説明

画像読取装置

【課題】本発明は、ユーザが導電性部材に触れても導電性部材が剥がれることなく、装置外部への放射ノイズをシールドすることが可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る画像読取装置は、装置本体の上面に露出した導電性の第1フレームに相対する位置に、露出した導電性の第2フレーム124を備えた原稿搬送部12における第2フレーム124に凹形状124aが加工され、スポンジ状の導電性部材122が、両面テープ123により、原稿搬送部12の閉結状態において、第1フレームと第2フレーム124が、電気的に導通するように凹形状124aの窪みに貼り付けられた構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取装置(画像読取機能を備えた複写機を含む)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像読取装置は、装置全体の制御や原稿画像から生成された画像データの処理などを行うために、高クロックで動作するCPU[Central Processing Unit]が制御基板に搭載されている。その高クロックによって発生する放射ノイズ(電磁波)が装置から外部に漏れて、他の電子機器が誤作動をしないように、装置本体のシールドの強化が図られている。
【0003】
従来の画像読取装置は、原稿を原稿読取部に自動的に搬送する原稿搬送部と装置本体の間および原稿搬送部からの放射ノイズをシールドするために、原稿搬送部に所定の領域に亘って配置された導電性のフレームが、原稿搬送部の開閉を可能にするためのヒンジ部および装置本体の導電性のフレームを介して接地が行われている。
【0004】
更に、そのシールドの強化が必要な場合には、原稿搬送部における開閉側の導電性のフレームに取り付けられた導電性部材が、原稿搬送部の閉結状態において、装置本体の上面に露出した導電性のフレームと接触して接地が行われる。この場合、導電性部材に板バネを用いると、ユーザによって原稿搬送部が開閉される際に、板バネにユーザが触れてケガをしてしまう可能性があることから板バネを用いることができなかった。そのため、その代用としてスポンジ状の導電性部材が以下のように取り付けられていた。
【0005】
図13は、従来の画像読取装置における原稿搬送部の開閉側の導電性フレームに貼り付けられた導電性部材を示す拡大した縦断面図である。図13に示すように、原稿搬送部50は、装置本体側に露出した導電性のフレーム51と、装置本体側と反対方向のフレーム51に備えられた非導電性のカバー54と、を有して成り、矩形体でスポンジ状の導電性部材52が、両面テープ53によってフレーム51に貼り付けられている。原稿搬送部50が閉結されると、導電性部材52に相対する位置に露出した装置本体のフレーム(不図示)に接触して、導電性部材52がフレーム51に押し付けられることで、原稿搬送部50のフレーム51と装置本体のフレーム(不図示)とが電気的に導通して接地が行われていた。なお、実線矢印方向が装置本体の上面側である。
【0006】
なお、参考として、装置外部への放射ノイズの漏れを防止することを目的とした技術も開示・提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2003−115961号公報
【特許文献2】特開平6−118569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
確かに、上記構成から成る画像読取装置であれば、導電性部材52がスポンジ状であるため、ユーザによって原稿搬送部50が開閉された際に、ユーザが導電性部材52に触れてもケガをする可能性がなくなるとともに、原稿搬送部50のフレーム51と装置本体のフレーム間の電気的な導通が取られてシールドの強化が図られることで、原稿搬送部50と装置本体の間および原稿搬送部50からの放射ノイズの漏れを防ぐことが可能である。
【0008】
