説明

異なる波長の化学線を照射する装置

【課題】少なくとも2つの異なる波長の化学線で人の体を照射する装置を提供する。
【解決手段】人が、台、座席、またはベッドにいる間に、人の体の少なくとも一部に化学線が当たることができるようにする位置で、台の上に立つ、座席に座る、またはベッドに横たわることができるようにするための手段と、人の体の上に照射されるべき、および/または照射された化学線b、cの照射の強度、放射度、線量、および/または時間の制御を可能にするための手段と、人の体に少なくとも1つの生理学的作用を及ぼす、少なくとも2つの異なる波長の放射を放出する少なくとも1つの放射源1を含む手段とを含み、1つまたは複数の放射波長のうち、少なくとも1つが可視範囲内にあり、少なくとも2つの異なる波長の放射は、人の体の少なくとも一部に向けられる装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる波長の化学線(actinic radiation)を放出し、それにより被験者の上に照射することができる装置に関する。詳細には、本発明は、少なくとも1つの生理学的作用または2つ以上の生理学的作用さえ及ぼす、2つの異なる指定された波長の化学線を放出し、それにより被験者の上に照射することができる装置に関する。2つ、3つ、または4つ以上の生理学的作用の場合、これらの生理学的作用は、照射される被験者に対して相乗効果を及ぼすことがある。
【背景技術】
【0002】
化学線を被験者の上に、例えばそのような化学線に曝されるようになることを意図する人間のユーザの上に照射する装置は、従来技術から周知である。そのような公知の装置は、特に化学線をユーザの全身の上に照射するのに適した装置は、放射に曝されているときにユーザがとらなければならない位置に従って分けられても、被験者またはユーザの体の上に照射される放射のタイプ(あるいは主として波長または波長範囲)に従って分けられてもよいグループに属している。
【0003】
したがって、照射されているときのユーザの位置が関係することには、明白な理由からしばしば「ベッド」とも呼ばれる、体が水平位置にある間、被験者またはユーザの体を照射する装置、あるいは位置が座位でも立位でもよい、体が垂直位置にある間、被験者またはユーザの体を照射する装置が区別されることができる。いずれのグループの照射装置も本発明に含まれる。
【0004】
被験者またはユーザの体の上に照射される放射のタイプが関係することには、従来技術の公知の装置は、主として、ユーザの体の上に照射される化学線の波長または波長範囲に従って分けられる。
【0005】
紫外線(UV)放射を、主にUV−A(320nm〜400nm)およびUV−B(280nm〜320nm)の範囲の紫外線放射をユーザの体の上に照射する装置が周知である。日焼け用ベッドの形、または垂直に配置される、日焼け設備の形のそのような日焼け装置が、例えば、出願の内容が参照により本出願に組み入れられる、本出願者の特許出願である独国特許出願公開第102005030388号明細書および欧州特許出願公開第2055349号明細書から公知であり、別の特許出願からも公知である。
【0006】
波長約296nmにピークのある250nm〜320nmの範囲内の波長を有する光でユーザの体を照射することにより、そのような装置のユーザの体の中にビタミンD生成を刺激するための、ランプおよびそのようなランプを含む照射装置も公知である。そのようなランプに関する従来技術の一例が文献、国際公開第2008/027,438号パンフレットである。
【0007】
最近、ピーク波長が620nmにある、波長610nm〜650nmの範囲内の波長を有する化学線に曝されたユーザの皮膚の中にコラーゲン生成を活性化する装置も開示された。皮膚中のコラーゲン生成を活性化する化学線を開示している文献の例が、(KBL Solarien AGに対する)独国実用新案第202009004449号明細書、および(Hapro International B.V.に対する)独国実用新案第202010005063号明細書である。
【0008】
