説明

留め具

留め具は、各々がガーメント類のバックパネル、翼、又は肩紐に取り付けられるように用いられる、第1の雌部品(1)と第2の雄部品(2)を含み、第1の部品は、内側(4)と外側(5)を有する第1のプラスチック製プレートを含む。第2の部品は、装着時に、第1プレートの外側に少なくとも部分的に重なるように用いられる内側と外側を有する第2のプラスチック製のプレートを含む。第1のプレート(1)は、複数の接続凹部(8)を含み、第2のプレート(2)の内側は、接続凹部のいずれか一つに着脱可能に受け取られ、選択的に保持されるように用いられる少なくとも一つの接続突起(1)6を含む。第2のプレート(2)は、外側から内側へ向かって下方に傾斜し、雌雄部品の連結時に上方に撓み、第1のプレートの外側を弾性的に支える、弾性先端部(20)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、ブラジャーなどの補正下着(以下、ガーメント)類に使用される留め具に係り、他の分野にも適用可能な留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラジャーの二枚の背中側の帯状部(以下、バックパネル)又は翼のための一般的な留め具は、一枚のパネルに埋め込まれた二列以上の金属製鳩目と、これらの鳩目に対応し他の一枚のパネルに取り付けられたホックとを含む。これらの金属製要素は、きまって、着用者の身体に食い込み、着用者が不快と感じる場所に取り付けられる。また、二枚の布製パネルは相対的に厚く、結合時にこれらのパネルが重なり合うため、その見苦しい膨らみが上着に映るという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際出願第WO2007/091025号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属ホックと鳩目を一対のプラスチック製の相互接続プレートに置き換えることが提案されてきた。特許文献1は、雄部品と雌部品を含む調整可能な留め具を開示しており、雄雌部品は、両方とも、布製の材料に取り付けることができる積層可能なプラスチック製材料から作られている。雌部品は、三つの離間された開口を有している。雄部品は、雌型凹部内の複数の開口の一つに挿入されて、所定位置まで滑動した時にホックとして作用する突起を有している。この留め具には、留め具を嵌合する時、留め具に張力が掛かると、雌部品に重なる雄部品の先端部が、雌部品から少しずれて離間する傾向があるという欠点があった。この「リフト(上昇)」によって、間隙が押し開かれ、上着に映っても目立たたないように、ガーメントの裏側できれいに嵌合される能力が低下するという問題が生じた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、各々がガーメント類のバックパネル、翼、又はストラップ(型紐)に取り付けられるように用いられる第1の雌部品と第2の雄部品を含む留め具であって、第1の部品が、内側と外側を有する第1のプラスチック製プレートを含み、第2の部品が、装着時に、第1プレートの外側に少なくとも部分的に重なるように用いられる内側と外側を有する第2のプラスチック製のプレートを含み、第1のプレートが複数の接続凹部を含み、第2のプレートの内側が、複数の接続凹部のいずれか一つに着脱可能に受け取られ、選択的に保持されるように用いられる少なくとも一つの接続突起を含み、第2のプレートが、外側から内側へ向かって下方に傾斜し、部品の嵌合時には、上方に撓み、第1のプレートの外側を弾性的に支える弾性先端部を含む、留め具を提供する。
【0006】
本発明の第2の態様において、第1のプレートの内面が、各凹部を取り囲む隆起部分を有し、隆起部分は、隆起部分と隆起部分との間に薄肉化された部分を有している。
【0007】
本発明の第3の態様おいて、凹部が、開口部と被覆部を含み、少なくとも被覆部を取り囲む周囲壁が、凹部を取り囲む隆起部分によって形成される。
【0008】
以下に、本発明の実施の形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】留め具を上から見た上面斜視図である。
【図2】留め具を下から見た底面斜視図である。
【図3】留め具を示す平面図である。
【図4】留め具の部品を示す平面図である。
【図5】留め具の部品を示す底面図である。
【図6】留め具の詳細を示す底面斜視図である。
【図7】部品の詳細を示す斜視図である。
【図8】留め具の部品の線A−Aに沿う断面図である。
