説明

画像消去装置

【課題】 室内スペースでの使用に適した画像消去装置を提供すること。
【解決手段】 本体ケース1には蓋ケース2が開閉可能に装着されており、本体ケース1内および蓋ケース2内には下加熱板3および上加熱板4が収納されている。この本体ケース1は印刷物が束上に投入されるものであり、下加熱板3および上加熱板4は蓋ケース2が閉鎖状態に操作されることに基いて印刷物を挟み込む。この印刷物には消去可能な画像形成材料を用いて画像が形成されており、画像は上下両側から加熱されることに基いて消去される。この構成の場合、溶媒の取扱いに配慮する必要がなくなるので、室内スペースで安全に運転を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消去可能な画像形成材料により形成された画像を消去する画像消去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記画像消去装置には、紙上で発色した画像形成材料を溶媒に接触させ、紙から溶媒を除去する構成のものがある。
【特許文献1】特開平11−316527号公報
【特許文献2】特開2000−28450号公報
【特許文献2】特開2002−38039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記画像消去装置の場合、溶媒の取扱いに配慮する必要があるので、室内スペースでの使用に適していない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、室内スペースでの使用に適した画像消去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1〜6記載の画像消去装置は、媒体を加熱することに基いて媒体に形成された画像を消去する加熱手段と、前記媒体を冷却する冷却手段と、前記加熱手段および前記冷却手段を駆動制御する制御手段とを備えたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1〜6記載の画像消去装置によれば、媒体を加熱することに基いて媒体に形成された画像を消去している。このため、溶媒の取扱いに配慮する必要がなくなるので、室内スペースでの使用に適したものになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
<実施例1>
本体ケース1には、図1に示すように、蓋ケース2が開閉可能に装着されており、本体ケース1内および蓋ケース2内には下加熱板3および上加熱板4が収納されている。この本体ケース1は媒体に相当する紙等の印刷物が束上に投入されるものであり、下加熱板3および上加熱板4は蓋ケース2が閉鎖状態に操作されることに基いて印刷物を挟み込む。この印刷物は消去可能な画像形成材料を用いて画像が形成されたものであり、画像形成材料は呈色性化合物と顕色剤の作用で発色している。この画像形成材料が加熱されたときには画像形成材料中のバインダー樹脂と呈色性化合物とが優先的に相溶性を示し、消色剤を使用しているときには顕色剤と消色剤とが反応し、消色する。即ち、画像消去装置は印刷物を上下両側から加熱することに基いて画像を消去するものである。以下、画像消去装置の詳細構成を説明する。
【0007】
本体ケース1は複数毎の金属板を上面が開口する矩形箱状に接合することから構成されたものであり、本体ケース1内には、図2に示すように、四隅部に位置して取付台5が固定されている。これら各取付台5は合成樹脂を材料に形成されたものであり、各取付台5の上端部には径小なヘッド部6が一体成形されている。
本体ケース1内には断熱板7が収納されており、断熱板7の四隅部には貫通孔が形成されている。これら各貫通孔内には取付台5のヘッド部6が挿入されており、断熱板7は四隅部が取付台5によって支持されている。この断熱板7は本体ケース1内を上方の消去室8および下方の断熱室9に区画する金属板からなるものであり、上方の消去室8内には金属製の断熱ケース10が収納されている。この断熱ケース10は上面が開口する矩形箱状をなすものであり、4個のヘッド部6の上端面に固定されている。
【0008】
各取付台5には下スプリングガイド11が一体成形されている。これら各下スプリングガイド11の外周面には圧縮コイルスプリングからなるヒータスプリング12が嵌合されており、各ヒータスプリング12の上端部は断熱板7を貫通して断熱ケース10内に突出している。この断熱ケース10内には金属製の下加熱板3が収納されており、下加熱板3の四隅部には上スプリングガイド13が固定されている。これら各上スプリングガイド13はヒータスプリング12内に挿入されており、下加熱板3は4個のヒータスプリング12によって弾性的に支持されている。
