説明

画像形成装置

【課題】定形の記録媒体を用いることができるとともに、該記録媒体に複数の画像を形成して画像毎に分断するときの分断位置のずれによる各画像に対する視覚的影響を低減することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】印刷システム11は、2つの画像に対応する画像データを取得する画像データ取得手段と、取得した各画像データに基づいて定形のロール紙RPに対して幅方向に隣接するように形成される2つの画像の境界部分において視覚的特徴に連続性が形成されるように各画像と対応する2つの画像データの修正処理を行う画像修正手段と、各画像の境界部分において視覚的特徴に類似性を有する各画像と対応する2つの画像データ同士のペアリング処理を行う画像ペアリング手段と、これらの処理が行われた各画像データに基づいてロール紙RPに各画像を形成する記録ヘッド45と、各画像が形成されたロール紙RPを画像毎に分断する第2分断機構とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット式プリンターなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、記録媒体(用紙など)に画像を形成する画像形成装置としてインクジェット式プリンターが広く知られている。このようなプリンターの中には、搬送される用紙に対して該用紙の幅方向に複数の画像を並べて形成した後、該用紙を画像毎に分断するものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−15886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のプリンターにおいて定形の用紙を用いた場合、各画像間に余白を形成すると、各画像の大きさによっては、余白分だけ各画像を小さくしなければならなくなってしまうことがある。このため、余白を形成することなく、用紙に対して幅一杯に各画像を隣接して形成すると、用紙を画像毎に分断する際の分断誤差により、分断後の画像に隣接する他の画像が入り込んで視覚的影響が発生してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、定形の記録媒体を用いることができるとともに、該記録媒体に複数の画像を形成して画像毎に分断するときの分断位置のずれによる各画像に対する視覚的影響を低減することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、複数の画像に対応する画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データ取得手段によって取得した前記各画像データに基づいて、搬送手段によって搬送される定形の記録媒体に対して搬送方向と直交する幅方向において隣接するように形成される複数の画像における隣り合う2つの画像毎に、該2つの画像の境界部分において視覚的特徴に連続性が形成されるように、該2つの画像と対応する2つの画像データのうちの少なくとも一方を修正する修正処理を行うことが可能な画像修正手段と、前記2つの画像毎に、該2つの画像の境界部分において視覚的特徴に類似性を有する該2つの画像と対応する2つの画像データ同士をペアリングさせるペアリング処理を行うことが可能な画像ペアリング手段と、前記修正処理及び前記ペアリング処理のうちの少なくとも一方の処理が行われた前記各画像データに基づいて前記記録媒体に前記各画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって前記各画像が形成された前記記録媒体を前記画像毎に分断する分断手段とを備えた。
【0007】
この発明によれば、定形の記録媒体に対して幅方向に隣接するように形成した複数の画像における隣り合う2つの画像毎にそれらの境界部分において修正処理及びペアリング処理のうちの少なくとも一方の処理が行われる。このため、定形の記録媒体を用いることができるとともに、該記録媒体に複数の画像を形成して画像毎に分断するときの分断位置のずれによる各画像に対する視覚的影響を低減することが可能となる。
【0008】
本発明の画像形成装置は、前記各画像データに対して前記修正処理を行う第1モード、前記各画像データに対して前記ペアリング処理を行う第2モード、及び前記各画像データに対して前記修正処理及び前記ペアリング処理の両方を行う第3モードのうちから1つを選択することが可能な選択手段を備えた。
【0009】
この発明によれば、ユーザーが自身の都合により選択手段によって第1モード、第2モード、及び第3モードのうちから1つを選択することで、画質を優先させたり装置の処理速度を優先させたりすることが可能となる。
【0010】
本発明の画像形成装置において、前記画像形成手段は、前記記録媒体に形成する画質を優先させる場合に、前記記録媒体における幅方向の前記各画像間に画像が形成されない非画像形成領域が形成されるように、前記各画像の形成態様を変更する。
【0011】
この発明によれば、定形の記録媒体であっても、記録媒体に対する各画像の形成態様を変更するだけで、記録媒体における幅方向の各画像間に非画像形成領域が形成される。このため、複数の画像が形成された記録媒体を画像毎に分断する際の分断位置にずれが生じても、各画像に他の画像が入り込むことを抑制することが可能となる。
【0012】
本発明の画像形成装置において、前記画像形成手段は、前記記録媒体に形成する前記各画像の前記記録媒体の搬送方向における両端部が前記記録媒体の幅方向において互いに揃うように、前記記録媒体に対する前記各画像の形成態様を変更する。
【0013】
