説明

画像形成装置

【課題】中央先行を抑制するための抵抗を加えるか否かを、被記録媒体の腰の強さに応じて自動的に切り替えることによって、良好な画像を形成することのできる画像形成装置の提供。
【解決手段】用紙が空間40(第1ガイド面24Aと第2ガイド面25Aとによって案内される空間)に進入する際に、用紙は突起30Eに当接する。用紙は、その中央領域が押圧部材31から抵抗を受けながら搬送される。突起30は、用紙との当接時に圧縮コイルバネ34の付勢力に抗して上方に変位し、その変位によっても押圧部材31は上方へ押し上げられる。また、前記変位は、用紙の腰が強いほど大きくなり、その変位が大きいほど、押圧部材31の押圧力(すなわち、用紙の中央領域に対する抵抗)は小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体を無端ベルトで搬送しながらその被記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関し、詳しくは、前記無端ベルトに被記録媒体を案内する機構に特徴を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被記録媒体の一例としての用紙を無端ベルトで搬送しながらその用紙に画像を形成する画像形成装置としては、例えば、直接転写タンデム方式のカラーレーザプリンタ等、種々の画像形成装置が知られている。そして、この種の画像形成装置では、無端ベルトによって搬送される用紙に、中央先行という現象が生じることがある。中央先行とは、用紙の搬送方向に対する直交方向(以下、幅方向という)における用紙の中央領域が、幅方向両端部に対して先行する(先に搬送される)現象である。
【0003】
また、多数の用紙が積層状態で高温多湿下に放置された場合、上部に積層されていた用紙を除けば、用紙の周縁部だけが高温多湿の大気に露出される。このため、用紙の幅方向中央の領域が乾燥したままの状態にあるのに対し、幅方向両端が大気中の水分を吸収して湿ってしまう。このような用紙は、中央領域が硬く、両端部側が軟らかくなって反る傾向がある。
【0004】
そして、用紙の搬送時において、無端ベルトに受け渡される前の用紙に中央先行が発生すると、中央先行が発生した用紙の先端部では、無端ベルトに対して、幅方向における中央領域が両端部よりも先に接触する。すると、この用紙では、用紙の先端部から後端部に向かって用紙の幅方向の両端部側から中央領域へ向かう力が発生する。
【0005】
ここで、用紙において、前述したように中央領域が硬いのに対して両端部側が軟らかいと、両端部側から中央領域へ向かうそれぞれの力と中央領域における用紙の弾性とが反発することによって中央領域に皺が発生することがある。中央領域に発生した皺が解消されないままの状態にある用紙にトナー像が転写されると、用紙において皺が発生した領域では、トナー像の転写不良が生じる。また、用紙に皺があると、搬送不良が生じるおそれもある。そこで、無端ベルトに用紙が受け渡される際に、幅方向中央領域に対して幅方向両端部側よりも大きい抵抗を加えて、中央先行を抑制することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
ところが、幅方向中央領域に抵抗を加えると、用紙の先端の幅方向中央領域が両端部に比べて遅れて搬送されるという現象が生じる。この現象は、温度及び湿度といった周囲の環境や用紙の種類に関わらず生じ得る。そこで、特許文献1では、前記中央先行に起因して前記皺が発生する高温多湿の状況では前述のように抵抗を加え、前記中央先行が発生しても前記皺が発生し難い通常の状況では前記抵抗が加えられるのを中止できるように、切替部材を設けることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−47420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、手動で切替部材を操作しなければならないため、手間も掛かるし装置の構成も複雑になる。また、切替部材の操作をユーザが忘れた場合には、抵抗を加えるか否かを適切に設定することができず、良好な画像を形成できない場合がある。更に、前述のような皺が発生するか否か、すなわち、前記抵抗を加える必要があるか否かは、温度や湿度のみならず、用紙の腰の強さによっても変化するが、特許文献1では用紙の腰の強さについては全く考慮していない。
