説明

画像読取装置、ゲームシステム、及び画像読取方法

【課題】記録媒体に含まれる凹凸の有無及び違いを認識すること。
【解決手段】画像読取装置(1)は、凹凸部(301)と読取対象画像(203)を含む記録媒体(200)を読み取る。遮蔽部(10,20,60,70,80)は、画像読取装置(1)の外部からの光を遮蔽する。照明部(30,31,32)は、画像読取装置(1)内の所定位置に配置される記録媒体(200)を照明する。画像読取部(33)は、照明部(30,31,32)により照明された記録媒体(200)の読取対象画像(203)を読み取る。照明部(30,31,32)は、所定位置に配置される記録媒体(200)の側面に対応する位置(P2,P4)から当該記録媒体(200)の凹凸部(301)に対して照明光が斜め入射するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、ゲームシステム、及び画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲームキャラクタ等が印刷されたカード(記録媒体)を用いてユーザが遊ぶゲームが知られている。例えば、特許文献1には、ゲーム装置が、カードに印刷された画像を読み取って得られる画像情報と、予めデータベースに格納されている画像情報と、を比較することによって、このカードが、ゲーム専用のカードであるか否かを認証するための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3874761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなゲームにおいては、ユーザは、種々のカードを用いる。これらのカードの中には、ユーザに興味を惹かせるために加工が施されているものがある。例えば、微小な凹凸を有する薄膜(例えば、エンボス加工が施された樹脂フィルムやホログラムシート等)を含んでおり、見る角度に応じて光の反射具合が異なるようになっているカードが存在する。
【0005】
こうした加工が施されたカードは、一般的に希少価値が高いカードとして扱われる。また、上記のようなゲームにおいては、カードに印刷された画像(イラストや文字等)が同一であっても、こうした加工が施されたカードと施されていないカードとが存在する。
【0006】
従来、こうした加工が施されたカードと施されていないカードとを、互いに異なる種類のカードとしてコンピュータに認識させるための手段が存在しなかった。即ち、記録媒体に含まれる凹凸(加工)の有無及び違いをコンピュータに認識させるための手段が存在しなかった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、例えば、記録媒体に含まれる凹凸の有無及び違いを認識することが可能な画像読取装置、ゲームシステム、及び画像読取方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像読取装置は、凹凸部と読取対象画像を含む記録媒体を読み取る画像読取装置であって、前記画像読取装置の外部からの光を遮蔽する遮蔽部と、前記画像読取装置内の所定位置に配置される前記記録媒体を照明する照明部と、前記照明部により照明された前記記録媒体の前記読取対象画像を読み取る画像読取部と、を含み、前記照明部は、前記所定位置に配置される前記記録媒体の側面に対応する位置から当該記録媒体の前記凹凸部に対して照明光が斜め入射するように設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るゲームシステムは、前記画像読取装置と、前記読取対象画像の読取データを前記画像読取装置から取得する手段と、当該読取データに基づいてゲーム処理を実行する手段と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るゲームシステムは、凹凸部と読取対象画像を含む記録媒体を読み取る画像読取装置の画像読取方法であって、前記画像読取装置の外部からの光が遮蔽された前記画像読取装置内の所定位置に配置される前記記録媒体が、前記所定位置に配置される前記記録媒体の側面に対応する位置から当該記録媒体の前記凹凸部に対して照明光が斜め入射するように設けられた照明部によって照明され、前記照明部により照明された前記記録媒体の前記読取対象画像を読み取るステップ、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、記録媒体に含まれる凹凸の有無及び違いをコンピュータに認識させることが可能になる。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記照明部は、前記所定位置に配置される前記記録媒体の側面に対応する複数の位置から当該記録媒体の前記凹凸部に対して前記照明光が斜め入射するように設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記照明部は、光源と、当該光源からの光を導光し、前記所定位置に配置される前記記録媒体の側面に対応する位置から当該記録媒体の前記凹凸部に対して前記照明光を斜め入射させるための光伝送部と、を含み、前記光伝送部は、前記光源からの入射光を反射させる反射部を含み、前記反射部による反射光を導光することによって、前記所定位置に配置される前記記録媒体の側面に対応する位置から当該記録媒体の前記凹凸部に対して前記反射光を斜め入射するように設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記照明部は、複数の前記光源を含み、前記光伝送部は、当該複数の光源からの光を混合して導光することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記記録媒体は、可撓性を有するものであって、前記画像読取装置は、前記記録媒体を前記所定位置に載置するための載置部と、前記記録媒体の端部に対応する領域を前記載置部に圧着させる押さえ部と、を更に含み、前記押さえ部及び前記照明部は、前記記録媒体の端部に対応する領域を前記載置部に圧着させた場合、前記照明部が前記押さえ部を照明して生じる影が前記読取対象画像に重畳しないように設けられていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る画像読取装置と接続されるゲーム装置を用いてゲームをプレイするユーザの様子を示す図である。
【図2】ユーザが所有するカードの外観図である。
【図3】図2の切断線III−III線における断面図である。
【図4】カードの読み取りが実行される場合に表示されるゲーム画面の一例を示す図である。
【図5】カードに対応する情報が反映されたゲーム画面の一例を示す図である。
【図6】画像読取装置が閉じた状態の外観斜視図である。
【図7】画像読取装置が開いた状態の外観斜視図である。
【図8】画像読取装置の分解図である。
【図9】光伝送部の断面図である。
【図10】図7の切断線X−X線における断面図である。
【図11】図7の切断線XI−XI線における断面図である。
【図12】ゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。
【図13】補助記憶部に記憶されるデータベースの一例を示す図である。
【図14】ゲーム装置にカードが登録される際の処理の流れを示すフロー図である。
【図15】画像読取装置によって生成される読取データの一例を示す図である。
