説明

画像記録装置

【課題】剛性の高い被記録媒体が載置されたトレイを支持可能なトレイガイドが移動可能な構成としつつも、トレイの誤挿入を防止できる構造を提供する。
【解決手段】記録メディアが載置されたメディアトレイが搬送される搬送路と、メディアトレイが搬送路へ挿入される本体開口13の上側を区画する上ガイド部材92と、上ガイド部材92の下側に上ガイド部材92と対向して設けられており、メディアトレイを搬送路65へ進入可能に支持する第1位置(図7(B))、及び第1位置から上側に退避した第2位置(図7(A))に移動可能であり、メディアトレイの上面74Aから上向きに立設されてメディアトレイの両端をガイドするガイド板75、76を有するトレイガイド72と、上ガイド部材92から下向きに突出しており、ガイド板75、76及び上ガイド部材92の間に進入したメディアトレイ71と当接する第1凸部101とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクなどの剛性の高い被記録媒体に画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力信号に基づいて被記録媒体に画像記録を行う画像記録装置が知られている。このような画像記録装置の画像記録の方式としては、例えばインクジェット記録方式や電子写真方式がある。
【0003】
上述した画像記録装置において画像記録が行われる被記録媒体には、記録用紙などの他、光ディスクなどの剛性の高い被記録媒体も提案されている。一般に、光ディスクなどの剛性の高い被記録媒体に画像記録を行う際、当該被記録媒体は専用のトレイにセットされる。当該トレイは画像記録装置に設けられたトレイガイドに支持され、挿入口から挿入され、画像記録装置内を搬送される。
【0004】
特許文献1には、トレイを支持するトレイ支持面を有するトレイガイドを備えた記録装置が開示されている。当該トレイガイドは、トレイをトレイ支持面から用紙搬送経路に案内可能な第1のポジションである支持位置と、用紙搬送経路から退避する第2のポジションである退避位置とに変位可能である。当該記録装置では、用紙に画像を記録するときにトレイガイドが退避位置に変位され、光ディスク等の被記録媒体に画像を記録するときにトレイガイドが支持位置に変位される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−88654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トレイガイドは、特許文献1の図2に示されるように、上下方向に移動することによって、支持位置(図2において仮想線で示される。)及び退避位置(図2において実線で示される。)に変位される。そのため、トレイガイドが支持位置に位置するとき、トレイガイドと挿入口を区画する記録装置のフレームとの間には、隙間が生じる。このような構成の記録装置においては、ユーザがトレイガイドにトレイを支持させるためにトレイを挿入口から挿入するとき、トレイが隙間から装置奥側に挿入されてしまい、トレイ支持面に正しく支持されないおそれがあった。つまり、トレイが挿入口から誤挿入されてしまうおそれがあった。そして、誤挿入されたトレイが記録装置のフレームにぶつかると、記録装置の故障や、トレイに支持された被記録媒体の破損を招くおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、剛性の高い被記録媒体が載置されたトレイを支持可能なトレイガイドが移動可能な構成としつつも、トレイの誤挿入を防止することができる画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明の画像記録装置は、第1被記録媒体が載置されるトレイと、上記トレイが搬送される搬送路と、上記トレイの上記搬送路への挿入口の上側を区画する天板と、上記天板の下側に上記天板と対向して設けられており、上記トレイを上記搬送路へ進入可能に支持する第1位置、及び上記第1位置よりも上側であって上記搬送路から退避した第2位置に移動可能であり、上記トレイの支持面から上向きに立設されて上記トレイの幅方向の両端をガイドする一対のサイドガイドを有するトレイガイドと、上記天板から下向きに突出しており、上記サイドガイドの上端及び上記天板の間に進入した上記トレイと当接する第1凸部と、を備える。
【0009】
本構成によれば、トレイが、第1位置のトレイガイドに支持されているときに、トレイガイドと天板との間にできる隙間に挿入されようとしても、当該トレイは第1凸部と当接するためにそれ以上装置の奥側へ挿入されない。
【0010】
(2) 上記サイドガイドの上端と上記第1凸部の突出先端との間隔は、上記トレイの厚みよりも小さい。
【0011】
本構成によれば、トレイが、第1位置のトレイガイドに支持されているときに、トレイガイドと天板との間にできる隙間に挿入されようとしても、サイドガイドの上端と第1凸部の突出先端との間隔がトレイの厚みよりも小さいため、当該トレイは装置の奥側へ挿入されない。
【0012】
(3) 上記第1凸部は、上記トレイの挿入向きの上流側の面に、上記挿入向きに沿って斜め下向きに傾斜する第1傾斜面を有する。
【0013】
本構成によれば、第1傾斜面により、第1凸部と当接したトレイを、下側に位置するトレイガイドへ導くことができる。
【0014】
(4) 本発明の画像記録装置は、上記トレイガイドから上向きに上記サイドガイドよりも上側まで立設されており、上記トレイの挿入向きの上流側の面に、上記挿入向きに沿って斜め下向きに傾斜する第2傾斜面を有する第2凸部を更に備える。上記第1凸部は、上記第2凸部の上端及び上記天板の間に進入した上記トレイと当接する。
【0015】
本構成によれば、第2凸部を有することにより、トレイガイドと天板との間にできる隙間を狭くすることができる。また、第2傾斜面により、第2凸部と当接したトレイを、下側に位置するトレイガイドへ導くことができる。
【0016】
(5) 上記第1凸部の突出先端は、上記トレイガイドが上記第1位置の状態において、上記第2凸部の立設先端よりも下側に位置する。
【0017】