しかしながら、従来の画像読取装置は、導電性部材52が両面テープ53で貼り付けられているために、原稿搬送部50の開閉時に、ユーザが導電性部材52に触れて導電性部材52が剥がれてしまうという問題があった。そのため、原稿搬送部50の開閉時に、装置外部へ放射ノイズの漏れを防ぐという効果が無くなってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑み、ユーザが導電性部材に触れても導電性部材が剥がれることなく、装置外部への放射ノイズをシールドすることが可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像読取装置は、その上面に原稿の画像の読み取りを行う原稿読取部を有する本体と、前記本体に対して該原稿読取部を覆うように開閉可能に設けられた原稿押さえ部と、を有して成り、前記本体は、その上面に露出し、かつ、接地された導電性の第1フレームを有し、また、前記原稿押さえ部は、その閉結状態において、前記第1フレームに相対する位置に露出した導電性の第2フレームを有して成り、前記第1フレームあるいは前記第2フレームのいずれか一方が、凹形状を成しており、かつ、該凹形状部分に導電性部材が、前記原稿押さえ部の閉結状態において、前記第1フレームと前記第2フレーム間の導電性を保つように貼り付けられている構成とされている。このような構成とすることにより、原稿押さえ部が開閉される際に、導電性部材がユーザによって接触されても導電性部材の剥がれを防ぐことができるとともに、装置外部への放射ノイズをシールドすることができる。また、第2フレームが凹形状になっていることで、導電性部材の貼り付け位置が明確になり、導電性部材を貼り付け易くなる。
【0011】
本発明に係る画像読取装置は、その上面に原稿の画像の読み取りを行う原稿読取部を有する本体と、前記本体に対して該原稿読取部を覆うように開閉可能に設けられた原稿押さえ部と、を有して成り、前記本体は、その上面に接地された導電性の第1フレームを有し、また、前記原稿押さえ部は、その閉結状態において、前記第1フレームに相対する位置に導電性の第2フレームを有して成り、前記第1フレームあるいは前記第2フレームのいずれか一方に、導電性部材が、前記原稿押さえ部の閉結状態において、前記第1フレームと前記第2フレーム間の導電性を保つように貼り付けられ、かつ、少なくとも前記導電性部材の側面外周の一部が非導電性部材で囲まれ、前記第1フレームあるいは前記第2フレームのもう一方が、露出している構成とされている。このような構成とすることにより、原稿押さえ部が開閉される際に、非導電性部材で導電性部材が囲まれているため、導電性部材がユーザによって接触されても導電性部材の剥がれを防ぐことができるとともに、装置外部への放射ノイズをシールドすることができる。
【0012】
本発明に係る画像読取装置は、その上面に原稿の画像の読み取りを行う原稿読取部を有する本体と、前記本体に対して該原稿読取部を覆うように開閉可能に設けられた原稿押さえ部と、を有して成り、前記本体は、その上面に接地された導電性の第1フレームを有し、また、前記原稿押さえ部は、その閉結状態において、前記第1フレームに相対する位置に導電性の第2フレームを有して成り、前記第1フレームあるいは前記第2フレームのいずれか一方に、1つの対向した側面の底面側に突起部を有した導電性部材の底面が、前記原稿押さえ部の閉結状態において、前記第1フレームと前記第2フレーム間の導電性を保つように貼り付けられており、かつ、前記突起部が、非導電性部材で挟まれて固定され、前記第1フレームあるいは前記第2フレームのもう一方のが、露出している構成とされている。このような構成とすることにより、原稿押さえ部が開閉される際に、導電性部材が非導電性部材で挟まれて固定されているため、導電性部材がユーザによって接触されても導電性部材の剥がれを防ぐことができる。これにより、装置外部への放射ノイズを確実にシールドすることができる。
【0013】
本発明に係る画像読取装置は、その上面に原稿の画像の読み取りを行う原稿読取部を有する本体と、前記本体に対して該原稿読取部を覆うように開閉可能に設けられた原稿押さえ部と、を有して成り、前記本体は、その上面に接地された導電性の第1フレームを有し、また、前記原稿押さえ部は、その閉結状態において、前記第1フレームに相対する位置に導電性の第2フレームを有して成り、1つの対向した側面の底面側に突起部を有した導電性部材の該突起部の上面が、非導電性部材に貼り付けられており、かつ、前記第1フレームあるいは前記第2フレームのいずれか一方と前記非導電性部材の間に、前記突起部が、前記原稿押さえ部の閉結状態において、前記第1フレームと前記第2フレーム間が電気的に導通するように挟まれて固定され、前記第1フレームあるいは前記第2フレームのもう一方が、露出している構成とされている。このような構成とすることにより、原稿押さえ部が開閉される際に、導電性部材が非導電性部材で挟まれて固定されているため、導電性部材がユーザによって接触されても導電性部材の剥がれを防ぐことができる。これにより、装置外部への放射ノイズを確実にシールドすることができる。
【0014】
上記構成から成る画像読取装置における前記導電性部材は、前記突起部を含む前記底面側の内部に、補強材を備えている構成とされている。このような構成とすることにより、原稿押さえ部が開閉される際に、補強材が導電性部材に備えられているため、導電性部材がユーザによって接触されても導電性部材の剥がれをより一層防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