【図16】凹凸部によって発生する影を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1.実施形態]
以下、本発明の実施形態の例について図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る画像読取装置1と接続されるゲーム装置100を用いてゲームをプレイするユーザの様子を示す図である。図1に示すように、本発明に係る画像読取装置1は、ゲーム装置100とデータ通信可能に接続され、ゲームシステムが実現される。
【0019】
画像読取装置1は、凹凸部と読取対象画像を含む記録媒体を読み取るためのものである。例えば、画像読取装置1は、ユーザが所有するカード200(記録媒体)を読み取って読取データを生成するカードリーダ(イメージスキャナ)として機能する。
【0020】
ゲーム装置100は、画像読取装置1から読取データを受信する。また、ゲーム装置100は、受信した読取データと、予め記憶されたデータベースと、を比較して、ユーザが所有するカード200を特定してゲームを実行する。
【0021】
[1−1.本実施形態におけるゲームの一例]
まず、ゲーム装置100が実行するゲームの一例について説明する。ゲーム装置100は、例えば、画像読取装置1から受信する読取データに基づいてユーザが所有するカード200を登録する。ゲーム装置100は、例えば、この登録されたカード200のデータに基づいて、ユーザがコンピュータ又は対戦相手のユーザと対戦(デュエル)するゲームを実行する。
【0022】
図2は、ユーザが所有するカード200の外観図である。カード200は、例えば、ゲーム装置100が実行するゲームだけではなく、ユーザ同士がコンピュータを介さずに遊ぶテーブルゲーム(例えば、トレーディングカードゲーム)においても用いられる公知のカードである。カード200は、例えば、紙やプラスチックから作られたものである。図2は、カード200の一方の面(表面)を示す。カード200の他方の面(裏面)には、ゲーム制作会社の名称等が印刷されていてよい。
【0023】
図2に示すように、カード200は、ゲームキャラクタ名を示すカード名201、ゲームキャラクタのレベルを示すレベル202、ゲームキャラクタの画像を示すイラスト203、ゲームで用いられるパラメータやルール等を示すゲームキャラクタ情報204等を含む。
【0024】
ゲームキャラクタ情報204には、例えば、攻撃力や守備力を示すゲームパラメータや、ゲームキャラクタ固有のルールや特性等を示す情報が含まれる。また、カード200は、例えば、カード200の全面に重畳するように樹脂シート300を含む。樹脂シート300は、例えば、ユーザが見る角度によって光の反射具合が異なる公知のシート(フィルム)である。
【0025】
図3は、図2の切断線III−III線における断面図である。図3に示すように、例えば、カード200の全面に重畳するように、樹脂シート300が備えられている。樹脂シート300は、例えば、入射光を反射又は干渉(回折)する凹凸部301、シート支持部302、シート保護部303等から構成される。
【0026】
凹凸部301は、例えば、熱可塑性樹脂から構成される。凹凸部301として用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂(メタクリル酸メチル、アクリル酸、スチレン等をトルエンや酢酸エチル等で重合したもの)や、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0027】
例えば、所定の数μm〜数十μm程度の厚みの凹凸の形状(格子パターン)を有する金属板が加熱され、この金属板を熱可塑性樹脂に圧着させるホットスタンプ加工が樹脂シート300に対して施されることによって、凹凸部301が形成される。
【0028】
なお、本実施形態において凹凸部301が有する凹凸は、例えば、高さが異なる面が少なくとも2つ以上含まれており、起伏(高低)があって平らでない形状のものであればよい。即ち例えば、凹凸部301は、少なくとも一つの凸部、及び/又は、少なくとも一つの凹部を含んでいればよい。
【0029】
凹凸部301は、回折光や反射光によって、ユーザの見る角度によって光が変化する回折格子としての役割を果たす。つまり、樹脂シート300は凹凸部301を有するので、ユーザがカード200を覗きこんだ場合、ユーザの見る角度や位置によっては凹凸部301によって反射した光が集まり、例えば、カード200の表面が虹色に光って見えることになる。
【0030】
また、樹脂シート300の光り具合は、凹凸部301の格子パターンによって異なる。例えば、凹凸部301の格子パターンによっては、ユーザは、樹脂シート300の表面に斑点状に光が浮かび上がるように見えたり、網目状に光が浮かび上がるようになる。凹凸部301の格子パターンは、公知の種々のパターンを適用可能である。
【0031】
また例えば、図2のようなカード200を自然光やスポットライト等によって直接照明してカメラで撮影した場合、カード200は凹凸部301を有するので、直接照明の光量によっては、所定の箇所が白くぼやけて撮影される(ハレーションされる)ことがある。
【0032】
つまり、図3に示すように、凹凸部301によって入射光が反射又は干渉するので、例えば、カメラでカード200を撮影する場合、所定の箇所に光が集まることになる。このように直接照明によりハレーションされて撮影される箇所は、格子パターンや撮影位置、入射光とカード200との角度の関係等によって異なる。
【0033】
シート支持部302とシート保護部303は、例えば、ポリエステル製のフィルムから構成される。シート支持部302は、凹凸部301のうち格子パターンが施されていない面を支持するためのものである。また、シート支持部302は、カード200と接着するための接着剤層を含んでいてもよい。シート保護部303は、凹凸部301の表面を保護するためのものである。
【0034】
なお、本実施形態においては、樹脂シート300(凹凸部301)が貼り付けられていないカード200も用いられる。本実施形態においては、同一の絵柄や配色のイラスト203を含むカード200であっても、樹脂シート300(凹凸部301)の有無が異なれば、ゲームにおいて、これらが互いに異なるカードとされる場合を説明する。
【0035】
この場合、樹脂シート300の有無によって、カード200がゲーム内で果たす役割が異なることになる。即ち例えば、2枚のカード200が互いに同じ絵柄のイラスト203を有していても、樹脂シート300を含まないカード200は、樹脂シート300を含むカード200よりも、ゲームにおける攻撃力が低くなるようにしてもよい。
【0036】
さらに、本実施形態においては、同一の絵柄や配色のイラスト203を含むカード200であっても、凹凸部301の格子パターンが互いに異なれば、ゲームにおいて、これらが互いに異なるカードとされる場合を説明する。
【0037】
この場合、カード200に貼り付けられる樹脂シート300の種類によって、このカード200がゲーム内で果たす役割が異なることになる。即ち例えば、2枚のカード200が互いに同じ絵柄のイラスト203を有していても、斑点状に光が浮かび上がる格子パターンの樹脂シート300を含むカード200は、網目状に光が浮かび上がる格子パターンの樹脂シート300を含むカード200よりも、ゲームにおける攻撃力が低くなるようにしてもよい。
【0038】
本実施形態においては、先述のように、画像読取装置1がカード200を読み取ることによって生成される読取データに基づいて、ゲーム装置100はゲームを実行する。例えば、ユーザがコントローラ等を介してカード200の読み取りを開始する旨の指示を所定のゲーム画面から行うことによって、カード200の読み取りが実行される。
