説明

画像形成装置

【課題】カセットに保持された被記録媒体にトナー像を形成し、そのトナー像を定着器によって前記被記録媒体に加熱定着する画像形成装置において、前記カセットに保持された被記録媒体を簡単な構成によって暖めること。
【解決手段】定着器のハウジング45の下部壁面は、定着器の内部空間と給紙カセット3の内部空間とを仕切る仕切板46となっており、その仕切板46は、給紙カセット3の上方をハウジング45の後端の一部を除いて覆う第1平板46aと、その第1平板46aの上にハウジング45の後部壁面から鍔状に突出して前記一部を上方から覆う第2平板46bとから構成されている。第2平板46bは第1平板46aと隙間を空けて上下方向に重畳し、その隙間が開口部47を構成している。このため、開口部47は、定着器内部の熱を、実線の矢印で示したように、給紙カセット3に保持された用紙Pに伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に電子写真方式で画像を形成する画像形成装置に関し、詳しくは、被記録媒体をカセットに保持し、その被記録媒体にトナー像を形成して加熱定着する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被記録媒体に電子写真方式で画像を形成する画像形成装置では、カセットに保持された被記録媒体に所望の画像に応じたトナー像を形成し、そのトナー像を定着器によって前記被記録媒体に加熱定着することがなされている。また、この種の画像形成装置では、トナーの定着強度を上げて安定した画像を形成するためには、カセットに保持された被記録媒体を予め暖めておくのが有効であることが知られている。そこで、定着器で発生した熱をダクトを介してカセットへ送り、そのカセットに保持された被記録媒体を暖めることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−91113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の場合、定着器とカセットとの間にダクトを設ける必要があるため、構成が複雑化して製造コストが上昇し、しかも、装置の小型化の障害となる。そこで、本発明は、カセットに保持された被記録媒体にトナー像を形成し、そのトナー像を定着器によって前記被記録媒体に加熱定着する画像形成装置において、前記カセットに保持された被記録媒体を簡単な構成によって暖めることを目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達するためになされた本発明の画像形成装置は、予め設定された保持領域に被記録媒体を保持するカセットと、該カセットに保持された被記録媒体に電子写真方式でトナー像を形成するトナー像形成部と、前記カセットの上方に設けられ、前記トナー像形成部にて形成されたトナー像を前記被記録媒体に加熱定着する定着器と、該定着器内部の空間と前記カセットの前記保持領域とを仕切る仕切板と、該仕切板に、前記定着器の内部各部から前記保持領域に向けて垂下するいずれの直線も貫通させない形状で設けられ、前記定着器内部の空間と前記カセットの前記保持領域とを連通する開口部と、を備えたことを特徴としている。
【0006】
このように構成された本発明の画像形成装置では、カセットの予め設定された保持領域に被記録媒体が保持されており、その被記録媒体にトナー像形成部が電子写真方式でトナー像を形成する。すると、前記カセットの上方に設けられた定着器は、前記トナー像形成部にて形成されたトナー像を前記被記録媒体に加熱定着する。
【0007】
また、本発明の画像形成装置は、前記定着器内部の空間と前記カセットの前記保持領域とを仕切る仕切板を備えており、その仕切板には、次のような開口部が設けられている。すなわち、当該開口部は、前記定着器内部の空間と前記カセットの前記保持領域とを連通して、前記定着器の熱を前記カセットに保持された被記録媒体に伝達する。このため、本発明では、定着器内部とカセットとを仕切る仕切板に開口部を設けただけの簡単な構成によって、カセットに保持された被記録媒体を定着器の熱で暖めることができる。従って、カセットに保持された被記録媒体を予め暖めてトナーの定着強度を高めることが、製造コストの上昇や装置の大型化を抑制しつつ実行できる。
【0008】
