説明

画面操作制御装置および情報処理システム

【課題】多種多様なユーザインタフェースを柔軟に実現可能な画面操作制御装置および情報処理システムを提供する。
【解決手段】利用者と情報処理装置との間で情報の授受を実現するために端末装置の表示画面に表示された操作画面において、利用者によってなされた操作を検出する操作検出手段と、操作検出手段によって検出された操作を解析し、操作画面上での操作に応じて提示すべき操作画面に関する変化の内容を特定する解析手段と、解析手段で得られた解析結果に基づいて、操作画面に含まれる操作対象の部品の振る舞いおよび新たな操作部品の生成を制御する部品制御手段と、解析手段で得られた解析結果に基づいて、提示すべき操作画面に関する変化の内容に対応する適切な表示情報を情報処理装置に要求し、この要求に応じて情報処理装置から得られた表示情報を端末装置の表示画面における操作画面の表示に反映させる連携手段とを備え、情報処理装置とは独立して端末装置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な情報処理装置において利用者と情報処理装置との間で情報授受に用いられているグラフィカルユーザインタフェースの操作用画面の制御を行う画面操作制御装置およびこれを適用した情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のクライアント−サーバ型の情報処理システムにおいてクライアント端末を介して利用者に提供されるグラフィカルユーザインタフェースは、クライアント端末に備えられる表示部に表示される操作用画面とプルダウンリストやチェックボックスなどの操作対象部品の配置を含め、画面の形成とこれらの操作対象部品を利用者が操作した際の振る舞いを、クライアント端末上にあるクライアントアプリケーションのプログラムにおいて規定することで実現されている。
【0003】
このため、図8に示すように、クライアントアプリケーション410ごとに、検出されたキー操作イベントやマウス操作イベントを解析して適切な表示制御処理を行うイベント解析部412が備えられている。このイベント解析部412による解析結果に基づいて、機能処理部413は、必要に応じて通信処理部414を介してバックエンドサーバ装置のサーバアプリケーション420と情報の授受を行い、得られた情報に基づいて、例えば、新たなプルダウンリストや別の操作用画面を表示するための表示データを作成して、表示制御部415を介して表示部416による表示処理に供されている。
【0004】
一方、WEB型の情報処理システムでは、バックエンドサーバ装置上のサーバアプリケーションからJAVAスクリプト(JAVA:登録商標)などをクライアント端末のブラウザソフトに送り込むことにより、ブラウザソフトの機能を介してグラフィカルユーザインタフェースが実現される。
このようなWEB型の情報処理システムでは、図9に示すように、クライアント端末上のブラウザソフト430に備えられた基本機能部431によって検出されたイベントの受付が行われ、APL432を介してバックエンドサーバ上のサーバアプリケーション440に渡される。そして、これに応じて、ユーザインタフェース(I/F)プログラム441に従って適切なJAVAスクリプトが形成されてブラウザソフト430に返され、このJAVAスクリプトに従ってAPL432が適切な表示制御処理を行うことにより、ポップアップやツールチップのような操作対象の表示や制御とともに、別のブラウザ画面を起動することによる別の操作画面への遷移が実現される。
【0005】
上述した従来のグラフィカルインタフェースを適用した情報処理システムでは、クライアントアプリケーション410内のプログラムによる表示データ作成処理あるいは、サーバアプリケーション440内のプログラムによるJAVAスクリプトの形成処理によって、イベントの検出と検出されたイベントに応じた操作画面の制御とを緊密に結び付けることによって、例えば、作業中の操作画面内で定義された情報を使って、別の作業のための操作画面を開いて処理を引き継ぐといった高度なユーザインタフェースが実現されている。
【0006】