【0039】
図4は、カード200の読み取りが実行される場合に表示されるゲーム画面150の一例を示す図である。図4に示すゲーム画面150は、例えば、ユーザの操作によってカード200の読み取り指示が入力された場合、所定のメニュー画面から遷移して表示される。
【0040】
ゲーム画面150は、例えば、カード200の読み取りを開始するための開始ボタン151、ユーザが所持するカード200の登録を指示するための登録ボタン152、元の画面に戻るための戻るボタン153、カード200の読取データに対応する画像が表示される読取画像欄154、カード200に対応するゲームパラメータ等を表示させるためのカード情報欄155等を含む。
【0041】
ゲーム画面150が表示されると、ゲーム装置100は、ユーザが所定の操作を行うのを待ち受ける。ユーザは、まず、画像読取装置1の内部の所定位置にカード200を配置する。所定位置とは、画像読取装置1が読取対象物を読み取ることができる領域内(例えば、CCDカメラの視野内)の所定の位置のことである。そして、ユーザが、開始ボタン151をコントローラ等を介して押下すると、画像読取装置1は、カード200の読み取りを開始する。
【0042】
画像読取装置1によってカード200が読み取られると、このカード200に対応する情報が、ゲーム画面150に表示される。この情報は、ゲームキャラクタ情報204の内容と同等のものであり、例えば、ゲーム装置100に予め記憶されたデータベースが参照されることによってゲーム画面150に表示される。詳細は後述するが、このデータベースは、例えば、カード200の読取データに基づいて検索可能になっている。
【0043】
図5は、カード200に対応する情報が反映されたゲーム画面150の一例を示す図である。図5に示すように、カード200の読取データに対応する画像が、読取画像欄154に表示される。なお、読取画像欄154には、カード200の読取データが示す画像が表示されるようにしてもよいし、予めゲーム装置100に記憶された画像が表示されるようにしてもよい。
【0044】
また例えば、ゲーム装置100のデータベースが参照され、カード200に対応する情報(ゲームパラメータ等)が、カード情報欄155に表示される。カード200の読み取りが完了したことを示すように、開始ボタン151の表示が変更される。この状態(図5の状態)において、ユーザが、登録ボタン152を押下すると、このカード200がゲーム装置100に登録される。即ち、ユーザが所有するカード200が、ゲーム装置100が実行するゲームの対戦(デュエル)で使用できるようになる。
【0045】
このように、ユーザの所有するカード200がゲーム装置100に登録されると、ユーザは、この登録した情報に基づいてゲームをプレイすることができる。即ち、本実施形態におけるゲーム装置100によれば、現実空間においてユーザが所有しているカード200を、ゲームの世界で使用してゲームをプレイしているかのような感覚を味わうことができる。
【0046】
本実施形態のように、同一の絵柄のカード200であっても凹凸部301の有無によってカード200の種類を区別する場合、凹凸部301の有無をゲーム装置100に認識させる必要がある。また、同一の絵柄のカード200であっても凹凸部301の格子パターンによってカード200の種類を区別する場合、凹凸部301の格子パターンをゲーム装置100に認識させる必要がある。以降では、特に、この点を解決する画像読取装置1の構成及び動作について詳細に説明する。
【0047】
[1−2.画像読取装置の構成]
画像読取装置1は、凹凸部301と読取対象画像(イラスト203)を含む記録媒体(カード200)を読み取るためのものである。本実施形態では、記録媒体の一例として、可撓性を有するカード200を挙げて説明する。画像読取装置1は、外部からの光を遮蔽した状態でカード200の読み取りを行う。
【0048】
画像読取装置1によってカード200が読みとられる場合、ユーザは、画像読取装置1を、画像読取装置1の外部からの光を遮蔽した状態(以降、画像読取装置1が閉じた状態という)にする。
【0049】
図6は、画像読取装置1が閉じた状態の外観斜視図である。図6のように、画像読取装置1が閉じた状態では、画像読取装置1の内部は、画像読取装置1の外部からの光が遮蔽されている。即ち、所定位置に載置されたカード200に対して、画像読取装置1の外部からの光が照射されない状態になる。
【0050】
ユーザは、カード200を所定位置に配置するために、画像読取装置1を、図6に示す閉じた状態から、画像読取装置1の内部の所定位置にカード200を載置できる状態(以降、画像読取装置1が開いた状態という)にする。例えば、ユーザが、画像読取装置1が閉じた状態から開閉部60を上げると、画像読取装置1を開いた状態にすることができる。
【0051】
図7は、画像読取装置1が開いた状態の外観斜視図である。図7のように、画像読取装置1が開いた状態において、ユーザは、開閉部60と係合部70との間からカード200を挿入することによって、画像読取装置1の内部にカード200を載置することができる。ユーザは、カード200を所定位置に載置すると、開閉部60を押し下げる。開閉部60と係合部70とが係合して互いに弾性的に係止することによって、画像読取装置1を閉じた状態にさせることができる。
【0052】
このように、画像読取装置1がカード200の読み取りを開始する場合、ユーザは、開いた状態の画像読取装置1の所定位置にカード200を載置し、画像読取装置1を閉じる。カード200の読み取りが終了した場合、ユーザは、所定の操作(例えば、開閉部60を引き上げる等)を行って開閉部60と係合部70との係止状態を解除することによって、画像読取装置1を開いた状態にしてカード200を取り出す。
【0053】
次に、画像読取装置1を構成する各部品について説明する。
【0054】
図8は、画像読取装置1の分解図である。図8に示すように、画像読取装置1は、例えば、上部外殻部10、外側遮光部20、光伝送部30、内側遮光部40、カード設置部50、開閉部60、係合部70、下部外殻部80、扉開閉伝達部90等から構成される。
【0055】
光伝送部30は、例えば、LED31,32と、公知のCCDカメラ等からなる撮像部33と、を含む。LED31,32は、発光固定部34,35と摺動可能に嵌合する。発光固定部34,35は、光伝送部30に着脱可能に接着する。即ち、LED31,32は、発光固定部34,35を介して光伝送部30に固定される。
【0056】
図8では図示を省略しているが、画像読取装置1は、LED31,32と、撮像部33と、を動作させるための電源部や、読取データをゲーム装置100に送信するための通信部等を含んでいる。なお、画像読取装置1とゲーム装置100とがUSBケーブルによって接続されている場合、USBケーブルを介してゲーム装置100から画像読取装置1に対して電力が供給され、この電力によって画像読取装置1を起動させて動作させるようにしてもよい。
【0057】
また、光伝送部30は、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等のアクリル樹脂からなる。画像読取装置1を構成する部品のうち、光伝送部30以外の部品は,例えば、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene)からなる。なお、ABS樹脂には、遮光性を高めるために顔料が混ぜられていてもよい。
【0058】
