説明

畦塗り機

【課題】高さの安定した平坦な畦上面を形成できる畦塗り機を提供する。
【解決手段】畦塗り機は、土を盛り上げる盛土体と、盛土体による盛土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する畦上面形成体5とを具備する。畦上面形成体5は、基準中心軸線cを中心として円を描くように移動する偏心回転中心軸線dを中心として回転しながら、盛土を締め固めて畦上面を形成する上面形成部材81を備える。上面形成部材81は、側面視で略多角形状をなす外周形状に形成する。畦形成作業時には、基準中心軸線cと上面形成部材81の下端位置との垂直距離が略一定である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さの安定した平坦な畦上面を形成できる畦塗り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された畦塗り機が知られている。
【0003】
この従来の畦塗り機は、元畦に土を盛り上げる盛土体と、所定方向に回転しながら盛土を締め固めて傾斜面状の畦側面を形成する畦側面形成体と、所定方向に回転しながら盛土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する畦上面形成体とを備えている。そして、畦上面形成体は、ベース体と、このベース体に取り付けられた複数枚の圧締板体とを有している。各圧締板体は、可撓弾性を有するナイロン樹脂や塩化ビニール樹脂等の合成樹脂板により構成され、無負荷時には略平らとなり、外的負荷により弧状に撓むとともに負荷解除で弾性復元力により略平らに復帰する材質が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−37104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の畦塗り機では、畦上面形成体の圧締板体が弾性復元力により元の略平らな形状に復帰する際に、畦上面の土を削り取ってしまい、高さの安定した平坦な畦上面が形成されないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、高さの安定した平坦な畦上面を形成できる畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の畦塗り機は、土を盛り上げる盛土体と、この盛土体による盛土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する畦上面形成体とを具備し、前記畦上面形成体は、基準中心軸線を中心として円を描くように移動する偏心回転中心軸線を中心として回転しながら、盛土を締め固めて畦上面を形成する上面形成部材を備え、前記上面形成部材は、側面視で略多角形状または略楕円形状をなす外周形状に形成され、畦形成作業時には、前記基準中心軸線と前記上面形成部材の下端位置との垂直距離が略一定になるように構成されているものである。
【0008】
請求項2記載の畦塗り機は、請求項1記載の畦塗り機において、上面形成部材は、固定ギアの外周面に形成された外ギア部に噛み合う内ギア部を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、畦上面形成体は、基準中心軸線を中心として円を描くように移動する偏心回転中心軸線を中心として回転しながら盛土を締め固めて畦上面を形成する上面形成部材を備え、上面形成部材は、側面視で略多角形状または略楕円形状をなす外周形状に形成され、畦形成作業時には、基準中心軸線と上面形成部材の下端位置との距離が略一定になるように構成されているため、高さの安定した平坦な畦上面を適切に形成できる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、上面形成部材は、固定ギアの外周面に形成された外ギア部に噛み合う内ギア部を有するため、上面形成部材を適切に回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の関連技術に係る畦塗り機の概略平面図である。
【図2】同上畦塗り機の要部の平面図である。
【図3】同上畦塗り機の要部の分解平面図である。
【図4】同上畦塗り機の回転部材の側面図である。
【図5】同上畦塗り機の回動部材の側面図である。
【図6】同上畦塗り機のガイド溝部を示す図である。
【図7】同上畦塗り機の要部の側面図である。
【図8】同上畦塗り機の回動部材の動作説明図である。
【図9】本発明の第2の関連技術に係る畦塗り機の要部の平面図である。
【図10】同上畦塗り機の要部の分解平面図である。
【図11】同上畦塗り機の回転部材の側面図である。
【図12】同上畦塗り機の回動部材の側面図である。
【図13】同上畦塗り機のガイド溝部を示す図である。
