向の最も上流側の第1斜送ローラ対32aに達した後、下流側の第2斜送ローラ対32bに達する前に、図3の(b)に示すように従動ローラ14は駆動ローラ13から離間する。そして、このように従動ローラ14が離間し、駆動ローラ13とのニップが解除されることにより、斜送ローラ対32a〜32cによりシートSが斜送される際、シートSの斜送が搬送ローラ対34によって妨げられるのを防ぐことができる。この後、シートSは、順次斜送ローラ対32a〜32cにより斜送されて基準部材31に突き当てられる。
【0029】
ここで、斜行補正装置55の第1〜第3斜送ローラ対32a〜32cは、図3に示すように駆動ローラ332a〜332cと、駆動ローラ332a〜332cに接離可能に圧接してシートSを搬送する従動ローラ331a〜331cとを有している。そして、駆動ローラ332a〜332cは、既述したように可動ガイド30に副走査方向に対して角度θだけ傾いて取り付けられている。また、レジストローラ7も、駆動ローラ7aと、駆動ローラ7aに接離可能に圧接して駆動ローラ7aと共にシートを搬送する従動ローラ7bとから構成されている。
【0030】
図6は、可動ガイド30に設けられた第1〜第3斜送ローラ対32a〜32cの駆動ローラ332a〜332cを駆動する駆動部の上視図である。第1〜第3駆動ローラ332a〜332cは基準部材31に対し、角度θで配置されており、ユニバーサルジョイント321a〜321cとプーリ326、搬送ベルト323〜325を介して斜送駆動モータMsにより駆動される。この斜送駆動モータMsは、ステッピングモータであり、搬送速度は可変で、可変タイミングも設定可能である。
【0031】
また、図7は駆動ローラ332a〜332cに対して接離可能に設けられ、駆動ローラ332a〜332cと共にシートを挟持する従動ローラ331a〜331cの移動機構を説明する図である。この移動機構は、従動ローラ331a〜331cを回転可能に支持するリンク332Aと、加圧ギア334と、リンク332Aと加圧ギア334との間に設けられた加圧バネ335と、加圧ギア334を回転させる斜送加圧モータMkとを備えている。そして、斜送加圧モータMkによって加圧ギア334を所定角度回転させることにより、従動ローラ331a〜331cと駆動ローラ332a〜332cとのニップ圧(シートの挟持圧)が設定される。
【0032】
図8の(a)は従動ローラ331a〜331cが駆動ローラ332a〜332cに圧接している状態を示している。このとき、加圧ギア334は左に回転して加圧バネ335を引っ張った状態で停止しており、リンク332Aは加圧バネ335を介して加圧ギア334により引っ張られている。そして、このようにリンク332Aを引っ張ることにより、従動ローラ331a〜331cは、駆動ローラ332a〜332cに圧接する状態になる。また、図8の(b)はニップ解除時の状態であり、加圧ギア334は右に回転した状態で停止している。このように加圧ギア334が右に回転する際、加圧ギア334はリンク333を介してリンク332Aを押し込むようになっており、リンク332Aを押し込むことにより、従動ローラ331a〜331cはニップを解除する方向(上方向)に移動する。なお、斜送加圧モータMkはステッピングモータであり、ステップ角を設定することにより、斜送ローラ対32a〜32cのニップ圧は変更可能となる。また、本実施の形態において、この移動機構は、各従動ローラ331a〜331cに設けられているため、斜送ローラ対32a〜32cのニップ圧は独立して設定可能となる。
【0033】
次に、このように構成された搬送ローラ装置50及び斜行補正装置55のシート搬送時の動作について説明する。図2の(a)に示すように、シートS1が斜行角度βを有した状態で搬送ユニット54から搬送ローラ装置50に搬送されると、シートS1は、搬送ローラ対34により、斜行補正装置55に送られる。そして、シートS1は、図2の(b)に示すように斜送ローラ対32a〜32cにより挟持され、基準部材31に向かって斜めに搬送される。なお、シートS1が最もシート搬送方向上流側に位置する第1斜送ローラ対32aに達した後、第1斜送ローラ対32aよりもシート搬送方向下流側に位置する第2斜送ローラ対32bに達する前に、搬送ローラ対34のニップは解除される(図3の(b)参照)。
【0034】
次に、シートS1は斜送ローラ対32a〜32cにより、図2の(c)に示すように、基準面を構成する基準部材31に対してシートS1の端面を押し付けられながら下流のレジストローラ7へと搬送される。そして、このように基準部材31に端面を押し付つけられながら(当接しながら)搬送されることにより、シートS1の一側端の位置が規制され、シートS1の斜行及び幅方向の位置ズレが補正される。なお、本実施の形態において、搬送されてくるシートS1の位置の主走査方向でのバラツキを考慮して、シートSが斜行補正装置55に搬送される際には、搬送されてくるシートS1が激突しないように基準部材31をオフセットした位置で待機させている。
【0035】
このため、次に、シートS1がレジストローラ7に達し、この後、レジストローラ7によりシートS1の搬送が開始されると、レジストローラ7は図2の(d)に示すようにシートS1を挟持搬送しながら矢印で示す主走査方向へと移動する。これにより、シートS1と中間転写ベルト上の画像の中心位置を合わせることができる。なお、このようにレジストローラ7が主走査方向へと移動する前には、斜送ローラ対32a〜32cは、離間状態となっており、これにより斜送ローラ対32a〜32cにより、レジストローラ7の移動に伴うシートS1の移動が妨げられるのを防ぐことができる。また、二次転写部へシートS1を受け渡した後、レジストローラ7は、ニップを解除すると共に次のシートS2の搬送を行うため、図2の(d)に示す矢印と反対方向に移動して待機状態へと戻る。
【0036】
図9は、コントローラ600の制御ブロック図であり、コントローラ600はCPU601、プログラム格納用のROM603、データの一時保管用のRAM602、通信用のI/O604から構成される。そして、ユーザーが操作部412から使用するシートSのサイズ、坪量(gsm)、通紙枚数情報を入力することで、CPU601は、シートSのサイズ、坪量、通紙枚数を認識する。
【0037】
また、コントローラ600はAD変換部605,610を介してプレレジセンサP及びレジ前センサQによって得られたタイミング信号により、ドライバ606,607を介して斜送駆動モータMs、レジ前駆動モータMpの駆動を制御する。また、コントローラ600はプレレジセンサP及びレジ前センサQによって得られたタイミング信号により、ドライバ608,609a,609b,609cを介してレジ前圧解除モータ104、斜送加圧モータMka,Mkb,Mkcの駆動を制御する。
【0038】
これにより、斜送ローラ対32a〜32cの駆動、従動ローラ331a〜331cの駆動ローラ332a〜332cに対するニップ圧、駆動ローラ13の駆動及び従動ローラ14の解除動作が制御される。なお、従動ローラ331a〜331cは全て独立で斜送加圧モータMka,Mkb,Mkcにより駆動されるので、従動ローラ331a〜331cのニップ加圧力(斜送圧)と、ニップ加圧タイミングと、ニップ解除タイミングは独立に制御可能である。なお、本実施の形態では斜送ローラ対32a〜32cの数は3つであるが、斜送ローラ対の数は2以上であれば適応可能である。
【0039】
さらに、コントローラ600は、ドライバ611を介して、既述した図6及び後述する図13に示すカム700を駆動するカムモータMdの駆動を制御する。そして、このようにカムモータMdの駆動を制御することにより、1面に画像が形成されたシート及び2面に画像が形成されたシートの一側端の、基準部材31のシート搬送方向に対する突き当て角度を変更することができる。
【0040】
ここで、既述したようにシートSが斜行した状態で斜行補正装置55に搬送された場合、シートSは斜送ローラ対32a〜32cにより、基準部材31に向かって斜めに搬送される。この際、コントローラ600は、プレレジセンサPの検知タイミングと、プレレジセンサPと第1斜送ローラ対32aまでの距離と、搬送ローラ装置50のシート搬送速度から、第1斜送ローラ対32aがシートを挟持する時間を演算して予め予測する。そして、第1斜送ローラ対32aがシートを挟持すると、既述した図3の(b)に示すように駆動ローラ13から従動ローラ14を離間させてシート後端の挟持を開放する。
【0041】