また、前記開口部は、前記仕切板に、前記定着器の内部各部から前記保持領域に向けて垂下するいずれの直線も貫通させない形状で設けられている。このため、定着器の内部から加熱された粒子が落下しても、その粒子が被記録媒体上に落下してその被記録媒体を焦がすのを抑制することができる。
【0009】
なお、前記開口部は、前記定着器の内部各部から前記保持領域に向けて放射状に引いたいずれの直線も貫通させない形状で設けられてもよい。その場合、定着器の内部から火花または加熱された粒子が放射状に飛散しても、被記録媒体が焦げるのを抑制することができる。
【0010】
また、前記仕切板は、前記保持領域の上方を一部を除いて覆う第1平板と、前記保持領域の上方の前記一部を覆い、当該一部の周囲で前記第1平板と隙間を空けて上下方向に重畳した第2平板と、を備え、前記第1平板と前記第2平板との隙間が前記開口部を構成してもよい。
【0011】
この場合、第1平板は前記保持領域の上方を一部を除いて覆うが、当該一部及びその周囲は、第2平板によって上方から覆われる。従って、前記第1平板と前記第2平板との隙間が構成する開口部は、前記定着器の内部各部から前記保持領域に向けて垂下するいずれの直線も貫通させない形状となる。また、前記一部の周囲で前記第1平板と前記第2平板とが重畳する範囲を適宜設定すれば、前記開口部は、前記定着器の内部各部から前記保持領域に向けて放射状に引いたいずれの直線も貫通させない形状となる。従って、この場合、第1平板と第2平板とを隙間を空けて重畳させた簡単な構成によって前記開口部を有する仕切板を構成することができ、装置の構成を一層良好に簡略化することができる。
【0012】
そして、この場合、前記カセットの前記保持領域外に、前記定着器の内部との間に前記第1平板も前記第2平板も介在せず、前記定着器の内部と直接対向する領域が存在してもよい。すなわち、前記カセット上であっても、前記保持領域外であれば、前記定着器の内部と直接対向しても、定着器の内部から被記録媒体上に粒子が落下することはない。従って、この場合、被記録媒体が焦げるのを抑制しつつ、前記開口部の面積を一層良好に確保して、前記カセットに保持された被記録媒体を一層良好に暖めることができる。
【0013】
また、前記トナー像形成部は、色毎に複数設けられ、表面に各色の画像に対応したトナー像が形成される感光体と、該各感光体との対向面を通って前記被記録媒体を搬送し、当該被記録媒体に前記各感光体表面に形成されたトナー像を転写する転写搬送ベルトと、を備え、前記転写搬送ベルトは、前記カセットの上方に、前記被記録媒体搬送方向下流側が下方に配設されるように斜めに配置され、前記定着器は、前記転写搬送ベルトの前記下流側端部に隣接配置され、前記被記録媒体に転写された各色の前記トナー像を加熱定着してもよい。
【0014】
この場合、トナー像形成部の感光体には、表面に各色の画像に対応したトナー像が形成され、転写搬送ベルトが各感光体との対向面を通って被記録媒体を搬送するときに、前記各感光体表面に形成されたトナー像が被記録媒体に転写される。そして、前記転写搬送ベルトは、前記カセットの上方に、前記被記録媒体搬送方向下流側が下方に配設されるように斜めに配置され、前記定着器は、前記転写搬送ベルトの前記下流側端部に隣接配置される。このため、前記定着器は、前記カセットに極めて近接した位置に配設され、前記カセットに保持された被記録媒体を一層良好に暖めることができる。
【0015】
また、前記定着器によってトナー像を加熱定着された被記録媒体を前記トナー像形成部へ再び搬送する再搬送経路を、更に備え、当該再搬送経路と前記カセットの前記保持領域とが連通していてもよい。その場合、前記定着器で加熱されて高温になったままで前記再搬送経路に至った被記録媒体からも、前記カセットに保持された被記録媒体に熱が伝達される。従って、この場合、前記カセットに保持された被記録媒体を一層良好に暖めることができる。更に、この場合、前記再搬送経路に至った被記録媒体から前記カセットに保持された被記録媒体に、前記熱と共に水蒸気も伝達され、前記被記録媒体が乾燥するのも抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の構成を模式的に表す側断面図である。
【図2】その画像形成装置の要部の構成を拡大して表す側断面図である。
【図3】その画像形成装置の要部の構成を表す平面図である。
【図4】その画像形成装置の変形例における要部の構成を表す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(画像形成装置の全体構成)
