説明

畦形成機

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 この発明は、畦形成機に係る。詳細には、走行車に付設されて進行され、その進行方向に順次畦を形成する畦形成機に係る。
【0002】
【従来の技術】 従来の畦形成機としては、例えば「畦形成機」(特開平6ー22604)が知られている。同「畦形成機」では、畦形成装置は、畦と直交する軸縁回りに回転する円筒状の回転具を備える。回転具は、回転体の内外端部に、円筒体の中央に向けた傾斜面を有する円錐面を有する内側回転板を設ける。または内側回転板とともに、同じく内側回転体に対向させて円筒体の中央に向けた傾斜面を有する外側回転板を連設してなる。そして牽引車の進行長さは、回転体の円周と単位時間当たりの回転体の回転数の積より小である。そして、畦上面を通過する円筒状回転具と畦側面を通過し畦側面を形成する円錐面を有する内側回転板および/または外側回転板とからなる畦形成装置の回転体の周速を、走行車の走行速度よりも早く設定し、スリップ作用によって畦側面を堅く絞め固めようとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、従来の畦形成機では、内側回転体および外側回転体とも表面は円滑面からなっていたため、圃場の土質の種類によってあるいは圃場の土が乾燥しているときは、畦側面の締め込み力が弱いという課題を有した。
【0004】
【課題を解決するための手段】 この発明は、
【0005】畦形成箇所に沿って移動され、畦形成箇所に土を盛り上げ状態に供給する土盛装置と、土盛装置の移動方向の後方に設置される畦形成装置とを有し、畦形成装置は、土を盛り上げ状態とされた畦形成箇所上を回転しながら通過させる円筒回転体と、円筒回転体の回転駆動力供給側に取り付けられ回転駆動力供給側にいく程径大となり円筒回転体の中央に向けた傾斜面を有するとともに、表面は放射状の分割片に分割され、各々の分割片は進行方向に対して前進角を設けてなり、隣接する分割片相互は逃げ角をもって側面視ジグザグ状に連結される円錐回転体とからなることを特徴とする畦形成機、
【0006】および、畦形成箇所に沿って移動され、畦形成箇所に土を盛り上げ状態に供給する土盛装置と、土盛装置の移動方向の後方に設置される畦形成装置とを有し、畦形成装置は、土を盛り上げ状態とされた畦形成箇所上を回転しながら通過させる円筒回転体と、円筒回転体の回転駆動力供給側に取り付けられ回転駆動力供給側にいく程径大となり円筒回転体の中央に向けた傾斜面を有するとともに、表面は放射状の分割片に分割され、各々の分割片は進行方向に対して前進角を設けた当接面と逃げ面を有し、隣接する分割片相互は逃げ面と当接面によって逃げ角を形成し側面視ジグザグ状に連結される円錐回転体とからなることを特徴とする畦形成機、
【0007】および、畦形成箇所に沿って移動され、畦形成箇所に土を盛り上げ状態に供給する土盛装置と、土盛装置の移動方向の後方に設置される畦形成装置とを有し、畦形成装置は、土を盛り上げ状態とされた畦形成箇所上を回転しながら通過させる円筒回転体と、円筒回転体の回転駆動力供給側に取り付けられ回転駆動力供給側にいく程径大となり円筒回転体の中央に向けた傾斜面を有するとともに、表面は放射状の分割片に分割され、各々の分割片は進行方向に対して前進角を設けてなり、隣接する分割片相互は逃げ角をもって側面視ジグザグ状に連結される円錐回転体とからなるとともに、分割片がそれぞれほぼ扇型の独立片からなり、独立した分割片を表面が円錐台状からなる分割片取り付け盤の表面に、それぞれの分割片の端部を相互に重複させながら取り付けることにより、隣接する分割片とにより前進角および逃げ角を構成することを特徴とする畦形成機、を提供する。
【0008】そのため、走行車の進行にともない、土盛装置および畦形成装置は移動される。すると、土盛装置により畦形成箇所に土を盛り上げ状態に供給する。円錐回転体は、回転駆動力供給側にいく程径大となるとともに、表面は放射状の分割片に分割されているため、畦の裾部に対して盛土を抱き込みながら、断続圧を加えて練り込むので強固な畦を形成する。更に、分割片は進行方向に対して前進角を設けられ、隣接する分割片相互は逃げ角をもって連結される場合は、畦の裾部に対して盛土を抱き込みながら、断続圧を加えて練り込むので強固な畦を形成する。又、分割片は進行方向に逃げ角を有して断続圧を繰り返す場合は、粘性の強い土が付着しようとしても、直ちに剥離されるので土の付着が成長することもない。
【0009】
【発明の実施の形態】 この発明の実施の形態の平面図をあらわす図1、同側面一部拡大断面図をあらわす図2R>2、同畦形成装置の一部拡大斜視図をあらわす図3、同円錐回転体の一部拡大端面図をあらわす図4、同他の実施の形態の畦形成装置における円錐回転体の一部拡大正面図をあらわす図5、同他の実施の形態の畦形成装置における円錐回転体の一部拡大端面図をあらわす図6にしたがって説明する。