本構成によれば、トレイガイドと天板との間の隙間へのトレイの進入を防止することができる。
【0018】
(6) 上記第1凸部は、上記トレイガイドに支持された上記トレイに載置された第1被記録媒体と対向しない位置に設けられている。
【0019】
本構成によれば、トレイガイドに支持されているトレイの上面に載置された第1被記録媒体が、第1凸部と接触する可能性を低くすることができる。これにより、第1被記録媒体の破損の可能性を低くすることができる。
【0020】
(7) 本発明の画像記録装置は、上記トレイガイドを、上記挿入向きの下流側を軸として、上記第2位置から上記挿入向きの上流側が搬送路側に回動した第3位置に移動させる第1手段と、上記トレイガイドの上記挿入向きの下流側を、上記第3位置のときよりも上記搬送路側に移動させると共に、上記トレイガイドを上記挿入向きの上流側へ移動させることによって、上記トレイガイドを上記第1位置に移動させる第2手段と、を更に備える。
【0021】
本構成によれば、第1位置のトレイガイドは、第2手段によって第2位置よりも挿入向きに上流側に位置される。つまり、第1位置のトレイガイドは、トレイを挿入するユーザに近い位置となる。これにより、トレイガイドから立設されている第2凸部が、トレイを挿入するユーザに近い位置となる。ユーザは、第2凸部を見ながらトレイを挿入することができる。その結果、トレイの誤挿入の可能性を低くすることができる。
【0022】
(8) 上記トレイガイドには、上記トレイガイドが上記第2位置の状態において上記第1凸部と対向する位置に、開口が形成されている。上記第1凸部は、上記トレイガイドが上記第2位置の状態において、上記開口に挿入される。
【0023】
本構成によれば、第1凸部が開口に挿入されるため、画像記録装置の高さの増加を防止することができる。
【0024】
(9) 本発明の画像記録装置は、上記搬送路に設けられており、シート状の第2被記録媒体を上記挿入向きとは反対向きの搬送向きに搬送して上記挿入口から排出させる搬送部を更に備える。上記第1凸部は、上記トレイガイドが上記第2位置の状態において、上記開口を貫通して上記トレイガイドよりも下側に突出されている。上記搬送向きの上流側の面に、上記搬送向きに沿って斜め下向きに傾斜する第3傾斜面を有する。
【0025】
搬送路を搬送される第2被記録媒体は、静電気などによって、搬送路の上側に位置する第2位置のトレイガイドの下面に張り付くことがある。本構成によれば、第2被記録媒体がトレイガイドの下面に張り付いても、当該第2被記録媒体は、トレイガイドの下面から突出した第1凸部の第3傾斜面に沿って搬送されることにより、トレイガイドの下面から離間される。その結果、第2被記録媒体は、挿入口から適切に排出可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、トレイガイドと天板との間にできる隙間に挿入されようとしたトレイは、第1凸部と当接するために、それ以上装置の奥側へ挿入されない。よって、本発明によれば、トレイの誤挿入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】複合機10の外観斜視図である。
【図2】プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図3】メディアトレイ71の外観斜視図である。
【図4】トレイガイド72及びその周辺部の外観斜視図であり、(A)にはトレイガイド72が第2位置の状態が示されており、(B)にはトレイガイド72が第3位置の状態が示されており、(C)にはトレイガイド72が第1位置の状態が示されている。
【図5】左ガイド部材91を左側から見た場合を模式的に示す縦断面図であり、(A)にはトレイガイド72が第2位置の状態が示されており、(B)にはトレイガイド72が第3位置の状態が示されており、(C)にはトレイガイド72が第1位置の状態が示されている。
【図6】本体開口13及びトレイガイド72並びにその周辺部を斜め上から見た斜視図であり、(A)にはトレイガイド72が第2位置の状態が示されており、(B)にはトレイガイド72が第1位置の状態が示されている。
【図7】本体開口13及びトレイガイド72並びにその周辺部を示す正面図であり、(A)にはトレイガイド72が第2位置の状態が示されており、(B)にはトレイガイド72が第1位置の状態が示されている。
【図8】本体開口13及びトレイガイド72並びにその周辺部を斜め下から見た斜視図である。
【図9】本体開口13及びトレイガイド72並びにその周辺部を左斜め前から見た斜視図である。
【図10】第1凸部101と第2凸部104とメディアトレイ71とを模式的に示す図であり、(A)は図7(B)のA−A断面図であり、(B)は図7(B)のB−B断面図であり、(C)は変形例2の場合の図7(B)のA−A断面図であり、(D)は変形例1の場合の正面図であり、(E)は図7(A)のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが「向き」と表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が「方向」と表現される。また、以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、本体開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0029】
[複合機10]
図1に示されるように、本発明の画像記録装置の一例である複合機10は、薄型の直方体に概ね形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。なお、プリント機能以外の機能の有無は任意である。また、本実施形態において、複合機10はプリント機能として片面画像記録機能のみ有しているが、複合機10は両面画像記録機能を有していてもよい。
【0030】
プリンタ部11は、正面に本体開口13(本発明の挿入口の一例)が形成された筐体14を有し、給紙トレイ20及び排紙トレイ21(図2参照)が、本体開口13から前後方向に挿抜可能である。給紙トレイ20には、各種サイズのシート状の被記録媒体、本実施形態においては記録用紙17(本発明の第2被記録媒体の一例、図2参照)が収容される。また、排紙トレイ21は、給紙トレイ20に支持されて、給紙トレイ20の上方に配置される。