この発明によれば、記録媒体の搬送方向における各画像の両端部が記録媒体の幅方向において互いに揃うため、長尺の記録媒体を用いた場合でも、該記録媒体を画像毎に搬送方向において容易に分断することが可能となる。
【0014】
本発明の画像形成装置において、前記記録媒体の搬送経路には、前記画像ペアリング手段により、前記2つの画像毎に、該2つの画像の境界部分において視覚的特徴に類似性を有する該2つの画像と対応する2つの画像データ同士をペアリングさせた場合に、前記画像形成手段によって前記各画像が形成されて前記分断手段によって前記画像毎に分断された前記各記録媒体の画像の向きを整合させる整合手段が設けられている。
【0015】
この発明によれば、ペアリングによって各記録媒体の画像の向きが乱れた場合でも、これらの向きを整合手段によって整合させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態の印刷システムの平面模式図。
【図2】図1の2−2線矢視断面図。
【図3】同印刷システムの搬送装置の側面模式図。
【図4】同搬送装置の平面模式図。
【図5】実施形態の印刷システムの整合装置の側面模式図。
【図6】同印刷システムの電気的構成を示すブロック図。
【図7】同印刷システムの制御部が実行する画像処理ルーチンのフローチャート。
【図8】(a)〜(d)は、カット用紙への画像の形成態様を示す模式図。
【図9】(a)はロール紙に対して各画像間に余白が形成されるように各画像を90度回転させて印刷したときの状態を示す平面模式図、(b)はロール紙に対して各画像間に余白が形成されるように各画像を2列に印刷したときの状態を示す平面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の画像形成装置を印刷システムに具体化した一実施形態について、図面に従って説明する。また、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は各図中に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。なお、図面中の上方向、右方向及び前方向を示す矢印において、「○」の中に「・」が記載されたもの(矢の先端を前から見た図)は紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたもの(矢の羽根を後ろから見た図)は紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置としての印刷システム11は、インクジェット式プリンター12と、インクジェット式プリンター12によって印刷されて排紙された記録媒体としてのカット用紙CPを搬送する搬送装置13と、搬送装置13によって搬送されるカット用紙CPの向き及び順序を整合させる整合手段としての整合装置90と、整合装置90によって整合されて搬送されるカット用紙CPを順次受け容れるとともに仕分けして支持する仕分装置14とを備えている。
【0019】
図1及び図2に示すように、インクジェット式プリンター12は、後壁の上部に排紙口15aを有する略直方体状の本体ケース15を備えている。本体ケース15内における前側下部には、左右方向に延びる回転軸16によって該回転軸16とともに一体回転するように支持された記録媒体としてのロール紙RPが配置されている。
【0020】
この場合、ロール紙RPには、定形のもの、すなわち決まった幅(本実施形態では12インチ幅)のものが用いられる。そして、回転軸16が図2における反時計方向に回転されると、ロール紙RPが巻き解かれながら上方に向かって繰り出される。
【0021】
本体ケース15内における上部には、回転軸16から繰り出されるロール紙RPを排紙口15aに向かって導く搬送手段としての搬送機構17が備えられている。搬送機構17は、巻き解かれた状態のロール紙RPを搬送経路に沿って上流側(前側)から下流側(後側)に向かう方向である第1方向(後方向)に沿って搬送する複数の搬送駆動ローラー20〜24と、各搬送駆動ローラー20,21,22,24との間で巻き解かれた状態のロール紙RPを挟持する複数の搬送従動ローラー30,31,32,34とを備えている。
【0022】
すなわち、各搬送駆動ローラー20,21,22,24と各搬送従動ローラー30,31,32,34とは、巻き解かれた状態のロール紙RPの搬送経路を挟んで互いに対向する位置に配置されている。
【0023】
ロール紙RPの搬送経路における各搬送駆動ローラー21,22間には、巻き解かれた状態のロール紙RPを下側から支持する支持台40が配置されている。支持台40の上面には複数の吸引孔(図示略)が開口しているとともに、支持台40の内部には該吸引孔越しにロール紙RPを吸引する吸引機構41が設けられている。したがって、支持台40に支持されたロール紙RPは、吸引機構41の吸引力により、該支持台40の上面に吸着される。
【0024】
ロール紙RPの搬送経路を挟んで支持台40と対向する位置には、記録部42が設けられている。記録部42は、本体ケース15内に左右方向(搬送機構17によるロール紙RPの搬送方向と直交する方向)に延びるように架設されたガイド軸43と、該ガイド軸43に往復移動可能に支持されたキャリッジ44と、該キャリッジ44の下面に支持された画像形成手段としての記録ヘッド45とを備えている。
【0025】
記録ヘッド45の下面には、液体としてのインクを噴射するための複数のノズル46が開口している。そして、キャリッジ44をガイド軸43に沿って往復移動させながら、支持台40の上面に支持されたロール紙RPに対して記録ヘッド45の各ノズル46からインクを噴射することで、ロール紙RPに画像が形成(印刷)される。
【0026】