【0009】
そこで、本発明は、中央先行を抑制するための抵抗を加えるか否かを、被記録媒体の腰の強さに応じて自動的に切り替えることによって、良好な画像を形成することのできる画像形成装置の提供を目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達するためになされた本発明の画像形成装置は、複数のローラ間に架設されて回転駆動されることにより、被記録媒体を搬送する無端ベルトと、該無端ベルトによって搬送される被記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記無端ベルトに向けて搬送される被記録媒体の、前記無端ベルトに当接する側の面としての第1面を案内するガイド面と、該ガイド面を搬送される被記録媒体の、前記搬送方向と直交する幅方向における中央領域を、前記第1面の反対側の第2面側から前記ガイド面に押圧する押圧部と、該押圧部よりも前記搬送方向上流側に離間して設けられて、前記押圧部に向けて搬送される被記録媒体の前記何れかの面に当接し、当該被記録媒体から加わる押圧力に応じて変位する変位部と、前記変位部の変位を前記押圧部に直接または間接的に伝達することにより、前記変位の大きさに応じて前記押圧部の押圧力を軽減する伝達部と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
このように構成された本発明の画像形成装置では、無端ベルトに向けて搬送される被記録媒体の第1面(無端ベルトに当接する側の面)をガイド面が案内し、第2面の幅方向中央領域を、押圧部が前記ガイド面に押圧する。この押圧によって、被記録媒体の幅方向中央領域に抵抗が加わり、前述の中央先行が抑制できる。
【0012】
また、押圧部よりも前記搬送方向上流側に離間して設けられた変位部は、押圧部に向けて搬送される被記録媒体の何れかの面に当接し、当該被記録媒体から加わる押圧力に応じて変位する。このため、変位部の変位は、被記録媒体の腰が強いほど大きくなる。そこで、伝達部は、変位部の変位を押圧部に直接または間接的に伝達することにより、前記変位の大きさに応じて押圧部の押圧力を軽減する。
【0013】
このため、腰が強く前記中央先行が発生しても前記皺が発生し難い腰の強い被記録媒体に対しては、押圧部の押圧力によって前記抵抗が加えられるのを自動的に抑制して、良好に画像を形成することができる。また、腰の弱い被記録媒体に対しては、押圧部の押圧力によって幅方向中央領域に抵抗が加わり、中央先行の発生を抑制して前記皺の発生を抑制することができ、やはり、良好に画像を形成することができる。しかも、本発明では、変位部が、押圧部よりも前記搬送方向上流側に離間して設けられている。このため、変位部が押圧部と連続的に設けられている場合に比べて、その変位部から被記録媒体に加わる抵抗が無端ベルトに受け渡されるときの被記録媒体の状態に影響を与えにくく、一層良好に画像を形成することができる。
【0014】
なお、前記変位部は、前記押圧部に対して前記幅方向に離間した位置に、前記幅方向両側に一対設けられてもよい。その場合、変位部から加わる抵抗が被記録媒体の中央領域に集中せず、被記録媒体の幅方向中央領域に抵抗が加えられるのを良好に抑制して、一層良好に画像を形成することができる。
【0015】
また、前記変位部は被記録媒体の前記第2面に当接し、前記伝達部は、前記押圧部及び前記変位部よりも前記搬送方向上流側でかつ前記ガイド面の表面方向に離れた位置に設けられた軸を中心に揺動し、前記押圧部及び前記変位部が一体に揺動可能に取り付けられたレバーであってもよい。この場合、変位部が被記録媒体に押圧されて第2面から離れる方向に変位すると、伝達部としてのレバーが前記軸を中心に揺動することにより、押圧部も第2面から離れる方向に変位して、前記押圧力が軽減される。従って、この場合、装置の構成を一層簡略化して製造コストを低減することができる。
【0016】
また、前記画像形成部は、前記無端ベルトによって搬送される被記録媒体に転写電流を用いて電子写真方式で画像を形成するものであってもよい。画像形成部が、無端ベルトによって搬送される被記録媒体に転写電流を用いて電子写真方式で画像を形成する場合、被記録媒体は無端ベルトに静電的に吸着されるので、皺や両端部の先行が発生しても自然に解消されにくい。本発明では、前述のように、被記録媒体が無端ベルトに受け渡される時点でその被記録媒体の状態を適切に修正しているので、このような電子写真方式の画像形成装置でも良好に画像を形成することができ、本発明の効果が一層顕著に表れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を概略的に表す中央断面図である。
