説明

画像表示装置

【課題】 使用している電源の種類や状態に応じて画像表示装置の画像表示方式を切り換えることにより、状況に応じて画質を向上させたり、消費電力を低く抑えたりすることが可能な画像表示装置を提供する。
【解決手段】 画像表示装置100は、外部電源101が接続される外部電源入力部102と、外部電源101の接続の有無を検知する接続検知部103と、外部電源101とバッテリー電源105を切り換えて電圧印加部109に供給させるスイッチ104と、バッテリー電源105のバッテリー残量を検出する残量検出部106と、画像データを記憶している画像記憶部107と、電圧印加部109を制御する制御部108と、表示部200にパルス電圧を印加する電圧印加部109と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用している電源の種類や状態に応じて画像表示方式を切り換える画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置として、紙媒体や電子ディスプレイデバイスの他に、電子ディスプレイと紙の両者の長所を併せ持った電子ペーパーまたはデジタルペーパーと呼ばれる画像表示記録媒体が注目されている。
【0003】
一方、電子ペーパーを含む小型軽量でバッテリー駆動の可能な画像表示装置は消費電力を低く抑えることが重要であり、そのために様々な技術が用いられている。これらのうち、電源として外部電源と電池電源を有する階調表示可能な画像表示装置において、外部電源をしようする場合には階調表示を行い、電池電源を使用する場合には2値表示を行うことで、電池電源使用時の消費電力を低く抑えるという技術が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−37893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術によると、階調表示と2値表示を切り換えることにより省電力化を実現するため、トナーディスプレイ方式の電子ペーパーのように、元来2値表示のみを行う画像表示装置にはこの技術を用いることができず、それ以上の省電力化は望むことができないという問題点がある。
【0005】
一方、電子ペーパーは一般に画像情報の保持に電気エネルギーを必要としないため、従来の電子ペーパーにおいては、画像表示装置に記録された画像情報を容易に移動させることができ、機密情報の漏洩のおそれがあるという問題点もある。
【0006】
従って、本発明の目的は、2値表示のみを行う画像表示装置であっても、省電力化を実現することのできる画像表示装置の駆動方法を提供することである。
【0007】
また、本発明の他の目的は、画像情報の保持に電気エネルギーを必要としない画像表示装置であっても、機密情報の漏洩を防ぐことのできる画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、上記目的を達成するため、外部電源を接続する外部電源入力部と、バッテリー電源と、前記外部電源または前記バッテリー電源からの電源供給により表示部を駆動する駆動部と、前記バッテリー電源の使用時は、前記外部電源の使用時よりも消費電力が少なく、かつ、前記表示部に表示される画像の画質を低くする省電力駆動方法で駆動するように前記駆動部を制御する制御部と、を有することを特徴とする画像表示装置を提供する。
【0009】
上記本発明の第1の態様によれば、使用している電源の種類や状態に応じて画像表示装置の画像表示方式を切り換えることにより、状況に応じて画質を向上させたり、消費電力を低く抑えたりすることが可能となる。
【0010】
前記制御部は、前記バッテリー電源の使用時に、前記バッテリー電源のバッテリー残量が少なくなった際には、前記省電力駆動方法における消費電力よりも更に消費電力が少なく、かつ、前記表示部に表示される前記画像の画質を低くする駆動方法で駆動するように前記駆動部を制御することができる。
【0011】
前記制御部は、前記バッテリー電源の使用時に、前記表示部の駆動時間、前記表示部に表示される画像の書き換え回数、および直前に画像を書き換えた時刻からの経過時間等の表示履歴に基づいて、前記省電力駆動方法における消費電力よりも更に消費電力が少なく、かつ、前記表示部に表示される画像の画質を低くする駆動方法で駆動するように前記駆動部を制御することができる。
【0012】