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1は、本発明が適用された画像形成装置1の構成を模式的に表す側断面図である。なお、以下の説明において、図1における右側を前方とする。図1に示すように、この画像形成装置1は、直接転写タンデム方式のカラープリンタであって、図1に示すように、略箱型の筐体2を備えている。その筐体2の上面には、被記録媒体の一例としての印刷用紙(以下、単に用紙ともいう)Pが画像形成(以下、印字ともいう)後に載置される排紙トレイ2aが形成されている。また、筐体2の下部には、用紙Pが収容される給紙カセット3(カセットの一例)が前方へ引き出し可能に装着されている。
【0018】
給紙カセット3の前端上方位置には、用紙Pを搬送する給紙ローラ5が設けられ、搬送ローラ8,8に向けて用紙Pを1枚ずつ搬送可能に構成されている。一対の搬送ローラ8,8は、一対のレジストローラ9,9に向けて用紙Pを搬送し、レジストローラ9,9は、給紙ローラ5から搬送ローラ8,8を介して送られた用紙Pを、所定のタイミングで次のようなベルトユニット10へ送り出す。
【0019】
すなわち、画像形成装置1は、駆動ローラ11と従動ローラ12との間に転写搬送ベルト13を架設してなるベルトユニット10を備えている。このベルトユニット10の上には、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各色に対応した4つのプロセスユニット20が設けられ、4つのプロセスユニット20は、画像形成装置の前面側(図1における右側)からブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの順で前後方向に並んで配置されている。なお、ベルトユニット10と各プロセスユニット20とは、トナー像形成部に相当し、ベルトユニット10の後側(用紙搬送方向下流側)が下方に配設されるように斜めに配置されている。
【0020】
各プロセスユニット20は、感光体の一例としての感光体ドラム21と、帯電器22と、現像カートリッジ24とを備えて構成されている。感光体ドラム21は、接地された金属製のドラム本体を備え、その表層を正帯電性の感光層で被覆することにより構成されている。帯電器22は、感光体ドラム21の後側斜め上方において、感光体ドラム21と接触しないように所定間隔を隔てて、感光体ドラム21と対向配置されている。この帯電器22は、タングステン等の帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させるスコロトロン型帯電器であり、感光体ドラム21の表面を一様に正極性に帯電させる。現像カートリッジ24は、内部にトナー収容室25が設けられ、その中に収容されたブラック,シアン,マゼンタ,またはイエローの正帯電性非磁性1成分トナー(以下単にトナーという)を正極性に摩擦帯電させた上で現像ローラ26を介して感光体ドラム21に供給する。
【0021】
更に、ベルトユニット10は、転写搬送ベルト13を挟んで各感光体ドラム21と対向する位置にそれぞれ設けられた4つの転写ローラ14を備えている。また、ベルトユニット10の下には、一定方向(図1における時計方向)に回転駆動されることによって転写搬送ベルト13を清掃するクリーニングローラ17を備えたクリーニングユニット19が設けられている。転写搬送ベルト13は、駆動ローラ11の図1における反時計方向の回転によって、同方向に回転駆動される。転写搬送ベルト13の表面には、前述のレジストローラ9,9から用紙Pが供給され、その用紙Pは各感光体ドラム21との対向部を通って画像形成装置1の後方へ搬送される。
【0022】
また、各プロセスユニット20の上方には、スキャナユニット30が設けられている。スキャナユニット30は、各色の画像データに対応するレーザ光Lk,Ly,Lm,Lcを発生する半導体レーザやそのレーザ光Lを偏向するポリゴンミラー(いずれも図示省略)を備え、各感光体ドラム21を走査露光する周知のものである。
【0023】
