説明

畦保護用ブロック及び畦の保護方法

【課題】並べたブロックの高さを揃え、ブロックの倒れ込みを防止し、畦がカーブしていても設置可能な畦保護用ブロック及び畦の保護方法を提供する。
【解決手段】この畦保護用ブロック10は、側面ブロック20と上面ブロック40とを備え、側面ブロック20は底部21と立壁部22とを有し、立壁部22の幅方向一端面の厚さ方向一側から第1突出部24が突出し、他側が第1へこみ部28をなし、幅方向他端面の厚さ方向一側が第2へこみ部28をなし、他側から第2突出部29が突出し、第2へこみ部28の下端に支持面32が形成され、立壁部22の上端面には、厚さ方向の畦側から第3突出部34が突出し、畦外側に第3へこみ部35設けられており、前記上面ブロック40の畦外側縁部から下方に突部42が突出し、該突部42が立壁部22の第3へこみ部35に嵌合するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畦を保護するための畦保護用ブロック、及び、該畦保護用ブロックを用いた畦の保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、複数の田端の境界には畦が設けられている。この畦は、スキやクワ等で泥や土を土手のように盛り固めて作られるが、重労働であるため、畦作り専用の装置をトラクター等に取付けて、畦作りをすることもある。
【0003】
しかし、上記トラクター等は高価でありレンタル料も高額なので、コストがかさむというデメリットがある。また、畦は、その側面や上面から雑草が生えたり、モグラやザリガニ等により孔が開けられたりすることも多いので、毎年作り直す必要があり、手間暇がかかっていた。更に、夏場になると、畦には雑草が生い茂りやすく、作物の成長に悪影響を与える虞れがあるが、夏場の草刈りは重労働であった。
【0004】
上記問題に対応するため、下記特許文献1には、田の畦の一側壁を適宜長さ覆う立壁部と、該立壁部の下端から略水平に延設され田の土に据付け状態で配置される据え付け部とを備え、前記立壁部の一側端厚み面に上端から下端まで突条部を有し、かつ前記立壁部の他側端厚み面に上端から下端まで前記突条部形状を嵌合可能な凹条部を有していることを特徴とする畦保護ブロックが記載されている。
【0005】
上記畦ブロックを、畦に設置する際には、畦の底面に据え付け部を載置し、畦の一側壁を立壁部で覆うようにして配置する。そして、この畦ブロックに隣接して他の畦ブロックを配置し、立壁部一側の突条部と立壁部他側の凹条部とを嵌合させることにより、隣接する畦ブロックどうしが接続されるようになっている。
【0006】
また、畦の上面には、別の形態の畦ブロック(以下、「上面ブロック」という)が載置されるようになっている。この上面ブロックは、前記畦ブロックと同様に、立壁部と、据え付け部とを有している。そして、立壁部を水平にして畦上面に載置すると共に、据え付け部を、前記畦ブロックの立壁部上方及び畦の一側壁上方の間に配置にすることにより、上面ブロックが設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−280046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1記載の畦ブロックにおいては、隣接するブロックどうしが突条部及び凹条部により凹凸嵌合して接続されている。しかしながら、各畦ブロックの突条部及び凹条部は、立壁部の上端から下端に至るまで形成されているので、畦の底面が軟らかい場合には、特定の畦ブロックが沈み込むことがあり、複数並べた畦ブロックの高さを揃えることは難しい。
【0009】
また、畦ブロックは、上面ブロックの据え付け部に、畦ブロックの立壁部の上部裏面が接するように設置される。しかし、上面ブロックに荷重がかかって、側面から畦ブロックが押されると、畦ブロックが倒れてしまう可能性がある。
【0010】
更に、畦は直線的に形成されるとは限らず、曲面状にカーブしている場合もある。しかしながら、上記特許文献1の畦ブロックでは、畦のカーブに沿ってブロックを配置しようとすると、凹条部に対して突条部が斜めに入り込む必要があるので、凹条部に突条部を差し込みにくくなり、両ブロック間に大きな隙間が生じたり、ブロック間の連結力が低下したりする等というデメリットが生じる。
【0011】
