説明

界面活性剤特性を有するイソシアネート化合物

【課題】界面活性剤として使用することのできるイソシアネート化合物を提供する。
【解決手段】下式I


を有する化合物。(Isoは、1つのイソシアネート基を除去した後のイソシアネートもしくはポリイソシアネートの残基、Eは、P等の周期表第VB族の元素、R10は、負電荷であるかその結合点がCであるH及びCを含む炭化水素基、R11は負電荷あるいはリン酸のエステル残基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネートをベースとする化合物および組成物(これらは部分的にマスクされることができるが、これは好ましい用途ではない)に関する。本発明は、また、それらの利用方法、コーティングを製造するためのそれらの利用、および得られたコーティングに関する。さらに詳しくは、本発明は、水性相中に(自己)分散性である組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明をよりよく理解するために、下記の助言を与えることは適切であるように思われる。
【0003】
本明細書において、粒度の特性についてdn型の表示法をしばしば言及し、ここでnは1〜99の数であり、この表示法は多数の技術分野においてよく知られているが、化学において多少稀であるので、その意味を想起することは有用であろう。この表示法は、粒子のn%(重量、より正確には質量、なぜなら、重量は量ではなく、力であるからである)が前記大きさより小さいか、あるいはそれに等しいような粒度を表す。
【0004】
下記の説明において、下記のように定義される多分散指数を使用する。
I=(d90−d10)/d50
【0005】
塗料およびワニスを含む活動において、ジイソシアネート、特にアルキレンジイソシアネート(例えば、商標Tolonateで販売されているもの)およびビウレット型のそれらの誘導体またはそれらの三量体は広く使用されている。
【0006】
しかしながら、今日まで完全には解決されていない2つの問題が残っている。すなわち、
− 有機溶剤の使用、その存在は毒性でありかつ環境に対して有害である。
− 市場に非揮発性製品を提供する必要性、これは分子をより重くすることに導き、これはジイソシアネートをオリゴマー化することによって実施され、この解決法はこの問題を解決するために、苦心して作られ、したがって費用のかかる官能基を使用するので、完全には満足すべきものではない。
【0007】
これらの問題は、もちろん、解決しなくてはならないが、コーティングに対して固有である拘束内に止まっている。
【0008】
塗料またはワニスの被膜を製造するために、一方において、ブロックすることができるイソシアネートを含有する分散液またはエマルジョンから混合物を作り、他方において、ポリオールの分散液または溶液を作る。
【0009】
分散液の混合物は、また、顔料、特に二酸化チタン(その分散は本発明により改良される)、及び充填材を含有することができ、次いで、工業用塗料を適用する慣用の技術の助けにより、この混合物を支持体の上に被膜の形態で堆積する。調製物がブロックされたイソシアネートを含有するとき、被膜と支持体との組み合わせを硬化させ、ここで硬化はイソシアネート官能基のアンブロックおよびポリオール粒子のヒドロキシル基とのイソシアネートの縮合を確実にするために十分な温度において実施される。しかしながら、マスクまたはブロックされた製品の製造コストは非マスク製品のそれよりかなり高いことを想起することは適切である。
【0010】
有機溶剤またはそれらの少なくとも一部分は毒性または時間毒性(chronotoxic)であると批判されているので、それらの使用は権威者らにしばしば非難されている。このために、溶剤に関係する欠点を克服するために、溶剤媒質を使用する技術に代わる技術を開発する試みが増加している。
【0011】
最も頻繁に使用されている解決法の1つは、水中のエマルジョンまたは分散液の使用にある。水はイソシアネートと反応するために、この解決法は特にマスクされたイソシアネートの場合において使用される。
【0012】
カリュブディス(Charybdis)からスキュラ(Scylla)に落ちないように、主要な危険、すなわち、コーティングの必須の品質[平滑な特質(「オレンジの剥離」を回避する)、硬度、溶剤に対する抵抗、およびその他]の1または2以上に対する損傷、を回避すべきであり、支持体へのコーティングの低い接着は特に恐れなくてはならない。事実、多数の界面活性剤はコーティングと支持体との間の結合の堅固さに損傷を与えると批評されており、ポリマーと支持体との間の結合を悪化することが知られており、かつそのために使用されている。(例えば、DE−OS3,108,537号を参照のこと)。
【0013】
非マスクのまたは不完全にマスクされたイソシアネートを使用するとき、それを使用できる期間は数時間よりも短く、一般に、1または2時間である。
【0014】
したがって、イソシアネートを乳化または分散させるとき、いかなる困難にも直面しないことが重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、水の中に、より正確には水性相の中に混合し、これにより特定の技術および/または装置をこの目的に使用する必要なしに、エマルジョンを製造することによって、組成物を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、コーティング手順を混乱しない、前述のタイプの組成物を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、溶剤含量が前記組成物の質量の1/5より少ない、好ましくは1/10より少ない、前述のタイプの組成物を提供することである。もちろん、できるだけ少ない溶剤が存在すること、あるいは溶剤がまったく存在しないことが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的、および以後明らかになるであろう他の目的は、アニオン性官能基と、好ましくは少なくとも1つの、より好ましくは少なくとも1つのエチレンオキシ単位:
【化1】

のポリエチレングリコール鎖断片とを含有する少なくとも1種の化合物を含む、好ましくはマスクされていない、1種または2種以上のイソシアネートをベースとする組成物によって達成される。
【0019】
したがって、本発明は、本質的に下記の成分を含んでなる組成物において、連続的または同時の添加を目的とする。
− 下記において詳述に説明する好ましい特性を有する、イソシアネート官能基の二次組成物の担体、および
− アニオン性官能基と、好ましくは少なくとも1つの、より好ましくは少なくとも5つのエチレンオキシ単位:
【化2】

