説明

畜肉用肉質改善剤及びその製造方法

【目的】 現代人の生活において既に食事の主役となっている豚肉や牛肉などの畜肉を食するだけでも必須栄養素であるEPAやDHAなどの高度不飽和脂肪の十分な摂取を可能とし、豚肉や牛肉などの畜肉を食することに伴う肥満や生活習慣病などの問題の回避を可能とし、さらに、畜肉を口解けの良いまろやかな食感を有するものにすることを可能とし、且つ、その製造、保存、取り扱いが極めて低コストで可能な畜肉用肉質改善剤及びその製造方法を提供する。
【構成】魚類を含む残渣を回収、破砕、殺菌してタンクに収容し、これに麹菌を添加して発酵させることにより略液状に変化させて成る畜肉用肉質改善剤であって、トウモロコシなどの家畜用飼料に添加して家畜に摂取させることにより、畜肉の脂肪中の高度不飽和脂肪酸の含有量を増加させるために使用される畜肉用肉質改善剤及びその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豚や牛などの家畜の肉質を改善する畜肉用肉質改善剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、豚肉や牛肉などの料理は飽和脂肪酸の多量摂取による肥満や成人病などを引き起こすなどの問題が指摘されている。他方、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの高度不飽和脂肪酸は、不足すると皮膚障害を引き起こしたり乳児の中枢神経系の発育不良をもたらすことなどから必須栄養素とされているが、人体で合成することができないため、それらを含む魚類などから摂取するしかないとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−319465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、生活の洋風化が進んだ現代の食生活においては、ほぼ全ての年代層において肉料理が好まれる傾向にあるため、近年、多量の肉食、特に豚肉や牛肉に含まれる飽和脂肪酸の多量摂取による肥満や成人病が大きな問題となっている。また、前述のようにEPAやDHAなどの高度不飽和脂肪は必須栄養素とされているが、人体では合成できないので主に魚料理などで摂取するしかないが、最近の特に若年層の食生活においては魚料理を食する機会が減っているため、EPAやDHAなどの高度不飽和脂肪の摂取不足が懸念されている。
【0005】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、現代人の生活において既に食事の主役となっている豚肉や牛肉などの畜肉を食することによって必須栄養素であるEPAやDHAなどの高度不飽和脂肪を十分に摂取することを可能とし、豚肉や牛肉などの畜肉を食することに伴う肥満や成人病などの問題を回避することを可能とし、さらに、畜肉を口解けの良いまろやかな食感を有するものにすることを可能とし、且つ、その製造、保存、取り扱いが極めて低コストで可能な、畜肉用肉質改善剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような課題を解決するための本発明による畜肉用肉質改善剤は、魚類を含む残渣を粉砕、殺菌した後タンクに収容し、これに麹菌を添加して発酵させることにより略液状に変化させて成る、略液状の畜肉用肉質改善剤であって、これをトウモロコシなどの家畜用飼料に添加して家畜に摂取させることにより、畜肉の脂肪中の高度不飽和脂肪酸の含有量を増加させるために使用されることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明による畜肉用肉質改善剤においては、少なくとも油脂分中100g当たり平均して1.76g以上のEPA(エイコサペンタエン酸)を含有している、ことが望ましい。また、本発明による畜肉用肉質改善剤においては、少なくとも油脂分中100g当たり平均して6.58g以上のDHA(ドコサヘキサエン酸)を含有している、ことが望ましい。
【0008】