したがって、本発明の目的は、複数並べたブロックの高さを揃えることができると共に、畦側面に配置されるブロックの畦外側への倒れ込みを防止し、更に畦がカーブしていても隙間なく設置することができる、畦保護用ブロック及び畦の保護方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の畦保護用ブロックは、畦の側面に配設される側面ブロックと、畦の上面に配設される上面ブロックとを備えた畦保護用ブロックにおいて、前記側面ブロックは、底部と、該底部に対して畦側に向けて傾斜して立設された立壁部とを有し、前記底部は前記立壁部に対して畦側に突出して前記側面ブロックを自立可能にしており、前記立壁部の幅方向両端面には、厚さ方向の一側が突出し、他側がへこんで段部が設けられ、前記突出部とへこみ部との位置は、幅方向両端面において反対となっており、前記へこみ部の下端には前記底部による支持面が形成されており、前記立壁部の上端面には、厚さ方向の畦側が突出し、畦外側がへこんで段部が設けられており、前記上面ブロックの畦外側に配置される縁部には、下方に突出する突部が設けられていて、該突部が前記立壁部の上端面のへこみ部に嵌合するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、側面ブロックは、底部と該底部に対して畦側に傾斜した立壁部を有し、底部は、立壁部に対して畦側に突出して側面ブロックを自立可能にしているので、畦の側面に沿って側面ブロックを自立させて容易に配置することができる。また、立壁部が畦側に傾斜しているので、側面ブロックが畦外側に倒れにくくすることができる。
【0014】
また、立壁部の幅方向両端面には、厚さ方向の一側が突出し、他側がへこんで段部が設けられ、突出部とへこみ部との位置は、幅方向両端面において反対となっており、へこみ部の下端には底部による支持面が形成されているので、隣接する側面ブロックどうしの幅方向突き合わせ面に形成された一方の突出部を他方のへこみ部に嵌合させると共に、一方の突出部の下端面を他方の底部による支持面に乗せて配置することができ、側面ブロックどうしを隙間無く並べて防草効果を高めると共に、隣接するブロックどうしの高さを合わせやすくすることができる。
【0015】
更に、隣接する側面ブロックの突部とへこみ部とを嵌合させた状態で、両側面ブロックの平面的に見た突き合わせ角度を変化させることができ、畦がカーブしている場合でも柔軟に対応することができる。
【0016】
更にまた、上面ブロックの畦外側に配置される縁部に設けられた突部を、前記立壁部の上端面のへこみ部に嵌合させることにより、上面ブロックと立壁部との隙間を無くして、更に防草効果を高めると共に、側面ブロックが畦外側に倒れることをより確実に防止することができる。このように防草効果が高いので、夏場に草刈りを行う必要がなくなり、労力を著しく軽減することができる。
【0017】
本発明の畦保護用ブロックにおいては、前記側面ブロックの少なくとも前記底部は、その両端面が畦側に向けて幅狭になる斜面をなしていることが好ましい。これによれば、畦がカーブしていて、施工すべき側面が該カーブの凸側となっている場合、側面ブロックの底部が畦側に向けて幅狭の斜面をなしているので、隣接する側面ブロックどうしの幅方向両端面に形成された一方の突部を他方のへこみ部に嵌合させた状態で、両側面ブロックの平面的に見た突き合わせ角度を該カーブに適合するように調整することができ、カーブにおいても、側面ブロックどうしの間に隙間が生じるのを防ぐことができる。
【0018】
本発明の畦保護用ブロックにおいては、前記上面ブロックには、該上面ブロックを貫通させて畦の上部に突き刺す杭を挿通させるための孔が設けられていることが好ましい。これによれば、上面ブロックに設けられた孔を通して、杭を畦の上部に突き刺しておくことにより、上面ブロックの位置ずれを防止して、側面ブロックの畦外側への倒れ込みをより確実に防ぐことができる。その結果、田んぼの作業の際に、上面ブロックの上を安心して歩行できる。
【0019】
本発明の畦保護用ブロックにおいては、前記上面ブロックの畦の経路方向に向いた両端面には、厚さ方向の一側が突出し、他側がへこんで段部が設けられ、突出部とへこみ部との位置は、上記両端面において反対となっていることが好ましい。これによれば、隣接する上面ブロックどうしの両端面に形成された一方の突部を他方のへこみ部に嵌合させて配置することができ、上面ブロックどうしを隙間無く並べて防草効果を高めることができる。
【0020】
一方、本発明の畦の保護方法は、上記の畦保護用ブロックを用いて畦を保護する方法であって、隣接する側面ブロックどうしの幅方向両端面に形成された一方の突部を他方のへこみ部に嵌合させると共に、一方の突部の下端面を他方の底部による支持面に乗せて配置することにより、畦の側面に沿って前記側面ブロックを並べて設置し、該側面ブロックの底部周辺を土盛りして固める側面ブロック設置工程と、前記上面ブロックの畦外側に配置される縁部に設けられた突部を、隣接する2つの側面ブロックの立壁部の上端面のへこみ部に嵌合するように、前記上面ブロックを前記畦の上面に沿って設置する上面ブロック設置工程とを含むことを特徴とする。