KBLおよびHaproの上述の文献では、ユーザの体に放出され、ユーザの皮膚中にコラーゲン生成を活性化させる作用を及ぼす化学線は、放出される紫外線放射により、KBLの場合、日焼け活性を有するUV−AおよびUV−Bの放射を伴うが、一方、Haproの場合、UV−A放射部分は少ない線量であり、UV−B放射部分は、日焼け作用が達成されないような、せいぜい0.5MED(minimum erythemal dose、最小紅斑量)に等しい。
【0009】
上記のように、化学線はユーザ、特に人間の被験者の体に一定の生理学的作用を及ぼす。紫外線放射(自然な太陽放射を放出する結果として地球の地面上に当たる自然な紫外線放射、または主にUV−AおよびUV−Bの範囲の波長で人工的に生成された紫外線放射)を人体に照射することについて周知のように、一定の紫外線放射線量がユーザの皮膚に有益な生理学的作用を及ぼすことができるが、過量(すなわち、決められた値(すなわち、MED、または最小紅斑量値)を超える線量)が体を害することがある。MEDを超える紫外線放射線量の危険性を認めて、EUは、紫外線波長範囲内で人工的に生成される化学線の放出されるUV−B放射を、いわゆる「紅斑作用のある」放射輝度Eerの値0.3W/mまで制限する法律を最近提出した。
【0010】
しかし、より厳しくない制限が紫外線以外の放射に適用される。その結果、せいぜい、製造業者、操作者、および/またはユーザによる、紫外線放射に対して法的拘束力のある限度を認めることになるが、そのような放射が、生理学的に受け入れ可能な線量または放射輝度の値を超える線量で、または時間で、ユーザの体/皮膚の上に当たるとき、生理学的作用を達成する別の波長範囲内に化学線を放出する装置は制限されない。これが特に問題になるのは、放射が、効果を生じるように、皮膚の一定の深さに到達しなければならないという事実のために、一定の生理学的作用が、一定の最小線量の化学線によってのみ得られることができる状況においてである。そのような有効深さは、照射される放射が低線量またはより弱い放射輝度では達成されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、少なくとも1つが可視波長範囲内にある、少なくとも2つの異なる生理学的に効果がある波長の化学線で、被験者または人またはユーザの体を照射する装置を提供することが、本発明の目的であった。
【0012】
さらに、安全であり、かつユーザの体に有害な線量および範囲で化学線を与えない、少なくとも2つの異なる生理学的に効果がある波長の化学線で、被験者または人またはユーザの体を照射する装置を提供することが、本発明の目的であった。
【0013】
さらに、装置が、必要とされる手段を回避する自由をユーザに与えることができるようにすることなく、紫外線波長範囲からより長い波長範囲までの波長範囲内でユーザの体に化学線を放出する装置の安全性を改善し、すでにある製造業者のレベルで維持することが、本発明の別の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
意外にも、上記の目的は、本発明の装置により、特に、本発明の装置が、装置の前記被験者/人/ユーザの体に少なくとも1つの生理学的作用を及ぼす少なくとも2つの異なる波長の放射を放出する少なくとも1つの放射源を含む手段を含むという事実により、達成されることができ、1つまたは複数の放射波長のうち、少なくとも1つが可視範囲内にあり、少なくとも2つの異なる波長の前記放射は、前記被験者/人/ユーザの体の少なくとも一部に向けられる。
【0015】
したがって、本発明は、少なくとも2つの異なる波長の化学線で被験者/人/ユーザの体を照射する装置に関し、前記装置は、(i)被験者/人/ユーザが、台、座席、またはベッドにいる間に、前記化学線が前記被験者/人/ユーザの体の少なくとも一部に当たることができるようにする位置で、台の上に立つ、座席に座る、またはベッドに横たわることができるようにする手段と、前記被験者/人/ユーザの体の上に照射されるべき、および/または照射された前記化学線の照射の強度、放射度、線量、および/または時間の制御を可能にする手段と、少なくとも1つの放射源を含む手段とを含み、前記1つまたは複数の放射源は、前記被験者/人/ユーザの体に少なくとも1つの生理学的作用を及ぼす少なくとも2つの異なる波長の放射を放出し、1つまたは複数の放射波長のうち、少なくとも1つが可視範囲内にあり、少なくとも2つの異なる波長の前記放射は、前記被験者/人/ユーザの体の少なくとも一部に向けられる。