ところで、このようなサイドレジストレーション方式の斜行補正装置55において、従来は、第1斜送ローラ対32aにシートが挟持されると同時に駆動ローラ13から従動ローラ14が離間する。ここで、図10の(a)に示すように、シートSの重心をGとすると、第1斜送ローラ対32aによりシートSを搬送しようとすると、シートSは可動ガイド30及び固定式ガイド33表面との間の摩擦力により、シート搬送方向とは逆の方向にFPの力を受ける。
【0042】
この結果、重心Gから第1斜送ローラ対32aの幅方向の距離をLpとすると、シートSにはM=Fp×Lpのモーメントがかかる。そして、このようなモーメントMにより、シートSは矢印に示すように側端が基準部材31に向かう方向に旋回するようになり、やがて側端が基準部材31のシート搬送方向上流側端に激突する。ここで、シートSが、例えば坪量が70gsm以上のコート紙の場合、基準部材31に衝突したシートSには、図10の(b)に示すように、先後端にたわみが発生する。
【0043】
そして、基準部材31に衝突し、先後端にたわみが発生したシートSは、図11の(a)に示す先後端のたわみの差ΔLにより、斜行が発生する。しかし、この後、シートSは、剛度(コシ)によって図11の(b)に示すように、第1斜送ローラ対32aのニップN1でスリップが発生し、これによりシートは基準部材31に倣おうとする。この後、シートSは、第2斜送ローラ対32bのニップN2でもスリップしながら搬送されることにより、基準部材31に突き当てて整合される。
【0044】
なお、図12は、図11の(b)のA方向矢視図である。図12に示すように、シートSが基準部材31に突き当てられると、シートSは基準部材31からの突き当て反力RFにより斜送ローラニップN1,N2ではスリップし、突き当て方向のたわみL自体が順次解放される。これにより、たわみ差ΔLを順次、解消しながらシートの斜行が補正されていく。
【0045】
一方、既述したように、薄紙のコート紙は、紙のすき目がシート搬送方向と平行となるように搬送することで定着ローラへの巻き付きを防止しているが、この場合、2面に画像を形成する際、樋状カールが生じるので、突き当て方向へのたわみは大きくなる。特に、坪量が70gsm未満の薄コート紙の場合、樋状カールの影響が無視できなくなり、1面に画像を形成したシート(以下、片面シートという)対して、2面に画像を形成したシート(以下、両面シートという)の方が、斜行する傾向が強くなる。
【0046】
そこで、本実施の形態では、両面シートの斜行を補正する場合は、予め予測した斜行補正量を加算し、片面シートの斜行調整に合わせることで表裏の画像位置合わせを行うようにしている。なお、このような表裏の画像位置合わせを行うため、図6に示すように、可動ガイド30に基準部材31を回動可能に設けるようにしている。さらに、この基準部材31を、カム700によりシート搬送方向下流側端部に設けられた回動中心軸702を支点として回動させて基準部材31の回動量αを変更するようにしている。
【0047】
このように両面シートの樋状カールによる斜行の影響を考慮し、図14に示すように基準部材31を回動させると、樋状カールを有する両面シートは、まずシート側(シート搬送路中央側)に回動した基準部材31のシート搬送方向上流側端に衝突する。次に、両面シートは、第1斜送ローラ対32aにより斜送されながら基準部材31に向かい、この後、斜送ローラ対32a〜32cにより斜送される。
【0048】
しかし、このとき基準部材31はシート側に回動しているので、この後、斜送されても両面シートの側端は、基準部材31に突き当たることはない。そして、このように側端が、基準部材31に突き当たることが無いようにすることにより、両面シートの側端位置は、片面シートの側端位置に比べてシート搬送路側に位置するようになる。ここで、両面シートの側端位置と片面シートの側端位置との差を樋状カール分に設定することにより、両面シートの画像の幅方向の位置を片面シートの画像の幅方向の位置と一致させることができる。
【0049】
なお、このカム700は、図13に示すようにカム700と共に基準部材31を回動させる駆動部を構成するステッピングモータであるカムモータMdと直結しており、カム700の位相角度を検知するためのフラグ705を備えている。そして、図13の(b)に示すように、フラグ705がフォトインタラプタ701を遮光すると、制御部であるコントローラ600は、カム700がホームポジションにあることを検知する。また、図13の(a)に示すように、基準部材31は引っ張りバネ703によってカム700に常時当接するように構成されており、コントローラ600は、カム700は先のホームポジションからの回転角度によって基準部材31の搬送部への回動量を調整する。
【0050】
ここで、両面シートの場合のカム700の進入量(回転量)λは、両面シート≧片面シートに設定されている。これにより、例えば、両面シートの場合の回動量をα2、片面シートの場合の角度をα1とすると、α2=α1+δとなる。δは2面目の斜行補正を1面目に合わせるように設定するための補正量であり、この補正量δはシートの坪量に応じてユーザーが調整可能である。なお、本実施の形態において、この補正量δは、シートの坪量に応じて増加する。
【0051】
なお、この補正量δのテーブル(設定値)は、既述した図9に示すコントローラ600のROM603に記憶されており、坪量に応じて変更を可能にしても良い。また、回動量α1は機械毎の斜行調整に関わる部品の精度ばらつきを、自動カム調整を利用して調整しているだけでユーザーは調整する必要はない。また、図6に示すように、カム700は、シート搬送方向xに対し、突き当て方向と逆の方向に傾く方向をプラスとすると、図15の(a)に示すプラス、マイナスに調整可能になっている。
【0052】
次に、基準部材31の斜行調整について説明する。ここで、本実施の形態において、斜行調整のための基準部材31の回動量αは、図6に示すように、ユーザーがテストプリント出力画像に合わせて調整する。即ち、回動量αは、カム700の回転角度γを調整してカム進入量λ(mm)を調整することにより行う。図15の(b)にカム700のカムモータMdへの入力パルスによる回転角度γと、カム進入量λと、斜行調整量(回動量)αをA3サイズ換算での斜行調整量(mm)として示す。
【0053】
なお、図15の(b)に示すテーブルは、シートが、図15の(a)に示す先端が後端よりも基準部材側に傾斜した状態のシートSの斜行を補正する方向であるプラス方向の場合の、回転角度γと、カム進入量λと、斜行調整量αのテーブルである。また、シートが、後端が先端よりも基準部材側に傾斜したシートSの斜行を補正する方向であるマイナス方向の場合には、不図示のテーブルを用いる。そして、シートの両面に画像を形成するとき、このテーブルに基づき基準部材31を回動させることにより、シートの片面に画像を形成するときに比べて、シートをシート搬送路中央側にずらすことができる。
【0054】
次に、本実施の形態に係る坪量が70gsm未満の薄コート紙の場合、ユーザーがテストプリントの出力画像に応じて両面シートの斜行調整を行う動作を図16に示すフローチャートを用いて説明する。
【0055】
まず、設定部である操作部412よりシートの坪量(70gsm未満)を入力(設定)する(S101)。この後、ユーザーはテスト用に画像が形成されたシートであるテストプリントを出力し(S102)、実際に出力されたテストプリント画像から両面シートの片面シートに対する斜行量の差を計測する(S103)。次に、補正部である操作部より両面シートの斜行を補正するための斜行補正量δを入力し(S105)、両面シートの斜行を補正する回動量α2=α1+δを決定する(S106)。そして、このように補正された回動量に応じてカムモータMdへの入力パルスを調整し、自動カム調整による斜行調整を行う。
【0056】
次に、確認作業としてユーザーはテストプリントを出力し(S107)、斜行量を計測し(S108)、両面シートの斜行調整が不十分な場合には、つまり両面シートに斜行がある場合には(S109のY)、S105〜S108の斜行調整を繰り返す。また、調整が完了した場合、すなわち両面シートに斜行がない場合には(S109のN)、斜行調整を終了する。
【0057】
次に、このような両面シートの斜行調整を行った後の、本実施の形態による両面シートの斜行補正動作について図17に示すフローチャートを用いて説明する。まず、入力部である操作部よりシートの坪量(gsm)、サイズ、通紙枚数Kを入力する(S01)。これにより、コントローラ600は、シートの坪量やサイズに応じて斜送ローラ対のニップ加圧力(斜送圧)の設定値を決定する(S02)。