ここで、光伝送部30がLED31,32の光を伝送し、カード200を照明する様子について説明する。光伝送部30がLED31,32からの光を伝送する方法としては、例えば、公知の光ファイバと同様の方法を適用可能である。つまり、光伝送部30は、例えば、光ファイバと同様にコアとクラッドとの屈折率の差に基づいて光を伝送する。
【0059】
図9は、光伝送部30の断面図である。例えば、光伝送部30の表面には、PMMAよりも屈折率が低いフッ素系ポリマーがコーティングされている。この場合、PMMAがコアとしての役割を果たし、フッ素系ポリマーがクラッドとしての役割を果たす。以降、光伝送部30のPMMAの部分をコア30aという。また、光伝送部30のフッ素系ポリマーの部分をクラッド30bという。
【0060】
LED31,32から発せられた光は、図9に示すように、コア30aとクラッド30bとの屈折率の差に基づいて光伝送部30の内部を伝送する。光伝送部30の内部を伝送する光は、光伝送部30の端面30c,30dから出射される。即ち、光伝送部30の端面30c,30dから出射される光によってカード200が照明される。
【0061】
上記のように、例えば、光伝送部30とLED31,32とによって、画像読取装置1内の所定位置に配置される記録媒体(カード200)を照明する照明部が実現される。図9に示すように、この照明部は、例えば、所定位置に配置される記録媒体(カード200)の側面に対応する(複数の)位置から当該記録媒体の凹凸部301に対して照明光を斜め入射するように設けられている。
【0062】
カード200の側面とは、即ち、凹凸部301及び読取対象画像(イラスト203)が配置された面を表面とした場合の側面(例えば、図9に示す側面200a,200b)である。カード200の側面に対応する位置とは、当該位置及びカード200の側面の任意の位置を結んだ直線と、カード200の正面の法線方向とのなす角度が、所定範囲の角度(例えば、70°以上)の関係になるような位置である。
【0063】
別の言い方をすれば、図9に示す断面図の切断線方向をX軸とし、この切断線に直交する方向をY軸とした場合、カード200の一方の側面200aに対応する位置とは、例えば、側面200aの代表点P1のX軸座標値(X1)よりもX軸座標値が小さく、かつ、代表点P1のY軸座標値(Y1)よりもY軸座標値が大きい位置である。例えば、図9に示す光伝送部30の端面30cの代表点P2(X軸座標値がX2、Y軸座標値がY2)が、カード200の側面200aに対応する位置となる。
【0064】
また例えば、カード200の他方の側面200bに対応する位置とは、例えば、側面200bの代表点P3のX軸座標値(X3)よりもX軸座標値が大きく、かつ、代表点P3のY軸座標値(Y3)よりもY軸座標値が大きい位置である。例えば、図9に示す光伝送部30の端面30dの代表点P4(X軸座標値がX4、Y軸座標値がY4)が、カード200の側面200bに対応する位置となる。
【0065】
「カード200の側面に対応する位置からカード200の凹凸部301に対して照明光を斜め入射する」とは、例えば、照明部からの照明光が、凹凸部301の影を生じさせるように所定の入射角θで凹凸部301に対して斜め入射することをいう。
【0066】
即ち、入射角θは、凹凸部301によって生じる影を画像読取装置1の読み取りデータで捉えることができるような角度であり、例えば、入射角θは、画像読取装置1の読み取りデータを構成する画素の大きさ(解像度に対応する画素の大きさ)よりも、凹凸部301によって生じる影の大きさが大きくなるような角度である。
【0067】
別の言い方をすれば、図9に示す例の場合、光伝送部30の端面30cは、カード200の側面200aに対応する位置にあるので、側面200aの代表点P1と、端面30cの代表点P2と、を結ぶベクトルとX軸とのなす角度が所定の角度になるように光が斜め入射される。同様に、光伝送部30の端面30dは、カード200の側面200bに対応する位置にあるので、側面200bの代表点P3と、端面30dの代表点P4と、を結ぶベクトルとX軸とのなす角度が所定の角度になるように光が斜め入射される。
【0068】
即ち、本実施形態の光伝送部30は、上記のように、光源(LED31,32)からの光を導光し、所定位置に配置される記録媒体(カード200)の側面に対応する位置から当該記録媒体の凹凸部301に対して照明光を斜め入射させるためのものである。
【0069】
また、本実施形態では、例えば、光伝送部30は、光源(LED31,32)からの入射光を反射させる反射部(光伝送部30に含まれるクラッド30b)を含み、反射部による反射光を導光することによって、所定位置に配置される記録媒体(カード200)の側面に対応する位置から当該記録媒体の凹凸部301に対して反射光(間接照明光)を斜め入射するように設けられている。
【0070】
また、LED31,32は、図8及び図9に示すように、例えば、光伝送部30の端面30eに対して光が入射されるように光伝送部30の端面30e側に設けられる。光伝送部30の端面30eとは、即ち、光源からの光の入射面である。
【0071】
LED31,32からの光は、所定の入射角で光伝送部30の端面30e側から入射するようになっている。この入射角は、例えば、光伝送部30のコア30a(例えば、PMMA)の屈折率(例えば、1.49)と、光伝送部30のクラッド30b(例えば、フッ素系ポリマー)の屈折率(例えば、1.41)と、の比率及びスネルの法則に基づいて定まる。即ち、LED31,32の光が、光伝送部30の内部を反射しながら伝送することになる。
【0072】
また、本実施形態においては、例えば、光伝送部30の端面のうちLED31,32が配置されていない側の端面30c,30dから、カード200の凹凸部301の側面に対して、光伝送部30の内部を伝わった光が出射されるので、端面30c,30d(発光位置)から出射される光よって、カード200に対する間接照明が実現される。光伝送部30の端面30c,30d(発光位置)は、先述のように、カード200の側面200a,200bに対応する位置に設けられる。
【0073】
また、本実施形態においては、LED31からの光とLED32からの光とのそれぞれが、光伝送部30の内部で混合されることになる。即ち、複数の光源(LED31,32)は、当該複数の光源からの光からなる混合光を光伝送部30に導光させるように設けられるので、光伝送部30は、複数の光源からの光を混合して導光することができる。このように、例えば、2つのLED31,32の混合光が伝送されて間接照明が行われることによって、光源が有する発光能力の個体差(ばらつき具合)を軽減することができる。
【0074】
なお、図8に示すように、光伝送部30は、外側遮光部20と、内側遮光部40と、の間に設けられる。外側遮光部20及び内側遮光部40が光伝送部30に挟装されることによって、図9のように光伝送部30の内部を伝送する光が途中で外に漏れて、この漏れた光がカード200に照射されることを防止することができる。
【0075】
また例えば、撮像部33は、照明部により照明された記録媒体(カード200)の読取対象画像(イラスト203)を読み取る画像読取部として機能する。
【0076】
カード設置部50は、画像読取装置1内の所定位置にカード200を配置するためのものである。例えば、カード設置部50は、記録媒体(カード200)を所定位置に載置するための載置部として機能する。また、カード設置部50は凹部を有しており、開閉部60の凸部と枢支される。
【0077】