前記制御部は、前記外部電源の使用時に前記表示部にカラー表示を行っているとき、電源を前記外部電源から前記バッテリー電源に切り換える際に、前記カラー表示を白黒表示に切り換えることができる。白黒表示はカラー表示と比較して、同程度の画質を得るために必要な電力が少ないため、白黒で表示させることにより、画質の低下を少なく抑えたまま消費電力を減らすことができる。
【0013】
前記表示部は、トナーディスプレイ方式の電子ペーパー等の、帯電粒子の移動により前記画像を形成する画像表示媒体であってもよい。
【0014】
その場合は、前記省電力駆動方法は、前記表示部に印加するパルス電圧の周波数、印加時間、パルス数のうち1つ、もしくは複数を減らすことを含む。これにより、画像書込に要する電力を減らすことができる。
【0015】
また、前記省電力駆動方法は、前記表示部に表示される前記画像を書き換える回数に対する前記帯電粒子の帯電量回復の回数を減らすことを含む。これにより、帯電量回復に要する電力を減らすことができる。
【0016】
また、前記省電力駆動方法は、前記表示部に表示される前記画像を書き換える際に、前記表示部の初期化を行わずに画像を書き込むことを含む。これにより、初期化の分の消費電力を減らすことができる。
【0017】
なお、画質を低くするとは、粒子の目的の画素への到達率が下がることにより、画像の画像データに対する再現度がさがることを指し、それ以外の、例えば画像の階調を下げること等は含まない。
【0018】
前記制御部は、前記バッテリー電源のバッテリー残量が所定量より少なくなった際には、前記表示部にその旨の表示をさせることができる。これにより、ユーザはバッテリー残量が少なくなったことを容易に認識することができる。
【0019】
バッテリー電源には、ニッケルカドミウム充電池、ニッケル水素充電池、リチウムイオン充電池等の充電式電池(二次電池)を用いることができる。これらの充電式電池は、前記画像表示装置内に設置された状態で充電されるものでも、前記画像表示装置外で充電された後に前記画像表示装置内に設置されるものであってもよい。また、バッテリー電源は、マンガン乾電池、アルカリ乾電池、オキシライド間電池等の乾電池(一次電池)であってもよい。
【0020】
また、本発明の第2の態様は、上記目的を達成するため、外部電源を接続する外部電源入力部と、バッテリー電源と、前記外部電源または前記バッテリー電源からの電源供給により表示部を駆動する駆動部と、前記バッテリー電源の使用時は、前記外部電源の使用時よりも消費電力が少なく、かつ、前記表示部に表示される画像の画質を低くする省電力駆動方法で駆動するように前記駆動部を制御する制御部と、前記表示部に表示された画像を消去するための電力を蓄積する消去電圧蓄積部を有することを特徴とする画像表示装置を提供する。
【0021】
前記制御部は、移動を検知する移動検知部を有し、前記移動検知部が前記表示装置の移動を検知した際に、前記消去電圧蓄積部から供給される電力によって、前記表示部に表示された前記画像を消去することができる。ここで、画像の消去とは、表示部に白色、黒色等の一色、または所定の白黒パターンの画像を書き込むことである。また、移動した旨を表示した画像を含んでも良い。
【0022】
上記本発明の第2の態様によれば、表示部が画像の保持にエネルギーを必要としない、メモリ性を有する表示媒体であって、表示画像が機密情報を含むものであった場合でも、画像表示装置が移動した際に確実に画像を消去し、機密情報の漏洩を防ぐことが可能となる。
【0023】
上記本発明の第2の態様にかかる画像表示装置は、筐体を開く際に、前記消去電圧蓄積部を放電させる手段を有してもよい。これにより、ユーザがメンテナンス等の際に接触して感電することを防ぐことができる。
【0024】
また、前記筐体を閉じた後に、前記消去電圧蓄積部の充電を開始することができる。これにより、ユーザがメンテナンス等の際に接触して感電することを防ぐことができる。
【0025】
また、前記表示部は、前記駆動部側から分離できる構成を有し、前記表示部が前記駆動部側に接続された後に、前記消去電圧蓄積部の充電を開始してもよい。これにより、ユーザがメンテナンス等の際に接触して感電することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、使用している電源の種類や状態に応じて画像表示装置の画像表示方式を切り換えることにより、状況に応じて画質を向上させたり、消費電力を低く抑えたりすることができる。
【0027】
また、表示部が画像の保持にエネルギーを必要としない、メモリ性を有する表示媒体であって、表示画像が機密情報を含むものであった場合でも、画像表示装置が移動した際に確実に画像を消去し、機密情報の漏洩を防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