そして、このような画面遷移を含む高度なユーザインタフェースを実現するために、従来は、個々の操作画面における操作に対応してその操作画面内で提示されるべき反応(例えば、プルダウンリストの表示など)の種類や、個々の操作画面について遷移する可能性のある他の操作画面の種類、また、これらの画面遷移ごとに引き継ぐべき情報などを、クライアントアプリケーションあるいはサーバアプリケーション開発段階において詳細な仕様として決定し、システムごとに閉じたパッケージとして開発していた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−250117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、個々の画面においてどんな操作に対してどんな表示を返すことが適切であるかということや、個々の操作画面からどの操作画面に遷移し、その際にどんな情報を引き継ぐべきかいうことは、むしろ、情報処理システムを稼動させてから利用者によって次第に認識されていく性質のものであるので、クライアントアプリケーションあるいはサーバアプリケーションの開発段階において、これらの事柄を仕様として明確化することは非常に困難である。
【0008】
このため、従来の情報処理システムの開発では、利用者の意向を反映したユーザインタフェースの仕様の決定に多大な労力と時間を要しており、個々の情報処理システムの開発に時間がかかってしまっていた。
また一方、個々の利用者が担当する業務範囲が広くなってきており、例えば、ひとりの利用者が、監視システムで得られた情報を基にして、保守システムを介して必要な作業を行うというように、従来は独立していたシステム間でも連携が求められるようになっている。
【0009】
しかしながら、個々の情報処理システムの開発において、他の情報処理システムとの間で可能性のある様々な連携を漏れなく想定し、ユーザインタフェースにかかわるプログラムに連携を可能とするための作りこみをすることは明らかに無駄が多く、また、必要とされる連携を開発段階で特定することもまた難しいことも明らかである。
また、従来の情報処理システム内での操作画面制御技術のように、操作画面内において利用者が行った操作と操作画面内でのボタンやリストの表示などの処理あるいは別の操作画面への遷移といった画面制御処理とがプログラムによって極めて密に結合されたシステムでは、想定された範囲内では利用者の意向を反映した高度なユーザインタフェースを提供できる半面、仕様決定の段階で想定されなかった作業手順などに後から対応することはほぼ不可能である。
【0010】
本発明は、異なる情報処理システムで提供される操作画面への遷移を含む多種多様なユーザインタフェースを柔軟に実現可能な画面操作制御装置および情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかわる第1の画面操作制御装置は、操作検出手段と、解析手段と、部品制御手段と、連携手段とから構成される。
本発明にかかわる第1の画面操作制御装置の原理は、以下の通りである。
操作検出手段は、利用者と情報処理装置との間で情報の授受を実現するために端末装置の表示画面に表示された操作画面において、利用者によってなされた操作を検出する。解析手段は、操作検出手段によって検出された操作を解析し、操作画面上での操作に応じて提示すべき操作画面に関する変化の内容を特定する。部品制御手段は、解析手段で得られた解析結果に基づいて、操作画面に含まれる操作対象の部品の振る舞いおよび新たな操作部品の生成を制御する。連携手段は、解析手段で得られた解析結果に基づいて、提示すべき操作画面に関する変化の内容に対応する適切な表示情報を情報処理装置に要求し、この要求に応じて情報処理装置から得られた表示情報を端末装置の表示画面における操作画面の表示に反映させる。これらの各手段を備えた画面操作制御装置を、情報処理装置とは独立して端末装置に配置する。
【0012】
このように構成された第1の画面操作制御装置の動作は、下記の通りである。
端末装置の表示画面に表示された操作画面について、利用者がマウスなどの入力装置を用いて行った操作を検出する処理と、検出した操作を解析する処理および解析結果に応じて、操作対象の部品を反応させる処理は、端末装置に配置された画面操作制御装置に備えられた操作検出手段、解析手段および部品制御手段によって、情報処理装置とは独立して行われる。また、解析手段によって得られた解析結果により、例えば、適切なプルダウンリストや新たな操作画面を表示するために、情報処理装置に固有の情報を用いた表示情報が必要とされた場合には、連携手段によって情報処理装置に対してこのような表示情報を要求し、得られた表示情報を操作画面の表示に反映させている。
