説明

画像記録体の製造方法、および画像記録体の製造装置

【課題】そりや変形のない画像記録体を製造する。
【解決手段】接着層保持基材14表面に接着層12を有する接着層保持媒体10と、記録媒体20と、を重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ工程、前記第1の積層体を加熱および加圧する第1の加熱加圧工程、並びに、前記第1の積層体から前記接着層保持基材14を剥離する第1の剥離工程を経て前記記録媒体20表面に接着層12を形成する接着層形成工程と、画像転写用基材34表面に画像受像層32を有する画像転写媒体30に画像を形成する画像形成工程と、前記画像転写媒体30と前記記録媒体20とを重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ工程と、前記第2の積層体を加熱および加圧する第2の加熱加圧工程と、前記第2の積層体から前記画像転写用基材34を剥離する第2の剥離工程と、を有する画像記録体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録体の製造方法、および画像記録体の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャッシュカードやプリペイドカード、社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明等のようにプラスチックシートに画像を形成したカードの作製方法としては、電子写真方式によるものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
従来、プラスチックシート(記録媒体)表面への画像形成の方法は以下のように実施されていた。まず画像転写用基材表面に画像受像層を設けた画像転写フィルム(画像転写媒体)を用い、既存の電子写真方式の画像形成装置等によって前記画像転写フィルムの画像受像層上に画像を一旦形成する。その後、前記画像転写フィルムの画像が形成された面を前記プラスチックシート側に向けて積層し、加熱および加圧してラミネートする。画像が冷却固化した後に、前記画像転写フィルムの画像転写用基材を剥離して、画像と画像受像層をプラスチックシート上に転写させることで、プラスチックシート表面に画像が形成される。その後、打ち抜き装置等を用いてプラスチックシートからカード形状に打ち抜くことで、画像を形成したカードが得られる。
【特許文献1】特開2006−276304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ICチップやアンテナを埋め込んだ接触型または非接触型のICカードの表面に画像を形成する場合、前記プラスチックシート(記録媒体)の内部には予めICチップやアンテナといった、前記プラスチックとは材料の異なる部材が埋め込まれている。これらのICチップやアンテナ等の材料とプラスチックの材料とでは熱膨張率が異なっており、高い温度で加熱されることにより前記プラスチックシートにそりや変形が生じ、元に戻らないとの欠点を有していた。しかし、電子写真方式の画像形成に用いられる画像形成材料は高い温度での加熱を行わなければ接着力が発現せず、これらICチップ等を埋め込んだプラスチックシートには画像を形成することが困難であった。
【0005】
尚、上記のごときICチップやアンテナ等を埋め込んだプラスチック製のカードに限らず、表面に画像転写媒体によって画像が形成される記録媒体として熱膨張率が異なる2種以上の材料が用いられた記録媒体を用いる場合であれば、高い温度での加熱によってそりや変形の問題の発生は、解決が望まれる課題であった。
【0006】
即ち本発明の目的は、そりや変形のない画像記録体を製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の本発明により達成される。
すなわち請求項1に係る発明は、
接着層保持基材の少なくとも片面側に接着層を有する接着層保持媒体と、記録媒体と、を前記接着層が前記記録媒体と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ工程、前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第1の加熱加圧工程、並びに、前記第1の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材を剥離する第1の剥離工程を経て前記記録媒体表面に接着層を形成する記録媒体表面接着層形成工程と、
画像転写用基材の少なくとも片面側に画像受像層を有する画像転写媒体の前記画像受像層に、画像形成材料からなる画像を形成する画像形成工程と、
前記画像形成工程を経た画像転写媒体と、前記記録媒体表面接着層形成工程を経た記録媒体と、を前記接着層が前記画像受像層と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ工程と、
前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第2の加熱加圧工程と、
前記第2の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材を剥離する第2の剥離工程と、
を少なくとも有する画像記録体の製造方法である。
【0008】
請求項2に係る発明は、
前記第1の加熱加圧工程および第2の加熱加圧工程における加熱温度が、前記記録媒体に用いられる材料のガラス転移温度の内、最も低いガラス転移温度未満である請求項1に記載の画像記録体の製造方法である。
【0009】
請求項3に係る発明は、
前記画像形成工程における画像の形成が、電子写真方式によって行われる請求項1または請求項2に記載の画像記録体の製造方法である。
【0010】
請求項4に係る発明は、
画像転写用基材の少なくとも片面側に画像受像層を有する画像転写媒体の前記画像受像層に、画像形成材料からなる画像を形成する画像形成工程と、
接着層保持基材の少なくとも片面側に接着層を有する接着層保持媒体と、前記画像形成工程を経た画像転写媒体と、を前記接着層が前記画像受像層と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ工程、前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第1の加熱加圧工程、並びに、前記第1の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材を剥離する第1の剥離工程を経て前記画像受像層表面に接着層を形成する画像受像層表面接着層形成工程と、
前記画像受像層表面接着層形成工程を経た画像転写媒体と、記録媒体と、を前記接着層が前記記録媒体と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ工程と、
前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第2の加熱加圧工程と、
前記第2の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材を剥離する第2の剥離工程と、
を少なくとも有する画像記録体の製造方法である。
【0011】
請求項5に係る発明は、
前記第2の加熱加圧工程における加熱温度が、前記記録媒体に用いられる材料のガラス転移温度の内、最も低いガラス転移温度未満である請求項4に記載の画像記録体の製造方法である。
【0012】
請求項6に係る発明は、
前記画像形成工程における画像の形成が、電子写真方式によって行われる請求項4または請求項5に記載の画像記録体の製造方法である。
【0013】
請求項7に係る発明は、
接着層保持基材の少なくとも片面側に接着層を有する接着層保持媒体と、記録媒体と、を前記接着層が前記記録媒体と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ手段、前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第1の加熱加圧手段、並びに、前記第1の加熱加圧手段によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材を剥離する第1の剥離手段によって前記記録媒体表面に接着層を形成する記録媒体表面接着層形成手段と、
画像転写用基材の少なくとも片面側に画像受像層を有する画像転写媒体の前記画像受像層に、画像形成材料からなる画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって画像が形成された画像転写媒体と、前記記録媒体表面接着層形成手段によって接着層が形成された記録媒体と、を前記接着層が前記画像受像層と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ手段と、
前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第2の加熱加圧手段と、
前記第2の加熱加圧手段によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材を剥離する第2の剥離手段と、
を少なくとも有する画像記録体の製造装置である。
【0014】
請求項8に係る発明は、
画像転写用基材の少なくとも片面側に画像受像層を有する画像転写媒体の前記画像受像層に、画像形成材料からなる画像を形成する画像形成手段と、
接着層保持基材の少なくとも片面側に接着層を有する接着層保持媒体と、前記画像形成手段によって画像が形成された画像転写媒体と、を前記接着層が前記画像受像層と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ手段、前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第1の加熱加圧手段、並びに、前記第1の加熱加圧手段によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材を剥離する第1の剥離手段によって前記画像受像層表面に接着層を形成する画像受像層表面接着層形成手段と、
前記画像受像層表面接着層形成手段によって接着層が形成された画像転写媒体と、記録媒体と、を前記接着層が前記記録媒体と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ手段と、
前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第2の加熱加圧手段と、
前記第2の加熱加圧手段によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材を剥離する第2の剥離手段と、
を少なくとも有する画像記録体の製造装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、第1の加熱加圧工程および第2の加熱加圧工程を有しない場合に比べ、そりや変形のない画像記録体が製造される。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、第1の加熱加圧工程および第2の加熱加圧工程における加熱温度が記録媒体に用いられる材料のガラス転移温度の内、最も低いガラス転移温度以上である場合に比べ、そりや変形のない画像記録体が製造される。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、画像の形成が電子写真方式以外の方式によって行われる場合に比べ、画像形成材料による画像がより簡易に且つ良好に形成される。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、第1の加熱加圧工程および第2の加熱加圧工程を有しない場合に比べ、そりや変形のない画像記録体が製造される。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、第2の加熱加圧工程における加熱温度が記録媒体に用いられる材料のガラス転移温度の内、最も低いガラス転移温度以上である場合に比べ、そりや変形のない画像記録体が製造される。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、画像の形成が電子写真方式以外の方式によって行われる場合に比べ、画像形成材料による画像がより簡易に且つ良好に形成される。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、第1の加熱加圧手段および第2の加熱加圧手段を有しない場合に比べ、そりや変形のない画像記録体が製造される。
【0022】
請求項8に係る発明によれば、第1の加熱加圧手段および第2の加熱加圧手段を有しない場合に比べ、そりや変形のない画像記録体が製造される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0024】
第1実施形態に係る画像記録体の製造方法は、下記(1)〜(5)の各工程を少なくとも有する。
(1)下記(1−A)〜(1−C)の各工程を経て前記記録媒体表面に接着層を形成する記録媒体表面接着層形成工程
(1−A)接着層保持基材の少なくとも片面側に接着層を有する接着層保持媒体と、記録媒体と、を前記接着層が前記記録媒体と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ工程
(1−B)前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第1の加熱加圧工程
(1−C)前記第1の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材を剥離する第1の剥離工程
(2)画像転写用基材の少なくとも片面側に画像受像層を有する画像転写媒体の前記画像受像層に、画像形成材料からなる画像を形成する画像形成工程
(3)前記画像形成工程を経た画像転写媒体と、前記記録媒体表面接着層形成工程を経た記録媒体と、を前記接着層が前記画像受像層と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ工程
(4)前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第2の加熱加圧工程
(5)前記第2の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材を剥離する第2の剥離工程
【0025】
また、第2実施形態に係る画像記録体の製造方法は、下記(I)〜(V)の各工程を少なくとも有する。
(I)画像転写用基材の少なくとも片面側に画像受像層を有する画像転写媒体の前記画像受像層に、画像形成材料からなる画像を形成する画像形成工程
(II)下記(II−A)〜(II−C)の各工程を経て前記画像受像層表面に接着層を形成する画像受像層表面接着層形成工程
(II−A)接着層保持基材の少なくとも片面側に接着層を有する接着層保持媒体と、前記画像形成工程を経た画像転写媒体と、を前記接着層が前記画像受像層と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ工程
(II−B)前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第1の加熱加圧工程
(II−C)前記第1の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材を剥離する第1の剥離工程
(III)前記画像受像層表面接着層形成工程を経た画像転写媒体と、記録媒体と、を前記接着層が前記記録媒体と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ工程
(IV)前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第2の加熱加圧工程
(V)前記第2の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材を剥離する第2の剥離工程
【0026】
ここで、ICチップやアンテナを埋め込んだ接触型または非接触型のICカードの表面に画像を形成する場合、前記プラスチックシート(記録媒体)の内部には予めICチップやアンテナといった、前記プラスチックとは材料の異なる部材が埋め込まれている。これらのICチップやアンテナ等の材料とプラスチックの材料とでは熱膨張率が異なっており、高い温度で加熱されることにより前記プラスチックシートにそりや変形が生じ、元に戻らないとの欠点を有していた。しかし、電子写真方式の画像形成に用いられる画像形成材料は高い温度での加熱を行わなければ接着力が発現せず、これらICチップ等を埋め込んだプラスチックシートには画像を形成することが困難であった。
【0027】
尚、上記のごときICチップやアンテナ等を埋め込んだプラスチック製のカードに限らず、表面に画像転写媒体によって画像が形成される記録媒体として熱膨張率が異なる2種以上の材料が用いられた記録媒体を用いる場合であれば、高い温度での加熱によってそりや変形の問題の発生は、解決が望まれる課題であった。
【0028】
これに対し、上記第1実施形態に係る画像記録体の製造方法では、得られる画像記録体の画像受像層と記録媒体とが接着層を介して形成されていることにより、画像受像層と記録媒体とが良好に接着される。更に、該接着層を記録媒体表面へ接着(形成)するための加熱と画像受像層表面へ接着(形成)するための加熱とが、第1および第2の加熱加圧工程として別々に行われている。加熱を上記第1および第2の加熱加圧工程の2回に分けて行うことにより、従来のごとく1回で加熱を行う場合に比べて、加熱の際の最高到達温度をより低減することができる。即ち、加熱の際の最高到達温度をより低減したとしても、画像受像層と記録媒体との良好な接着性が得られる。その結果、画像記録体におけるそりや変形の発生が効率的に抑制される。
尚、上記第2実施形態に係る画像記録体の製造方法においても、画像受像層と記録媒体とが接着層を介して形成され、且つ該接着層を画像受像層表面へ接着(形成)するための加熱と記録媒体表面へ接着(形成)するための加熱とが、第1および第2の加熱加圧工程として別々に行われている。これにより、上記の通り、画像受像層と記録媒体とが良好に接着されると共に得られる画像記録体におけるそりや変形の発生が効率的に抑制される。
【0029】
尚、第1実施形態に係る画像記録体の製造方法においては、前記第1の加熱加圧工程および第2の加熱加圧工程における加熱温度が、前記記録媒体に用いられる材料のガラス転移温度の内、最も低いガラス転移温度未満であることが好ましい。また、第2実施形態に係る画像記録体の製造方法においては、前記第2の加熱加圧工程における加熱温度が、前記記録媒体に用いられる材料のガラス転移温度の内、最も低いガラス転移温度未満であることが好ましい。
記録媒体に用いられる材料はガラス転移温度以上に加熱されることによって、そりや変形の問題がより顕著に発生する。従って、第1実施形態に係る画像記録対の製造方法においては前記第1の加熱加圧工程および第2の加熱加圧工程における加熱温度が、第2実施形態に係る画像記録体の製造方法においては前記第2の加熱加圧工程における加熱温度が、前記記録媒体に用いられる材料のガラス転移温度の内、最も低いガラス転移温度未満であることにより、そりや変形の発生がより効率的に抑制される。
【0030】
尚、記録媒体に用いられる材料のガラス転移温度の内、最も低いガラス転移温度未満の温度にて加熱を行う方法としては、第1の加熱加圧工程および第2の加熱加圧工程の2回に分けて加熱を行うと共に、記録媒体の材料や接着層の材料を選択する等の方法が挙げられる。
【0031】
尚、上記第1実施形態および第2実施形態に係る画像記録体の製造方法は、ICチップやアンテナ等を埋め込んだプラスチック製のカードやタグの製造に用いられる他、プラスチック製のキャッシュカードやプリペイドカード、社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明証、各種表示板(例えば室内案内、広告、表札、自動販売機用サンプル表示など)、文房具(例えば下敷き、クリヤホルダー、筆箱など)、シール等の製造方法としても好適に用いられる。