【図2】その画像形成装置のベルトユニットの構成を表す斜視図である。
【図3】そのベルトユニットの用紙案内機構の構成を表す断面図である。
【図4】その用紙案内機構のレバー近傍の構成を表す分解斜視図である。
【図5】他の実施形態のベルトユニットの構成を表す斜視図である。
【図6】そのベルトユニットの用紙案内機構の構成を表す断面図である。
【図7】その用紙案内機構のレバー近傍の構成を表す分解斜視図である。
【図8】図1乃至図4の実施形態における変位部材の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[画像形成装置の概略構成]
次に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。図1は本実施形態に係る画像形成装置1の構成を概略的に表す中央断面図である。なお、以下の説明において、図1における左側を前方、右側を後方とする。
【0019】
図1に示すように、被記録媒体の一例としての用紙やOHPシート(以下、用紙Pという)に画像を形成する画像形成部2は、4つのプロセスカートリッジ3K,3Y,3M,3C、露光器4、定着器5、ベルトユニット10等から構成されている。なお、本実施形態では、画像形成部2として、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナー(現像剤)に対応した4つのプロセスカートリッジ3K,3Y,3M,3Cによって形成された4種類のトナー像(現像剤像)を、用紙Pの上で重ね合わせることにより用紙Pにカラー画像を形成するダイレクトタンデム方式を採用している。
【0020】
画像形成部2の下方に装着された給紙カセット6に載置されている複数枚の用紙Pのうち、給紙機構(フィーダ部)7により拾い上げられた積層方向最上位に位置する用紙Pは、紙粉取りローラ8にて紙粉が除去された後、レジストローラ9まで搬送される。レジストローラ9は、用紙Pの斜行を矯正して所定のタイミングでベルトユニット10へ送り出す。なお、ベルトユニット10の詳細は後述する。そして、4つのプロセスカートリッジ3K等は、ベルトユニット10の用紙搬送面側において、用紙Pの搬送方向に沿って上流からプロセスカートリッジ3K,3Y,3M,3Cの順に直列に配設されている。
【0021】
このため、ベルトユニット10上を搬送される用紙Pには、4種類のトナー像が順次、転写されていき、用紙Pへの転写が完了したトナー像は、定着器5にて加熱されて用紙Pに定着する。そして、定着器5から排出された用紙Pは、その搬送方向が上方側に転向された後、画像形成装置1の上端面側に設けられた排紙トレイ1Aに排出される。
【0022】
なお、各プロセスカートリッジ3K,3Y,3M,3Cには、トナー像が担持される感光体ドラム3A、感光体ドラム3Aを帯電させる帯電器(図示省略)、及び、感光体ドラム3Aにトナーを供給する現像カートリッジ3P(トナーカートリッジの一例)等が収納されている。そして、前記帯電器により帯電した感光体ドラム3Aの外周面を露光器4にて露光して静電潜像を形成した後、その静電潜像に現像カートリッジ3Pからトナーを供給すると、前記外周面にトナー像が担持(形成)され、そのトナー像が用紙Pに転写される。なお、現像カートリッジ3Pは、内部にトナーを収容し、そのトナーを現像ローラ3Q等によって摩擦帯電しながら感光体ドラム3Aに供給するものである。
【0023】
また、定着器5は、トナーを加熱してトナー像を用紙Pに定着させる加熱ローラ5Aと、搬送されてくる用紙Pを挟んで加熱ローラ5Aと反対側に配設されて用紙Pを加熱ローラ5A側に押し付ける加圧ローラ5Bとを備えている。
【0024】
ベルトユニット10は、前述したように、4つのプロセスカートリッジ3K,3Y,3M,3Cの各感光体ドラム3Aに対向する位置に配設されて用紙Pを搬送するものである。具体的には、ベルトユニット10は、感光体ドラム3Aの回転軸と平行な回転軸を有する駆動ローラ12A及び従動ローラ12B、並びに駆動ローラ12Aと従動ローラ12Bとの間に架設された転写搬送ベルト12C(無端ベルトの一例)等から構成されており、用紙Pは、転写搬送ベルト12C上に載置された状態(吸着された状態)で搬送されていく。なお、駆動ローラ12Aは、装置本体(図示省略した本体フレーム)に設けられたモータ(図示省略)から動力の供給を受けて転写搬送ベルト12Cを回転駆動し、従動ローラ12Bは転写搬送ベルト12Cの回転と共に駆動ローラ12Aに従動して回転する。