このため、各感光体ドラム21の表面は、その回転時、先ず、帯電器22により一様に正帯電される。その後、スキャナユニット30からのレーザ光Lの高速走査により露光されて、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。次いで、現像ローラ26の回転により、現像ローラ26上に担持され正帯電されているトナーが、感光体ドラム21に対向して接触するときに、感光体ドラム21の表面上に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム21の静電潜像は可視像化され、感光体ドラム21の表面には、露光部分にのみトナーが付着したトナー像が担持される。
【0024】
その後、各感光体ドラム21の表面上に担持されたトナー像は、転写搬送ベルト13によって搬送される用紙Pが感光体ドラム21と転写ローラ14との間を通るときに、転写ローラ14に定電流制御で印加される負極性の転写バイアスによって、用紙Pに順次転写される。こうしてトナー像が転写された用紙Pは、次いで、ベルトユニット10の後端に隣接配設された定着器40に搬送される。
【0025】
定着器40は、ハロゲンランプ等の熱源を備えて回転駆動される加熱ローラ41と、加熱ローラ41を下方から押圧するように対向配置されて従動回転する加圧ローラ42と、加熱ローラ41,加圧ローラ42の間を通過した用紙Pを搬送する搬送ローラ43,43とを備えている。この定着器40では、4色のトナー像を担持した用紙Pを、加熱ローラ41と加圧ローラ42とによって狭持搬送しながら加熱することにより、トナー像を用紙Pに熱定着させる。そして、トナー像が熱定着された用紙Pは、搬送ローラ43,43によって定着器40のハウジング45外に搬送され、更に、搬送ローラ51,51と排紙ローラ52,52によって搬送されて、前述の排紙トレイ2aに排出される。
【0026】
また、定着器40の搬送ローラ43,43と定着器40の外部の搬送ローラ51,51との間には、フラッパ53が設けられている。このフラッパ53は、用紙Pの搬送経路を、定着器40から搬送ローラ51へ向かう経路と、搬送ローラ51から再搬送経路54へ向かう経路とに切り換えるものである。再搬送経路54は、給紙カセット3の下方の筐体2内に設けられ、用紙Pを前述の搬送ローラ8,8に向けて搬送する再搬送ローラ55が複数対設けられている。
【0027】
用紙Pの両面に画像を形成する場合には、先ず、フラッパ53が、用紙Pを定着器40から搬送ローラ51に向かわせる方向に切り換えられる。続いて、片面(以下表面ともいう)に画像が形成されて定着器40による定着がなされた用紙Pが、正転する搬送ローラ51,排紙ローラ52によって上方に向かって搬送される。続いて、用紙Pの後端がフラッパ53を通過したタイミングで、搬送ローラ51,排紙ローラ52が逆転されると共に、フラッパ53が用紙Pを再搬送経路54へ向かわせる方向に切り換えられる。
【0028】
その結果、用紙Pは後端側から再搬送経路54の再搬送ローラ55によって搬送され、搬送ローラ8,8及びレジストローラ9,9を介して表裏が反転された状態で転写搬送ベルト13の表面に供給される。続いて、用紙Pは、その裏面に前述のようにトナー像が転写された後、定着器40にてトナー像が定着され、両面に画像が形成された状態で搬送ローラ51,排紙ローラ52を介して排紙される。
【0029】
(定着器のハウジングの構成)
また、定着器40は、前述の加熱ローラ41,加圧ローラ42を内部に収容し、かつ、搬送ローラ43,43を後部壁面の開口部に支持したハウジング45を備えている。このハウジング45の下部壁面は、定着器40の内部空間と給紙カセット3の内部空間とを仕切る仕切板46となっており、その仕切板46には、次のような開口部47が形成されている。以下、この仕切板46の構成について、図2の要部拡大図を用いて説明する。
【0030】
図2に示すように、仕切板46は、給紙カセット3の上方をハウジング45の後端の一部を除いて覆う第1平板46aと、その第1平板46aの上にハウジング45の後部壁面から鍔状に突出して前記一部を上方から覆う第2平板46bとから構成されている。第2平板46bは、第1平板46aが開口した前記一部の周囲で、第1平板46aと隙間を空けて上下方向に重畳し、その隙間が開口部47を構成している。このため、開口部47は、定着器40の内部空間と給紙カセット3とを連通して、定着器40内部の熱を、図2に実線の矢印で示したように給紙カセット3に保持された用紙Pに伝達する。従って、給紙カセット3に保持された用紙Pを予め暖めてトナーの定着強度を高めることができる。