【0032】
<第1実施形態に係る画像記録体の製造方法>
以下、第1実施形態に係る画像記録体の製造方法について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0033】
(1)記録媒体表面接着層形成工程
記録媒体表面接着層形成工程では、下記(1−A)〜(1−C)の各工程を経て記録媒体表面に接着層を形成する。
【0034】
(1−A)第1の重ね合わせ工程
第1の重ね合わせ工程では、図1(A)に示す接着層保持基材14の少なくとも片面側に接着層12を有する接着層保持媒体10を用い、該接着層保持媒体10と記録媒体20とを、図1(B)に示すごとく前記接着層12が前記記録媒体20と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする。
接着層保持媒体10と記録媒体20との重ね合わせは、接着層保持媒体10と記録媒体20とを手で保持して揃えることにより行ってもよいし、丁合い受け皿などに接着層保持媒体10および記録媒体20を順次排出し、揃えることにより行ってもよい。
【0035】
(1−B)第1の加熱加圧工程
第1の加熱加圧工程では、前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層12を溶融する。
前記第1の加熱加圧工程における加圧方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。これらの中でも、熱を加えることによりラミネートするヒートプレス法を用いることが好ましく、例えば、接着層保持媒体10と記録媒体20との第1の積層体を、加熱可能な1対の熱ロールで挟持される部分に挿通させることにより、接着層12を熱溶融させ熱融着させる、通常のラミネート技法、並びにラミネート装置を用いて、加熱および加圧させることができる。
【0036】
上記第1の加熱加圧工程における加熱温度としては、前記接着層12に用いる接着剤のガラス転移温度以上とすることが好ましい。また前述の通り、前記記録媒体20のガラス転移温度未満であることが好ましい。以上の観点から、用いる接着剤および記録媒体20によっても異なるが、40℃以上80℃以下であることが好ましく、50℃以上65℃以下であることがより好ましい。また圧力は、100kN/m以上2000kN/m以下であることが好ましく、500kN/m以上1000kN/m以下であることがより好ましい。
尚、接着層12に用いる接着剤のガラス転移温度(Tg)および記録媒体20のガラス転移温度(Tg)の測定方法については後述する。
【0037】
(1−C)第1の剥離工程
第1の剥離工程では、前記第1の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層12を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材14を剥離する。前記接着層保持基材14を記録媒体20から剥すことにより、図1(C)に示す通り、記録媒体20表面に接着層12が形成される。
尚、前記冷却固化する温度は、具体的には接着層12に用いる接着剤が十分固まる軟化点以下の温度であり、例えば前記接着剤のガラス転移温度以下であり、常温(20℃)以上30℃以下とすることが好ましい。
【0038】
尚、上記接着層保持基材14の剥離方法としては、特に限定されないが、公知の剥離装置を用いた剥離方法や、剥離爪、剥離板(バッフル)を用いて強制的に力を作用させる方法、接着層保持基材14の端面を指で掴んで記録媒体20から徐々に剥していく方法等のを用いることができる。
【0039】
(2)画像形成工程
画像形成工程では、図1(D)に示す画像転写用基材34の少なくとも片面側に画像受像層32を有する画像転写媒体30の前記画像受像層32に、図1(E)に示すごとく例えば鏡像で画像形成材料からなる画像40を形成する。
【0040】
第1実施形態における画像形成工程では、画像40を形成する方法として、例えば電子写真方式、インクジェット方式、感熱転写方式等の公知の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。以下においては、これらの中でも特に好ましい態様である電子写真方式を用いて画像40を形成する方法について説明する。
【0041】
電子写真方式による画像転写媒体30への画像40の形成は、まず電子写真用像保持体(感光体)の表面に電荷を与え帯電させた後、該像保持体表面に、得られた画像情報を露光し、露光に対応した静電潜像を形成する。次に、前記像保持体表面の静電潜像に現像器から画像形成材料であるトナーを供給することで、静電潜像がトナーによって可視化現像される(トナー画像が形成される)。さらに、形成されたトナー画像を、画像転写媒体30表面の画像受像層32が形成された面に転写し、最後に熱や圧力などによりトナーが画像受像層32表面に定着されて、画像形成材料による画像40が形成される。
【0042】
第1実施形態では、画像転写媒体30の画像受像層32に形成される画像40は反転画像(鏡像画像)とすることが好ましく、この場合において前記像保持体表面に静電潜像を形成する際には、上記像保持体表面に露光される画像情報としては鏡像の情報が提供されることが好ましい。
【0043】
また、画像転写媒体30表面に形成されたトナー画像の定着は、該画像転写媒体30表面の温度が、トナーの溶融温度以下となるようにして行うことが好ましい。通常のトナーの溶融温度を考慮すると、前記画像転写媒体30の表面温度が130℃以下となるようにして行うことが好ましく、110℃以下となるようにして行うことがより好ましい。
【0044】
また、紙などと重ね合わせて搬送し、定着装置での画像転写媒体30のコシを補ったり、フィルムエッジ部分にガイドが当たるように定着装置内を改造/調整することが望ましい。
【0045】
次いで、上記画像形成工程にて用いられる画像形成材料について説明する。画像形成材料としては、画像40を形成する方法に電子写真法を用いる場合であれば「トナー」を用いる。これらの画像形成材料には、少なくとも離型剤を含有することを要する。
【0046】
以下においては、特に好ましい態様である電子写真法に用いるトナーについて説明する。トナーは、例えば、公知の結着樹脂、着色剤、帯電制御剤等の成分と、上記の通り離型剤と、を用いて製造することができる。特に製造方法により限定されるものではなく、公知の混練粉砕法、乳化重合凝集法、懸濁重合法等の方法により製造することができる。
【0047】
ここで、上記離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、ワックス等がある。ワックスとしては、パラフィンワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体等を使用できる。誘導体としては酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物などを含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等も使用できる。これらの中でも、ポリオレフィンワックスが特に好ましい。
【0048】
トナー中における離型剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20質量部以下であることが好ましく、5.0質量部以上10質量部以下であることが特に好ましい。
【0049】
(3)第2の重ね合わせ工程
第2の重ね合わせ工程では、前記画像形成工程を経た画像転写媒体30と前記記録媒体表面接着層形成工程を経た記録媒体20とを、図1(F)に示すごとく前記接着層12が前記画像受像層32と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする。
画像転写媒体30と記録媒体20との重ね合わせは、画像転写媒体30と記録媒体20とを手で保持して揃えることにより行ってもよいし、丁合い受け皿などに画像転写媒体30および記録媒体20を順次排出し、揃えることにより行ってもよい。
【0050】
(4)第2の加熱加圧工程
第2の加熱加圧工程では、前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層12を溶融する。
前記第2の加熱加圧工程における加圧方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。これらの中でも、熱を加えることによりラミネートするヒートプレス法を用いることが好ましく、例えば、画像転写媒体30と記録媒体20との第2の積層体を、加熱可能な1対の熱ロールで挟持される部分に挿通させることにより、接着層12を熱溶融させ熱融着させる、通常のラミネート技法、並びにラミネート装置を用いて、加熱および加圧させることができる。
【0051】
上記第2の加熱加圧工程における加熱温度としては、前記接着層12に用いる接着剤のガラス転移温度以上とすることが好ましい。また前述の通り、前記記録媒体20のガラス転移温度未満であることが好ましい。以上の観点から、用いる接着剤および記録媒体20によっても異なるが、40℃以上80℃以下であることが好ましく、50℃以上65℃以下であることがより好ましい。また圧力は、100kN/m以上2000kN/m以下であることが好ましく、500kN/m以上1000kN/m以下であることがより好ましい。
尚、接着層12に用いる接着剤のガラス転移温度(Tg)および記録媒体20のガラス転移温度(Tg)の測定方法については後述する。
【0052】
(5)第2の剥離工程
第2の剥離工程では、前記第2の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層12を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材34を剥離する。前記画像転写用基材34を記録媒体20から剥すことにより、図1(G)に示す通り、画像記録体が製造される。
尚、前記冷却固化する温度は、具体的には接着層12に用いる接着剤が十分固まる軟化点以下の温度であり、例えば前記接着剤のガラス転移温度以下であり、常温(20℃)以上30℃以下とすることが好ましい。
【0053】
尚、上記画像転写用基材34の剥離方法としては、特に限定されないが、公知の剥離装置を用いた剥離方法や、剥離爪、剥離板(バッフル)を用いて強制的に力を作用させる方法、画像転写用基材34の端面を指で掴んで記録媒体20から徐々に剥していく方法等のを用いることができる。
【0054】
ついで、第1実施形態に係る画像記録体の製造方法に用いる接着層保持媒体10、記録媒体20、および画像転写媒体30について説明する。
【0055】
−接着層保持媒体−
接着層保持媒体10は、図1(A)に示すごとく、接着層保持基材14の少なくとも片面側に接着層12を有している。尚、更に接着層保持基材14と接着層12とが離型層を介して形成されていてもよい。
【0056】
・接着層
前記接着層保持媒体10における接着層12とは、加熱によって溶融しその後冷却されて固化することにより接着性を発現する接着剤を含有する層を指す。尚、前記「接着性」とは、化学的もしくは物理的な力またはその両者によって二つの面が結合した状態を示す性質を意味する。
【0057】
第1実施形態において接着層12に好適に用いられる接着剤としては、例えば、熱硬化性樹脂系、エラストマー系、熱可塑性樹脂系、エマルジョン系等が挙げられる。
これらの中でも、前記第1および第2の加熱加圧工程における加熱温度を前記記録媒体20のガラス転移温度未満に制御する観点から、常温で固体であり、且つ加熱時に軟化する特性を持つ熱可塑性樹脂系(ホットメルト系を含む)が特に好適に用いられる。
【0058】
ここで、上記接着剤のガラス転移温度の測定は、一般的な熱分析手法として用いられる示差走査熱測定(Differential scanning calorimetry:DSCと略す)の方法にて行われ、本明細書に記載の数値は当該方法によって測定したものである。なお、ガラス転移温度は、吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とした。
また、記録媒体のガラス転移温度の測定も、上記方法に準じて行われる。
【0059】
・接着層保持基材
前記接着層保持基材14としては、後述の画像転写媒体30において画像転写用基材34として列挙される各基材を適用することができる。
【0060】
・離型層
前記離型層は、前記第1の剥離工程において接着層保持基材14の剥離が良好に行われるように設けられる層であり、離型性材料が含まれている。尚、該離型性材料としては、後述の画像転写媒体30における離型層の説明において列挙される離型性材料を適用することができる。
【0061】
・接着層保持媒体の作製(各層の塗工)
上記接着層保持媒体10の製造例として、前記接着層保持基材14の少なくとも片面に離型層と接着層12とを有する接着層保持媒体10の製造方法について説明する。
まず、離型性材料等を含有してなる離型層は、後述の離型性材料等の各成分を有機溶媒もしくは水などを用いて混合し、超音波、ウエーブローター、アトライター、サンドミルなどの装置により分散させ塗工液を調製する。該塗工液をそのままの状態で、接着層保持基材14の表面へ塗布あるいは含浸させることによって形成することができる。
【0062】
塗布あるいは含浸させる方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、ロール塗布法、キスリバース塗布法、リバースロール塗布法、スクイズ塗布法、ダイコーティング法、コンマコーティング法、ファウンテンリバースコーティング法、グラビア塗布法等の通常使用される方法を採用することができる。
【0063】
また、前記塗工液の作製において、溶媒は特に限定されない。具体的な例としては、トルエンやキシレンの脂肪族炭化水素、塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、メチルエチルケトンやシクロヘキサノン等のケトン系、そのほかテトラヒドロフラン、酢酸エチルおよびこれら溶媒の混合物やこれ以外の貧溶媒との混合溶媒などでも良い。
【0064】
塗工された離型層の乾燥は、風乾でもよいが、熱乾燥を行えば容易に乾燥することができる。乾燥方法としては、オーブンに入れる方法、オーブンに通す方法、加熱ローラに接触させる方法など通常使用される方法を採用することができる。
【0065】
次いで、該離型層表面に接着層12が形成される。接着層12の形成は、例えば以下のごとく行うことができる。
ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、ロール塗布法、キスリバース塗布法、リバースロール塗布法、スクイズ塗布法、ダイコーティング法、コンマコーティング法、ファウンテンリバースコーティング法、グラビア塗布法等の通常使用される方法を採用することができる。
【0066】
このようにして接着層保持媒体において、接着層保持基材14の膜厚としては10μm以上100μm以下であることが好ましい。また、離型層の膜厚としては0.3μm以上3μm以下であることが好ましい。更に、接着層12の膜厚としては3μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0067】
−記録媒体−
第1実施形態に用いられる記録媒体20について説明する。該記録媒体20としては、金属、プラスチック、セラミックなどを挙げることができ、さらにこれらはシート状のものが好ましい。
これらの中でも、記録媒体20としては、プラスチックシートが好ましく、特に画像記録体としたときに形成された画像40が見えやすいよう不透明であることが好ましく、白色化したプラスチックシートが代表的に使用される。
【0068】
上記プラスチックシート用樹脂としては、後述の前記画像転写媒体30の画像転写用基材34に用い得るものを用いることができる。具体的には、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどを好ましく用いることができる。
【0069】
上記の中でも、ポリエステルフィルム、特にPET(ポリエチレンテレフタレート)のエチレングリコール成分の半分程度を1,4−シクロへキサンメタノール成分に置き換えたPETGと呼ばれるものや、前記PETにポリカーボネートを混ぜアロイ化させたもの、さらに二軸延伸しないPETで、A−PETと呼ばれる非晶質系ポリエステル等をより好ましく用いることができる。
【0070】
また、塩素を含まない記録媒体20の使用を考慮し、さらなる材料として、前記ポリスチレン系樹脂シート、ABS樹脂シート、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂シート、またPETシートや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂シートに、ポリエステルやEVA等のホットメルト系接着剤が付加されているシート等も好ましく用いることができる。
【0071】
プラスチックを白色化する方法としては、白色顔料、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化カルシウム等の金属酸化物粒子、有機の白色顔料、ポリマー粒子等をフィルム中に混入させる方法が使用できる。また、プラスチックシート表面にサンドブラスタ処理やエンボス加工等を施すことにより、プラスチックシートの表面を凹凸にし、その凹凸による光の散乱によりプラスチックシートを白色化することもできる。
【0072】
上記記録媒体20としては、厚さ75μm以上1000μm以下の範囲のプラスチックからなるシートを用いることが好ましく、厚さ100μm以上750μm以下の範囲のPETGシートを用いることがより好ましい。
【0073】
第1実施形態に係る画像記録体の製造方法によって得られる画像記録体が、ICカード等として用いられる場合には、記録媒体20として、その内部または表面に半導体回路を有するものを用いることができる。
記録媒体中に半導体回路を内蔵させる方法としては、前記半導体回路が固定されたインレットと呼ばれるシートを、記録媒体20を構成するシート材料間に挟み、熱プレスによって熱融着一体化させる方法が一般的に好ましく用いられる。また、上記インレットシートなしに直接、半導体回路を配置し、上記に示す方法にて熱融着一体化させる方法も可能である。
【0074】
その他、上記熱融着によらず、ホットメルト等の接着剤を用いて、前記記録媒体20を構成するシートどうしを貼り合わせ、上記に示す方法にて、半導体回路を内蔵させることも可能であるが、これらに限られるものではなく、例えば、ICカードに半導体回路を内蔵させる方法であれば、いずれも前記記録媒体20の製造方法として適用することができる。
さらに、画像記録体として使用上問題がなければ、半導体回路を記録媒体20の内部ではなく、表面に露出した状態で配置することも可能である。
【0075】
なお、上記画像記録体がICカードだけでなく、磁気カード等として用いられる場合には、必要に応じて記録媒体にアンテナ、磁気ストライプ、外部端子などが埋め込まれる。また、磁気ストライプ、ホログラム等が印刷されたり、必要文字情報がエンボスされる場合がある。
【0076】
ここで、上記記録媒体20のガラス転移温度の測定は先に述べた方法にて行うことができ、本明細書に記載の数値は当該方法によって測定したものである。
【0077】
−画像転写媒体−
第1実施形態に用いられる画像転写媒体30としては、(a)画像転写用基材34と、該画像転写用基材34の少なくとも片面に、(b)画像受像層32と、を有する。また、画像転写用基材34はその画像受像層形成側表面に(c)離型層を有する(即ち、画像受像層32が離型層を介して画像転写用基材34上に形成される)ことが好ましい。
【0078】
(a)画像転写用基材
第1実施形態に係る画像記録体の製造方法に用いられる画像転写媒体30に使用可能な画像転写用基材34は、特に光透過性を有する必要はない。ここで、光透過性とは、例えば、可視光領域の光をある程度、透過する性質をいい、少なくとも画像が形成された面と反対側の面から該画像が画像転写用基材を通して目視できる程度に透明であればよい。
【0079】