【図14】同上畦塗り機の要部の側面図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る畦塗り機の要部の平面図である。
【図16】同上畦塗り機の要部の分解平面図である。
【図17】同上畦塗り機の要部の概略側面図である。
【図18】(a)〜(e)は同上畦塗り機の上面形成部材の動作説明図である。
【図19】(f)〜(i)は図18に続く動作説明図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態を示す側面図で、(a)〜(c)が上面形成部材の動作説明図である。
【図21】本発明の第3の実施の形態を示す側面図で、(a)〜(c)が上面形成部材の動作説明図である。
【図22】本発明の第4の実施の形態を示す側面図で、(a)〜(e)が上面形成部材の動作説明図である。
【図23】(f)〜(i)は図22に続く動作説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の畦塗り機の第1の関連技術を図1ないし図8を参照して説明する。
【0013】
図1において、1は畦塗り機で、この畦塗り機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結されて使用される。
【0014】
畦塗り機1は、図1に示されるように、トラクタの後部の3点リンク(作業機昇降支持装置)に連結された機体2と、機体2の一側前部に回転可能に設けられ田面および元畦の土を耕耘しその耕耘土を元畦の畦側面および畦上面に盛り上げる盛土体3とを備えている。
【0015】
また、畦塗り機1は、機体2の一側後部に回転可能に設けられ盛土体3の後方で左右水平方向の回転中心軸線aを中心として回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて田面側に向って下り傾斜面状の畦側面を形成する略円錐台状の畦側面形成体(ディスク部)4と、機体2の一側後部に回転可能に設けられ盛土体3の後方で左右水平方向の回転中心軸線aを中心として回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する略円柱状の畦上面形成体(上面ローラ部)5と、盛土体3の前方で元畦の畦上面を削る回転可能な上面削り体6とを備えている。
【0016】
なお、互いに一体となって回転する畦側面形成体4と畦上面形成体5とにて、回転中心軸線aを中心として回転しながら盛土を締め固めて新たな畦を形成する畦形成手段7が構成されている。
【0017】
機体2は、トラクタの後部の3点リンクに連結された固定機枠11を有している。固定機枠11には水平回動可能な回動アーム12の一端部が回動可能に取り付けられ、この回動アーム12の他端部には可動機枠13が回動可能に取り付けられている。そして、可動機枠13に盛土体3、畦側面形成体4、畦上面形成体5および上面削り体6がそれぞれ回転可能に設けられている。
【0018】
固定機枠11は、軸保持部14を有し、この軸保持部14には入力軸15が回転可能に設けられ、この入力軸15はトラクタのPTO軸にジョイントおよび伝動シャフト等を介して接続されている。
【0019】
可動機枠13は、チェーンケース等の伝動ケースを兼ねたものであり、この可動機枠13は軸保持部16を有し、この軸保持部16には中間入力軸17が回転可能に設けられ、この中間入力軸17は固定機枠11側の入力軸15にジョイントおよび伝動シャフト等を介して接続されている。
【0020】
また、可動機枠13は、図2および図3に示すように、畦形成手段7を両持ち状態で回転可能に支持する支持部21を有し、この支持部21は、箱形状のギアボックス22と支持アーム23とを有している。
【0021】
ここで、支持アーム23は、アーム部24を有し、このアーム部24の先端部には鉛直状である垂直状の当て板等の支持板部25が固設されている。支持板部25には軸受用孔部26が形成され、この軸受用孔部26に軸受部材27が嵌着されている。また、支持板部25の内面、つまり畦形成手段7と対向する側の面にはガイド溝部30が形成されている。ガイド溝部30は、図6に示されるように、環状の第1溝形成部31と第2溝形成部32とにて区画形成され、側面視で略楕円形状になっている。
【0022】
盛土体3は、図1に示されるように、可動機枠13にて回転可能に支持された前後水平方向の回転軸35を有し、この回転軸35の爪ホルダ36には、回転軸35と一体となって回転しながら田面および元畦の土を耕耘しその耕耘土を元畦の畦側面および畦上面に盛り上げる複数の耕耘爪37が脱着可能に設けられている。複数の耕耘爪37の上方部は図示しないカバー体にて覆われ、このカバー体にて耕耘土が畦側面および畦上面に案内される。盛土体3の回転軸35は、中間入力軸17側からの動力で所定方向に駆動回転する。
【0023】