この場合、ロール紙RPには、該ロール紙RPの幅方向(搬送機構17によるロール紙RPの搬送方向と直交する方向)に沿って複数(本実施形態では2つ)の画像G1,G2が幅一杯に連続して隣接するように形成される。本実施形態において、各画像G1,G2は、ロール紙RPの幅方向(左右方向)の長さが6インチであって搬送機構17によるロール紙RPの搬送方向(前後方向)の長さが4インチである矩形状をなしている。
【0027】
また、記録ヘッド45によるロール紙RPの印刷は、右側から開始される。すなわち、ロール紙RPは、右側が印刷の開始位置側となっている。なお、キャリッジ44の後側面には、ロール紙RPの幅方向の両端の位置を検出するための第1紙端センサー47が支持されている。
【0028】
本体ケース15内における搬送駆動ローラー22及び搬送従動ローラー32と対応する位置には、ロール紙RPの搬送経路の一部を形成する平板状の搬送経路形成部材48が配置されている。ロール紙RPの搬送経路における搬送経路形成部材48と支持台40との間には、ロール紙RPにおける各画像G1,G2が形成された領域である画像形成領域を分断することで、ロール紙RPを各画像G1,G2が形成された印刷済みのカット用紙CPとするための第1分断機構49が設けられている。第1分断機構49は、ロール紙RPを第1方向と直交する左右方向に沿って切断する。
【0029】
また、本体ケース15内における搬送経路形成部材48と排紙口15aとの間には、カット用紙CPのカール(巻きぐせ)を矯正するためのカール矯正機構50が設けられている。カール矯正機構50は、各搬送駆動ローラー23,24及び搬送従動ローラー34を有している。
【0030】
搬送従動ローラー34は、搬送駆動ローラー24とでカット用紙CPを挟持したときに、該カット用紙CPの搬送に伴って従動回転するとともに、搬送駆動ローラー23とで該カット用紙CPを屈曲させることで、該カット用紙CPのカールを矯正するようになっている。
【0031】
この場合、搬送駆動ローラー23は、カット用紙CPの搬送経路における搬送駆動ローラー24の上流側に配置されて該搬送駆動ローラー24に向けてカット用紙CPを搬送するとともに、カット用紙CPが屈曲されるときに、該カット用紙CPの屈曲部分の上流側を支持するようになっている。そして、カール矯正機構50でカールが矯正されたカット用紙CPは、排紙口15aから搬送装置13へと順次排紙される。
【0032】
図1及び図2に示すように、搬送装置13は、インクジェット式プリンター12の排紙口15aから排紙されたカット用紙CPをその搬送方向の上流側(左側)から下流側(右側)に向けて搬送する。すなわち、搬送装置13は、搬送機構17によるロール紙RPの搬送方向である第1方向と直交する方向である第2方向(右方向)に沿ってカット用紙CPを整合装置90まで搬送する。この場合、搬送装置13は、ロール紙RPの印刷の開始位置側である右端部側がカット用紙CPの下流側の端部側となるように、カット用紙CPを搬送する。
【0033】
図2及び図3に示すように、搬送装置13は、排紙口15aよりも低い位置に配置されるとともに、基台51と、基台51上に配置された搬送ユニット52と、該基台51上における搬送ユニット52の下流側(右側)に配置された分断ユニット53とを備えている。したがって、搬送機構17によるロール紙RP及びカット用紙CPの搬送経路と、搬送装置13によるカット用紙CPの搬送経路との間には段差がある。
【0034】
搬送ユニット52は、前後方向に延びる軸線を中心に回転可能に構成されるとともに左右方向において間隔を置いて対をなすように配置されたベルト駆動ローラー54及びベルト従動ローラー55と、該各ローラー54,55の外側に巻き回された無端状の搬送ベルト56とを備えている。
【0035】
したがって、ベルト駆動ローラー54が図3において反時計方向に回転すると、搬送ベルト56が各ローラー54,55の周りを反時計方向に周回移動することで、排紙口15aから搬送ベルト56上に排紙(落下)したカット用紙CPが分断ユニット53へと搬送される。
【0036】
図1〜図3に示すように、分断ユニット53はケース57を備えるとともに、該ケース57内には搬送ユニット52から搬送されてくるカット用紙CPを挟持しながら整合装置90へ搬送する4つのローラー対58〜61が左右方向に適宜間隔を置いて配置されている。各ローラー対58〜61は、上流側である左側から下流側である右側に向かって順に第1ローラー対58、第2ローラー対59、第3ローラー対60、第4ローラー対61とされている。
【0037】
図3及び図4に示すように、各ローラー対58〜61は、下側に位置する各駆動ローラー58a〜61aと、該各駆動ローラーの上側に配置されるとともに該各駆動ローラー58a〜61aの回転にともなって従動回転する各従動ローラー58b〜61bとをそれぞれ備えている。
【0038】
また、各従動ローラー58b,59bは、各駆動ローラー58a,59aとでカット用紙CPを挟持する挟持位置と、各駆動ローラー58a,59aから離間して各駆動ローラー58a,59aとでカット用紙CPを挟持しない非挟持位置との間で移動可能に構成されている。なお、第2ローラー対59における駆動ローラー59aの回転軸には、該駆動ローラー59aの回転量を検出するロータリーエンコーダー62が取着されている。
【0039】
第1ローラー対58の上流側、各ローラー対58〜61間、及び第4ローラー対61の下流側には、カット用紙CPの搬送経路を形成するとともに該カット用紙CPを下側から支持する支持板63が適宜配置されている。各ローラー対59,60の間には、第2方向に沿って搬送されるカット用紙CPを第2方向に沿って1つの画像毎に分断する分断手段としての第2分断機構64が設けられている。第2分断機構64は、カット用紙CPを、第2方向と直交する前後方向に沿って、画像G1と画像G2とに切断する。