【0021】
上記発明によれば、本発明の畦保護用ブロックを用いて、比較的容易な作業で、畦の側面及び上面を覆って保護することができる。その際、隣接する側面ブロックどうしの幅方向両端面に形成された一方の突部を他方のへこみ部に嵌合させると共に、一方の突部の下端面を他方の底部による支持面に乗せて配置することができ、側面ブロックどうしを隙間無く並べて防草効果を高めると共に、隣接するブロックどうしの高さを合わせやすくすることができる。
【0022】
また、上面ブロックの畦外側に配置される縁部に設けられた突部を、隣接する2つの側面ブロックの立壁部の上端面のへこみ部に嵌合するように、前記上面ブロックを前記畦の上面に沿って設置することにより、側面ブロックと上面ブロックとの連結力を高めることができ、強度をより高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、隣接する側面ブロックどうしの幅方向両端面に形成された一方の突出部を他方のへこみ部に嵌合させると共に、一方の突出部の下端面を他方の底部による支持面に乗せて配置することができ、側面ブロックどうしを隙間無く並べて防草効果を高めると共に、隣接するブロックどうしの高さを合わせやすくすることができる。
【0024】
更に、隣接する側面ブロックの突部とへこみ部とを嵌合させた状態で、両側面ブロックの平面的に見た突き合わせ角度を変化させることができ、畦がカーブしている場合でも柔軟に対応することができる。
【0025】
更にまた、上面ブロックの畦外側に配置される縁部に設けられた突部を、前記立壁部の上端面のへこみ部に嵌合させることにより、上面ブロックと立壁部との隙間を無くして、更に防草効果を高めると共に、側面ブロックが畦外側に倒れることをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の畦保護用ブロックの一実施形態を示しており、同畦保護用ブロックを構成する側面ブロックの斜視図である。
【図2】同畦保護用ブロックを構成する上面ブロックの斜視図である。
【図3】(a)は側面ブロックの平面図、(b)は畦の側面に沿って、複数の側面ブロックを並べて設置した状態を示す平面図である。
【図4】畦保護用ブロックの設置工程を示しており、(a)は第1設置工程の説明図、(b)は第2設置工程の説明図、(c)は第3設置工程の説明図である。
【図5】畦保護用ブロックの設置工程を示しており、(a)は第4設置工程の説明図、(b)は第5設置工程の説明図である。
【図6】畦に畦保護用ブロックを設置した状態を示す斜視図である。
【図7】畦に畦保護用ブロックを設置した状態を示しており、図6とは上面ブロックの配置位置を変えた場合での斜視図である。
【図8】畦がカーブしている場合の側面ブロックの設置状態を示しており、(a)は凸状をなした畦の側面に側面ブロックを設置したときの説明図、(b)は凹状をなした畦の側面に側面ブロックを設置したときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の畦保護用ブロック及び畦の保護方法の一実施形態について説明する。
【0028】
まず、畦保護用ブロックについて説明する。図6に示すように、この畦保護用ブロック10は、畦1の側面2に配設される側面ブロック20と、畦1の上面3に配設される上面ブロック40とを備えている。
【0029】
図1を参照すると、この実施形態における側面ブロック20は、一方向に長く伸びる板状をなし、畦1の底面5(図4参照)に配置される底部21と、この底部21の、畦1の側面2から遠い長手方向一側縁から、畦側に向けて傾斜して立設された立壁部22とを有し、底部21は立壁部22に対して畦側に突出して、側面ブロック20を自立可能としている。
【0030】
図1及び図3(a)に示すように、立壁部22の幅方向一端面には、厚さ方向の畦外側から第1突出部24が突出し、厚さ方向の畦側がへこんで第1へこみ部25をなし、両者の間に第1段部26が設けられている。
【0031】
なお、「畦外側」とは、畦1の側面2から離れた側を意味し、「畦側」とは、畦1の側面2に近い側を意味しており、以下の説明においても同様である。
【0032】
一方、立壁部22の幅方向他端面には、厚さ方向の畦外側がへこんで第2へこみ部28をなし、厚さ方向の畦側から第2突出部29が突出して、両者の間に第2段部30が設けられている。また、前記第2へこみ部28の下端は、底部21に突き当たり、ここに支持面32が形成されている。
【0033】