開閉部60は、開閉部60の凸部を中心として回動するので、ユーザは、画像読取装置1を閉じた状態と開いた状態とで変化させることができる。例えば、ユーザは、開閉部60を上方に回動させることによって、画像読取装置1を閉じた状態から開いた状態に変化させることができる。また例えば、ユーザは、開閉部60を下方に回動させることによって、画像読取装置1を開いた状態から閉じた状態に変化させることができる。また例えば、扉開閉伝達部90は、開閉部60と接しており、開閉部60の回動を外側遮光部20に対して力学的に伝達する役割を果たす。
【0078】
また、画像読取装置1が開いた状態から、ユーザが、開閉部60を所定角度回動させる(即ち、下向きに動かす)と、開閉部60は係合部70と係合し、画像読取装置1が閉じた状態となる。この状態では、画像読取装置1は、外部からの光から遮蔽された状態となる。即ち、本実施形態では、上部外殻部10、外側遮光部20、開閉部60、係合部70、下部外殻部80によって、画像読取装置1の外部からの光を遮蔽する遮蔽部が実現される。
【0079】
開閉部60と係合部70とが係合した状態から、開閉部60を手前に引き出す又は奥に押し込むと係合状態が解除される。即ち、開閉部60が上方に回動し(即ち、上向きに動き)、画像読取装置1は、再び開いた状態となる。
【0080】
また例えば、開閉部60とカード設置部50とが互いに枢支されている状態において、ユーザが、開閉部60を上方に持ちあげると、カード設置部50の凹部と開閉部60の凸部とが外れるようになっている。この状態において、ユーザは、開閉部60を手前(画像読取装置1の外部方向)へ引き出せるようになっている。
【0081】
つまり、開閉部60は、画像読取装置1の所定方向(例えば、画像読取装置1の外部方向)に摺動可能にカード設置部50と摺接するので、カード設置部50の凹部と開閉部60の凸部とが外れた状態において、ユーザは、開閉部60をカード設置部50の面上を摺動させることができる。
【0082】
下部外殻部80は、外側遮光部20、内側遮光部40、及びカード設置部50を潜入させることによって、これらを画像読取装置1の内部の所定位置に固定できるようになっている。
【0083】
次に、画像読取装置1がカード200を読み取る際に、カード200が配置される位置について説明する。
【0084】
図10は、図7の切断線X−X線における断面図である。図10に示すように、カード200は、表面(つまり、読取対象画像及び凹凸部301の面)が、撮像部33の方向を向くように、カード設置部50に載置される。光伝送部30の発光位置(端面30c,30d)は、この載置されたカード200の側面に対応する位置となる。
【0085】
このように、カード200の凹凸部301を側面方向から間接照明をすることによって、凹凸部301の格子パターンに対応する影を発生させることができる。したがって、ゲーム装置100は、読取データが示す影によって格子パターンを把握することができる。さらに、画像読取装置1は、比較的淡い光による間接照明を行うので、ハレーションを防止して読取データを生成することができる。
【0086】
図11は、図7の切断線XI−XI線における断面図である。図11は、画像読取装置1が開いた状態を示す。図11に示すように、開閉部60は、カード設置部50の凹部と開閉部60の凸部との接点を中心に回動するので、ユーザは、画像読取装置1が開いた状態でカード200をカード設置部50に載置して、画像読取装置1を閉じると、開閉部60がカード200を上から押さえることができる。したがって、カード200を所定位置に固定するとともに、可撓性を有するカード200が反っている場合に平坦な状態にさせることができる。
【0087】
つまり、例えば、開閉部60は、記録媒体(カード200)の端部に対応する領域を載置部に圧着させる押さえ部として機能する。この押さえ部は、記録媒体(カード200)の端部に対応する領域を載置部に圧着させた場合、照明部が押さえ部を照明して生じる影が読取対象画像(イラスト203)に重畳しないように設けられる。例えば、光伝送部30の発光位置と、開閉部60がカード200を圧着する位置と、を結ぶ直線上に読取対象画像が含まれないような位置関係となる。
【0088】
次に、上記のような画像読取装置1によって生成される読取データに基づいてゲームを実行するゲーム装置100の詳細について説明する。
【0089】
[1−3.ゲーム装置のハードウェア構成]
ゲーム装置100は、例えば、家庭用ゲーム機(据置型ゲーム機)、携帯用ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、又はパーソナルコンピュータによって実現される。
【0090】
図12は、ゲーム装置100のハードウェア構成を示す図である。図12に示すように、ゲーム装置100は、制御部101、主記憶部102、補助記憶部103、光ディスク再生部104、通信インタフェース部105、操作部106、表示部107、及び音声出力部108を含む。
【0091】
制御部101は、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)、及びSPU(Sound Processing Unit)等を含む。制御部101は、オペレーティングシステムやその他のプログラムに従って各種処理を実行する。
【0092】
本実施形態においては、制御部101は、読取対象画像(イラスト203)の読取データを画像読取装置1から取得する手段、及び、当該読取データに基づいてゲーム処理を実行する手段として機能する。例えば、制御部101は、読取データと、予め記憶された画像データと、を比較する手段を含み、当該比較結果に基づいて記録媒体(カード200)の種類を特定してゲーム処理を実行する。
【0093】
主記憶部102は、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。主記憶部102は、補助記憶部103又は光ディスク(情報記憶媒体)から読み出されたプログラムやデータを記憶する。また、主記憶部102は、処理の過程で必要なデータを記憶するワークメモリとしても用いられる。
【0094】
補助記憶部103は、例えば、ハードディスク装置(情報記億媒体)を含む。補助記憶部103は、例えば、カード200に関するゲームパラメータが格納されたデータベースを記憶する。
【0095】
図13は、補助記憶部103に記憶されるデータベースの一例を示す図である。図13に示すように、データベースには、例えば、画像読取装置1の読取データに対応する画像パターンに対応付けられて、ゲームキャラクタの各種情報が格納される。画像パターンとは、例えば、カード200を識別するための画像データであり、例えば、カード200の読取対象画像及び凹凸部301による陰影に対応するRGBデータである。
【0096】
制御部101は、画像読取装置1から取得する読取データ(RGBデータ)と、このデータベースに格納された画像パターンと、を比較することによって、画像読取装置1が読み取ったカード200を特定することができる。
【0097】
先述のように、本実施形態においては、ゲーム装置100は、同じ絵柄のカード200であっても凹凸部301の有無又は格子パターンによって、これらを互いに異なるカードとして認識する。したがって、図13に示すように、同じキャラクタ名のカードであっても、凹凸部301の有無又は格子パターンごとに複数の画像パターンが対応付けられてデータベースに格納されることになる。
【0098】
また、データベースに格納されるゲームキャラクタの各種情報は、カード200に含まれる情報に対応する。即ち例えば、データベースには、ゲームキャラクタのキャラクタ名、レベル、ゲームパラメータ(例えば、攻撃力や守備力、キャラクタ固有のルール等のゲームデータ)等が含まれる。