さらに、本発明による畜肉用肉質改善剤の製造方法は、レストラン等の店舗から出る魚料理を含む残渣を回収、破砕、殺菌してタンクに収容し、このタンクに収容した残渣に麹菌を投入して約20〜30時間、略液状になるまで発酵させるようにした、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明による略液状の畜肉用肉質改善剤を使用するときは、豚肉や牛肉などの畜肉中のEPAやDHAなどの高度不飽和脂肪酸の含有量を有意に増加させることができるので、必須栄養素であるEPAやDHAなどの高度不飽和脂肪を十分に摂取することを可能とすると共に豚肉や牛肉などの畜肉を食することに伴う肥満や成人病などの問題を回避することを可能とし、その結果、肉食が増えている現代人の健康に良好な畜肉を提供できるようになる。
【0010】
また、特に、本発明による略液状の肉質改善剤を家畜に提供すると、畜肉の不飽和脂肪酸(口に入れたときの食感に深く関係する)の含有量を高められるので、畜肉を口解けの良いまろやかな食感を有するものにすることができる。また、特に、本発明による略液状の肉質改善剤は、魚料理などの食品残渣を原料としているので、極めて低コストで製造することができる。また、特に、本発明による肉質改善剤は略液状であるので、保存しているタンクからポンプとパイプにより豚舎など家畜の居る場所に容易に移送することができるので、肉質改善剤の取り扱いを大幅に効率化させ低コスト化させることができる。さらに、本発明による略液状の肉質改善剤は比較的強い酸性(詳細は後述するが、pH3.00〜4.50くらい)を有しているため、保存のために特別に冷却する必要がなく、保存コストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の本実施例1を供給した黒豚の下ロースのガスクロマトグラフィーによる分析結果を示す図である。
【図2】本実施例1の比較例としての市販黒豚の下ロースのガスクロマトグラフィーによる分析結果を示す図である。
【図3】本実施例1を供給した黒豚の下ロース3点の全て(A,B,C)と市販黒豚枝肉の下ロース2点の全て(A,B)のガスクロマトグラフィーによる分析結果を示す図である。
【図4】本実施例1を供給した黒豚のバラ肉1点と市販黒豚枝肉のバラ肉2点(A,B)のガスクロマトグラフィーによる分析結果を示す図である。
【図5】本実施例1による略液状体(肉質改善剤)中の油脂のGC(ガスクロマトグラフィー)分析過程を説明するための図である。
【図6】本実施例1による略液状体(肉質改善剤)中の油脂のGC分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態として、本発明者による肉質改善剤の製造過程の一例について説明する。まず、レストラン等の店舗から出る魚料理などの残渣(内容物は、例えば、約20〜30%の魚、約25〜30%のご飯、約45〜50%の野菜)を、昼分は15時頃に収集して冷蔵庫に保管、夜分は閉店時(22時)頃に収集して冷蔵庫で保管した。それらを、翌日、保冷車で回収し、センターに11時頃搬送し、そこで前記残渣の破砕作業を行った。そして、この破砕した残渣を、破砕機から発酵用タンクに、パイプ及び圧送ポンプにより自動的に搬送した。前記圧送ポンプによる圧送の過程で、約80度程度の蒸気により前記破砕された残渣を蒸気殺菌した。この破砕及び圧送のための時間は約1時間程度であった。
【0013】
次に、前記残渣の破砕及び圧送が終了した12時頃から、前記発酵用タンクに麹菌を所定量、投与した。前記麹菌は、この実験では、株式会社源麹研究所製造の「河内菌 黒麹」を使用した。前記投与量は前記残渣1トン当たり麹菌1kgを使用した。この麹菌による発酵時間は約24時間であった。この発酵の結果、前記残渣が略液状(ドロドロ状)に変質した。この略液状体は、バキューム車により回収し、各豚舎の餌箱で本件の略液状体とトウモロコシ飼料とを混合させて、本実験用の豚(数頭)に食させた(本件の略液状体と家畜飼料との混合割合は任意に選択できるが、本実験では、9:1の割合とした)。
【0014】
詳細は以下の実施例で示すが、本件略液状体をトウモロコシ飼料などの従来の家畜飼料に混合して家畜に一定期間(例えば1ヶ月程度)食させた後の畜肉は、従来の家畜飼料のみを食させた家畜の畜肉と比較して、高度不飽和脂肪酸であるEPAなどがより多く含有していることが判明した。