【0058】
この後、通紙が開始され、図3の(a)に示すようにシートSが搬送ローラ装置50に到達し、プレレジセンサPがシート先端を検知してONすると(S03のY)、レジ前駆動モータMpを一時停止させ、紙間時間を調整する。なお、プレレジセンサPがシート先端を検知しない場合には(S03のN)、紙詰まり(遅延ジャム)を操作部に表示し(S17)、終了となる。
【0059】
次に、シート坪量が70gsm未満かを判断し(S04)、シート坪量が70gsm未満の場合には(S04のY)、基準部材31のカム進入量を変更し(S05)、既述した図15のテストプリント出力した斜行調整で決定したカム進入量に設定する。次に、レジ前駆動モータMpをリスタートさせ、斜行補正装置55へと両面シートを搬送する。そして、プレレジセンサPがシートS先端を検知(ON)してからシート先端が斜送ローラ対に到達する前のタイミングで駆動ローラ332a〜332cに従動ローラ331a〜331cを当接させる。
【0060】
この後、先に決定した斜送圧設定値まで斜送ローラ対のニップを加圧する(S06)。ここで、加圧タイミングは全て同時でも良いし、搬送方向上流側から順次加圧してもかまわない。なお、両面シートでも、シート坪量が70gsm以上の場合は(S04のN)、両面シートのカム進入量は片面シートと同じカム進入量のままでカムの進入量の変更はしない。即ち、両面シートのカム進入量=片面シートのカム進入量とする(S16)。
【0061】
次に、図3の(b)に示すように斜行補正装置55に搬送された後、搬送ローラ装置50の従動ローラ14は全てニップを解除し、斜行補正装置55での突き当て整合を開始する(S07)。この後、図3の(c)に示すように、シートSを斜送ローラ対32a〜32cにより挟持する(S08)。次に、レジ前センサQがシート先端を検知してONするのを待ち(S09)、レジ前センサQがONすると(S09のY)、この後、斜行補正装置55により斜行が補正されたシートSは、レジストローラ7により挟持され、10mm搬送される(S10)。そして、このようにシートを10mm搬送すると、全ての斜送ローラ対32a〜32cのニップを解除し(S11)、突き当て整合を終了する(S12)。
【0062】
次に、レジストローラ7の横スライド動作を開始する(S13)。なお、斜送ローラ対32a〜32cのニップ解除のタイミングは、レジ前センサQのONから、レジ前センサQからレジストローラ7までの距離を斜送速度で割った時間と、レジストローラ7で10mm搬送するために必要な時間を足したタイミングである。
【0063】
また、レジ前センサQがシートS先端を検知(ON)しない場合には(S09のN)紙詰まり(遅延ジャム)を操作部に表示し(S17)、終了となる。この後、通紙カウンタはK=K−1をカウントし(S14)、K=0となるかを判断する(S15)。そして、K=0でなければ(S15のN)、すなわちシートが最後のシートでなければ、斜送ローラ対でのシート整合が終了したタイミングで搬送ローラニップNPrを再び加圧し、連続通紙となる。また、この後、通紙カウンタK=0(S15)となり、すなわちシートが最後の両面シートとなると、斜行補正動作が終了する。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態においては、予め予測した斜行補正量を1面目の斜行調整量に加算してカム700を回転させることにより、基準部材31を突き当て方向と逆の方向、すなわちシート搬送路中央側に傾けるようにしている。つまり、本実施の形態においては、シートの両面に画像を形成するとき、基準部材31を、シートの片面に画像を形成するときよりも斜送ローラ対32a〜32cによる斜送方向と逆方向であるシート搬送路側に回動させるようにしている。
【0065】
これにより、シートの両面に画像を形成するとき、シートの片面に画像を形成するときに比べて、シートがシート搬送路中央側にずれるようになる。この結果、70gsm未満のコート紙のような剛度が低いシートでもシート両面の画像形成位置の幅方向のずれを低減させることができる。
【0066】
更に、本実施の形態のように構成することにより、薄いシートと厚いシートが混載する場合でも、シートの坪量毎に2面目の回動量α2を設定するようにすれば、厚いシートと薄いシートの混載時での表裏レジ精度も向上する。つまり、紙種に応じて2面目の斜行量の差を加味した斜行調整を行うことにより、混載時の表裏のレジ精度を向上させることが可能になる。なお、これまでは、このサイドレジストレーション方式による斜行補正装置55をシート搬送路R1に設けた場合について説明したが、本発明は、これに限らず、再搬送通路Rに設けても良い。
【符号の説明】
【0067】
7…レジストローラ、31…基準部材、32a〜32c…斜送ローラ対、50…搬送ローラ装置、55…斜行補正装置、100A…装置本体、100D…シート搬送装置、513…画像形成部、600…コントローラ、700…カム、702…回動中心軸、R…再搬送通路、R1…シート搬送路、S…シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特にシートの斜行及びシートの幅方向の位置を補正する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、画像形成部にシートを搬送するシート搬送装置を備えている。ここで、画像形成部に向けて搬送される際、シートに斜行や、シート搬送方向に対して直交する幅方向の位置(横レジ位置)のズレが発生すると、画像位置がずれた状態でシート上に画像が形成される。そこで、従来のシート搬送装置には、シートの斜行を補正する共に、横レジ位置を整合するための斜行補正部が、画像形成部のシート搬送方向上流側に設けられている。このような斜行補正部の一例としては、搬送中のシートの側端の位置ズレをサイドレジストレーション基準により補正する構成が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
サイドレジストレーション基準によりシートの整合を行う斜行補正部は、シート搬送路の一方側に、シートの一側端を突き当てる基準部材をシート搬送方向に沿って設けると共に、シート搬送路上に複数の斜送ローラを配置する。そして、斜送ローラにより、シート搬送方向上流側に設けられたシート搬送ローラによって搬送されているシートを基準部材側へ斜送して幅寄せし、シートの一側端を基準部材に突き当てて幅方向の位置ズレとシート側端の傾きの両方を補正している。
【0004】
ところで、このような斜送ローラを用いた斜行補正部では、シートの側端を基準部材の基準面に突き当てた際、基準面に対するシートの押し付け力(斜送ローラによる幅寄せ力)が強すぎると、シートが撓んでシートの詰まり(ジャム)や補正精度の悪化を招く。このため、従来の斜行補正部では、斜送ローラの挟持圧を変更して基準面に対するシート側端の押し付け力を調整することにより、シートを撓ませることなく基準面へシート側端を沿わせることができるようにした構成も提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−189355号公報
【特許文献2】特開平5−246584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような従来の斜行補正部を備えた画像形成装置においては、基準面に対するシート側端の押し付け力の調整は可能であるが、シートの剛度(コシ)が低い場合、押し付け力の調整だけでは精度よく斜行補正を行うことできない場合がある。例えば、シートが超薄紙(坪量70gsm未満のコート紙)の場合、シートの剛度が低く、また高温多湿環境下ではシートの剛度が低くなる。
【0007】
通常、薄紙のコート紙は定着部での定着ローラへの巻き付きジャムが発生しやすいことから、図18の(a)に示すように、シートSを、すき目方向がシート搬送方向と平行になるようにして通紙することにより、定着ローラへの巻き付きを防止している。なお、すき目とは、シートの繊維の向きであり、すき目の方向でシートの剛度やカールの形成し易さが異なる。このようにすき目方向にシートを搬送すると、両面モードの場合、定着部を通過して2面に画像が定着されたシートは、すき目にならって、言い換えればシート搬送方向に平行にカールする。そして、シートSに、このようなシート搬送方向に平行なカール(以下、樋状カールという)が生じると、シートSの幅方向の剛度が低くなる。