【0031】
図2に示されるように、プリンタ部11は、給紙トレイ20から記録用紙17を給送する給紙部15と、記録用紙17にインク滴を吐出して画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24などを備えている。また、記録部24はインクジェット方式に限られず、電子写真方式などの種々の記録方式のものが適用可能である。
【0032】
プリンタ部11は、外部機器から受信した印刷データなどに基づいて、記録用紙17に画像を記録する。また、複合機10は、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディア(本発明の第1被記録媒体の一例、不図示)の盤面上に記録部24によって画像を記録する機能を有する。この機能については後述される。
【0033】
[給紙部15]
図2に示されるように、給紙部15は、給紙トレイ20の上側に設けられている。給紙部15は、給紙ローラ25、給紙アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給紙ローラ25は、給紙アーム26の前端部で軸支されている。給紙アーム26は、軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給紙ローラ25は給紙トレイ20に接離可能である。給紙ローラ25は、複数のギヤが噛合された駆動伝達機構27によって、給紙用モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙17を1枚ずつ分離して、搬送路65へ供給する。
【0034】
[搬送路65]
搬送路65(本発明の搬送路の一例)は、給紙トレイ20に設けられた分離傾斜板22の上側から上方且つ複合機10の正面側へ曲がり、さらに後述される各ローラ対58、59による挟持位置を通過して本体開口13(詳細には本体開口13に挿入された排紙トレイ21)へ通じている。
【0035】
記録用紙17は、搬送路65を搬送向き(図2において矢印付きの一点鎖線で示される向き、本発明の搬送向きに相当)に案内される。つまり、給紙トレイ20から給送された記録用紙17は、搬送路65を下方から上方へUターンするように案内されて記録部24に至る。記録用紙17は、記録部24により画像が記録された後、排紙トレイ21に排出される。搬送路65は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって区画されている。
【0036】
[記録部24]
記録部24は、記録ヘッド38を搭載して左右方向9(図2の紙面に垂直な方向)へ往復移動するキャリッジ40を備えている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38は、下面に設けられたノズル39から、インクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ40が往復移動することにより、記録ヘッド38が記録用紙17に対して走査され、記録部24の下方に記録部24と対向して設けられているプラテン42上を搬送される記録用紙17に画像が記録される。
【0037】
[第1ローラ対58及び第2ローラ対59]
搬送路65における記録部24よりも搬送向きの上流側には、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61よりなる第1ローラ対58が設けられている。第1搬送ローラ60は搬送路65の上側に設けられており、ピンチローラ61は搬送路65の下側に設けられている。ピンチローラ61は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1ローラ対58は、搬送されてきた記録用紙17を狭持して搬送路65に沿ってプラテン42上へ搬送する。
【0038】
搬送路65における記録部24よりも搬送向きの下流側には、第2搬送ローラ62及び拍車63よりなる第2ローラ対59(本発明の搬送部の一例)が設けられている。第2搬送ローラ62は搬送路65の下側に設けられており、拍車63は搬送路65の上側に設けられている。拍車63は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2ローラ対59は、記録部24から搬送されてきた記録用紙17を狭持して、搬送路65に沿って搬送向きの下流側へ搬送する。これにより、記録用紙17は、排紙トレイ21に排出される。
【0039】
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ(不図示)から駆動伝達機構(不図示)を介して回転駆動力が伝達されて回転される。駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されており、搬送用モータが正転または逆転の一方(本実施形態では正転とする。)に回転された場合に、記録用紙17及び後述するメディアトレイ71を搬送向きに搬送させ、搬送用モータが正転または逆転の他方(本実施形態では逆転とする。)に回転された場合に、記録用紙17及びメディアトレイ71を搬送向きと逆向きに搬送させる。
【0040】
[第1ローラ対58、第2ローラ対59、及びプラテン42の姿勢変化]
第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、一対のローラが互いに当接する当接姿勢と、一対のローラが互いに離間する離間姿勢とに姿勢変化可能である。第1ローラ対58及び第2ローラ対59が当接姿勢をとっている場合、記録用紙17の挟持が可能であり、記録用紙17を搬送路65に沿って搬送させる。一方、第1ローラ対58及び第2ローラ対59が離間姿勢をとっている場合、各ローラ対の一対のローラ間の間隔は、メディアトレイ71を挟持するのに適した間隔となる。よって、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、離間姿勢をとっている場合にメディアトレイ71の挟持が可能であり、メディアトレイ71を搬送路65に沿って搬送させる。本実施形態においては、第1ローラ対58及び第2ローラ対59の下側のローラであるピンチローラ61及び第2搬送ローラ62が下方へ移動することによって、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、当接姿勢から離間姿勢へ姿勢変化される。