【0013】
このように、上述した第1の画面操作制御装置を適用した場合には、操作画面における操作の検出とその解析とを情報処理装置から切り離して画面操作制御装置に分担され、連携手段によって、情報処理装置と画面操作制御装置とをそれぞれの独立性を保ちながら粗結合されているので、情報処理装置では、操作画面における具体的な操作を意識する必要がない。したがって、画面操作制御装置の解析手段において、例えば、操作画面内のアイコンなどの操作対象に対する新たな操作に対応して、新たに必要となった作業手順で提供すべき操作対象の振る舞いや適切操作画面の表示などを示す解析結果を定義することにより、仕様決定の段階で想定されなかった作業手順などにも柔軟に対応することができる。
【0014】
本発明にかかわる第2の画面操作制御装置は、上述した第1の画面操作制御装置において、連携手段に各情報処理装置対応の中継手段を備えて構成される。
本発明にかかわる第2の画面操作制御装置の原理は、以下の通りである。
上述した第1の画面操作制御装置に備えられた連携手段において、中継手段は、複数の情報処理装置に対応して設けられ、解析手段で得られた解析結果に基づいて、対応する情報処理装置で作成されるべき表示情報に関する要求を選択的に情報処理装置に中継し、対応する情報処理装置からの応答を受け取る。
【0015】
このように構成された第2の画面操作制御装置の動作は、下記の通りである。
連携手段に各情報処理装置対応の中継手段を備えることにより、画面操作制御装置を複数の情報処理装置で共用することが可能となる。また、各中継手段において、対応する情報処理装置向けの要求が判別された上で中継されるので、例えば、一方の情報処理装置に対応する操作画面内の操作対象に対する操作に対応して、別の情報処理装置で提供される操作画面の表示を解析手段内で定義しておくことにより、複数の情報処理装置を互いに連携させることができる。
【0016】
本発明にかかわる第3の画面操作制御装置は、上述した第2の画面操作制御装置において、各情報処理装置対応の中継手段は、装置インタフェースを備えて構成される。
本発明にかかわる第3の画面操作制御装置の原理は、以下の通りである。
上述した第2の画面操作制御装置に各情報処理装置対応で備えられた中継手段において、装置インタフェースは、解析手段で得られた解析結果に対応する要求とこの要求に対する応答の授受を対応する情報処理装置内での固有の処理を考慮して媒介する。
【0017】
このように構成された第3の画面操作制御装置の動作は、下記の通りである。
各情報処理装置対応の中継手段に備えられた装置インタフェースにより、例えば、解析結果に対応する操作画面に関する変化の内容を実現するための表示情報に関する要求が、対応する情報処理装置内で該当する内容を表すための表示情報に関する要求に変換され、また、上述した要求に対する応答として得られる表示情報が、画面操作制御装置内での処理に適合した形式の情報に変換される。
【0018】
このように、個々の情報処理装置対応の装置インタフェースを備えた構成とすることにより、情報処理装置のプログラムの作りこみによって提供されていたような高度なユーザインタフェースを実現することが可能である。
本発明にかかわる情報処理システムは、操作検出手段と解析手段と部品制御手段と連携手段とを備えた画面操作制御装置の連携手段に各情報処理装置対応の中継手段を設け、これらの中継手段に、対応する情報処理装置に結合して配置される装置インタフェースを備えて構成される。
【0019】
本発明にかかわる情報処理システムの原理は、以下の通りである。
少なくとも一つの情報処理装置が利用者との情報の授受を実現するために端末装置上にそれぞれが提供する操作画面を表示させている状態において、操作検出手段は、操作画面に対して、利用者によってなされた操作を検出する。解析手段は、操作検出手段によって検出された操作を解析し、操作画面上での操作に応じて提示すべき操作画面に関する変化の内容を特定する。部品制御手段は、解析手段で得られた解析結果に基づいて、操作画面に含まれる操作対象の部品の振る舞いおよび新たな操作部品の生成を制御する。連携手段は、解析手段で得られた解析結果に基づいて、提示すべき操作画面に関する変化の内容に対応する適切な表示情報を情報処理装置に要求し、この要求に応じて情報処理装置から得られた表示情報を端末装置の表示画面における操作画面の表示に反映させる。連携手段において、中継手段は、少なくとも一つの情報処理装置に対応して設けられ、解析手段で得られた解析結果に基づいて、対応する情報処理装置で作成されるべき表示情報に関する要求を選択的に情報処理装置に中継し、対応する情報処理装置からの応答を受け取る。各情報処理装置対応の中継手段において、装置インタフェースは、対応する情報処理装置に結合して配置され、解析手段で得られた解析結果に対応する要求とこの要求に対する応答の授受を対応する情報処理装置内での固有の処理を考慮して媒介する。