【0099】
光ディスク再生部104は、光ディスクに記憶されたプログラムやデータを読み取る。光ディスクには、例えば、ゲームプログラムが記憶されている。
【0100】
通信インタフェース部105は、ゲーム装置100を通信ネットワークに通信接続するためのインタフェースである。画像読取装置1とゲーム装置100とは、通信インタフェース部105を介して接続される。
【0101】
また例えば、画像読取装置1とゲーム装置100とがUSBケーブルによって接続される場合には、通信インタフェース部105のUSB端子及びUSBケーブルを介して画像読取装置1に対して電力が供給されるようにしてもよい。
【0102】
操作部106は、ユーザが各種操作を行うためのものである。操作部106は、例えばゲームコントローラ、タッチパネル、マウス、又はキーボード等を含む。他にも例えば、操作部106は、赤外線を介してユーザが指し示す位置を入力可能なポインティングデバイスであってもよい。
【0103】
表示部107は、例えば、家庭用テレビ受像機又は液晶表示パネル等である。表示部107は、制御部101の指示に従って画面を表示する。
【0104】
音声出力部108は、例えば、スピーカ又はヘッドホン等を含む。音声出力部108は、補助記憶部103から読み出された音声や、光ディスクに記憶されたゲーム音楽等を制御部101の指示に従って出力する。
【0105】
上記のように、本実施形態においては、ゲームの実行に際して必要なプログラムやデータは、光ディスクを介してゲーム装置100に供給される場合を説明する。なお、これらのプログラムやデータは、他の情報記憶媒体(例えばメモリカード)を介してゲーム装置100に供給されるようにしてもよい。または、プログラムやデータは、通信ネットワークを介して遠隔地からゲーム装置100に供給されるようにしてもよい。
【0106】
[1−4.カードを読み取る処理の流れ]
図14は、ゲーム装置100にカード200が登録される際の処理の流れを示すフロー図である。図14に示す処理は、例えば、表示画面が所定のメニュー画面から遷移した場合、制御部101が、補助記憶部103又は光ディスクに記憶されたプログラムに従って実行される。なお、本処理が実行される場合、画像読取装置1は、例えば、USBケーブル等を介して電力が供給されており、予め起動しているものとする。
【0107】
まず、制御部101は、ゲーム画面150(図4)を表示部107に表示させる(S101)。制御部101は、ユーザからの入力を待ち受け、開始ボタン151が押下されたか否かを判定する(S102)。ユーザは、制御部101がS102においてユーザからの操作を待ち受けている間に、カード200の読み取り操作を行うことになる。
【0108】
具体的には、まずユーザは、開閉部60を操作して画像読取装置1を開いた状態にさせる。ユーザは、カード設置部50の所定位置にカード200を載置する。次いで、ユーザは、開閉部60を押し下げて画像読取装置1を閉じた状態にする。即ち、ユーザは、開閉部60と係合部70とを係合させて、画像読取装置1内を外部の光から遮蔽する。
【0109】
以上のようにして、ユーザは、カード200を所定位置に載置させることができる。外部の光が遮蔽された画像読取装置1内は、LED31,32の光が光伝送部30を介して間接照明される。即ち例えば、直接照明に比べて淡い光が、カード200の側面に対応する位置から凹凸部301に対して斜め入射されることになる。
【0110】
図14に戻り、開始ボタン151が押下された場合(S102;Y)、制御部101は、画像読取装置1に対してカード200を撮影する旨の撮影指示を送信する(S103)。画像読取装置1は、ゲーム装置100が送信した撮影指示を受信すると、撮像部33を用いてカード200を撮影する。撮像部33による撮影動作の制御は、画像読取装置1に含まれる図示しないCPU等によって行われてよい。即ち、画像読取装置1は、間接照明されたカード200を読み取って、読取データを生成する。この生成された読取データは、画像読取装置1からゲーム装置100に対して送信される。
【0111】
図15は、画像読取装置1によって生成される読取データの一例を示す図である。読取データは、例えば、RGBデジタル画像データである。即ち、撮像部33の撮影範囲に対応する各画素のRGB値が、読取データとして生成される。カード200は、カード設置部50に載置されるので、撮影画像には、例えば、カード200、カード設置部50、開閉部60等が含まれる。
【0112】
また例えば、図15に示すように、読取データには、画像の左上を原点として2次元座標(Xs−Ys座標)が設定される。読取データが示す画像の各画素の位置は、この2次元座標によって特定される。即ち例えば、各座標ごとに、RGB値が対応付けられたものが読取データとして生成される。先述のように、本実施形態では、凹凸部301の格子パターンの影が撮影されるので、図15のような影が読取データに含まれることになる。
【0113】
図16は、凹凸部301によって発生する影を説明するための模式図である。ここでは、説明の簡略化のために、例えば、撮像部33の解像度を3000×2250(例えば、約660万画素のCCDカメラ)、撮像部33の撮影範囲の大きさ(例えば、図15に示す画像の大きさ)を120mm×90mmとする。また例えば、図16に示すように、凹凸部301の格子の厚みを60μmとし、この格子に対して所定角度θ(例えば、約54°)で入射する光によって、幅が80μmの影が発生した場合を説明する。
【0114】
上記のような撮影能力をもつ撮像部33によって生成される読取データに対応する画素は、例えば、1つの画素あたりカード200の表面の40μm四方の領域に対応することになる。即ち、上記のように、カード200の側面に対応する位置から凹凸部301を照明して幅が80μmの影が発生した場合、読取データとしては、例えば、2画素分の幅の影を含むことになる。このようにして、画像読取装置1は、読取データが示す画像(図15)に凹凸部301の影を含ませることができる。
【0115】
図14に戻り、制御部101は、画像読取装置1から読取データを受信する(S104)。制御部101は、受信した読取データを主記憶部102等に一時的に記憶し、データベースと照合する(S105)。S105においては、例えば、以下のようにして読取データとデータベースとが比較されることになる。
【0116】
まず、読取データが示す撮影画像のうちでイラスト203の四隅の位置が特定される。この特定方法としては、例えば、撮影画像のうちの注目画素と周囲の画素との画素値の差に基づいて判定される。イラスト203の四隅の位置をそれぞれ座標P1,P2,P3,P4とする。例えば、この4つの座標によって囲まれた画素のRGBデータと、データベースに格納された画像パターンのデータと、が比較される。
【0117】
具体的には、ある画素の画素値と、この画素と座標を同じとする画像パターンの画素値と、の差分が所定範囲(例えば、基準値未満)である場合、この画素の類似フラグを1とする。一方、画素値の差分が所定範囲(例えば、基準値以上)でない場合、この画素の類似フラグが0となる。座標P1〜P4によって囲まれる他の画素についても同様に比較されて、それぞれの画素に対応する類似フラグの値が定まる。
【0118】
