説明

畦塗り機

【課題】硬さが均一な畦側面を形成できる畦塗り機を提供する。
【解決手段】畦塗り機は、土を盛り上げる盛土体と、盛り上げた土を締め固めて傾斜面状の畦側面を形成する略円錐台状の回転可能な畦側面形成体24とを備える。畦側面形成体24の縮径側端部には、土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する略円筒状の回転可能な畦上面形成体25を設ける。畦上面形成体25は、土を畦側面形成体24側に向けて移動させる突部26を外周面に有する。突部26は、畦側面形成体24から離れるに従って回転方向に向う螺旋状に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬さが均一な畦側面を形成できる畦塗り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば土を盛り上げる盛土体と、盛土体にて盛り上げられた土を締め固めて傾斜面状の畦側面を形成する略円錐台状の回転可能な畦側面形成体と、畦側面形成体の縮径側端部に設けられ外周面が円筒面にて構成され盛土体にて盛り上げられた土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する回転可能な畦上面形成体とを備えた畦塗り機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−305028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の畦塗り機の場合、畦側面の上部では下部に比べて土が落下しやすいため、畦側面形成体の縮径側の土量が不足してしまい、畦側面の硬さが不均一になるおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、硬さが均一な畦側面を形成できる畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の畦塗り機は、土を盛り上げる盛土体と、この盛土体にて盛り上げられた土を締め固めて傾斜面状の畦側面を形成する略円錐台状の回転可能な畦側面形成体と、この畦側面形成体の縮径側端部に設けられ、前記盛土体にて盛り上げられた土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する略円筒状の回転可能な畦上面形成体とを備え、前記畦上面形成体は、前記盛土体にて盛り上げられた土を前記畦側面形成体側に向けて移動させる突部を外周面に有するものである。
【0006】
請求項2記載の畦塗り機は、請求項1記載の畦塗り機において、突部は、畦側面形成体から離れるに従って回転方向に向う螺旋状に形成されているものである。
【0007】
請求項3記載の畦塗り機は、請求項1記載の畦塗り機において、突部は、畦側面形成体から離れるに従って回転方向に向う螺旋状に形成され、土を徐々に加圧するように厚さ寸法が回転方向に向って徐々に減少する突板部にて構成され、畦上面形成体は、側面視でその畦上面形成体の回転中心軸線を中心とする円形状をなすものである。
【0008】
請求項4記載の畦塗り機は、請求項1記載の畦塗り機において、突部は、畦側面形成体から離れるに従って回転方向に向う螺旋状の突条部にて構成されているものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、畦上面形成体が盛土体にて盛り上げられた土を畦側面形成体側に向けて移動させる突部を外周面に有するため、畦側面形成体の縮径側に所望の土量を確保でき、硬さが均一な畦側面を形成できる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、突部が畦側面形成体から離れるに従って回転方向に向う螺旋状に形成されているため、その螺旋状の突部によって盛土体にて盛り上げられた土を畦側面形成体側に向けてスムーズに移動させることができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、螺旋状の突板部によって盛土体にて盛り上げられた土を畦側面形成体側に向けてスムーズに移動させることができ、また、厚さ寸法が回転方向に向って徐々に減少する突板部によって土を徐々に加圧でき、しかも、畦上面形成体が側面視でその畦上面形成体の回転中心軸線を中心とする円形状をなすため、畦上面形成体の上下振動を抑制できる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、螺旋状の突条部によって盛土体にて盛り上げられた土を畦側面形成体側に向けてスムーズに移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の畦塗り機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1において、1は畦塗り機で、この畦塗り機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結されて使用される牽引式のものである。