このように、突出部24,29とへこみ部25,28との位置は、幅方向両端面において反対となっている。なお、上記形態とは逆に、立壁部22の幅方向一端面(図1中の左側端面)の畦外側をへこませ、畦側を突出させると共に、幅方向他端面(図1中の右側端面)の畦外側を突出させ、畦側をへこませてもよい。
【0034】
また、図1及び図3(a)に示すように、底部21の両端面と、立壁部22の両端面(第1突出部24、第1へこみ部25、第2へこみ部28、第2突出部29)は、平面的に見て、畦側に向けて次第に幅狭になる斜面をなしている。なお、底部21の両端面だけが上記のような斜面をなしていてもよい。また、底部21の両端面の斜面は、両端面の途中から畦側に向けて斜面をなしていてもよい。
【0035】
更に、立壁部22の上端面には、厚さ方向の畦側が突出して第3突出部34をなしており、厚さ方向の畦外側がへこんで第3へこみ部35をなし、両者の間に第3段部36が設けられている。
【0036】
一方、畦1の上面3に載置される上面ブロック40は、図2に示すように、前記側面ブロック20に適合する幅の板状をなし、その畦外側に配置される縁部には、下方に向けて突部42が突出し、この突部42が、前記側面ブロック20の立壁部22上端の第3へこみ部35に嵌合するようになっている。
【0037】
また、上面ブロック40の、畦1の経路方向に向いた一端面には、厚さ方向の一側(上半部)から第4突出部44が突出し、厚さ方向の他側(下半部)がへこんで第4へこみ部45をなし、両者の間に第4段部46が設けられている。
【0038】
一方、上面ブロック40の、畦1の経路方向に向いた他端面には、厚さ方向の一側(上半部)がへこんで第5へこみ部48をなし、厚さ方向の他側(下半部)から第5突出部49が突出し、両者の間に第5段部50が設けられている。
【0039】
すなわち、この上面ブロック40においても、前記側面ブロック20と同様に、突出部44,49とへこみ部45,48との位置は、幅方向両端面において反対となっている。なお、上記形態とは逆に、上面ブロック40の一端面(図2中の左側端面)上半部をへこませ、下半部を突出させると共に、他端面(図2中の右側端面)上半部を突出させ、下半部をへこませてもよい。
【0040】
また、上面ブロック40の、突部42とは離れた側部の幅方向中央には、畦1の上部に突き刺すための杭7(図5参照)を挿通させるための孔52が形成されている。
【0041】
以上の側面ブロック20及び上面ブロック40は、例えば、セメント、砂利、砂、水、混和剤等を混練してなるコンクリート材料によって製造することができる。
【0042】
次に、本発明の畦保護用ブロック10を用いて行われる、本発明の畦の保護方法について説明する。本発明の畦の保護方法は、側面ブロック設置工程と、上面ブロック設置工程とを含むものである。
【0043】
始めに側面ブロック設置工程について説明すると、図4(a)に示すように、田畑の境界に設けられた畦1の側面2外側に、側面ブロック設置用の穴6を掘って、土Mを穴6の側部に盛り上げておくと共に、畦1の上面3を平らにならしておく。
【0044】
そして、側面ブロック20の底部21を畦1の底面5に載置し、立壁部22を畦1の側面2外側に位置させて(図4(b)参照)、所定の側面ブロック20を畦1に配置する。このとき、この側面ブロック20においては、その底部21が立壁部22に対して畦側に突出し、立壁部22が畦側に傾斜して、側面ブロック20を自立可能にしているので、畦1の側面2に沿って側面ブロック20を自立させて容易に配置することができる。また、立壁部22が、底部21に対して畦側に傾斜しているので、側面ブロック20が畦外側に倒れにくくすることができる。
【0045】
次いで、畦1に配置した側面ブロック20の第2へこみ部28に、他の側面ブロック20の第1突出部24を嵌合させ、この第1突出部24の下端面を前記側面ブロック20の支持面32に乗せて、他の側面ブロック20を配置する(図6の部分拡大図参照)。この作業を繰り返し、畦1の側面2に沿って複数の側面ブロック20を並べて設置する(図3(b)及び図6参照)。
【0046】
このとき、この側面ブロック20の立壁部22の幅方向両端面には、厚さ方向一側から第1突出部24及び第2突出部29が突出し、厚さ方向他側がへこんで第1へこみ部25及び第2へこみ部28をなし、第2へこみ部28の下端に支持面32が形成されているので(図1参照)、隣接する側面ブロックどうしの第1突出部24を第2へこみ部28に嵌合させると共に、第1突出部24の下端面を支持面32に乗せて配置することができ、隣接する側面ブロック20,20どうしを隙間無く並べて防草効果を高めると共に、隣接する側面ブロック20,20どうしの高さを合わせやすくすることができる。