上記したように、本発明に係る画像読取装置であれば、原稿押さえ部が開閉される際に、導電性部材がユーザによって接触されても導電性部材の剥がれを防ぐことが可能になるとともに、原稿押さえ部の閉結状態において、装置外部への放射ノイズをシールドすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では、画像読取機能を備えている複写機に本発明を適用した場合を例に挙げて、図を参照して説明を行う。
【0017】
図1は、本発明に係る複写機の原稿搬送部が開放状態の場合を模式的に示す側面側から見た縦断面図である。図2は、本発明に係る複写機の原稿搬送部が閉結状態の場合を模式的に示す側面側から見た縦断面図である。図3は、本発明に係る複写機の原稿搬送部が閉結状態の場合を模式的に示す正面から見た縦断面図である。なお、側面側とは、ユーザが装置を後述の操作表示部を操作する際の操作位置を正面側とした場合に対してその垂直方向側である。
【0018】
本発明に係る複写機1は、図1〜図3に示すように、装置本体10の上面に原稿の画像の読み取りを行う原稿読取部11と、装置本体10に対して原稿読取部11を覆うように開閉可能に設けられ、原稿を原稿読取部11に自動搬送するあるいは原稿読取部11に配置された原稿を押さえるために用いられる原稿搬送部12と、原稿搬送部12と装置本体10を結合し、原稿搬送部12の開閉を可能にするヒンジ部13と、操作手段(テンキーやタッチパネルなど)と表示手段(液晶ディスプレイなど)から成る操作表示部14と、を有して成る。なお、本図には示していないが、本実施形態の複写機1は、上記構成要素のほか、装置全体の制御を行うCPU、各種制御プログラム等の格納やワーク領域として用いられるメモリ部、および画像形成処理に必要な画像形成部、定着部、用紙収納部、および用紙搬送部などを当然に有して成る。
【0019】
装置本体10は、装置本体10を覆う非導電性の樹脂からなる外装カバー101と、装置本体10の上面に露出し、外装カバー101に覆われた導電性のフレーム(不図示)あるいは配線(不図示)等を介して接地された第1フレーム102と、を有して成る。
【0020】
原稿搬送部12は、図1〜図3に示すように、原稿読取部11による原稿画像の読み取りのために、原稿読取部11上の原稿に向けて原稿読取部11から放射された光を反射する反射板121と、原稿読取部11に搬送される原稿の出入り口を備えた給紙ガイド126と、を有して成る。また、原稿搬送部12は、図2および図3に示すように、原稿搬送部12の閉結状態において、第1フレーム102の相対する位置に、後述するように導電性の第2フレームを有して成り、第1フレーム102と第2フレームが導通するようにスポンジ状で導電性の導電性部材122が貼り付けられている。なお、導電性部材122は、弾性体で柔軟性のある導電性の部材であればよい。また、導電性部材122は、その外周が導電性で薄い弾性体からなり、その内部が非導電性の弾性体でもよい。
【0021】
また、複写機1は、ヒンジ部13側付近の原稿搬送部12と装置本体10の間および原稿搬送部12からの放射ノイズの漏れをシールドするために、原稿搬送部12の内部に備えられた導電性のフレーム(不図示)が、ヒンジ部13近傍の配線(不図示)等で電気的に接続されて装置本体10の外装カバー101に覆われた導電性のフレーム(不図示)を介して接地されている。
【0022】
また、複写機1は、装置本体10の側面や底面からの放射ノイズの漏れをシールドするために、外装カバー101に覆われ、装置本体10の側面や底面に備えられた導電性のフレーム(不図示)が接地されている。
【0023】
なお、本発明に係る複写機1は、後述するように原稿搬送部12の閉結時において、原稿搬送部12の第2フレームと本体装置10の第1フレーム間を電気的に導通させるために貼り付けられている導電性部材122がユーザの接触により剥がれることを防止する構成に特徴を有している。
【0024】
そこで、以下では、本発明に係る複写機1における原稿搬送部12の第2フレームと本体装置10の第1フレーム間を、原稿搬送部12の閉結時において電気的に導通させるために貼り付けられる導電性部材122がユーザの接触により剥がれることを防止する構成の第1実施形態につき、図を参照しながら説明を行う。図4は、第1実施形態に係る原稿搬送部12の詳細を説明するための図1に示す領域Aの拡大図である。
【0025】