上記画像転写用基材34としては、紙(普通紙、コート紙等)、金属(アルミニウム等)、プラスチックおよびセラミックス(アルミナ等)が好適に挙げられる。該画像転写用基材34の形状としては、特に制限はなく、画像転写用基材34として公知の形状から選択することができるが、フィルム状が好ましい。
【0080】
前記画像転写用基材34としては、プラスチックフィルムを好ましく用いることができる。この中でも、OHPフィルムとして使用できる光透過性のあるフィルムである、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどを好ましく用いることができる。
【0081】
また、上記各種プラスチックフィルムの中でも、ポリエステルフィルム、特にエチレングリコール、テレフタル酸を用いたPET(ポリエチレンテレフタレート)のエチレングリコール成分の半分前後を、1,4−シクロヘキサンメタノール成分に置き換えて共重合させたPETGと呼ばれるものが優れ、その他、前記PETGにポリカーボネートを混ぜアロイ化させたもの、さらに二軸延伸しないPETで、A−PETと呼ばれる非晶質系ポリエステル等を好ましく用いることができる。
なお、前記エチレングリコール、テレフタル酸および1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を少なくとも共重合させたポリエステル樹脂(以下、「PETG樹脂」と称す場合がある)が特に好ましい。
【0082】
第1実施形態に用いられる画像転写用基材34は、加熱加圧性(ラミネート性)の観点から、2つ以上の層から構成されることが好ましい。
この場合、例えば、少なくとも画像転写用基材34の外側の面を形成するいずれかの層にPETG樹脂が含まれていることが好ましく、この層がPETG樹脂のみからなる層であってもよいが、画像転写用基材34はPETG樹脂を含む層と、これ以外の成分からなる層とから構成されることがより好ましい。この層を構成する材料としては、PETG樹脂よりも軟化点温度が高いポリエステル系樹脂を用いることが好適であり、この材料としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、およびこれらの混合あるいは共重合体、またはポリエチレンテレフタレート(PET)などが望ましい。またこれらの画像転写用基材34は、二軸延伸を施してあることが好ましい。
【0083】
なお、上記のポリカーボネートは、ビスフェノール類と炭酸とから得られる重縮合物であり、ポリアリレートは、ビスフェノールと芳香族ジカルボン酸との重縮合により得られるポリエステルである。
【0084】
前記ビスフェノール類としては、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールC(4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2−メチルフェノール))、ビスフェノールAP(4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール)、ビスフェノールZ(4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンビス(3−メチルフェノール)、5,5’−(1−メチルエチリデン)(1,1’−ビフェニル)−2−オール、(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール、3,3’−ジメチル(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスフェノール)、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(2−メチルフェノール))、4,4’−(1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(2−メチルフェノール))、ビスフェノールS(4,4’−ビス(ジヒドロキシジフェニルスルホン)等が挙げられるが、ビスフェノールAのものが良く用いられている。また、これらは単独で使用しても良いし、2種以上混合して使用しても良い。
【0085】
前記芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、イタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アイコ酸二酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。これら原料は必ずしも1種類で用いる必要はなく、2種以上共重合しても良い。これらのなかでは、テレフタル酸成分および/またはイソフタル酸成分との混合物を用いることが好ましい。かかる混合物のとき、その混合比は自由に選ぶことができるが、テレフタル酸成分/イソフタル酸成分=9/1乃至1/9(モル比)の範囲が好ましく、特に溶融加工性および性能のバランスの点で7/3乃至3/7(モル比)の範囲、更には1/1(モル比)がより好ましい。
【0086】
上記画像転写用基材の製造方法は特に限定されないが、共押出し法、貼り合わせ法等、公知の方法を利用して作製できる。特に、共押出しによって作製されたものが各々の層間の接着力が強いため望ましい。例えば、画像転写用基材が、上記のポリカーボネートやポリアリレート、またはその共重合体、あるいはPETからなるフィルム1(I層)と、その片面あるいは両面にPETG樹脂からなるフィルム2(II層)と、を積層したものである場合、例えば、以下のように製造することができる。
【0087】
まず、フィルム1(I層)の片面あるいは両面にフィルム2(II層)を積層する方法としては、フィルム1(I層)を構成する組成物と、フィルム2(II層)を構成する組成物とを、別々の押出し機に供給した後、溶融状態で同一のダイから積層しながら押出す共押出法により、未延伸フィルムを得ることができる。
【0088】
上記未延伸フィルムをそのまま画像転写用基材として用いることもできるが、さらにこの未延伸フィルムを、速度差を持ったロール間での延伸(ロール延伸)や、クリップに把持して拡げていくことによる延伸(テンター延伸)や、空気圧によって拡げることによる延伸(インフレーション延伸)等によって二軸配向処理し、これを画像転写用基材34として用いてもよい。
【0089】
なお、一般的に画像転写用基材34を作製する際には、共押出しされた後、縦延伸工程に入り、周速が異なる2本あるいは多数本ロール間で延伸し、目的のフィルム厚みに調整して巻き取られる。二軸延伸の場合は、上記工程を通ったフィルムをそのままテンターに導入し、幅方向に2.5倍以上5倍以下に延伸する。このときの好ましい延伸温度は100℃以上200℃以下の範囲である。
このようにして得られた二軸延伸フィルムは、必要に応じて熱処理が施される。熱処理はテンター内で行うのが好ましく、特に縦横方向に緩和しながら熱処理することが好ましい。
【0090】
また、上記プラスチックフィルム以外にも、前述の通り画像転写用基材34として紙を好適に用いることができ、該紙としては、例えば、化学パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、ソーダパルプ等の木材およびその他の繊維原料を化学的に処理し、晒し工程を経て作られたバージンの晒ケミカルパルプが挙げられる。これらの中でも、特に、白色度の高いパルプが好ましい。また、古紙パルプとしては、製本、印刷工場、裁断所等において発生する上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙を解離した古紙パルプ、上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙、更紙等に平板、凸版、凹版、印刷等、電子写真方式、感熱方式、熱転写方式、感圧記録紙、インクジェット記録方式、カーボン紙等により印字された古紙、水性、油性インクや鉛筆等で筆記された古紙、新聞古紙を解離後、最適な方法で脱墨した古紙パルプ等が挙げられる。これらの中でも、特に古紙パルプが好ましい。
【0091】
画像転写用基材34の厚さは、50μm以上200μm以下の範囲が好ましく、75μm以上150μm以下の範囲がより好ましい。
また、画像転写用基材34の画像受像層32が設けられる側の面は、表面粗さが小さいことが好ましく、具体的には表面粗さRa(JIS−B0601(1994年)に規定された中心線平均粗さRa)が1μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。
【0092】
(b)画像受像層
前記画像受像層32は、最終的に得られる画像記録体において画像40を保護する最表層となる層でもあり、画像40の良好な視認性を確保する観点からは、光透過性を有することが好ましい。ここで、光透過性とは、例えば、可視光領域の光をある程度、透過する性質をいい、少なくとも画像が形成された面と反対側の面から該画像が画像転写用基材を通して目視できる程度に透明であればよい。
【0093】
・ポリエステル樹脂
上記画像受像層32には、熱溶融性のポリエステル樹脂が好ましく用いられる。一般的にポリエステル樹脂は、多価ヒドロキシ化合物と多塩基性カルボン酸またはその反応性酸誘導体との反応によって製造することができる。ポリエステルを構成する多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール類があるが、上記ポリエステルとしては、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとを用いることが特に好ましい。
【0094】
また、前記多塩基性カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、その他の2価カルボン酸などがあるが、イソフタル酸とテレフタル酸とが特に好ましく利用できる。なお、通常フタル酸は、イソフタル酸とテレフタル酸という構造異性体を有し、そのため、ポリエステルを製造するにあたり、上記両者が半分の割合で必然的に混入する。
【0095】
特に好ましい配合としては、多価ヒドロキシ化合物におけるエチレングリコールと、ネオペンチルグリコールと、の比率(エチレングリコール:ネオペンチルグリコール)がモル比で3:7乃至1:9の範囲である。
【0096】
また、上記ポリエステルの数平均分子量としては、12000以上45000以下の範囲であることが好ましく、20000以上30000以下の範囲であることがより好ましい。
【0097】
・離型性材料
また、画像受像層32には離型性を有する材料(離型性材料)を含有してもよい。
該離型性材料としては、低付着性材料である天然ワックスや合成ワックス、離型性樹脂、反応性シリコーン化合物、変性シリコーンオイルなどの離型性材料を挙げることができる。具体的には、カルナバワックス、密ロウ、モンタンワックス、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックスなどの天然ワックスや低分子量ポリエチレンワックス、低分子量酸化型ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、低分子量酸化型ポリプロピレンワックス、高級脂肪酸ワックス、高級脂肪酸エステルワックス、サゾールワックスなどの合成ワックスなどが挙げられ、これらは単独使用に限らず混合して複数使用することができる。
【0098】
また、離型性樹脂としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂と各種樹脂との変性体である変性シリコーン樹脂(例えば、ポリエステル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、ポリイミド変性シリコーン樹脂、オレフィン変性シリコーン樹脂、エーテル変性シリコーン樹脂、アルコール変性シリコーン樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂、アミノ変性シリコーン樹脂、メルカプト変性シリコーン樹脂、カルボキシ変性シリコーン樹脂)、熱硬化性シリコーン樹脂、光硬化性シリコーン樹脂を添加することができる。
上記変性シリコーン樹脂は、画像形成材料として用いられるトナー樹脂や、前記熱溶融性のポリエステル樹脂等との親和性が高く、適度に混和、相溶し、溶融混和するため好ましい。
【0099】
さらに、より低付着性とするため反応性シラン化合物と変性シリコーンオイルとを混入させてもよい。
【0100】
これらワックスや離型性樹脂などの離型性材料は、前記熱溶融性のポリエステル樹脂の粒子のように、粒子状態で共存させてもよいが、好ましくはポリエステル樹脂中に添加し、樹脂中に分散・相溶させ、ポリエステル樹脂中に取り込んだ状態で利用することが好ましい。
【0101】
尚、画像受像層中において、上記離型性材料の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、3質量部以上12質量部以下であることが好ましい。
【0102】
・表面抵抗率
前記第1実施形態に用いる画像転写媒体30は、画像受像層32の最表面の表面抵抗率が、1.0×10Ω/□以上1.0×1013Ω/□以下の範囲であることが好ましく、1.0×10Ω/□以上1.0×1011Ω/□以下の範囲であることがより好ましい。
また、画像受像層32が画像転写用基材34の片面のみに設けられる場合には、画像転写用基材34の画像受像層32が設けられていない側の画像転写用基材34表面の表面抵抗率が1.0×10Ω/□以上1.0×1013Ω/□以下の範囲であることが好ましく、1.0×10Ω/□以上1.0×1011Ω/□以下の範囲であることが好ましい。
【0103】
なお、上記表面抵抗率は、23℃55%RHの環境下で、円形電極(例えば三菱油化(株)製ハイレスターIPの「HRプローブ」)を用い、JIS−K6911(1995年)に従って測定することができる。
また、第1実施形態における画像転写媒体30において、片面のみが上記範囲の表面抵抗率を有する場合には、当該面は画像40が形成される側の面であることが好ましい。
【0104】
画像転写用基材34表面に設けられた画像受像層32の最表面の表面抵抗率を1.0×10Ω/□以上1.0×1013Ω/□以下の範囲内に制御するにあたっては、画像受像層32中に帯電制御剤として高分子導電剤、界面活性剤、導電性金属酸化物粒子等を添加することが好ましい。また、画像転写用基材34表面の表面抵抗率を上記範囲に制御するにあたっては、画像転写用基材34として、例えばプラスチックフィルムを用いる場合であれば、製造時に、該画像転写用基材34に高分子導電剤、界面活性剤、導電性金属酸化物粒子等を樹脂中に添加したり、上記プラスチックフィルム表面に界面活性剤を塗工したり、金属薄膜を蒸着したり、あるいは接着剤などに界面活性剤などを適量添加したりすることで調整することが好ましい。
【0105】
ここで、用いることのできる界面活性剤としては、例えば、ポリアミン類、アンモニウム塩類、スルホニウム塩類、ホスホニウム塩類、ベタイン系両性塩類などのカチオン系界面活性剤、アルキルホスフェートなどのアニオン系界面活性剤、脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤が挙げられる。特に画像転写媒体への画像形成を電子写真方式によって行う場合には、これらの界面活性剤の中でも、昨今の電子写真用の負帯電型トナーと相互作用の大きいカチオン系界面活性剤が好ましい。
【0106】
カチオン系界面活性剤の中でも、4級アンモニウム塩類が好ましい。4級アンモニウム塩類としては下記の一般式(I)で代表される化合物が好ましい。
【0107】
【化1】



【0108】
式中、Rは炭素数6以上22以下アルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、Rは炭素数1以上6以下のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基を表す。R,R,Rは同一でも異なってもよく、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表す。脂肪族基とは、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基をいう。芳香族基とは、ベンゼン単環、縮合多環のアリール基を表す。これらの基は水酸基等の置換基を有してもよい。Aはアミド結合、エーテル結合、エステル結合、フェニレン基、または単結合を表す。Xは、ハロゲン元素、硫酸イオン、硝酸イオンを表し、これらのイオンは置換基を有しても良い。
【0109】
また、上記導電性金属酸化物粒子としては、ZnO、SnO、In、MgO、BaOおよびMoO等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、これらの複合して使用してもよい。また、金属酸化物としては、異種元素をさらに含有するものが好ましく、例えば、ZnOに対してAl、In等、TiOに対してNb、Ta等、SnOに対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させたものが好ましい。これらの中で、SbをドーピングしたSnOが特に好ましい。
【0110】
・その他の添加剤
また、搬送性を向上させる観点から、画像受像層32にはマット剤が添加されることが好ましい。上記マット剤に使用される潤滑性を有する樹脂としては、ポリエチレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素樹脂;を挙げることができる。具体的には、低分子量ポリオレフィン系ワックス(例えばポリエチレン系ワックス、分子量1000以上5000以下)、高密度ポリエチレン系ワックス、パラフィン系またはマイクロクリスタリン系のワックスを挙げることができる。
また、フッ素樹脂の例としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液を挙げることができる。
【0111】
また、画像受像層32には球状フィラーを添加することが好ましい。該球状フィラーとしては限定されるものではないが、有機樹脂粒子から構成されるものの場合、具体的には、スチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、2−クロロブタジエン等のジエン系モノマーの1種以上を重合させて得られる単独重合体あるいは共重合体を例示することができる。
これらの中で、スチレン類、α−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類等が好ましく、これら熱溶融性樹脂をフィラーとして使用する場合は、これら樹脂を溶解しない溶媒で塗工することにより、光沢制御を目的としたフィラーとして用いることができるが、好ましくは、これら熱溶融性樹脂に架橋剤などを添加して、架橋構造を持たせた熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂などを微粒子化したものがより好ましく用いられる。
【0112】
また、画像受像層32を構成する球状フィラーが、無機粒子から構成される場合、具体的な例示物としては、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、亜鉛華、ハロサイトクレー、カオリン、塩酸性炭酸マグネシウム、石英粉、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナなどが挙げられる。
【0113】
前記フィラーの形状としては、球状粒子が好ましいが、必要に応じて、板状、針状、不定形状のものも用いることができる。また、フィラーの体積平均粒径としては、20μm以下であることが好ましいが、画像受像層膜厚を考慮すると、0.5μm以上15μm以下の範囲であることが特に好ましい。
【0114】
画像受像層32中における球状フィラーと結着剤との質量比(フィラー:結着剤)は、0.3:1乃至3:1の範囲であることが好ましく、0.5:1乃至2:1の範囲であることがより好ましい。
【0115】