上面削り体6は、チェーンケース等の伝動ケース38にて回転可能に支持された前後水平方向の回転軸40を有し、この回転軸40の爪ホルダ41には、回転軸40と一体となって回転しながら元畦の畦上面を削る複数の耕耘爪42が脱着可能に設けられている。複数の耕耘爪42の上方部は図示しないカバー体にて覆われている。上面削り体6の回転軸40は、盛土体3の回転軸35に接続され伝動ケース38内に収容されたチェーン等からの動力で所定方向に駆動回転する。
【0024】
畦側面形成体4は、図2に示されるように、支持部21のギアボックス22にて回転可能に支持された左右水平方向の回転軸45を有し、この回転軸45の軸芯が回転中心軸線a上に位置する。回転軸45の外周側には、田面側に向って拡径する略円錐台状に形成され回転軸45と一体となって回転中心軸線aを中心として回転しながら盛土を締め固めて傾斜面状の畦側面を形成する側面形成部材46が略筒状の取付部材47等を介して取り付けられている。
【0025】
畦上面形成体5は、図2、図5、図7および図8等に示されるように、回転中心軸線aと平行な回動中心軸線bを中心として回動可能に設けられ回転中心軸線aを中心とする回転時に一方向への回動により回転中心軸線aを中心とする仮想円筒面50から外方に突出する突出状態になり回転中心軸線aを中心とする回転時に他方向への回動により仮想円筒面50から突出しない非突出状態になる複数、例えば同一形状をなす4つの作用板等の回動部材51を有している。
【0026】
そして、各回動部材51は、例えば金属板或いは合成樹脂板等にて形成されたもので、突出状態時には仮想円筒面(回転中心軸線a)50からの距離が回転方向前端側から回転方向後端側に向って徐々に増大するように位置し、非突出状態時には仮想円筒面50に沿って位置する円弧状の作用面52を有している。
【0027】
また、各回動部材51は、作用面52の側端から側方に突出した先端側が支持板部25のガイド溝部30に挿入された左右水平方向の軸部53を回転方向後端側に有し、この軸部53がガイド溝部30と係合してこのガイド溝部30に沿って移動することにより、各回動部材51が回動中心軸線bを中心として回動するようになっている。
【0028】
さらに、各回動部材51は、左右水平方向に延びる長手状の筒状部54を回転方向前端側に有している。そして、回動部材51の筒状部54には軸部材であるボルト55の軸部56が挿通され、このボルト55の軸部56の先端部が取付部材47のねじ孔部57に螺合連結されており、回動部材51はガイド溝部30のガイドに基づいてボルト55の軸部56に対して回動中心軸線bを中心として回動可能になっている。ボルト55の軸部56の軸芯が回動中心軸線b上に位置する。
【0029】
また、ボルト55の軸部56は、支持アーム23の支持板部25の軸受部材27にて回転可能に支持されたフランジ等の回転部材61の孔部62に挿通されている。この回転部材61は、図2ないし図4に示されるように、略円板状の板部63と、この板部63の中心部に突設され軸受部材27に挿入された軸部64とを有している。板部63には、回動部材51の軸部53が挿通されこの軸部53をガイドする複数、例えば4つの略円弧状のガイド部65が外周縁から中心側に向って切欠形成されている。各ガイド部65は、孔部62を中心とする円弧上に位置するように形成されている。
【0030】
そして、図7および図8から明らかなように、畦塗り機1では、畦形成作業時には、回転中心軸線aと回動部材51の下端位置との垂直距離Lが略一定になるように構成されている。また、畦側面形成体4および畦上面形成体5の周速、つまり畦形成手段7の周速は、畦形成手段7が畦面に対してスリップ状態で回転するようにトラクタの走行速度より速い値に設定される。
【0031】
次に、上記畦塗り機1の作用等を説明する。
【0032】
畦塗り機1をトラクタの後部に連結した状態でトラクタを元畦に沿って前進走行させると、畦塗り機1はトラクタとともに進行方向前方(図1中、矢印方向)に向って移動する。
【0033】
そして、この移動時に、耕耘爪37,42にて所望量の土が元畦の畦側面および畦上面に盛り上げられ、回転中心軸線aを中心としてスリップ回転する畦側面形成体4および畦上面形成体5にて盛土が締め固められて畦側面および畦上面が形成される。
【0034】
このとき、畦上面形成体5の回動部材51は、畦側面形成体4とともに回転中心軸線aを中心として回転しつつ、軸部53がガイド溝部30に沿って移動することにより回動中心軸線bを中心として回動する。
【0035】
そして、図7および図8に示すように、回動部材51は、畦側面形成体4の進行方向前側下部の位置のみにおいて仮想円筒面50から外方に突出する突出状態になり、このため、突出状態の回動部材51の作用面52にて、盛土が掻き込まれつつ徐々に圧縮されて所望の畦上面が形成される。
【0036】
また、畦側面形成体4の下端位置では回動部材51が非突出状態になり、回動部材51の作用面52は仮想円筒面50に沿って位置する。
【0037】