【0041】
また、プラテン42も下方に移動可能である。プラテン42が下方に移動していない場合、プラテン42と記録部24の間の間隔は、記録用紙17が記録部24の下方を通過可能な間隔である。一方、プラテン42が下方に移動している場合、当該間隔は、メディアトレイ71が記録部24の下方を通過可能な間隔である。
【0042】
ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42の下方への移動は、例えば、ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42の各々の下方に設けられた偏心カム150及び支持部材147によって実行される。偏心カム150は、左右方向9を軸方向として複合機10の筐体14を構成するフレーム(不図示)に回転自在に支持されている。偏心カム150は、軸148からの径が周期的に変化する円盤である。
【0043】
支持部材147は、偏心カム150に載置されるようにして支持されている。ピンチローラ61及び第2搬送ローラ62は、支持部材147に回転可能に支持されている。プラテン42は、支持部材147に支持されている。
【0044】
本実施形態では、偏心カム150は、図示されていないモータから駆動伝達されて回転される。偏心カム150が回転されると、その周面が支持部材147に対して摺動される。偏心カム150の周面は、軸148からの径が周期的に変化するので、この変化によって支持部材147が上下方向7へ移動する。支持部材147の上下方向7への移動によって、ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42が上下方向7へ移動される。図2には、支持部材147が上側へ移動された状態が実線で示されており、下側へ移動された状態が破線で示されている。
【0045】
[メディアトレイ71]
上述したように、複合機10は、記録メディアの盤面上に画像を記録する機能を有する。記録メディアに画像が記録される場合、記録メディアは、メディアトレイ71(本発明のトレイの一例)に載置される。図3に示されるように、メディアトレイ71は、薄板形状の樹脂板である。メディアトレイ71の上面71Aには、円形状の凹みであって記録メディアが載置されるメディア載置部70が設けられている。
【0046】
図2に示されるように、メディアトレイ71は本体開口13に設けられた後述するトレイガイド72(本発明のトレイガイドの一例)に載置されつつ、搬送路65に沿って、搬送向きと逆向き、つまり矢印73の向き(本発明の挿入向きに相当)に挿入される。つまり、メディアトレイ71は、本体開口13から挿入される。これにより、メディアトレイ71は、上述されたようにローラ間の間隔が大きくされた第2ローラ対59に挟持されて、搬送路65を通過可能となる。記録部24は、記録用紙17の場合と同様にして、直下を通過するメディアトレイ71に載置された記録メディアにインク滴を吐出する。これにより、記録メディアに画像が記録される。
【0047】
[トレイガイド72]
図2に示されるように、搬送路65における搬送向きの最下流端の前側には、トレイガイド72が設けられている。図4に示されるように、トレイガイド72は、概ね薄型の平板形状の部材である。なお、図4では、トレイガイド72の前側の先端部81(図5及び図6参照)が省略されている。
【0048】
トレイガイド72は、メディアトレイ71が載置される底板74と、底板74の左右方向9の両端部において底板74の上面74Aから上向きに立設され、メディアトレイ71が挿入される方向に沿って配置された右ガイド板75及び左ガイド板76(本発明の一対のサイドガイドの一例)と、底板74の左右方向9の右端部から右側に突出する2本の軸棒(第1軸棒77及び第2軸棒78)と、底板74の左右方向9の左端部から左側に突出する2本の軸棒(第3軸棒79及び第4軸棒80)とを備えている。
【0049】
底板74の上面74A(本発明の支持面に相当)にはメディアトレイ71が載置される。右ガイド板75の左側面と左ガイド板76の右側面との間の間隔は、メディアトレイ71の幅方向(左右方向9)の長さと同一または若干大きい。これにより、メディアトレイ71を底板74に載置しながら本体開口13から挿入するときに、メディアトレイ71が左右方向9にずれない。つまり、メディアトレイ71は、底板74の上面に、左右方向9の両端を右ガイド板75及び左ガイド板76にガイドされつつ載置される。
【0050】
第1軸棒77及び第3軸棒79は、底板74の前端に近接する位置に設けられている。第1軸棒77及び第3軸棒79は左右方向9における同一線上に配置されている。また、第2軸棒78及び第4軸棒80は、底板74の後端に近接する位置に設けられている。第2軸棒78及び第4軸棒80は左右方向9における同一線上に配置されている。
【0051】
プリンタ部11において、トレイガイド72の右端に対向する位置に、右ガイド部材90が配置されている。また、プリンタ部11において、トレイガイド72の左端に対向する位置に、左ガイド部材91が配置されている。また、プリンタ部11において、トレイガイド72の上側に、トレイガイド72と対向して上ガイド部材92(図6参照、本発明の天板の一例)が配置されている。なお、図4において、上ガイド部材92は省略されている。図6に示されるように、上ガイド部材92は、本体開口13の上側を区画している。
【0052】