また、画像受像層32には、耐光性材料を添加してもよい。耐光性の材料としては、市販されている紫外線吸収剤等を用いることができる。添加する材料は、組成物中での分散安定性が良好で、かつ、光の照射で変性しないものより選ばれる。例えば、有機系の材料ではフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系;等の材料が挙げられる。
また、無機系の材料としては酸化亜鉛、酸化チタンの酸化物粒子、その他、酸化鉄、酸化セリウムなどの金属酸化物粒子が挙げられる。
【0116】
上記紫外線吸収剤としては、特に前記有機系材料が好ましく、画像受像層中のポリエステル樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上40質量部以下、好ましくは0.1質量部以上25質量部以下の範囲で添加することが好ましい。また、紫外線吸収剤は1種に限らず、2種以上を併用することが好ましい。
【0117】
また、画像受像層32には、ヒンダードアミン系光安定剤や酸化防止剤を添加することも好ましい。
前記画像受像層には、耐光性材料としては、市販されている酸化防止剤等を用いることができる。添加する材料は、前記紫外線吸収剤のごとく、組成物中での分散安定性が良好で、かつ、光の照射で変性しないものより選ばれる。例えば、リン酸系、イオウ系、フェノール系、ヒンダードアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
リン酸系酸化防止剤としての具体例としては、トリメチルホスファイト、トルエチルホスファイト、トリ−n−ブチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリセチルホスファイト、ジラウリルハイドロジエンホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス〔3−メチル−6−t−(ブチル)フェニル−ジ−トリデシル〕ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジトリデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビスノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどの亜リン酸エステル化合物などがある。
【0118】
リン酸系酸化防止剤の3価の有機リン化合物としては、公知のものが総て使用でき、例えば特公昭51−40589号、同−25064号、同50−35097号、同49−20928号、同48−22330号、同51−35193号各公報等に記載されるものも使用できる。
【0119】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。3,3’−チオジプロピオン酸−ジ−n−ドデシル、3,3’−チオジプロピオン酸−ジ−ミリスチル、3,3’−チオジプロピオン酸−ジ−n−オクタデシル、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ペンタエルスルトール−テトラキス−(β−ラウリル、ウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、3,3’−チオジプロピオン酸ジメチル、チオグリコール酸オクタデシル、フェノチアジン、β,β’−チオジプロピオン酸、チオグリコール酸−n−ブチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸−n−オクチル、ジ−t−ドデシル−ジサルファイド、n−ブチルサルファイド、ジ−n−アミルジサルファイド、n−ドデシルサルファイド、n−オクタデシルサルファイド、p−チオクレゾールなどがある。
【0120】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−メチル−6−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビスフェノールA、DL−α−トコフェロール、スチレン化フェノール、スチレン化クレゾール、3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシベンズアルデヒド、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,6−ジ−s−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、o−n−ブトキシフェノール、o−t−ブチルフェノール、m−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、o−イソブトキシフェノール、o−n−プロポキシフェノール、o−クレゾール、4,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5,6−テトラメチルフェノール、3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニック酸ステアリルエステル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)メシチレン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフェートル、o−n−プロポキシフェノール、o−クレゾール、4,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5,6−テトラメチルフェノール、3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニック酸ステアリルエステル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)メシチレン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフェート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルベンジルベンゼン、n−オクタデシル−3−(3’,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6(3’−t−ブチル−5’−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノンなどがある。
【0121】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−{2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル}−4−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール、テトラキス(2,2,6,6−テト−テトラメチル−4−ピペリジル/デシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどがある。
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で用いても、あるいは2種以上を混合して用いても良い。
【0122】
(c)離型層
第1実施形態における画像転写媒体30においては、前述の通り、前記画像転写用基材34の画像受像層32を形成する側の表面に離型層を有することが好ましい。
該離型層には離型性材料が含まれている。該離型性材料は、画像転写媒体30の非画像部においては、前述の第1および第2の加熱加圧工程を経た後に上記画像受像層32を特に良好に離型し、記録媒体20表面に残存するよう制御するためのものである。
【0123】
この離型性材料としては、特に制限されないが、シリコーン系ハードコート材料が好ましい。なお、上記シリコーン系ハードコート材料とは、少なくともシラン系組成物を含む縮合物樹脂、または、これらとコロイダルシリカ分散液との混合組成物からなるものである。また、画像転写用基材34との接着性を良くするために、さらに有機樹脂を含んでいることが望ましい。
【0124】
上記シラン系組成物としては、具体的には有機珪素化合物であり、シラン化合物、フッ素含有シラン化合物およびイソシアネートシラン化合物などがあり、これらが縮合反応し、樹脂組成物になる。
【0125】
シラン化合物としては、Si(OCH3、CH3Si(OCH33、HSi(OCH33、(CH3Si(OCH3、CH3SiH(OCH3、CSi(OCH33、Si(OC、CH3Si(OC3、(CH3Si(OC、HSi(OC、CSi(OC3、(CH3CHCHSi(OCH33、CH3(CH311Si(OC3、CH3(CH15Si(OC3、CH3(CH17Si(OC3等のアルコキシシラン類;(CH33SiNHSi(CH33等のシラザン類;((CH3)SiNH)CO、tert−C(CH3SiCl等の特殊シリル化剤類;シランカップリング剤;およびHSC3Si(OCH33等のシラン化合物;並びにこれらの加水分解物および部分縮合物等が挙げられる。
【0126】
前記シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン類;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類;等が例示できる。
【0127】
前記フッ素含有シラン化合物類としては、例えば、CF(CHSi(OCH、C13Si(OCH、C15CONH(CHSi(OC、C17Si(OCH、C17SiCH(OCH、C17Si(ON=C(CH)(C))、C19Si(OCH、C19Si(NCO)、(NCO)SiC12Si(NCO)、C19Si(C)(OCH、(CHO)SiC16Si(OCH、(CHO)(CH)SiC18Si(CH)(OCH等のフッ素含有シラン化合物、およびこれらの加水分解物またはその部分縮合物等のシラン化合物が例示できる。
【0128】
前記イソシアネートシラン化合物類としては、(CHSiNCO、(CHSi(NCO)、CHSi(NCO)、ビニルシリルトリイソシアネート、CSi(NCO)、Si(NCO)、COSi(NCO)、C17Si(NCO)、C1837Si(NCO)、(NCO)SiC(NCO)等が例示できる。
【0129】
上記シラン系組成物の縮合物樹脂としては、例えば、熱硬化性(縮合型、付加型)および光硬化性の硬化性シリコーン樹脂等の硬化性シリコーン樹脂が挙げられるが、具体例を挙げると、以下のようになる。
【0130】
前記熱硬化性シリコーン樹脂のうち、縮合型の硬化性シリコーン樹脂としては、末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン等のポリシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリメチルハイドロジェンシロキサン等を配合し、有機スズ触媒等の有機酸金属塩やアミン類等の存在下で加熱縮合して合成した硬化性シリコーン樹脂や、水酸基、アルコキシ基等の反応性の官能性基を末端に持つポリジオルガノシロキサンを反応させて合成した硬化性シリコーン樹脂、さらに、3官能性以上のクロロシランまたはこれらと1,2官能性のクロロシランとの混合物等を加水分解したシラノールを縮合して合成したポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
なお、前記縮合型は、形態的には、溶液型とエマルジョン型とに分類され、そのいずれも好適に使用する事ができる。
【0131】
前記熱硬化性シリコーン樹脂のうち、付加型の硬化性シリコーン樹脂としては、ビニル基を含有するポリジメチルシロキサンの様なポリシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリジメチルハイドロジェンシロキサンを配合して、白金触媒の存在下で反応・硬化させて合成した硬化性シリコーン樹脂等が挙げられる。
なお、前記付加型は、形態的には、溶剤型、エマルジョン型、および無溶剤型に分類され、そのいずれも好適に使用する事ができる。
【0132】
前記縮合型、付加型の硬化で得られる熱硬化性シリコーン樹脂としては、例えば、純シリコーン樹脂、シリコーンアルキド樹脂、シリコーンエポキシ樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、シリコーンアクリル樹脂、シリコーンフェノール樹脂、シリコーンウレタン樹脂、シリコーンメラミン樹脂等が好適に挙げられる。
【0133】
前記光硬化性のシリコーン樹脂としては、光カチオン触媒を利用して合成した硬化性シリコーン樹脂や、ラジカル硬化機構を利用して合成した硬化性シリコーン樹脂等が挙げられる。また、ケイ素原子と結合した水酸基またはアルコキシ基等を有する低分子量ポリシロキサンと、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタンまたはメラミン樹脂等とを光硬化反応させて得られる変性シリコーン樹脂が好ましく用いられる。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0134】
前記硬化性シリコーン樹脂としては、アクリル変性シリコーン樹脂(前記アクリル樹脂と低分子量ポリシロキサンとを光硬化反応させた樹脂)、熱硬化性のシリコーン樹脂が特に好ましい。
【0135】
また、前記アクリル変性シリコーン樹脂においては、アクリル鎖とシリコーン鎖との比率、その硬化条件等を自由に制御することにより表面硬度を調整することが好ましい。上記理由から、熱硬化性のシリコーン樹脂、特にアクリル変性シリコーン樹脂を用いることが望ましい。
前記硬化性シリコーン樹脂としては、アクリル変性シリコーン樹脂と熱硬化性のシリコーン樹脂とを共に含有させても良い。前記アクリル変性シリコーン樹脂と、熱硬化性のシリコーン樹脂と、を共に含有する場合には、その含有比、硬化条件、添加量等により、これらの中間的な性質発現させることが可能となる。
【0136】
前記硬化性シリコーン樹脂として、アクリル変性シリコーン樹脂と熱硬化性のシリコーン樹脂とを共に含有するものを用いる場合、これらの含有質量比(アクリル変性シリコーン樹脂/熱硬化性シリコーン樹脂)としては、硬化性シリコーン樹脂の種類等にもよって異なるため、一概に規定することはできないが、1/100乃至100/1の範囲が好ましく、1/10乃至10/1の範囲がより好ましい。
【0137】
また、前記硬化性シリコーン樹脂として、アクリル変性シリコーン樹脂と熱硬化性のシリコーン樹脂とを共に含有するものを用いる場合、その組み合わせとしては、例えば、アクリル変性シリコーン樹脂とシリコーンアルキド樹脂との組み合わせ、アクリル変性シリコーン樹脂と純シリコーン樹脂との組み合わせ、アクリル変性シリコーン樹脂とシリコーンアルキド樹脂と純シリコーン樹脂との組み合わせが好ましい。
【0138】
前記硬化性シリコーン樹脂の分子量としては、重量平均分子量で10,000以上1,000,000以下の範囲が好ましい。また、前記硬化性シリコーン樹脂における全有機基中のフェニル基の割合としては0.1モル%以上50モル%以下の範囲が好ましい。
【0139】
前記シリコーン系ハードコート材料は、さらに上記シラン組成物の縮合物樹脂の固形分100質量部に対して、5質量部以上25質量部以下の範囲のコロイダルシリカを含むことが望ましい。さらに好ましくは10質量部以上15質量部以下の範囲である。
これらのコロイダルシリカは、通常水性分散液、あるいは水性/有機溶剤分散液の形態にある。これらの製造方法は、例えば米国特許第4914143号明細書、同第3986997号明細書、同第5503935号明細書、同第4177315号明細書に示されている。
また、これらのコロイダルシリカは、透過型電子顕微鏡などで観察すると、直径10ナノメートル(nm)未満の平均粒径を有していて、さらに粒子体積を基準にして、少なくとも80%のコロイダルシリカ粒子が6nm以上9nm以下の範囲の直径を有している。
【0140】
また、上記(b)画像受像層32、(c)離型層のほか、(a)画像転写用基材34上にはその他の層を形成することもできる。
前記画像受像層32表面には、さらに光反射調整層を設けることができる。該光反射調整層とは、第1実施形態に係る画像記録体の製造方法によって製造された画像記録体において、画像受像層32を通して記録媒体20に到達した光が再度画像受像層32に反射して戻ってくる量を調整する層である。即ち、ラミネート面に相対する材料面(即ち記録媒体20表面)の色に影響されないよう隠蔽効果を機能させることを目的として設けられる。
【0141】
例えば黒色の光反射調整層の場合は、記録媒体20に到達した光を吸収することで、記録媒体20からの散乱光が無くなり、画像受像層32の彩度が上がる。一方白色の光反射調整層の場合は、記録媒体20からの散乱光があるため全体的に白色化する。この場合、画像受像層32を正面から全反射でみると白色だが、見る角度を変えて斜めから画像受像層32をみると各種顔料の干渉色に応じた着色面に変化する。
【0142】
例えば、印刷前のカードなどはホワイトカードとも呼ばれるように白色であり、黒色の光反射調整層を設けることが多い。またこの特性を生かして、画像受像層32の上に黒インクなどで文字や記号、絵などの画像を作ることによって記録媒体20からの反射光量のちがいを利用してこれら画像40を正面から見ても着色された画像をすかし技術のように浮き上がらせることができる。特にカードにおいては画像部と非画像部分でのコントラストをカラーコピー機での安易な解像、複写が困難になるため偽造防止の1手段として活用することができる。
【0143】
・画像転写媒体の作製(各層の塗工)
次いで、第1実施形態に用いられる画像転写媒体30の製造方法について説明する。
前述の組成物等を含有してなる画像受像層32は、以下の方法によって画像転写用基材34の表面に形成することができる。例えば、画像受像層32を画像転写用基材34表面に直接形成する場合には、上記画像受像層32の組成物である、ポリエステル樹脂、離型性材料、フィラー等を有機溶媒もしくは水などを用いて混合し、超音波、ウエーブローター、アトライター、サンドミルなどの装置により分散させ塗工液を調製する。該塗工液をそのままの状態で、画像転写用基材34の表面へ塗布あるいは含浸させることによって形成することができる。
【0144】
塗布あるいは含浸させる方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、ロール塗布法、キスリバース塗布法、リバースロール塗布法、スクイズ塗布法、ダイコーティング法、コンマコーティング法、ファウンテンリバースコーティング法、グラビア塗布法等の通常使用される方法を採用することができる。
【0145】
また、前記塗工液の作製において、溶媒は特に限定されない。エチレングリコール、テレフタル酸および1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を共重合させたポリエステル樹脂と画像受像層32中の樹脂との相溶性を引き出す溶媒としては、公知の塗工液の作製に用いられる溶媒であれば特に限定されない。具体的な例としては、トルエンやキシレンの脂肪族炭化水素、塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、メチルエチルケトンやシクロヘキサノン等のケトン系、そのほかテトラヒドロフラン、酢酸エチルおよびこれら溶媒の混合物やこれ以外の貧溶媒との混合溶媒などでもよい。
【0146】
画像転写用基材34の表面に画像受像層32を形成する際の乾燥は、風乾でもよいが、熱乾燥を行えば容易に乾燥することができる。乾燥方法としては、オーブンに入れる方法、オーブンに通す方法、加熱ローラに接触させる方法など通常使用される方法を採用することができる。
【0147】
また、離型層や、その他の層を形成する場合にも、上記画像受像層32の形成方法のごとく、塗工液を調製した上で塗布あるいは含浸させることによって形成することができる。
【0148】
このようにして画像転写用基材34の表面に形成される画像受像層32の膜厚は0.1μm以上20μm以下の範囲であることが好ましく、1.0μm以上10μm以下の範囲であることがより好ましい。また、離型層の膜厚は0.05μm以上2.0μm以下の範囲であることが好ましく、0.2μm以上1.0μm以下の範囲であることがより好ましい。光反射調整層の膜厚は0.1μm以上20μm以下の範囲であることが好ましく、1.0μm以上10μm以下の範囲であることがより好ましい。
