説明

画像形成装置

【課題】主電源オフ時において、必要な電力を必要な回路群に供給することの可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、この画像形成装置は、主電源オフ時に補助電源として使用されるバッテリーと、発電機と、給紙カセットのスライド動作に連動して前記発電機を回転させる発電機駆動機構と、前記発電機が発生する電力によって前記バッテリーを充電する充電回路とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンターやコピー機、複合機等の画像形成装置において、給紙カセットにセットされた用紙のサイズを、各種の用紙サイズ検知機構を利用して自動的に検知する技術が知られている(下記特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−190889号公報
【特許文献2】特開平3−166129号公報
【特許文献3】特開平8−34525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、主電源オフ時において、ユーザーによって給紙カセットへの用紙補給が行われた場合、用紙サイズの検知に使用されるセンサー類や、そのセンサー類から得られる信号を基に用紙サイズを判定する制御部が動作不能状態となっているため、用紙サイズが不定となる可能性があった。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、主電源オフ時において、必要な電力を必要な回路群に供給することの可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、画像形成装置に係る第1の解決手段として、主電源オフ時に補助電源として使用されるバッテリーと、発電機と、給紙カセットのスライド動作に連動して前記発電機を回転させる発電機駆動機構と、前記発電機が発生する電力によって前記バッテリーを充電する充電回路とを備える、という手段を採用する。
【0007】
また、本発明では、画像形成装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、主電源オフ時に前記バッテリーからの電圧供給を受けて動作する回路群と前記バッテリーとを結ぶライン上に介挿された補助電源スイッチと、前記バッテリーと前記充電回路とを結ぶライン上に介挿された充電スイッチと、前記回路群に含まれ、前記バッテリーの出力電圧を監視する機能と、前記補助電源スイッチ及び前記充電スイッチを制御する機能とを有する制御部と、をさらに備え、前記制御部は、主電源オフ時において、前記バッテリーの出力電圧が上限値以上の場合には、前記充電スイッチをオフにし、前記バッテリーの出力電圧が下限値以下の場合には、前記補助電源スイッチをオフにする、という手段を採用する。
【0008】
また、本発明では、画像形成装置に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記制御部は、主電源オン時において、前記バッテリーの出力電圧が上限値以上の場合には、前記充電スイッチをオフにし、前記バッテリーの出力電圧が下限値以下の場合には、前記充電スイッチをオンにする、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、給紙カセットのスライド動作(抜き差し動作)に連動して発電機により発電した電力をバッテリーに蓄えることができるので、主電源オフ時において、必要な電力を必要な回路群に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る複合機Aの概略構成を示すブロック図である。
【図2】発電機駆動機構8の詳細構成を示す図である。
【図3】主電源オン時におけるバッテリー6の充電制御プロセスを示す図である。
【図4】主電源オフ時におけるバッテリー6の充電制御プロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下では、本発明に係る画像形成装置として、コピー機、プリンター、スキャナー及びファクシミリ等の機能を併せ持つ複合機を例示して説明する。
図1は、本実施形態に係る複合機Aの概略構成を示すブロック図である。この図1に示すように、本複合機Aは、操作表示部1、画像読取部2、画像データ記憶部3、通信部4、画像形成部5、バッテリー6、発電機7、発電機駆動機構8、充電回路9、補助電源スイッチ10、充電スイッチ11及び制御部12を備えている。
【0012】
操作表示部1は、操作キー1a及びタッチパネル1bを備え、ユーザーと複合機Aとを関係付けるマンマシンインターフェイスとして機能するものである。この操作表示部1は、ユーザーによって押下された操作キー1aまたはタッチパネル1bに表示された操作ボタンの操作信号を制御部12に出力するとともに、制御部12の制御信号に基づいてタッチパネル1bに種々の画像を表示する。
【0013】
画像読取部2は、制御部12から入力される制御信号に基づいてADF(Automatic document feeder:自動原稿送り装置)により自動搬送される原稿またはプラテンガラス上に載置された原稿の表面画像(原稿画像)をラインセンサーで読み取って原稿画像データに変換し、この原稿画像データを画像データ記憶部3に出力する。
【0014】
画像データ記憶部3は、半導体メモリーまたはハードディスク装置等であり、制御部12から入力される制御信号に基づいて原稿画像データや、通信部4が外部のクライアントコンピューター(図示略)から受信するプリント画像データや、通信部4がファクシミリ装置から受信するファクシミリ画像データを記憶すると共に、これら画像データを制御部12から入力される制御信号に基づいて読み出して画像形成部5に出力する。