図5に示されるように、右ガイド部材90における第1軸棒77に対向する位置、及び左ガイド部材91における第3軸棒79に対向する位置に、前側長孔93が設けられている。右ガイド部材90における第2軸棒78に対向する位置、及び左ガイド部材91における第4軸棒80に対向する位置に、後側長孔94が設けられている。なお、図5において、右ガイド部材90の前側長孔93及び後側長孔94は省略されている。
【0053】
図5(A)に示されるように、前側長孔93は、トレイガイド72が第2軸棒78及び第4軸棒80を軸として回動する場合における第1軸棒77及び第3軸棒79の回動経路に沿って延びた第1長孔151と、第1長孔151の下側の端部から前方へ延びた第2長孔152とが連続して形成されている。第1長孔151は円弧状の長孔である。当該円弧は、トレイガイド72の回動軸(第2軸棒78及び第4軸棒80)を中心とする円において、上端部107と下端部108の間で連続する円弧である。第2長孔152は、下端部108と前端部109の間で概ね前後方向8に沿って連続する直線状の長孔である。後側長孔94は、後上端部110を一方の端部として後方から前方にかけて概ね斜め下向きに延びた直線状の第3長孔153と、第3長孔153の他方の端部から前方に向かって前下端部111まで延びた直線状の短孔154とが連続して形成されている。
【0054】
前側長孔93には第1軸棒77及び第3軸棒79が貫通され、後側長孔94には第2軸棒78及び第4軸棒80が貫通されている。これにより、トレイガイド72は、右端部を右ガイド部材90によって支持され、左端部を左ガイド部材91によって支持される。
【0055】
[トレイガイド72の移動]
各軸棒77〜80は、各長孔93、94に沿って移動可能である。これにより、トレイガイド72は、各軸棒77〜80の各長孔93、94における位置によって、異なる位置に移動することが可能である。本発明におけるトレイガイド72は、メディアトレイ71を搬送路65へ進入可能に支持する第1位置(図2破線、図4(C)及び図5(C)参照、本発明の第1位置に相当)、記録用紙17が搬送路65において搬送可能であって、第1位置よりも上側且つ後方の位置であって、搬送路65から退避した第2位置(図2実線、図4(A)及び図5(A)参照、本発明の第2位置に相当)、トレイガイド72において矢印73の向き(図2参照)の下流側に設けられた第2軸棒78及び第4軸棒80を軸として、第2位置から矢印73の向きの上流側(前側)が搬送路65側(下側)に回動した第3位置(図2一点鎖線、図4(B)及び図5(B)参照、本発明の第3位置に相当)に移動可能である。
【0056】
図4(C)及び図5(C)に示されるように、第1位置は、底板74の上面74Aが前後方向8に沿った位置である。また、図2に実線で示されるように、第1位置においては、底板74の上面74Aの上下方向7の高さが、装置の背面側から正面側へ延出されている搬送路65と略同じ高さである。また、トレイガイド72が第1位置の場合、第1軸棒77及び第3軸棒79は、前側長孔93の前端部109に位置し、第2軸棒78及び第4軸棒80は、後側長孔94の前下端部111に位置している。以上より、第1位置のトレイガイド72に載置されたメディアトレイ71は、記録用紙17の搬送向きと逆向きに搬送されることにより、搬送路65へ進入可能である。
【0057】
図4(A)及び図5(A)に示されるように、第2位置は、第1位置と同様に、底板74の上面74Aが前後方向8に沿った位置である。しかし、図2に破線で示されるように、第2位置においては、底板74の上面74Aの上下方向7の高さが、装置の背面側から正面側へ延出されている搬送路65よりも高い。また、第2位置のトレイガイド72の前後方向8の位置は、第1位置のトレイガイド72よりも後側である。また、トレイガイド72が第2位置の場合、第1軸棒77及び第3軸棒79は、前側長孔93の上端部107に位置し、第2軸棒78及び第4軸棒80は、後側長孔94の後上端部110に位置している。
【0058】
図4(B)及び図5(B)に示され、図2に一点鎖線で示されるように、第3位置のトレイガイド72は、後方から前方にかけて斜め下向きに傾倒している。トレイガイド72が第3位置の場合、第1軸棒77及び第3軸棒79は、前側長孔93の下端部108に位置し、第2軸棒78及び第4軸棒80は、後側長孔94の後上端部110に位置している。
【0059】
トレイガイド72の第2位置から第3位置への変化は、以下のようにして行われる。複合機10のユーザが、第2位置のトレイガイド72の先端部81を下向きに押すと、トレイガイド72が、第2軸棒78及び第4軸棒80を軸として回動する。つまり、第1軸棒77及び第3軸棒79が、第1長孔151に沿って上端部107から下端部108へ移動する。その結果、トレイガイド72は第3位置となる。以上より、トレイガイド72を第2位置から第3位置へ移動させるために使用されている構成要素、つまり各軸棒77〜80、及び前側長孔93の第1長孔151が、本発明の第1手段の一例である。
【0060】
トレイガイド72の第3位置から第1位置への変化は、以下のようにして行われる。複合機10のユーザが、第3位置のトレイガイド72の先端部81を摘んで前方へ引っ張ると、トレイガイド72が移動する。つまり、第1軸棒77及び第3軸棒79が、第2長孔152に沿って下端部108から前端部109へ移動する。これと同時に、第2軸棒78及び第4軸棒80が、後側長孔94に沿って後上端部110から前下端部111へ移動する。これにより、トレイガイド72の矢印73(図2参照)の下流側が、第3位置のときよりも下側、つまり搬送路65側に移動される。また、トレイガイド72が第3位置のときよりも前側、つまり挿入向きの上流側に移動される。その結果、トレイガイド72は第1位置となる。以上より、トレイガイド72を第3位置から第1位置へ移動させるために使用されている構成要素、つまり各軸棒77〜80、前側長孔93の第2長孔152、及び後側長孔94が、本発明の第2手段の一例である。
【0061】
なお、以上の説明においては、トレイガイド72が、第2位置から第3位置を介して第1位置に移動する場合について説明したが、トレイガイド72は、上記と逆の動作をすることで、第1位置から第3位置を介して第2位置に移動可能である。
【0062】
[第1凸部101]