図1〜図4に示すように、原稿搬送部12は、原稿搬送部12の閉結状態において、第1フレーム102に相対する位置に、露出し、金属からなる導電性の第2フレーム124を有して成り、第2フレーム124に凹形状部124aが加工されている。第2フレーム124の側面および第2フレーム124の第1フレーム102側と反対の面には、非導電性の外装カバー125が取り付けられている。導電性部材122には、その1面の外周より内側に非導電性の両面テープ123が貼り付けられている。導電性部材122が、原稿搬送部12の閉結状態おいて、第1フレーム102と第2フレーム124間の導電性を保つように、凹形状部124aの窪みに両面テープ123によって、貼り付けられている。原稿搬送部12の閉結状態では、導電性部材122がスポンジ状(すなわち、弾性体)であるため、図5に示すように、導電性部材122が、弾性変形して第2フレーム124および第1フレーム102と接触することで第1フレーム102と第2フレーム124間が電気的に導通する。更に、原稿搬送部12の閉結状態では、電気的に導通した第1フレーム102、第2フレーム124および導電性部材122が、外装カバー101に覆われた導電性のフレーム(不図示)あるいは配線(不図示)等を介して接地される。
【0026】
また、両面テープ123の代わりに、原稿搬送部12の閉結状態おいて、導電性部材122を介して第1フレーム102と第2フレーム124とを電気的に導通させることが可能な接着部材が用いられてもよい。その接着部材(例えば、両面テープ123)は、導電性でもよい。その接着部材が導電性である場合には、導電性部材122の第2フレーム124側となる1面全領域にその接着部材が貼り付けられてもよい。また、第2フレーム124は、金属から形成されていなくてもよく、導電性であればよい。
【0027】
よって、上記で説明したように、本実施形態の複写機1であれば、ユーザにより原稿搬送部12が開閉される際に、導電性部材122がユーザに触れられても、導電性部材122が第2フレーム124に形成された凹形状部124aに貼り付けられ、導電性部材122の露出部分が少ないため、導電性部材122の剥がれを防ぐことができる。これにより、装置外部への放射ノイズを確実にシールドすることができる。また、第2フレーム124が凹形状になっていることで、導電性部材122の貼り付け位置が明確になり、導電性部材122を貼り付け易くなる。
【0028】
次に、本発明に係る複写機1における原稿搬送部12の第2フレームと本体装置10の第1フレーム間を、原稿搬送部12の閉結時において電気的に導通させるために貼り付けられる導電性部材122がユーザの接触により剥がれることを防止する構成の第2実施形態につき、図を参照しながら説明を行う。図6は、第2実施形態に係る原稿搬送部12の詳細を説明するための図1に示す領域Aの拡大図である。なお、複写機1の領域A以外の構成は、前述した構成と同じであるため、その説明を省略する。また、特に必要がない限り、前述と同一符号を用いる。
【0029】
図1〜図3および図6に示すように、原稿搬送部12には、原稿搬送部12の閉結状態において、第1フレーム102に相対する位置に、金属からなる導電性の第2フレーム124と、第2フレーム124の側面および第2フレーム124の第1フレーム102側と反対の面に非導電性の外装カバー125aと、が備えられている。導電性部材122には、第2フレーム124側のその1面の外周より内側に非導電性の両面テープ123が貼り付けられている。また、導電性部材122が、原稿搬送部12の閉結状態おいて、第1フレーム102と第2フレーム124間の導電性を保つように両面テープ123によって貼り付けられている。更に、導電性部材122の側面外周部に非導電性の外装カバー125bが取り付けられている。
【0030】
原稿搬送部12の閉結状態では、導電性部材122がスポンジ状(すなわち、弾性体)であるため、導電性部材122が、弾性変形して第2フレーム124と第1フレーム102に接触することで、第1フレーム102と第2フレーム124間が電気的に導通する。更に、原稿搬送部12の閉結状態では、電気的に導通した第1フレーム102、第2フレーム124および導電性部材122が、外装カバー101に覆われた導電性のフレーム(不図示)あるいは配線(不図示)等を介して接地される。なお、第2フレーム124に貼り付けられた導電性部材122は、ユーザによる接触によって導電性部材が剥がれない程度に、少なくとも導電性部材122の側面外周の一部が、外装カバー125bに囲まれていればよい。
【0031】
また、両面テープ123の代わりに、原稿搬送部12の閉結状態おいて、導電性部材122を介して、第1フレーム102と第2フレーム124とを電気的に導通させることが可能な接着部材が用いられてもよい。その接着部材(例えば、両面テープ123)は、導電性でもよく、その接着部材が導電性である場合には、導電性部材122の第2フレーム124側となる1面全領域にその接着部材が貼り付けられてもよい。また、第2フレーム124は、金属から形成されていなくてもよく、導電性であればよい。