【0025】
また、各プロセスカートリッジ3K,3Y,3M,3Cの各感光体ドラム3Aと対向する転写搬送ベルト12Cの張架面は、転写搬送ベルト12Cのうち用紙Pを搬送する平面状の搬送面とされ、本実施形態では、水平面とほぼ一致する。また、ベルトユニット10の、各感光体ドラム3Aと半導電性の転写搬送ベルト12Cを挟んで対向する位置には、一定の転写電流を通電されることによって感光体ドラム3Aに担持されたトナー像を用紙Pに転写させる転写ローラ12Eが、それぞれ設けられている。
【0026】
ところで、前述の4つのプロセスカートリッジ3K,3Y,3M,3C、ベルトユニット10は、外観意匠面を構成する筐体1Cに覆われた装置本体(本体フレーム)に着脱可能に装着されている。そして、筐体1Cのうち排紙トレイ1Aが設けられたトップカバー1Fは、筐体1Cに揺動(開閉)可能に組み付けられており、このトップカバー1Fを上方側に開放することにより、4つのプロセスカートリッジ3K、3Y、3M、3Cが交換可能となる。
【0027】
[用紙案内機構の詳細]
レジストローラ9から転写搬送ベルト12Cの表面に至る用紙Pの搬送経路には、次のような用紙案内機構20が設けられている。以下、この用紙案内機構20の構成について説明する。
【0028】
図2は、用紙案内機構20を含むベルトユニット10を左後側から見た斜視図であり、図3は、その用紙案内機構20の構成を表す図2のA−A線断面図である。図2に示すように、ベルトユニット10は、前述の駆動ローラ12A,従動ローラ12B,転写ローラ12Eを軸方向両側から支持する左右一対のベルトユニットサイドフレーム13を備えている。なお、左右一対のベルトユニットサイドフレーム13は、図示しない各種部材で連結されて、上下方向に薄手かつ平面視略矩形状の枠体形状を形成している。
【0029】
このベルトユニット10の前端上部に設けられた用紙案内機構20は、図3に示すように、転写搬送ベルト12Cに対して用紙Pの搬送方向における上流側(前側)に、第1ガイド部材24と第2ガイド部材25とからなるガイド部材を備えている(図2も参照)。
【0030】
第1ガイド部材24は、幅方向(用紙Pの搬送方向と直交する方向)に長手の板状であり、転写搬送ベルト12Cよりも幅広である。図示されていないが、第1ガイド部材24は、ベルトユニット10のベルトユニットサイドフレーム13(図2参照)の前端部間に架設されることによってベルトユニット10に支持されている。この状態において、第1ガイド部材24は、転写搬送ベルト12Cにおいて従動ローラ12Bの上端部に一致する部分の近傍に対して、所定の間隔を隔てて上方から対向しており、第1ガイド部材24のいずれの部分も転写搬送ベルト12Cに接触していない。第1ガイド部材24の上面は、斜め後側下方へ傾斜しており、第1ガイド面24A(ガイド面の一例)とされる。このように傾斜する第1ガイド面24Aは、後側(搬送方向下流側)へ向かうに従って転写搬送ベルト12Cの上側部分に上方から近付く傾斜面である。
【0031】
また、ベルトユニット10の前端には、一対のベルトユニットサイドフレーム13(図2参照)を橋渡してガード26が一体的に取り付けられている。ガード26は、転写搬送ベルト12Cの前端部において従動ローラ12Bの外周面に沿って湾曲する湾曲部分に沿うように下方へ延びて、この湾曲部分に対して所定の間隔を隔てて前から対向している。これにより、ガード26は、転写搬送ベルト12Cの前記湾曲部分を前側から保護している。第1ガイド部材24は、ガード26の上端部に一体に連続して設けられている。
【0032】
第2ガイド部材25は、幅方向に長手の板状であり、第1ガイド部材24とほぼ同じ幅方向寸法を有している。図3に示すように、第2ガイド部材25は、第1ガイド部材24の上方位置において、転写搬送ベルト12Cに接触しないように、一対のベルトユニットサイドフレーム13の前端部間に上方から架設されている。
【0033】