〔第1の実施の形態〕
(画像表示装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像表示装置のブロック図である。
【0029】
この画像表示装置100は、外部電源101が接続される外部電源入力部102と、外部電源101の接続の有無を検知する接続検知部103と、外部電源101とバッテリー電源105を切り換えて、駆動部としての電圧印加部109に供給させるスイッチ104と、バッテリー電源105のバッテリー残量を検出する残量検出部106と、画像データを記憶している画像記憶部107と、電圧印加部109を制御する制御部108と、表示部200にパルス電圧を印加する電圧印加部109と、を有して概略構成されている。
【0030】
接続検知部103は、外部電源101の接続の有無を検知してスイッチ104を制御し、かつ制御部108に通知する。
【0031】
スイッチ104は、接続検知部103に制御され、外部電源101が接続検知部103に接続されている場合は外部電源101を電圧印加部109に供給させ、接続されていない場合はバッテリー電源105を電圧印加部109に供給させる。
【0032】
残量検出部106は、バッテリー電源105のバッテリー残量を検出して制御部108に通知する。
【0033】
制御部108は、画像記憶部107に記憶されている画像データ、外部電源101の供給の有無、およびバッテリー電源105のバッテリー残量に基づいて電圧印加部109を制御する。
【0034】
電圧印加部109は、昇圧回路、パルス電圧生成回路等を有して構成され、表示部200に制御部108の制御に応じたパルス電圧を印加する。
【0035】
ここで、電圧印加部109は、表示部200の後述する行電極212と列電極222に電圧を印加する。
【0036】
制御部108は、CPU、表示部200に画像を書き込むためのプログラムが格納されたROM、データを一時的に記憶するRAM、インターフェース回路等を備える。
【0037】
画像記憶部107は、DVD、CD−RW、ハードディスク、半導体メモリ等を用いることができる。
【0038】
(表示部の構成)
図2(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る表示部の断面図である。この第1の実施の形態においては、表示部200としてカラー表示可能なトナーディスプレイ方式の電子ペーパーを用いて説明する。
【0039】
表示部200は、所定の間隙を有して対向配置された透明基板210およびカラー基板220と、両基板210、220間を仕切ることにより複数のセル201を形成する樹脂等からなる仕切り部材202と、各セル201に収容された空気等の気体、および帯電特性が異なる複数の白色粒子203Aおよび黒色粒子203Bとを備える。なお、同図では、セル201は、1つのみを図示しているが、実際には、画素数に応じて多数のセルが2次元アレイ状に配列されている。
【0040】
透明基板210は、例えば、透明ガラス基板等からなる表面基板部材211と、表面基板部材211上に形成されたインジウム錫酸化物(ITO)等からなる透明な複数の行電極212と、これらの行電極212を保護するとともに粒子203A、203Bの帯電特性を安定化させるポリカーボネート等からなる誘電体膜213とを備え、全体として透光性を有する。なお、同図では、行電極212は、1つのみを図示しているが、実際には、画素数に応じて複数の行電極212が紙面に平行に所定の間隔を有して配設されている。
【0041】
白色粒子203Aと黒色粒子203Bは、相互の摩擦による摩擦帯電により、互いに異なる極性に帯電する。ここでは、白色粒子203Aは負に帯電しており、黒色粒子203Bは正に帯電している。白色粒子203Aは、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等の白色顔料粒子を用いることができる。黒色粒子203Bは、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、チタンブラック等の黒色顔料粒子を用いることができる。
【0042】
カラー基板220は、例えば、エポキシ樹脂等からなる背面基板部材221と、背面基板部材221の片面に形成され、紙面と垂直方向に所定の間隔を有して配設された銅箔等からなる複数の列電極222と、複数の列電極222上に形成された赤の着色層224R、緑の着色層224G、および青の着色層224Bと、着色層224R、224G、224B上に形成され、粒子203A、203Bの帯電性特性を安定化させるポリカーボネート等からなる誘電体膜223とを有して構成されている。