図7〜図10に示されるように、上ガイド部材92の下面には、下向きに突出された第1凸部101(本発明の第1凸部の一例)が形成されている。本実施形態において、第1凸部101は、2箇所に設けられている。
【0063】
図7(B)に示されるように、右側の第1凸部101の左右方向9の位置は、右ガイド板75よりも若干左側であり、左側の第1凸部101の左右方向9の位置は、左ガイド板76よりも若干右側である。また、メディアトレイ71がトレイガイド72に支持された状態において、右側の第1凸部101はメディア載置部70よりも右側に位置し、左側の第1凸部101はメディア載置部70よりも左側に位置する。つまり、第1凸部101は、トレイガイド72に支持されたメディアトレイ71に載置された記録メディアと対向しない位置に設けられている。なお、第1凸部101の位置は、記録メディアと対向しない位置が好ましいが、対向する位置であってもよい。
【0064】
図8及び図9に示されるように、第1凸部101の前後方向8の位置は、上ガイド部材92の前端近傍である。つまり、第1凸部101は、本体開口13の縁部近傍に設けられている。
【0065】
図7に示されるように、トレイガイド72には、トレイガイド72が第2位置の状態において第1凸部101に対応する位置に、開口102(本発明の開口に相当)が形成されている。開口102の前後方向8の長さは第1凸部101の前後方向8の長さよりも長い。また、開口102の左右方向9の長さは第1凸部101の左右方向9の長さよりも長い。これにより、第1凸部101は、トレイガイド72が第2位置の状態において、開口102に挿入可能である。
【0066】
本実施形態においては、第1凸部101の上下方向7の長さは、トレイガイド72の厚みよりも長い。これにより、図7(A)に示されるように、第1凸部101は、トレイガイド72が第2位置の状態において、開口102を貫通してトレイガイド72よりも下側に突出される。なお、第1凸部101の上下方向7の長さは、トレイガイド72の厚み以下であってもよい。この場合、第1凸部101は、開口102に挿入されるが、トレイガイド72よりも下側には突出されない。
【0067】
また、本実施形態においては、図8及び図10(A)に示されるように、第1凸部101の後側面103(本発明の第3傾斜面に相当)は、前から後へ向かうに従って斜め上向きに傾斜している。換言すると、第1凸部101は、搬送向きの上流側の面に、搬送向きに沿って斜め下向きに傾斜する後側面103を有する。
【0068】
[第2凸部104]
図7、図9、及び図10に示されるように、トレイガイド72の右ガイド板75及び左ガイド板76の前端部には、第2凸部104(本発明の第2凸部の一例)が形成されている。
【0069】
第2凸部104は、各ガイド板75、76から上向きに立設されている。つまり、第2凸部104は、トレイガイド72から上向きに各ガイド板75、76よりも上側まで立設されている。
【0070】
第2凸部104は、右ガイド板75の左端部、及び左ガイド板76の右端部に形成されている。これにより、メディアトレイ71がトレイガイド72に載置されつつ、矢印73の向きに挿入されるとき、当該メディアトレイ71は第2凸部104と当接可能である。
【0071】
上述のように、第1凸部101は上ガイド部材92の前端近傍に形成され、第2凸部104は各ガイド板75、76の前端部に形成されている。また、本実施形態において、各ガイド板75、76を備えるトレイガイド72は、第2位置のときにその先端が上ガイド部材92の先端と概ね位置し(図6(A)参照)、第1位置のときにその先端が上ガイド部材92の先端よりも前側に位置する(図6(B)参照)。よって、本実施形態において、第2凸部104は、トレイガイド72が第1位置のときに、第1凸部101よりも前側に位置する。
【0072】
また、本実施形態において、第2凸部104の高さは、以下の条件を満たす高さに構成される。つまり、図7(B)に示されるように、第1凸部101の突出先端101Bは、トレイガイド72が第1位置の状態において、第2凸部104の立設先端104Bよりも下側に位置する。
【0073】
なお、以下の条件を満たす場合には、第1凸部101の突出先端101Bは、トレイガイド72が第1位置の状態において、第2凸部104の立設先端104Bよりも上側に位置してもよい。上記条件は、第2凸部104の立設先端104Bと第1凸部101の突出先端101Bとの間隔がメディアトレイ71の厚みd2(図3参照)よりも小さいことである。
【0074】
図9及び図10(B)に示されるように、第2凸部104の前側面の内側(右ガイド板75に形成された第2凸部104の左側、及び左ガイド板76に形成された第2凸部104の右側)には、前から後へ向かうに従って斜め下向きに傾斜する傾斜面105(本発明の第2傾斜面に相当)が形成されている。換言すると、第2凸部104は、メディアトレイ71の挿入向き(矢印73の向き)の上流側の面に、挿入向きに沿って斜め下向きに傾斜する傾斜面105を有する。なお、図10(B)は図7(B)のB−B断面図であるが、図10(B)には図7(B)のB−B断面以外の位置の右ガイド板75及び第2凸部104が破線で示されている。
【0075】
[メディアトレイ71と第1凸部101及び第2凸部104との当接]
メディアトレイ71が両端を右ガイド板75及び左ガイド板76にガイドされつつトレイガイド72の底板74の上面74Aに載置された場合、メディアトレイ71は、図7(B)及び図10(A)において実線で示される位置となる。
【0076】
一方、メディアトレイ71が右ガイド板75及び左ガイド板76にガイドされない状態で本体開口13から挿入された場合、メディアトレイ71は、図7(B)及び図10(A)において一点鎖線及び二点鎖線で示されるように、上面74Aに載置された場合よりも上側に位置する。図7(B)及び図10(B)に示されるように、二点鎖線で示された状態の場合、メディアトレイ71は、右ガイド板75及び左ガイド板76と上ガイド部材92との間に進入している。詳細には、二点鎖線で示された状態の場合、メディアトレイ71は、第2凸部104の立設先端104Bと上ガイド部材92との間に進入している。このとき、図10(A)に二点鎖線で示されるように、メディアトレイ71の挿入向きの先端は、第1凸部101の前面101Aと当接する。