【0047】
上記のように、畦1の側面2に沿って複数の側面ブロック20を並べて設置した後、図4(b)に示すように、各側面ブロック20の外側と穴6との間に土Mを充填し、側面ブロック20の底部周辺を土盛して固めることにより、側面ブロック20を動かないように設置する。
【0048】
次いで、図4(c)に示すように、各側面ブロック20の立壁部22の内側にも土Mを充填する。なお、土Mの充填前に、側面ブロック20の内側面に沿って合成樹脂等からなるシート(例えば、ビニールシート)を配置して、このシートの内側に土Mを充填するようにしてもよい。この場合、側面ブロック20及びその内側面のシートSの両者によって、草の繁殖を防止して防草効果をより高めることができるだけでなく、漏水防止の効果をもたらすことができる。
【0049】
次いで上面ブロック設置工程について説明する。すなわち、図5(a)に示すように、畦1の上面3に上面ブロック40を載置して、その突部42を側面ブロック20の第3へこみ部35に嵌合させて、畦1の上面3に上面ブロック40を配置する。ここでは図6に示すように、側面ブロック20の第2へこみ部28の端面に対して、上面ブロック40の第5突出部49がやや突出し、同第2へこみ部28の端面に第5へこみ部48の端面がほぼ整合するように、上面ブロック40を配置する。
【0050】
このように、上面ブロック40の突部を、側面ブロック20の第3へこみ部35に嵌合させることにより、上面ブロック40と側面ブロック20の立壁部22との隙間を無くして、更に防草効果を高めると共に、側面ブロック20が畦外側に倒れることをより確実に防止することができる。
【0051】
すなわち、上面ブロック40に大きな荷重がかかっても、側面ブロック20によって沈み込みが防止され、側面ブロック20に対して畦側面から強い圧力がかかっても、側面ブロック20の第3へこみ部35に、上面ブロック40の突部42が嵌合しているので、側面ブロック20が畦外側に倒れることを防止できるのである。
【0052】
そして、畦1の上面3に配置した上面ブロック40の第5へこみ部48に、他の上面ブロック40の第4突出部44を嵌合させて、第4突出部44の下端面を第5段部50に乗せて、他の上面ブロック40を配置する。この作業を繰り返して、畦1の上面3に沿って複数の上面ブロック40を並べて設置する(図6参照)。
【0053】
上記のように、上面ブロック40の第4突出部44を、隣接する上面ブロック40の第5へこみ部48に嵌合させて配置することができるので、隣接する上面ブロック40,40どうしを隙間無く並べて防草効果を高めることができる。
【0054】
その後、上面ブロック40に設けられた孔52に、合成樹脂等で形成され、軸部と該軸部の基端からフランジ状に広がる笠部(頭部)とを有する杭7を差し込んで、この杭7の笠部を木槌等で叩いて、孔52を通して杭7を畦1の上部に突き刺すことで、上面ブロック40の設置が完了する(図5(b)参照)。
【0055】
このように、上面ブロック40の孔52を通して、杭7を畦1の上部に突き刺しておくことにより、上面ブロック40の位置ずれを防止して、側面ブロック20の畦外側への倒れ込みをより確実に防ぐことができる。
【0056】
以上のように、この畦の保護方法によれば、本発明に係る畦保護用ブロック10を、上述した側面ブロック設置工程及び上面ブロック設置工程により設置することで、比較的簡単な作業で、畦1の側面2及び上面3を確実に覆って保護することができる。
【0057】
なお、上記の上面ブロック設置工程では、側面ブロック20の第2へこみ部28の端面に第5へこみ部48の端面が整合するように、上面ブロック40を配置したが(図6参照)、次のように上面ブロック40を設置してもよい。
【0058】
例えば、図7に示すように、隣接する2つの側面ブロック20,20の各第3へこみ部35,35に亘って、上面ブロック40の突部42を嵌合するように、畦1の上面3に沿って複数の上面ブロック40を並べて設置する。すなわち、隣接する2つの側面ブロック20,20との間に、上面ブロック40が跨るように設置する。このように上面ブロック40を設置することで、隣接する側面ブロック20,20と上面ブロック40との連結力を高めることができ、強度をより高めることができる。
【0059】
ところで、上述した実施形態では、畦1の側面2が直線状となっているが、畦1の側面2が曲面状にカーブしている場合もある。このような場合でも、この畦保護用ブロック10では対応することができる。
【0060】
