説明

画像形成装置

【目的】 画像形成部から連続排出される記録紙を複数の群に仕分けて排紙トレイ上に排出積載した際、仕分けがくずれたり持運び時紙が折れたりすることのない仕分け手段を提供する。
【構成】 画像形成装置の排出部に、記録紙の一部を端縁より突出させてタグを形成するタグ作成装置15を設ける。タグ作成装置はパンチ25とダイ25とを有し、これにより記録紙に「コ」の字形切り目を形成し、その内側に出来た舌状部40を反転させ、円筒ローラ23により押圧して折り目を形成しタグ41を作成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は記録紙としてカット紙を使用する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ等、記録紙としてカット紙を使用する画像形成装置から連続的に排出される記録紙は複数枚毎に仕分けられることがしばしば行なわれる。画像形成装置から連続的に排出される用紙を複数の群に仕分ける手段としては、排紙ローラ対に挾持されて排出される用紙の後端が排紙ローラ対から離れた後仕分ける群毎に1枚送られてくる度に用紙を挾持した排紙ローラ対を搬送方向に対して横方向に移動させて排紙トレイに排出し、その直後に排紙ローラ対をもとの位置に戻す動作を繰返すか、あるいは、群毎に排紙トレイを用紙排出方向に対して左右に移動させて(仔犬が尻尾を振る動作に似ているところから doggy tail と云う)、排出された用紙を群毎に左右にずれた位置に積重ねる仕分け方法がよく知られている。図18はこれらの仕分け方法によって群毎に交互に位置をずらせて排紙トレイ上に積載し、仕分けられた状態を示す図である。しかし、この仕分け方法には次のような不具合がある。
【0003】(1) 図のbで示す群の用紙を抜いてしまうと、a群とc群の用紙の位置は同じであるから区別ができなくなる。
【0004】(2) 仕分けにより両側に凹凸が出来るため、持ち運びが難い。
【0005】(3) 仕分ける一群の枚数が少いと持運びの際用紙が折れて損傷する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置から連続排出される用紙の従来実施されている仕別け方法の上記の不具合を改善した仕別け方法が可能な画像形成装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の画像形成装置は、上記の課題を解決するため、画像形成装置の画像形成部から排出される記録紙の端縁部に該記録紙の一部を端縁より突出させてタグを形成するタグ作成部を設けたことを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明の画像形成装置は上記の如く構成されているので、仕別けられる記録紙群の最初の記録紙の端縁にタグ作成部によりタグを作成して排出し、他の記録紙にはタグを作成せず直接排紙部に排出することにより、各群の記録紙は同じ位置に積載され、タグによって明瞭に仕別けられる。仕別けられる各群の仕分けはタグによって行なわれるので、仕別けられた途中の一群を抜き出してもその上下の群はタグにより容易に区別できる。又各群は同じ位置に積み重ねられるので各群を重ねても運搬が容易であり、又、一群の枚数が少なくても用紙が折れ曲って傷むことはない。
【0009】上記タグ作成部の詳細な構成、本発明の他の課題及びこれを解決するための手段は、以下に図面を参照して詳細に記述される実施例の説明により明らかにされるであろう。
【0010】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0011】本発明のタグ作成装置を説明するのに先立って、従来のレーザプリンタの一例の構成を図19により説明する。
【0012】レーザ書込光学装置1により感光体ドラム2に画像が書込まれ感光体2上に形成された静電潜像は、現像装置3により現像されてトナー像が形成される。このトナー像は、給紙カセツト4よりレジストローラ5を経て感光体2に給紙された記録紙に、転写チャージャ6の作用のもとに転写され、トナー像の転写された記録紙は定着装置7に搬送されて定着される。
【0013】定着装置7より排出された記録紙は矢印A、B、Cで示す方向に搬送方向を切換えることが可能な分岐爪対8により搬送方向を選択され、片面記録、両面記録で両面記録の完了したものはA又はBの方向に搬送され、両面記録で片面の記録が完了したものは矢印Cの方向に搬送され反転ローラ対9及び反転部10により表裏を反転され、レジストローラ対5を経て転写部に再給紙され、裏面に転写され定着されて、A又はBの方向に搬送され夫々排紙ローラ対17、17′又は17″により機外の排紙トレイ11、12又は折畳み式の排紙トレイ13に排出される。