【0040】
また、第2分断機構64と第2ローラー対59との間には、第2方向に沿って搬送されるカット用紙CPの先端(下流端)位置を検出する第2紙端センサー65が配置されている。さらに、ケース57内のカット用紙CPの搬送経路における前端部側(図2の搬送機構17側)には、第2方向に沿って搬送されるカット用紙CPの前端側をガイドするガイド板66が配置されている。ガイド板66は、ケース57内の左端部から前後方向において第2紙端センサー65と対応する位置まで延びている。ガイド板66の左端部は、前側に向かって斜めに屈曲している。
【0041】
また、ケース57内の後端部における前後方向においてガイド板66と対向する位置には、第2方向に沿って搬送されるカット用紙CPを前方に向かって押圧する押圧部材67が前後方向に移動可能に配置されている。押圧部材67は、第2ローラー対59の下側に配置されるとともに、左右方向において第2ローラー対59を跨ぐように真っ直ぐに延びている。
【0042】
押圧部材67の左右両端部は、それぞれ上側に向かって直角に屈曲している。押圧部材67の左右両端部における屈曲した部分の上端には、真上に向かって真っ直ぐに延びる押圧ピン67aがそれぞれ立設されている。
【0043】
そして、カット用紙CPが各ローラー対58,59によって挟持されて停止された後、各従動ローラー58b,59bを非挟持位置に移動させた状態で、押圧部材67を前方に向かって移動させると、該カット用紙CPが各押圧ピン67aと係合して前方に押圧される。これにより、カット用紙CPの前端(搬送機構17によるロール紙RPの搬送方向の上流側の端部)がガイド板66の後面66aに当接することで、第2方向に対して傾斜しているカット用紙CPが第2方向に対して平行になるように、該カット用紙CPの姿勢が補正される。
【0044】
図5に示すように、整合装置90は、分断ユニット53から搬送される分断後のカット用紙CPを1枚ずつ受け容れて個別に保管可能な保管部91と、保管部91を支持する昇降回転機構92とを備えている。昇降回転機構92は、保管部91を昇降させるとともに上下方向に延びる軸線を中心に回転させることが可能になっている。保管部91は、左右両側が開口した直方体状の保管ケース91aと、保管ケース91a内に上下方向に等間隔で配置された複数の搬送棚93とを備えている。
【0045】
搬送棚93は、前後方向に延びる軸線を中心に回転可能に構成されるとともに左右方向において間隔を置いて対をなすように配置されたベルト駆動ローラー93a及びベルト従動ローラー93bと、該各ローラー93a,93bの外側に巻き回された無端状の搬送ベルト93cとを備えている。したがって、ベルト駆動ローラー93aが図5において反時計方向に回転すると、搬送ベルト93cが各ローラー93a,93bの周りを反時計方向に周回移動することで、分断ユニット53から搬送ベルト93c上に搬送された分断後のカット用紙CPが仕分装置14へと搬送される。
【0046】
次に、印刷システム11の電気的構成について説明する。
図6に示すように、印刷システム11は、該印刷システム11の稼働状態を統括的に制御する制御部70と、複数の画像に対応する画像データが記憶されたメモリーカード(図示略)が接続されるメモリーカードインターフェース71と、ロール紙RPに印刷する各画像G1,G2の解像度や印刷枚数などをユーザーが入力可能な操作部72とを備えている。
【0047】
操作部72は、ユーザーが各種操作を行う際に確認するための表示画面を有するとともに、ユーザーの操作により、第1モード、第2モード、及び第3モードの3つの印刷モードからいずれか1つを選択可能になっている。この点で操作部72は、選択手段として機能する。
【0048】
ユーザーにより第1モードが選択された場合には、制御部70により、印刷する画像データに対して後述する修正処理及びペアリング処理のうち修正処理のみが行われる。この点で制御部70は、画像修正手段として機能する。ユーザーにより第2モードが選択された場合には、制御部70により、印刷する画像データに対して修正処理及びペアリング処理のうちペアリング処理のみが行われる。この点で制御部70は、画像ペアリング手段として機能する。ユーザーにより第3モードが選択された場合には、制御部70により、印刷する画像データに対して修正処理及びペアリング処理の両方が行われる。
【0049】
修正処理は、ロール紙RPの幅方向において隣接するように形成される複数の画像における隣り合う2つの画像毎に、該2つの画像の境界部分において視覚的特徴に連続性が形成されるように、該2つの画像と対応する2つの画像データを修正するものである。具体的には、修正処理では、隣接する2つの画像と対応する2つの画像データにおける境界部分近傍にグラデーション処理が施される。
【0050】
このグラデーション処理では、2つの画像データのそれぞれの境界部分近傍の画像を互いに相手側の画像データに向かって段階的に相手側の色に近づくように画像処理が行われる。例えば、2つの画像データのそれぞれの境界部分近傍の画像のうちの一方の基色が赤色で他方の基色が青色であった場合、2つの画像データのそれぞれの境界部分近傍の色は、赤色と青色とが混ざった色である紫系の色となる。
【0051】
ペアリング処理は、ロール紙RPの幅方向において隣接するように形成される複数の画像における隣り合う2つの画像毎に、該2つの画像の境界部分において視覚的特徴に類似性を有する該2つの画像と対応する2つの画像データ同士をペアリングさせる(組み合わせる)ものである。具体的には、ペアリング処理では、隣接する2つの画像と対応する2つの画像データの境界部分近傍における色差に基づいて行われる。
【0052】