【0015】
畦塗り機1は、トラクタの後部の3点リンク(作業機昇降支持装置)に連結された機体2と、機体2の一側前部に回転可能に設けられ田面および畦(元畦)の土を耕耘して畦側面および畦上面に盛り上げる盛土体3と、機体2の一側後部に回転可能に設けられ盛土体3の後方で左右水平方向の回転中心軸線Xを中心として回転しながら盛土体3にて盛り上げられた土を締め固めて新たな畦(新畦)Aを形成する畦形成部4と、盛土体3の前方で元畦の畦上面を削る回転可能な上面削り部5とを備えている。
【0016】
機体2は、トラクタの後部の3点リンクに連結された固定機枠7を有している。固定機枠7には回動アーム8の一端部が回動可能に取り付けられ、この回動アーム8の他端部には可動機枠9が回動可能に取り付けられている。そして、可動機枠9に、盛土体3、畦形成部4および上面削り部5がそれぞれ回転可能に設けられている。
【0017】
固定機枠7は、軸保持部10を有し、この軸保持部10には略前後方向の入力軸11が回転可能に設けられ、この入力軸11はトラクタのPTO軸にジョイントおよび伝動シャフト等を介して接続されている。一方、可動機枠9は、伝動ケースを兼ね備えたものであり、この可動機枠9は軸保持部12を有し、この軸保持部12には中間入力軸13が回転可能に設けられ、この中間入力軸13は入力軸11にジョイントおよび伝動シャフト等を介して接続されている。
【0018】
盛土体3は、可動機枠9にて回転可能に軸支された回転軸21と、回転軸21に突設されこの回転軸21と一体となって回転しながら田面および畦の土を耕耘して畦側面および畦上面に盛り上げる複数の盛土爪22とを有している。複数の盛土爪22の上方部は、図示しないカバー体にて覆われている。盛土体3の回転軸21は、中間入力軸13側からの動力で所定方向に駆動回転する。
【0019】
畦形成部4は、可動機枠9にて回転可能に軸支された回転軸23と、回転軸23と一体となって回転中心軸線Xを中心として回転方向aに回転しながら盛土体3にて盛り上げられた土を締め固めて田面側に向って下り傾斜面状の畦側面Bを形成する略円錐台状の回転可能な畦側面形成体24と、畦側面形成体24の縮径側端部に設けられ回転軸23と一体となって回転中心軸線Xを中心として回転方向aに回転しながら盛土体3にて盛り上げられた土を締め固めて水平面状の畦上面Cを形成する略円筒状の回転可能な畦上面形成体25とを備えている。畦形成部4の回転軸23は、中間入力軸13側からの動力で所定方向である回転方向aに駆動回転する。
【0020】
ここで、畦上面形成体(上面ローラ)25は、図2ないし図4に示すように、この畦上面形成体25の回転時に、盛土体3にて元畦の畦上面に盛り上げられた土を締め固めるとともに、土の一部を畦側面形成体24側つまり畦側面形成体24の縮径側端部に向けて移動させる複数、例えば4つの螺旋状の突部26を外周面に有している。
【0021】
各突部26は、畦側面形成体24から離れるに従って回転方向aに向う螺旋状に形成され土を徐々に加圧するように厚さ寸法が回転方向aに向って徐々に減少すると凸状の突面部である突板部27にて構成されている。
【0022】
そして、畦上面形成体25は、この畦上面形成体25の上下振動が抑制されるように側面視で回転中心軸線Xを中心とする円形状をなすものである(図4参照)。すなわち、畦上面形成体25の外形線は側面視で回転中心軸線Xを中心とする円であり、つまり、4つの突板部27は、畦上面形成体25を側面からみて回転中心軸線Xを中心とする円周上に切れ間なく連続して位置するように配設されている。そして、隣接する突板部27のうちの一方の突板部27の回転方向前端と他方の突板部27の回転方向後端との連接部分に、畦側面形成体24から離れるに従って回転方向aに向う螺旋状の段差28が形成されている。
【0023】
なお、畦上面形成体25は、例えば外周面が円筒面状の円筒部材の外周面に、幅方向一端から幅方向他端に向って徐々に厚さ寸法が減少する複数枚の板状部材を貼り付けて製作する。
【0024】
一方、畦側面形成体24は、図2に示されるように、円錐台状のベース31と、このベース31の外周面側に回転中心軸線Xを中心として放射状に設けられ回転方向aに並んで位置する略扇形状でかつやや湾曲面状の複数の作用板(ディスク)32とを有している。
【0025】
次に、上記畦塗り機1の作用等を説明する。
【0026】
トラクタの後部の3点リンクに畦塗り機1を連結してトラクタを走行させると、畦塗り機1はトラクタとともに進行方向前方に向って移動し、盛土体3、畦形成部4および上面削り部5がそれぞれ駆動回転する。
【0027】