【0014】本発明によるタグ作成装置は、図19中に1点鎖線の枠で囲んだ排紙ユニット部Dに設けられる。図1はタグ作成部15を搭載した排紙ユニット部の構成を示す図である。
【0015】排紙ローラ対17に至る用紙搬送路と、排紙ローラ対17′に至る用紙搬送路との分岐部には搬送ローラ対19及び分岐爪18が設けられ、排紙ローラ対17に至る搬送路とタグ作成装置に至る用紙搬送路との分岐部には搬送ローラ対19′及び分岐爪22が設けられている。
【0016】タグ作成装置15は、分岐爪22により分岐されタグ作成装置に到る搬送路に設けられた円筒状ローラ対23、用紙経路を挾んで対峙するパンチ24とダイ25とより成るパンチ部より成る。パンチ24をダイ25に向って打つためにソレノイド26が設けられている。
【0017】分岐爪22によりタグ作成装置15の方に搬送される用紙の先端が、パンチ部の後端(図1中にaで示す)より5〜10mmの位置に来た時用紙の搬送を停止するためセンサ30が用紙搬送路の上流側(図1の最下部)に設けられている。
【0018】センサ30が用紙後端を検知し、この位置で用紙が停止すると、ソレノイド26が吸引し、パンチ24により用紙をカットする。パンチ24の形状は図2に示す如く下面と両側面はダイ25の穴の下面と両側面に密接し、用紙を剪断により切ることができるが、パンチの上面とダイの穴の上面の間には用紙1枚分の厚さより大きい間隙xが設けられているので、用紙は剪断されずこの間に入り込み、パンチ24をダイ25から抜けば、用紙には図3に示す如く「コ」の字状の切れ目が形成され、これに囲まれ上端が用紙につながった舌状部40が形成される。
【0019】パンチが終了した後、搬送ローラ対19、19′及び円筒状ローラ23を逆転させると、舌片部40の先端は図4に示す如くダイの穴に引掛り反転し、さらに逆進させると、図5に示す如く舌状部の用紙とつながった線で折れ、この部分が互いに圧接する円筒状ローラ対23を通過することにより確実に折り曲げられ、舌状部の突出量と舌状部のつながった線と用紙端縁との距離の差だけの量が用紙端縁から外方に突出し、タグ41が形成される。
【0020】なお、タグを形成する位置を図6に示す如く、用紙端縁の横方向任意の位置に変えられるように、図7に示す如く、ソレノイド26を担持したパンチ支持部27とダイ25を夫々スパイラル送り軸28、29に螺合させ、単一のステッピングモータ31により、ギヤ32、33を介して同期して同方向に同じ量だけ移動可能となっている。
【0021】タグ作成後、記録紙後端が図1に示すセンサ30に検知される迄戻り、再度搬送ローラ19、19′の回転方向を変え、搬送ローラ対19の上流側直近に設けられたパンチ20により、記録紙後端から10〜12mmの位置に、ファイル用丸穴が穿孔される位置迄記録紙が搬送された所で、ソレノイド21を吸引しパンチ20が回転し、記録紙に穿孔した後、分岐爪22により、記録紙先端は排紙ローラ17の方向に導れ、排紙トレイ11に排出される。
【0022】勿論、記録紙後端にパンチ用丸穴を穿孔させずに排出することも可能である。
【0023】パンチ20によって穿孔された丸穴を利用して、タグ41が形成された用紙を最上位にした用紙群を複数群、排紙トレイに排出積載した場合やファイルに綴じた時、図8に示す如く2つのタグ41、41′が部分的に重り合うことのないように、パンチ部15の基準端位置からの移動距離を、タグの幅をaとした時、タグ間のギャップbを考慮しn(a+b)とメモリに設定しておき(但しnは正の整数)、これに基づいてパンチ部15を移動させるようにするのがよい。このようにすることにより、複数の用紙群をパンチ穴によりファイルに綴じた場合、図9に示す如く、幅がaの各タグ41の間にbの間隙が形成され、検索が容易になる。
【0024】本発明によるタグは市販のタグのようにタグ単独の状態で情報、例えばタイトル名、作成日付等を書いて用紙の端に貼り付けることができないので、作成された後でタグに若干書き込みにくい点がある。本発明によるタグは、画像形成装置で記録される記録紙の一部を利用して形成されるので、記録紙に画像形成を行なう際に、タグに書き込む情報をあらかじめタグになる位置に記録しておけば、タグが形成された時点で情報の記入も完了しており、能率が向上する。