【0077】
また、メディアトレイ71が右ガイド板75及び左ガイド板76にガイドされない状態で本体開口13に挿入された場合、メディアトレイ71は、図7(B)及び図10(B)において一点鎖線で示されるように、第2凸部104の傾斜面105と当接する場合がある。この状態でメディアトレイ71が更に挿入されると、メディアトレイ71は、図10(B)に矢印106で示されるように、傾斜面105に沿って底板74の上面74Aに誘導される。
【0078】
[記録メディアへの画像記録]
以下、複合機10にメディアトレイ71が挿入され、メディアトレイ71に載置された記録メディア69に画像が記録される手順が説明される。図2に示されるように、ユーザの操作によってトレイガイド72が第2位置から第3位置を介して第1位置へ移動されると、偏心カム150が回転されて、第2搬送ローラ62及びプラテン42が下方に移動される。つまり、第2搬送ローラ62及びプラテン42の状態は、図2に実線で示される状態から破線で示される状態に変わる。ユーザは、記録メディアが載置されたメディアトレイ71を、トレイガイド72に支持されるようにセットする。メディアトレイ71は、複合機10への挿入側の先端が第2ローラ対59に当接した状態で、トレイガイド72にセットされる。
【0079】
その後、操作パネル16(図1参照)の操作によって、記録メディアへの画像記録が指示されると、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62が逆転駆動される。これにより、メディアトレイ71は、第2ローラ対59によって後方に搬送される。搬送されるメディアトレイ71は、記録部24の下側を通過して、第1ローラ対58に挟持される。
【0080】
その後、2つのローラ対58、59に挟持されたメディアトレイ71は、記録メディアが記録部24よりも後方となる位置まで、更に後方に搬送される。この状態において、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62の回転方向が逆転から正転に切り換えられる。これにより、メディアトレイ71が前方に搬送され、メディアトレイ71に載置された記録メディアが記録部24の下方を通る。このとき、搬送される記録メディアに対して、ノズル39からインク滴が吐出される。これにより、記録メディアの盤面上に画像が記録される。その後、メディアトレイ71は本体開口13から複合機10の外部に排出される。
【0081】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、第1位置のトレイガイド72に支持されているときに、メディアトレイ71が、トレイガイド72と上ガイド部材92との間にできる隙間に挿入されようとしても、当該メディアトレイ71は第1凸部101と当接するためにそれ以上は複合機10の奥側へ挿入されない。よって、本実施形態によれば、メディアトレイ71の誤挿入を防止することができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、第2凸部104を有することにより、トレイガイド72と上ガイド部材92との間にできる隙間を狭くすることができる。また、第2凸部104の傾斜面105により、第2凸部104と当接したメディアトレイ71を、下側に位置するトレイガイド72へ導くことができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、第1凸部101の突出先端101Bが第2凸部104の立設先端104Bよりも下側に位置するため、トレイガイド72と上ガイド部材92との間の隙間へのメディアトレイ71の進入を防止することができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、第1凸部101がトレイガイド72に支持されたメディアトレイ71に載置された記録メディアと対向しない位置に設けられている。よって、トレイガイド72に支持されているメディアトレイ71の上面に載置された記録メディアが、第1凸部101と接触する可能性を低くすることができる。これにより、記録メディアの破損の可能性を低くすることができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、第1位置のトレイガイド72は、第2手段によって第2位置よりも挿入向きに上流側に位置される。つまり、第1位置のトレイガイド72は、メディアトレイ71を挿入するユーザに近い位置となる。これにより、トレイガイド72から立設されている第2凸部104が、メディアトレイ71を挿入するユーザに近い位置となる。ユーザは、第2凸部104を見ながらメディアトレイ71を挿入することができる。その結果、メディアトレイ71の誤挿入の可能性を低くすることができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、第1凸部101がトレイガイド72に形成された開口102に挿入されるため、複合機10の高さの増加を防止することができる。
【0087】
搬送路65を搬送される記録用紙17は、静電気などによって、搬送路65の上側に位置する第2位置のトレイガイド72の下面に張り付くことがある。本実施形態によれば、記録用紙17がトレイガイド72の下面に張り付いても、図10(E)に示されるように、当該記録用紙17は、トレイガイド72の下面から突出した第1凸部101の後側面103に沿って搬送されることにより、トレイガイド72の下面から離間される。その結果、記録用紙17は、本体開口13から適切に排出可能である。
【0088】
[変形例1]
トレイガイド72に第2凸部104が形成されていない構成であってもよい。変形例1の場合、右ガイド板75及び左ガイド板76の上端と第1凸部101の突出先端との間隔d1(図10(D)参照)は、メディアトレイ71の厚みd2(図3参照)よりも小さくされる。
【0089】