このように畦塗り機1によれば、畦形成手段7の畦上面形成体5は、回動中心軸線bを中心として回動可能で一方向への回動により仮想円筒面50から外方に突出する突出状態になり他方向への回動により仮想円筒面50から突出しない非突出状態になる複数の回動部材51を備え、畦形成作業時には、回転中心軸線aと回動部材51の下端位置との垂直距離Lが略一定になるように構成されているため、回動部材51で畦上面の土を削り取ってしまうこともなく、また畦形成手段7が上下振動することもなく、高さの安定した平坦な畦上面を形成できる。
【0038】
また、各回動部材51は、突出状態時には仮想円筒面50からの距離が回転方向前端側から回転方向後端側に向って徐々に増大するように位置し非突出状態時には仮想円筒面50に沿って位置する円弧状の作用面52を有するため、その円弧状の作用面52にて高さの安定した平坦な畦上面を適切に形成できる。
【0039】
さらに、軸部53をガイド溝部30に沿って移動させることで各回動部材51を適切に回動させることができ、回動部材51を回動させる別途のモータ等の駆動手段を必要としない。
【0040】
なお、例えば図示しないが、回転方向に隣り合う回動部材51間の隙間を閉塞する閉塞部材を設けるようにしてもよい。
【0041】
また、回動部材51の非突出状態とは、仮想円筒面50から全く突出しない厳密な意味での非突出には限定されず、仮想円筒面50から外方へ若干突出するものでもよい。
【0042】
さらに、上記第1の関連技術では、4つの回動部材51を備えた構成について説明したが、回動部材51の数は任意であり、例えば図9ないし図14に示す第2の関連技術のように8つの回動部材51を備えた構成でもよい。
【0043】
図9ないし図14に示す第2の関連技術では、畦上面形成体5が8つの回動部材51を備え、回動部材51は、図5に示すものとは異なり、この回動部材51の回動支点となる左右水平方向の支軸部71を有している。支軸部71の軸芯が回動中心軸線b上に位置する。
【0044】
また、図10および図11に示されるように、回転部材61は、図4に示すものとは異なり、軸芯が回転中心軸線a上に位置する軸部72と、この軸部72の軸方向両端に設けられた略円板状の板部73とを有している。軸部72の軸方向一端部は回転軸45に連結され、軸部72の軸方向他端部は軸受部材27にて回転可能に支持されている。板部73には、回動部材51の軸部53が挿通されこの軸部53をガイドする8つの略円弧状で長孔状のガイド部65が形成されている。各ガイド部65は、孔部62を中心とする円弧上に位置するように形成されている。また、孔部62には回動部材51の支軸部71が挿通され、回動部材51はガイド溝部30のガイドに基づいて回転部材61に対して回動中心軸線bを中心として回動可能になっている。
【0045】
なお、回転部材61は、ボルト用孔74に挿通された取付ボルト75によって取付部材47に取り付けられている。またその他の構成は第1の関連技術と同じである。
【0046】
そして、第2の関連技術でも、上記第1の関連技術と同様、畦形成作業時には回転中心軸線aと回動部材51の下端位置との垂直距離Lが略一定であるため、回動部材51で畦上面の土を削り取ってしまうこともなく、また畦形成手段7が上下振動することもなく、高さの安定した平坦な畦上面を形成できる等の作用効果を奏することができる。
【0047】
次に、本発明の畦塗り機の第1の実施の形態を図15ないし図19を参照して説明する。
【0048】
図15ないし図19に示す第1の実施の形態では、畦上面形成体5は、畦側面形成体4の回転軸45の軸芯を通る基準中心軸線(畦側面形成体4の回転中心軸線)cを中心として円を描くように移動する偏心回転中心軸線dを中心として回転しながら、盛土体3による盛土を締め固めて畦上面を形成する略筒状の上面形成部材81を備えている。すなわち、畦上面形成体5は、基準回転中心軸線である基準中心軸線cを中心として回転すると同時にその基準中心軸線cと平行な偏心回転中心軸線dを中心として回転しながら、盛土体3による盛土を締め固めて畦上面を形成する略筒状の上面形成部材81を備えている。
【0049】
上面形成部材81は、図17に示されるように、側面視で略多角形状、すなわち例えば角部が湾曲状にされた略三角形状をなす外周形状に形成されている。上面形成部材81は、例えば金属板或いは合成樹脂板等にて形成されたもので、基準中心軸線cからの距離が回転方向前端側から回転方向後端側に向って徐々に増大するように位置する略円弧状の第1外周面82および基準中心軸線cからの距離が回転方向前端側から回転方向後端側に向って徐々に減少するように位置する略円弧状の第2外周面83を有している。
【0050】
また、上面形成部材81は、例えば外周形状が略三角形状をなす上面形成ローラ85と、上面形成ローラ85の被取付部86に取り付けられた筒状の可動ギア(筒状部材)87と、上面形成ローラ85の軸受部88に取り付けられた偏心軸受89とを有している。偏心軸受89は、互いに軸芯がずれた第1軸受部91と第2軸受部92とを有している。