【0020】
このように構成された情報処理システムの動作は、下記の通りである。
各情報処理装置に対応して表示画面に表示された操作画面内の部品に対する操作は、操作検出手段によって検出され、これに応じて解析手段によって得られた解析結果に対応する表示情報に関する要求が、連携手段に設けられた中継手段により、適切な情報処理装置に渡される。このとき、各情報処理装置に結合して配置された装置インタフェースにより、上述した要求は、例えば、個々の情報処理装置に固有の形式で必要とされる情報を要求に変換される。また、この要求に応じて行われる情報処理装置固有の処理によって得られた表示情報を含む応答は、上述した装置インタフェースによって、新たな操作画面の表示や操作画面内の部品の表示に関する変更などを、画面操作制御装置内の処理に適合する形式で表す情報変換された後に、連携手段による操作画面への反映処理に供される。
【0021】
このように、個々の情報処理装置に結合された装置インタフェースにおいて、画面操作制御装置内の処理に適合した形式で表された情報と情報処理装置固有の形式の情報との間の変換処理を行って、画面操作制御装置と個々の情報処理装置との間でやり取りされる情報の標準化を図ることにより、多種多様な情報処理装置で画面操作制御装置の共有化および連携を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかわる第1の画面操作制御装置によれば、操作画面における操作の検出とその解析とを画面操作制御装置に分担することにより、情報処理装置では、画面操作制御装置を介して、操作画面における操作に関する解析結果として、必要とされる操作画面の制御に関する要求を受け取ることができるので、操作画面における具体的な操作を意識する必要がない。これにより、情報処理装置で用いられるアプリケーションソフトウェアの開発段階において、個々の操作画面における操作の具体的な手順などに関する詳細な仕様を決定するための煩雑な作業を不要とし、開発期間の大幅な短縮を図ることが可能である。
【0023】
また、例えば、操作画面内のアイコンなどの操作対象に対する新たな操作に対応して、新たに必要となった作業手順で提供すべき操作対象の振る舞いや新たな操作画面の表示などを示す解析結果を画面操作制御装置において定義することにより、仕様決定の段階で想定されなかった作業手順や具体的な操作の変更などにも柔軟に対応することができる。
また、本発明にかかわる第2の画面操作制御装置によれば、複数の情報処理装置で画面操作制御装置を共用することが可能であり、更に、個々の操作画面における具体的な操作に対応する解析結果を記述したシナリオなどにおいて、一方の情報処理装置の処理にかかわる操作画面内の部品に対する操作に対応して、別の情報処理装置の処理にかかわる操作画面の表示を依頼する手順を記述することにより、これらの情報処理装置間で操作画面の連携を図ることができる。
【0024】
更に、本発明にかかわる第3の画面操作制御装置によれば、個々の情報処理装置対応に備えられた装置インタフェースにより、それぞれの情報処理装置において固有の情報と、画面操作制御装置内部において部品を制御するための情報やり容赦による操作に関する解析結果とを確実に対応付けることができるので、情報処理装置のプログラムの作りこみによって提供されていたような高度なユーザインタフェースを実現することが可能である。
【0025】
また、本発明にかかわる情報処理システムによれば、画面操作制御装置と個々の情報処理装置との間でやり取りされる情報の標準化を図ることができるので、多種多様な情報処理装置で画面操作制御装置の共有化および連携を図ることが可能なプラットフォームを提供し、様々な分野の情報処理装置間にまたがる業務処理を可能とし、より柔軟なワークフローを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本発明にかかわる画面操作制御装置を適用した情報処理システムの実施形態を示す。