変形例1によれば、メディアトレイ71が、第1位置のトレイガイド72に支持されているときに、トレイガイド72と上ガイド部材92との間にできる隙間に挿入されようとしても、右ガイド板75及び左ガイド板76の上端と第1凸部101の突出先端との間隔d1がメディアトレイ71の厚みd2よりも小さいため、当該メディアトレイ71は複合機10の奥側へ挿入されない。
【0090】
[変形例2]
上述の実施形態において第2凸部104に傾斜面105が形成されていない場合、或いは変形例1のように第2凸部104が設けられていない場合、図10(C)に示されるように、第1凸部101の前側面112(本発明の第1傾斜面に相当)は、前から後へ向かうに従って斜め下向きに傾斜していてもよい。換言すると、第1凸部101は、メディアトレイ71の挿入向きの上流側の面に、挿入向きに沿って斜め下向きに傾斜する前側面112を有する。
【0091】
変形例2によれば、第1凸部101の前側面112により、第1凸部101と当接したメディアトレイ71を、図10(C)に矢印113で示されるように、下側に位置するトレイガイド72へ導くことができる。
【0092】
[変形例3]
上述の実施形態では、トレイガイド72は、第1位置及び第2位置の間で移動する際、第3位置を介して移動した。また、第1位置のトレイガイド72は、図6に示されるように、第2位置のトレイガイド72よりも前側に位置した。しかし、メディアトレイを搬送路65へ進入可能に支持する第1位置、及び第1位置よりも上側であって搬送路65から退避した第2位置に移動可能であるならば、トレイガイド72が移動するための構成は、上述の実施形態のような構成に限らない。
【0093】
例えば、第2位置のトレイガイド72は、第1位置のトレイガイド72の真上に位置してもよい。つまり、トレイガイド72は、上下方向7に沿って移動することにより、第3位置を介さずに、第1位置及び第2位置の間を移動してもよい。
【符号の説明】
【0094】
10・・・複合機
17・・・記録用紙
59・・・第2ローラ対
65・・・搬送路
71・・・メディアトレイ
72・・・トレイガイド
92・・・上ガイド部材
101・・・第1凸部
102・・・開口
103・・・後側面
104・・・第2凸部
105・・・傾斜面
112・・・前側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被記録媒体が載置されるトレイと、
上記トレイが搬送される搬送路と、
上記トレイの上記搬送路への挿入口の上側を区画する天板と、
上記天板の下側に上記天板と対向して設けられており、上記トレイを上記搬送路へ進入可能に支持する第1位置、及び上記第1位置よりも上側であって上記搬送路から退避した第2位置に移動可能であり、上記トレイの支持面から上向きに立設されて上記トレイの幅方向の両端をガイドする一対のサイドガイドを有するトレイガイドと、
上記天板から下向きに突出しており、上記サイドガイドの上端及び上記天板の間に進入した上記トレイと当接する第1凸部と、を備える画像記録装置。
【請求項2】
上記サイドガイドの上端と上記第1凸部の突出先端との間隔は、上記トレイの厚みよりも小さい請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記第1凸部は、上記トレイの挿入向きの上流側の面に、上記挿入向きに沿って斜め下向きに傾斜する第1傾斜面を有する請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記トレイガイドから上向きに上記サイドガイドよりも上側まで立設されており、上記トレイの挿入向きの上流側の面に、上記挿入向きに沿って斜め下向きに傾斜する第2傾斜面を有する第2凸部を更に備え、
上記第1凸部は、上記第2凸部の上端及び上記天板の間に進入した上記トレイと当接する請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記第1凸部の突出先端は、上記トレイガイドが上記第1位置の状態において、上記第2凸部の立設先端よりも下側に位置する請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記第1凸部は、上記トレイガイドに支持された上記トレイに載置された第1被記録媒体と対向しない位置に設けられている請求項4または5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記トレイガイドを、上記挿入向きの下流側を軸として、上記第2位置から上記挿入向きの上流側が搬送路側に回動した第3位置に移動させる第1手段と、
上記トレイガイドの上記挿入向きの下流側を、上記第3位置のときよりも上記搬送路側に移動させると共に、上記トレイガイドを上記挿入向きの上流側へ移動させることによって、上記トレイガイドを上記第1位置に移動させる第2手段と、を更に備える請求項4から6のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記トレイガイドには、上記トレイガイドが上記第2位置の状態において上記第1凸部と対向する位置に、開口が形成されており、
上記第1凸部は、上記トレイガイドが上記第2位置の状態において、上記開口に挿入される請求項1から7のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記搬送路に設けられており、シート状の第2被記録媒体を上記挿入向きとは反対向きの搬送向きに搬送して上記挿入口から排出させる搬送部を更に備え、
上記第1凸部は、
上記トレイガイドが上記第2位置の状態において、上記開口を貫通して上記トレイガイドよりも下側に突出されており、
上記搬送向きの上流側の面に、上記搬送向きに沿って斜め下向きに傾斜する第3傾斜面を有する請求項8に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−1005(P2013−1005A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135158(P2011−135158)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】