【実施例1】
【0015】
以下に、本発明の実施例1を説明する。レストラン等の店舗から出る魚料理の残渣(例えば、魚が20〜30%、他に、ご飯が約30%と野菜が約40〜50%)を、昼分は15時頃に収集し冷蔵庫に保管、夜分は閉店時(22時)頃に収集して冷蔵庫で保管し、それらを、翌日、保冷車で回収し、センターに11時頃搬送し、そこで前記残渣の破砕作業を行った。そして、この破砕した残渣を、破砕機から発酵用タンクに、パイプ及び圧送ポンプにより自動的に搬送した。前記圧送ポンプによる圧送の過程で、約80℃の蒸気により前記残渣を蒸気殺菌した。この破砕及び圧送のための時間は約1時間程度であった。
【0016】
次に、前記残渣の破砕及び圧送が終了した12時頃から、前記発酵用タンクに麹菌を所定量、投与した。前記麹菌は、この実験では、株式会社源麹研究所製造の「河内菌 黒麹」を使用した。前記投与量は前記残渣1トン当たり麹菌1kgとした。この麹菌による発酵時間は約24時間であった。この発酵の結果、前記残渣が略液状(ドロドロ状)に変質した。この略液状体を、バキューム車により回収した。この回収した略液状体は、トウモロコシを原料とした家畜飼料(トウモロコシを潰して乾燥させた固形物)に混ぜて、本実験用の豚(数頭)に食させた。具体的には、前記回収した略液状体をいったん豚舎のタンクに保存し、給餌の時刻に、各豚舎の餌箱にポンプとパイプで供給し、各豚舎の餌箱で本件の略液状体をトウモロコシ飼料に混合させて、本実験用の豚(数頭)に食させた。本件の略液状体と家畜飼料との混合割合は任意に選択できるが、本実験では、9:1の割合とした。
【0017】
本件略液状体とトウモロコシ飼料との混合物を一定期間(例えば1ヶ月程度)食させた豚の肉と市販の豚肉との、それぞれの脂質含量およびそれを構成する脂肪酸の組成を分析・比較した(なお、脂質はテクスチャー(口に入れたときの食感)と密接に関連する物質である)。
【0018】
(分析用サンプル)
本実施例1によるサンプルとして、本件の略液状体とトウモロコシ飼料との混合物を一定期間(例えば1ヶ月程度)食させた黒豚の肉の特定部位(下ロース3点,バラ肉1点)を採取した。比較例として市販黒豚枝肉(下ロース2点,バラ肉2点)を用意した。
【0019】
(分析方法)
それぞれのサンプルの脂肪組織を一定量取り出し、粗脂肪抽出を行った後,メチル化誘導体としたものを、島津社製ガスクロマトグラフィーGCMS−QP5050Aを用いて、脂肪酸組成分析を行った。
【0020】
(分析結果1)
以下、本実施例1の黒豚の下ロース3点(A,B,C)と市販黒豚枝肉の下ロース2点(A,B)のガスクロマトグラフィーによる実際の分析パターンを説明する。図1は本実施例1による黒豚の下ロースAのガスクロマトグラフィーによる分析パターン、図2は市販黒豚の下ロースAのガスクロマトグラフィーによる分析パターンである。図1,2において、図示左側(クロマトグラム)は分析によって得られたピークパターン、図示右側はその拡大図(拡大クロマトグラム)である。これらの図において、1つ1つの山(ピーク)として見えているのがそれぞれの脂肪酸の種類となる。また、山の高さが含有量として計算される。特に今回の分析で注目されるのは、高度不飽和脂肪酸の1つであるEPA(エイコサペンタエン酸)のピークである。すなわち、図1の右側に拡大して示すように本件サンプルの黒豚下ロースAではこのEPAのピークが明瞭に確認されたが、図2の右側に拡大して示すように市販黒豚下ロースA(比較例)では明瞭なピークは認められなかった。
【0021】
なお、上記の図1と図2は、本実施例1を供給した黒豚の下ロース3点中のAと市販黒豚枝肉の下ロース2点中のAのガスクロマトグラフィーによる実際の分析パターンを示すものであるが、図3に、本実施例1の黒豚の下ロース3点の全て(A,B,C)と市販黒豚枝肉の下ロース2点の全て(A,B)のガスクロマトグラフィーによる分析パターンを示す。この図3を見ると、本実施例1の黒豚の下ロース3点の全て(A,B,C)と市販黒豚枝肉の下ロース2点の全て(A,B)について、本実施例1の黒豚下ロースA,B,CではEPAのピークが明瞭に確認されたが、比較例の市販黒豚下ロースA,Bでは明瞭なピークは認められなかった。