【0051】
そして、畦側面形成体4の回転軸45にこの回転軸45に対して偏心して連結固定された偏心回転軸93の外周側に、上面形成ローラ85が回転可能に設けられている。すなわち上面形成部材81は、回転軸45に対して偏心した偏心回転軸93にて回転可能に支持されている。この偏心回転軸93の軸芯は偏心回転中心軸線d上に位置する。また、偏心回転軸93の先端側の挿入軸部93aが偏心軸受89の第1軸受部91内に挿入されている。
【0052】
また一方、可動機枠13の支持アーム23の支持板部25の内面には、軸状の固定ギア(軸部材)95が固設されている。固定ギア95の外周面には基準中心軸線cを中心とする外ギア部96が形成されている。そして、上面形成部材81の可動ギア87の内周面には、固定ギア95の外ギア部96に噛み合う内ギア部97が形成されている。また、固定ギア95の先端側の挿入軸部96aが偏心軸受89の第2軸受部92内に挿入されている。
【0053】
さらに、この畦塗り機1では、畦形成作業時には、基準中心軸線cと上面形成部材81の下端位置との垂直距離Lが略一定になるように構成されている。なお、その他の構成は第1の関連技術と同じである。
【0054】
そして、図18および図19の(a)〜(i)に示すように、畦上面形成体5の上面形成部材81は、偏心回転軸93とともに基準中心軸線cを中心として回転すると同時に、偏心回転軸93を中心つまり偏心回転中心軸線dを中心として回転しながら、盛土を掻き込みつつ徐々に圧縮するように締め固めて畦上面を形成するが、この際、基準中心軸線cと上面形成部材81の下端位置との垂直距離Lは略一定である。
【0055】
したがって、第1の実施の形態でも、上記各関連技術と同様、上面形成部材81で畦上面の土を削り取ってしまうこともなく、また畦形成手段7が上下振動することもなく、高さの安定した平坦な畦上面を形成できる等の作用効果を奏することができる。
【0056】
なお、上面形成部材81は、側面視で略三角形状をなす外周形状に形成されたものには限定されず、例えば図20の(a)〜(c)に示す側面視で略四角形状をなす外周形状に形成されたもの(第2の実施の形態)や、図21の(a)〜(c)に示す側面視で略五角形状をなす外周形状に形成されたもの(第3の実施の形態)でも、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
また、上面形成部材81は、側面視で略多角形状をなす外周形状に形成されたものには限定されず、例えば図22および図23の(a)〜(i)に示す側面視で略楕円形状をなす外周形状に形成されたもの(第4の実施の形態)であっても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0058】
さらに、例えば図示しないが、固定ギア95および可動ギア87に代えて、固定摩擦車および可動摩擦車を利用した構成でもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 畦塗り機
3 盛土体
5 畦上面形成体
81 上面形成部材
95 固定ギア
96 外ギア部
97 内ギア部
c 基準中心軸線
d 偏心回転中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土を盛り上げる盛土体と、
この盛土体による盛土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する畦上面形成体とを具備し、
前記畦上面形成体は、基準中心軸線を中心として円を描くように移動する偏心回転中心軸線を中心として回転しながら、盛土を締め固めて畦上面を形成する上面形成部材を備え、
前記上面形成部材は、側面視で略多角形状または略楕円形状をなす外周形状に形成され、
畦形成作業時には、前記基準中心軸線と前記上面形成部材の下端位置との垂直距離が略一定になるように構成されている
ことを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】
上面形成部材は、固定ギアの外周面に形成された外ギア部に噛み合う内ギア部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2012−85661(P2012−85661A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−25216(P2012−25216)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【分割の表示】特願2007−305372(P2007−305372)の分割
【原出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】