【0032】
よって、上記で説明したように、本実施形態の複写機1であれば、ユーザにより原稿搬送部12が開閉される際に、導電性部材122がユーザにより接触されても、少なくとも導電性部材122の側面外周の一部が外装カバー125bで囲まれていることで導電性部材122の露出部分が少ないため、導電性部材122の剥がれを防ぐことができる。これにより、装置外部への放射ノイズを確実にシールドすることができる。
【0033】
次に、本発明に係る複写機1における原稿搬送部12の第2フレームと本体装置10の第1フレーム間を、原稿搬送部12の閉結時において電気的に導通させるために貼り付けられる導電性部材122がユーザの接触により剥がれることを防止する構成の第3実施形態につき、図を参照しながら説明を行う。図7は、第3実施形態に係る原稿搬送部12の詳細を説明するための図1に示す領域Aの拡大図である。なお、複写機1の領域A以外の構成は、前述した構成と同じであるため、その説明を省略する。また、特に必要がない限り、前述と同一符号を用いる。
【0034】
図1〜図3および図7に示すように、原稿搬送部12には、原稿搬送部12の閉結状態において、第1フレーム102に相対する位置に、金属からなる導電性の第2フレーム124と、第2フレーム124の側面および第2フレーム124の第1フレーム102側と反対側の面に非導電性の外装カバー125aと、が備えられている。導電性部材122は、1つの対向した側面の第2フレーム124側(すなわち、底面側)に突起部122a、122bを有した凸形状からなる。導電性部材122の第2フレーム124側となる1面の外周より内側に非導電性の両面テープ123が貼り付けられている。導電性部材122が、原稿搬送部12の閉結状態おいて、弾性変形して第2フレーム124と第1フレーム102に接触して、第1フレーム102と第2フレーム124が電気的に導通するように両面テープ123によって貼り付けられている。また、導電性部材122の突起部122a、122bが、非導電性の外装カバー125b、125cのL字形部分で挟まれつつ固定されている。
【0035】
また、原稿搬送部12の閉結状態では、導電性部材122がスポンジ状(すなわち、弾性体)であるため、導電性部材122が、弾性変形して第1フレーム102と第2フレーム124に接触することで、第1フレーム102と第2フレーム124間が電気的に導通する。更に、原稿搬送部12の閉結状態では、電気的に導通した第1フレーム102、第2フレーム124および導電性部材122が、外装カバー101に覆われた導電性のフレーム(不図示)あるいは配線(不図示)等を介して接地される。
【0036】
また、両面テープ123の代わりに、原稿搬送部12の閉結状態おいて、導電性部材122を介して第1フレーム102と第2フレーム124間が電気的に導通することが可能な接着部材が用いられてもよい。その接着部材(例えば、両面テープ123)は、導電性でもよく、その接着部材が導電性である場合には、導電性部材122の第2フレーム124側となる1面全領域にその接着部材が貼り付けてられてもよい。また、第2フレーム124は、金属から形成されていなくてもよく、導電性であればよい。
【0037】
よって、上記で説明したように、本実施形態の複写機1であれば、ユーザにより原稿搬送部12が開閉される際に、ユーザに導電性部材122が触れられても、導電性部材122が、1つの対向した側面の第2フレーム124側(すなわち、底面側)に突起部122a、122bを有した凸形状からなり、かつ、突起部122a、122bが、外装カバー125b、125cで挟まれつつ固定されているため、導電性部材122の剥がれを防ぐことができる。これにより、装置外部への放射ノイズを確実にシールドすることができる。
【0038】
また、図8に示すように、PETフィルム[Polyethylene Terephthalate Film]等の補強材122cが突起部122a、122bを含む第2フレーム124側(すなわち、底面側)の内部に備えられた導電性部材122が用いられてもよい。これにより、更に、導電性部材122の固定が強化されるため、ユーザにより原稿搬送部12が開閉される際に、導電性部材122がユーザに触れられても、導電性部材122の剥がれを防ぐことができる。
【0039】