【0043】
着色層224R、224G、224Bは、塗布、着色シートの貼付け、スクリーン印刷等により形成することができる。
【0044】
(表示部の動作)
次に、第1の実施の形態に係る表示部200の動作を説明する。電圧印加部109は、制御部108の制御により、画像記憶部107が記憶する画像データ、外部電源101の供給の有無、およびバッテリー残量に基づいた電圧を表示部200に印加する。
【0045】
(1)白黒表示モード
図2(a)に示すように、白色粒子203Aと黒色粒子203Bによる白黒表示を行う場合は、電圧印加部109は、制御部108の制御により、行電極212に所定の周波数(例えば、100Hz)の選択電位(例えば、0V)を順次印加し、各列電極222に画像データに応じて正または負の画像電位(例えば、+200Vまたは−200V)を所定の時間(例えば、30ms)印加する。
【0046】
セル201内の正電位が印加された列電極222直上の領域(画素)では、負に帯電した白色粒子203Aは、正電位が印加された列電極222側に移動してカラー基板220の内面に付着し、正に帯電した黒色粒子203Bは、これとは逆の行電極212側に移動して透明基板210の内面に付着する。一方、負電位が印加された列電極222直上の領域では、正に帯電した黒色粒子203Bは、負電位が印加された列電極222側に移動してカラー基板220の内面に付着し、負に帯電した白色粒子203Bは、これとは逆の行電極212側に移動して透明基板210の内面に付着する。このようにして白黒画像が透明基板210を通して表示される。
【0047】
なお、表示部200に印加する交番パルス電圧の周波数、パルス数、印加時間を減らすことにより、画質を低くして、消費電力を下げることもできる。交番パルス電圧の周波数、パルス数、印加時間を下げると画質が低くなるのは、粒子203A、203Bの目的の画素への到達率が下がるためである。
【0048】
また、白黒表示はカラー表示と比較して、同程度の画質を得るために必要とするパルス電圧の周波数、パルス数、および印加時間が少ないため、画像データがカラーであった場合は白黒で表示させることにより、画質の低下を少なく抑えたまま消費電力を減らすことができる。
【0049】
なお、電極212、222間への電圧の印加を停止しても、粒子203A、203Bと誘電体膜213、223との間の静電付着力が維持されるため、粒子203A、203Bは基板210、220の内面に付着したまま保持され、長時間に渡り白黒画像が表示される。
【0050】
初期状態にする(初期化する)場合には、電圧印加部109から行電極212に所定の周波数(例えば、800Hz)の交番パルス電位(例えば、±70V)を印加するとともに、これと逆位相の交番パルス電位(例えば、±70V)を各列電極222に印加し、最終パルスとして例えば行電極212に正の直流電位を印加することにより、白色粒子203Aが透明基板210の内面全体に付着し、黒色粒子203Bがカラー基板220の内面全体に付着し、初期状態に戻される。このとき、表示部200を透明基板210側から見ると、白色粒子203Aによる白色画面のみが見える。また、最終パルスとして行電極212に負の直流電位を印加した場合は、黒色粒子203Bが透明基板210の内面全体に付着し、白色粒子203Aがカラー基板220の内面全体に付着し、表示部200を透明基板210側から見ると、黒色粒子203Bによる黒色画面のみが見える。
【0051】
通常は、通常は表示部200に表示される画像を書き換える際に、毎回初期化を行ってから新しい画像を書き込むが、この際に初期化を省略することにより、消費電力を抑えることができる。
【0052】
また、通常は表示部200に表示される画像を書き換える際に、毎回粒子203A、203Bの帯電量を回復させるが、この帯電回復を毎回行わず、頻度を減らすことにより、消費電力を減らすことができる。
【0053】
また、制御部108が、書き換え前と書き換え後の画像データを比較して差異を検出し、異なる部分のみを書き換えることにより、消費電力を減らすことができる。
【0054】
(2)カラー表示モード
図2(b)、(c)に示すように、カラー基板220によるカラー表示を行う場合は、電圧印加部109は、制御部108の制御により、行電極212に所定の周波数(例えば、1000Hz)の交番パルス電位(例えば、±70V)を印加するとともに、これと逆位相の交番パルス電位(例えば、±70V)を各列電極222に印加する。
【0055】