【0149】
−画像記録体−
次に、上記第1実施形態に係る画像記録体の製造方法によって得られる画像記録体について説明する。
上記画像記録体は、画像受像層32の表面に画像形成された画像転写媒体30の画像面を、少なくとも記録媒体20の片面に対して加熱加圧工程を経て、接着層12が冷却固化した後、前記画像転写媒体30の画像転写用基材34を記録媒体20から剥離し、画像40および画像受像層32が記録媒体20に転写されることで画像情報が記録される画像記録体である。
【0150】
この画像記録体の態様としては、例えば、(i)表面に情報に応じた画像40が形成された画像転写媒体30から、加熱加圧処理により画像40が記録媒体20に転写された画像シート、画像パネルなどの構成や、(ii)前記記録媒体20の少なくともいずれか1箇所に配置された、電気的手段、磁気的手段、光学的手段から選択される少なくとも1つの手段を利用することにより少なくとも情報の読み出しが可能な情報チップ、を少なくとも含む、ICカード、磁気カード、光カード、あるいはこれらが組み合わさったカードなど、所定の情報を納め、外部装置と接触または非接触に交信可能な画像記録体等の構成が挙げられる。
【0151】
上記(i)に示す画像記録体では、画像40はその一部あるいは全体が何らかの識別機能を有する情報を兼ねるもので、画像情報、文字情報等、識別可能な情報として機能する画像40を含むものであれば特に限定されない。また情報としての画像40の識別は、視覚的に識別できるものであるか否かは特に限定されず、機械的に識別できるものであってもよい。
【0152】
また、上記(ii)に示す画像記録体では、情報チップが何らかの識別機能を有する情報を有しており、電気的手段、磁気的手段、光学的手段から選択される少なくとも1つの手段を利用することにより読み出し可能であれば特に限定されない。この情報チップは、情報の読み出し専用であってもよいが、必要に応じて情報の読み出しと書き込み(「書き換え」も含む)との両方が可能なものを用いてもよい。また、この情報チップの具体例としては、例えばICチップ(半導体回路)が挙げられる。
【0153】
なお、画像記録体の情報源として、上記の情報チップを用いる場合に形成される画像40は、その一部あるいは全体が何らかの識別機能を有する情報を有するか否かは特に限定されない。
【0154】
一方、画像40や情報チップが有する情報は、識別可能なものであれば特に限定されないが可変情報を含むものであってもよい。該可変情報とは、同一の規格や基準で作製される複数の画像記録体において、個々の画像記録体の有する情報が異なることを意味する。
例えば、画像が可変情報を含む場合、可変情報に対応した部分の画像は、画像記録体毎に異なる画像とすることができる。
【0155】
さらに、上記の可変情報は個人情報を含むものであってもよい。この場合、上記画像記録体は、キャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明などに適用可能であり、この用途に使用される場合、個人情報としては、例えば、顔写真、本人照合用画像情報、氏名、住所、生年月日等やこれらの組合せが挙げられる。
【0156】
−画像記録体の製造装置−
次に、第1実施形態に係る画像記録体の製造方法を適用した、画像記録体の製造装置(以下単に「第1実施形態を適用した画像記録体の製造装置」と称す)について説明する。
第1実施形態を適用した画像記録体の製造装置は、下記(1)〜(5)の各手段を少なくとも有する。
(1)下記(1−A)〜(1−C)の各手段によって記録媒体表面に接着層を形成する記録媒体表面接着層形成手段
(1−A)接着層保持基材の少なくとも片面側に接着層を有する接着層保持媒体と、記録媒体と、を前記接着層が前記記録媒体と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ手段
(1−B)前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第1の加熱加圧手段
(1−C)前記第1の加熱加圧手段によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材を剥離する第1の剥離手段
(2)画像転写用基材の少なくとも片面側に画像受像層を有する画像転写媒体の前記画像受像層に、画像形成材料からなる画像を形成する画像形成手段
(3)前記画像形成手段によって画像が形成された画像転写媒体と、前記記録媒体表面接着層形成手段によって接着層が形成された記録媒体と、を前記接着層が前記画像受像層と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ手段
(4)前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第2の加熱加圧手段
(5)前記第2の加熱加圧手段によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材を剥離する第2の剥離手段
【0157】
以下、第1実施形態を適用した画像記録体の製造装置について、図面により一例を挙げて詳細に説明する。
図2は、上記画像記録体の製造装置における(1)記録媒体表面接着層形成手段110を示す概略構成図である。図2に示す記録媒体表面接着層形成手段110は、丁合い装置114(第1の重ね合わせ手段)と、ラミネート装置116(第1の加熱加圧手段)と、剥離装置117(第1の剥離手段)と、から構成されている。
【0158】
丁合い装置114は、プラスチックシートスタッカー(記録媒体収納部)134と、丁合い受け皿136(重ね合わせ部)、プラスチックシートスタッカー134から丁合い受け皿136へプラスチックシート138(記録媒体)を供給する搬送路140と、接着層保持シートスタッカー(接着層保持媒体収納部)128と、接着層保持シートスタッカー128から丁合い受け皿136へ接着層保持シート(接着層保持媒体)122を供給する搬送路142と、から構成されている。
【0159】
プラスチックシート138を丁合い受け皿136へ供給する搬送路140排出部と、接着層保持シート122を丁合い受け皿136へ供給する搬送路142排出部は、高さ方向に並列して設けられている。
搬送路140、142としては、板状部材と、その表面を接着層保持シート122またはプラスチックシート138を搬送させるための搬送ロールが設けられた構成であってもよく、また回転するベルト状の搬送体で構成されていてもよい。そして接着層保持シート122が接着層保持シートスタッカー128から排出されるタイミング、またはプラスチックシート138が排出されるタイミングで搬送ロールやベルトが回転し、接着層保持シート122またはプラスチックシート138を丁合い受け皿136に搬送する。
【0160】
プラスチックシートスタッカー134には、プラスチックシート138が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられているピックアップロールや給紙ロールが備えられ、丁合い受け皿136がプラスチックシートスタッカー134の排出口の位置に移動した直後のタイミングで給紙ロール等が回転し、丁合い受け皿136にプラスチックシート138を搬送する。
【0161】
丁合い受け皿136は、搬送路140排出部と搬送路142排出部からプラスチックシート138および接着層保持シート122がそれぞれ供給されるよう、例えば、その端部の一部が上下(図中上下)に張架されたベルト外壁に連結されており、当該ベルトの回転駆動に伴い昇降するよう構成されている。この昇降手段に限らず、モーター駆動方式など、公知の昇降手段を適用させることができる。また、積層されたプラスチックシート138および接着層保持シート122の端部を揃える位置決め手段(図示しない)が設けられている。
【0162】
丁合い受け皿136には、プラスチックシート138と接着層保持シート122とを積層した第1の積層体を仮止めする仮止め装置144が設けられている。この仮止め装置144は、例えば、ヒータなどにより加熱されるよう金属からなる一対の突片で構成されており、この加熱された一対の突片により上記第1の積層体の端部を挟むことで、第1の積層体の端部が熱溶着されて仮止めされる。
【0163】
仮止めの方法としては、熱溶着を用いるのであれば一対の突片による方法に限らず、既存のその他の方式、すなわち加熱した針状の部材を第1の積層体の垂直方向に貫通させたり、超音波振動子を搭載した部材で第1の積層体を挟み、超音波振動により発生した熱により溶着することも可能である。また、熱を用いずに機械的に互いの動きを拘束する手段、すなわち、ホチキスの針等を用いて固定したり、あるいは搬送経路に沿って第1の積層体とともに移動可能なグリッパーを設けてもよい。
【0164】
仮止め装置144は、丁合い受け皿136からラミネート装置116への第1の積層体の搬送路上に設けられる場合には、仮止め装置144は、仮止め時のみ丁合い受け皿136の端部に配置され、それ以外のときは上記搬送路から退避できる構造をとる必要がある。
【0165】
ラミネート装置116は、例えば、一対のベルト146から構成される方式を採用することができる。それぞれのベルト146は、加熱・加圧ロール148と、張架ロール150により張架されている。
ラミネート装置116における加熱加圧方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。例えば、前記第1の積層体を熱ロール対が接触する挟持部に挿通させることにより、両者を熱溶融させ熱融着させる通常のラミネート技法並びにラミネート装置、あるいは熱プレス技法並びに熱プレス装置を用いて、加熱加圧させることができる。
【0166】
剥離装置117は、例えば、エア噴出しノズル119とガイド121からなっており、プラスチックシート138の搬送経路下流側に、排出部156が設けられている。
【0167】
まず、丁合い装置114において、丁合い受け皿136を、搬送路140排出部まで昇降させ、プラスチックシート138を、プラスチックシートスタッカー134から搬送路140を経て、丁合い受け皿136へと供給される。ここで、搬送路140排出部を出たプラスチックシート138は、その自重により丁合い受け皿136へと供給される。
【0168】
次に、丁合い装置114において、接着層保持シート122は、接着層保持シートスタッカー128から搬送路142を経て、丁合い受け皿136へと供給される。ここで、搬送路142排出部を出た接着層保持シート122は、接着層保持シート122の接着層形成面が下方を向くよう(即ちプラスチックシート138と対面し接するよう)、その自重により丁合い受け皿136へ供給され、プラスチックシート138と重ねられる。
【0169】
こうして、丁合い受け皿136には、プラスチックシート138および接着層形成面が下向きの接着層保持シート122の順番で供給されると共に重ねられる(第1の重ね合わせ工程)。
【0170】
次に、丁合い受け皿136上のプラスチックシート138および接着層保持シート122の端部を、図示しない位置決め手段により揃え、続いて、仮止め装置144により、第1の積層体の端部を仮止めを施した後、ラミネート装置116へ搬送される。なお、接着層保持シート122、プラスチックシート138のサイズを同等にしており、第1の積層体の端部を揃えることで、位置決めが行なわれる。
【0171】
次いで、ラミネート装置116において、プラスチックシート138および接着層保持シート122が積層された第1の積層体を、一対のベルト146の接触部(一対のベルト146によって挟持される領域)に通過させて加熱加圧処理を施し、プラスチックシート138上に接着層保持シート122を接着する(加熱加圧工程)。
【0172】
加熱加圧された第1の積層体は、次に剥離装置117へ搬送される。プラスチックシート138は、例えばその先端右端部に切欠きがあり、その部分では接着層保持シート122はプラスチックシート138に接着することなく、一定の隙間をあけて対峙している。第1の積層体先端部がエア噴出しノズル119にさしかかると、ノズルから圧縮空気が噴射される。接着層保持シート122の端部がプラスチックシート138より浮き上がり、ガイド121の先端が接着層保持シート122における接着層保持基材とプラスチックシート138との間に入る。さらに、第1の積層体が搬送されるにつれ、接着層保持シート122における接着層保持基材はガイド121に沿ってプラスチックシート138と分離する方向に搬送され、プラスチックシート138から接着層保持基材が剥がされる。
尚、接着層保持シート122における接着層保持基材は、その後図示しない経路を通って接着層保持基材排出受け皿157に排出される。
【0173】
プラスチックシート138は排出部156から排出され、プラスチックシート138表面に接着層が形成される。記録媒体表面接着層形成手段110によって表面に接着層が形成されたプラスチックシート138は、排出部156から排出された後、矢印A方向の経路を通って、後述の図3に示す接着層形成プラスチックシートスタッカー(接着層形成記録媒体収納部)234まで搬送され、接着層形成プラスチックシートスタッカー234に収容される。
【0174】
図3は、上記画像記録体の製造装置における(2)画像形成手段(画像形成装置)212、(3)第2の重ね合わせ手段(丁合い装置(重ね合わせ部))214、(4)第2の加熱加圧手段(ラミネート装置(加熱加圧部))216、および(5)第2の剥離手段(剥離装置(剥離部))217を示す概略構成図である。
【0175】
画像形成装置212においては、例えば、画像転写シートスタッカー218(電子写真用画像転写媒体収納部)と、画像形成部220と、画像転写シートスタッカー218から画像形成部220へ画像転写シート222を搬送する搬送路224と、画像形成部220から排出口228へ画像転写シート222を搬送する搬送路226とから構成されている。その他の構成は省略する。
【0176】
画像転写シートスタッカー218には、画像転写シート222が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられているピックアップロールや給紙ロールが備えられ、所定のタイミングで給紙ロール等が回転し、画像形成部220へ画像転写シート222を搬送する。
【0177】
画像形成部220は、図示しないが、潜像を形成する潜像保持体と、該潜像を少なくともトナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー画像を得る現像器と、現像されたトナー画像を画像転写シート222に転写する転写器、画像転写シート222に転写されたトナー画像を加熱・加圧して定着する定着器などを含む、公知の電子写真方式の装置で構成されている。
【0178】
搬送路224、226は、駆動ローラ対を含む複数のローラ対やガイド(図示せず)から構成されており、さらに搬送路226には、画像転写シート222の搬送方向を180°反転させる反転路226aが設けられる。搬送路226と反転路226aとの分岐部分には、画像転写シート222の案内方向を変更するカム232が設けられている。この反転路226aで画像転写シート222を往復させ、再び搬送路226に戻すと、画像転写シート222の搬送方向が180°反転されると共に、画像転写シート222の表裏が反転して搬送される。
【0179】
丁合い装置214は、接着層形成プラスチックシートスタッカー234と、丁合い受け皿236(重ね合わせ部)、接着層形成プラスチックシートスタッカー234から丁合い受け皿236へ接着層が形成されたプラスチックシート(記録媒体)238を供給する搬送路240と、画像形成装置212の排出口228から排出された画像転写シート222を、丁合い受け皿236へ供給する搬送路242と、から構成されている。
【0180】
接着層が形成されたプラスチックシート238を丁合い受け皿236へ供給する搬送路240排出部と、画像転写シート222を丁合い受け皿236へ供給する搬送路242排出部は、高さ方向に並列して設けられている。
搬送路240、242としては、板状部材と、その表面を画像転写シート222またはプラスチックシート238を搬送させるための搬送ロールが設けられた構成であってもよく、また回転するベルト状の搬送体で構成されていてもよい。そして画像転写シート222が画像形成装置212から排出されるタイミング、またはプラスチックシート238が排出されるタイミングで搬送ロールやベルトが回転し、画像転写シート222またはプラスチックシート238を丁合い受け皿236に搬送する。
【0181】
接着層形成プラスチックシートスタッカー234には、接着層が形成されたプラスチックシート238が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられているピックアップロールや給紙ロールが備えられ、丁合い受け皿236が接着層形成プラスチックシートスタッカー234の排出口の位置に移動した直後のタイミングで給紙ロール等が回転し、丁合い受け皿236にプラスチックシート238を搬送する。
【0182】
丁合い受け皿236は、搬送路240排出部と搬送路242排出部からプラスチックシート238および画像転写シート222がそれぞれ供給されるように、例えば、その端部の一部が上下(図中上下)に張架されたベルト外壁に連結されており、当該ベルトの回転駆動に伴い昇降するよう構成されている。この昇降手段に限らず、モーター駆動方式など、公知の昇降手段を適用させることができる。また、積層されたプラスチックシート238および画像転写シート222の端部を揃える位置決め手段(図示しない)が設けられている。
【0183】
丁合い受け皿236には、プラスチックシート238と画像転写シート222とを積層した第2の積層体を仮止めする仮止め装置244が設けられている。この仮止め装置244は、例えば、ヒータなどにより加熱されるよう金属からなる一対の突片で構成されており、この加熱された一対の突片により第2の積層体の端部を挟むことで、第2の積層体の端部が熱溶着されて仮止めされる。
【0184】
仮止めの方法としては、熱溶着を用いるのであれば一対の突片による方法に限らず、既存のその他の方式、すなわち加熱した針状の部材を第2の積層体の垂直方向に貫通させたり、超音波振動子を搭載した部材で第2の積層体を挟み、超音波振動により発生した熱により溶着することも可能である。また、熱を用いずに機械的に互いの動きを拘束する手段、すなわち、ホチキスの針等を用いて固定したり、あるいは搬送経路に沿って第2の積層体とともに移動可能なグリッパーを設けてもよい。
【0185】
仮止め装置244は、丁合い受け皿236からラミネート装置216への第2の積層体の搬送路上に設けられる場合には、仮止め装置244は、仮止め時のみ丁合い受け皿236の端部に配置され、それ以外のときは上記搬送路から退避できる構造をとる必要がある。
【0186】
ラミネート装置216は、例えば、一対のベルト246から構成される方式を採用することができる。それぞれのベルト246は、加熱・加圧ロール248と、張架ロール250により張架されている。
ラミネート装置216における加熱加圧方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。例えば、前記第2の積層体を熱ロール対が接触する挟持部に挿通させることにより、両者を熱溶融させ熱融着させる通常のラミネート技法並びにラミネート装置、あるいは熱プレス技法並びに熱プレス装置を用いて、加熱加圧させることができる。
【0187】
剥離装置217は、例えば、エア噴出しノズル219とガイド221からなっており、プラスチックシート238の搬送経路下流側に、排出受け皿256が設けられている。
【0188】
まず、丁合い装置214において、丁合い受け皿236を、搬送路240排出部まで昇降させ、接着層が形成されたプラスチックシート238を、接着層形成プラスチックシートスタッカー234から搬送路240を経て、丁合い受け皿236へと供給される。ここで、搬送路240排出部を出たプラスチックシート238は、その自重により丁合い受け皿236へと供給される。
【0189】