【0009】
下加熱板3の下面には下ヒータ押え14がねじ止めされている。この下ヒータ押え14と下加熱板3との間には下ヒータ15が介在されており、下ヒータ15は下ヒータ押え14の押え力で下加熱板3に密着している。これら下加熱板3と下ヒータ押え14と下ヒータ15は下加熱源を構成するものであり、下加熱板3は下ヒータ15が発熱することに基いて昇温する。この下加熱板3の上面には、図1に示すように、金属製の用紙トレイ16が載置されている。この用紙トレイ16は上面が開口する矩形皿状をなすものであり、印刷物が投入される投入容器として機能する。
【0010】
本体ケース1の後端部には、図2に示すように、蓋ケース2が水平な軸2aを中心に回動可能に装着されており、蓋ケース2には下方へ突出する複数の台座17が形成されている。この蓋ケース2は本体ケース1の上面を開閉するものであり、複数の台座17には金属製の上断熱ケース18が固定されている。この上断熱ケース18は下面が開口する矩形箱状をなすものであり、蓋ケース2の閉鎖状態では下断熱ケース10と上断熱ケース18との間に空間状の加熱室が形成される。
【0011】
上断熱ケース18内には複数のスペーサ19を介して金属製の上加熱板4が固定されており、蓋ケース2の閉鎖状態では印刷物がヒータスプリング12のばね力で上加熱板4に接触する。この上加熱板4の上面には上ヒータ押え20が固定されている。この上ヒータ押え20と上加熱板4との間には上ヒータ21が介在されており、上ヒータ21は上ヒータ押え20の押え力で上加熱板4に密着している。これら上加熱板4と上ヒータ押え20と上ヒータ21は上加熱源を構成するものであり、上加熱板4は上ヒータ21が発熱することに基いて昇温し、用紙トレイ16内の印刷物を上方から加熱する。尚、符号23は下ヒータ15および上ヒータ21から構成される加熱手段を示している。
【0012】
上ヒータ押え20および下ヒータ押え14にはサーミスタからなる上温度センサ22(図6参照)および下温度センサ79(図6参照)が固定されており、上温度センサ22の感温部および下温度センサ79の感温部は上ヒータ21および下ヒータ15に接触している。これら上温度センサ22および下温度センサ79は温度検出手段を構成するものであり、上ヒータ21の表面温度および下ヒータ15の表面温度に応じたレベルの電気信号を出力する。
【0013】
断熱板7にはダクト24が固定されており、ダクト24には円筒状のファンケーシング25が固定されている。このファンケーシング25にはファンモータ26(図6参照)が固定されており、ファンモータ26の回転軸には、図2に示すように、軸流形の冷却ファン27が固定されている。この冷却ファン27はファンケーシング25内に収納されたものであり、本体ケース1の底板には冷却ファン27の下方に位置して吸気口28が形成されている。この吸気口28は複数の貫通孔からなるものであり、冷却ファン27はファンモータ26が駆動することに基いて外気を吸気口28から本体ケース1内に吸引し、ダクト24を通して加熱室内に送風することに基いて加熱室内の印刷物を冷却する。尚、符号29はファンモータ26および冷却ファン27から構成された冷却ファン装置を示すものであり、冷却ファン装置29は冷却手段に相当する。
【0014】
本体ケース1の前端部には合成樹脂製の前カバー30が着脱可能に装着されている。この前カバー30と本体ケース1の前板との間には空間状の電装室31が形成されており、電装室31は前カバー30を着脱することに基いて閉開される。この電装室31内には、図3に示すように、機構板32が収納されている。この機構板32は本体ケース1の前板に固定されたものであり、機構板32には略L字状のスイッチレバー33が軸34を中心に回動可能に装着されている。このスイッチレバー33は突状の操作部35を有するものであり、スイッチレバー33と機構板32との間にはレバースプリング36が装着されている。このレバースプリング36は引張コイルスプリングからなるものであり、スイッチレバー33はレバースプリング36のばね力で矢印方向へ付勢されている。
【0015】
蓋ケース2にはロックリング37が固定されている。このロックリング37は蓋ケース2の閉鎖状態で本体ケース1の電装室31内に侵入するものであり、ロックリング37が電装室31内に侵入した状態ではスイッチレバー33がロックリング37によって傾斜状態に押圧操作され、ロックリング37が電装室31内から脱出した状態ではスイッチレバー33がレバースプリング36のばね力で水平状態に回動する。即ち、ロックリング37はスイッチレバー33を操作するレバー操作手段に相当するものであり、スイッチレバー33は蓋ケース2の開放状態および閉鎖状態で水平状態および傾斜状態になる。