図8(a)には、畦1がカーブしていて、その側面2がカーブの凸側となっている場合が示されている。そして、この実施形態における側面ブロック20は、少なくとも底部21の幅方向端面が畦側に向けて幅狭の斜面をなしている(図1及び図3(a)参照)。そのため、側面ブロック20の第1突出部24を隣接する側面ブロック20の第2へこみ部28に嵌合させた状態で、隣接する側面ブロック20,20の平面的に見た突き合わせ角度を、畦1の側面2のカーブに適合するように調整することができるので、畦1の側面2に沿って複数の側面ブロック20を並べて設置することができ、カーブにおいても、側面ブロック20,20どうしの間に隙間が生じるのを最大限防止することができ、かつ、側面ブロック20,20間の連結力を維持することができる。
【0061】
図8(b)には、図8(a)とは反対側に畦1がカーブしている場合、すなわち、畦1の側面2がカーブの凹み側となっている場合が示されている。この場合も、側面ブロック20の第1突出部24を隣接する側面ブロック20の第2へこみ部28に嵌合させた状態で、隣接する側面ブロック20,20の平面的に見た突き合わせ角度を、畦1の側面2のカーブに適合するように適宜調整することで、畦1の側面2に沿って複数の側面ブロック20を並べて設置することができ、ブロック20,20間の隙間を防止すると共に連結力を維持することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 畦
2 側面
3 上面
5 底面
6 穴
7 杭
10 畦保護用ブロック
20 側面ブロック
21 底部
22 立壁部
24 第1突出部
25 第1へこみ部
26 第1段部
28 第2へこみ部
29 第2突出部
30 第2段部
32 支持面
34 第3突出部
35 第3へこみ部
36 第3段部
40 上面ブロック
42 突部
44 第4突出部
45 第4へこみ部
46 第4段部
48 第5へこみ部
49 第5突出部
50 第5段部
52 孔
M 土

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畦の側面に配設される側面ブロックと、畦の上面に配設される上面ブロックとを備えた畦保護用ブロックにおいて、
前記側面ブロックは、底部と、該底部に対して畦側に向けて傾斜して立設された立壁部とを有し、前記底部は前記立壁部に対して畦側に突出して前記側面ブロックを自立可能にしており、
前記立壁部の幅方向両端面には、厚さ方向の一側が突出し、他側がへこんで段部が設けられ、前記突出部とへこみ部との位置は、幅方向両端面において反対となっており、前記へこみ部の下端には前記底部による支持面が形成されており、
前記立壁部の上端面には、厚さ方向の畦側が突出し、畦外側がへこんで段部が設けられており、
前記上面ブロックの畦外側に配置される縁部には、下方に突出する突部が設けられていて、該突部が前記立壁部の上端面のへこみ部に嵌合するように構成されていることを特徴とする畦保護用ブロック。
【請求項2】
前記側面ブロックの少なくとも前記底部は、その両端面が畦側に向けて幅狭になる斜面をなしている請求項1記載の畦保護用ブロック。
【請求項3】
前記上面ブロックには、該上面ブロックを貫通させて畦の上部に突き刺す杭を挿通させるための孔が設けられている請求項1又は2記載の畦保護用ブロック。
【請求項4】
前記上面ブロックの畦の経路方向に向いた両端面には、厚さ方向の一側が突出し、他側がへこんで段部が設けられ、突出部とへこみ部との位置は、上記両端面において反対となっている請求項1〜3のいずれか1つに記載の畦保護用ブロック。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の畦保護用ブロックを用いて畦を保護する方法であって、隣接する側面ブロックどうしの幅方向両端面に形成された一方の突部を他方のへこみ部に嵌合させると共に、一方の突部の下端面を他方の底部による支持面に乗せて配置することにより、畦の側面に沿って前記側面ブロックを並べて設置し、該側面ブロックの底部周辺を土盛りして固める側面ブロック設置工程と、前記上面ブロックの畦外側に配置される縁部に設けられた突部を、隣接する2つの側面ブロックの立壁部の上端面のへこみ部に嵌合するように、前記上面ブロックを前記畦の上面に沿って設置する上面ブロック設置工程とを含むことを特徴とする畦の保護方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−21330(P2012−21330A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160360(P2010−160360)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(591172906)株式会社赤城商会 (3)