【0022】
(分析結果2)
次に、本実施例1の黒豚のバラ肉1点と市販黒豚枝肉のバラ肉2点(A,B)のガスクロマトグラフィーによる分析結果を説明する。図4に示すように,上記の図1,2,3に示す下ロースの分析結果と同様,本実施例1を供給した黒豚ではEPAの明瞭なピークが認められたのに対して、比較例の市販黒豚では2点ともほとんどピークは認められなかった。
【0023】
(分析結果3)
次に、本実施例1を供給した黒豚のバラ肉1点と市販黒豚枝肉(比較例)のバラ肉1点(A)のガスクロマトグラフィーによる各脂肪酸についての分析結果を下表1に示す。下表1に示すように、本実施例1を供給した黒豚のバラ肉における油脂分中のEPAは、比較例では100g当たり0.00gに対して100g当たり0.24gと、比較例と比べて有意に100g当たり含有量が多いことが分かった。また、本実施例1を供給した黒豚のバラ肉における油脂分中のDHAは、比較例では100g当たり0.07gに対して100g当たり0.50gと、比較例と比べて有意に100g当たり含有量が多いことが分かった。また、下表1に示すように、リノール酸やエイコサトリエン酸についても、本実施例1を供給した黒豚のバラ肉の方が比較例よりも100g当たり含有量が多いことが分かった。よって、本実施例1を供給した黒豚の枝肉には高度不飽和脂肪酸であるEPA及びDHAが市販黒豚に比べてより多く含有していることが示された。
【0024】
【表1】

【0025】
(分析結果4)
次に、本発明者は、本実施例1による略液状体(肉質改善剤)中の油脂のGC(ガスクロマトグラフィー)分析を行った。図5はこの分析過程を説明するための図である。この分析においては、図5に示すように、本件の略液状体を遠心分離して油脂を抽出、採取し、これをGC分析した。図6はこの分析結果を示す図である。この分析結果より、この略液状体についても、図6に示すように、EPAの明瞭なピークが観察された(図6の右側は同左側の拡大クロマトグラムである)。
【0026】
以上の各分析結果より、本実施例1による略液状体(肉質改善剤)中の油脂にはEPA及びDHAなどの高度不飽和脂肪酸が比較的高濃度に含有されていること、その結果、この本実施例1による略液状体(肉質改善剤)を飼料に添加して食させた家畜の肉は、本実施例1による略液状体(肉質改善剤)を添加しないで飼料を食させた家畜の肉と比較して、EPA及びDHAなどの高度不飽和脂肪酸が有意に多く含有されていることが分かった。
【0027】
(その他の解析)
本発明者は、本実施例1による略液状体(肉質改善剤)のpHを測定した結果、pH3.00〜4.50の比較的強い酸性であった。
また、本発明者は、本実施例1による略液状体(肉質改善剤)のEPA,DHA含量を測定した。すなわち、本実施例1による製造日が異なる3つの略液状体(肉質改善剤)についてそれぞれ、そのEPA,DHA含量を測定した結果が下表2である。この3つの略液状体(肉質改善剤)のEPA含量は、下表2に示すように、それぞれ、100g当たり1.74g,1.84g,1.70gで、その平均は1.76gであった。また、この3つの略液状体(肉質改善剤)のDHA含量は、下表2に示すように、それぞれ、100g当たり5.79g,7.10g,6.85gで、その平均は6.58gであった。
【0028】
【表2】

【0029】
以上のように、本実施例1による畜肉用肉質改善剤(略液状体)を使用するときは、豚肉や牛肉などの畜肉の成分としてEPA及びDHAなどの高度不飽和脂肪酸の含有量を有意に増加させることができるので、肉料理だけでも必須栄養素であるEPAやDHAなどの高度不飽和脂肪の十分な摂取を可能とすると共に豚肉や牛肉などの畜肉を食することに伴う肥満や生活習慣病などの問題の回避を可能とし、その結果、肉食が増えている現代人の健康に良好な畜肉を提供できるようになるという効果が得られる。
【0030】