【0016】
機構板32にはマイクロスイッチからなる蓋スイッチ38が固定されており、蓋ケース2の閉鎖状態ではスイッチレバー33の操作部35が蓋スイッチ38のプランジャから離間することに基いて蓋スイッチ38がオフされ、蓋ケース2の開放状態ではスイッチレバー33の操作部35が蓋スイッチ38のプランジャを上方へ押圧することに基いて蓋スイッチ38がオンされる。即ち、蓋スイッチ38は蓋ケース2の開閉に応じて電気的な状態が変化するものであり、蓋ケース2の開閉を検出する開閉検出手段に相当する。
【0017】
機構板32にはロックケース39が固定されており、ロックケース39内には、図4に示すように、ロックモータ40が収納されている。このロックモータ40は減速ギア機構を内蔵するギアドモータからなるものであり、ロックモータ40の回転軸41には円形状の回転板42が固定されている。この回転板42の外周部にはピン状のカム43が固定されており、カム43はロックモータ40が駆動することに基いて回転軸41を中心に円周方向へ移動する。
【0018】
ロックケース39には円筒状の軸受44が形成されており、軸受44の先端部には円環状のストッパ45が形成されている。この軸受44の内周面にはプランジャ46がスライド可能に嵌合されており、プランジャ46の先端部には円柱状のロックピン47および円柱状のばね受け48が固定されている。このばね受け48の外周面には圧縮コイルスプリングからなるロックスプリング49の一端部が嵌合されており、ロックスプリング49の他端部は円筒状のばね受け50の内周面に嵌合されている。このばね受け50はロックケース39内に固定されたものであり、プランジャ46はロックスプリング49のばね力で付勢されている。
【0019】
プランジャ46には従動板51が固定されている。この従動板51は正方形状の貫通孔52を有するものであり、貫通孔52内にはカム43が挿入されている。この貫通孔52の内面はカム面として機能するものであり、図4の(a)に示すように、カム43がカム面52から離間した状態ではプランジャ46の先端面がロックスプリング49のばね力でロックケース39のストッパ45に接触する。この状態ではロックピン47がロックケース39内から突出したロック状態に保持され、図3に示すように、蓋ケース2のロックリング37内に係合している。これらロックピン47およびロックリング37間の係合状態では蓋ケース2が閉鎖状態にロックされ、蓋ケース2の開放操作が禁止される。
【0020】
ロックモータ40の回転軸41がロックピン47のロック状態で図4の矢印方向へ回転したときにはカム43がカム面52を押圧し、図4の(b)に示すように、ロックピン47をロックスプリング49のばね力に抗してロックケース39内に退避させる。この状態ではカム面52がロックスプリング49のばね力でカム43に接触することに基いてロックピン47が突出不能に拘束され、ロックケース39内に退避したアンロック状態に保持される。このロックピン47のアンロック状態ではロックピン47およびロックリング37間が係合解除され、蓋ケース2の開放操作が許容される。
【0021】
ロックケース39内には板ばね製の固定コンタクト53および板ばね製の可動コンタクト54が収納されている。これら固定コンタクト53および可動コンタクト54はロックスイッチ55(図6参照)を構成するものであり、ロックピン47のロック状態では、図4の(a)に示すように、スイッチ操作部56が可動コンタクト54を押圧操作することに基いて固定コンタクト53に接触させている。このスイッチ操作部56は従動板51に形成されたものであり、ロックピン47のアンロック状態では、図4の(b)に示すように、スイッチ操作部56が可動コンタクト54から離間し、可動コンタクト54が復元力で固定コンタクト53から離間する。即ち、ロックスイッチ55はロックピン47の進退を検出するものであり、ロックピン47のロック状態およびアンロック状態でオンおよびオフされる。
【0022】
本体ケース1の底板には、図2に示すように、凹部57が形成されており、凹部57の上方には制御基板58が配置されている。この制御基板58は本体ケース1の底板に固定されたものであり、制御基板58の上面には、図6に示すように、マイクロコンピュータを主体に構成された制御装置59が搭載されている。この制御装置59はCPU60・ROM61・RAM62を有するものであり、下ヒータ15・上ヒータ21・ファンモータ26・ロックモータ40を駆動制御する制御手段に相当する。
【0023】