図2(b)の場合は、上記初期状態に戻すモードにおいて最終パルスとして行電極212に負の直流電位を印加し、黒色粒子203Bを透明基板210の内面全体に付着させて黒色画面を表示させておく。次に、緑の着色層224Gに対応する列電極222および行電極212間に上記交番パルス電圧を印加する。これにより、緑の着色層224Gに対応する画素に存在する白色粒子203Aおよび黒色粒子203Bは、交番パルス電圧が印加されていない赤の着色層224Rと青の着色層224Bに対応する画素に移動する。
【0056】
この結果、着色層224Gの緑色、黒色粒子203Bの黒色が透明面基板210を通して見える。同様にして、赤色、青色を表示させることが可能である。なお、電極212、222間への電圧の印加を停止しても、直前の画像が長時間保持されるのは前述した通りである。
【0057】
図2(c)の場合は、黒色画面を表示させた後、緑の着色層224Gと青の着色層224Bに対応する列電極222および行電極212間に上記交番パルス電圧を印加する。これにより、緑の着色層224Gと青の着色層224Bに対応する画素に存在する白色粒子203Aおよび黒色粒子203Bは、交番パルス電圧が印加されていない緑の着色層224Gに対応する画素に移動する。
【0058】
この結果、着色層224Gの緑色、着色層224Bの青色、黒色粒子203Bの黒色が透明面基板210を通して見えるが、観察者からは緑色と青色は合わさってシアンに見える。同様にして、赤色と緑色を合わせてイエロー、赤色と青色を合わせてマゼンダを表示させることが可能である。なお、電極212、222間への電圧の印加を停止しても、直前の画像が長時間保持されるのは前述した通りである。
【0059】
なお、白黒表示モードと同様に、表示部200に印加する交番パルス電圧の周波数、パルス数、印加時間を減らすことにより、画質を低くして、消費電力を下げることもできる。交番パルス電圧の周波数、パルス数、印加時間を下げると画質が低くなるのは、粒子203A、203Bの目的の画素への到達率が下がるためである。
【0060】
また、白黒表示モードと同様に、表示部200に表示される画像を書き換える際の初期化を省略することにより、消費電力を抑えることができる。
【0061】
また、白黒表示モードと同様に、表示部200に表示される画像を書き換える際の粒子203A、203Bの帯電回復を毎回行わず、頻度を減らすことにより、消費電力を減らすことができる。
【0062】
また、白黒表示モードと同様に、制御部108が、書き換え前と書き換え後の画像データを比較して差異を検出し、異なる部分のみを書き換えることにより、消費電力を減らすことができる。
【0063】
(画像表示装置の動作)
以下に、この第1の実施の形態に係る画像表示装置の動作例を示す。
【0064】
(外部電源使用時)
ユーザが外部電源101を外部電源入力部102に接続すると、接続検知部103は、その接続を検知して、外部電源101が電圧印加部109に供給されるようにスイッチ104を制御する。
【0065】
同時に、接続検知部103は、制御部108に外部電源101が接続されたことを通知し、制御部108は画像記憶部107から受け取った画像データに適した交番パルス電圧を表示部200に印加するように電圧印加部109を制御する。
【0066】
このとき、制御部108が画像記憶部107から受け取った画像データがカラー画像の場合は、電圧印加部109は表示部200に、画質良くカラー表示をさせることができるような条件の交番パルス電圧を印加し、カラー表示させる。
【0067】
また、外部電源101が用いられている旨が、表示部200に画像、文字等により表示されてもよい。
【0068】
(バッテリー電源使用時)
ユーザが外部電源101を外部電源入力部102から外すと、接続検知部103は、その接続が切れたことを検知して、バッテリー電源105が電圧印加部109に供給されるようにスイッチ104を制御する。
【0069】
同時に、接続検知部103は、制御部108にバッテリー電源105が接続されたことを通知し、制御部108は、画像記憶部107から受け取った画像データを低消費電力で表示できるように、外部電源101が接続されている場合と比較して周波数の低い交番パルス電圧を表示部200に印加するように電圧印加部109を制御する。
【0070】
このとき、制御部108は、電圧印加部109を制御して表示部200のカラー表示を白黒表示させる。白黒表示はカラー表示と比較して、同程度の画質を得るために要求される周波数が低いためである。
【0071】