【図9】連結された部品を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照すると、各留め具は、第1の部品1と第2の部品2を含む。第1の部品1は、留め具の使用時にガーメント類の着用者の身体に平らに沿うように用いられ、薄肉で略平坦に成形され、内側4と外側5を含む第1のプラスチック製のプレートを含む。内部側面4は、可撓性を有するように部分的に曲げられている(図6のみに示されている)が、隆起部分は、着用者の身体に対して略平らな外観を呈している。
【0011】
第2の部品2は、薄肉で、やや曲線付けられて成形され、内側6と外側7を含むプラスチック製のプレートを含む。
【0012】
第1と第2の部品は、略平坦に又は滑らかに曲線付けされた表面を有し、全ての縁部が丸く削られている。これによって、これらの部品は、着用者の身体に対して平らに沿い、上着を映っても目立たないように、滑らかに曲線付けされた外面を提供する。また、各部品は、単体として射出成形される。
【0013】
図1〜図9の実施の形態において、第1のプレートは、外側5から内側4へ延出する二列の三つの接続凹部8を含み、第2のプレート2は、内側6上に、二つの相補的接続突起部9を含む。凹部と凹部列の数は任意でよい。同様に、第2のプレートは、相補数の接続突起部を設けることができる。各凹部8は、突起部が接近可能な開口部81と、留め具の使用中に、突起部を位置決めして保持する被覆部82と、を含む。
【0014】
両部品の内部表面と外部表面は、以下に記載される顎部28の内部表面を含まないが、着用者に更なる柔らかさを与え、より快適な装着感が得られるように、集合(フロック)層内において被覆されることができる。図示されている実施の形態において、凹部の外面は、美観上、心地よい外観を提供するようにハート形に形成されているが、楕円形、三角形、円形、又は任意の同様の形状であってもよい。第1のプレートの内面は、各凹部8を取り囲む隆起部分10を有している(図6参照)。これらの隆起部分は、プレートの公称の厚さを画定し、薄肉化された部分11によって、隆起部分自体が取り囲まれ、互いから離間されている。隆起部分は、部品が係合する場所を補強する力を付与する。部品の外周に形成された更なる畝部12は、快適さを提供するだけでなく、他の場所も実質的により薄肉の断面を形成しているので、着用者が動きやすい柔軟性も提供することができる。隆起部分は、着用者の背中に心地好く沿うように、十分に平らな外観を提供する。凹部の被覆部82は、U字形又は平らなD字形に形成され、これらの部分を取り囲む周囲壁は、隆起部分10が取り囲む部分101によって形成される。
【0015】
U字形の壁又は畝部101は、突起部のためのガイド及び終端として作用し、補強する。外周畝部12は、プレートの縁部の厚みを効果的に大きくするように作用し、より快適な装着感を確実にする。
【0016】
第2の部品上の接続突起部も、美観上、平面視でハート型に形成され、凹部の形状に対して相補的に形成されている。この突起部は、立上り部15と、ホックとして作用するプレート16を含む。ホックは、凹部のU字型の被覆部82内に隙間嵌めされるように寸法決定される。ホックは、他の衣類に傷を付けたり、引っ掛ける原因となる尖った縁が形成されるのを避けるために、面取りされている。ホック16の上面17は、着用時にガーメントが張力を受けた時に、二つのプレートが分離する傾向を最小に抑え、これを防ぐために係合を助けるように、プレート1の対応する内面に対して角度付けされる。上面17の角度は、ホックが、ホックと立上り部との結合部においてやや肉厚になるように角度付けされる。
【0017】
凹部8の開口と被覆部の間の結合部のいずれかの側に形成されたビード18によって生じるわずかな拘束は、ホック16が被覆部に嵌入される時に、ホック16に、わずかなスナップ式の感覚を持たせることができる。これによって、留め具の結合の確実性が得られ、ユーザの結合に対する信頼感を高めることができる。
【0018】
第2の部品2の傾斜部の曲げ角度によって、割と薄手の上着を着用した時でさえも、膨らみを目立たなくすることができる。図8に最も明確に示されているように、ノーズ(先端)部20は、留め具の二つの部品の厚みの差に必要とされる角度より大きな角度において傾斜されて、張力を受けた時の「リフト(上昇)」を補正し、衣類の下にある留め具を目立たなくする。また、先端部20は、長手方向にわずかに薄肉化されており、部品が連結された時に弾性的に撓み、これにより、図9に示されるように、第1のプレートの外側を弾性的に支えることができる。
【0019】
部品が係合される時、各ホック16は、外縁が畝部101と面一になって、凹部の被覆部82の下に配置される。この位置において、第2の部品は、第1の部品1の外側3に少なくとも部分的に重なる。プレート1の外面とプレート2の外面は、互いに対して略平らに配置される。第2の部品の外側は、滑らかに曲線を描いており、尖った部分は全く存在しない。