【0025】本発明の装置では、前述の如くタグは「コ」の字形の切目により形成される舌状部を用紙につながった線で折り返し、用紙の端縁より突出させて形成されるので、タグの表面に記載される情報は用紙の裏面に画像形成しておき、タグの裏面に記載される情報は用紙の表面に形成しておくことが必要である。図10はこのことを説明する図である。タグ作成後(b)図に示す如くタグの表面にタイトルとして例えば「カール対策」と云う字句を表示し、裏面に作成日付、例えば「1992,2,24」と云う日付を表示する場合は、用紙への画像形成時(a)図に示す如く、表面画像形成時にタグの裏面となるべき部分に「1992,2,24」と云う文字を形成し、裏面画像形成時にタグの表面となるべき部分に「カール対策」と云う文句を形成しておく。そうすれば、タグを作成した時(b)図の如く所望の記載状態が得られる。したがって、ファイルに綴じた状態では、図11に示す如く、ファイルの表面側から見れば複数のタグの夫々のタイトルが一目で判り、ファイルの裏面側から見れば、夫々の文書の作成日付が一目で判る。
【0026】複数の人が1台のプリンタを使用してプリントするシェアードプリンタに本発明を適用した場合、記録紙に作成されたタグにプリントアウトした人の所属や氏名等が出るようにプリンタにこれらの情報をメモリしておき、プリントアウトの最初の頁のタグとなるべき部分にプリントするようにすれば、その文書がだれのものであるかゞ一目で判り誤って他の人に渡されることが防止できる。図12にその一例を示す。この例では、この文書の作成者が「設計第1クループの阪本光紀」であることを示している。
【0027】本発明の装置により、記録紙の端縁部に作成されたタグをファイルのインデックスとして長期的に使用する場合、図13に示す舌状部の折曲げ部に切れ目が発生する。そこで、図14に示すように、タグの表裏から用紙に若干掛るように市販の粘着透明テープ(セロハンテープ)で補強すればタグのちぎれはかなり防止できる。この場合、テープ42の幅bはタグ40の幅aより3〜6mm大きいと、タグがテープからはみ出さず見た目によく、作業がし易い。テープをタグの片面だけに貼れば、タグとなる舌状部がもとあった位置の穴やタグの両側にはみ出した部分でテープの粘着面が露出するので、テープは両面に貼ることが必須である。なお、市販の粘着テープの幅は24mm、20mm、18mm等であるから、タグの幅がこれらの幅より3〜6mm小さくなるようにパンチの寸法を設定しておけばよい。又、図1515に示す如く、テープ42の貼付け位置を示す線43をあらかじめ画像形成時に用紙にプリントしておけばテープ貼付け作業が正確かつ容易になる。
【0028】上記の粘着テープとして色付きの透明又は半透明の粘着テープを使用すれば、図16に示す如く、タグを赤、黄、青等に色分けすることができ、これにより例えば重要度毎に、あるいは技術分野毎等に文書を識別することができるようにすることができる。
【0029】しかし、種々の色の色付き透明又は半透明テープはどこででも手に入る訳ではないので、図17に示すように、本発明の装置により作成されたタグに貼付るのに適したサイズ形状のもの44を、容易に剥離できるシート45に数枚貼り付けたものを本発明の装置の取扱い業者が供給するようにするのがよい。図17の例では、赤色のものは「重要」、黄色のものは「注意」、青色は「参考」と分類されている。
【0030】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、記録紙の端縁にタグを形成することができるので、仕分けられるべき記録紙の最初の頁にタグを形成することにより、連続的に複数群の文書の記録紙を排紙トレイの上に排出し、積載した場合にも、タグにより仕分けることが可能となる。その結果、仕分けられた数群の記録紙の途中の一群を抜き取っても、その上、下の各群はタグにより明確に区別することができる。又、積載された用紙束は左右に凹凸がないので、持ち運びが容易であり、仕分けられた一群の枚数が僅少の場合でも紙折れを生ずることがない。
【0031】上記のタグは請求項2及び請求項3に記載の構成により、記録紙の一部を「コ」の字形に切目を入れ舌状部を形成し折返して折目をつけることにより、別の口取り給等を使用することなく簡単に作成することができる。
【0032】請求項4の発明によれば、タグに記載すべき情報は、記録紙の画像形成時に書込むことができるので、タグに人手で書込む手数が省ける。
【0033】請求項5の発明によれば、タグを補強することができ、長期にわたってタグをファイルのインデックスとして使用した場合にもタグがちぎれることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるタグ作成装置が搭載された画像形成装置の排紙ユニット部の構成を示す断面図である。
【図2】そのタグ作成装置のパンチ部を構成するパンチとダイの形状を示す側面図である。
【図3】そのパンチ部で形成された舌状部を示す正面図である。