次に、本発明に係る複写機1における原稿搬送部12の第2フレームと本体装置10の第1フレーム間を、原稿搬送部12の閉結時において電気的に導通させるために貼り付けられる導電性部材122がユーザの接触により剥がれることを防止する構成の第4実施形態につき、図を参照しながら説明を行う。図9は、第4実施形態に係る原稿搬送部12の詳細を説明するための図1に示す領域Aの拡大図である。
【0040】
図1〜図3および図9に示すように、原稿搬送部12には、原稿搬送部12の閉結状態において、第1フレーム102に相対する位置に、金属からなる導電性の第2フレーム124と、第2フレーム124の側面および第2フレーム124の第1フレーム102側と反対側の面に非導電性の外装カバー125aと、が備えられている。導電性部材122は、1つの対向した側面の第2フレーム124側(すなわち、底面側)に突起部122a、122bを有した凸形状からなる。導電性部材122の突起部122a、122bの第1フレーム側(すなわち、上面側)には、非導電性の両面テープ123が貼り付けられている。導電性部材122の突起部122a、122bが、両面テープ123により非導電体の外装カバー125b、125cのL字形部分に貼り付けられ、更に、導電性部材122の突起部122a、122bが、非導電体の外装カバー125b、125cと第2フレーム124との間に挟まれて固定されている。
【0041】
また、原稿搬送部12の閉結状態では、導電性部材122が弾性変形しながら第1フレーム102と第2フレーム124に接触することで、第1フレーム102と第2フレーム124間が電気的に導通する。更に、原稿搬送部12の閉結状態では、電気的に導通した第1フレーム102、第2フレーム124および導電性部材122が、外装カバー101に覆われた導電性のフレーム(不図示)あるいは配線(不図示)等を介して接地される。
【0042】
また、両面テープ123の代わりに、導電性部材122を上記のように、外装カバー125b、125cに貼り付けることが可能な接着部材が用いられてもよい。その接着部材(例えば、両面テープ123)は、導電性でもよい。また、第2フレーム124は、金属から形成されていなくてもよく、導電性であればよい。
【0043】
よって、上記で説明したように、本実施形態の複写機1であれば、導電性部材122が、1つの対向した側面の第2フレーム124側(すなわち、底面側)に突起部122a、122bを有した凸形状なり、突起部122a、122bが、第2フレーム124と外装カバー125b、125cとの間に挟まれて固定されているため、ユーザにより原稿搬送部12が開閉される際に、導電性部材122がユーザに触れられても、導電性部材122の剥がれを防ぐことができる。これにより、装置外部への放射ノイズを確実にシールドすることができる。
【0044】
また、図10に示すように、PETフィルム等の補強材122cが突起部122a、122bを含む第2フレーム124側(すなわち、底面側)の内部に備えられた導電性部材122が用いられてもよい。これにより、更に、導電性部材122の固定が強化されるため、ユーザにより原稿搬送部12が開閉される際に、導電性部材122がユーザに触れられても、導電性部材122の剥がれを防ぐことができる。
【0045】
上記の第1〜第4実施形態で説明した原稿搬送部12と本体装置10間を、原稿搬送部12の閉結時において電気的に導通させるために貼り付けられる導電性部材122がユーザの接触により剥がれることを防止する構成は、図3に示すように、1箇所であったが、以下に図を参照して説明するように複数箇所に備えられてもよい。図11は、本発明に係る複写機1の原稿搬送部12を原稿読取部11側から見た場合を模式的に示す図である。図12は、本発明に係る複写機1の装置本体10を上面から見た場合を模式的に示す図である。
【0046】
原稿搬送部12には、図11に示すように、上記の第1〜第4実施形態で説明した原稿搬送部12の第2フレーム124と本体装置10の第1フレーム102間を閉結状態において電気的に導通させるために貼られる導電性部材122がユーザの接触により剥がれることを防止する構成のうち、少なくとも1つの構成が用いられて、第2フレーム124に複数の導電性部材122が備えられている。なお、図11では、第2フレーム124を点線で示しているが、第1実施形態で説明した第2フレーム124は、少なくとも凹形状部分は露出している。
【0047】
装置本体10の上面には、図12に示すように、画像読取部11における原稿の画像の読み取り窓となるコンタクトガラス111の領域外に、導電性部材122が備えられた第2フレームと相対する位置に、露出し、接地された複数の第1フレーム102が備えられている。
【0048】