【0010】11は、機枠である。機枠11は走行車であるトラクタ(図示せず)の三点リンクに装着され図1図中右側に矢示方向に走行車の進行に伴い移動される。12はユニバーサルジョイント、13はミッション、14は主軸、15は第1変速ケース、16は第2変速ケースである。ユニバーサルジョイント12は、トラクタのPTO軸(図示せず)に連結されPTO軸の駆動力が伝達される。ミッション13は、ユニバーサルジョイント12からの駆動力が伝達され、直交して取り付けられる主軸14を駆動し、主軸14内部に設置される出力軸17から出力する。主軸14には第1変速ケース15、第2変速ケース16が取り付けられそれぞれ主軸14から伝達される駆動力を減速させる。
【0011】21は土盛装置である。22は、土盛装置に於ける土盛回転軸である。土盛回転軸22は一端は第2変速ケースで減速されて図1矢印図示方向に、すなわち畦形成機の進行方向の順方向に回転される。23は切削爪である。切削爪23は、それぞれ先端は機枠11の反対側に突設され、基部は土盛回転軸22に放射方向を取るよう複数個取り付けられる。24は小径爪である。小径爪24は、切削爪23より小型からなり、土盛回転軸22の先端に軸端から横刃が突出した状態で一対取り付けられる。畦が小さい場合や、低い場合は取り外して、土盛回転軸22の横方向の突出量を調整する。
【0012】次に、第2変速ケース16の内部構造について説明する。図2に図示されるように主軸14内部には出力軸17が設けられる。31は主動回転軸である。主動回転軸31は、第2変速ケース16の上部に設置され、出力軸17により駆動される。32は第1主動プーリ、33は第2主動プーリである。両プーリとも同径からなり、主動回転軸31によ取り付けられ回転される。34は、第1従動回転軸である。第1従動回転軸34は、第2変速ケース16の下部に設置される。35は第2従動回転軸である、第2従動回転軸35は、第1従動回転軸34の周囲に即ち第1従動回転軸34よりも径大に設けられる。36は、第1従動プーリであり第1従動回転軸33の周囲に取り付けられる。37は、第2従動プーリであり第2従動回転軸35の周囲に取り付けられる。第1従動プーリ36は、第2従動プーリ37より小径である。38は第1ベルトである。第1ベルト38は、第1主動プーリ32と第1従動プーリ36との間に架け渡され、主動回転軸31の駆動を第1従動回転軸34に伝達する。39は第2ベルトである。第2ベルト39は、第2主動プーリ33と第2従動プーリ37との間に架け渡され、主動回転軸31の駆動を第2従動回転軸35に伝達する。各プーリの代わりにスプロケットを、各ベルトの代わりにチェーンを取り付けてもよい。
【0013】41は、畦形成装置である。畦形成装置41は、土盛装置21のトラクタによる牽引移動方向の後方に設置される。畦形成装置41は、円筒回転体42と円錐回転体43とからなる。円筒回転体42は円筒状からなり、第1従動回転軸34の先端に取り付けられ、第1従動回転軸34の回転により、土を盛り上げ状態とされた畦形成箇所H上を移動方向に強制的に順回転される。円筒回転体42の周速は走行車の作業速度よりも速くなるように設定され、断面をスリップ状態で締め上げる。
【0014】円錐回転体43はステンレス製からなり、図3に図示されるように回転駆動力供給側すなわちトラクタ側にいく程径大となる全体としてはほぼ円錐台状からなり、円筒回転体42の回転駆動力供給側すなわち円筒回転体42よりも機枠11寄りで、第2従動回転軸35の先端に円筒回転体42の中央に傾斜面を向けて取り付けられ、第2従動回転軸35の回転により土を盛り上げ状態とされた畦形成箇所Aの機枠11側側面を移動方向に強制的に順回転される。第1従動プーリ36は、第2従動プーリ37より小径であるため、第1従動回転軸34は第2従動回転軸35より増速設定され、各従動回転軸に取り付けられる円筒回転体42と円錐回転体43とは独立して回転されるとともに、その周速はほぼ同一に設定される。
【0015】円錐回転体43の表面は放射状の分割片44に分割される。分割片44は図4に図示されるように、側面視ジグザグ状となり、進行方向fに対して前進角Aを設けられる。隣接する分割片44相互は逃げ角Bをもって連結される。aは、土との当接面、bは逃げ面である。
【0016】そのため、走行車であるトラクタの進行にともない、土盛装置21および畦形成装置41は移動される。すると、土盛装置21により畦形成箇所Hに土を盛り上げ状態に供給する。すなわち、畦形成箇所Hの旧畦の崩れた上面部および側面部に土が盛り上げ状態に連続的に供給される。円錐回転体43は、回転駆動力供給側すなわち走行車側にいく程径大となるとともに、表面は放射状の分割片44に分割され、分割片44は進行方向に対して前進角Aを設けられ、隣接する分割片44相互は逃げ角Bをもって連結されるため、土盛には当接面aがまず当接し、畦の裾部に対して盛土を抱き込みながら、断続圧を加えて練り込むので強固な畦を形成する。又、分割片は進行方向に逃げ角Bを有して断続圧を繰り返すので、粘性の強い土が付着しようとしても、直ちに剥離されるので土の付着が成長することもない。