【0008】
このため、図18の(b)に示すように、斜送ローラ対32a〜32cにより、2面に画像が形成されたシートSを基準部材31に突き当てた際、シートSに、突き当て方向のたわみが発生する場合がある。この場合、斜行補正精度は、1面に画像が形成されたときよりも低下する。つまり、超薄紙コート紙の場合、1面に画像が形成された場合と2面に画像が形成された場合とでは、シートの撓み分で側端位置が変わるため、同じ基準面にシートを突き当てているにも関わらず、表裏の幅方向の位置が一致しなくなる場合がある。この結果、シートの両面に画像を形成すると、シート両面の画像形成位置が幅方向にずれるようになり、画像品位が低下する。
【0009】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、剛度が低いシートでもシート両面の画像形成位置の幅方向のずれを低減させることのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、画像形成部にシートを搬送してシートに画像を形成し、シートの両面に画像を形成する際には、片面に画像が形成されたシートを反転させて再度、前記画像形成部に搬送する画像形成装置において、シートの幅方向の中央を基準とする中央基準で前記画像形成部にシートを案内するシート搬送路と、前記シート搬送路のシート搬送方向に沿って配置され、かつシート搬送方向下流側端部を支点として回動可能に設けられ、シートの、シート搬送方向に沿った一側端が当接してシートの幅方向の位置を規制する基準部材と、前記シート搬送路にシート搬送方向に沿って配置され、シートを前記基準部材に向けて斜めに搬送する複数の斜送ローラと、前記基準部材を回動させる駆動部と、前記駆動部の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部により前記駆動部の駆動を制御し、シートの両面に画像を形成するとき、シートの片面に画像を形成するときに比べて、シートがシート搬送路中央側にずれるように前記基準部材を回動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のように、シートの両面に画像を形成するとき、基準部材を、シートの片面に画像を形成するときよりもシート搬送路側に回動させることにより、剛度が低いシートでもシート両面の画像形成位置の幅方向のずれを低減させることのできる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラー画像形成装置の概略構成を示す図。
【図2】上記カラー画像形成装置のシート搬送装置に設けられた斜行補正装置及び搬送ローラ装置の構成を説明する図。
【図3】上記斜行補正装置及び搬送ローラ装置の構成を説明する側面図。
【図4】上記搬送ローラ対の離間機構を説明する図。
【図5】上記搬送ローラ対を構成する駆動ローラの駆動部を説明する図。
【図6】上記斜行補正装置の斜送ローラ対を駆動する駆動部の上視図。
【図7】上記斜送ローラ対を構成する従動ローラの移動機構を説明する図。
【図8】上記従動ローラの移動機構の動作を説明する図。
【図9】上記カラー画像形成装置に設けられたコントローラの制御ブロック図。
【図10】上記斜行補正装置による斜行補正の際のシートの挙動を説明する第1の図。
【図11】上記斜行補正装置による斜行補正の際のシートの挙動を説明する第2の図。
【図12】上記斜行補正装置による斜行補正の際のシートの挙動を説明する第3の図。
【図13】上記斜行補正装置の基準部材を回動させる構成を説明する図。
【図14】上記基準部材が回動したときのシートの挙動を説明する図。
【図15】上記斜行補正装置の斜行調整方向を説明する図。
【図16】上記斜行補正装置の両面シートの斜行調整を行う動作を示すフローチャート。
【図17】上記斜行補正装置の両面シートの斜行補正動作を示すフローチャート。
【図18】従来の斜行補正部における薄紙のコート紙の状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。図1において、100はカラー画像形成装置であり、100Aはカラー画像形成装置本体(以下、装置本体という)である。なお、カラー画像形成装置100は構成上から主に、複数の画像形成部を並べて配置したタンデム方式と、円筒状に配置したロータリ方式に分類される。また、転写方式としては、感光体ドラムから直接シートにトナー像を転写する直接転写方式と一旦中間転写体に転写した後、シートに転写する中間転写方式に分類される。ここで、中間転写方式は、直接転写方式のようにシートを転写ベルト上に保持する必要がないため、超厚紙やコート紙等の多種多様なシートに対応できる。また、複数の画像形成部における並列処理およびフルカラー画像の一括転写という特長から高生産性の実現に適している。そして、本実施の形態に係るカラー画像形成装置100は、4色の画像形成ユニットを中間転写ベルト上に並べて配置した中間転写タンデム方式である。
【0014】
装置本体100Aには、画像形成部513と、シートSを搬送するシート給送部100Bと、画像形成部513で形成されたトナー画像をシート給送部100Bにより給送されたシートSに転写する転写部100Cとが設けられている。また、装置本体100Aには、シートを搬送するシート搬送装置100Dが設けられている。ここで、画像形成部513は、それぞれ感光体ドラム508、露光装置511、現像装置510、一次転写装置507及びクリーナ509等を備えたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の画像形成ユニットにより構成される。なお、各画像形成ユニットの形成する色は、これら4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。
【0015】
シート給送部100Bは、シートSをリフトアップ装置52の上に積載される形で収納するシート収納部51と、シート収納部51に収納されたシートSを送り出すシート給送手段53とを備えている。なお、このシート給送手段53としては給紙ローラ等による摩擦分離を利用する方式や、エアによる分離吸着を利用する方式等が挙げられるが、本実施の形態においては、エアによる給紙方式を例に挙げている。また、転写部100Cは、駆動ローラ504、テンションローラ505及び二次転写内ローラ503等のローラ類によって張架され、図中矢印Bの方向へと搬送駆動される中間転写ベルト506を備えている。
【0016】
ここで、この中間転写ベルト506は、一次転写装置507により与えられる所定の加圧力及び静電的負荷バイアスにより、感光体ドラム上に形成されたトナー像が転写される。また、この中間転写ベルト506は、略対向する二次転写内ローラ503及び二次転写外ローラ56により形成される二次転写部において所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることでシートSへ未定着画像を吸着させる。シート搬送装置100Dは、搬送ユニット54、搬送ローラ部を構成する搬送ローラ装置50、斜行補正部を構成する斜行補正装置55、レジストローラ7、定着前搬送部57、分岐搬送装置59、反転搬送装置501、両面搬送装置502等から構成されている。なお、図1において、600は、カラー画像形成装置100の画像形成動作及び後述するシートの斜行補正動作等を制御する制御部であるコントローラである。
【0017】
そして、このような構成のカラー画像形成装置100において、画像を形成する際には、まず、感光体ドラム508を図中矢印Aの方向に回転させ、予め不図示の帯電手段により感光体ドラム表面を一様に帯電させる。この後、回転する感光体ドラム508に対し、送られてきた画像情報の信号に基づいて露光装置511が発光し、この光を反射手段512等を適宜経由して照射することにより、感光体ドラム508上に潜像が形成される。なお、感光体ドラム508上に僅かに残った転写残トナーはクリーナ509により回収され、再び次の画像形成に備える。
【0018】