また、原稿搬送部12の閉結状態では、複数の導電性部材122が弾性変形して第1フレーム102と第2フレーム124に接触することで、第1フレーム102と第2フレーム124間が電気的に導通する。更に、原稿搬送部12の閉結状態では、複数箇所で電気的に導通した第1フレーム102、第2フレーム124および導電性部材122が、外装カバー101に覆われた導電性のフレーム(不図示)あるいは配線(不図示)等を介して接地されるため、原稿搬送部12と装置本体10間および原稿搬送部12からの放射ノイズのシールドを強化することができる。
【0049】
なお、上記説明(第1〜第4実施形態を含む)では、ユーザによる原稿搬送部12の開閉時に、原稿搬送部12側の第2フレーム124に備えられた導電性部材122が、ユーザの接触により剥がれることを防止する構成を説明したが、逆に装置本体10の上面の第1フレーム102に、第1〜第4実施形態で説明した構成のうち少なくともいずれかが用いられて、導電性部材が取り付けられてもよい。この場合、原稿搬送部12の閉結状態において、導電性部材が取り付けられた第1フレーム102と相対する位置に、露出した第2フレーム124が備えられる。原稿搬送部12の閉結状態では、導電性部材が弾性変形して第1フレーム102と第2フレーム124に接触することで、第1フレーム102と第2フレーム124間が電気的に導通する。更に、原稿搬送部12の閉結状態では、導通した第1フレーム102、第2フレーム124および導電性部材が、外装カバー101に覆われた導電性のフレーム(不図示)あるいは配線(不図示)等を介して接地される。
【0050】
よって、第1フレーム102に導電性部材が取り付けられる構成においても、原稿搬送部12の開閉時に、ユーザの接触による導電性部材の剥がれを防止することができる。そのため、複写機1の放射ノイズを安定してシールドすることが可能になる。
【0051】
なお、原稿搬送部12の第2フレーム124および本体装置10の第1フレーム102は、複写機1からの放射ノイズを安定してシールドすることができるように、所定の領域に亘って備えられていてもよい。
【0052】
また、原稿読取部11の原稿画像の読み取り窓となるコンタクトガラス111に導電性の樹脂が形成されて、第1フレーム102の役割を担ってもよい。
【0053】
また、上記説明では、複写機1における原稿搬送部12の第2フレーム124と本体装置10の第1フレーム102間を導通させるために取り付けられた導電性部材122が、原稿搬送部12の開閉時に、ユーザの接触により剥がれることを防止する構成について説明したが、原稿搬送部12の代わりに、原稿読取部11に原稿が配置された際に、その原稿を押さえるための原稿押さえ部が用いられた場合にも本発明が適用されてもよい。
【0054】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、画像読取機能を備えている複写機1の他にも、スキャナや画像読取機能を備えたファクシミリなどの画像読取装置全般に広く適用が可能であり、装置外部への放射ノイズの漏れの削減に有用な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】は、本発明に係る複写機の原稿搬送部が開放状態の場合を模式的に示す側面側から見た縦断面図である。
【図2】は、本発明に係る複写機の原稿搬送部が閉結状態の場合を模式的に示す側面側から見た縦断面図である。
【図3】は、本発明に係る複写機の原稿搬送部が閉結状態の場合を模式的に示す正面から見た縦断面図である。
【図4】は、第1実施形態に係る原稿搬送部12の詳細を説明するための図1に示す領域Aの拡大図である。
【図5】は、導電性部材122が第1フレーム102および第2フレーム124と接触することを説明するための図である。
【図6】は、第2実施形態に係る原稿搬送部12の詳細を説明するための図1に示す領域Aの拡大図である。
【図7】は、第3実施形態に係る原稿搬送部12の詳細を説明するための図1に示す領域Aの拡大図である。
【図8】は、図7の導電性部材122内部に補強材122cが備えられた場合の導電性部材122の剥がれ防止について説明するための図である。
【図9】は、第4実施形態に係る原稿搬送部12の詳細を説明するための図1に示す領域Aの拡大図である。
【図10】は、図9の導電性部材122内部に補強材122cが備えられた場合の導電性部材122の剥がれ防止について説明するための図である。
【図11】は、本発明に係る複写機1の原稿搬送部12を原稿読取部11側から見た場合を模式的に示す図である。
【図12】は、本発明に係る複写機1の装置本体10を上面から見た場合を模式的に示す図である。
【図13】は、従来の画像読取装置における原稿搬送部の開閉側の導電性フレームへの導電性部材の貼り付け部分を拡大した縦断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 複写機