図3に示すように、第2ガイド部材25は、第1ガイド部材24に対して間隔を隔てて上方から対向している。そして、第2ガイド部材25全体は、第1ガイド面24Aと同様に、斜め後側下方へ傾斜している。詳しくは、水平面(転写搬送ベルト12Cの上側部分)に対する第2ガイド部材25の傾斜角度は、水平面に対する第1ガイド面24Aの傾斜角度より大きい。
【0034】
このため、第1ガイド面24Aと第2ガイド面25Aとによって上下から挟まれる空間40は、図3の側断面において後側へ向かって細くなる略三角形状をなしており、換言すれば、第1ガイド面24Aと第2ガイド面25Aとの上下の間隔は、搬送方向上流側(前側)へ向かうに従って広がっている。そして、空間40は、平面視において用紙Pよりも幅方向(搬送方向と直交する方向)に幅広である。空間40の後端は、転写搬送ベルト12Cの上側部分に前上側から臨んでいる。そして、空間40の前端側は、前側へ開放されており、空間40の前端開放部に対して前側から臨む位置に、前述のレジストローラ9(図1参照)が配置されている。
【0035】
図2に示すように、第2ガイド部材25の上面の上端部の幅方向中央には、幅方向に長い長穴27が形成されており、この長穴27に手を掛けることによってベルトユニット10全体を動かし、前記装置本体フレームに対して着脱させることができる。
【0036】
第2ガイド部材25の上面における長穴27の幅方向中央下側には、第2ガイド部材25に支持されるレバー30(伝達部の一例)と、レバー30に支持される押圧部材31(押圧部の一例)とが設けられている。レバー30は、幅方向にやや長手、かつ、平面視で略矩形状の板状であり、第2ガイド部材25の上面における長穴27の下側の領域に収まり得る大きさを有している。
【0037】
レバー30は、第2ガイド部材25にほぼ沿うように斜め後側下方へ傾斜した状態で、第2ガイド部材25によって揺動自在に支持されている。レバー30の揺動中心は、図3に示すように、左側面視において、レバー30の上下(前後)方向における中央からやや上(前)側へずれた位置にあり、レバー30の揺動軸30Aは、その軸心が揺動中心を通るように幅方向に延びている。ここで、レバー30の下端(後端)を一端30Bとし、レバー30の上端(前端)を他端30Cとする。揺動軸30Aは、一端30B及び他端30Cによって上下前後方向から挟まれている。このようなレバー30が揺動すると、一端30B及び他端30Cが上下する。詳しくは、一端30Bが上昇すると他端30Cが下降し、一端30Bが下降すると他端30Cが上昇する。
【0038】
レバー30の他端30Cの下面には、下向きに突出するボス32が一体的に設けられており、そのボス32と第2ガイド部材25の上面との間には、圧縮コイルバネ34が介挿されている。そのため、ボス32が設けられた他端30Cは、上向きに伸びようとする圧縮コイルバネ34によって上向きに付勢されている。これに伴い、レバー30全体は、図3における反時計回り方向へ揺動するように付勢されており、そのため、一端30Bは、下向きに付勢されている。
【0039】
押圧部材31は、幅方向に延びる中心軸を有する幅方向に長手のローラである。押圧部材31は、レバー30の一端30Bによって回転自在に支持されている。換言すれば、押圧部材31は、レバー30を介して第2ガイド部材25に支持されている。
【0040】
前述したように、レバー30が揺動自在なので、押圧部材31は、レバー30の揺動に伴って上下方向に動くことによって、第1ガイド面24Aの後端部に対して接離可能である。外力が加わらない状態では、前述したようにレバー30において他端30Cが圧縮コイルバネ34に付勢されることによって一端30Bが下向きに付勢されているので、その一端30Bに支持された押圧部材31は、第1ガイド面24Aの後端部に向かうように下向きに付勢されている。そのため、押圧部材31と第1ガイド面24Aとの間に何もない場合には、押圧部材31は、第1ガイド面24Aの後端部(用紙Pの搬送方向における下流側端部)に上方から当接している。
【0041】
また、レバー30の下面(詳しくは、揺動軸30Aより後側の部分)は、第2ガイド部材25の上に平行に配設され、一端30B近傍が第2ガイド部材25の下端(後端)よりも下方(後方)に突出して第1ガイド面24Aと対向している。そして、その部分に押圧部材31が第1ガイド面24Aの後端と接触可能に設けられている。また、レバー30の下面の、揺動軸30Aから少し一端30B側にずれた位置には、空間40に向かって側面視略二等辺三角形状に突出した突起30E(変位部の一例)が形成されている。また、第2ガイド部材25には、その突起30Eを貫通させて第2ガイド面25Aよりも下側(すなわち空間40内)に突出させる穴25Eが形成されている。なお、図4の分解斜視図に示すように、突起30Eは、平面視略矩形のレバー30の幅方向両端に設けられており、その一対の突起30Eの用紙搬送方向に沿った配設位置は揃えられている。