【0016】
本発明の装置の好ましい実施形態が、従属請求項2から10で請求され、以下で詳細に説明される。
【0017】
本発明はまた、医学的用途のための上記装置に関する。
【0018】
本発明はまた、美容用途のための上記装置に関する。
【0019】
本発明の装置の好ましい医学的用途が、皮膚の老化の治療、紫外線放射への皮膚の過度の露出に起因する日焼けおよび/または紅斑の治療、ざ瘡(acne)の治療、皮膚刺激の治療、皮膚の炎症の治療、および乾癬の治療のための用途である。
【0020】
本発明の装置の好ましい医療用途は、どんな化粧品組成物も追加で全く適用することなく、または好ましくは皮膚の老化の治療のために皮膚に適用される通常の化粧品と組み合わせて、波長範囲570nm〜780nmの、より好ましくは範囲570nm〜610nm、610nm〜650nm、650nm〜690nm、および/または740nm〜780nmの可視光による照射により、ならびに/あるいは波長範囲810nm〜850nmの可視光以外による照射により、コラーゲン生成、および/またはヒアルロン酸生成、および/またはエラスチン生成を皮膚に達成させることによる、皮膚の老化の治療のための用途である。
【0021】
図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態の説明により、本発明が以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好ましい一実施形態による、好ましい作用光(actinic light)を放出する高圧ランプ/反射鏡/フィルタの組合せの、反射鏡の作用光放出スペクトルを示す図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態による、好ましい作用光を放出する高圧ランプ/反射鏡/フィルタの組合せの作用光透過スペクトル(短い波長の作用光(<570nm)が通過するのを防ぎ、長い波長の作用光(≧570nm)を通過可能にすることができる)を示す図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態による、好ましい作用光を放出する高圧ランプ/反射鏡/フィルタの組合せの作用光透過スペクトル(短い波長の作用光(<570nm)および長い波長の作用光(>850nm)が通過するのを防いで、波長範囲ほぼ≧570nmから≦850nmの作用光だけを通過可能にすることができる)を示す図である。
【図4】本発明の好ましい一実施形態による、高圧化学線を放出するランプ/反射鏡/フィルタの組合せの放出スペクトルと組み合わせた、本発明の装置の好ましい有効波長範囲を示す図である。
【図5】本発明の好ましい一実施形態による、高圧化学線を放出するランプ/反射鏡/フィルタの組合せの5つの好ましい放出帯と組み合わせた、化学線スペクトルの波長範囲の通常の定義を示す図である。
【図6】本発明の好ましい一実施形態による、高圧化学線を放出するランプ/反射鏡/フィルタの組合せを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
好ましい実施形態の説明は、本発明のよりよい理解を可能にするための例示目的のための説明であるが、説明されるそれらの好ましい実施形態に本発明を限定すべきではない。
【0024】
用語「被験者」、「人」、および「ユーザ」は、本明細書および特許請求の範囲で同義語として使用され、化学線により照射されるために本発明の装置を使用する人を意味する。当然、人は、本発明の装置によりそのような照射を受ける。
【0025】
本明細書および特許請求の範囲、例えば請求項1または請求項2で使用される用語「comprise(含む)」、「comprises(含む)」、または「comprising(含む)」は、本発明の装置が、(i)1つの手段を含んでもよく、例えば請求項1で言及されるように(ii)2つ以上の手段を含んでもよいという意味、あるいは(iii)別の構成要素、手段など(より具体的には以下で定義される)も本装置に含まれてもよいという意味を有する。
【0026】