次に、画像形成装置212において、プラスチックシート238の表面(図面中上側)に重ね合わされる画像転写シート222が、画像転写シートスタッカー218から搬送路224を経由して画像形成部220へと供給され、画像転写シート222の上面(図中上側)に電子写真方式により所定のトナー画像が転写された後、定着され定着画像が形成される(画像形成工程)。画像転写シート222の上面に定着画像が形成されているので、画像転写シート222は、搬送路226を通り、一端、反転路226aを経由して、再び搬送路226に戻り排出口228へ搬送され、丁合い装置214へと送られる。
【0190】
このとき、搬送路226と反転路226aの分岐部分において、カム232はその先端が搬送路226に重なるよう駆動され、カム232の先端位置に到達した画像転写シート222は搬送方向が変更され、反転路226aへと案内搬送される。そして、画像転写シート222が反転路226aに到達した後、図示しない駆動ロールを反転させ、画像転写シート222を反転路226aで往復移動させて、再び搬送路226に戻す。このため、搬送路226に戻った画像転写シート222は、搬送方向が180°反転される共に、その表裏も反転し、画像面が下側(図中下側)を向いて搬送されることとなる。
【0191】
そして、丁合い装置214において、画像転写シート222は、丁合い装置214の搬送路242を経て、丁合い受け皿236へと供給される。ここで、搬送路242排出部を出た画像転写シート222は、画像転写シート222の画像面が下方を向くよう(即ちプラスチックシート238と対面し接するよう)、その自重により丁合い受け皿236へ供給され、接着層が形成されたプラスチックシート238と重ねられる。
【0192】
こうして、丁合い受け皿236には、接着層が形成されたプラスチックシート238および画像面が下向きの画像転写シート222の順番で供給されると共に重ねられる(第2の重ね合わせ工程)。
【0193】
次に、丁合い受け皿236上のプラスチックシート238および画像転写シート222の端部を、図示しない位置決め手段により揃え、続いて、仮止め装置244により、第2の積層体の端部を仮止めを施した後、ラミネート装置216へ搬送される。なお、画像転写シート222、プラスチックシート238のサイズを同等にしており、第2の積層体の端部を揃えることで、位置決めが行なわれる。
【0194】
次いで、ラミネート装置216において、プラスチックシート238および画像転写シート222が積層された第2の積層体を、一対のベルト246の接触部(一対のベルト246によって挟持される領域)に通過させて加熱加圧処理を施し、プラスチックシート238上に画像転写シート222を接着する(加熱加圧工程)。
【0195】
加熱加圧された第2の積層体は、次に剥離装置217へ搬送される。プラスチックシート238は、例えばその先端右端部に切欠きがあり、その部分では画像転写シート222はプラスチックシート238に接着することなく、一定の隙間をあけて対峙している。第2の積層体先端部がエア噴出しノズル219にさしかかると、ノズルから圧縮空気が噴射される。画像転写シート222の端部がプラスチックシート238より浮き上がり、ガイド221の先端が画像転写シート222における画像転写用基材とプラスチックシート238との間に入る。さらに、第2の積層体が搬送されるにつれ、画像転写シート222における画像転写用基材はガイド221に沿ってプラスチックシート238と分離する方向に搬送され、プラスチックシート238から画像転写用基材が剥がされる。
尚、画像転写シート222における画像転写用基材は、その後図示しない経路を通って画像転写用基材排出受け皿257に排出される。
【0196】
プラスチックシート238は排出受け皿256に排出され、画像が形成されたプラスチックシート(画像記録体)が得られる。ここで、プラスチックシート238に個別の画像が複数形成されている場合、この各画像毎に裁断し、所定のサイズのプラスチックシート(画像記録体)が得られる。
【0197】
<第2実施形態に係る画像記録体の製造方法>
次いで、第2実施形態に係る画像記録体の製造方法について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0198】
(I)画像形成工程
画像形成工程では、図4(A)に示す画像転写用基材84の少なくとも片面側に画像受像層82を有する画像転写媒体80の前記画像受像層82に、図4(B)に示すごとく画像形成材料からなる画像90を形成する。
【0199】
第2実施形態における画像形成工程では、画像90を形成する方法として、例えば電子写真方式、インクジェット方式、感熱転写方式等の公知の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。これらの中でも特に好ましい態様としては電子写真方式が挙げられ、その形成方法としては、前述の第1実施形態における画像形成工程に記載の形成方法を適用することができる。
【0200】
(II)画像受像層表面接着層形成工程
画像受像層表面接着層形成工程では、下記(II−A)〜(II−C)の各工程を経て画像受像層表面に接着層を形成する。
【0201】
(II−A)第1の重ね合わせ工程
第1の重ね合わせ工程では、図4(C)に示す接着層保持基材64の少なくとも片面側に接着層62を有する接着層保持媒体60を用い、該接着層保持媒体60と前記画像形成工程を経た画像転写媒体80とを、図4(D)に示すごとく前記接着層62が前記画像受像層82と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする。
接着層保持媒体60と画像転写媒体80との重ね合わせは、接着層保持媒体60と画像転写媒体80とを手で保持して揃えることにより行ってもよいし、丁合い受け皿などに接着層保持媒体60および画像転写媒体80を順次排出し、揃えることにより行ってもよい。
【0202】
(II−B)第1の加熱加圧工程
第1の加熱加圧工程では、前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層62を溶融する。
前記第1の加熱加圧工程における加圧方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。これらの中でも、熱を加えることによりラミネートするヒートプレス法を用いることが好ましく、例えば、接着層保持媒体60と画像転写媒体80との第1の積層体を、加熱可能な1対の熱ロールで挟持される部分に挿通させることにより、接着層62を熱溶融させ熱融着させる、通常のラミネート技法、並びにラミネート装置を用いて、加熱および加圧させることができる。
【0203】
上記第1の加熱加圧工程における加熱温度としては、前記接着層62に用いる接着剤のガラス転移温度以上とすることが好ましい。以上の観点から、用いる接着剤によっても異なるが、40℃以上80℃以下であることが好ましく、50℃以上65℃以下であることがより好ましい。また圧力は、100kN/m以上2000kN/m以下であることが好ましく、500kN/m以上1000kN/m以下であることがより好ましい。
尚、接着層62に用いる接着剤のガラス転移温度(Tg)の測定方法は、前述の第1実施形態に記載の方法を適用することができる。
【0204】
(II−C)第1の剥離工程
第1の剥離工程では、前記第1の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層62を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材64を剥離する。前記接着層保持基材64を画像転写媒体80から剥すことにより、図4(E)に示す通り、画像転写媒体80表面に接着層62が形成される。
尚、前記冷却固化する温度は、具体的には接着層62に用いる接着剤が十分固まる軟化点以下の温度であり、例えば前記接着剤のガラス転移温度以下であり、常温(20℃)以上30℃以下とすることが好ましい。
【0205】
尚、上記接着層保持基材64の剥離方法としては、特に限定されないが、公知の剥離装置を用いた剥離方法や、剥離爪、剥離板(バッフル)を用いて強制的に力を作用させる方法、接着層保持基材64の端面を指で掴んで画像転写媒体80から徐々に剥していく方法等のを用いることができる。
【0206】
(III)第2の重ね合わせ工程
第2の重ね合わせ工程では、前記画像受像層表面接着層形成工程を経た画像転写媒体80と記録媒体70とを、図4(F)に示すごとく前記接着層62が前記記録媒体70と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする。
画像転写媒体80と記録媒体70との重ね合わせは、画像転写媒体80と記録媒体70とを手で保持して揃えることにより行ってもよいし、丁合い受け皿などに画像転写媒体80および記録媒体70を順次排出し、揃えることにより行ってもよい。
【0207】
(IV)第2の加熱加圧工程
第2の加熱加圧工程では、前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層62を溶融する。
前記第2の加熱加圧工程における加圧方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。これらの中でも、熱を加えることによりラミネートするヒートプレス法を用いることが好ましく、例えば、画像転写媒体80と記録媒体70との第2の積層体を、加熱可能な1対の熱ロールで挟持される部分に挿通させることにより、接着層62を熱溶融させ熱融着させる、通常のラミネート技法、並びにラミネート装置を用いて、加熱および加圧させることができる。
【0208】
上記第2の加熱加圧工程における加熱温度としては、前記接着層62に用いる接着剤のガラス転移温度以上とすることが好ましい。また前述の通り、前記記録媒体70のガラス転移温度未満であることが好ましい。以上の観点から、用いる接着剤および記録媒体70によっても異なるが、40℃以上80℃以下であることが好ましく、50℃以上65℃以下であることがより好ましい。また圧力は、100kN/m以上2000kN/m以下であることが好ましく、500kN/m以上1000kN/m以下であることがより好ましい。
尚、接着層62に用いる接着剤のガラス転移温度(Tg)および記録媒体70のガラス転移温度(Tg)の測定方法は、前述の第1実施形態に記載の方法を適用することができる。
【0209】
(V)第2の剥離工程
第2の剥離工程では、前記第2の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層62を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材84を剥離する。前記画像転写用基材84を記録媒体70から剥すことにより、図4(G)に示す通り、画像記録体が製造される。
尚、前記冷却固化する温度は、具体的には接着層62に用いる接着剤が十分固まる軟化点以下の温度であり、例えば前記接着剤のガラス転移温度以下であり、常温(20℃)以上30℃以下とすることが好ましい。
【0210】
尚、上記画像転写用基材84の剥離方法としては、特に限定されないが、公知の剥離装置を用いた剥離方法や、剥離爪、剥離板(バッフル)を用いて強制的に力を作用させる方法、画像転写用基材84の端面を指で掴んで記録媒体70から徐々に剥していく方法等のを用いることができる。
【0211】
ここで、上記第2実施形態に係る画像記録体の製造方法に用いる接着層保持媒体60、記録媒体70、および画像転写媒体80としては、前述の第1実施形態に係る画像記録体の製造方法に記載の接着層保持媒体10、記録媒体20、および画像転写媒体30をそのまま適用することができる。
【0212】
−画像記録体の製造装置−
次に、第2実施形態に係る画像記録体の製造方法を適用した、画像記録体の製造装置(以下単に「第2実施形態を適用した画像記録体の製造装置」と称す)について説明する。
第2実施形態を適用した画像記録体の製造装置は、下記(I)〜(V)の各手段を少なくとも有する。
(I)画像転写用基材の少なくとも片面側に画像受像層を有する画像転写媒体の前記画像受像層に、画像形成材料からなる画像を形成する画像形成手段
(II)下記(II−A)〜(II−C)の各手段によって画像受像層表面に接着層を形成する画像受像層表面接着層形成手段
(II−A)接着層保持基材の少なくとも片面側に接着層を有する接着層保持媒体と、前記画像形成手段によって画像が形成された画像転写媒体と、を前記接着層が前記画像受像層と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ手段
(II−B)前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第1の加熱加圧手段
(II−C)前記第1の加熱加圧手段によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材を剥離する第1の剥離手段
(III)前記画像受像層表面接着層形成手段によって接着層が形成された画像転写媒体と、記録媒体と、を前記接着層が前記記録媒体と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ手段
(IV)前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第2の加熱加圧手段
(V)前記第2の加熱加圧手段によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材を剥離する第2の剥離手段
【0213】
以下、第2実施形態を適用した画像記録体の製造装置について、図面により一例を挙げて詳細に説明する。
【0214】
図5は、上記画像記録体の製造装置における(I)画像形成手段(画像形成装置)312、および(II)画像受像層表面接着層形成手段310を示す概略構成図である。尚、上記画像受像層表面接着層形成手段310は、丁合い装置314(第1の重ね合わせ手段)と、ラミネート装置316(第1の加熱加圧手段)と、剥離装置317(第1の剥離手段)と、から構成されている。
【0215】
画像形成装置312においては、例えば、画像転写シートスタッカー318(電子写真用画像転写媒体収納部)と、画像形成部320と、画像転写シートスタッカー318から画像形成部320へ画像転写シート322を搬送する搬送路324と、画像形成部320から排出口328へ画像転写シート322を搬送する搬送路326とから構成されている。その他の構成は省略する。
【0216】
画像転写シートスタッカー318には、画像転写シート322が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられているピックアップロールや給紙ロールが備えられ、所定のタイミングで給紙ロール等が回転し、画像形成部320へ画像転写シート322を搬送する。
【0217】
画像形成部320は、図示しないが、潜像を形成する潜像保持体と、該潜像を少なくともトナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー画像を得る現像器と、現像されたトナー画像を画像転写シート322に転写する転写器、画像転写シート322に転写されたトナー画像を加熱・加圧して定着する定着器などを含む、公知の電子写真方式の装置で構成されている。
【0218】
搬送路324、326は、駆動ローラ対を含む複数のローラ対やガイド(図示せず)から構成されており、さらに搬送路326には、画像転写シート322の搬送方向を180°反転させる反転路326aが設けられる。搬送路326と反転路326aとの分岐部分には、画像転写シート322の案内方向を変更するカム332が設けられている。この反転路326aで画像転写シート322を往復させ、再び搬送路326に戻すと、画像転写シート322の搬送方向が180°反転されると共に、画像転写シート322の表裏が反転して搬送される。
【0219】
丁合い装置314は、接着層保持シートスタッカー(接着層保持媒体収納部)334と、丁合い受け皿336(重ね合わせ部)、接着層保持シートスタッカー334から丁合い受け皿336へ接着層保持シート(接着層保持媒体)338を供給する搬送路340と、画像形成装置312の排出口328から排出された画像転写シート322を、丁合い受け皿336へ供給する搬送路342と、から構成されている。
【0220】
接着層保持シート338を丁合い受け皿336へ供給する搬送路340排出部と、画像転写シート322を丁合い受け皿336へ供給する搬送路342排出部は、高さ方向に並列して設けられている。
搬送路340、342としては、板状部材と、その表面を画像転写シート322を搬送させるための搬送ロールが設けられた構成であってもよく、また回転するベルト状の搬送体で構成されていてもよい。そして画像転写シート322が画像形成装置312から排出されるタイミング、または接着層保持シート338が排出されるタイミングで搬送ロールやベルトが回転し、画像転写シート322または接着層保持シート338を丁合い受け皿336に搬送する。
【0221】
接着層保持シートスタッカー334には、接着層保持シート338が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられているピックアップロールや給紙ロールが備えられ、丁合い受け皿336が接着層保持シートスタッカー334の排出口の位置に移動した直後のタイミングで給紙ロール等が回転し、丁合い受け皿336に接着層保持シート338を搬送する。
【0222】
丁合い受け皿336は、搬送路340排出部と搬送路342排出部から接着層保持シート338および画像転写シート322がそれぞれ供給されるように、例えば、その端部の一部が上下(図中上下)に張架されたベルト外壁に連結されており、当該ベルトの回転駆動に伴い昇降するよう構成されている。この昇降手段に限らず、モーター駆動方式など、公知の昇降手段を適用させることができる。また、積層された接着層保持シート338および画像転写シート322の端部を揃える位置決め手段(図示しない)が設けられている。
【0223】
丁合い受け皿336には、接着層保持シート338と画像転写シート322とを積層した第1の積層体を仮止めする仮止め装置344が設けられている。この仮止め装置344は、例えば、ヒータなどにより加熱されるよう金属からなる一対の突片で構成されており、この加熱された一対の突片により第1の積層体の端部を挟むことで、第1の積層体の端部が熱溶着されて仮止めされる。
【0224】
仮止めの方法としては、熱溶着を用いるのであれば一対の突片による方法に限らず、既存のその他の方式、すなわち加熱した針状の部材を第1の積層体の垂直方向に貫通させたり、超音波振動子を搭載した部材で第1の積層体を挟み、超音波振動により発生した熱により溶着することも可能である。また、熱を用いずに機械的に互いの動きを拘束する手段、すなわち、ホチキスの針等を用いて固定したり、あるいは搬送経路に沿って第1の積層体とともに移動可能なグリッパーを設けてもよい。
【0225】
仮止め装置344は、丁合い受け皿336からラミネート装置316への第1の積層体の搬送路上に設けられる場合には、仮止め装置344は、仮止め時のみ丁合い受け皿336の端部に配置され、それ以外のときは上記搬送路から退避できる構造をとる必要がある。
【0226】
ラミネート装置316は、例えば、一対のベルト346から構成される方式を採用することができる。それぞれのベルト346は、加熱・加圧ロール348と、張架ロール350により張架されている。
ラミネート装置316における加熱加圧方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。例えば、前記第1の積層体を熱ロール対が接触する挟持部に挿通させることにより、両者を熱溶融させ熱融着させる通常のラミネート技法並びにラミネート装置、あるいは熱プレス技法並びに熱プレス装置を用いて、加熱加圧させることができる。
【0227】
剥離装置317は、例えば、エア噴出しノズル319とガイド321からなっており、画像転写シート322の搬送経路下流側に、排出部356が設けられている。
【0228】
まず、丁合い装置314において、丁合い受け皿336を、搬送路340排出部まで昇降させ、接着層保持シート338を、接着層保持シートスタッカー334から搬送路340を経て、丁合い受け皿336へと供給される。ここで、搬送路340排出部を出た接着層保持シート338は、接着層保持シート338の接着層形成面が上方を向くよう(即ち画像転写シート322の画像形成面と対面し接するよう)、その自重により丁合い受け皿336へ供給される。