のポリエチレングリコール鎖断片とを含有する少なくとも1種の化合物を含有する表面活性剤、
− 必要に応じて水性相。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明によれば、前記化合物は単独で、あるいは1種または2種以上の表面活性剤との混合物として使用することができる。表面活性剤は、また、アニオン性官能基と、好ましくは少なくとも5つのエチレンオキシ単位のポリエチレングリコール鎖断片とを含有するという必要性に順応する材料であることができる。
【0021】
これらの任意の表面活性剤は、また、下記のものから選択される。他のイオン性化合物[特にアリールおよび/またはアルキルサルフェートまたはホスフェート(もちろんアリールは特にアルキルアリールを包含し、そしてアルキルは特にアラルキルを包含する。)、アリールまたはアルキルホスホネート、アリールまたはアルキルホスフィネート、スルホネート、脂肪酸塩および/または双性イオンを包含する]および非イオン性化合物、それらは鎖の末端においてブロックされているか、あるいはされていない。しかしながら、鎖の少なくとも1つにアルコール性官能基を有する非イオン性化合物は、塗料用組成物の他の面に対して好適な作用を有するが、(自己)エマルジョンに対してわずかに不適切な作用を有するように思われる。これを考慮に入れて、このタイプの化合物の含量は前記本発明によるアニオン性化合物の質量の最大1/3、好ましくは最大1/4、より好ましくは質量1/10を表すことが好ましい。前記化合物は、好ましくは、前記アニオン性官能基から形成された親水性部分、前記(任意の)ポリエチレングリコール鎖断片から形成されたポリエチレングリコール鎖断片、および炭化水素基をベースとする親油性部分を含有する。
【0022】
前記親油性部分は、一般に、アルキル基[この説明において、アルク−イル(ALK−yl)は、その語源的意味において、アルコール(またはヒドロキシル)官能基を無視した後のアルク−オール(ALK−ol)の炭化水素残基である]、およびアリールから選択される。エチレングリコール官能基の数が最大5に等しいとき、簡単なアルキルは好ましくは分枝鎖状の、好ましくはC8−C12、アラルキルC12−C16、アルキルアリールC10−C14であり、そして簡単なアリールはC10−C16である。そうでなければ、親油性部分は広く変化することができ、特にエチレングリコール単位が10以上であるとき、それはこうして少なくとも1つ、好ましくは少なくとも3、最大25、好ましくは最大20の炭素原子の炭化水素基を構成することができる。
【0023】
前記化合物は、好ましくは、下記式Iに相当する。
【化3】

式中、
qは0または1であり、
pは1および2の間の整数であり(閉じた間隔、すなわち、限界を含む)、
mは0または1および2の間の整数であり(閉じた間隔、すなわち、限界を含む)、
XおよびX’は同一であるか、あるいは異なり、最大2個の炭素鎖の結合を含有するアームであり、
sは0または1〜30、好ましくは5〜25、より好ましくは9〜20の間から選択される整数であり(閉じた間隔、すなわち、限界を含む)、
nは0または1〜30、好ましくは5〜25、より好ましくは9〜20の間から選択される整数であり(閉じた間隔、すなわち、限界を含む)、
Eは炭素およびリンの原子族に少なくとも等しくかつVB族に属するか、あるいは硫黄の原子族に少なくとも等しいカルコゲンに属する原子族のメタロイド元素から選択される元素であり、
1およびR2は同一であるか、あるいは異り、炭化水素基であり、好ましくは置換されていてもよいアリールおよびアルキルから選択される炭化水素基である。
【0024】
これは好ましい化合物の一部分を形成しないが、sおよび/またはnは0に等しいことができることを認めることは適当であり、ただしEはリンであり、そしてsおよびnが0に等しいとき、R1およびR2はそれぞれC8−C12の、好ましくは分枝鎖状の、アルキルであるか、あるいはC12−C16アラルキルまたはC10−C14アルキルアリールである。
【0025】
2価の基XおよびX’の1つは、また、タイプ([EOm(O-)p])の基であり、ピロ酸、例えば、ピロリン酸の対称または他のジエステルを形成することができる。
【0026】
本発明によるアニオン性化合物の合計の炭素数は、好ましくは最大ほぼ100、より好ましくは最大ほぼ50である。
【0027】
2価のXおよび必要に応じてX’は、好ましくは、下記のものから成る2価の基から選択される(式の左の部分は第1Eに結合している)。
− EがPであるとき、XまたはX’の1つは−O−P(O)(O-)−X”−であることができる。
− EがPであるとき、XまたはX’の1つは−O−(R10−O)P(O)−X”−であることができる(R10は下記において定義される)(X”は酸素または単結合である)。
− Eと前記ポリエチレングリコール鎖断片の第1エチレンとの間の直接結合。
− 置換されていてもよくかつこの場合において好ましくは部分的に官能化されているメチレン。
− 構造−Y−および構造−D−、−Y−D−または−Y−D−Y’−のアーム。
【0028】
ここで、
Yはカルコゲン(好ましくは最も軽いもの、すなわち、硫黄および特に酸素)、およびリンの原子族に少なくとも等しいかつ第VB族に属する原子族の、アミンまたは第三級ホスフィンの誘導体の形態のメタロイド元素であり(この基は第三級特性を提供し、好ましくは最大4炭素原子、より好ましくは最大2炭素原子である)、Dは置換されていてもよく、官能化されているものを包含する、アルキレンであり、Dは好ましくはエチレンまたはメチレンであり、より好ましくは構造−D−Y−、特に−Y−D−Y’−中のエチレン、および構造−Y−D−中のメチレンである。
【0029】
したがって、Eは炭素原子から選択される原子である(この場合において、都合には、m=1かつp=1、このタイプの化合物のプロトタイプはポリエトキシル化されているアルコール酸、例えば、乳酸またはグリコール酸である)、この原子は第VB族の元素(元素AsまたはSb)(第VB族の元素)(この場合において、好ましくは、m=1または0かつp=1または2)、酸素より高い行のカルコゲン原子(この場合において、好ましくは、m=1または2かつp=1かつq=0)を含有する塩を与える。
【0030】
したがって、Eがカルコゲンである場合において、式Iは好ましくは下記のように簡素化される。
【化4】