図1に示した情報処理システムにおいて、端末装置201に組み込まれたクライアントアプリケーション(CL−APL)204とバックエンドサーバ206とによって、独立した情報処理を行うクライアント−サーバ型の情報処理装置aが形成されている。同様に、図1に示したブラウザ205とバックエンドサーバ207とによって、別の独立した情報処理を行うWEB型の情報処理装置bが形成されている。
【0027】
図1に示したクライアントアプリケーション204には、図8に示したクライアントアプリケーション410に相当する機能処理部208aが備えられており、この機能処理部208aにより、情報処理装置aに固有の機能画面(例えば、操作画面や照会画面)のための表示データが作成され、端末装置201のオペレーティングシステム(OS)202を介して表示部203に表示される。同様に、図1に示したブラウザ205において、機能処理部208bは図9に示したブラウザソフト430に相当するものであり、バックエンドサーバ407から送り込まれたJAVAスクリプトなどに従って、情報処理装置bに固有の機能画面のための表示データを作成して上述したオペレーティングシステム202による表示処理に供し、表示部203を介して提供する。
【0028】
また、図1に示したクライアントアプリケーション204およびブラウザ205は、それぞれ後述する画面操作制御機構210との間の情報の授受のために、外部インタフェース(I/F)209a、209bを備えている。
一方、図1に示した画面操作制御機構210において、操作受付部211は、キー操作イベントやマウス操作イベントなどの入力に応じて、シナリオ管理部212を介してシナリオファイル213から検出されたイベントに対応する画面操作シナリオを検索し、受け取ったシナリオに従って、部品制御部214、装置連携部215a、215bの動作を制御することにより、後述するようにして、各情報処理装置a、bに対応する機能画面内でのポップアップなどの部品の制御および操作画面間の遷移を制御する。
【0029】
図1に示したシナリオファイル213には、例えば、図2に示すように、個々の機能画面を特定する画面ラベルと操作対象の部品を特定する部品ラベルおよび操作の種類とに対応して、提示すべき画面操作を示す手順および補助情報からなる画面操作シナリオが蓄積されている。
以下、図2に示した画面操作シナリオの例に基づいて、画面操作制御装置の動作を説明する。
【0030】
図3に、画面操作シナリオに定義された情報で操作対象の部品を提示する場合のシーケンス図を示す。
利用者によるマウス操作が行われると、図3に示すように、例えば、操作画面(画面1)内のテキスト表示部分(テキスト01)において右クリックが行われた旨のイベント検出結果が操作受付部211に入力される。これに応じて、操作受付部211は、画面ラベル(画面1)、部品ラベル(テキスト01)および操作(右クリック)を検索キーとしてシナリオ管理部212に画面操作シナリオの検索を指示する。
【0031】
上述した指示に応じて、シナリオ管理部212がシナリオファイル213を検索することにより、例えば、図2(a)に示すように、補助情報で定義された項目(項目1、項目2)に関するリストの生成および生成したリストのポップアップ表示に関する手順を示す画面操作シナリオが検索されて読み出され、操作受付部211に返される(図3参照)。
このようにして得られた画面操作シナリオで既定された手順に従って、操作受付部211により、部品制御部214に指定された部品(リスト)の作成および表示が指示され、これに応じて、部品制御部214により、適切な部品を表示するための表示データが作成され、オペレーティングシステム202による表示処理に供される。
【0032】
このように、表示すべき項目などの情報を予め定義しておける部品を新たに表示するような画面の変更が必要とされている場合については、画面操作制御機構210内の処理によって、必要とされる操作画面内の変化を提示させることができる。
更に、シナリオファイル213に蓄積される画面操作シナリオの補助情報に階層的な構造を適用すれば、例えば、ユーザ認証画面で入力されたユーザIDに応じて、それぞれ異なるメニュー画面を表示させるといった階層的な手順を含んだ複雑な画面操作も実現することができる。