【0229】
次に、画像形成装置312において、接着層保持シート338の表面(図面中上側)に重ね合わされる画像転写シート322が、画像転写シートスタッカー318から搬送路324を経由して画像形成部320へと供給され、画像転写シート322の上面(図中上側)に電子写真方式により所定のトナー画像が転写された後、定着され定着画像が形成される(画像形成工程)。画像転写シート322の上面に定着画像が形成されているので、画像転写シート322は、搬送路326を通り、一端、反転路326aを経由して、再び搬送路326に戻り排出口328へ搬送され、丁合い装置314へと送られる。
【0230】
このとき、搬送路326と反転路326aの分岐部分において、カム332はその先端が搬送路326に重なるよう駆動され、カム332の先端位置に到達した画像転写シート322は搬送方向が変更され、反転路326aへと案内搬送される。そして、画像転写シート322が反転路326aに到達した後、図示しない駆動ロールを反転させ、画像転写シート322を反転路326aで往復移動させて、再び搬送路326に戻す。このため、搬送路326に戻った画像転写シート322は、搬送方向が180°反転される共に、その表裏も反転し、画像面が下側(図中下側)を向いて搬送されることとなる。
【0231】
そして、丁合い装置314において、画像転写シート322は、丁合い装置314の搬送路342を経て、丁合い受け皿336へと供給される。ここで、搬送路342排出部を出た画像転写シート322は、画像転写シート322の画像面が下方を向くよう(即ち接着層保持シート338の接着層形成面と対面し接するよう)、その自重により丁合い受け皿336へ供給され、接着層保持シート338と重ねられる。
【0232】
こうして、丁合い受け皿336には、接着層形成面が上向きの接着層保持シート338および画像面が下向きの画像転写シート322の順番で供給されると共に重ねられる(第1の重ね合わせ工程)。
【0233】
次に、丁合い受け皿336上の接着層保持シート338および画像転写シート322の端部を、図示しない位置決め手段により揃え、続いて、仮止め装置344により、第1の積層体の端部を仮止めを施した後、ラミネート装置316へ搬送される。なお、画像転写シート322、接着層保持シート338のサイズを同等にしており、第1の積層体の端部を揃えることで、位置決めが行なわれる。
【0234】
次いで、ラミネート装置316において、接着層保持シート338および画像転写シート322が積層された第1の積層体を、一対のベルト346の接触部(一対のベルト346によって挟持される領域)に通過させて加熱加圧処理を施し、接着層保持シート338上に画像転写シート322を接着する(加熱加圧工程)。
【0235】
加熱加圧された第1の積層体は、次に剥離装置317へ搬送される。接着層保持シート338は、例えばその先端右端部に切欠きがあり、その部分では画像転写シート322は接着層保持シート338に接着することなく、一定の隙間をあけて対峙している。第1の積層体先端部がエア噴出しノズル319にさしかかると、ノズルから圧縮空気が噴射される。画像転写シート322の端部が接着層保持シート338より浮き上がり、ガイド321の先端が接着層保持シート338における接着層保持基材と画像転写シート322との間に入る。さらに、第1の積層体が搬送されるにつれ、接着層保持シート338における接着層保持基材はガイド321に沿って画像転写シート322と分離する方向に搬送され、画像転写シート322から接着層保持基材が剥がされる。
尚、接着層保持シート338における接着層保持基材は、その後図示しない経路を通って接着層保持基材排出受け皿357に排出される。
【0236】
画像転写シート322は排出部356から排出され、画像転写シート322表面に接着層が形成される。画像受像層表面接着層形成手段310によって表面に接着層が形成された画像転写シート322は、排出部356から排出された後、矢印A方向の経路を通って、後述の図6に示す接着層形成画像転写シートスタッカー(接着層形成画像転写媒体収納部)428まで搬送され、接着層形成画像転写シートスタッカー428に収容される。
【0237】
図6は、上記画像記録体の製造装置における(III)第2の重ね合わせ手段(丁合い装置(重ね合わせ部))414、(IV)第2の加熱加圧手段(ラミネート装置(加熱加圧部))416、および(V)第2の剥離手段(剥離装置(剥離部))417を示す概略構成図である。
【0238】
丁合い装置414は、プラスチックシートスタッカー(記録媒体収納部)434と、丁合い受け皿436(重ね合わせ部)、プラスチックシートスタッカー434から丁合い受け皿436へプラスチックシート438(記録媒体)を供給する搬送路440と、接着層形成画像転写シートスタッカー(接着層形成画像転写媒体収納部)428と、接着層形成画像転写シートスタッカー428から丁合い受け皿436へ接着層が形成された画像転写シート(画像転写媒体)422を供給する搬送路442と、から構成されている。
【0239】
プラスチックシート438を丁合い受け皿436へ供給する搬送路440排出部と、接着層が形成された画像転写シート422を丁合い受け皿436へ供給する搬送路442排出部は、高さ方向に並列して設けられている。
搬送路440、442としては、板状部材と、その表面を画像転写シート422またはプラスチックシート438を搬送させるための搬送ロールが設けられた構成であってもよく、また回転するベルト状の搬送体で構成されていてもよい。そして画像転写シート422が接着層形成画像転写シートスタッカー428から排出されるタイミング、またはプラスチックシート438が排出されるタイミングで搬送ロールやベルトが回転し、画像転写シート422またはプラスチックシート438を丁合い受け皿436に搬送する。
【0240】
プラスチックシートスタッカー434には、プラスチックシート438が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられているピックアップロールや給紙ロールが備えられ、丁合い受け皿436がプラスチックシートスタッカー434の排出口の位置に移動した直後のタイミングで給紙ロール等が回転し、丁合い受け皿436にプラスチックシート438を搬送する。
【0241】
丁合い受け皿436は、搬送路440排出部と搬送路442排出部からプラスチックシート438および画像転写シート422がそれぞれ供給されるよう、例えば、その端部の一部が上下(図中上下)に張架されたベルト外壁に連結されており、当該ベルトの回転駆動に伴い昇降するよう構成されている。この昇降手段に限らず、モーター駆動方式など、公知の昇降手段を適用させることができる。また、積層されたプラスチックシート438および画像転写シート422の端部を揃える位置決め手段(図示しない)が設けられている。
【0242】
丁合い受け皿436には、プラスチックシート438と画像転写シート422とを積層した第2の積層体を仮止めする仮止め装置444が設けられている。この仮止め装置444は、例えば、ヒータなどにより加熱されるよう金属からなる一対の突片で構成されており、この加熱された一対の突片により上記第2の積層体の端部を挟むことで、第2の積層体の端部が熱溶着されて仮止めされる。
【0243】
仮止めの方法としては、熱溶着を用いるのであれば一対の突片による方法に限らず、既存のその他の方式、すなわち加熱した針状の部材を第2の積層体の垂直方向に貫通させたり、超音波振動子を搭載した部材で第2の積層体を挟み、超音波振動により発生した熱により溶着することも可能である。また、熱を用いずに機械的に互いの動きを拘束する手段、すなわち、ホチキスの針等を用いて固定したり、あるいは搬送経路に沿って第2の積層体とともに移動可能なグリッパーを設けてもよい。
【0244】
仮止め装置444は、丁合い受け皿436からラミネート装置416への第2の積層体の搬送路上に設けられる場合には、仮止め装置444は、仮止め時のみ丁合い受け皿436の端部に配置され、それ以外のときは上記搬送路から退避できる構造をとる必要がある。
【0245】
ラミネート装置416は、例えば、一対のベルト446から構成される方式を採用することができる。それぞれのベルト446は、加熱・加圧ロール448と、張架ロール450により張架されている。
ラミネート装置416における加熱加圧方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。例えば、前記第2の積層体を熱ロール対が接触する挟持部に挿通させることにより、両者を熱溶融させ熱融着させる通常のラミネート技法並びにラミネート装置、あるいは熱プレス技法並びに熱プレス装置を用いて、加熱加圧させることができる。
【0246】
剥離装置417は、例えば、エア噴出しノズル419とガイド421からなっており、プラスチックシート438の搬送経路下流側に、排出受け皿456が設けられている。
【0247】
まず、丁合い装置414において、丁合い受け皿436を、搬送路440排出部まで昇降させ、プラスチックシート438を、プラスチックシートスタッカー434から搬送路440を経て、丁合い受け皿436へと供給される。ここで、搬送路440排出部を出たプラスチックシート438は、その自重により丁合い受け皿436へと供給される。
【0248】
次に、丁合い装置414において、接着層が形成された画像転写シート422は、接着層形成画像転写シートスタッカー428から搬送路442を経て、丁合い受け皿436へと供給される。ここで、搬送路442排出部を出た画像転写シート422は、画像転写シート422の接着層形成面が下方を向くよう(即ちプラスチックシート438と対面し接するよう)、その自重により丁合い受け皿436へ供給され、プラスチックシート438と重ねられる。
【0249】
こうして、丁合い受け皿436には、プラスチックシート438および接着層形成面が下向きの画像転写シート422の順番で供給されると共に重ねられる(第2の重ね合わせ工程)。
【0250】
次に、丁合い受け皿436上のプラスチックシート438および画像転写シート422の端部を、図示しない位置決め手段により揃え、続いて、仮止め装置444により、第2の積層体の端部を仮止めを施した後、ラミネート装置416へ搬送される。なお、画像転写シート422、プラスチックシート438のサイズを同等にしており、第2の積層体の端部を揃えることで、位置決めが行なわれる。
【0251】
次いで、ラミネート装置416において、プラスチックシート438および画像転写シート422が積層された第2の積層体を、一対のベルト446の接触部(一対のベルト446によって挟持される領域)に通過させて加熱加圧処理を施し、プラスチックシート438上に画像転写シート422を接着する(加熱加圧工程)。
【0252】
加熱加圧された第2の積層体は、次に剥離装置417へ搬送される。プラスチックシート438は、例えばその先端右端部に切欠きがあり、その部分では画像転写シート422はプラスチックシート438に接着することなく、一定の隙間をあけて対峙している。第2の積層体先端部がエア噴出しノズル419にさしかかると、ノズルから圧縮空気が噴射される。画像転写シート422の端部がプラスチックシート438より浮き上がり、ガイド421の先端が画像転写シート422における画像転写用基材とプラスチックシート438との間に入る。さらに、第2の積層体が搬送されるにつれ、画像転写シート422における画像転写用基材はガイド421に沿ってプラスチックシート438と分離する方向に搬送され、プラスチックシート438から画像転写用基材が剥がされる。
尚、画像転写シート422における画像転写用基材は、その後図示しない経路を通って画像転写用基材排出受け皿457に排出される。
【0253】
プラスチックシート438は排出受け皿456に排出され、画像が形成されたプラスチックシート(画像記録体)が得られる。ここで、プラスチックシート438に個別の画像が複数形成されている場合、この各画像毎に裁断し、所定のサイズのプラスチックシート(画像記録体)が得られる。
【実施例】
【0254】
以下、前記第1および第2実施形態について実施例を挙げてより詳細に説明する。ただし、以下の実施例にのみ限定されるものではない。尚、以下において「部」は、特に断りのない限り質量基準である。
【0255】
−記録媒体<1>の準備−
記録媒体としては、白色塩化ビニル(三菱樹脂社製,ビニホイルC−4636、ガラス転移温度Tg:62℃)製で、厚さ760μm、大きさA4サイズ(297mm×210mm)に加工された、且つ内部にカード用のICチップとアンテナが、長手方向に3個、短手方向に3個の計9個内封されているものを用いた。尚、ICチップの材料やアンテナの材料は前記白色塩化ビニルよりもガラス転移温度Tgが高い材料である。
【0256】
−画像転写シート<1>の作製−
画像転写シート<1>は以下のように作製した。
【0257】
(離型層塗工液の調製)
有機シラン縮合物、メラミン樹脂、およびアルキド樹脂を含むシリコーンハードコート剤(GE東芝シリコーン社製、SHC900、固形分30質量%)20部を、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30部に添加して十分攪拌し離型層塗工液を調製した。
【0258】
(画像受像層塗工液の調製)
ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロン200)20部と、架橋型アクリル粒子(綜研化学社製、MX−500、体積平均粒径5μm)1部と、帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.6部と、をシクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90にて混合した液80部に添加して十分攪拌し画像受像層塗工液を調製した。
【0259】
(抵抗調整層塗工液の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル粒子(綜研化学社製、MX300、体積平均粒径3μm)0.6部と、帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部と、をシクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90にて混合した液80部に添加して十分攪拌し抵抗調整層塗工液を調製した。
【0260】
(画像転写シートの作製)
画像転写用基材としてPETフィルム(東レ社製、ルミラー100T60、厚み:100μm)を用い、この画像転写用基材の片面に前記抵抗調整層塗工液をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で30秒乾燥させ、画像転写用基材の裏面側に膜厚0.2μmの抵抗調整層を形成した。この画像転写用基材のもう一方の面(未処理面)に、前記離型層塗工液をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で30秒乾燥させ、膜厚1μmの離型層を形成した。更に、この離型層上に、前記画像受像層塗工液をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で60秒乾燥させ、膜厚10μmの画像受像層を形成した。その後A4サイズ(210mm×297mm)にカットして画像転写シート<1>を作製した。
【0261】
−接着層保持シート<1>の作製−
接着層保持シート<1>は以下のように作製した。
【0262】
(離型層塗工液の調製)
有機シラン縮合物、メラミン樹脂、およびアルキド樹脂を含むシリコーンハードコート剤(GE東芝シリコーン社製、SHC900、固形分30質量%)20部と、電荷制御剤として(竹本油脂社製:バイオニンB144V)0.6部と、をシクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で5:95で混合した液30部に添加して十分攪拌し離型層塗工液を調製した。
【0263】
(接着層塗工液の調製)
ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロンGK810、ガラス転移温度Tg:46℃)20部と、架橋型アクリル粒子(綜研化学社製、MX−2000、体積平均粒径20μm)0.2部と、帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.1部と、をシクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分攪拌し接着層塗工液を調製した。
【0264】
(接着層保持シートの作製)
接着層保持基材としてPETフィルム(東レ社製、ルミラー100T60、厚み:100μm)を用い、この接着層保持基材の片面に、前記離型層塗工液をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で30秒乾燥させ、膜厚1μmの離型層を形成した。更に、この離型層上に、前記接着層塗工液をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で60秒乾燥させ、膜厚15μmの接着層を形成した。その後A4サイズ(210mm×297mm)にカットして接着層保持シート<1>を作製した。
【0265】
〔実施例1〕
(1)記録媒体表面接着層形成工程
前記記録媒体<1>の表面に前記接着層面を向き合わせて前記接着層保持シート<1>を重ね合わせて位置合せし、第1の積層体を得た(第1の重ね合わせ工程)。次いで、一対のベルトから構成されるラミネート装置を用い、加熱温度90℃、圧力1kN、速度10mm/sの条件に設定してラミネートを実施した(第1の加熱加圧工程)。このとき、加熱加圧手段通過後の記録媒体<1>の温度を測定したところ、60℃であった。
室温(22℃)まで冷却した後、上記記録媒体<1>と接着層保持シート<1>との第1の積層体から前記接着層保持基材を手で剥離し(第1の剥離工程)、接着層を形成した記録媒体<1>を作製した。
【0266】
(2)画像形成工程
前記画像転写シート<1>の画像受像層形成面に、富士ゼロックス社製DocuColor1256GA(電子写真装置)により、短手方向に等間隔に3つ、長手方向に等間隔に3つ配列するように左右反転(鏡像)印刷で合計9箇所画像を形成し、表面に画像を有する画像転写シート<1>を作製した。
なお、画像は、使用する記録媒体<1>に相当するサイズ(85.6mm×54mm)に形成されたものである。
【0267】
(3)第2の重ね合わせ工程
前記記録媒体表面接着層形成工程によって接着層が形成された記録媒体<1>の接着層形成面に、前記画像形成工程によって画像が形成された画像画像転写シート<1>の画像受像層側の面を重ね合わせて位置合せし、第2の積層体を得た。
【0268】
(4)第2の加熱加圧工程
次いで、一対のベルトから構成されるラミネート装置を用い、加熱温度90℃、圧力1kN、速度10mm/sの条件に設定してラミネートを実施した。このとき、加熱加圧手段通過後の記録媒体<1>の温度を測定したところ、60℃であった。
【0269】
(5)第2の剥離工程
室温(22℃)まで冷却した後、上記記録媒体<1>と画像転写シート<1>との第2の積層体から前記画像転写用基材を手で剥離し、画像記録体を作製した。
【0270】
・カードの打ち抜き
得られた画像記録体の画像が形成された部分をカードパンチャー(アイセル社性、SP−N型)で1枚ずつ打ち抜いて、ICチップおよびアンテナを内蔵したカードを作製した。
【0271】
〔比較例1〕
・画像形成工程
まず、実施例1の「画像形成工程」に記載の方法により、前記画像転写シート<1>の画像受像層形成面に画像を形成し、表面に画像を有する画像転写シート<1>を作製した。
【0272】
・重ね合わせ工程
前記記録媒体<1>の表面に、画像形成工程によって画像が形成された画像転写シート<1>の画像受像層側の面を重ね合わせて位置合せし、積層体を得た。
【0273】
・加熱加圧工程
次いで、一対のベルトから構成されるラミネート装置を用い、加熱温度150℃、圧力1kN、速度を10mm/sの条件に設定してラミネートを実施した。このとき、加熱加圧手段通過後の記録媒体<1>の温度を測定したところ、100℃であった。