【0020】
プレート1及びプレート2の外周は、丸められたコーナーを有する波形又はホタテガイの縁のように波を打った縁部で形成されてもよい。これによって、着用時の留め具からよりソフトな感覚を得ることができる。各プレートは、成形作業によって形成される。各プレートは、ガーメントのバックパネル、翼、又は肩紐を受け取るための一対の開口顎部28を含む。顎部は、装着を容易にするために押し広げられるが、ガーメントと接続した後は、少なくとも部分的に閉じられる。顎部は、雄部品と雌部品のいずれかの各部品の少なくとも一つの顎部が、複数の箇所において薄肉化される構造を取ることによって、ヒンジ(蝶番)を提供することができ、一つ又は複数の顎部を、折畳んだり、開いたりすることができ、留め具の製造の後から、加熱接着処理のための接着剤を塗布することが可能となる。加熱接着処理は、ブラジャーのサイドパネル(脇側の帯状部)に部品を取り付けることができる方法の一つである。本発明のガーメントに留め具を取り付ける方法は、留め具とガーメントの間において、他のどの方法よりもより平坦で滑らかな優れた結合を可能とする。
【0021】
顎部の各々の内部に設けられた複数の筋交い26は、留め具の強度を高めると共に、留め具の材料の容量を最小にして、可撓性を最大にするのを助ける。更に、筋交いは折畳み可能であり、即ち、これらは互いに嵌合し、ここでもまた、可撓性を高めるだけでなく、顎部が、ガーメントのサイドパネルに結合した時は、できるかぎり、薄肉化するように閉成可能になり、これによって、ガーメントのその部分の薄さと滑らかさを最適にする。また、筋交いは、ガーメントの端部(図示しない)の生地の解れ止めとしても作用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が補正下着類のバックパネル、翼、又は肩紐に取り付けられるように用いられる第1の雌部品と第2の雄部品を含む留め具であって、
前記第1の部品が、内側と外側を有する第1のプラスチック製プレートを含み、
前記第2の部品が、装着時に、前記第1プレートの前記外側に少なくとも部分的に重なるように用いられる内側と外側を有する第2のプラスチック製のプレートを含み、
前記第1のプレートが複数の接続凹部を含み、
前記第2のプレートの前記内側が、前記複数の接続凹部のいずれか一つに着脱可能に受け取られ、選択的に保持されるように用いられる少なくとも一つの接続突起を含み、
前記第2のプレートが、外側から内側へ向かって下方に傾斜し、前記部品の嵌合時には、上方に撓み、前記第1のプレートの前記外側を弾性的に支える弾性先端部を含む、
留め具。
【請求項2】
前記第2のプレートの前記先端部が、その長手方向に沿って薄肉化されている、請求項1に記載の留め具。
【請求項3】
各部品が、補正下着類のバックパネル、翼、又は肩紐などを受け取るための一対の顎部を含む、請求項1又は2に記載の留め具。
【請求項4】
前記顎部の内面を除く両部品の内面と外面が、フロック層内で被覆される、請求項3に記載の留め具。
【請求項5】
複数の筋交いが各顎部の内側に設けられ、前記顎部を補正下着のパネルなどに結合させるために前記顎部が閉じられた時、前記筋交いも互いに嵌合される、請求項3又は4に記載の留め具。
【請求項6】
各一対の顎部の少なくとも一つの顎部が、一つ以上の箇所で薄肉化され、前記顎部を折曲及び/又は開口させる蝶番を提供する、請求項3〜5のいずれか一項に記載の留め具。
【請求項7】
前記第1のプレートの内面が、各凹部を取り囲む隆起部を有し、前記隆起部が、薄肉化された領域を有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の留め具。
【請求項8】
前記凹部が、それぞれ、開口部と被覆部を含み、少なくとも前記被覆部分を取り囲む周囲壁が、前記凹部を取り囲む隆起部によって形成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の留め具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−538724(P2010−538724A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524581(P2010−524581)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050785
【国際公開番号】WO2009/034378
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510066341)ケーアイエス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】