この類似フラグは、例えば、画素の座標と対応付けられて主記憶部102に記憶される。比較対象となる全ての画素(つまり、座標P1〜P4によって囲まれる画素)の類似フラグの合計が算出されて、この合計値が基準値以上となった場合、比較対象となっている画像パターンに対応するカード200であると認識される。つまり、類似フラグの合計値は、画像の類似具合(類似率)を示すので、データベースに格納されたデータのうち、読取データと画像が類似するデータが参照されることになる。
【0119】
なお、S105における照合方法は、画像データ同士を比較するいわゆるパターンマッチング等の公知の種々の手法を適用可能とする。即ち、S105における照合方法は、上記の例に限られない。
【0120】
図14に戻り、制御部101は、読取データと一致するデータがデータベースにあるか否かを判定する(S106)。例えば、類似フラグの合計値が基準値以上のレコードがあるか否かが判定される。
【0121】
一致するものがある場合(S106;Y)、制御部101は、この一致したレコードのデータを含むゲーム画面150を表示部107に表示させる(S107)。即ち、類似フラグの合計値が所定値以上である画像パターンに対応付けられたデータが参照されることになる。S107においては、図5に示すようなゲーム画面150が表示される。
【0122】
次いで、制御部101は、登録ボタン152が押下されたか否かを判定する(S108)。登録ボタン152が押下された場合(S108;Y)、制御部101は、カード200のデータを登録する(S109)。即ち、ユーザがゲームで使用するカード200として、このカード200を識別する情報が補助記憶部103に記憶される。
【0123】
一方、一致するものがない場合(S106;N)、制御部101は、エラーメッセージを含むゲーム画面150を表示部107に表示させる(S110)。S108において表示されるゲーム画面150は、特に図示はしないが、「一致するものがありません」等のメッセージがゲーム画面150に表示される。
【0124】
制御部101は、終了条件を満たすか否かを判定する(S111)。終了条件は、予め定められた条件であってよい。終了条件は、例えば、戻るボタン153が押下されたか否か等である。
【0125】
終了条件を満たす場合(S111;Y)、本処理は終了する。一方、終了条件を満たさない場合(S111;N)、処理は、S102に戻る。即ち、再びユーザがカード200を登録する操作が待ち受けられることになる。
【0126】
[1−5.実施形態のまとめ]
以上説明した画像読取装置1によれば、カード200の側面に対応する位置からカード200の凹凸部301に対して照明光を斜め入射させるので、凹凸部301の格子パターンを陰影に反映させて読取データを生成することができる。
【0127】
即ち、ゲーム装置100は、画像読取装置1の読取データに基づいて、カード200が凹凸部301を有するか否か、又は、どのような格子パターンの凹凸部301を含むかを把握することができるので、記録媒体(カード200)の凹凸の有無や記録媒体(カード200)に含まれる凹凸の違い及び有無を認識することができる。
【0128】
したがって、同じ絵柄のカード200であっても樹脂シート300の有無が異なる場合においても、ゲーム装置100は、これらを違うカード200として認識することができる。また、同じ絵柄のカード200であっても樹脂シート300の格子パターンが異なる場合、ゲーム装置100は、これらを違うカード200として認識することができる。
【0129】
また、画像読取装置1は、間接照明を用いてカード200を読み取るので、カード200の周囲の方向から略均等な強さの光を照射させることができる。したがって、画像読取装置1によれば、従来のように光量が多い部分と少ない部分との差が大きくなるような直接照明を用いた場合に比べて、カード200を均等に照明することができるので、特定の箇所が白くなるようなハレーションを軽減することができる。即ち、画像読取装置1によれば、カード200の読み取りの正確性を向上させることができる。
【0130】
さらに、例えば、カード200の側面(横側)の複数方向から間接照明することによって、画像読取装置1は、凹凸部301の影(陰影)を鮮明にさせることができる。例えば、図3に示すように、両方の側面からカード200を挟むように光を照射することによって、画像読取装置1は、凹凸部301の影をより鮮明にすることができる。
【0131】
また、ゲーム装置100のデータベースには、凹凸部301によって発生した影のパターンを含む画像パターンが格納されているので、読取データに基づいて、ユーザが所有する凹凸部301の格子パターンを把握してカード200を特定することができる。例えば、従来のバーコードや二次元コードを用いてカード200を特定する方法に比べて、ゲーム装置100は、凹凸部301の格子パターンを判別してゲーム処理を実行することができるようになる。
【0132】
[2.変形例]
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。
【0133】
(1)例えば、本実施形態においては、樹脂シート300がカード200の全面に重畳するように備えられている場合を説明したが、樹脂シート300は、読取対象画像に対応する位置にのみ備えられていればよい。
【0134】
例えば、樹脂シート300は、イラスト203の領域にのみ重畳するように備えられていてもよい。この場合、ユーザは、カード200のうちでイラスト203の領域のみ、光が乱反射するように見えることになる。
【0135】
また例えば、樹脂シート300は、読取対象画像(イラスト203)の端部に対応する領域を縁取るように備えられていてもよい。この場合、ユーザは、カード200のうちでイラスト203の周囲のみ、光が乱反射するように見えることになる。
【0136】
また例えば、カード200は、複数の樹脂シート300を備えていてもよい。
【0137】
(2)また、上記実施形態においては、読取対象画像をイラスト203として説明したが、読取対象画像は、ゲームキャラクタ情報204に含まれる文字であってもよい。即ち、画像読取装置1が読み取る画像には、文字も含まれる意である。例えば、カード200には、イラスト203が含まれずに文字のみが含まれていてもよい。この場合、画像読取装置1は、カード200の文字及び凹凸部301による陰影を含む読取データ(画像データ)に基づいて、このカード200を特定することになる。
【0138】
(3)また、上記実施形態においては、カード200の側面に対応する2つの方向から凹凸部301を照明する例を説明したが、カード200の側面に対応する位置から凹凸部301を照明光が斜め入射すればよく、この照明の方向は、実施形態の例に限られない。
【0139】
例えば、カード200の側面に対応する1つの方向のみから凹凸部301を照明してもよいし、カード200の全周囲(即ち、4方向)から凹凸部301を照明するようにしてもよい。この場合、読取データに含まれる影のパターンが実施形態のものとは異なるので、ゲーム装置100が記憶するデータベースの画像パターンも、照明方法に応じて適宜異なるものになる。
【0140】
(4)また例えば、上記実施形態においては、カード200を間接照明してハレーションを防止する例を挙げて説明したが、画像読取装置1は、ハレーションしない程度の光量の光源を側面に対応する位置から直接照明するようにしてもよい。この場合も上記実施形態と同様に、画像読取装置1は、凹凸部301の格子パターンを陰影に反映させた画像データを生成することができる。
【0141】
(5)また、光源としてLEDを適用する例を説明したが、光源には、他の発光素子(例えば、レーザダイオード等)が用いられてもよい。また、光源の数は、一又は複数であってよく、実施形態のように、光源の数は、2個でなくてもよい。例えば、カード200の周囲から凹凸部301を照らすように3個以上の光源が配置されていてもよい。