すなわち、ペアリング処理では、境界部分近傍の色差が1ジョブの印刷の中でできるだけ小さくなるように、各画像データが2つずつペアリングされる。この場合、2つの画像データ間で天地が逆になる(向きが180度異なる)場合も考慮してペアリングされる。そして、例えば、1ジョブの印刷が10枚の場合、5つの画像データのペアが形成されるが、これら5つの画像データのペアのそれぞれの境界部分近傍の色差が全体として最も小さくなるように、ペアリングされる。
【0053】
制御部70は、メモリーカードインターフェース71、操作部72、ロータリーエンコーダー62、第1紙端センサー47、第2紙端センサー65、キャリッジ44に設けられて該キャリッジ44の移動量を検出するリニアエンコーダー73、第1分断機構49、及び第2分断機構64とそれぞれ電気的に接続されている。
【0054】
また、制御部70は、記録ヘッド45、仕分装置14、吸引機構41、各従動ローラー58b,59bを挟持位置と非挟持位置との間で移動させるローラーアクチュエーター74、押圧部材67を前後方向に移動させる押圧アクチュエーター75、及び昇降回転機構92とそれぞれ電気的に接続されている。
【0055】
さらに、制御部70は、モータードライバー76を介して、各ローラー対58,59を回転駆動する上流側ローラーモーター77、各ローラー対60,61を回転駆動する下流側ローラーモーター78、及びキャリッジ44を左右方向に移動させるための駆動源となるキャリッジモーター79とそれぞれ電気的に接続されている。
【0056】
またさらに、制御部70は、モータードライバー76を介して、回転軸16を回転駆動する回転モーター80、各搬送駆動ローラー20〜24を回転駆動する搬送モーター81、及びベルト駆動ローラー54を回転駆動するベルトモーター82、及び各ベルト駆動ローラー93aをそれぞれ回転駆動する各ベルト搬送モーター94とそれぞれ電気的に接続されている。
【0057】
そして、制御部70は、操作部72、各エンコーダー62,73、及び各センサー47,65からそれぞれ送信される信号に基づき、各分断機構49,64、各アクチュエーター74,75、記録ヘッド45、仕分装置14、吸引機構41、及び昇降回転機構92の駆動をそれぞれ制御するとともに、モータードライバー76を介して各モーター77〜82,94の駆動をそれぞれ制御する。
【0058】
また、制御部70は、キャリッジ44の移動に伴い、第1紙端センサー47によってロール紙RPの右端が検出されてからロール紙RPの左端が検出されるまでのリニアエンコーダー73からのパルス信号をカウントしてキャリッジ44の移動量を演算することで、ロール紙RP(カット用紙CP)の左右方向の幅を把握する。
【0059】
また、制御部70は、第2紙端センサー65によってカット用紙CPの先端が検出されると、ロータリーエンコーダー62からの信号をリセットする。その後、制御部70は、ロータリーエンコーダー62からのパルス信号をカウントして第2ローラー対59の駆動ローラー59aの回転量を演算することで、カット用紙CPの先端位置を把握する。
【0060】
また、制御部70は、ROM、RAM、不揮発性メモリーなどから構成された記憶部83を有している。記憶部83には、操作部72から入力される印刷枚数などの情報や、メモリーカード(図示略)から読み込まれる画像データ、各種の制御プログラムなどがそれぞれ記憶される。
【0061】
この場合、制御部70は、メモリーカードインターフェース71を介してメモリーカード(図示略)から複数の画像に対応する画像データを取得するため、画像データ取得手段として機能する。そして、制御部70は、ロール紙RPの左右方向の幅と、ロール紙RPに印刷された画像G1,G2の解像度(大きさ)に基づいて、第2分断機構64によるカット用紙CPの分断位置を決定する。
【0062】
次に、ユーザーによって印刷モードが選択された際に制御部70が実行する画像処理ルーチンを図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
さて、制御部70は、操作部72での印刷モードの選択操作に基づく操作信号が入力されると、第1モードであるか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1の判定結果が肯定判定である場合、制御部70は、取得した画像データに修正処理を行う(ステップS2)。その後、制御部70は、画像処理ルーチンを終了する。一方、ステップS1の判定結果が否定判定である場合、制御部70は、第2モードであるか否かを判定する(ステップS3)。
【0063】
ステップS3の判定結果が肯定判定である場合、制御部70は、取得した画像データにペアリング処理を行う(ステップS4)。その後、制御部70は、画像処理ルーチンを終了する。一方、ステップS3の判定結果が否定判定である場合、制御部70は、取得した画像データにペアリング処理を行う(ステップS5)。引き続き、制御部70は、ステップS5でペアリング処理がなされた画像データに対して修正処理を行う(ステップS6)。その後、制御部70は、画像処理ルーチンを終了する。
【0064】
次に、印刷システム11の作用について説明する。
初めに、本実施形態では、10個分(5ペア分)の画像データに対応する画像G1〜G10をロール紙RPに対して幅方向(左右方向)に2つずつ隣接するように印刷する場合について説明する。なお、画像G1は1番目の画像、画像G2は2番目の画像、・・・、画像G10は10番目の画像であるものとする。
【0065】
(第3モードで印刷を行う場合)
さて、ロール紙RPの印刷を第3モードで行う場合には、まず、定形のロール紙RPがセットされた状態で、ユーザーが操作部72を操作して3つの印刷モードの中から第3モードを選択する。すると、回転軸16及び各搬送駆動ローラー20〜24が回転駆動されて、ロール紙RPが巻き解かれながら搬送経路の上流側から下流側へ搬送される。そして、巻き解かれたロール紙RPの先端部が支持台40上に達すると、ロール紙RPの搬送が停止される。すなわち、ロール紙RPの頭出しが行われる。