【0031】
また、図3の平面図に示すように、第1平板46aはハウジング45の左右方向全体に亘って設けられているが、第2平板46bは、ハウジング45の左右方向両端に隙間を有している。より具体的には、第2平板46bは、給紙カセット3に収容される最大サイズの用紙Pであるリーガルサイズの用紙幅(保持領域の一例)よりも左右方向に広幅に構成されているものの、ハウジング45の左右方向全体に亘っては設けられていない。このため、開口部47は、前記用紙幅を包含する範囲には、第1平板46a,第2平板46b間の前記隙間を通らなければならない領域47aを有し、前記用紙幅の外側には、定着器40の内部が給紙カセット3と直接対向する領域47bを有する。このため、この領域47bを介して前記熱を用紙Pに一層良好に伝達することができる。
【0032】
更に、図1,図2に示すように、仕切板46と給紙カセット3との間にも隙間が形成され、開口部47は再搬送経路54とも連通している。このため、定着器40で加熱されて高温になったまま再搬送経路54まで搬送された用紙Pからも、給紙カセット3に保持された用紙Pへ、図2に破線の矢印で示したように熱が伝達される。従って、給紙カセット3に保持された用紙Pを一層良好に暖めることができる。更に、再搬送経路54に至った用紙Pから給紙カセット3に保持された用紙Pへは、前記熱と共に水蒸気も伝達され、前記用紙Pが乾燥するのも抑制することができる。
【0033】
(本実施の形態の効果)
このように、本実施の形態では、定着器40の内部と給紙カセット3とを仕切る仕切板46を第1平板46aと第2平板46bとで構成することで開口部47を設けただけの簡単な構成により、給紙カセット3に保持された用紙Pを前述のように暖めることができる。従って、用紙Pを予め暖めてトナーの定着強度を高めることが、製造コストの上昇や装置の大型化を抑制しつつ実行できる。しかも、本実施の形態の画像形成装置1は、転写搬送ベルトが前述のように斜めに配置されて定着器40が給紙カセット3に近接するように構成されているので、用紙Pを一層良好に暖めることができる。
【0034】
また、開口部47は、定着器40の内部各部から前記用紙幅の範囲に向けて垂下するいずれの直線も貫通させない形状で設けられている。このため、定着器40の内部から加熱された粒子が落下しても、その粒子が用紙P上に落下してその用紙Pを焦がすのを抑制することができる。また、開口部47は、定着器40の内部(仕切板46より上方)の各部から前記用紙幅の範囲に向けて放射状に引いたいずれの直線も貫通させない形状とされている。従って、定着器40の内部(特に、加熱ローラ41と加圧ローラ42とからなる定着手段)の任意の箇所から火花または加熱された粒子が放射状に飛散しても、用紙Pが焦げるのを抑制することができる。
【0035】
(前記実施の形態の変形例)
なお、本発明は前記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、第2平板46bも、ハウジング45の左右方向全体に亘って設けられてもよい。この場合、定着器40の内部の任意の箇所から火花または加熱された粒子が任意の方向に飛散しても、用紙Pが焦げるのを一層良好に抑制することができる。
【0036】
また、仕切板は、図4(A)に示す仕切板146のように、ハウジング145の前端の一部を除いて覆う第1平板146aと、その第1平板146aの上にハウジング45の前部壁面から突出して前記一部を上方から覆う第2平板146bとから構成してもよい。なお、図4(A)に示す第2平板146bは、第1平板146aと同一平面状にハウジング145から突出して、第1平板146aと隙間を空けて重畳する部分で断面カギ状に上方に屈曲しているが、前述の第2平板46bのように鍔状に突出してもよい。
【0037】
この場合も、前述の仕切板46と同様の作用・効果が得られる。また、この場合、図4(A)に示すように、開口部147cが用紙Pの載置位置上方に配設されるので、用紙Pを一層良好に暖めることができる。更に、開口部147cが用紙Pの載置位置上方に配設されるので、第1平板146aと第2平板146bとを重畳させて加熱された粒子の落下を抑制する効果が一層顕著に表れる。なお、第2平板146bも、第2平板46bと同様、ハウジング45の左右方向全体に亘って設けられてもよく、前記用紙幅を包含するもののハウジング45の左右方向両端に隙間を有していてもよい。
【0038】