前カバー30の左右方向中央部には、図1に示すように、操作パネル63が形成されている。この操作パネル63は上方へ向うに従って後方へ傾斜する傾斜面部を称するものであり、操作パネル63の前面には、図5に示すように、操作シート64が固定されている。この操作パネル63には電源LED65・消去LED66・冷却LED67・ロックLED68が固定されている。これら電源LED65・消去LED66・冷却LED67・ロックLED68は運転報知手段に相当する運転表示器69(図6参照)を構成するものであり、制御装置59は電源LED65〜ロックLED68を点灯制御することに基いて使用者に運転内容を報知する。尚、ロックLED68は昇温報知手段に相当するものである。
【0024】
操作パネル63には、図5に示すように、入スイッチ70および切スイッチ71が装着されている。これら入スイッチ70および切スイッチ71は自己復帰形のプッシュスイッチからなるものであり、図7に示すように、電源回路72の給電路に介在されている。この電源回路72は下ヒータ15・上ヒータ21・ファンモータ26・ロックモータ40・制御装置59・電源LED65〜ロックLED68の駆動電源を生成するものであり、入スイッチ70が操作されたときには電源回路72の給電路が閉成され、電源回路72から制御装置59に駆動電源が与えられることに基いて制御装置59が起動する。この電源回路72の給電路には電源リレー73の常開接点74が介在されており、制御装置59は起動直後に電源リレー73のコイル75を励磁することに基いて接点74を閉成し、主電源を投入する。この主電源の投入状態で切スイッチ71が操作されたときには電源回路72の給電路が開放され、主電源が遮断されることに基いて制御装置59が停止する。
【0025】
電源回路72の給電路には、図7に示すように、上サーマルスイッチ76および下サーマルスイッチ78が介在されている。これら上サーマルスイッチ76および下サーマルスイッチ78は上ヒータ押え20および下ヒータ押え14に装着されたものであり、上ヒータ21の表面温度および下ヒータ15の表面温度が異常値(具体的には200°C)に到達することに基いて動作し、給電路を開放することに基いて主電源を遮断する。
【0026】
操作パネル63には、図5に示すように、スタートスイッチ77が装着されている。このスタートスイッチ77は操作手段に相当するものであり、制御装置59はスタートスイッチ77からの出力信号に基いて運転コースを設定し、運転コースの設定結果に基いて下ヒータ15・上ヒータ21・ファンモータ26・ロックモータ40を駆動制御することで画像の消去運転を実行する。この処理は制御装置59のCPU60がROM61に予め記録された制御プログラムに基いて行うものであり、RAM62はワークエリアとして機能する。以下、制御装置59の制御プログラムについて説明する。
【0027】
制御装置59のCPU60は図8のステップS1で電源リレー73のコイル75を励磁することに基いて主電源を投入し、ステップS2で電源LED65を点灯することに基いて主電源の投入を使用者に報知する。そして、ステップS3でパワーオフ時間の計測動作を開始し、ステップS4でスタートスイッチ77の操作状態を判断する。
CPU60はステップS4でスタートスイッチ77の非操作を検出すると、ステップS5でパワーオフ時間の計測結果をROM61に予め記録された上限値と比較する。ここでパワーオフ時間の計測結果が上限値に到達したことを検出したときには図9のステップS36へ移行し、電源リレー73のコイル75を消拠することに基いて主電源を遮断する。即ち、入スイッチ70の操作からパワーオフ時間が経過してもスタートスイッチ77が操作されないときには主電源が自動的に遮断される。
【0028】
CPU60は図8のステップS4でスタートスイッチ77の操作を検出すると、ステップS6でスタート待ち時間の計測動作を開始し、ステップS7で運転コースを消去コースに初期設定する。そして、ステップS8で消去LED66および冷却LED67を点灯することに基いて消去コースの設定を使用者に報知し、ステップS9でスタート待ち時間の計測結果をROM61に予め記録された上限値と比較する。ここでスタート待ち時間の計測結果が上限値に到達していないことを検出したときにはステップS10へ移行し、スタートスイッチ77の操作状態を判断する。
【0029】
CPU60はステップS10でスタートスイッチ77の操作を検出すると、ステップS11で運転コースの設定状態を判断する。例えば運転コースが消去コースに設定されていることを検出したときにはステップS12で運転コースを消去コースから冷却コースに変更し、ステップS13で消去LED66を消灯する。この状態では冷却LED67が点灯し、使用者に冷却コースの設定が報知される。