【0031】
Eは好ましくは炭素、特にリンまたは硫黄、より好ましくはリンである。
【0032】
この後者の場合において、式(I)は式(II)となる。
【化5】

qが0であるとき:
【化6】

【0033】
ここで、
− pは0または1および2の間の整数であり(閉じた間隔、すなわち、限界を含む)、
− mは0または1および2の間の整数であり(閉じた間隔、すなわち、限界を含む)、
− p+m+qの合計は最大3に等しく、
− 1+p+2m+qの合計は最大3または5に等しく、
− XおよびX’は、同一であるか、あるいは異り、最大2つの炭素鎖の結合を含有するアームであり、
− nおよびsは、同一であるか、あるいは異り、5〜30、好ましくは5〜25、より好ましくは9〜20から選択される整数であり(閉じた間隔、すなわち、限界を含む)、
− R1およびR2は、同一であるか、あるいは異り、炭化水素基、好ましくはハロゲン原子、特にフッ素により置換されていてもよい、アリールおよびアルキルから選択される炭化水素基である。
【0034】
この出願において使用される周期表は、Bulletin de la Soci t Chimique de France January 1966 No.1に対する補遺の中に記載されているものである。
【0035】
アルキレン、特にメチレン(XおよびX’)の任意の官能化は、親水性官能基(第三級アミンおよび前述の[EOm(O-)p]であるものを包含する他のアニオン性官能基)により実施される。
【0036】
対カチオンは好ましくは1価であり、そして無機のカチオンおよび有機のカチオン、好ましくは非求核性であり、結局第四級または第三級の特質を有するもの、特に第V族のオニウム、例えば、ホスホニウム、アンモニウム、あるいはさらに第VI族のオニウム、例えば、スルホニウム、およびその他)およびそれらの混合物であり、アンモニウムの場合において、一般にアミン、好ましくは第三級アミンに由来する。イソシアネート官能基と反応性である水素の有機カチオン上の存在は回避することが好ましい。それゆえ、第三級アミンは好ましい。
【0037】
無機カチオンを、転相剤、例えば、クラウンエーテルにより金属イオン封鎖することができる。
【0038】
カチオン(有機[アンモニウムおよびその他]または無機のカチオン)のpKaは好ましくは8〜12である。
【0039】
カチオン、特にアンモニウムに相当するアミンは好ましくは表面活性を示さないが、それらは、いずれの場合においても、アニオン性官能基と、好ましくはポリエチレングリコール鎖断片とを含有する前記化合物の中に、水相中に、使用濃度において、存在するために十分な、すぐれた溶解度を示すことが望ましい。1つの「オニウム」官能基当たり最大12、好ましくは最大10、より好ましくは最大8の炭素原子を含有する第三級アミン(分子当たりただ1つが存在することが好ましいことを想起しなくてはならない)は好ましい。アミンは他の官能基、特にアミノ酸の官能基および環状エーテルの官能基、例えば、N−メチルモルホリンおよびその他に相当する官能基を含有することかできる。これらの他の官能基は、イソシアネート官能基と反応せず、かつ水相中の溶解度を有意に変更しないことが好ましい。
【0040】
本発明によるアニオン性化合物は、水中に溶解するか、あるいは水と接触するとき、それが誘導するpHが少なくとも3、好ましくは4、より好ましくは5であり、最大12、好ましくは11、より好ましくは10であるように、中和されている形態であることが高度に望ましい。
【0041】
Eがリンであるとき、モノエステルおよびジエステルの混合物を1/10〜10、好ましくは1/4〜4のモル比において使用することが望ましい。このような混合物は、さらに、1質量%〜ほぼ20質量%(それにもかかわらず、これはほぼ10質量%を越えないことが好ましい)のリン酸(好ましくは推奨されるpH範囲内に入るように、これは少なくとも部分的に塩に変換されている)、および0〜5質量%のピロリン酸エステルを含有することができる。
【0042】
表面活性化合物(アニオン性官能基およひ好ましくはポリエチレングリコール鎖断片を含有する前記化合物を包含する)/イソシアネートの質量比は、4〜ほぼ10%であることが非常に好ましい。
【0043】
組成物は、さらに、好ましくは潜伏性である触媒(外部の因子、例えば、可視光線または紫外線または酸素の作用により解放されることかできる)を含む。
【0044】
本発明によるイソシアネート組成物は、水相中の分散液またはエマルジョンに変換された後、10〜70%の水分を有することができる。エマルジョンは水中油型エマルジョンである。
【0045】
そのうえ、本発明に導いた研究の過程において、特に脂肪族イソシアネート(飽和(sp3)炭素を介して炭化水素主鎖(すなわち、水素および炭素の双方を含有する)に結合した)の場合において、ある比率の水が存在するとき、種々の反応の暴走の危険が存在することが示された。結局、一方において、水相中の水の量と、他方において、イソシアネートおよび本発明による界面活性剤の合計との間の質量比が10-2〜0.5である組成物を回避することが賢明である。より大きい安全性を望む場合、10-3〜1の質量比を回避する。
【0046】
得られたエマルジョンは、イソシアネート部分の場合において、少なくとも0.1マイクロメートル、より頻繁には0.5マイクロメートルに等しいd50値を示し、そして5マイクロメートル、好ましくは3マイクロメートルに等しいか、あるいはそれより小さい(最大それに等しい)好ましくはd50、より好ましくはd80を示す。
【0047】
エマルジョンの水相は、一般に、共反応物の担体として働き、共反応物はイソシアネート官能基とポリ縮合することができ、したがって、反応性水素を含有する官能基(好ましくは最大4、より好ましくは最大3の官能基、すなわち、このタイプのすべての官能価について必要な変更を加えてポリオールの場合において後述する)を示す化合物、一般に1または2以上のポリオールからなる。
【0048】
このポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含有するポリマー(フェノールまたはアルコール)であり、これは好ましくは0.5〜5質量%、好ましくは1〜3質量%のヒドロキシルの比率を有し、ただしラテックスの場合において、下記において説明するように、それは好ましくは最大4、より好ましくは最大3の第一級アルコールの官能基を含有する(しかしほとんどの場合において2である。なぜなら、実際の架橋[統計学的に2(多分端数)より高い官能価により引き起こされる)はポリイソシアネートにより引き起こされるからである。)しかしながら、それは、さらに、第二級または第三級アルコールの官能基(一般に最大ほぼ10、好ましくは最大5、より頻繁には最大2)を含有することができ、これらの官能基は反応しないか、あるいは第一級アルコールの官能基が反応した後に反応し、反応順序は第一級、第二級および第三級である。
【0049】
ポリオースまたはポリシド(種々の種類の澱粉、セルロース、ガム(グアー、イナゴマメ、キサンタン、およびその他)およびその他)は、特に固体の形態において、回避すべきである。テキスチャー剤の形態において、かつこれがエマルジョンへの変換およびエマルジョンの安定性を妨害しないかぎりにおいて、これらは特定の性質、例えば、チキソトローピー、およびその他を付与するために使用することができる。ポリマーの主鎖は、多様な化学的特質をもつもの、特にアクリル、ポリエステル、アルキド、ポリウレタンまたはさらにアミド(尿素を包含する)であることができる。
【0050】
ポリオールはアニオン性基、特にカルボン酸またはスルホン酸の基を含有するか、あるいは含有しないことができる。
【0051】