また、特に、本実施例1による肉質改善剤を家畜に提供すると、畜肉の不飽和脂肪酸(口に入れたときの食感に深く関係する)の含有量を高められるので、畜肉を口解けの良いまろやかな食感を有するものにすることができる。また、特に、本実施例1による略液状の肉質改善剤は、魚料理などの食品残渣を原料としているので、極めて低コストで製造することができる。また、特に、本実施例1による肉質改善剤は略液状体であるので、保存しているタンクからポンプとパイプを介して豚舎など家畜の居る場所に容易に供給することができるので、肉質改善剤の取り扱いを大幅に効率化・低コスト化することができる。さらに、本実施例1による肉質改善剤(略液状体)は比較的強い酸性(例えばpH3.00〜4.50)を有しているため、保存のために特別に冷却する必要がなく、保存コストを大幅に低減することができる。
【0031】
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明は前記の各実施例として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施例1においては、本実施例1による肉質改善剤(略液状体)を豚に飼料と混合して食べさせた場合の豚の肉質を分析した結果について説明したが、本発明の肉質改善剤(略液状体)は豚だけでなく、牛、羊、鶏などの家畜一般の肉質を改善するためにも使用することができ、そのようにしたときでも同様の効果を得られることは当業者であれば当然に予想されるものである。
【0032】
また、本実施例1では、前述のように、「レストラン等の店舗から出る魚料理の残渣(例えば、魚が20〜30%、他に、ご飯が約30%と野菜が約40〜50%)」を原料として前記方法で製造することにより、平均して100g当たり1.76gかそれ以上のEPAが含有されると共に、平均して100g当たり6.58gかそれ以上のDHAが含有されるような略液状体(肉質改善剤)を得るようにしている。しかしながら、本発明は前述のような実施例1に限定されるものではなく、例えば、本発明の原料中の魚由来の食材廃棄物の割合を、前記実施例1のような「レストラン等の店舗から出る魚料理の残渣(例えば、魚が20〜30%、他に、ご飯が約30%と野菜が約40〜50%)」よりも増やすことにより、本発明による略液状体(肉質改善剤)中のEPA及びDHAなどの高度不飽和脂肪酸の含量をより増加させることができることはもちろんである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚類を含む残渣を粉砕、殺菌した後タンクに収容し、これに麹菌を添加して発酵させることにより略液状に変化させて成る、略液状の畜肉用肉質改善剤であって、トウモロコシなどの家畜用飼料に添加して家畜に摂取させることにより、畜肉の脂肪中の高度不飽和脂肪酸の含有量を増加させるために使用されることを特徴とする、畜肉用肉質改善剤。
【請求項2】
請求項1において、上記畜肉用肉質改善剤は、少なくとも油脂分中100g当たり1.70g以上のEPA(エイコサペンタエン酸)を含有している、ことを特徴とする、畜肉用肉質改善剤。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記畜肉用肉質改善剤は、少なくとも油脂分中100g当たり6.58g以上のDHA(ドコサヘキサエン酸)を含有している、ことを特徴とする、畜肉用肉質改善剤。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかの畜肉用肉質改善剤を製造するための方法であって、レストラン等の店舗から出る魚料理を含む残渣を回収、破砕、殺菌してタンクに収容し、このタンクに収容した残渣に麹菌を投入して約20〜30時間、略液状になるまで発酵させるようにした、ことを特徴とする畜肉用肉質改善剤の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−147402(P2011−147402A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12144(P2010−12144)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(305044682)康正産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】