【0030】
CPU60はステップS11で運転コースが冷却コースに設定されていることを検出すると、ステップS14で運転コースを冷却コースから消去コースに変更し、ステップS15で消去LED66を点灯する。この状態では消去LED66および冷却LED67が点灯し、使用者に消去コースの設定が報知される。即ち、消去コースおよび冷却コースはスタートスイッチ77の操作毎に交互に切換えられるものであり、スタート待ち時間が経過することに基いて確定する。
【0031】
CPU60はステップS9でスタート待ち時間の計測結果が上限値に到達したことを検出すると、ステップS16で運転コースの設定状態を判断する。ここで消去コースが設定されていることを検出したときにはステップS17へ移行し、蓋スイッチ38からの出力信号に基いて蓋ケース2の開閉を判断する。
CPU60はステップS17で蓋ケース2が閉鎖されていることを検出すると、ステップS18でロックモータ40を駆動することに基いてロックピン47をロック状態に突出させ、蓋ケース2を閉鎖状態にロックする。そして、ステップS19でロックLED68を点滅させ、蓋ケース2が閉鎖状態にロックされたことを使用者に報知する。即ち、ロックピン47は蓋ケース2が閉鎖されていることを条件にアンロック状態からロック状態に移動操作されるものである。
【0032】
CPU60はステップS19でロックLED68を点滅させると、ステップS20で下ヒータ15および上ヒータ21をROM61に予め記録された同一の昇温パターンで駆動し、ステップS21で消去LED66を点滅させることに基いて消去コースの開始を使用者に報知する。この昇温パターンは下ヒータ15および上ヒータ21に電源を継続的に供給する内容のものであり、下ヒータ15および上ヒータ21は、図10に示すように、昇温パターンで駆動することに基いて昇温する。
【0033】
CPU60は図8のステップS21で消去LED66を点滅させると、ステップS22で上温度センサ22からの出力信号および下温度センサ79からの出力信号に基いて上ヒータ21の温度および下ヒータ15の温度を検出し、両検出温度をROM61に予め記録された消去温度(具体的には120°C)と比較する。ここで上ヒータ21の検出温度および下ヒータ15の検出温度の双方が消去温度に到達したことを検出したときにはステップS23へ移行し、コントロールモードを有効化する。このコントロールモードの有効状態では上温度センサ22からの出力信号および下温度センサ79からの出力信号に基いて上ヒータ21および下ヒータ15がオンオフ制御され、上加熱板4および下加熱板3が一定の消去温度に維持される。
【0034】
CPU60はステップS23でコントロールモードをオンすると、図9のステップS24で消去時間の計測動作を開始し、ステップS25で消去時間の計測結果をROM61に予め記録された上限値と比較する。即ち、消去時間は下加熱板3および上加熱板4の双方が同一の消去温度に到達することを条件に計測開始されるものである。
CPU60はステップS25で消去時間の計測結果が上限値に到達していないことを検出すると、ステップS26で上ヒータ21の検出温度および下ヒータ15の検出温度をROM61に予め記録された強制冷却温度(具体的には150°C)と比較する。例えば上ヒータ21の検出温度および下ヒータ15の検出温度の双方が強制冷却温度に到達することなく消去時間が上限値に到達したときにはステップS25からステップS27へ移行し、下ヒータ15および上ヒータ21をオフする。そして、ステップS28で消去LED66を消灯し、使用者に消去運転の終了を報知する。
【0035】
CPU60はステップS28で消去LED66を消灯すると、ステップS29でファンモータ26をオンすることに基いて冷却運転を開始し、ステップS30で冷却LED67を点滅させることに基いて使用者に冷却運転中であることを報知する。この冷却運転中には冷却ファン27から加熱室内に冷却風が送られ、加熱室内の印刷物が冷却される。
CPU60はステップS30で冷却LED67を点滅させと、ステップS31で上ヒータ21の検出温度および下ヒータ15の検出温度をROM61に予め記録された冷却温度と比較する。ここで上ヒータ21の検出温度および下ヒータ15の検出温度の双方が冷却温度に降下したことを検出したときにはステップS32へ移行し、ファンモータ26をオフすることに基いて冷却運転を終える。そして、ステップS33へ移行し、冷却LED67を消灯することに基いて冷却運転の終了を使用者に報知する。即ち、冷却運転は上ヒータ21の温度および下ヒータ15の温度の双方が冷却温度に下降することを条件に停止するものである。