しかし、本明細書および特許請求の範囲で使用される用語「comprise」、「comprises」、または「comprising」はまた、本発明の装置が、本発明の目的を達成するために、任意選択で、そのような装置の中に当業者が含んでよい、任意の必要な構成要素または手段と一緒に、主に(i)少なくとも1つの手段からなる、または主に、例えば請求項1で言及される(ii)2つ以上の手段からなる場合を含んでもよい、あるいは本発明の装置が、本発明の目的を達成するために、任意選択であるが必ずしもではなく、そのような構成物の中に当業者が含んでよい、任意の必要な構成要素、手段などと一緒に、(i)少なくとも手段から排他的になる、または(ii)2つ以上の手段から排他的になる場合さえ含んでもよい。特に、本明細書および特許請求の範囲で使用される用語「comprise」、「comprises」、または「comprising」が、「から排他的になる」という意味を有してよい後者の場合、独立請求項の特徴、および本明細書の対応する部分と併せて、請求される本発明の最も広い範囲で記述されるように、本発明に属すると要約される、追加の指定される特徴により特徴付けられる、別の好ましい実施形態を、本出願の下位請求項が請求することができ、本明細書の対応する部分が記述することができる。
【0027】
換言すれば、用語「comprise」、「comprises」、または「comprising」は、本明細書および特許請求の範囲では、要素の限定的な列挙を記述するという意味を有することがある、あるいは代替として、本明細書および特許請求の範囲では、要素の網羅的な列挙を記述するという意味を有することもあり、後者の場合、別の好ましい実施形態が追加の特徴により特徴付けられることを排除しない。
【0028】
本明細書および特許請求の範囲で使用される用語「作用光」または「化学線」は、光化学的(光生化学的を含む)作用を有し、かつ場合によっては、自然または人工の起源をもつ光/放射を含む電磁スペクトル全体(「Rompp Chemie−Lexikon」を参照して以下で示される定義、および本出願の図5を参照のこと)の光または(より広い)放射を意味するものと理解される。特許請求の範囲および本明細書では、「作用光」または「化学線」は、主に人工起源をもつ光または放射に対して使用されるが、それに限定されない。
【0029】
本発明で、可視範囲内にある少なくとも1つの波長の化学線を照射する目的のために使用される装置は、本出願者の先行特許出願に記載される通常の照射装置である。この点については、出願の内容が参照により本出願に組み入れられる、正式なファイル番号、独国特許出願公開第102005030388号明細書および欧州特許出願公開第2055349号明細書を有する出願が参照される。すでに上述のように、本発明の装置は、明白な理由のためにしばしば「ベッド」とも呼ばれる、ユーザの体が水平位置にある間に被験者またはユーザの体を照射する装置、および位置が座位でも立位でもよい垂直位置に体がある間に被験者またはユーザの体を照射する装置から選択されてもよい。いずれのグループの照射装置も本発明に含まれる。本発明の装置はまた、ユーザの体の一部だけに化学線を提供する照射装置、例えば顔照射装置、上体だけを照射する装置、胸だけを照射する装置、腕だけを照射する装置などを含んでよい。これらの装置すべてが以後、一般に「照射装置」または「装置」と呼ばれる。
【0030】
本発明の目的のために使用できるとしてユーザの体を照射する装置は、当業者に公知の構造を有してよい。通常「ベッド」と呼ばれる(日焼け紫外線放射を放出する従来技術の装置の場合、「日焼け用ベッド」として公知である)、照射段階中にユーザの水平位置決めのための照射装置を用いて、例示目的のために、および本発明のよりよい理解を可能にするために、本発明が以下で説明される。しかし、本発明は、ベッドに似た照射装置に限定されない。
【0031】
本発明により提供される装置は、装置の一般的な実施形態または好ましい実施形態では、特定のタイプまたは特定の作り方の、人体を照射する作用光照射器(actinic light irradiator)を伴う実装形態に限定されるのではなく、むしろ、一般的に利用されてよい。
【0032】