次に、このようにして感光体ドラム508上に形成された静電潜像に対して、現像装置510によるトナー現像が行われ、感光体ドラム上にトナー像が形成される。この後、一次転写装置507により所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが与えられ、中間転写ベルト506上にトナー像が転写される。なお、画像形成部513のY、M、C及びBkの各画像形成ユニットによる画像形成は、中間転写ベルト上に一次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。この結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト506上に形成される。
【0019】
また、シートSは、シート給送手段53により画像形成部513の画像形成タイミングに合わせて送り出される。この後、シートSは搬送ユニット54に設けられた搬送パス54aを通過して搬送中のシートのシート搬送方向と直交する幅方向の位置ズレ及び斜行を補正するための斜行補正装置55に搬送される。そして、斜行補正装置55により位置ズレ及び斜行が補正されたシートSは、レジストローラ7へと搬送され、レジストローラ7においてタイミング補正を行った後、二次転写内ローラ503及び二次転写外ローラ56により形成される二次転写部へと搬送される。この後、二次転写部においてシートS上にフルカラーのトナー像が二次転写される。次に、このようにトナー像が二次転写されたシートSは定着前搬送部57により定着装置58へと搬送される。そして、この定着装置58において、略対向するローラもしくはベルト等による所定の加圧力と、一般的にはヒータ等の熱源による加熱効果を加えてシートS上にトナー像が溶融固着される。
【0020】
次に、このようにして得られた定着画像を有するシートSは分岐搬送装置59により、そのまま排紙トレー500上に排出される。なお、シートSの両面に画像を形成する場合には、不図示の切替部材の切替により、この後、反転搬送装置501へと搬送される。ここで、このように反転搬送装置501へと搬送されると、シートSはスイッチバック動作を行うことで先後端を入れ替え、両面搬送装置502に設けられ、シートを案内するシート搬送路である再搬送通路Rへと搬送される。この後、シート給送部100Bから搬送されてくる後続ジョブのシートとのタイミングを合わせて搬送ユニット54が有する再給紙パス54bから合流し、再度、二次転写部へと送られる。画像形成プロセスに関しては1面目と同様なので省略する。なお、搬送ユニット54、分岐搬送装置59、反転搬送装置501、両面搬送装置502には、多数の搬送ローラが配置されている。そして、これらの搬送ローラでは、駆動ローラと従動ローラとの間でシートを挟持した状態で、駆動ローラ及び従動ローラが回転することにより、シートを搬送するようにしている。また、これらの搬送ローラは、従動ローラを不図示のスプリング等の付勢部材により駆動ローラ側に付勢することにより、両ローラの間にシートをニップする圧力を設定している。なお、本実施の形態では、シートの幅方向の中央とシートの搬送路の搬送方向と直交する方向での中央とを一致させてシートを搬送する中央基準でシートが搬送される構成を採用している。
【0021】
ところで、本実施の形態において、搬送中のシートの位置ズレ及び斜行を補正するための斜行補正装置55は、搬送中のシートの側端を基準にシートの位置ズレを補正するサイドレジストレーション基準による補正方式である。このため、この斜行補正装置55には、図2に示すように、シートSの搬送ガイドとして機能する固定式ガイド33と、搬送されるシートSのサイズに応じて矢印に示す幅方向(主走査方向)に移動可能な可動ガイド30が設けられている。
【0022】
さらに、可動ガイド30には、シート搬送路R1に沿って駆動ローラ332a〜332cを備えた複数の斜送ローラ対32a〜32cと、斜送ローラ対32a〜32cにより斜送されたシートSが突き当てられる突き当て基準部材31が垂設されている。なお、駆動ローラ332a〜332cは、シートの側端の位置決めを行う突き当て基準部材31(以下、基準部材という)に対する突き当て搬送成分が得られるようにシート搬送方向に対して角度θだけ傾いて可動ガイド30に取り付けられている。また、基準部材31は、画像形成部513にシートを案内するシート搬送路R1の幅方向の一側にシート搬送方向に沿って配置されている。
【0023】
また、図2に示すように、斜行補正装置55のシート搬送方向上流に配置され、シートを斜行補正装置55に搬送する搬送ローラ装置50には、複数の搬送ローラ対34が設けられている。ここで、この複数の搬送ローラ対34は、それぞれ図3に示すように下部ローラであるゴム製の駆動ローラ13と、駆動ローラ13に接離可能に圧接して駆動ローラ13と共にシートを搬送する上部ローラである樹脂製の従動ローラ14とから構成されている。
【0024】
なお、図3において、Pはプレレジセンサであり、このプレレジセンサPは光学式で発光部と受光部を持ち、シートSが通過するとシートSから反射した光が受光部で検知する事でシートの通過タイミングを検知している。そして、シートSの先端がプレレジセンサPを通過すると搬送ローラ対34は、一旦停止し、シート搬送時間(紙間距離)のバラツキを調整する。そして、シート搬送時間(紙間距離)のバラツキを調整した後、搬送ローラ対34が回転を再開することにより、シートは斜行補正装置55に搬送される。また、図3において、Qはレジ前センサであり、斜行補正装置55により斜行が補正されたシート先端を検知する。
【0025】
図4は搬送ローラ対34を離間させる離間機構50Aの構成を説明する図であり、従動ローラ14は従動軸20を介してアーム部材101に回転自在に支持され、アーム部材101は揺動軸102を介してステー部材18に揺動可能に支持されている。そして、搬送ローラ対34を離間させる場合は、レジ前圧解除モータ104を回転させ、ギア列105,106を介して偏芯コロ103を回転させ、偏芯コロ103によりアーム部材101の端部を押圧する。これにより、図4の(a)に示す位置にあるアーム部材101が、揺動軸102を中心にニップ解除方向に回動し、図4の(b)に示すように従動ローラ14が上昇し、駆動ローラ13とのニップを解除する。すなわち、搬送ローラ対34が離間状態となる。なお、本実施の形態においては、プレレジセンサPの検知タイミングにあわせてレジ前圧解除モータ104を駆動させることにより、ニップ解除のタイミングを可変としている。
【0026】
図5は駆動ローラ13の駆動部を説明する図であり、駆動ローラ13は駆動ゴムローラ13aが固着されたローラ軸13bに、プーリ302aとベルト302を介してレジ前駆動モータMpからの駆動が伝達される。なお、駆動ローラ13を駆動する駆動部であるレジ前駆動モータMpはステッピングモータであり、レジ前駆動モータMpにより、停止タイミングや搬送速度はプレレジセンサPのタイミングに合わせて可変になっている。
【0027】
そして、従動ローラ14は、搬送ユニット54から搬送されたシートSを搬送する際は、図3の(a)に示すように駆動ローラ13に圧接してニップNprを形成する位置に有る。これにより、搬送ユニット54から搬送された後、シートSは複数の搬送ローラ対34により挟持され、斜送ローラ対32a〜32cを複数設けた斜行補正装置55に搬送される。なお、このとき斜送ローラ対32a〜32cは離間した状態となっている。
【0028】
次に、シートSが斜行補正装置55のシート搬送方向の最も上流側の第1斜送ローラ対32aに達した後、下流側の第2斜送ローラ対32bに達する前に、図3の(b)に示すように従動ローラ14は駆動ローラ13から離間する。そして、このように従動ローラ14が離間し、駆動ローラ13とのニップが解除されることにより、斜送ローラ対32a〜32cによりシートSが斜送される際、シートSの斜送が搬送ローラ対34によって妨げられるのを防ぐことができる。この後、シートSは、順次斜送ローラ対32a〜32cにより斜送されて基準部材31に突き当てられる。
【0029】
ここで、斜行補正装置55の第1〜第3斜送ローラ対32a〜32cは、図3に示すように駆動ローラ332a〜332cと、駆動ローラ332a〜332cに接離可能に圧接してシートSを搬送する従動ローラ331a〜331cとを有している。そして、駆動ローラ332a〜332cは、既述したように可動ガイド30に副走査方向に対して角度θだけ傾いて取り付けられている。また、レジストローラ7も、駆動ローラ7aと、駆動ローラ7aに接離可能に圧接して駆動ローラ7aと共にシートを搬送する従動ローラ7bとから構成されている。
【0030】