本発明の範囲内において、カルボキレート官能基(−CO2 -)の存在は乾燥の反応速度を有意に増加することが示され、これは、特に屋外で作業するとき、急速な「無ダスト」を得るために特に好都合である。少なくとも1つのカルボキシル官能基/ほぼ20の反応性水素含有官能基[アルコールまたはフェノールの官能基]の比、好ましくは1/ほぼ10の比、より好ましくは1/ほぼ5の比を使用して有意な効果を認めることができる。しかしながら、この比は最大1つの官能基/1つの官能基、好ましくは1つのカルボキシル官能基/2つのヒドロキシル官能基であることが望ましい。カルボキレートの対カチオンは、本発明による化合物の対カチオンについて説明した対カチオンと同一であることが好ましい。
【0052】
ポリオールは水性または水溶性または水分散性の媒質の中に既に存在することができる。
【0053】
ポリオールは水溶液(これは特にイオン性基の中和後に得ることができる)であるか、あるいは水中のエマルジョンまたはラテックス型の分散液であることができる。
【0054】
配合のある条件において(特に適当な顔料/塗料のバインダーの比を使用して)水溶性ポリオールの中に標準的ポリイソシアネートを分散させることができるように思われる。しかしながら、水中に分散させたポリオール(樹脂のエマルジョンまたはラテックス型)とともに標準的ポリイソシアネートの使用は、不相溶性の問題(凝集、いくつかの相の出現、およびその他)を引き起こす。本発明による調製物の多数の利点の1つは、調製物が配合について大きい選択の自由度(ポリオールの物理的形態、顔料/バインダーの比、水性媒質の中への混入の容易さ)を提供することである。
【0055】
さらに、コーティングの磨耗値(特に化学的抵抗および硬度)から、使用するポリオールがカルボキシル化されているときより、被膜の架橋は非常に大きいことが見出された。特に、ラテックス、ことにナノラテックス(すなわち、粒度がナノメートルである、より正確にはd50が最大ほぼ100ナノメートルに等しいラテックス)を好ましくは使用することができる。
【0056】
したがって、本発明の特に好ましい用途の1つによれば、ポリオールは好ましくは下記の特性を示すナノメートルの大きさのラテックスである:
− 15〜60nm、好ましくは20〜40nmのd50
− 0.5〜5質量%のカルボキシル官能基;
− 1〜4%、好ましくは2〜3%のヒドロキシル官能基;
− 25〜40%の固形分;
− 1マイクロメートルより小さいd80
【0057】
さらに、ラテックスは、特にそれらのガラス転移点が0℃より低く、好ましくは−10℃より低く、より好ましくは−20℃より低いとき、芳香族イソシアネートを使用してさえ、厳しい気候、特に温度の変動に対してすぐれた抵抗性を得るすることができる。
【0058】
遊離イソシアネート官能基/ヒドロキシル官能基のモル比は、0.5〜2.5、好ましくは0.8〜1.6、より好ましくは1〜1.4である。
【0059】
フランス国特許出願第95/05123号(1995年4月28日提出)および欧州特許出願(EP)第0,739,961号に記載されているラテックス(これは必要に応じてマスクされたイソシアネートに関して官能化されていない)は、非常にすぐれた結果を与える。
【0060】
したがって、ラテックス粒子は好ましくは0.2〜1.2ミリ当量/gの固形分のアクセス可能な酸性(好ましくはカルボキシル)官能基含量を示し、そして0.3〜1.5ミリ当量/gのアクセス可能なアルコール官能基含量を示す。
【0061】
したがって、この明細書に示すように、本発明による1またはそれより多い官能基を有する粒子から成るラテックスは好ましく、疎水性であり、一般に0.01マイクロメートル〜10マイクロメートル、好ましくは最大5マイクロメートルに等しい、さらに2マイクロメートルに等しい大きさ(d90)を有することが好ましい。粒子は較正され、単分散であり、ラテックスの合計重量の0.2〜65重量%の間で変化する比率でラテックス中に存在する。
【0062】
集団A(ポリオールとして作用するヒドロキシル官能基を含有するラテックス)の粒子を構成するポリマーの重量平均分子量(Mw、好ましくはゲル透過クロマトグラフィー、「GPC」として知られている、により測定される)は、好ましくは5×104〜5×106、より好ましくは0.5×105〜2×106である。
【0063】
アルコール官能基または酸性、好ましくはカルボキシル、官能基は、また、アルコール形成官能基(エステル、エーテル、ハライド、およびその他)または酸形成官能基(エステル、無水物、酸クロライド、アミド、ニトリル、およびその他)の加水分解により得ることができる。
【0064】
種々のタイプの単位の間の分布は、下記のルールに従うことが好ましい: 活性化エチレン官能基を示す前記遊離アルコールから成るモノマーから由来し、任意の種類の単位の総数と呼ぶ単位の含量は、好ましくは3〜15%、より好ましくは4〜10%(モルまたは当量)である。
【0065】
本発明の好ましい方法によれば、単位はアルファエチレン系酸と、アルコール官能基の1つがエステル化されていないジオールとのエステルから由来する。前記ジオールは好ましくはオメガ/オメガプライムジオールであり、好ましくは1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールおよびグリコールから選択される。前記アルファエチレン系酸は置換されていてもよいアクリル酸であることが望ましい。
【0066】
本発明の好ましい方法によれば、遊離カルボン酸から誘導され(あるいはその塩の形態であり)かつ任意の種類の単位の総数に関係する単位の含量は、2〜10%(モル)である。経済的理由で、前記遊離酸は必要に応じて一置換された酸であるか、あるいはその塩の1つであることがしばしば好都合である。
【0067】
本発明から由来する粒子は2つの明確なポリマーから成ることができ、第1はコアを形成し、第2は周囲を形成する。このタイプの粒子は明確なポリマーのエピ重合[ここでラテックスの種を表面重合(エピ重合、時にはオーバー重合と呼ぶ)によりカバーする]により製造することができる。コアは時には結晶化現象との類似性により種と呼ばれる。この場合において、第2ポリマー、すなわち、表面のポリマー、のみは、本発明による種々の官能基における濃度の拘束を満足する。
【0068】
懸濁すべきイソシアネート/アニオン性官能基と、好ましくはポリエチレングリコール鎖断片とを含有する前記化合物の質量比は、ほとんどの場合において、最大1/3に等しく、好ましくは最大ほぼ20%、より好ましくはほぼ10%に等しい。(この説明において、用語「ほぼ」は、数の右の極限の1または複数のアラビア数字が0であるとき、これらの0が位置0にあり、そして、有意のアラビア数字でないという事実を強調するために使用され、もちろん、特記する場合を除外する。)
【0069】
懸濁すべきイソシアネート/アニオン性官能基と、好ましくはポリエチレングリコール鎖断片とを含有する前記化合物の質量比は、好ましくは1%より高く、より好ましくは2%より大きい。
【0070】
また、アニオン性官能基と、好ましくはポリエチレングリコール鎖断片とを含有する、1種または2種以上の前記化合物の量は、1リットル当たり10-2〜1、好ましくは5×10-2〜0.5原子のEの値に相当することが望ましい。
【0071】
したがって、懸濁すべきイソシアネート/アニオン性官能基と、好ましくはポリエチレングリコール鎖断片とを含有する前記化合物の質量比は、好ましくは少なくとも1%に等しく、より好ましくは4%に等しく、最大ほぼ20%に等しく、より好ましくはほぼ10%に等しく、したがって、この質量比は好ましくは2〜ほぼ20%、より好ましくは4〜ほぼ10%である。
【0072】
本発明の特に好ましい用途によれば、分散または乳化した後、水中のバインダーの構成成分の合計(すなわち、1種または2種以上のイソシアネート、1種または2種以上の乳化剤および1種または2種以上のポリオール)は、組成物の合計に関して30〜70%である。