用語「作用光照射器」または「照射設備」または「照射装置」は、以下の説明、および特許請求の範囲では、被験者またはユーザの、通常は人の体が化学線を用いて照射される設備を意味すると理解される。以下で詳細に説明される、本発明の特定の実施形態では、そのようなステップまたは照射は、日焼け紫外線放射を含む化学線による照射ステップを含んでもよい(しかし、本発明によれば、そのような照射ステップから排他的になるわけではない)。
【0033】
化学線は、そのような放射の波長に応じて、適切な放射源により、例えば適切に加圧された管、または放射線放出体(低圧放射線放出体、高圧放射線放出体)、または化学線を放出するLEDにより、人体、または人体の少なくとも一部の上に放出される。化学線を放出する放射源の好ましい実施形態が以下で説明される。照射設備または照射装置は、ユーザの体全体を照射するのに役立つ設備または装置、および人体の一部を照射するのに役立つ設備または装置(例えば顔照射設備、あるいは上体設備または上体装置)、およびさらに、ユーザの体全体を照射するのに役立ち、体の個々の部分(例えば顔、肩、両側面)が、ユーザの体全体が照射されるのと同時に追加で、化学線で照射されることができる追加装置(例えば追加のバーナ(burner)、および/または管、および/またはLEDなど)を含む設備または装置を含む。本発明による、特に好ましい照射設備/装置は、全身照射設備/装置であり、その中でも、特定の体の一部に標的照射するための、例えば顔および/または肩を照射するための追加装置を含む全身照射設備がさらになお好ましい。
【0034】
上述のタイプの照射設備は、従来技術から、日焼け設備として公知であり、本明細書で詳細に説明される。例えば、照射設備の基本構造に関する内容が参照により本出願に組み入れられる、先行特許出願である独国特許出願公開第102005030388.9号明細書および欧州特許出願公開第2055349号明細書の詳細な説明が参照されることができる。
【0035】
そのような照射装置は、ユーザ/人/被験者が、台、座席、またはベッドにいる間に、前記ユーザ/人/被験者の体の少なくとも一部に前記化学線が当たることができるようにする位置で、台の上に立つ、座席に座る、またはベッドに横たわることができるようにするための手段を含む。
【0036】
好ましい一実施形態が、従来の技術で通常の照射設備または照射装置であり、日焼けのために、またはより一般的には、横臥位のときにユーザを化学線により照射するために提供される。本発明は、横臥位のときにユーザを照射するための、そのような一般的な照射装置を主に参照することにより、以下で説明される。しかし、本発明は、そのような装置に限定されるのではなく、むしろ原則としてさらに、ユーザが座って、または半横臥位で、またはうずくまる姿勢、または立位で照射される設備のために提供されてよい。
【0037】
好ましくは横臥位で日焼けするために提供されるそのような一般的な照射設備は、通常、化学線源部分に加えて、装置の動作に必要とされる電子ユニット、切換装置、および接続装置、ならびに任意選択でさらに、例えば冷却システム、または換気システム、またはマルチメディア提供用装置などの別の装置も含む固定された下部と、可動性の上部とからなる。ユーザが自分自身を照射設備に配置するのを手助けするために、前記可動性の上部は、適切な装置を使用して、例えば、一般に(しかし限定するわけではない)下部の縦軸側の一方を上部の縦軸側の一方に移動できるように接続するジョイントまたはヒンジを中心に開放位置に傾けるまたは旋回させることにより、固定された下部から少なくとも部分的に取り外される。ユーザが自分の位置につくと、可動性の上部は、その元の位置に戻され、それにより、ユーザの周囲に(例えば)トンネルの形をした照射室が形成される。あるいは、上部は、別個のサスペンションにより下部から離れて持ち上げられても、旋回させられてもよく、ユーザが下部の上で自分の位置をとると、下部に向けて戻して下げられても、旋回させられてもよい。照射過程の完了後、同じ過程が逆に行われる。
【0038】