そして、盛土体3にて土が元畦の畦側面および畦上面に盛り上げられ、回転中心軸線Xを中心として回転方向aに回転する畦側面形成体24にて土が締め固められて傾斜面状の畦側面Bが形成され、かつ回転中心軸線Xを中心として回転方向aに回転する畦上面形成体25にて土が締め固められて畦上面Cが形成される。このとき、畦上面形成体25の螺旋状の突板部27にて土が畦側面形成体24の縮径側端部に向って移動して畦側面形成体24の縮径側端部付近に土が供給されるため、畦側面形成体24の縮径側に所望の土量が確保される。
【0028】
このように、畦塗り機1によれば、畦上面形成体25が盛土体3にて盛り上げられた土を畦側面形成体24側に向けて移動させる螺旋状の突部26、すなわち例えば突板部27を外周面に有するため、畦側面上部で土が落下したとしても、畦側面形成体24の縮径側に所望の土量を確保でき、硬さが均一な畦側面Bを形成できる。
【0029】
また、螺旋状の突板部27によって盛土体3にて盛り上げられた土を畦側面形成体24側に向けてスムーズに移動させることができ、また、厚さ寸法が回転方向に向って徐々に減少する突板部27によって土を徐々に加圧でき、効果的に締め固めができ、しかも、畦上面形成体25が側面視で回転中心軸線Xを中心とする円形状をなすため、畦上面形成体25の上下振動を抑制でき、よって従来より硬く締め固められた畦上面Cを形成することができる。
【0030】
なお、上記実施の形態では、畦上面形成体25が4つの螺旋状の突板部27を外周面に有する構成について説明したが、螺旋状の突板部27の数は任意で、3つ、6つ、8つ等でもよく、また図5および図6に示すように、畦上面形成体25が1つの螺旋状の突板部27を外周面に有する構成でもよい。この構成では、1つの突板部27の回転方向後端に畦側面形成体24から離れるに従って回転方向aに向う螺旋状の段差28が形成されている。
【0031】
また、例えば図7に示すように、突部26を畦側面形成体24から離れるに従って回転方向aに向う複数、例えば4つの螺旋状の細長板或いは丸棒等の突条部33にて構成したものでもよい。各突条部33は、円筒状本体部34の円筒面状の外周面に突設され、円筒状本体部34の軸方向一端から他端にわたって位置している。なお、突条部33の数は任意で、3つ、6つ、8つ等でもよく、また1つでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態に係る畦塗り機の概略平面図である。
【図2】同上畦塗り機の畦形成部の斜視図である。
【図3】同上畦形成部の畦上面形成体の斜視図である。
【図4】同上畦上面形成体の側面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る畦塗り機の畦上面形成体の斜視図である。
【図6】同上畦上面形成体の側面図である。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態に係る畦塗り機の畦上面形成体の斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 畦塗り機
3 盛土体
24 畦側面形成体
25 畦上面形成体
26 突部
27 突板部
33 突条部
a 回転方向
B 畦側面
C 畦上面
X 回転中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土を盛り上げる盛土体と、
この盛土体にて盛り上げられた土を締め固めて傾斜面状の畦側面を形成する略円錐台状の回転可能な畦側面形成体と、
この畦側面形成体の縮径側端部に設けられ、前記盛土体にて盛り上げられた土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する略円筒状の回転可能な畦上面形成体とを備え、
前記畦上面形成体は、前記盛土体にて盛り上げられた土を前記畦側面形成体側に向けて移動させる突部を外周面に有する
ことを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】
突部は、畦側面形成体から離れるに従って回転方向に向う螺旋状に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。
【請求項3】
突部は、畦側面形成体から離れるに従って回転方向に向う螺旋状に形成され、土を徐々に加圧するように厚さ寸法が回転方向に向って徐々に減少する突板部にて構成され、
畦上面形成体は、側面視でその畦上面形成体の回転中心軸線を中心とする円形状をなす
ことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。
【請求項4】
突部は、畦側面形成体から離れるに従って回転方向に向う螺旋状の突条部にて構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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