【0073】
本発明によるイソシアネートは、特に下記において詳述に説明する化合物からなる。
【0074】
これらの化合物は、この分野において普通である構造、例えば、ポリオール(例えば、トリメチロールプロパン)一般にトリオール(好ましくは第一級、ポリオールの定義については下記を参照のこと)の縮合から由来するプレポリマー、特に最も普通のもの、すなわち、イソシアヌレート型のもの、また、トリマーと呼ばれる、ウレチジンジオン構造、また、ダイマーと呼ばれる、ビウレットまたはアロファネート構造または1つの分子上のこの型の構造の組み合わせまたは混合物を好ましくは含有することができる。
【0075】
組成物の溶剤含量を大きく低下しようとする場合、特にそれがエマルジョンの形態であるとき、当然低い粘度を有するこの型の混合物(すなわち、溶剤を添加しないで)を使用することが好ましい。この性質を示す化合物は、特に部分的におよび/または完全に脂肪族イソシアネートの誘導体(イソシアヌレート型、また、トリマーと呼ぶ、ウレチジンジオン構造、また、ダイマーと呼ばれる、ビウレットまたはアロファネート構造または1つの分子上のこの型の構造の組み合わせまたは混合物)であり、ここでイソシアネート官能基はエチレン断片を介して主鎖に結合している(例えば、ポリメチレンジイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネートおよび、イソシアネート官能基が芳香族核から少なくとも2炭素原子の距離にあるアリーレンジアルキレンジイソシアネートの誘導体、例えば、(OCN−[CH2]t−Φ−[CH2]u−NCO)、ここでtおよびuは1より大きい)。これらの化合物または混合物は、好ましくは最大ほぼ3000センチポアズ(またはミリパスカル秒)に等しい、より好ましくはほぼ1500センチポアズ(またはミリパスカル秒)に等しい粘度を有する。
【0076】
これらの値が獲得されないとき、最小量の適当な1種または2種以上の溶剤の添加により、混合物をこれらの粘度の値にすることはしばしば有用である。前述したように、問題のイソシアネートはモノ−、ジ−またはさらにポリイソシアネートであることができる。これらの誘導体は好ましくはイソシアヌレート型、また、トリマーと呼ばれる、の構造、ウレチジンジオン構造、また、ダイマーと呼ばれる、ビウレットまたはアロファネート構造または1つの分子上のこの型の構造の組み合わせまたは混合物を含有することができる。
【0077】
モノマーのイソシアネートは、下記のものであることができる。
− 脂肪族、これは脂環族およびアリール脂肪族を包含し、例えば、下記の通りである、
− 簡単な脂肪族、ポリメチレンジイソシアネートおよび特にヘキサメチレンジイソシアネート、
− 脂肪族の、部分的に「ネオペンチルの」、特に環状(脂環族)イソホロンジイソシアネート(IPDI)、
− 環状脂肪族(脂環族)ジイソシアネート、ノルボルナンから誘導されるもの、
− アリーレンジアルキレンジイソシアネート(例えば、OCN−CH2−Φ−CH2−NCO、その一部分は脂肪族ジイソシアネートと本質的な差を示さない、すなわち、イソシアネート官能基が芳香族核から少なくとも2炭素原子の距離にあるもの、例えば、(OCN−[CH2]t−Φ−[CH2]u−NCO)、ここでtおよびuは1より大きい、
− あるいは、また、芳香族のイソシアネート、例えば、トリレンジイソシアネート。
【0078】
本発明の技術に従う好ましいポリイソシアネートは、下記の条件の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つを満足するものである。
− NCO官能基の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つは飽和(sp3)炭素を介して炭化水素主鎖に結合している、より好ましくは下記の二次条件の少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つを満足する、
− 前記飽和(sp3)炭素の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの水素を有する(換言すると、イソシアネート官能基を有する炭素が1つの水素、好ましくは2つの水素をもつとき、よりすぐれた結果が得られることが見出された)、
− 前記飽和(sp3)炭素の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つそれら自体は、好ましくは脂肪族であり(すなわち、sp3のハイブリダイゼーションをもつ)それ自体少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ水素を有する炭素により担持されている、換言すると、イソシアネート官能基を有する炭素がいわゆる「ネオペンチル」位置に存在しないとき、よりすぐれた結果が得られることが見出された、
− イソシアネート官能基をそれらを介して炭化水素主鎖に結合させる炭素のすべては飽和(sp3)炭素であり、これらの炭素は好ましくは部分的に、より好ましくは完全に1つの水素、より好ましくは2つの水素を有する、さらに、前記飽和(sp3)炭素は少なくとも部分的に(好ましくは1/3、より好ましくは2/3)、より好ましくは完全に、それら自体、好ましくは脂肪族(すなわち、sp3のハイブリダイゼーションをもつ)それ自体少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ水素を有するsp3炭素により担持されていることが好ましい、換言すると、イソシアネート官能基を有する炭素がいわゆる「ネオペンチル」位置に存在しないとき、よりすぐれた結果が得られることが見出された、
− 少なくとも部分的にイソシアヌル酸またはビウレットの主鎖(この主鎖がただ1つまたは多数のモノマーから由来するかどうかに無関係に、下記を参照のこと)およびより正確には、イソシアヌレート型、また、トリマーと呼ばれる、の構造、ウレチジンジオン構造、また、ダイマーと呼ばれる、ビウレットまたはアロファネート構造または1つの分子上のこの型の構造の組み合わせまたは混合物は特によく適合する。
【0079】
ポリイソシアネートが比較的重質であるとき、すなわち、ポリイソシアネートが少なくとも4つにイソシアネート官能基を含有するとき、最初の2つの条件は下記のようになる。
− NCO官能基の少なくとも1/3、好ましくは少なくとも2/3は飽和(sp3)炭素を介して炭化水素主鎖に結合している、 − 前記飽和(sp3)炭素の少なくとも1/3、好ましくは少なくとも2/3は少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの水素を有する(換言すると、イソシアネート官能基を有する炭素が1つの水素、好ましくは2つの水素をもつとき、よりすぐれた結果が得られることが見出された、さらに、前記飽和(sp3)炭素は少なくとも部分的に(好ましくは1/3、より好ましくは2/3)、より好ましくは完全に、それら自体、好ましくは脂肪族(すなわち、sp3のハイブリダイゼーションをもつ)それ自体少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ水素を有する炭素により担持されていることが好ましい、換言すると、イソシアネート官能基を有する炭素がいわゆる「ネオペンチル」位置に存在しないとき、よりすぐれた結果が得られることが見出された。
【0080】
特に脂肪族の、イソシアネートは本発明によるアニオン性化合物のあるものと反応し、非中和のまたは低度に中和された酸性官能基のヒドロキシルと反応し、これらの化合物は、また、本発明による化合物である。
【0081】
特に、ホスフェート(m=1)の場合において、イソシアネートは反応して下記のタイプの化合物を生成する。
【化7】