【0036】
CPU60はステップS33で冷却LED67を消灯すると、ステップS34でロックモータ40を駆動することに基いてロックピン47をアンロック状態に退避させ、ステップS35でロックLED68を消灯することに基いて使用者に蓋ケース2のロック解除を報知する。そして、ステップS36で電源リレー73のコイル75を消拠し、主電源を遮断することに基いて処理を終える(オートパワーオフ)。
【0037】
CPU60は図8のステップS16で冷却コースが設定されていることを検出すると、図9のステップS29でファンモータ26をオンすることに基いて冷却運転を開始し、ステップS30で冷却LED67を点滅させる。そして、ステップS31で上ヒータ21および下ヒータ15が冷却温度に降温したことを検出したときにはステップS32でファンモータ26をオフし、ステップS33で冷却LED67を消灯する。次に、ステップS34で蓋ケース2のロックを解除し、ステップS35でロックLED68を消灯する。
【0038】
即ち、使用者が消去運転中に切スイッチ71を操作したときには主電源が蓋ケース2のロック状態で遮断される。この場合には入スイッチ70を操作することに基いて主電源を再投入し、スタートスイッチ77をスタート待ち時間内で2度押しすれば冷却コースが設定され、消去運転を行うことなく冷却運転が開始される。そして、冷却運転の終了に連動して蓋ケース2がロック解除されるので、蓋ケース2を開放操作することに基いて印刷物を降温状態で追加投入したり取出すことができる。
【0039】
CPU60は図9のステップS26で上ヒータ21および下ヒータ15の少なくとも一方が強制冷却温度に到達したことを検出すると、ステップS27で下ヒータ15および上ヒータ21をオフすることに基いて消去運転を強制的に途中停止し、ステップS28で消去LED67を消灯する。そして、ステップS29で冷却運転を開始し、ステップS34で蓋ケース2をロック解除する。即ち、消去運転中に下ヒータ15および上ヒータ21の少なくとも一方が異常昇温したときには加熱室内が強制冷却温度に到達する。この場合には消去運転が直ちに停止し、加熱室内が冷却温度まで強制的に冷却される。そして、加熱室内の冷却状態で蓋ケース2の開放操作が許容される。
【0040】
上記第1実施例によれば次の効果を奏する。
印刷物を加熱することに基いて印刷物に形成された画像を消去した。このため、溶媒の取扱いに配慮する必要がなくなるので、室内スペースで安全に運転を行うことができる。
スタートスイッチ77の操作内容に応じて運転コースを設定し、下ヒータ15・上ヒータ21・ファンモータ26・ロックモータ40を運転コースの設定結果に応じたパターンで駆動制御した。このため、冷却コースを設定したときには消去運転を行うことなく冷却運転が行われ、冷却運転の終了に連動して蓋ケース2がロック解除されるので、蓋ケース2がロック解除されるまでの待機時間が消去運転に続けて冷却運転を行う場合に比べて短くなる。従って、使用者が冷却コースを指定することで、用紙トレイ16内に印刷物を追加投入したり用紙トレイ16内から印刷物を取出すときの待ち時間を短縮できる。
【0041】
スタートスイッチ77の操作回数に応じて消去コースおよび冷却コースを設定した。このため、消去コースおよび冷却コース毎にスイッチを設ける必要がなくなるので、構成が簡単になる。
運転の進行状態を表示する運転表示器69を設けた。このため、現在の運転内容を使用者が知ることができるので、利便性が高まる。
【0042】
下ヒータ15および上ヒータ21を駆動開始してから下温度センサ79の検出温度および上温度センサ22の検出温度が冷却温度に降下するまでロックLED68を点滅させ、蓋ケース2を閉鎖状態にロックした。このため、使用者が蓋ケース2を開放操作することができなくなるので、安全性が高まる。しかも、印刷物が冷却温度以上に昇温していることをロックLED68の点滅から知ることができる。
【0043】
上温度センサ22の検出温度および下温度センサ79の検出温度の双方が消去温度に到達してから消去時間が経過することに基いて上ヒータ21および下ヒータ15を駆動停止したので、上温度センサ22の検出温度および下温度センサ79の検出温度の双方が消去温度に到達するまでの昇温時間(図10参照)が外気温度の影響でばらつくことを考慮してトータルの運転時間を設定する必要がなくなる。
<実施例2>
操作パネル63には、図11に示すように、操作手段に相当するコーススイッチ80が装着されており、制御装置59はコーススイッチ80の操作回数に応じて少枚数コース・標準枚数コース・多枚数コースを選択的に設定し、消去時間を運転コースの設定結果に基いて短時間・標準時間・長時間に設定する。