【0066】
続いて、吸引機構41が駆動されると、ロール紙RPにおける支持台40の上面上に位置する部分が吸引機構41の吸引力によって支持台40の上面上に吸着される。続いて、キャリッジ44を左右方向に往復移動させながら記録ヘッド45の各ノズル46から支持台40上のロール紙RPにインクを噴射するとともに、該ロール紙RPを第1方向に沿って下流側に間欠搬送することで、該ロール紙RPに対して印刷が行われる。
【0067】
すなわち、ロール紙RPに対して10個の画像G1〜G10が2つずつペアとなって幅方向(左右方向)に隣接するように形成される。つまり、ロール紙RPの幅方向に2つ1組となった画像が、ロール紙RPの搬送方向に沿って順次形成される。このとき、2つずつの画像と対応する各画像データは、印刷前にペアリング処理及び修正処理がそれぞれ行われている。このため、2つずつの画像の境界部分は、それぞれぼかされた状態になっている。
【0068】
この場合、ペアリング処理では、例えば、図8(a)に示すように、2つずつの画像G1,G2同士で向きが逆になったり、図8(b)に示すように、1つ目の画像G1と4つ目の画像G4とがペアになったりする。また、ペアリング処理後にさらに修正処理を行うと、例えば、図8(d)に示すように、ペアとなった画像G1,G8における境界部分Kのそれぞれの近傍領域R1,R8には、それらの基色が互いに相手側の基色に徐々に近づくようにグラデーションが形成される。
【0069】
また、上述のロール紙RPの印刷は、右端側から開始される。すなわち、ロール紙RPは、右端側が印刷の開始位置側となっている。このとき、ロール紙RPの印刷時におけるキャリッジ44の往復移動にともなってロール紙RPの幅方向(左右方向)の両端位置が第1紙端センサー47によって検出されることで、ロール紙RPの幅が算出される。
【0070】
引き続き、各画像が形成されたロール紙RPは、第1方向に沿って下流側に搬送される。そして、ロール紙RPにおける各画像の前端(上流端)が第1分断機構49と対応する位置まで達すると、ロール紙RPが停止されてロール紙RPにおける各画像部分が2つずつ第1分断機構49によって順次分断される。
【0071】
そして、第1分断機構49によってロール紙RPから分断されるとともに各画像が形成されたカット用紙CPは、第1方向に沿って下流側に搬送された後、排紙口15aから搬送ユニット52の搬送ベルト56上に落下するように排紙される。このとき、搬送ベルト56上に落下したカット用紙CPは、その落下の衝撃により第2方向(右方向)に対して斜めに傾いた状態となる。
【0072】
続いて、カット用紙CPは、第2方向に対して斜めに傾いた状態のまま、搬送ベルト56により第2方向に沿って分断ユニット53へと搬送される。この搬送ベルト56上から分断ユニット53へ搬送されたカット用紙CPは、第1ローラー対58及び第2ローラー対59によって順次第2方向に沿って搬送される。そして、図4の2点鎖線で示すように、第2方向に対して斜めに傾いた状態のカット用紙CPの右端が第2紙端センサー65によって検出されると、該カット用紙CPが停止される。
【0073】
続いて、各ローラー対58,59における各従動ローラー58b,59bが挟持位置から非挟持位置に移動された後、押圧部材67が前方に向かって移動される。これにより、カット用紙CPが各押圧ピン67aと係合しながら前方に向かって押圧される。そして、カット用紙CPの前端(搬送機構17によるロール紙RPの搬送方向の上流側の端部)がガイド板66の後面66aに当接すると、図4の実線で示すように、第2方向に対して傾斜しているカット用紙CPが第2方向に対して平行になるように、該カット用紙CPの姿勢が補正される。
【0074】
続いて、各ローラー対58,59における各従動ローラー58b,59bが非挟持位置から挟持位置に移動されるとともに、押圧部材67がカット用紙CPと係合しない元の位置に戻される。続いて、各ローラー対58,59により、姿勢が補正されたカット用紙CPの右端が第2紙端センサー65よりも左側に来るまで該カット用紙CPが第2方向とは反対の左方向へ搬送されて停止される。
【0075】
続いて、各ローラー対58,59により、カット用紙CPが再び第2方向へ搬送される。そして、カット用紙CPの右端が再び第2紙端センサー65によって検出されると、このときのカット用紙CPの位置を基準として、カット用紙CPの第2方向への搬送量を調節することで、カット用紙CPの分断位置(2つ1組となった画像の境界部分K)が第2分断機構64に合わせられる。
【0076】
続いて、カット用紙CPは、第2分断機構64により、2つ1組となった1枚の画像が2枚の画像となるように、その分断位置(2つの画像の境界部分K)において分断される。このとき、分断位置に多少の誤差が生じても、2つの画像の境界部分Kは、ペアリング処理及び修正処理によってぼかされた状態になっているため、分断後の各画像に対する視覚的影響は低減される。
【0077】
そして、第2分断機構64により分断位置において2枚の画像に分断されたカット用紙CPは、第3ローラー対60及び第4ローラー対61によって順次整合装置90へと搬送される。このとき、第2分断機構64による分断後の画像が1つずつ形成された各カット用紙CPはペアリング処理を行った際にそれらの向き及び順序が乱れた状態になっているが、整合装置90によってそれらの乱れが整合される。
【0078】