【0042】
[本実施形態の効果及びその変形例]
このように構成された本実施形態では、レジストローラ9によって搬送される用紙Pは、後向きに搬送され、前述の空間40(第1ガイド面24Aと第2ガイド面25Aとによって上下から挟まれる空間)に前側から進入する。また、空間40に進入する際に、用紙Pの一部は突起30Eに当接する。この用紙Pは、引き続き後向きに搬送された後、第2ガイド面25Aに接触し、第2ガイド面25Aに沿って空間40内を斜め後側下方へ搬送される。その後、この用紙Pは、押圧部材31と第1ガイド面24Aの後端部との接触部分に到達する。このように、第2ガイド部材25は、第2ガイド面25Aによって、搬送方向下流側の転写搬送ベルト12Cへ向けて用紙Pを案内する。
【0043】
ここで、用紙Pでは、幅方向における中央領域のみが、押圧部材31と第1ガイド面24Aの後端部との接触部分に到達する。その中央領域が押圧部材31と第1ガイド面24Aの後端部との接触部分に到達したとき、用紙Pでは、搬送方向上流側部分が一対のレジストローラ9に挟まれているので、用紙Pは、回転するレジストローラ9によって引き続き後向きに搬送される。
【0044】
そのため、用紙Pの先端における中央領域は、圧縮コイルバネ34の付勢力に抗して押圧部材31を上方ヘ押し上げて第1ガイド面24Aの後端部から離間させる。これに伴い、圧縮コイルバネ34の復元力(付勢力)によって、押圧部材31は、第1ガイド面24Aの後端部側へ戻ろうとし、その際、用紙Pの中央領域のみを、第1ガイド面24Aに向けて押圧し、第1ガイド面24Aと押圧部材31との間で挟む。よって、用紙Pは、中央領域において、幅方向両端部よりも大きな抵抗を受けながら、第1ガイド面24Aと第2ガイド面25Aとの間を通って後側へ搬送される。このため、前記中央領域が他の領域(両端部)よりも先に搬送されることがなく、用紙Pの中央先行を抑制し、用紙Pを転写搬送ベルト12C向けて円滑に搬送することができる。
【0045】
また、前述のように、空間40に進入する際に、用紙Pの一部は突起30Eに当接する。そのとき、用紙Pから受ける押圧力に応じて、突起30Eは圧縮コイルバネ34の付勢力に抗して上方に変位し、その変位によっても押圧部材31は上方へ押し上げられる。また、前記変位は、用紙Pの腰が強いほど大きくなり、その変位が大きいほど、押圧部材31の押圧力(すなわち、用紙Pの中央領域に対する抵抗)は小さくなる。特に、厚紙等の腰の強い用紙の場合には、図8に示されるように、押圧部材31が第1ガイド面24Aの後端部から離間するように上方へ押し上げられる。このため、本実施形態では、中央先行が発生しても転写搬送ベルト12C上で皺が発生し難い腰の強い用紙Pに対しては、押圧部材31から抵抗が加えられるのを、用紙Pの先端が押圧部材31に達する前に自動的に抑制して、良好な画像を形成することができる。また、腰の弱い用紙Pに対しては、突起30Eの変位が少なくなるため幅方向中央領域に良好な抵抗が加わり、中央先行の発生を良好に抑制して、転写搬送ベルト12C上で用紙Pに皺が発生するのを良好に抑制することができる。
【0046】
従って、本実施形態では、腰の強い用紙Pにも腰の弱い用紙Pにも、良好に画像を形成することができる。しかも、本実施形態では、突起30Eが押圧部材31に対して用紙搬送方向上流側に離間して設けられている。このため、突起30Eと押圧部材31とが連続的に設けられている場合に比べて、突起30Eから用紙Pに加わる抵抗が転写搬送ベルト12Cに受け渡されるときの用紙Pの状態に影響を与えにくく、一層良好に画像を形成することができる。また、本実施形態では、レバー30に突起30Eと押圧部材31とを設けた簡単な構成を採用しているので、装置の構成を一層簡略化して製造コストを低減することができる。
【0047】