【0274】
・剥離工程
室温(22℃)まで冷却した後、上記録媒体<1>と画像転写シート<1>との積層体から前記画像転写用基材を手で剥離し、画像記録体を作製した。
【0275】
・カードの打ち抜き
実施例1の「カードの打ち抜き」に記載の方法により、ICチップおよびアンテナを内蔵したカードを作製した。
【0276】
−評価−
以上の実施例および比較例により得られたカードの「そり」および「変形」について評価した。尚、表1中に示すカードの反りおよび変形の評価方法および評価基準は以下に示す通りである。
【0277】
カードのそりおよび変形は、カードを定盤の上に置き、カード面内の最大高さからカードの厚さを引いた値(最大変形量)、および目視による観察により、以下の基準で評価した。
○:最大変形量は700μm以下であり、目視により変形が認識できない。
△:最大変形量は1mm以下であり、目視により若干の変形が認識できる。
×:最大変形量は1mm以上であり、目視により明らかに変形が認識できる。
以上の結果を表1に示す。
【0278】
【表1】



【0279】
−記録媒体<2>の準備−
記録媒体としては、白色塩化ビニル(三菱樹脂社製,ビニホイルC−4636、ガラス転移温度Tg:62℃)製で、厚さ760μm、大きさA4サイズ(297mm×210mm)に加工された、且つ内部にカード用のICチップとアンテナが、長手方向に3個、短手方向に3個の計9個内封されているものを用いた。尚、ICチップの材料やアンテナの材料は前記白色塩化ビニルよりもガラス転移温度Tgが高い材料である。
【0280】
−画像転写シート<2>の作製−
画像転写シート<2>は以下のように作製した。
【0281】
(離型層塗工液の調製)
有機シラン縮合物、メラミン樹脂、およびアルキド樹脂を含むシリコーンハードコート剤(GE東芝シリコーン社製、SHC900、固形分30質量%)20部を、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30部に添加して十分攪拌し離型層塗工液を調製した。
【0282】
(画像受像層塗工液の調製)
ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロン200)20部と、架橋型アクリル粒子(綜研化学社製、MX−500、体積平均粒径5μm)1部と、帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.6部と、をシクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90にて混合した液80部に添加して十分攪拌し画像受像層塗工液を調製した。
【0283】
(抵抗調整層塗工液の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレットFF−4M、固形分30質量%)20部と、架橋型アクリル粒子(綜研化学社製、MX300、体積平均粒径3μm)0.6部と、帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部と、をシクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90にて混合した液80部に添加して十分攪拌し抵抗調整層塗工液を調製した。
【0284】
(画像転写シートの作製)
画像転写用基材としてPETフィルム(東レ社製、ルミラー100T60、厚み:100μm)を用い、この画像転写用基材の片面に前記抵抗調整層塗工液をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で30秒乾燥させ、画像転写用基材の裏面側に膜厚0.2μmの抵抗調整層を形成した。この画像転写用基材のもう一方の面(未処理面)に、前記離型層塗工液をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で30秒乾燥させ、膜厚1μmの離型層を形成した。更に、この離型層上に、前記画像受像層塗工液をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で60秒乾燥させ、膜厚10μmの画像受像層を形成した。その後A4サイズ(210mm×297mm)にカットして画像転写シート<2>を作製した。
【0285】
−接着層保持シート<2>の作製−
接着層保持シート<2>は以下のように作製した。
【0286】
(離型層塗工液の調製)
有機シラン縮合物、メラミン樹脂、およびアルキド樹脂を含むシリコーンハードコート剤(GE東芝シリコーン社製、SHC900、固形分30質量%)20部をシクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30部に添加して十分攪拌し離型層塗工液を調製した。
【0287】
(接着層塗工液の調製)
ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロン220、ガラス転移温度Tg:53℃)20部と、架橋型アクリル粒子(綜研化学社製、MX−2000、体積平均粒径20μm)0.2部と、帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.2部と、をシクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分攪拌し接着層塗工液を調製した。
【0288】
(接着層保持シートの作製)
接着層保持基材としてPETフィルム(東レ社製、ルミラー100T60、厚み:100μm)を用い、この接着層保持基材の片面に、前記離型層塗工液をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で30秒乾燥させ、膜厚1μmの離型層を形成した。更に、この離型層上に、前記接着層塗工液をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で60秒乾燥させ、膜厚15μmの接着層を形成した。その後A4サイズ(210mm×297mm)にカットして接着層保持シート<2>を作製した。
【0289】
〔実施例2〕
(I)画像形成工程
前記画像転写シート<2>の画像受像層形成面に、富士ゼロックス社製DocuColor1256GA(電子写真装置)により、短手方向に等間隔に3つ、長手方向に等間隔に3つ配列するように左右反転(鏡像)印刷で合計9箇所画像を形成し、表面に画像を有する画像転写シート<2>を作製した。
なお、画像は、使用する記録媒体<2>に相当するサイズ(85.6mm×54mm)に形成されたものである。
【0290】
(II)画像受像層表面接着層形成工程
前記画像形成工程によって画像が形成された画像転写シート<2>の画像受像層側の面に前記接着層面を向き合わせて前記接着層保持シート<2>を重ね合わせて位置合せし、第1の積層体を得た(第1の重ね合わせ工程)。次いで、一対のベルトから構成されるラミネート装置を用い、加熱温度130℃、圧力1kN、速度10mm/sの条件に設定してラミネートを実施した(第1の加熱加圧工程)。
室温(22℃)まで冷却した後、上記画像転写シート<2>と接着層保持シート<2>との第1の積層体から前記接着層保持基材を手で剥離し(第1の剥離工程)、接着層を形成した画像転写シート<2>を作製した。
【0291】
(III)第2の重ね合わせ工程
前記記録媒体<2>の表面に、前記画像受像層表面接着層形成工程によって接着層が形成された画像転写シート<2>の接着層形成面を重ね合わせて位置合せし、第2の積層体を得た。
【0292】
(4)第2の加熱加圧工程
次いで、一対のベルトから構成されるラミネート装置を用い、加熱温度90℃、圧力1kN、速度10mm/sの条件に設定してラミネートを実施した。このとき、加熱加圧手段通過後の記録媒体<2>の温度を測定したところ、60℃であった。
【0293】
(5)第2の剥離工程
室温(22℃)まで冷却した後、上記記録媒体<2>と画像転写シート<2>との第2の積層体から前記画像転写用基材を手で剥離し、画像記録体を作製した。
【0294】
・カードの打ち抜き
得られた画像記録体の画像が形成された部分をカードパンチャー(アイセル社性、SP−N型)で1枚ずつ打ち抜いて、ICチップおよびアンテナを内蔵したカードを作製した。
【0295】
〔比較例2〕
・画像形成工程
まず、実施例2の「画像形成工程」に記載の方法により、前記画像転写シート<2>の画像受像層形成面に画像を形成し、表面に画像を有する画像転写シート<2>を作製した。
【0296】
・重ね合わせ工程
前記記録媒体<2>の表面に、画像形成工程によって画像が形成された画像転写シート<2>の画像受像層側の面を重ね合わせて位置合せし、積層体を得た。
【0297】
・加熱加圧工程
次いで、一対のベルトから構成されるラミネート装置を用い、加熱温度150℃、圧力1kN、速度を10mm/sの条件に設定してラミネートを実施した。このとき、加熱加圧手段通過後の記録媒体<2>の温度を測定したところ、100℃であった。
【0298】
・剥離工程
室温(22℃)まで冷却した後、上記録媒体<2>と画像転写シート<2>との積層体から前記画像転写用基材を手で剥離し、画像記録体を作製した。
【0299】
・カードの打ち抜き
実施例2の「カードの打ち抜き」に記載の方法により、ICチップおよびアンテナを内蔵したカードを作製した。
【0300】
−評価−
以上の実施例および比較例により得られたカードの「そり」および「変形」について、実施例1に記載の方法により評価した。
以上の結果を表2に示す。
【0301】
【表2】



【図面の簡単な説明】
【0302】
【図1】第1実施形態に係る画像記録体の製造方法の各工程を示す概略断面図である。
【図2】第1実施形態に係る画像記録体の製造方法を適用した画像記録体の製造装置における記録媒体表面接着層形成手段の一例を示す概略構成図である。
【図3】第1実施形態に係る画像記録体の製造方法を適用した画像記録体の製造装置における画像形成手段、第2の重ね合わせ手段、第2の加熱加圧手段および第2の剥離手段の一例を示す概略構成図である。
【図4】第2実施形態に係る画像記録体の製造方法の各工程を示す概略断面図である。
【図5】第2実施形態に係る画像記録体の製造方法を適用した画像記録体の製造装置における記録媒体表面接着層形成手段の一例を示す概略構成図である。
【図6】第2実施形態に係る画像記録体の製造方法を適用した画像記録体の製造装置における画像形成手段、第2の重ね合わせ手段、第2の加熱加圧手段および第2の剥離手段の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0303】
10、60 接着層保持媒体
12、62 接着層
14、64 接着層保持基材
20、70 記録媒体
30、80 画像転写媒体
32、82 画像受像層
34、84 画像転写用基材
40、90 画像
110 記録媒体表面接着層形成手段
114 丁合い装置
116 ラミネート装置
117 剥離装置
119 エア噴出しノズル
121 ガイド
122 接着層保持シート
128 接着層保持シートスタッカー
134 プラスチックシートスタッカー
136 丁合い受け皿
138 プラスチックシート
140、142 搬送路
144 仮止め装置
146 ベルト
148 加熱・加圧ロール
150 張架ロール
156 排出部
157 接着層保持基材排出受け皿
212 画像形成装置
214 丁合い装置
216 ラミネート装置
217 剥離装置
218 画像転写シートスタッカー
219 エア噴出しノズル
220 画像形成部
221 ガイド
222 画像転写シート
224、226 搬送路
226a 反転路
228 排出口
232 カム
234 接着層形成プラスチックシートスタッカー
236 丁合い受け皿
238 プラスチックシート
240、242 搬送路
244 仮止め装置
246 ベルト
248 加熱・加圧ロール
250 張架ロール
256 排出受け皿
257 画像転写用基材排出受け皿
310 画像受像層表面接着層形成手段
312 画像形成装置
314 丁合い装置
316 ラミネート装置
317 剥離装置
318 画像転写シートスタッカー
319 エア噴出しノズル
320 画像形成部
321 ガイド
322 画像転写シート
324、326 搬送路
326a 反転路
328 排出口
332 カム
334 接着層保持シートスタッカー
336 丁合い受け皿
338 接着層保持シート
340、342 搬送路
344 仮止め装置
346 ベルト
348 加熱・加圧ロール
350 張架ロール
356 排出部
357 接着層保持基材排出受け皿
414 丁合い装置
416 ラミネート装置
417 剥離装置
419 エア噴出しノズル
421 ガイド
422 画像転写シート
428 接着層形成画像転写シートスタッカー
434 プラスチックシートスタッカー
436 丁合い受け皿
438 プラスチックシート
440、442 搬送路
444 仮止め装置
446 ベルト
448 加熱・加圧ロール
450 張架ロール
456 排出受け皿
457 画像転写用基材排出受け皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着層保持基材の少なくとも片面側に接着層を有する接着層保持媒体と、記録媒体と、を前記接着層が前記記録媒体と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ工程、前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第1の加熱加圧工程、並びに、前記第1の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材を剥離する第1の剥離工程を経て前記記録媒体表面に接着層を形成する記録媒体表面接着層形成工程と、
画像転写用基材の少なくとも片面側に画像受像層を有する画像転写媒体の前記画像受像層に、画像形成材料からなる画像を形成する画像形成工程と、
前記画像形成工程を経た画像転写媒体と、前記記録媒体表面接着層形成工程を経た記録媒体と、を前記接着層が前記画像受像層と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ工程と、
前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第2の加熱加圧工程と、
前記第2の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材を剥離する第2の剥離工程と、
を少なくとも有する画像記録体の製造方法。
【請求項2】
前記第1の加熱加圧工程および第2の加熱加圧工程における加熱温度が、前記記録媒体に用いられる材料のガラス転移温度の内、最も低いガラス転移温度未満である請求項1に記載の画像記録体の製造方法。
【請求項3】
前記画像形成工程における画像の形成が、電子写真方式によって行われる請求項1または請求項2に記載の画像記録体の製造方法。
【請求項4】
画像転写用基材の少なくとも片面側に画像受像層を有する画像転写媒体の前記画像受像層に、画像形成材料からなる画像を形成する画像形成工程と、
接着層保持基材の少なくとも片面側に接着層を有する接着層保持媒体と、前記画像形成工程を経た画像転写媒体と、を前記接着層が前記画像受像層と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ工程、前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第1の加熱加圧工程、並びに、前記第1の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材を剥離する第1の剥離工程を経て前記画像受像層表面に接着層を形成する画像受像層表面接着層形成工程と、
前記画像受像層表面接着層形成工程を経た画像転写媒体と、記録媒体と、を前記接着層が前記記録媒体と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ工程と、
前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第2の加熱加圧工程と、
前記第2の加熱加圧工程によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材を剥離する第2の剥離工程と、
を少なくとも有する画像記録体の製造方法。
【請求項5】
前記第2の加熱加圧工程における加熱温度が、前記記録媒体に用いられる材料のガラス転移温度の内、最も低いガラス転移温度未満である請求項4に記載の画像記録体の製造方法。
【請求項6】
前記画像形成工程における画像の形成が、電子写真方式によって行われる請求項4または請求項5に記載の画像記録体の製造方法。
【請求項7】
接着層保持基材の少なくとも片面側に接着層を有する接着層保持媒体と、記録媒体と、を前記接着層が前記記録媒体と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ手段、前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第1の加熱加圧手段、並びに、前記第1の加熱加圧手段によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材を剥離する第1の剥離手段によって前記記録媒体表面に接着層を形成する記録媒体表面接着層形成手段と、
画像転写用基材の少なくとも片面側に画像受像層を有する画像転写媒体の前記画像受像層に、画像形成材料からなる画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって画像が形成された画像転写媒体と、前記記録媒体表面接着層形成手段によって接着層が形成された記録媒体と、を前記接着層が前記画像受像層と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ手段と、
前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第2の加熱加圧手段と、
前記第2の加熱加圧手段によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材を剥離する第2の剥離手段と、
を少なくとも有する画像記録体の製造装置。
【請求項8】
画像転写用基材の少なくとも片面側に画像受像層を有する画像転写媒体の前記画像受像層に、画像形成材料からなる画像を形成する画像形成手段と、
接着層保持基材の少なくとも片面側に接着層を有する接着層保持媒体と、前記画像形成手段によって画像が形成された画像転写媒体と、を前記接着層が前記画像受像層と対面し接するように重ね合わせ第1の積層体とする第1の重ね合わせ手段、前記第1の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第1の加熱加圧手段、並びに、前記第1の加熱加圧手段によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第1の積層体から前記接着層保持基材を剥離する第1の剥離手段によって前記画像受像層表面に接着層を形成する画像受像層表面接着層形成手段と、
前記画像受像層表面接着層形成手段によって接着層が形成された画像転写媒体と、記録媒体と、を前記接着層が前記記録媒体と対面し接するように重ね合わせ第2の積層体とする第2の重ね合わせ手段と、
前記第2の積層体を加熱および加圧し前記接着層を溶融する第2の加熱加圧手段と、
前記第2の加熱加圧手段によって溶融した前記接着層を冷却し固化させた後、前記第2の積層体から前記画像転写用基材を剥離する第2の剥離手段と、
を少なくとも有する画像記録体の製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−230700(P2010−230700A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74908(P2009−74908)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】