【0142】
(6)また、画像読取装置1が、カード設置部50の上に載置されたカード200を読み取る場合を説明したが、カード200は、画像読取装置1の所定位置に配置されるようにすればよく、カード200の配置方法は、これに限られない。例えば、カード200の両端をクリップで挟むことによって、カード200が所定位置に配置されるようにしてもよい。
【0143】
(7)また、画像読取装置1の読取データのうちイラスト203と、ゲーム装置100のデータベースに格納された画像パターンと、を照合する場合を説明したが、ゲーム装置100は、読取データが示すカード200の全体を比較するようにしてもよい。
【0144】
(8)また、樹脂シート300は、ユーザがカード200を見る角度によってゲームキャラクタや文字等が浮かび上がるような公知のホログラムシートであってもよい。ホログラムシートは、例えば、回折格子としての役割を果たす凹凸部301の表面に、数百Å〜数千Å程度の厚さの反射部材(例えば、アルミニウム箔)を蒸着することによって作成される。
【0145】
ホログラムシートは、上記実施形態と同様に、カード200に重畳して備えられる。画像読取装置1は、カード200の側面に対応する位置から凹凸部301を照明するので、ホログラムシートを使用した場合も同様に、凹凸部301の陰影を読取データに反映させることができる。
【0146】
(9)また、凹凸部301が樹脂シート300に含まれる例を挙げて説明したが、凹凸部301がカード200に含まれればよく、記録媒体(カード200)が有する凹凸部は、これに限られない。例えば、カード200自体に対してエンボス加工が施されて凹凸部が備えられるようにしてもよい。
【0147】
この場合においても、画像読取装置1は、本実施形態と同様に、カード200の側面に対応する位置から凹凸部を照明するので、凹凸部のパターンの陰影を含む読取データを生成することができる。
【0148】
(10)また、記録媒体としてカード200を例に挙げて説明したが、記録媒体は、凹凸部と読取対象画像とが含まれている媒体であればよい。即ち、記録媒体は、本実施形態のようなカード200の例に限られない。例えば、記録媒体は、携帯電話の画面であってもよい。この場合、読取対象画像が携帯電話の表示部に表示され、表示部に重畳するように樹脂シート300等の凹凸部が備えられることになる。
【0149】
(11)また、ゲーム装置100が実行するゲームをカードゲームとして説明したが、ユーザが所有する記録媒体を登録することによって実行されるゲームであればよく、ゲーム装置100が実行するゲームは、カードゲームに限られない。
【0150】
例えば、ゲーム装置100が実行するゲームは、スポーツ選手が印刷されたカード200を用いて行うスポーツゲームであってもよい。この場合でも本実施形態と同様に、カード200の凹凸部301の格子パターンが反映された読取データに基づいてゲームが実行される。
【符号の説明】
【0151】
1 画像読取装置、10 上部外殻部、20 外側遮光部、30 光伝送部、30a コア、30b クラッド、30c,30d,30e 端面、31,32 LED、33 撮像部、34,35 発光固定部、40 内側遮光部、50 カード設置部、60 開閉部、70 係合部、80 下部外殻部、90 扉開閉伝達部、100 ゲーム装置、101 制御部、102 主記憶部、103 補助記憶部、104 光ディスク再生部、105 通信インタフェース部、106 操作部、107 表示部、108 音声出力部、150 ゲーム画面、151 開始ボタン、152 登録ボタン、153 戻るボタン、154 読取画像欄、155 カード情報欄、200 カード、200a,200b 側面、201 カード名、202 レベル、203 イラスト、204 ゲームキャラクタ情報、300 樹脂シート、301 凹凸部、302 シート支持部、303 シート保護部、P1,P2,P3,P4 代表点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸部と読取対象画像を含む記録媒体を読み取る画像読取装置であって、
前記画像読取装置の外部からの光を遮蔽する遮蔽部と、
前記画像読取装置内の所定位置に配置される前記記録媒体を照明する照明部と、
前記照明部により照明された前記記録媒体の前記読取対象画像を読み取る画像読取部と、
を含み、
前記照明部は、前記所定位置に配置される前記記録媒体の側面に対応する位置から当該記録媒体の前記凹凸部に対して照明光が斜め入射するように設けられていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記照明部は、前記所定位置に配置される前記記録媒体の側面に対応する複数の位置から当該記録媒体の前記凹凸部に対して前記照明光が斜め入射するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記照明部は、
光源と、
当該光源からの光を導光し、前記所定位置に配置される前記記録媒体の側面に対応する位置から当該記録媒体の前記凹凸部に対して前記照明光を斜め入射させるための光伝送部と、
を含み、
前記光伝送部は、前記光源からの入射光を反射させる反射部を含み、前記反射部による反射光を導光することによって、前記所定位置に配置される前記記録媒体の側面に対応する位置から当該記録媒体の前記凹凸部に対して前記反射光を斜め入射するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記照明部は、複数の前記光源を含み、
前記光伝送部は、当該複数の光源からの光を混合して導光することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記記録媒体は、可撓性を有するものであって、
前記画像読取装置は、
前記記録媒体を前記所定位置に載置するための載置部と、
前記記録媒体の端部に対応する領域を前記載置部に圧着させる押さえ部と、
を更に含み、
前記押さえ部及び前記照明部は、前記記録媒体の端部に対応する領域を前記載置部に圧着させた場合、前記照明部が前記押さえ部を照明して生じる影が前記読取対象画像に重畳しないように設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の画像読取装置と、
前記読取対象画像の読取データを前記画像読取装置から取得する手段と、
当該読取データに基づいてゲーム処理を実行する手段と、
を含むことを特徴とするゲームシステム。
【請求項7】
凹凸部と読取対象画像を含む記録媒体を読み取る画像読取装置の画像読取方法であって、
前記画像読取装置の外部からの光が遮蔽された前記画像読取装置内の所定位置に配置される前記記録媒体が、前記所定位置に配置される前記記録媒体の側面に対応する位置から当該記録媒体の前記凹凸部に対して照明光が斜め入射するように設けられた照明部によって照明され、前記照明部により照明された前記記録媒体の前記読取対象画像を読み取るステップを含むことを特徴とする画像読取方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−239894(P2011−239894A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113596(P2010−113596)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】