なお、本発明は前記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、図5〜図7に示すように、突起30Eは、レバー30の幅方向両端から延ばした一対の延長部30Fの先端にそれぞれ設けてもよい。その場合、突起30Eから加わる抵抗が用紙Pの中央領域に集中せず、用紙Pの幅方向中央領域に抵抗が加えられるのを一層良好に抑制して、一層良好に画像を形成することができる。なお、図6において、(A)は図5のB−B線断面図に、(B)は図5のC−C線断面図に、それぞれ相当する。
【0048】
また、押圧部材31はローラのように回転しない単なる膨らみであってもよい。逆に、突起30Eの先端の用紙Pに当接する箇所にローラを設けてもよい。その場合、突起30Eが用紙Pに与える抵抗を一層軽減することができる。また、圧縮コイルバネ34は省略し、レバー30の自重によって用紙Pに押圧部材31を介して抵抗を加えてもよい。更に、第2ガイド部材25に対してレバー30とは別個に揺動自在に支持された部材に突起30Eを設ける構成とすることにより、突起30Eが変位したとき、その変位を圧縮コイルバネ34に伝達してその付勢力を軽減させるようにしてもよい。また更に、前記実施形態では、用紙Pの画像形成面(第2面に相当)が凸側になるように用紙搬送経路が設定されているが、画像形成面と反対面(第1面に相当)が凸側となるように用紙搬送経路が設定されている場合は、当該反対面に変位部が当接するように構成してもよい。
【0049】
また、本発明は、無端ベルトによって用紙等の被記録媒体を搬送しながらインクジェット方式で画像を形成する画像形成装置等、種々の画像形成装置に適用することができる。但し、前記実施形態のように、無端ベルト(転写搬送ベルト12C)によって搬送される被記録媒体(用紙P)に転写電流を用いて電子写真方式で画像を形成する場合、被記録媒体は無端ベルトに静電的に吸着されるので、皺や両端部の先行が発生しても自然に解消されにくい。従って、前記実施形態では、本発明の効果が一層顕著に表れる。
【符号の説明】
【0050】
1…画像形成装置 2…画像形成部 3A…感光体ドラム
4…露光器 9…レジストローラ 10…ベルトユニット
12C…転写搬送ベルト 20…用紙案内機構 24…第1ガイド部材
24A…第1ガイド面 25…第2ガイド部材 25A…第2ガイド面
25E…穴 30…レバー 30A…揺動軸
30E…突起30 F…延長部 31…押圧部材
34…圧縮コイルバネ 40…空間 P…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラ間に架設されて回転駆動されることにより、被記録媒体を搬送する無端ベルトと、
該無端ベルトによって搬送される被記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記無端ベルトに向けて搬送される被記録媒体の、前記無端ベルトに当接する側の面としての第1面を案内するガイド面と、
該ガイド面を搬送される被記録媒体の、前記搬送方向と直交する幅方向における中央領域を、前記第1面の反対側の第2面側から前記ガイド面に押圧する押圧部と、
該押圧部よりも前記搬送方向上流側に離間して設けられて、前記押圧部に向けて搬送される被記録媒体の前記何れかの面に当接し、当該被記録媒体から加わる押圧力に応じて変位する変位部と、
前記変位部の変位を前記押圧部に直接または間接的に伝達することにより、前記変位の大きさに応じて前記押圧部の押圧力を軽減する伝達部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記変位部は、前記押圧部に対して前記幅方向に離間した位置に、前記幅方向両側に一対設けられたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記変位部は被記録媒体の前記第2面に当接し、
前記伝達部は、前記押圧部及び前記変位部よりも前記搬送方向上流側でかつ前記ガイド面の表面方向に離れた位置に設けられた軸を中心に揺動し、前記押圧部及び前記変位部が一体に揺動可能に取り付けられたレバーであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、前記無端ベルトによって搬送される被記録媒体に転写電流を用いて電子写真方式で画像を形成することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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