照射設備のユーザが、化学線で照射されている過程の間に横たわるためには、固定された下部は、少なくとも、照射される化学線に透過性があり、かつ一般に(しかし限定するわけではない)大部分は透明な横たわる面を含む。この面は、少なくとも、作用光源により放出される放射に透過性のある材料からなる。この材料は、該当する化学線放射に大部分透明な、当業者に公知の任意の材料でよい。この材料は、放射の所望のわずかの部分に対して必要な透明性を有するだけでなく、むしろ、例えば照射される人を支えるのに十分な安定性および柔軟性、ならびに照射過程の後に使用されなければならない、清浄および消毒する物質の作用に対する優れた耐久性などの、別の有利な特性も発揮する。アクリル重合体が有利に使用される。
【0039】
横たわる面の下には、所望の放射のための、特に作用光放射のための、少なくとも1組の放射源が、特に好ましくは、該当する波長を有するそのような放射を放出する高圧または低圧のランプ管であるが、考えられるところでは放射を放出するLEDが、設備の縦方向に配置されることが好ましい。放射は、規定されるように、設備または装置の上部の方向に、したがって、設備の、横たわる面上で横臥位のユーザの方向に、あるいはユーザの体の少なくとも一部に、またはユーザの体の複数の部分に向けられる。任意選択で、上述のランプ管に加えて、1つまたは複数の別の放射源を設備の下部に配置することも可能であり、これらの放射源は、ユーザの体の特定領域の標的照射を保証する。
【0040】
固定された下部に上述のように接続され、下部と協働する照射設備の上部は、ユーザと上部の電気で動作させられるユニットの間に配置される、少なくとも、該当する放射に実質的に透過性のある、ユーザに対する保護面を含む。この保護面は、当業者の専門家の知識に基づき、少なくとも化学線に実質的に透過であり十分安定した、当業者に公知の任意の所望の金属からなってよい。好ましくは、下部の、横たわる面にも使用されるようなアクリル重合体が保護面として使用される。好ましい実施形態では、保護面は、(例えば、しかし限定されるわけではない)トンネルの形をした日焼け室が、保護面の下で横臥位の、照射設備のユーザの上に形成され、トンネルの最上部が、好ましくは上部のほぼ中央にあるような方法で形成される。
【0041】
保護面(好ましくはトンネルの形をした照射室を形成する)の上には、化学線のための少なくとも1組の放射源が配置され、好ましくは設備の縦方向に配置される。装置の上部に化学線源を配置することは、保護面の(化学線源の観点から)好ましい凸形状を考慮している。化学線源は、たいていの場合、化学線を放出する高圧または低圧のランプ管であるが、当業者によく知られている別の放射源、例えば化学線を放出するLEDなどでもよい。放射は、規定されるように、照射設備の下部の方向に、したがって、装置の、横たわる面上で横臥位のユーザの方向に、あるいはユーザの体の少なくとも一部に、またはユーザの複数の部分に向けられる。上述のランプ管に加えて、1つまたは複数の別の放射源が、照射設備の上部に配置されることも可能なことがあり、これらの放射源は、具体的にはユーザの体の特定部分に、例えばユーザの顔などに向けられ、所望の化学線での標的照射を保証する。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、化学線を放出する放射源は、低圧のランプまたは管(内面に適用される層として、しばしば蛍光燐光体を含む)、中圧または高圧のランプまたはランプ管(電圧により活性化される特定の化学元素をしばしば含む)、およびLED(light emitting diode、発光ダイオード)から選択されてよい。化学線を放出するこれらの放射源はすべて、それ自体は当業者に周知であり、要件、例えば個々の放射源により放出されることを望まれる波長または波長範囲に従って選択されてよい。
【0043】
本発明の装置で使用されてよい化学線を放出する放射源の、特に好ましい一実施形態が、図6に示されている。本発明の好ましい装置で使用される放射源は、ランプ1の放出領域を囲み、特定の化学線範囲でランプ1から受け取られる光を(少なくとも部分的に)吸収するが主に反射する反射鏡2と組み合わせて、特定の化学線スペクトルを放出する高圧ランプ1を含む。これは、紫外線光放射(a)、可視光放射(b)、および本発明によれば、波長850nm以下を有する近赤外(NIR)光放射(c)を意味する矢印a、b、およびcから理解されることができるように、反射鏡2の反射する内面21に適用される放射波長を確保する材料の複数の層により達成される。反射鏡2により反射される放射は、本発明の好ましい実施形態では、円板形状を有するフィルタ3を通過する。