【0082】
しかしEがリン族に属するとき、そしてm(これは式Iにおけるものと同一である)が0に等しいとき、化合物は異性化(または直接的に作用)して、下記の化合物を生成する。
【化8】

【0083】
式中、
Eは周期表[Bulletin de la Soci t Chimique de France January 1966 No.1に対する補遺]の第VB族の元素、好ましくはリンであり、したがって、
【化9】

であり、
Isoはイソシアネートまたはポリイソシアネートの残基(1つのイソシアネート基を除去した後の)であり、
10は炭化水素残基(すなわち、水素原子および炭素原子を含有する)であり、その結合点(すなわち、解放結合を有する原子)は炭素であり、
11は、
− 負の電荷;
− 式II:
【化10】

の基;
から選択され、
R'10は炭化水素残基(R10と同一であるか、あるいは異なる)および負の電荷から選択され、その結合点(すなわち、解放結合を有する原子)は炭素であり、
R'11は炭化水素残基から選択され、その結合点(すなわち、解放結合を有する原子)は炭素であり、これはR10およびR'11と同一であるか、あるいは異なる、または負の電荷から選択される。
【0084】
有機置換基(R10、R'11、R'10)の少なくとも1つは、好ましくは少なくとも5つ、より好ましくは少なくとも7つのエチレンオキシ単位のポリエチレングリコール鎖断片を含有することが望ましい。換言すると、有機置換基の少なくとも1つは一般式I中のEの置換基と同一の式に相当することが望ましい。さらに詳しくは、有機置換基(R10、R'11、R'10)の少なくとも1つは、下記式に相当する。
【化11】

式中、
5は最大2つの炭素鎖単位を含有するアームであり(X’およびXと同一の好ましい意味を有する)、
nは0〜30、好ましくは5〜25、より好ましくは9〜20の整数であり(閉じた間隔、すなわち、限界を含む)、
1は好ましくは置換されていてもよいアリールおよびアルキルから選択される炭化水素基である。
【0085】
したがって、本発明の好ましい別の形態によれば、本発明による組成物は、後述する反応から発生する化合物を、イソシアネートの1リットルの体積に関して0.01〜1、好ましくは0.05〜0.5、より好ましくは0.05〜0.3当量の官能基の全体の比率で含有する。
【化12】

【0086】
Iso基はイソシアネートに関して後述するものと同一の好ましい脂肪族結合を主として、または完全に提供することが好都合である。
【0087】
また、下記式の化合物は本発明の一部分を形成する。
【化13】

式中、R10およびR11は前述の意味を有するが、また、mが1であるとき、負の電荷であることができる。なぜなら、いくつかのバッチにおいて、かなりの量の残留リン酸が存在することがあるからである。
【0088】
もちろん、R10は、また、下記の意味を有することができる。
【化14】

【0089】
Iso基は終わりから2番目の式中のそれと同一であるか、あるいは異ることができる。
【0090】
式中、Isoはポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートモノマーのビウレットまたはイソシアヌレート(トリマー)を形成する反応の生成物、あるいはジオールまたはポリオール、好ましくはトリオールまたはテトラオールとの反応の生成物の残基である。
【0091】
Iso基はイソシアネートに関して前述したものと同一の好ましい脂肪族結合を主として、または完全に提供することが好都合である。
【0092】
式の中に出現する官能基の外に、Isoは好ましくは少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つのイソシアネート官能基を有し、好ましくはそれらの少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つはマスクされていない。本発明の他の目的は、水を含有しないとき、前述の組成物の乳化を実施することができる、前述のタイプの方法を提供することである。
【0093】
この目的、および下記において明らかになるであろう他の目的は、少なくとも下記の工程からなる方法により達成される。
− 好ましくは非常におだやかに撹拌しながら、ポリオール+水の混合物の中に1種または2種以上のイソシアネートを添加する。
【0094】
表面活性剤は水相の中に、好ましくはイソシアネート相の中に存在することができる。前者の場合において、イソシアネートと、アニオン性官能基および好ましくはポリエチレングリコール鎖断片を含有する前記化合物との間の反応は非常に少ない。
この撹拌は好ましくはマニュアルまたは機械的である。
【0095】
乳化は好ましくは50℃より低い温度、より好ましくは周囲温度において実施される。
乳化するとき、必要に応じてpHの調節を実施することが望ましい(好ましくは少なくとも3に等しく、より好ましくは4に等しく、かつ好ましくは最大11に等しく、より好ましくは10に等しい、したがって、好ましくは3〜11、より好ましくは4〜10の値を達成するために)。この調節は、本発明による表面活性剤の各々の第1(または唯一の)酸性度が中和される、好ましい範囲の達成を可能とする。
【0096】
本発明の好ましい別の形態によれば、イソシアネートの添加前に、顔料(特に二酸化チタン)を1種または2種以上のポリオールの中に分散させる。
【0097】
本発明の他の目的は、イソシアネートをベースとする組成物を適用してコーティングを製造する方法を提供することである。
【0098】
これらの目的、および下記において明らかになるであろう他の目的は、調製層(すなわち、水相および層の構成成分からなる本発明による組成物)を適用することからなる方法により達成されたる。層の厚さは、乾燥前において、10〜400マイクロメートル、好ましくは50〜200であり、乾燥後において、5〜150マイクロメートル、好ましくは20〜80マイクロメートルである。
【0099】
好ましい適用によれば、この方法は20℃〜60℃において15分〜24時間であることができる期間の間乾燥することからなる。
この乾燥を溶剤の存在において実施して水の除去を促進することが好ましい。
【0100】
本発明の使用の特に好ましい形態によれば、適用はスプレーにより実施される。
表面の調製は当業者によく知られている(例えば、鋼の鉄化合物の場合においてリン酸塩処理、あるいはアルミナをベースとする表面の場合においてクロム酸塩の処理)。(例えば、下記の研究を参照することができる。”Organic Coating Technology”、Vol.II、H.F.Payne著、および”Paint Handbook”、G.E.Weismante1発行)。
【0101】
本発明によれば、こうして下記の技術的特性を示すコーティング(特に塗料またはワニス)を得ることができる(これらの値は特に使用するポリオールに依存する)。
【0102】
【表1】