【0015】
通信部4は、制御部12から入力される制御信号に基づいて電話回線を介して外部の複合機あるいはファクシミリ装置、またLAN(Local Area Network)を介してクライアントコンピューター等と通信を行うものである。すなわち、この通信部4は、イーサーネット(登録商標)等のLAN規格に準拠した通信機能と、G3等のファクシミリ規格に準拠した通信機能とを兼ね備えたものである。
【0016】
画像形成部5は、プリントエンジン(感光ドラム、帯電器、現像装置及び定着ローラー等)などを備え、制御部12から入力される制御信号に基づいて、給紙カセットにセットされている用紙を1枚ずつ給紙搬送し、画像データ記憶部3から入力された画像データに基づいて用紙上にトナー画像を形成し、さらにトナー画像の定着処理後に用紙を外部に排紙するものである。
【0017】
バッテリー6は、主電源オフ時に補助電源として使用される二次電池である。このバッテリー6は、補助電源スイッチ10を介して主電源オフ時にバッテリー6からの電圧供給を受けて動作する回路群(制御部12及び不図示のセンサー類を含む)と接続されている。また、バッテリー6は、充電スイッチ11を介して充電回路9と接続されている。
【0018】
なお、主電源オン時には、主電源電圧(商用電源電圧(AC100V)をレギュレータ等の電源回路によって直流電圧に変換したもの)が、操作表示部1、画像読取部2、画像データ記憶部3、通信部4、画像形成部5、制御部12及び不図示のセンサー類に供給されている。
【0019】
発電機7は、例えば直流発電機であり、回転軸の回転によって発生した直流電力を充電回路9に供給する。発電機駆動機構8は、図2に示すように、給紙カセット20のスライド動作に連動して発電機7の回転軸を回転させる機構であり、給紙カセット20の下面に歯を下側に向けた状態で延設されたラックギア8aと、給紙カセット10の下方に配置され、上記ラックギア8aと噛合して発電機7の回転軸を回転させるギアユニット8bとから構成されている。
【0020】
このような発電機駆動機構8を用いることにより、給紙カセット20の抜き差し時に発電機7から電力を得ることができる。なお、発電機7の発電量は、ラックギア8aと噛合するギアユニット8bのギア比によって調整すれば良い。例えば、給紙カセット20の抜き差し動作(スライド動作)の速さを100(m/s)としたとき、100(mm)で発電機7の回転軸が2回転し、給紙カセット20の長さを600(mm)とすれば、2(回転/秒)で12回転させることができるので、主電源オフ時に制御部6やセンサー類を動作させるのに十分な電力が得られる。
【0021】
図1に戻り、充電回路9は、発電機7から供給される直流電力によってバッテリー6を充電する回路であり、充電スイッチ11を介してバッテリー6と接続されている。なお、主電源オン時には、主電源電圧も充電回路9に供給されている。
【0022】
補助電源スイッチ10は、主電源オフ時にバッテリー6からの電圧供給を受けて動作する回路群(制御部12及び不図示のセンサー類を含む)とバッテリー6とを結ぶライン上に介挿されたスイッチング素子であり、制御部12による制御に応じてオン状態或いはオフ状態に切り替わる。充電スイッチ11は、バッテリー6と充電回路9とを結ぶライン上に介挿されたスイッチング素子であり、制御部12による制御に応じてオン状態或いはオフ状態に切り替わる。
【0023】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び上述した各部と各種信号の送受信を行うインターフェイス回路等から構成されており、上記ROMに記憶された制御プログラムに基づいて複合機Aの全体動作を制御する。なお、この制御部12は、バッテリー6の出力電圧を監視する機能と、補助電源スイッチ10及び充電スイッチ11を制御する機能とを有している。
【0024】
次に、上記のように構成された本複合機Aの動作、特に、制御部12によるバッテリー6の充電制御について説明する。
<主電源オン時におけるバッテリー6の充電制御>
まず、主電源オン時におけるバッテリー6の充電制御について説明する。上述したように、主電源オン時には、主電源電圧も充電回路9に供給されている。そこで、主電源オン時には、過充電、過放電にならないように主電源からバッテリー6を充電する。なお、主電源オン期間中は、補助電源スイッチ10をオフ状態に維持することが望ましい。
【0025】
例えば、バッテリー6の出力電圧を制御部12にてモニターし、上限値Vmax以上の電圧、または、下限値Vmin以下の電圧になると過充電、過放電と判断する。制御部12は、上限値Vmax以上の電圧を検出した場合、充電スイッチ11をオフにしてバッテリー6を充電回路9から切り離すことでバッテリー6の充電を停止し、下限値Vmin以下の電圧を検出した場合、充電スイッチ11をオンにしてバッテリー6と充電回路9を接続することでバッテリー6の充電を行う。
【0026】
具体的には、図3に示すように、制御部12は、バッテリー6の出力電圧が上限値Vmax以上か否かを判定し(ステップS1)、「No」の場合(過充電の虞が無い場合)には充電スイッチ11をオンにしてバッテリー6の充電を行い(ステップS2)、「Yes」の場合(過充電の虞がある場合)にはステップS4に移行する。
【0027】