【0033】
一方、操作対象の部品を含む操作画面を提供している情報処理装置との連携を必要とする場合には、補助情報に表示すべき項目などに関する情報を定義する代わりに、図2(b)に示すように、提供元の情報処理装置に対して情報を要求する手順(リスト要求)および情報処理装置から返送される情報を取得する手順(リスト取得)を含む画面操作シナリオを作成し、適切な操作を示す検索キーに対応して登録する。
【0034】
例えば、図4に示すように、操作画面1のプルダウンボタンが操作された旨のイベント検出結果が操作受付部211に通知されたときに、この操作受付部211からの検索指示に応じて、シナリオ管理部212により、図2(b)に示した画面操作シナリオが読み出され、操作受付部211に返される。
このとき、操作受付部211は、まず、操作画面1を提供している情報処理装置aに対応する装置連携部215aを介して情報処理装置aに、プルダウンリストに表示すべき項目の一覧を問い合わせるための情報転送要求を送出する。次いで、操作受付部211は、この要求に応じて情報処理装置aから返送された情報を取得し、この返送情報をプルダウンリストの項目情報として部品制御部214に渡して、プルダウンリストの作成を指示する。
【0035】
このようにして、情報処理装置aと画面操作制御機構210とを連携させることにより、情報処理装置aによって管理されているリスト項目を用いたプルダウンリストを表示させることができる。
なお、上述した情報処理装置との連携動作の際には、図5に示すように、装置連携部215aにより、所定の共通形式で必要とされる情報の内容を記述した情報転送要求が作成されて、この情報転送要求がクライアントアプリケーション204の外部インタフェース209aに渡される。そして、この共通形式の情報転送要求は、外部インタフェース209aにおいて、機能処理部208aに適合した個別形式の情報要求に変換された後に機能処理部208aに渡され、これに応じて、適切な項目情報の作成処理が行われる。
【0036】
このようにして作成された項目情報は、外部インタフェース209aにおいて共通形式に変換された後に画面操作制御機構210に返され、装置連携部215aを介して操作受付部211の処理に供される。
上述したように、端末装置201に配置されたクライアントアプリケーション204の外部インタフェース205aによって、画面操作制御機構210内の共通形式の情報とクライアントアプリケーション204固有の固有形式の情報との間の変換を行うことにより、従来のクライアントアプリケーション430と同等の高度なユーザインタフェースを提供することができる。
【0037】
また、図2(c)に示すように、操作画面1に対応する情報処理装置aに新たな操作画面の生成を指示する手順(画面生成)を含む画面操作シナリオを登録することにより、情報処理装置が扱う処理内容に含まれるあらゆる操作画面への遷移を実現することができる。
図6に、画面遷移動作を表すシーケンス図を示す。
例えば、操作画面1内にポップアップ表示されたリストの項目が選択された旨を示すイベント検出結果の通知に応じて、操作受付部211は、該当する検索キーをシナリオ管理部212に指定して画面操作シナリオの検索を指示し、これに応じて、図2(c)に示したような画面操作シナリオを得る。
【0038】
このとき、操作受付部211は、画面操作シナリオの手順に従って、まず。選択されたリストの項目を含むパラメータを編集し、得られたパラメータを指定して、装置連携部215aを介して情報処理装置aに新たな操作画面の作成を要求する。
この要求に応じて、情報処理装置aを構成するクライアントアプリケーション204の機能処理部208aにより、上述したパラメータで指定された新たな操作画面を表示するための表示データが作成される。このようにして作成された表示データは、従来と同様に、直接、オペレーティングシステム202の表示処理に供され、これに応じて、新たな操作画面が表示部203を介して利用者に提供され、画面遷移が実現される。
【0039】
次に、操作対象の操作画面を提供している情報処理装置aとは独立した業務処理を行っている別の情報処理装置bとの間で、業務の連携を図る方法について説明する。