この場合、整合装置90においては、分断ユニット53から搬送される画像G1〜G10が1つずつ形成された10枚のカット用紙CPの向きが互いに揃うとともに画像G1〜G10が順番に並ぶように各搬送棚93上に各カット用紙CPが1枚ずつ一時的に保管される。すなわち、保管部91を適宜昇降及び回転させることで、各搬送棚93上には、画像G1が形成されたカット用紙CPから画像G10が形成されたカット用紙CPまでが、互いに向きが揃った状態で1枚ずつ順番に一時保管される。
【0079】
そして、保管部91を適宜昇降させることで、各搬送棚93上に一時保管された各カット用紙CPは、画像G1が形成されたものから画像G10が形成されたものまでが順次に仕分装置14へと搬送される。仕分装置14へと搬送される各カット用紙CPは、その後、仕分装置14により順次受け容れられるとともに適宜仕分けされた状態で支持される。
【0080】
(第2モードで印刷を行う場合)
また、3つの印刷モードの中から第2モードが選択された場合には、上述した第3モードで印刷を行う場合において各画像データに修正処理が行われずにペアリング処理のみが行われるだけで、それ以外は第3モードで印刷する場合と同様に処理される。
【0081】
(第1モードで印刷を行う場合)
また、3つの印刷モードの中から第1モードが選択された場合には、上述した第3モードで印刷を行う場合において、各画像データにペアリング処理が行われずに修正処理のみが行われる。この場合、ペアリング処理が行われないため、画像G1〜G10は、画像G1,G2、画像G3,G4、画像G5,G6、・・・というように2つずつ順番に同じ向きでペアとなる。
【0082】
そして、図8(c)に示すように、ペアとなった画像G1,G2における境界部分Kのそれぞれの近傍領域R1,R2には、それらの基色が互いに相手側の基色に徐々に近づくようにグラデーションが形成される。同様に、全てのペアとなった画像における境界部分Kのそれぞれの近傍領域にもそれぞれグラデーションが形成される。
【0083】
また、第1モードでは、ペアリング処理が行われないため、画像G1〜G10が1つずつ印刷された各カット用紙CPは、順番も向きも乱れない。このため、これらの各カット用紙CPは、分断ユニット53から整合装置90へ搬送されると、整合装置90によって一時保管されずに直ちに仕分装置14へと順次搬送される。したがって、この第1モードでは、第2モード及び第3モードに比べて印刷システム11の処理速度が速くなる。逆に、第1モードでは、ペアリング処理が行われないため、第2モード及び第3モードに比べて画質は劣る。
【0084】
以上、詳述した実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)印刷システム11は、幅が一定である定形のロール紙RPに対して幅方向に隣接するように形成した2つの画像毎にそれらの境界部分Kにおいて修正処理及びペアリング処理のうちの少なくとも一方の処理を行うことができる。このため、複数種類の幅のロール紙RPを用意する必要がなくなるとともに、隣接する2つの画像の境界部分Kを好適にぼかすことができる。したがって、定形のロール紙RPを用いることができるとともに、該ロール紙RPに幅方向に2つの画像を隣接するように形成して画像毎に分断するときの分断位置のずれによる各画像に対する視覚的影響を低減することができる。
【0085】
(2)印刷システム11は、ユーザーによって第1モード、第2モード、及び第3モードの3つの印刷モードのうちから1つを選択することができるので、ユーザー自身の都合により画質を優先させたり印刷システム11の処理速度を優先させたりすることができる。
【0086】
(3)印刷システム11は、整合装置90を有しているため、画像データのペアリング処理を行って分断後の各カット用紙CPの画像の向き及び順番が乱れても、これらの乱れた各カット用紙CPの画像の向き及び順番を、整合装置90によって整合させることができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
【0087】
・図9(a)に示すように、印刷システム11において、ロール紙RPに形成する画質を優先させる場合に、ロール紙RPにおける各画像G1,G2同士の間と、各画像G1,G2とロール紙RPの左右両端とのそれぞれの間とに画像が形成されない非画像形成領域である余白Yが形成されるように、記録ヘッド45により、ロール紙RPに対して各画像G1,G2が90度回転された状態で形成するようにしてもよい。すなわち、ロール紙RPの幅方向に対して各画像G1,G2の短辺が平行となるように、ロール紙RPに対して各画像G1,G2を形成するようにしてもよい。このようにすれば、定形のロール紙RPを用いても、幅方向において各画像G1,G2同士の間と、各画像G1,G2とロール紙RPの左右両端とのそれぞれの間とに余白Yを容易に形成することができる。このため、各画像G1,G2が形成されたカット用紙CPを第2分断機構64によって画像G1,G2毎に分断する際の分断位置にずれが生じても、各画像G1,G2間において一方の画像に他方の画像が入り込むことを抑制することができる。
【0088】
また、この場合、ロール紙RPにおける各画像G1,G2同士の間と、各画像G1,G2とロール紙RPの左右両端とのそれぞれの間とに余白Yを形成するには、ロール紙RPに対して各画像G1,G2のうちの少なくとも一方を90度回転させた状態で形成するようにすればよい。すなわち、ロール紙RPに対して各画像G1,G2のうちのいずれか一方を90度回転させた状態で形成するようにしてもよい。しかしながら、上述の図9(a)に示す場合には、各画像G1,G2の両方を90度回転させた状態でロール紙RPに形成することで、ロール紙RPの搬送方向(後方向)における各画像G1,G2の両端部がロール紙RPの幅方向において互いに揃うようにしている。このため、第1分断機構49により、ロール紙RPを画像G1,G2毎に搬送方向において容易に分断することができる。因みに、ロール紙RPに対して各画像G1,G2のうちのいずれか一方を90度回転させた状態で形成すると、各画像G1,G2の両端部がロール紙RPの幅方向において互いにずれた状態になるため、第1分断機構49によってロール紙RPを画像G1,G2毎に搬送方向において分断することが困難になってしまう。