【0017】図5、図6に図示される他の実施の形態では、円錐回転体43の分割片44はそれぞれほぼ扇型の独立片からなる。45は分割片取り付け盤であり、ステンレス製等の金属製からなる。分割片取り付け盤45は表面が円滑な円錐台状からなり、その表面に分割片44の端部を相互に重複させながらビス46で取り付ける。ビス46で分割片取り付け盤45に取り付けられた分割片44とビス46の上に重ねられた隣接する分割片44とで当接面a、逃げ面bを構成し、かつ相互の間で前進角A、逃げ角Bを構成する。この実施の形態では分割片44は別個に製造可能となるので生産性が向上する。
【0018】この実施の形態では、円錐回転体43は円筒回転体42の機枠11側のみに設けたが、円筒回転体43の先端側にも円錐回転体43を設け外側円筒回転体43とし、第2従動回転軸35で回転させてもよい。その場合は畦の内側斜面のみならず外側斜面も同時に形成される。
【0019】
【発明の効果】 畦の裾部に対して盛土を抱き込みながら、断続圧を加えて練り込むので強固な畦を形成する。また、分割片は進行方向に逃げ角を有して断続圧を繰り返すので、粘性の強い土が付着しようとしても、直ちに剥離されるので土の付着が成長することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態の平面図
【図2】 この発明の実施の形態の側面一部拡大断面図
【図3】 この発明の実施の形態の畦形成装置の一部拡大斜視図
【図4】 この発明の実施の形態の畦形成装置における円錐回転体の一部拡大端面図
【図5】 この発明の他の実施の形態の畦形成装置における円錐回転体の一部拡大正面図
【図6】 この発明の他の実施の形態の畦形成装置における円錐回転体の一部拡大端面図
【符号の説明】
21 土盛装置
41 畦形成装置
42 円筒回転体
43 円錐回転体
44 分割片

【特許請求の範囲】
【請求項1】 畦形成箇所に沿って移動され、畦形成箇所に土を盛り上げ状態に供給する土盛装置と、土盛装置の移動方向の後方に設置される畦形成装置とを有し、畦形成装置は、土を盛り上げ状態とされた畦形成箇所上を回転しながら通過させる円筒回転体と、円筒回転体の回転駆動力供給側に取り付けられ回転駆動力供給側にいく程径大となり円筒回転体の中央に向けた傾斜面を有するとともに、表面は放射状の分割片に分割され、各々の分割片は進行方向に対して前進角を設けてなり、隣接する分割片相互は逃げ角をもって側面視ジグザグ状に連結される円錐回転体とからなることを特徴とする畦形成機。
【請求項2】 畦形成箇所に沿って移動され、畦形成箇所に土を盛り上げ状態に供給する土盛装置と、土盛装置の移動方向の後方に設置される畦形成装置とを有し、畦形成装置は、土を盛り上げ状態とされた畦形成箇所上を回転しながら通過させる円筒回転体と、円筒回転体の回転駆動力供給側に取り付けられ回転駆動力供給側にいく程径大となり円筒回転体の中央に向けた傾斜面を有するとともに、表面は放射状の分割片に分割され、各々の分割片は進行方向に対して前進角を設けた当接面と逃げ面を有し、隣接する分割片相互は逃げ面と当接面によって逃げ角を形成し側面視ジグザグ状に連結される円錐回転体とからなることを特徴とする畦形成機。
【請求項3】 畦形成箇所に沿って移動され、畦形成箇所に土を盛り上げ状態に供給する土盛装置と、土盛装置の移動方向の後方に設置される畦形成装置とを有し、畦形成装置は、土を盛り上げ状態とされた畦形成箇所上を回転しながら通過させる円筒回転体と、円筒回転体の回転駆動力供給側に取り付けられ回転駆動力供給側にいく程径大となり円筒回転体の中央に向けた傾斜面を有するとともに、表面は放射状の分割片に分割され、各々の分割片は進行方向に対して前進角を設けてなり、隣接する分割片相互は逃げ角をもって側面視ジグザグ状に連結される円錐回転体とからなるとともに、分割片がそれぞれほぼ扇型の独立片からなり、独立した分割片を表面が円錐台状からなる分割片取り付け盤の表面に、それぞれの分割片の端部を相互に重複させながら取り付けることにより、隣接する分割片とにより前進角および逃げ角を構成することを特徴とする畦形成機。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【特許番号】特許第3148678号(P3148678)
【登録日】平成13年1月12日(2001.1.12)
【発行日】平成13年3月19日(2001.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−105356
【出願日】平成9年4月8日(1997.4.8)
【公開番号】特開平10−276504
【公開日】平成10年10月20日(1998.10.20)
【審査請求日】平成11年2月16日(1999.2.16)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【参考文献】
【文献】特開 平9−238503(JP,A)