更に、仕切板は、図4(B)に示す仕切板246のように、ハウジング245の前後両端の一部を除いて覆う第1平板246aと、前述の第2平板46bと同様の構成の第2平板246bと、前述の第2平板146bと同様の構成の第2平板246cとで構成してもよい。この場合、前述の開口部47と同様の開口部247aと、前述の開口部147cと同様の開口部247cとが両方とも設けられるため、一層良好に用紙Pを暖めることができる。
【0039】
更に、本発明は、転写搬送ベルト13を水平方向に架設した画像形成装置や、中間転写ベルトを用いたタイプの画像形成装置や、モノクロの画像形成装置に対しても、同様に適用することができる。また、仕切板としては、第1平板と第2平板とを重畳させた構成に限定されるものではなく、ある程度の厚さを有する平板に斜め方向の穴を各部に穿設した構成など、種々の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…画像形成装置 3…給紙カセット 5…給紙ローラ
10…ベルトユニット 13…転写搬送ベルト 14…転写ローラ
20…プロセスユニット 21…感光体ドラム 40…定着器
41…加熱ローラ 42…加圧ローラ
45,145,245…ハウジング 46,146,246…仕切板
46a,146a,246a…第1平板
46b,146b,246b,246c…第2平板
47,147c,247a,247c…開口部 47a,47b…領域
54…再搬送経路 55…再搬送ローラ P…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された保持領域に被記録媒体を保持するカセットと、
該カセットに保持された被記録媒体に電子写真方式でトナー像を形成するトナー像形成部と、
前記カセットの上方に設けられ、前記トナー像形成部にて形成されたトナー像を前記被記録媒体に加熱定着する定着器と、
該定着器内部の空間と前記カセットの前記保持領域とを仕切る仕切板と、
該仕切板に、前記定着器の内部各部から前記保持領域に向けて垂下するいずれの直線も貫通させない形状で設けられ、前記定着器内部の空間と前記カセットの前記保持領域とを連通する開口部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開口部は、前記定着器の内部各部から前記保持領域に向けて放射状に引いたいずれの直線も貫通させない形状で設けられたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記仕切板は、
前記保持領域の上方を一部を除いて覆う第1平板と、
前記保持領域の上方の前記一部を覆い、当該一部の周囲で前記第1平板と隙間を空けて上下方向に重畳した第2平板と、
を備え、
前記第1平板と前記第2平板との隙間が前記開口部を構成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カセットの前記保持領域外に、前記定着器の内部との間に前記第1平板も前記第2平板も介在せず、前記定着器の内部と直接対向する領域が存在することを特徴とする請求項3に記載画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー像形成部は、
色毎に複数設けられ、表面に各色の画像に対応したトナー像が形成される感光体と、
該各感光体との対向面を通って前記被記録媒体を搬送し、当該被記録媒体に前記各感光体表面に形成されたトナー像を転写する転写搬送ベルトと、
を備え、
前記転写搬送ベルトは、前記カセットの上方に、前記被記録媒体搬送方向下流側が下方に配設されるように斜めに配置され、
前記定着器は、前記転写搬送ベルトの前記下流側端部に隣接配置され、前記被記録媒体に転写された各色の前記トナー像を加熱定着することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載画像形成装置。
【請求項6】
前記定着器によってトナー像を加熱定着された被記録媒体を前記トナー像形成部へ再び搬送する再搬送経路を、更に備え、当該再搬送経路と前記カセットの前記保持領域とが連通していることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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