【0103】
下記の非限定的実施例により、本発明を例示する。
RhodafacR RE610は、式IIに従うリン酸のモノエステルおよびジエステルの混合物であり、その炭化水素基の平均式はポリエトキシル化(約10回)ノニルフェノールであり、モノエステル/ジエステルのモル比はほぼ1である(数学的に丸めた)。同様にRhodafacPA17は、本発明による生成物として、式IIに従うリン酸のモノエステルおよびジエステルの混合物であり、その炭化水素基の平均式はポリエトキシル化(約5〜6回)ノニルフェノールである。
【実施例】
【0104】
実施例1 − 混合物の1の調製
165gのtolonateHDT(トリマーをベースとするイソシアヌレートオリゴマー)を24gの酢酸ブチルおよび13gのRhodafacRE610(式IIに従うリン酸のモノエステルおよびジエステルの混合物)および3gのトリエチルアミンと混合する。この混合物をフレームまたは脱凝集櫂の助けにより5分間100rpmで撹拌する。この混合物は20℃において0.84Pasの粘度および100APHAより低い色を有する。
【0105】
実施例2 − 混合物の2の調製
この混合物は混合物1と同一組成を有するが、tolonateHDTの代わりにtolonateHDT−LVを使用する。この混合物は20℃において0.476Pasの粘度および100APHAより低い色を有する。
【0106】
実施例3 − 混合物の3の調製
92gのtolonateHDT、10gのRhodafacRE610および2.3gのトリエチルアミンを使用して、混合物を調製する。この混合物の粘度は20℃において5.2Pasであり、そして色は100APHAより低い。
【0107】
実施例4
30gの混合物1を20gの水に添加する。この混合物をフレーム櫂の助けにより250rpmで5分間撹拌する。こうしてエマルジョンが得られ、その平均粒度は1.2μmである。エマルジョンの滴の大きさは、pH3〜9において30分間安定に止まる。
【0108】
実施例5
30gの混合物3を20gの水に添加する。エマルジョンを実施例4におけるのと同一の条件において調製する。滴の平均大きさは1.1μmである。
【0109】
実施例6(比較)
30gのHDT−LV/酢酸ブチル混合物(実施例2におけるのと同一の重量比)を20gの水に添加する。エマルジョンを実施例4におけるのと同一の条件において調製する。こうして粗いエマルジョンが得られ、その平均大きさは5μmより大きく、したがって、特性決定することが困難である。
【0110】
実施例7(比較)
165gのtolonateHDTを、13gのRhodafacRE60(トリエチルアミンドデシルベンゼンスルホネート)と混合する。この混合物をフレーム櫂の助けにより100rpmで5分間撹拌する。10gのこの混合物を90gの水にフレーム櫂の助けにより400rpmで撹拌しながら10分間添加する。次いで生成物を分析し、それは2相から成り、一方は油に富み、他方はに富んだが、均質なエマルジョンは形成しない。
【0111】
実施例8
83gのtolonateHDB(ビウレット)を、6gのRhodafacPA17、1.2gのトリエチルアミンおよび10gの酢酸ブチルと混合する。この混合物をフレーム櫂の助けにより100rpmにおいて5分間均質化する。10gのこの混合物を90gの水にフレーム櫂の助けにより200rpmで撹拌しながら5分間添加する。得られたエマルジョンは、中心が約3.5μmの粒度を有する。
【0112】
実施例9
83gのtolonateHDTを、6gのRhodafacPA17、1.2gのトリエチルアミンおよび10gの酢酸ブチルと混合する。この混合物をフレーム櫂の助けにより100rpmにおいて5分間均質化する。10gのこの混合物を90gの水にフレーム櫂の助けにより200rpmで撹拌しながら5分間添加する。得られたエマルジョンは、中心が約0.98μmの粒度を有する。
【0113】
実施例10 − 混合物1およびSC ジョンソン・ポリマー(Johnson Polymer)会社により名称Joncryl540で販売されているポリオールからのワニスの製造
このポリオールは、固形分42%およびヒドロキシル価42(乾燥材料に基づく)のアクリルコポリマーのエマルジョンである。7.3gの混合物1を92.7gのJoncry1540の中に混入することによって、ワニスを製造する。この混入はスパチュラで10分間マニュアル撹拌で実施する。混合物1/ポリオールの比率は、NCO/OHのモル比が1/1であるようなものである。ポリオールの中にイソシアネートを混入した後0.5時間および4時間に、ねじ込みロッドでワニスの被膜を適用する(42μmの乾燥厚さを有するように)。混合物の0.5時間および4時間のエージングにおいて、23℃および55%の相対湿度における48時間の乾燥後に得られた性能は同等でありかつすぐれたレベルである。20°の角度における89の光沢度、ソーキングした綿のぼろを使用する100回より大きい前後のこすりのメチルエチルケトンに対する抵抗、140秒に等しいペルソズ・ペンダルム(Persoz pendulum)硬度。
【0114】
実施例11 − 混合物2およびポリオールからの光沢白色塗料の製造
塗料は2成分から成るであろう。特に、ほとんどの場合において、主として顔料およびポリオールを含有する成分A、およびもっぱら混合物2から成る成分B。この実施例において使用したポリオールは、ジャガー(Jager)会社から名称JagotecF313で販売されているものである。このポリオールは、酸性基およびヒドロキシル基を含有するアクリルコポリマーの樹脂の水溶液である。それをジメチルエチルアミンでpH8.5に中和し、それは45%の固形分、60の酸価および132のヒドロキシル価を有する。激しく撹拌しながら(20分、1000rpm、脱凝集櫂)49.7gのJagotecF313、0.8gのDisperbyk181(Byk会社から販売されている湿潤剤)、0.3gのByk022(Byk会社から販売されている泡消剤)、23.7gのTitafranceRL0(Rhone−Poulencから販売されている二酸化チタン顔料)および25.5gの蒸留水を混合することによって、100gの成分Aを調製する。低速撹拌しながら(ほぼ300rpm、脱凝集櫂)3.9gの成分B(混合物2)を成分Aの中に混入することによって、ワニスを製造する。これらの比率は、塗料の顔料/バインダーの比が0.75/1に等しくかつ塗料中のNCO/OHのモル比が1/1であるようなものである。ポリオールの中にイソシアネートを混入した後0.5時間に、ねじ込みロッドでワニスの被膜を鋼パネルの上に適用する(30μmの乾燥厚さを有するように)。塗料(混合物A+B)の使用期間は3時間である。23℃および55%の相対湿度における48時間の乾燥後の被膜の性能はすぐれたレベルである。20°の角度における71および60°の角度における84の光沢度、ソーキングした綿のほろを使用する100回より大きい前後のこすりのメチルエチルケトンに対する抵抗、100秒に等しいペルソズ・ペンダルム硬度、23℃および55%の相対湿度におけるほぼ3時間に等しい「不粘着」乾燥時間。
【0115】
実施例12 − 実施例6の混合物およびジャガー会社から名称JagotecF313で販売されているポリオール(実施例12に記載されている特性を参照のこと)からの白色塗料の製造