例えば、図2(d)に示すように、情報処理装置aが提供する操作画面1における操作に対応して、補助情報によって情報処理装置bを指定した業務処理の実行を要求する手順(起動要求)を含む画面操作シナリオが読み出されると、図7に示すように、操作受付部211により、情報処理装置bに対応する装置連携部215bに起動要求の送出が指示される。
【0040】
この指示に応じて、装置連携部215bによって情報処理装置bに送出された起動要求に応じて、情報処理装置bにより、業務処理起動のための操作画面用の表示データが作成され、この表示データが端末装置201のオペレーティングシステム202による表示処理に供される。この表示データに基づいて、オペレーティングシステム202が、新たな操作画面を表示部203を介して利用者に提供する処理を行うことにより、情報処理装置aが提供する操作画面1における操作に応じて、別の情報処理装置bの操作画面に遷移させることができる。
【0041】
このように、図1に示した画面操作制御機構210を適用した情報処理システムでは、端末装置201の表示部203に表示されている個々の操作画面における操作の検出および解釈にかかわる処理が、クライアントアプリケーション204から切り離され、画面操作制御機構210に分担されている。同様に、WEB型の情報処理装置bを構成するバックエンドサーバ207からも、端末装置201の表示部203に表示されている個々の操作画面における操作の検出および解釈にかかわる処理が切り離されて、画面操作制御機構210に分担されている。
【0042】
したがって、クライアントアプリケーション204およびバックエンドサーバ207のサーバアプリケーションの開発段階においては、個々の操作画面の構成に関する仕様を決定すれば十分であり、それぞれの操作画面における操作に対応する個々の部品の振る舞いや別の画面への遷移に関する仕様を決定する必要がない。また、独立した情報処理装置間での連携も容易に実現可能である。
【0043】
更に、図1に示した画面操作制御機構210のシナリオファイル213に新たな画面操作シナリオを登録することにより、操作画面における新たな操作に対応して、所望の変化を操作画面に反映することができる。また、既存の画面操作シナリオに対応する検索キーを変更することにより、その画面操作シナリオで規定された手順を起動させる操作を変更することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上に説明したように、本発明にかかわる画面操作制御装置によれば、個々の情報処理装置を構成するアプリケーションプログラムやサーバプログラムを、操作画面内の各部品に関する操作に対する配慮から解放することができる。これにより、利用者による操作に応じて多彩な画面操作が必要とされる様々な情報処理システムを構成するプログラム開発に要する期間を大幅に短縮することが可能であるので、大規模施設の監視システムや管理システムを始めとする多種多様な情報処理システムにおけるプログラム開発の効率化手段として非常に有用である。
【0045】
また、本発明にかかわる画面操作制御装置を適用することにより、情報処理システムを稼働させた後の操作手順の追加や変更などに柔軟に対処することが可能となるので、多種多様な情報処理システムの保守管理分野においても非常に有用である。
更に、独立した情報処理装置間での連携を容易に実現可能であるので、複雑なワークフローにも柔軟に対応することが可能であり、また、ワークフローの変化にも追従することができるので、ワークフローの効率化の点でも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明にかかわる画面操作制御装置を適用した情報処理システムの実施形態を示す図である。
【図2】画面操作シナリオの例を示す図である。
【図3】シナリオ定義情報で操作対象の部品を提示する場合のシーケンス図である。
【図4】直属の情報処理装置と連携する場合のシーケンス図である。
【図5】情報処理装置との連携動作を表すシーケンス図である。
【図6】画面遷移動作を表すシーケンス図である。
【図7】別の情報処理装置と連携する動作を表すシーケンス図である。
【図8】従来のクライアント−サーバ型情報処理システムの構成例を示す図である。
【図9】従来のWEB型情報処理システムの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
201 端末装置
202 オペレーティングシステム(OS)
203、416 表示部
204、410 クライアントアプリケーション(CL−APL)