制御部12は、上記ステップS2の後、バッテリー6が上限値Vmaxまで充電されたか否かを判定し(ステップS3)、「No」の場合には上記ステップS2に戻る。一方、制御部12は、上記ステップS3或いはステップS1にて「Yes」の場合には、充電スイッチ11をオフにしてバッテリー6を充電回路9から切り離し、バッテリー6の充電を停止する(ステップS4)。
【0028】
そして、制御部12は、バッテリー6の出力電圧が下限値Vmin以下か否かを判定し(ステップS5)、「No」の場合(過放電の虞が無い場合)には上記ステップS4に移行してバッテリー6の充電停止を継続する一方、「Yes」の場合(過放電の虞がある場合)には上記ステップS2に移行してバッテリー6の充電を行う。
【0029】
<主電源オフ時におけるバッテリー6の充電制御>
続いて、主電源オフ時におけるバッテリー6の充電制御について説明する。主電源オフ時には、主電源電圧が充電回路9に供給されないので、過充電、過放電にならないように発電機7からバッテリー6を充電する。なお、制御部12は、主電源オフとなる直前に補助電源スイッチ10をオン状態に切り替え、主電源オフ期間中はバッテリー6からの電圧供給を受けて動作する。
【0030】
図4に示すように、制御部12は、バッテリー6の出力電圧が上限値Vmax以上或いは下限値Vmin以下かを判定する(ステップS11)。制御部12は、バッテリー6の出力電圧が上限値Vmax以上の場合、過充電の虞があるため、充電スイッチ11をオフにしてバッテリー6を充電回路9から切り離し、バッテリー6の充電を停止する(ステップS12)。
【0031】
また、制御部12は、バッテリー6の出力電圧が上限値Vmaxより低く且つ下限値Vminより高い場合には、過充電或いは過放電の虞が無いので、充電スイッチ11をオンにしてバッテリー6の充電を行う(ステップS13)。
【0032】
また、制御部12は、バッテリー6の出力電圧が下限値Vmin以下の場合、制御部6やセンサー類をバッテリー6に接続したままにしておくと過放電が発生する虞があるので、充電スイッチ11をオンにした状態で補助電源スイッチ10をオフにして、バッテリー6を制御部12、センサー類等の電力を消費する回路群から切り離す(ステップS14)。
なお、過放電対策として、バッテリー6を切り離した際、制御部12によってバッテリー6の電圧をモニターできなくなるが、この場合は、過放電、過充電が発生する虞がないため、制御部12の判断無しに発電機7によってバッテリー6を充電する。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、給紙カセット20のスライド動作(抜き差し動作)に連動して発電機7により発電した電力をバッテリー6に蓄えることができるので、主電源オフ時において、必要な電力を必要な回路群(制御部12及びセンサー類)に供給することが可能となる。
従って、例えば、主電源オフ時において、ユーザーによって給紙カセット20への用紙補給が行われた場合であっても、用紙サイズの検知に使用されるセンサー類や、そのセンサー類から得られる情報を基に用紙サイズを判定する制御部12が動作可能状態となっているため、用紙サイズを正常に確定することができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置として複合機Aを参照しながら説明したが、本発明はこれに限定されず、コピー機、プリンター、スキャナー及びファクシミリ等の他の画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
A…複合機、1…操作表示部、2…画像読取部、3…画像データ記憶部、4…通信部、5…画像形成部、6バッテリー、7…発電機、8…発電機駆動機構、9…充電回路、10…補助電源スイッチ、11…充電スイッチ、12…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源オフ時に補助電源として使用されるバッテリーと、
発電機と、
給紙カセットのスライド動作に連動して前記発電機を回転させる発電機駆動機構と、
前記発電機が発生する電力によって前記バッテリーを充電する充電回路と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
主電源オフ時に前記バッテリーからの電圧供給を受けて動作する回路群と前記バッテリーとを結ぶライン上に介挿された補助電源スイッチと、
前記バッテリーと前記充電回路とを結ぶライン上に介挿された充電スイッチと、
前記回路群に含まれ、前記バッテリーの出力電圧を監視する機能と、前記補助電源スイッチ及び前記充電スイッチを制御する機能とを有する制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、主電源オフ時において、前記バッテリーの出力電圧が上限値以上の場合には、前記充電スイッチをオフにし、前記バッテリーの出力電圧が下限値以下の場合には、前記補助電源スイッチをオフにすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、主電源オン時において、前記バッテリーの出力電圧が上限値以上の場合には、前記充電スイッチをオフにし、前記バッテリーの出力電圧が下限値以下の場合には、前記充電スイッチをオンにすることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−114157(P2013−114157A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261865(P2011−261865)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】