図6は、可動ガイド30に設けられた第1〜第3斜送ローラ対32a〜32cの駆動ローラ332a〜332cを駆動する駆動部の上視図である。第1〜第3駆動ローラ332a〜332cは基準部材31に対し、角度θで配置されており、ユニバーサルジョイント321a〜321cとプーリ326、搬送ベルト323〜325を介して斜送駆動モータMsにより駆動される。この斜送駆動モータMsは、ステッピングモータであり、搬送速度は可変で、可変タイミングも設定可能である。
【0031】
また、図7は駆動ローラ332a〜332cに対して接離可能に設けられ、駆動ローラ332a〜332cと共にシートを挟持する従動ローラ331a〜331cの移動機構を説明する図である。この移動機構は、従動ローラ331a〜331cを回転可能に支持するリンク332Aと、加圧ギア334と、リンク332Aと加圧ギア334との間に設けられた加圧バネ335と、加圧ギア334を回転させる斜送加圧モータMkとを備えている。そして、斜送加圧モータMkによって加圧ギア334を所定角度回転させることにより、従動ローラ331a〜331cと駆動ローラ332a〜332cとのニップ圧(シートの挟持圧)が設定される。
【0032】
図8の(a)は従動ローラ331a〜331cが駆動ローラ332a〜332cに圧接している状態を示している。このとき、加圧ギア334は左に回転して加圧バネ335を引っ張った状態で停止しており、リンク332Aは加圧バネ335を介して加圧ギア334により引っ張られている。そして、このようにリンク332Aを引っ張ることにより、従動ローラ331a〜331cは、駆動ローラ332a〜332cに圧接する状態になる。また、図8の(b)はニップ解除時の状態であり、加圧ギア334は右に回転した状態で停止している。このように加圧ギア334が右に回転する際、加圧ギア334はリンク333を介してリンク332Aを押し込むようになっており、リンク332Aを押し込むことにより、従動ローラ331a〜331cはニップを解除する方向(上方向)に移動する。なお、斜送加圧モータMkはステッピングモータであり、ステップ角を設定することにより、斜送ローラ対32a〜32cのニップ圧は変更可能となる。また、本実施の形態において、この移動機構は、各従動ローラ331a〜331cに設けられているため、斜送ローラ対32a〜32cのニップ圧は独立して設定可能となる。
【0033】
次に、このように構成された搬送ローラ装置50及び斜行補正装置55のシート搬送時の動作について説明する。図2の(a)に示すように、シートS1が斜行角度βを有した状態で搬送ユニット54から搬送ローラ装置50に搬送されると、シートS1は、搬送ローラ対34により、斜行補正装置55に送られる。そして、シートS1は、図2の(b)に示すように斜送ローラ対32a〜32cにより挟持され、基準部材31に向かって斜めに搬送される。なお、シートS1が最もシート搬送方向上流側に位置する第1斜送ローラ対32aに達した後、第1斜送ローラ対32aよりもシート搬送方向下流側に位置する第2斜送ローラ対32bに達する前に、搬送ローラ対34のニップは解除される(図3の(b)参照)。
【0034】
次に、シートS1は斜送ローラ対32a〜32cにより、図2の(c)に示すように、基準面を構成する基準部材31に対してシートS1の端面を押し付けられながら下流のレジストローラ7へと搬送される。そして、このように基準部材31に端面を押し付つけられながら(当接しながら)搬送されることにより、シートS1の一側端の位置が規制され、シートS1の斜行及び幅方向の位置ズレが補正される。なお、本実施の形態において、搬送されてくるシートS1の位置の主走査方向でのバラツキを考慮して、シートSが斜行補正装置55に搬送される際には、搬送されてくるシートS1が激突しないように基準部材31をオフセットした位置で待機させている。
【0035】
このため、次に、シートS1がレジストローラ7に達し、この後、レジストローラ7によりシートS1の搬送が開始されると、レジストローラ7は図2の(d)に示すようにシートS1を挟持搬送しながら矢印で示す主走査方向へと移動する。これにより、シートS1と中間転写ベルト上の画像の中心位置を合わせることができる。なお、このようにレジストローラ7が主走査方向へと移動する前には、斜送ローラ対32a〜32cは、離間状態となっており、これにより斜送ローラ対32a〜32cにより、レジストローラ7の移動に伴うシートS1の移動が妨げられるのを防ぐことができる。また、二次転写部へシートS1を受け渡した後、レジストローラ7は、ニップを解除すると共に次のシートS2の搬送を行うため、図2の(d)に示す矢印と反対方向に移動して待機状態へと戻る。
【0036】
図9は、コントローラ600の制御ブロック図であり、コントローラ600はCPU601、プログラム格納用のROM603、データの一時保管用のRAM602、通信用のI/O604から構成される。そして、ユーザーが操作部412から使用するシートSのサイズ、坪量(gsm)、通紙枚数情報を入力することで、CPU601は、シートSのサイズ、坪量、通紙枚数を認識する。
【0037】
また、コントローラ600はAD変換部605,610を介してプレレジセンサP及びレジ前センサQによって得られたタイミング信号により、ドライバ606,607を介して斜送駆動モータMs、レジ前駆動モータMpの駆動を制御する。また、コントローラ600はプレレジセンサP及びレジ前センサQによって得られたタイミング信号により、ドライバ608,609a,609b,609cを介してレジ前圧解除モータ104、斜送加圧モータMka,Mkb,Mkcの駆動を制御する。
【0038】
これにより、斜送ローラ対32a〜32cの駆動、従動ローラ331a〜331cの駆動ローラ332a〜332cに対するニップ圧、駆動ローラ13の駆動及び従動ローラ14の解除動作が制御される。なお、従動ローラ331a〜331cは全て独立で斜送加圧モータMka,Mkb,Mkcにより駆動されるので、従動ローラ331a〜331cのニップ加圧力(斜送圧)と、ニップ加圧タイミングと、ニップ解除タイミングは独立に制御可能である。なお、本実施の形態では斜送ローラ対32a〜32cの数は3つであるが、斜送ローラ対の数は2以上であれば適応可能である。
【0039】
さらに、コントローラ600は、ドライバ611を介して、既述した図6及び後述する図13に示すカム700を駆動するカムモータMdの駆動を制御する。そして、このようにカムモータMdの駆動を制御することにより、1面に画像が形成されたシート及び2面に画像が形成されたシートの一側端の、基準部材31のシート搬送方向に対する突き当て角度を変更することができる。
【0040】
ここで、既述したようにシートSが斜行した状態で斜行補正装置55に搬送された場合、シートSは斜送ローラ対32a〜32cにより、基準部材31に向かって斜めに搬送される。この際、コントローラ600は、プレレジセンサPの検知タイミングと、プレレジセンサPと第1斜送ローラ対32aまでの距離と、搬送ローラ装置50のシート搬送速度から、第1斜送ローラ対32aがシートを挟持する時間を演算して予め予測する。そして、第1斜送ローラ対32aがシートを挟持すると、既述した図3の(b)に示すように駆動ローラ13から従動ローラ14を離間させてシート後端の挟持を開放する。
【0041】
ところで、このようなサイドレジストレーション方式の斜行補正装置55において、従来は、第1斜送ローラ対32aにシートが挟持されると同時に駆動ローラ13から従動ローラ14が離間する。ここで、図10の(a)に示すように、シートSの重心をGとすると、第1斜送ローラ対32aによりシートSを搬送しようとすると、シートSは可動ガイド30及び固定式ガイド33表面との間の摩擦力により、シート搬送方向とは逆の方向にFPの力を受ける。
【0042】
この結果、重心Gから第1斜送ローラ対32aの幅方向の距離をLpとすると、シートSにはM=Fp×Lpのモーメントがかかる。そして、このようなモーメントMにより、シートSは矢印に示すように側端が基準部材31に向かう方向に旋回するようになり、やがて側端が基準部材31のシート搬送方向上流側端に激突する。ここで、シートSが、例えば坪量が70gsm以上のコート紙の場合、基準部材31に衝突したシートSには、図10の(b)に示すように、先後端にたわみが発生する。
【0043】
そして、基準部材31に衝突し、先後端にたわみが発生したシートSは、図11の(a)に示す先後端のたわみの差ΔLにより、斜行が発生する。しかし、この後、シートSは、剛度(コシ)によって図11の(b)に示すように、第1斜送ローラ対32aのニップN1でスリップが発生し、これによりシートは基準部材31に倣おうとする。この後、シートSは、第2斜送ローラ対32bのニップN2でもスリップしながら搬送されることにより、基準部材31に突き当てて整合される。