205 ブラウザ
206、207 バックエンドサーバ
208、413 機能処理部
209 外部インタフェース(I/F)
210 画面操作制御機構
211 操作受付部
212 シナリオ管理部
213 シナリオファイル
214 部品制御部
215 装置連携部
410 クライアントアプリケーション
412 イベント解析部
414 通信処理部
415 表示制御部
420、440 サーバアプリケーション
430 ブラウザソフト
431 基本機能部
432 APL
441 ユーザインタフェース(I/F)プログラム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者と情報処理装置との間で情報の授受を実現するために端末装置の表示画面に表示された操作画面において、利用者によってなされた操作を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段によって検出された操作を解析し、前記操作画面上での操作に応じて提示すべき操作画面に関する変化の内容を特定する解析手段と、
前記解析手段で得られた解析結果に基づいて、前記操作画面に含まれる操作対象の部品の振る舞いおよび新たな操作部品の生成を制御する部品制御手段と、
前記解析手段で得られた解析結果に基づいて、前記提示すべき操作画面に関する変化の内容に対応する適切な表示情報を前記情報処理装置に要求し、この要求に応じて前記情報処理装置から得られた表示情報を前記端末装置の表示画面における操作画面の表示に反映させる連携手段とを備え、
前記情報処理装置とは独立して前記端末装置に配置された
ことを特徴とする画面操作制御装置
【請求項2】
請求項1に記載の画面操作制御装置において、
前記連携手段は、前記複数の情報処理装置に対応して設けられ、前記解析手段で得られた解析結果に基づいて、対応する情報処理装置で作成されるべき表示情報に関する要求を選択的に前記情報処理装置に中継し、前記対応する情報処理装置からの応答を受け取る中継手段を備えた
ことを特徴とする画面操作制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画面操作制御装置において、
前記各情報処理装置対応の中継手段は、
前記解析手段で得られた解析結果に対応する要求とこの要求に対する応答の授受を対応する情報処理装置内での固有の処理を考慮して媒介する装置インタフェースを備えた
ことを特徴とする画面操作制御装置。
【請求項4】
少なくとも一つの情報処理装置が利用者との情報の授受を実現するために端末装置の表示画面上にそれぞれ提供する操作画面を、画面操作制御装置を介して端末装置の表示画面に表示させる情報処理システムにおいて、
前記画面操作制御装置は、
前記操作画面において、利用者によってなされた操作を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段によって検出された操作を解析し、前記操作画面上での操作に応じて提示すべき操作画面に関する変化の内容を特定する解析手段と、
前記解析手段で得られた解析結果に基づいて、前記操作画面に含まれる操作対象の部品の振る舞いおよび新たな操作部品の生成を制御する部品制御手段と、
前記解析手段で得られた解析結果に基づいて、前記提示すべき操作画面に関する変化の内容に対応する適切な表示情報を前記情報処理装置に要求し、この要求に応じて前記情報処理装置から得られた表示情報を前記端末装置の表示画面における操作画面の表示に反映させる連携手段とを備え、
前記連携手段は、前記少なくとも一つの情報処理装置に対応して設けられ、前記解析手段で得られた解析結果に基づいて、対応する情報処理装置で作成されるべき表示情報に関する要求を選択的に前記情報処理装置に中継し、前記対応する情報処理装置からの応答を受け取る中継手段を備え、
前記各情報処理装置対応の中継手段は、前記対応する情報処理装置に結合して配置され、前記解析手段で得られた解析結果に対応する要求とこの要求に対する応答の授受を対応する情報処理装置内での固有の処理を考慮して媒介する装置インタフェースを備えた
ことを特徴とする情報処理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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