顔料およびポリオールを含有する成分Aと、もっぱら実施例6の混合物から成る成分Bとを混合することによって、塗料を調製する。成分Aは実施例11の方法および処方に従い製造する。低速撹拌しながら(ほぼ300rpm、脱凝集櫂)3.6gの成分B(実施例6からの混合物)を成分Aの中に混入することによって、塗料を製造する。これらの比率は、塗料の顔料/バインダーの比が0.75/1でありかつ塗料中のNCO/OHのモル比が1/1であるようなものである(実施例11の条件と同一の条件)。塗料の被膜を実施例11と同一条件下に適用した。23℃および55%の相対湿度における48時間の乾燥後の被膜の性能は普通である。20°の角度における8および60°の角度における27の光沢度、およびソーキングした綿のぼろを使用する10回より小さい前後のこすりのメチルエチルケトンに対する抵抗。この実施例および実施例11との比較は、特にトリエチルアミンで中和された、RhodafacR RE610界面活性剤との組み合わせにより発生した増強を示す。
【0116】
実施例13 − ナノラテックスの使用 混合物1およびアクリルモノマーのナノラテックス(すなわち、粒度がナノメートルである、より正確には、d50が最大ほぼ100ナノメートルに等しい、ラテックス)からのワニスの製造。
使用するナノラテックスは、フランス国特許出願第95/05123号(1995年4月28日提出)および欧州特許出願(EP)第0,739,961号に記載されている方法に従い製造された実験生成物であり、下記の特性を有する。
50:ほぼ35nm
カルボキシル基:乾燥ポリマーについて2.6重量%
ヒドロキシル基:乾燥ポリマーについて2.6重量%
100,000より大きい分子量固形分:30重量%
pH:ほぼ8
最小被膜形成温度;ほぼ20℃
ガラス転移温度:ほぼ40℃
【0117】
マニュアル混合により、4.6gの混合物1を45.6gのナノラテックスの中に混入することによって、ワニスを製造する。この比は1.2の官能基NCO/OHの比に相当する。この混合物は4時間の寿命を有し、これはこの混合物の粘度および外観が4時間の間未変化であることを意味するが、また、この混合物がこれらの4時間の間未変化の性質、例えば、溶剤抵抗、硬度および光沢度を有することを意味する。被膜の乾燥時間は顕著に短い。NH標準規格T30037に従い、20分の「無ダスト」時間および30分の「不粘着」時間。これらの測定は、ガラス板上で40μmの乾燥厚さおよび23℃および55%の相対湿度における乾燥について実施した。この混合物の短い乾燥時間および比較的長い寿命が得られるという事実は、塗料の専門家が大きく探求する利点を構成する。コーティングの摩耗値は、また、非常にすぐれた全体のレベルを有し、下記のことを述べることができる。
【0118】
− 乾燥50μmの被膜のペルソズ・ペンダルム(Persoz pendulum)硬度(鋼パネル上で23℃および55%の相対湿度において測定した)は275秒に等しい。
− 鋼パネルの上に適用された被膜の20°の角度における光沢度は90に等しい。
− 23℃および55%の相対湿度において7日間乾燥した被膜のメチルエチルケトンに対する抵抗は、ソーキングした綿のぼろを使用する100回より大きい前後のこすりである。
【0119】
本発明によるこのナノラテックス−ポリイソシアネートの組み合わせのこれらのきわめてすぐれた性能は、これらの生成物の非常に特別の物理化学に、特にナノラテックスの非常に大きい特別の表面に、確かに寄与し、これは最終生成物における架橋の大きい均質性を促進する。
【0120】
実施例14
実施例13において調製した混合物を、ブラシにより、200g/m2の付着度でコンクリート型支持体に適用する。周囲温度において1時間乾燥した後、コーティングは支持体に撥水性を付与し、これはパール様効果および低い水吸収に反映する。さらに、コーティングは研磨に対するすぐれた抵抗を示す。
【0121】
実施例15
混合物1およびアクリルモノマーのナノラテックスからのコーティングの製造 使用するナノラテックスは、フランス国特許出願第95/05123号(1995年4月28日提出)および欧州特許出願(EP)第0,739,961号に記載されている方法に従い製造された実験生成物であり、下記の特性を有する。
50:ほぼ35nm
カルボキシル基:乾燥ポリマーについて1重量%
ヒドロキシル基:乾燥ポリマーについて2.6重量%
100,000より大きい分子量固形分:30重量%
pH:ほぼ8
ガラス転移温度:ほぼ−30℃
【0122】
マニュアル混合により、4.6gの混合物1を45.6gのナノラテックスの中に混入することによって、ワニスを製造する。この比は1.2の官能基NCO/OHの比に相当する。コーティングを、ブラシにより、300g/m2の2層の割合でコンクリートに適用する。コーティングはナノラテックスの低いガラス転移温度のために大きい柔軟性を有し、これにより支持体の老化として出現することがある亀裂(特に大きい温度の変動により引き起こされるコンクリートの膨張のためである)をマスクする能力を有する。さらに、本発明によるポリイソシアネートとの架橋は化学物質および水に対するきわめてすぐれた抵抗をコーティングに与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式I
【化1】

(上式中、mは0又は1であり、
Eは周期表の第VB族の元素であり、
Isoは1つのイソシアネート基を除去した後のイソシアネートもしくはポリイソシアネートの残基であり、
10は負電荷であるか又はその結合点が炭素である水素及び炭素原子を含む炭化水素基であり、
11は負電荷であるか又は下式II
【化2】

の基であり、式II中において、R'10はR10と同一であるかもしくは異なっており、その結合点が炭素である水素及び炭素原子を含む炭化水素基であり、R'11は負電荷であるか又は、R10と同一であるかもしくは異なっており、その結合点が炭素である水素及び炭素原子を含む炭化水素基である)
を有する化合物。
【請求項2】
Isoがジイソシアネートモノマーと反応してビウレットもしくはイソシアヌレート(トリマー)を形成するポリイソシアネートの残基である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記ジイソシアネートモノマーがポリメチレンジイソシアネートである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
前記ポリメチレンジイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートである、請求項3記載の化合物。

【公開番号】特開2007−16047(P2007−16047A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249975(P2006−249975)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【分割の表示】特願平9−530676の分割
【原出願日】平成9年2月28日(1997.2.28)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】