【0044】
なお、図12は、図11の(b)のA方向矢視図である。図12に示すように、シートSが基準部材31に突き当てられると、シートSは基準部材31からの突き当て反力RFにより斜送ローラニップN1,N2ではスリップし、突き当て方向のたわみL自体が順次解放される。これにより、たわみ差ΔLを順次、解消しながらシートの斜行が補正されていく。
【0045】
一方、既述したように、薄紙のコート紙は、紙のすき目がシート搬送方向と平行となるように搬送することで定着ローラへの巻き付きを防止しているが、この場合、2面に画像を形成する際、樋状カールが生じるので、突き当て方向へのたわみは大きくなる。特に、坪量が70gsm未満の薄コート紙の場合、樋状カールの影響が無視できなくなり、1面に画像を形成したシート(以下、片面シートという)対して、2面に画像を形成したシート(以下、両面シートという)の方が、斜行する傾向が強くなる。
【0046】
そこで、本実施の形態では、両面シートの斜行を補正する場合は、予め予測した斜行補正量を加算し、片面シートの斜行調整に合わせることで表裏の画像位置合わせを行うようにしている。なお、このような表裏の画像位置合わせを行うため、図6に示すように、可動ガイド30に基準部材31を回動可能に設けるようにしている。さらに、この基準部材31を、カム700によりシート搬送方向下流側端部に設けられた回動中心軸702を支点として回動させて基準部材31の回動量αを変更するようにしている。
【0047】
このように両面シートの樋状カールによる斜行の影響を考慮し、図14に示すように基準部材31を回動させると、樋状カールを有する両面シートは、まずシート側(シート搬送路中央側)に回動した基準部材31のシート搬送方向上流側端に衝突する。次に、両面シートは、第1斜送ローラ対32aにより斜送されながら基準部材31に向かい、この後、斜送ローラ対32a〜32cにより斜送される。
【0048】
しかし、このとき基準部材31はシート側に回動しているので、この後、斜送されても両面シートの側端は、基準部材31に突き当たることはない。そして、このように側端が、基準部材31に突き当たることが無いようにすることにより、両面シートの側端位置は、片面シートの側端位置に比べてシート搬送路側に位置するようになる。ここで、両面シートの側端位置と片面シートの側端位置との差を樋状カール分に設定することにより、両面シートの画像の幅方向の位置を片面シートの画像の幅方向の位置と一致させることができる。
【0049】
なお、このカム700は、図13に示すようにカム700と共に基準部材31を回動させる駆動部を構成するステッピングモータであるカムモータMdと直結しており、カム700の位相角度を検知するためのフラグ705を備えている。そして、図13の(b)に示すように、フラグ705がフォトインタラプタ701を遮光すると、制御部であるコントローラ600は、カム700がホームポジションにあることを検知する。また、図13の(a)に示すように、基準部材31は引っ張りバネ703によってカム700に常時当接するように構成されており、コントローラ600は、カム700は先のホームポジションからの回転角度によって基準部材31の搬送部への回動量を調整する。
【0050】
ここで、両面シートの場合のカム700の進入量(回転量)λは、両面シート≧片面シートに設定されている。これにより、例えば、両面シートの場合の回動量をα2、片面シートの場合の角度をα1とすると、α2=α1+δとなる。δは2面目の斜行補正を1面目に合わせるように設定するための補正量であり、この補正量δはシートの坪量に応じてユーザーが調整可能である。なお、本実施の形態において、この補正量δは、シートの坪量に応じて増加する。
【0051】
なお、この補正量δのテーブル(設定値)は、既述した図9に示すコントローラ600のROM603に記憶されており、坪量に応じて変更を可能にしても良い。また、回動量α1は機械毎の斜行調整に関わる部品の精度ばらつきを、自動カム調整を利用して調整しているだけでユーザーは調整する必要はない。また、図6に示すように、カム700は、シート搬送方向xに対し、突き当て方向と逆の方向に傾く方向をプラスとすると、図15の(a)に示すプラス、マイナスに調整可能になっている。
【0052】
次に、基準部材31の斜行調整について説明する。ここで、本実施の形態において、斜行調整のための基準部材31の回動量αは、図6に示すように、ユーザーがテストプリント出力画像に合わせて調整する。即ち、回動量αは、カム700の回転角度γを調整してカム進入量λ(mm)を調整することにより行う。図15の(b)にカム700のカムモータMdへの入力パルスによる回転角度γと、カム進入量λと、斜行調整量(回動量)αをA3サイズ換算での斜行調整量(mm)として示す。
【0053】
なお、図15の(b)に示すテーブルは、シートが、図15の(a)に示す先端が後端よりも基準部材側に傾斜した状態のシートSの斜行を補正する方向であるプラス方向の場合の、回転角度γと、カム進入量λと、斜行調整量αのテーブルである。また、シートが、後端が先端よりも基準部材側に傾斜したシートSの斜行を補正する方向であるマイナス方向の場合には、不図示のテーブルを用いる。そして、シートの両面に画像を形成するとき、このテーブルに基づき基準部材31を回動させることにより、シートの片面に画像を形成するときに比べて、シートをシート搬送路中央側にずらすことができる。
【0054】
次に、本実施の形態に係る坪量が70gsm未満の薄コート紙の場合、ユーザーがテストプリントの出力画像に応じて両面シートの斜行調整を行う動作を図16に示すフローチャートを用いて説明する。
【0055】
まず、設定部である操作部412よりシートの坪量(70gsm未満)を入力(設定)する(S101)。この後、ユーザーはテスト用に画像が形成されたシートであるテストプリントを出力し(S102)、実際に出力されたテストプリント画像から両面シートの片面シートに対する斜行量の差を計測する(S103)。次に、補正部である操作部より両面シートの斜行を補正するための斜行補正量δを入力し(S105)、両面シートの斜行を補正する回動量α2=α1+δを決定する(S106)。そして、このように補正された回動量に応じてカムモータMdへの入力パルスを調整し、自動カム調整による斜行調整を行う。
【0056】
次に、確認作業としてユーザーはテストプリントを出力し(S107)、斜行量を計測し(S108)、両面シートの斜行調整が不十分な場合には、つまり両面シートに斜行がある場合には(S109のY)、S105〜S108の斜行調整を繰り返す。また、調整が完了した場合、すなわち両面シートに斜行がない場合には(S109のN)、斜行調整を終了する。
【0057】
次に、このような両面シートの斜行調整を行った後の、本実施の形態による両面シートの斜行補正動作について図17に示すフローチャートを用いて説明する。まず、入力部である操作部よりシートの坪量(gsm)、サイズ、通紙枚数Kを入力する(S01)。これにより、コントローラ600は、シートの坪量やサイズに応じて斜送ローラ対のニップ加圧力(斜送圧)の設定値を決定する(S02)。
【0058】
この後、通紙が開始され、図3の(a)に示すようにシートSが搬送ローラ装置50に到達し、プレレジセンサPがシート先端を検知してONすると(S03のY)、レジ前駆動モータMpを一時停止させ、紙間時間を調整する。なお、プレレジセンサPがシート先端を検知しない場合には(S03のN)、紙詰まり(遅延ジャム)を操作部に表示し(S17)、終了となる。
【0059】
次に、シート坪量が70gsm未満かを判断し(S04)、シート坪量が70gsm未満の場合には(S04のY)、基準部材31のカム進入量を変更し(S05)、既述した図15のテストプリント出力した斜行調整で決定したカム進入量に設定する。次に、レジ前駆動モータMpをリスタートさせ、斜行補正装置55へと両面シートを搬送する。そして、プレレジセンサPがシートS先端を検知(ON)してからシート先端が斜送ローラ対に到達する前のタイミングで駆動ローラ332a〜332cに従動ローラ331a〜331cを当接させる。
【0060】
この後、先に決定した斜送圧設定値まで斜送ローラ対のニップを加圧する(S06)。ここで、加圧タイミングは全て同時でも良いし、搬送方向上流側から順次加圧してもかまわない。なお、両面シートでも、シート坪量が70gsm以上の場合は(S04のN)、両面シートのカム進入量は片面シートと同じカム進入量のままでカムの進入量の変更はしない。即ち、両面シートのカム進入量=片面シートのカム進入量とする(S16)。