【0089】
・記録ヘッド45によりロール紙RPに対して幅方向に3つの正方形の画像G1,G2,G3を隣接するように並列して印刷される場合には、各画像G1,G2,G3を90度回転させて印刷しても、ロール紙RPの幅方向において各画像G1,G2,G3間に余白Yを形成することはできない。したがって、各画像G1,G2,G3が正方形である場合において各画像G1,G2,G3のロール紙RPの幅方向の両側に余白Yを形成するには、図9(b)に示すように、各画像G1,G2,G3を、2つの画像G1,G2と1つの画像G3とに分けてロール紙RPの搬送方向において2列となるように印刷すればよい。
【0090】
・印刷システム11において、整合装置90を省略してもよい。
・印刷システム11は、必ずしも印刷モードを第1〜第3モードから選択できるようにする必要はなく、印刷モードが第1〜第3モードのうちの1つだけしかなくて選択できないようにしてもよい。
【0091】
・記録ヘッド45によりロール紙RP(カット用紙CP)に対して幅方向(左右方向)に3つ以上の画像を隣接するように並列して印刷するようにしてもよい。この場合にも、カット用紙CPが第2分断機構64により各画像同士の境目で画像ごとに分断される。
【0092】
・ロール紙RPの代わりに枚葉紙を記録媒体として用いてもよい。
・ロール紙RPの代わりに、ロール状のプラスチックフィルムや布、あるいはロール状の金属箔などを記録媒体として用いてもよい。
【0093】
・上記実施形態では、記録装置を印刷システム11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
11…画像形成装置としての印刷システム、17…搬送手段としての搬送機構、45…画像形成手段としての記録ヘッド、64…分断手段としての第2分断機構、70…画像データ取得手段、画像修正手段、及び画像ペアリング手段としての制御部、72…選択手段としての操作部、90…整合手段としての整合装置、G1〜G10…画像、K…境界部分、CP…記録媒体としてのカット用紙、RP…記録媒体としてのロール紙、Y…非画像形成領域としての余白。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像に対応する画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段によって取得した前記各画像データに基づいて、搬送手段によって搬送される定形の記録媒体に対して搬送方向と直交する幅方向において隣接するように形成される複数の画像における隣り合う2つの画像毎に、該2つの画像の境界部分において視覚的特徴に連続性が形成されるように、該2つの画像と対応する2つの画像データのうちの少なくとも一方を修正する修正処理を行うことが可能な画像修正手段と、
前記2つの画像毎に、該2つの画像の境界部分において視覚的特徴に類似性を有する該2つの画像と対応する2つの画像データ同士をペアリングさせるペアリング処理を行うことが可能な画像ペアリング手段と、
前記修正処理及び前記ペアリング処理のうちの少なくとも一方の処理が行われた前記各画像データに基づいて前記記録媒体に前記各画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって前記各画像が形成された前記記録媒体を前記画像毎に分断する分断手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記各画像データに対して前記修正処理を行う第1モード、前記各画像データに対して前記ペアリング処理を行う第2モード、及び前記各画像データに対して前記修正処理及び前記ペアリング処理の両方を行う第3モードのうちから1つを選択することが可能な選択手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、前記記録媒体に形成する画質を優先させる場合に、前記記録媒体における幅方向の前記各画像間に画像が形成されない非画像形成領域が形成されるように、前記各画像の形成態様を変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段は、前記記録媒体に形成する前記各画像の前記記録媒体の搬送方向における両端部が前記記録媒体の幅方向において互いに揃うように、前記記録媒体に対する前記各画像の形成態様を変更することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録媒体の搬送経路には、前記画像ペアリング手段により、前記2つの画像毎に、該2つの画像の境界部分において視覚的特徴に類似性を有する該2つの画像と対応する2つの画像データ同士をペアリングさせた場合に、前記画像形成手段によって前記各画像が形成されて前記分断手段によって前記画像毎に分断された前記各記録媒体の画像の向きを整合させる整合手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−31953(P2013−31953A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169019(P2011−169019)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】