【0044】
上記第2実施例によれば、印刷物の投入枚数に応じて運転コースを指定することで消去時間を調整した。このため、画像を印刷物の投入枚数に応じた短時間で消去することができるので、運転効率が高まる。
上記第1〜第2実施例においては、ロックLED68を用いて印刷物の加熱を報知したが、これに限定されるものではなく、例えば専用の高温LEDを点滅させることに基いて報知しても良い。
【0045】
上記第1〜第2実施例においては、制御データとして下ヒータ15の表面温度および上ヒータ21の表面温度の双方を使用したが、これに限定されるものではなく、例えば下ヒータ15の表面温度および上ヒータ21の表面温度のいずれか一方を使用したり、加熱室の室温を使用しても良い。
上記第1〜第2実施例においては、運転の進行状態を光で報知したが、これに限定されるものではなく、例えば映像や音で報知しても良い。
【0046】
上記第1〜第2実施例においては、印刷物が高温であることを光で報知器したが、これに限定されるものではなく、例えば映像や音で報知しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施例を示す図(画像消去装置の外観を示す斜視図)
【図2】画消去装置の内部構成を機構板の除去状態で示す側面図
【図3】画像消去装置の内部構成を示す前面図
【図4】ドアロック機構の内部構成を示す前面図(aはロック状態を示す図、bはアンロック状態を示す図)
【図5】操作パネルを示す図
【図6】電気的構成を示すブロック図
【図7】電源の供給経路を示す図
【図8】制御装置の制御内容を示すフローチャート
【図9】制御装置の制御内容を示すフローチャート
【図10】消去時間と消去温度との関係を示す図
【図11】本発明の第2実施例を示す図5相当図
【符号の説明】
【0048】
22は上温度センサ(温度検出手段)、23は加熱手段、29は冷却ファン装置(冷却手段)、59は制御装置(制御手段)、68はロックLED(昇温報知手段)、69は運転表示器(運転報知手段)、77はスタートスイッチ(操作手段)、79は下温度センサ(温度検出手段)、80はコーススイッチ(操作手段)を示している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を加熱することに基いて媒体に形成された画像を消去する加熱手段と、
前記媒体を冷却する冷却手段と、
運転コースを指定するための操作手段と、
前記加熱手段および前記冷却手段を前記運転コースの設定結果に応じた内容で駆動制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする画像消去装置。
【請求項2】
前記操作手段は、操作回数に応じて運転コースを指定するものであることを特徴とする請求項1記載の画像消去装置。
【請求項3】
前記操作手段は、前記媒体の分量に応じて運転コースを指定するものであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の画像消去装置。
【請求項4】
媒体を加熱することに基いて媒体に形成された画像を消去する加熱手段と、
前記媒体を冷却する冷却手段と、
前記加熱手段および前記冷却手段を駆動制御する制御手段と、
運転の進行状態を報知する運転報知手段と
を備えたことを特徴とする画像消去装置。
【請求項5】
媒体を加熱することに基いて媒体に形成された画像を消去する加熱手段と、
前記媒体を冷却する冷却手段と、
前記加熱手段および前記冷却手段を駆動制御する制御手段と、
前記媒体が設定温度に比べて昇温していることを報知する昇温報知手段と
を備えたことを特徴とする画像消去装置。
【請求項6】
媒体を加熱することに基いて媒体に形成された画像を消去する加熱手段と、
前記加熱手段を駆動制御する制御手段と、
前記媒体を冷却する冷却手段と、
前記加熱手段の温度を検出する温度検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段の検出結果が設定温度に到達してから設定時間が経過することに基いて前記加熱手段を駆動停止することを特徴とする画像消去装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−35567(P2006−35567A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217188(P2004−217188)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】