【0061】
次に、図3の(b)に示すように斜行補正装置55に搬送された後、搬送ローラ装置50の従動ローラ14は全てニップを解除し、斜行補正装置55での突き当て整合を開始する(S07)。この後、図3の(c)に示すように、シートSを斜送ローラ対32a〜32cにより挟持する(S08)。次に、レジ前センサQがシート先端を検知してONするのを待ち(S09)、レジ前センサQがONすると(S09のY)、この後、斜行補正装置55により斜行が補正されたシートSは、レジストローラ7により挟持され、10mm搬送される(S10)。そして、このようにシートを10mm搬送すると、全ての斜送ローラ対32a〜32cのニップを解除し(S11)、突き当て整合を終了する(S12)。
【0062】
次に、レジストローラ7の横スライド動作を開始する(S13)。なお、斜送ローラ対32a〜32cのニップ解除のタイミングは、レジ前センサQのONから、レジ前センサQからレジストローラ7までの距離を斜送速度で割った時間と、レジストローラ7で10mm搬送するために必要な時間を足したタイミングである。
【0063】
また、レジ前センサQがシートS先端を検知(ON)しない場合には(S09のN)紙詰まり(遅延ジャム)を操作部に表示し(S17)、終了となる。この後、通紙カウンタはK=K−1をカウントし(S14)、K=0となるかを判断する(S15)。そして、K=0でなければ(S15のN)、すなわちシートが最後のシートでなければ、斜送ローラ対でのシート整合が終了したタイミングで搬送ローラニップNPrを再び加圧し、連続通紙となる。また、この後、通紙カウンタK=0(S15)となり、すなわちシートが最後の両面シートとなると、斜行補正動作が終了する。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態においては、予め予測した斜行補正量を1面目の斜行調整量に加算してカム700を回転させることにより、基準部材31を突き当て方向と逆の方向、すなわちシート搬送路中央側に傾けるようにしている。つまり、本実施の形態においては、シートの両面に画像を形成するとき、基準部材31を、シートの片面に画像を形成するときよりも斜送ローラ対32a〜32cによる斜送方向と逆方向であるシート搬送路側に回動させるようにしている。
【0065】
これにより、シートの両面に画像を形成するとき、シートの片面に画像を形成するときに比べて、シートがシート搬送路中央側にずれるようになる。この結果、70gsm未満のコート紙のような剛度が低いシートでもシート両面の画像形成位置の幅方向のずれを低減させることができる。
【0066】
更に、本実施の形態のように構成することにより、薄いシートと厚いシートが混載する場合でも、シートの坪量毎に2面目の回動量α2を設定するようにすれば、厚いシートと薄いシートの混載時での表裏レジ精度も向上する。つまり、紙種に応じて2面目の斜行量の差を加味した斜行調整を行うことにより、混載時の表裏のレジ精度を向上させることが可能になる。なお、これまでは、このサイドレジストレーション方式による斜行補正装置55をシート搬送路R1に設けた場合について説明したが、本発明は、これに限らず、再搬送通路Rに設けても良い。
【符号の説明】
【0067】
7…レジストローラ、31…基準部材、32a〜32c…斜送ローラ対、50…搬送ローラ装置、55…斜行補正装置、100A…装置本体、100D…シート搬送装置、513…画像形成部、600…コントローラ、700…カム、702…回動中心軸、R…再搬送通路、R1…シート搬送路、S…シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部にシートを搬送してシートに画像を形成し、シートの両面に画像を形成する際には、片面に画像が形成されたシートを反転させて再度、前記画像形成部に搬送する画像形成装置において、
シートの幅方向の中央を基準とする中央基準で前記画像形成部にシートを案内するシート搬送路と、
前記シート搬送路のシート搬送方向に沿って配置され、かつシート搬送方向下流側端部を支点として回動可能に設けられ、シートの、シート搬送方向に沿った一側端が当接してシートの幅方向の位置を規制する基準部材と、
前記シート搬送路にシート搬送方向に沿って配置され、シートを前記基準部材に向けて斜めに搬送する複数の斜送ローラと、
前記基準部材を回動させる駆動部と、
前記駆動部の駆動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部により前記駆動部の駆動を制御し、シートの両面に画像を形成するとき、シートの片面に画像を形成するときに比べて、シートがシート搬送路中央側にずれるように前記基準部材を回動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
シートの坪量を入力する入力部を設け、
前記制御部は、前記入力部から入力されたシートの坪量が所定の値よりも小さい場合には、シートの坪量が小さいほど、前記基準部材の回動量を増加させるよう前記駆動部の駆動を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
シートの坪量に応じた前記基準部材の回動量を補正する補正部を備え、
前記制御部は、前記補正部により補正された前記基準部材の回動量に応じて前記駆動部の駆動を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シートの坪量に応じた前記基準部材の回動量を、テスト用にシートの両面に形成されたシートの画像の幅方向の位置に基づいて補正することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項1】
画像形成部にシートを搬送してシートに画像を形成し、シートの両面に画像を形成する際には、片面に画像が形成されたシートを反転させて再度、前記画像形成部に搬送する画像形成装置において、
シートの幅方向の中央を基準とする中央基準で前記画像形成部にシートを案内するシート搬送路と、
前記シート搬送路のシート搬送方向に沿って配置され、かつシート搬送方向下流側端部を支点として回動可能に設けられ、シートの、シート搬送方向に沿った一側端が当接してシートの幅方向の位置を規制する基準部材と、
前記シート搬送路にシート搬送方向に沿って配置され、シートを前記基準部材に向けて斜めに搬送する複数の斜送ローラと、
前記基準部材を回動させる駆動部と、
前記駆動部の駆動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部により前記駆動部の駆動を制御し、シートの両面に画像を形成するとき、シートの片面に画像を形成するときに比べて、シートがシート搬送路中央側にずれるように前記基準部材を回動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
シートの坪量を入力する入力部を設け、
前記制御部は、前記入力部から入力されたシートの坪量が所定の値よりも小さい場合には、シートの坪量が小さいほど、前記基準部材の回動量を増加させるよう前記駆動部の駆動を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
シートの坪量に応じた前記基準部材の回動量を補正する補正部を備え、
前記制御部は、前記補正部により補正された前記基準部材の回動量に応じて前記駆動部の駆動を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シートの坪量に応じた前記基準部材の回動量を、テスト用にシートの両面に形成されたシートの画像の幅方向の位置に基づいて補正することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−100145(P2013−100145A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243446(P2011−243446)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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