【図4】(a)、(b)はその舌状部を反転する工程を説明する説明図及び、舌状部が反転された用紙先端部を示す斜視図である。
【図5】(a)、(b)は反転された舌状部のつなぎ目に折り目を入れる工程を説明する説明図及び折り目が入れられてタグが作成された用紙先端部を示す斜視図である。
【図6】種々のタグの作成位置を示す説明図である。
【図7】タグ作成位置を変化させる機構を示す正面図である。
【図8】ファイルに複数群の文書を綴じた時、タグどうしが重なった状態を示す平面図である。
【図9】ファイルに複数群の文書を綴じた時、タグどうしが重ならないようにされた状態を示す平面図である。
【図10】(a)、(b)は画像形成時にタグに記入する情報をプリントする場合のタグ作成時とタグ作成後のタグ付近の表裏両面を示す説明図である。
【図11】タグ両面に字句が記入された文書をファイルに綴じた状態を示す斜視図である。
【図12】シェアードプリンタによりプリントされる用紙に対するタグに文書作成者の名前が記載された例を示す斜視図である。
【図13】本発明の装置で作成されたタグのちぎれ易い点を説明する平面図である。
【図14】そのタグのちぎれ易さを防止するため透明粘着テープをタグ両面に貼付る方法を説明する平面図である。
【図15】そのテープを貼付る位置を用紙上にあらかじめプリントした状態を示す平面図である。
【図16】そのテープを色分けして文書の重要度等を識別するようにした文書を複数群綴じたファイルを示す斜視図である。
【図17】そのための有色透明テープを貼り付けたシートを示す斜視図である。
【図18】連続して排出される記録紙の従来の仕分け方法の欠点を説明する説明図である。
【図19】従来の両面プリント可能なプリンタの一例の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
15 タグ作成装置
17、17′ 排紙ローラ対
18、22 分岐爪
19、19′ 搬送ローラ対
20 パンチ(ファイル綴じ用穴明け用)
21 ソレノイド
23 円筒状ローラ対
24 パンチ
25 ダイ
26 ソレノイド
28、29 送りねじ
30 用紙後端センサ
40 舌片部
41、41′ タグ
42 透明粘着テープ
43 透明粘着テープ貼付ガイドライン
44 有色透明粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像形成装置の画像形成部から排出される記録紙の端縁部に該記録紙の一部を端縁より突出させてタグを形成するタグ作成装置を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】 上記のタグ作成装置は、記録紙の端縁部に近接して、端縁側で用紙とつながった舌状部を形成する「コ」の字形の切目を形成するパンチ及びダイより成るパンチ部、用紙をタグを作成すべき端縁を先にして上記パンチ部に、該パンチ部で形成される舌状部の用紙とつながる線の用紙端縁からの距離が舌状部の突出長さより形成さるべきタグの突出長さを差引いた長さになるような位置に搬送し、舌状部形成後用紙をパンチ部から戻す搬送ローラ対、上記パンチ部で形成された舌状部をそのつなぎ目で折曲げる折曲げ手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】 上記の折曲げ手段は、パンチ部で形成された舌状部の先端を、用紙を上記搬送ローラ対により戻し方向に搬送することによりダイ穴に引掛けて反転し、全長に亘って互いに圧接する円筒状ローラ対を通過させることにより折目をつけるものであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】 上記のタグ作成装置により作成されるタグの表面及び裏面に記載されるべき画像を、当該用紙の両面画像形成時の裏面画像形成時及び表面画像形成時に夫々タグとなる部分に形成することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】 上記のタグの幅を市販の透明粘着テープの幅より3〜6mm小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図11】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開平5−306062
【公開日】平成5年(1993)11月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−111690
【出願日】平成4年(1992)4月30日
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)