また、バッテリー電源105が用いられている旨、およびバッテリー残量が、表示部200に画像、文字等により表示されてもよい。また、省電力表示を行っている際には、表示部200に画像、文字等により、その旨が表示されてもよい。
【0072】
(バッテリー残量低下時)
バッテリー残量が所定量よりも少なくなったときは、更に消費電力を減らすように、制御部108は、表示部200に表示された画像を書き換える際に、初期化を行わずに直接新しい画像を書き込むように電圧印加部109を制御する。
【0073】
また、バッテリー残量が所定量よりも少なくなっている旨、およびバッテリー残量が、表示部200に画像、文字等により表示されてもよい。また、省電力表示を行っている際には、表示部200に画像、文字等により、その旨が表示されてもよい。
【0074】
なお、どの段階でどのような駆動方法を用いるのかは、上記の例に限らず、ユーザが自由に設定することができる。例えば、外部電源101からバッテリー電源105に切り換わったときに帯電回復の回数を減らして、バッテリー電源105のバッテリー残量が少なくなったときにパルス電圧の印加時間を減らすようにしてもよい。また、バッテリー残量が少なくなっても表示方法を変えずに、消費電力を減らさずに高画質な画像を表示させることも可能である。
【0075】
(第1の実施の形態の効果)
上記第1の実施の形態によれば、使用している電源の種類や状態に応じて画像表示装置100の画像表示方式を切り換えることにより、状況に応じて画質を向上させたり、消費電力を低く抑えたりすることが可能となる。
【0076】
〔第2の実施の形態〕
(画像表示装置の構成)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る画像表示装置のブロック図である。第1の実施の形態に係る画像表示装置100と同様の構成部分については説明を省略する。
【0077】
この画像表示装置300は、第1の実施の形態に係る画像表示装置100の構成に加えて、GPS等の移動アンテナを備え、画像表示装置300が所定の距離を移動した際にそれを検知して制御部108に通知する移動検知部301と、表示部200に表示された画像を消去するための電力を蓄積する消去電圧蓄積部302と、を有して概略構成されている。
【0078】
制御部108は、画像表示装置300が移動した旨の通知を受けて、スイッチ303を制御して、消去電圧蓄積部302と電圧印加部109を電気的に接続して画像消去のための電圧を電圧印加部109に供給する機能を有する。
【0079】
消去電圧蓄積部302は、外部電源101が接続されているときは外部電源101から、外部電源101が接続されていないときはバッテリー電源105から電力が供給されて充電される。充電される電力は、表示部200に表示された画像を1回消去するために十分な電力であり、この電力が消費されしだい、再度充電される。ここで、画像の消去とは、表示部に白色、黒色等の一色、または所定の白黒パターンの画像を書き込むことである。また、移動した旨を表示した画像を含んでも良い。
【0080】
移動検知部301は、加速度センサー、磁気センサー、電子コンパス、またはジャイロコンパスを備えて画像表示装置300の移動を検知するものであってもよい。
【0081】
画像表示装置300が移動したことが移動検出部301に検出されることにより画像が消去されるが、どの程度の距離を移動したときに消去が実行されるのかはユーザが設定することができる。
【0082】
(画像表示装置の動作)
表示部200に画像が書き込まれた場所から、ユーザが画像表示装置300を持ち出すと、移動検出部301が画像表示装置300の移動を検知して、制御部108に通知する。
【0083】
通知を受けた制御部108は、スイッチ303を制御して、消去電圧蓄積部302と電圧印加部109を電気的に接続して画像消去のための電圧を電圧印加部109に供給する。
【0084】
電圧を供給された電圧印加部109は、表示部200に白一色の画像を書き込む。
【0085】
(第2の実施の形態の効果)
上記第2の実施の形態によれば、表示部200が画像の保持にエネルギーを必要としない、メモリ性を有する表示媒体であって、表示画像が機密情報を含むものであった場合でも、画像表示装置300が移動した際に確実に画像を消去し、機密情報の漏洩を防ぐことが可能となる。
【0086】
〔第3の実施の形態〕
(画像表示装置の構成)
図4(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る画像表示装置の断面図である。画像表示装置300は、第1の外殻部304と、第2の外殻部305と、消去電圧蓄積部302(図示しない)の高電圧部306と、アース307と、金属等の導電性材料からなる放電部材308とを有する。その他の構成部品については図示しない。