10 装置本体
101 外装カバー
102 第1フレーム
11 原稿読取部
12、50 原稿搬送部
121 反射板
122、52 導電性部材
122a、122b 突起部
122c 補強材
123、53 両面テープ
124 第2フレーム
125、125a、125b 外装カバー
124a 凹形状部
126 給紙ガイド
13 ヒンジ部
14 操作表示部
51 フレーム
54 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上面に原稿の画像の読み取りを行う原稿読取部を有する本体と、前記本体に対して該原稿読取部を覆うように開閉可能に設けられた原稿押さえ部と、を有する画像読取装置であって、
前記本体は、その上面に露出し、かつ、接地された導電性の第1フレームを有し、
また、前記原稿押さえ部は、その閉結状態において、前記第1フレームに相対する位置に露出した導電性の第2フレームを有して成り、
前記第1フレームあるいは前記第2フレームのいずれか一方が、凹形状を成しており、かつ、該凹形状部分に導電性部材が、前記原稿押さえ部の閉結状態において、前記第1フレームと前記第2フレーム間の導電性を保つように貼り付けられていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
その上面に原稿の画像の読み取りを行う原稿読取部を有する本体と、前記本体に対して該原稿読取部を覆うように開閉可能に設けられた原稿押さえ部と、を有する画像読取装置であって、
前記本体は、その上面に接地された導電性の第1フレームを有し、
また、前記原稿押さえ部は、その閉結状態において、前記第1フレームに相対する位置に導電性の第2フレームを有して成り、
前記第1フレームあるいは前記第2フレームのいずれか一方に、導電性部材が、前記原稿押さえ部の閉結状態において、前記第1フレームと前記第2フレーム間の導電性を保つように貼り付けられ、かつ、少なくとも前記導電性部材の側面外周の一部が非導電性部材で囲まれ、
前記第1フレームあるいは前記第2フレームのもう一方が、露出していることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
その上面に原稿の画像の読み取りを行う原稿読取部を有する本体と、前記本体に対して該原稿読取部を覆うように開閉可能に設けられた原稿押さえ部と、を有する画像読取装置であって、
前記本体は、その上面に接地された導電性の第1フレームを有し、
また、前記原稿押さえ部は、その閉結状態において、前記第1フレームに相対する位置に導電性の第2フレームを有して成り、
前記第1フレームあるいは前記第2フレームのいずれか一方に、1つの対向した側面の底面側に突起部を有した導電性部材の底面が、前記原稿押さえ部の閉結状態において、前記第1フレームと前記第2フレーム間の導電性を保つように貼り付けられており、かつ、前記突起部が、非導電性部材で挟まれて固定され、
前記第1フレームあるいは前記第2フレームのもう一方のが、露出していることを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
その上面に原稿の画像の読み取りを行う原稿読取部を有する本体と、前記本体に対して該原稿読取部を覆うように開閉可能に設けられた原稿押さえ部と、を有する画像読取装置であって、
前記本体は、その上面に接地された導電性の第1フレームを有し、
また、前記原稿押さえ部は、その閉結状態において、前記第1フレームに相対する位置に導電性の第2フレームを有して成り、
1つの対向した側面の底面側に突起部を有した導電性部材の該突起部の上面が、非導電性部材に貼り付けられており、かつ、前記第1フレームあるいは前記第2フレームのいずれか一方と前記非導電性部材の間に、前記突起部が、前記原稿押さえ部の閉結状態において、前記第1フレームと前記第2フレーム間が電気的に導通するように挟まれて固定され、
前記第1フレームあるいは前記第2フレームのもう一方が、露出していることを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
前記導電性部材は、前記突起部を含む前記底面側の内部に、補強材を備えていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−308719(P2006−308719A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129074(P2005−129074)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】