【0087】
アース307、放電部材308を含む放電経路上に抵抗が設けられていても良い。
【0088】
高電圧部306は消去電圧蓄積部302に限られず、他の高電圧が蓄積されている部分を含んでもよい。
【0089】
(画像表示装置の動作)
図4(a)、(b)に示すように、ユーザが第2の外殻部305を第1の外殻部304からはずして画像表示装置300の筐体を開ける際に、高電圧が蓄積されている消去電圧蓄積部302の高電圧部306とアース307を放電部材308により機械的に短絡させて、消去電圧蓄積部302を放電させる。
【0090】
ユーザが再び第2の外殻部305を第1の外殻部304に取り付けて画像表示装置300の筐体を閉じると、高電圧部306とアース307の接続が切れ、消去電圧蓄積部302への外部電源101またはバッテリー電源105からの充電が開始される。
【0091】
なお、表示部200が画像表示装置300から分離可能な構成を有する場合には、表示部200が画像表示装置300に接続されたときに、消去電圧蓄積部302への外部電源101またはバッテリー電源105からの充電が開始されてもよい。
【0092】
(第3の実施の形態の効果)
上記第3の実施の形態によれば、画像表示装置300の筐体を開ける際に、消去電圧蓄積部302等の高電圧部306を放電することにより、ユーザがメンテナンス等の際に接触して感電することを防ぐことが可能となる。
【0093】
また、ユーザが高電圧部306に触れるおそれが無くなってから消去電圧蓄積部302の充電が開始されることにより、メンテナンス等の際の接触による感電を防ぐことが可能となる。
【0094】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。例えば、上記各実施の形態においては、表示部200はトナーディスプレイ方式の電子ペーパーとして説明したが、実際はこれに限られず、液晶を利用した表示媒体等であってもよい。
【0095】
また、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において上記各実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像表示装置のブロック図である。
【図2】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る表示部の断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る画像表示装置のブロック図である。
【図4】(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る画像表示装置の断面図である。
【符号の説明】
【0097】
100 画像表示装置
101 外部電源
102 外部電源入力部
103 接続検知部
104 スイッチ
105 バッテリー電源
106 残量検出部
107 画像記憶部
108 制御部
109 電圧印加部
200 表示部
201 セル
202 仕切部材
203A 白色粒子
203B 黒色粒子
210 透明基板
211 表面基板部材
212 行電極
213 誘電体膜
220 カラー基板
221 背面基板部材
222 列電極
223 誘電体膜
224R、224G、224B 着色層
300 画像表示装置
301 移動検知部
302 消去電圧蓄積部
303 スイッチ
304 第1の外殻部
305 第2の外殻部
306 高電圧部
307 アース
308 放電部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源が接続される外部電源入力部と、
バッテリー電源と、
画像を表示する表示部と、
前記外部電源または前記バッテリー電源からの電源供給により前記表示部を駆動する駆動部と、
前記バッテリー電源の使用時は、前記外部電源の使用時よりも消費電力が少なく、かつ、前記表示部に表示される前記画像の画質を低くする省電力駆動方法で駆動するように前記駆動部を制御する制御部と、を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記バッテリー電源の使用時に、前記バッテリー電源のバッテリー残量が少なくなった際には、前記省電力駆動方法における消費電力よりも更に消費電力が少なく、かつ、前記表示部に表示される前記画像の画質を低くする駆動方法で駆動するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記バッテリー電源の使用時に、前記表示部の駆動時間、前記表示部に表示される画像の書き換え回数、および直前に画像を書き換えた時刻からの経過時間等の表示履歴に基づいて、前記省電力駆動方法における消費電力よりも更に消費電力が少なく、かつ、前記表示部に表示される画像の画質を低くする駆動方法で駆動するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記外部電源の使用時に前記表示部にカラー表示を行っているとき、電源を前記外部電源から前記バッテリー電源に切り換える際に、前記カラー表示を白黒表示に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、帯電粒子の移動により前記画像を形成する画像表示媒体であり、
前記省電力駆動方法は、前記表示部に印加するパルス電圧の周波数を減らすことであることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記表示部は、帯電粒子の移動により前記画像を形成する画像表示媒体であり、
前記省電力駆動方法は、前記表示部に印加する前記パルス電圧の印加時間を減らすことであることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記表示部は、帯電粒子の移動により前記画像を形成する画像表示媒体であり、
前記省電力駆動方法は、前記表示部に印加する前記パルス電圧のパルス数を減らすことであることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記表示部は、帯電粒子の移動により前記画像を形成する画像表示媒体であり、
前記省電力駆動方法は、前記表示部に表示される前記画像を書き換える回数に対する前記帯電粒子の帯電量回復の回数を減らすことであることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記表示部は、帯電粒子の移動により前記画像を形成する画像表示媒体であり、
前記省電力駆動方法は、前記表示部に表示される前記画像を書き換える際に、前記表示部の初期化を行わずに画像を書き込むことであることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記バッテリー電源のバッテリー残量が所定量より少なくなった際には、前記表示部にその旨の表示をさせることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項11】
外部電源が接続される外部電源入力部と、
バッテリー電源と、
画像を表示する表示部と、
前記外部電源または前記バッテリー電源からの電源供給により前記表示部を駆動する駆動部と、
前記バッテリー電源の使用時は、前記外部電源の使用時よりも消費電力が少なく、かつ、前記表示部に表示される前記画像の画質を低くする省電力駆動方法で駆動するように前記駆動部を制御する制御部と、
前記表示部に表示された画像を消去するための電力を蓄積する消去電圧蓄積部と、を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項12】
移動を検知する移動検知部を有し、
前記制御部は、前記移動検知部が所定距離の移動を検知した際に、前記消去電圧蓄積部から供給される電力によって、前記表示部に表示された前記画像を警告画像に書き換えることを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項13】
筐体を開く際に、前記消去電圧蓄積部を放電させる手段を有することを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記筐体を閉じた後に、前記消去電圧蓄積部の充電を開始することを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記表示部は、前記駆動部側から分離できる構成を有し、
前記表示部が前記駆動部側に接続された後に、前記消去電圧蓄積部の充電を開始することを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−72198(P2007−72198A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259585(P2005−259585)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】