【0044】
一般に、ランプ1、反射鏡2、およびフィルタ3は、放出(ランプ1)、反射(反射鏡2)、および放射フィルタリング機能(フィルタ3)のそれらの個々の波長範囲に適合される。本発明の装置の放射を放出する手段のこれら3つの部分の特性を適切に選択することにより、可視および可視以外の化学線範囲のうち、所望の生理学的作用の波長範囲内の波長を有する適切な化学線を、装置を使用して人/被験者の体に送達することが、確実に確保されることができる。
【0045】
本発明の装置のより好ましい一実施形態では、ランプ1(好ましくは高圧ランプである)の放出スペクトルは、可視範囲の波長を超える近紫外線範囲の波長から、近赤外線範囲の波長までの化学線波長範囲をカバーする。本発明の装置のより好ましい実施形態では、ランプ1の放出スペクトルは、可視範囲の波長の少なくとも一部、および近赤外線範囲の波長の一部を含む、化学線波長範囲をカバーする。本発明によれば、さらにより好ましいのは、高圧ランプ1が、570nm〜850nmまでの間の波長をカバーする装置であり、その範囲の中には、いくつかの、好ましくは5つの、例示的に図4に示される部分範囲が定義されることができる。本発明の装置のさらにより好ましい実施形態では、(好ましくは)高圧ランプ1の化学線放出の部分範囲は、中央ピーク波長、例えばほぼ590nm(570nm〜620nmの可視範囲内)、ほぼ630nm(610nm〜650nmの可視範囲内)、ほぼ670nm(650nm〜690nmの可視範囲内)、ほぼ760nm(740nm〜780nmの可視範囲内)、およびほぼ830nm(810nm〜850nmの可視以外の範囲内)を有することができる。
【0046】
本発明の装置の別の好ましい一実施形態では、(好ましくは上述の波長範囲内の)ランプ1により放出される化学線は、適切に配置された反射鏡2により反射される。反射鏡2は、ランプ1により放出される化学線をユーザに向けて(以下でより詳細に説明されるように、適切なフィルタ3を通して)反射することができることが好ましい。本発明の装置のより好ましい一実施形態では、反射鏡は、反射鏡の内(凸)側21上にコーティングを有する反射鏡である。そのようなコーティングは、ランプ1から中に入っていく光を適切に屈折させる。別の好ましい実施形態では、コーティングは、いくつかの(例えば20〜50、より好ましくは30〜45の)層から作られる誘電体コーティングである。本発明の装置の特に好ましい実施形態によれば、そのような実施形態に限定するわけではないが、(例えば37または39または41の)層の二酸化チタン(TiO)および二酸化ケイ素(SiO)が、全体の厚さの範囲1μm〜10μmを、例えば全体の厚さほぼ4μmをもたらす配置が、反射鏡2の凸の内側21のコーティングとして有益であることがわかった。そのようなコーティングは、例えば以下の特性データ(しかし本発明はそれに限定されない)(Rは反射(%)である。「avg」は「average(平均)」を意味する)を有するスペクトル特性をもたらす。
【0047】
avg>95% @(ただし)580nm〜850nm;
avg<15% @950nm〜2500nm;
AOI=54°。
【0048】
換言すれば、反射される大量の光(>95%)が、580nm〜850nmの範囲内の波長を有する。したがって、本発明の好ましい装置の反射鏡2の特性により、ランプ1から来る、放出される化学線のより広い範囲が、(大部分は)580nm〜850nmの波長範囲に「切り詰められる」が、より短いおよびより長い波長範囲の化学線を完全に取り除くわけではない。本発明の装置の好ましい反射鏡2の反射スペクトルが、図1に示されている。
【0049】
本発明の装置の別の好ましい一実施形態では、ランプ/反射鏡/フィルタの組合せの中に、反射鏡2により反射される化学線がユーザの体に当たる前に、通過しなければならないフィルタ3が含まれる。本発明の装置の特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの可視波長範囲を含む、さらにより好ましい実施形態では1つの可視以外の波長範囲も含む最終的な波長範囲が、反射鏡2によりフィルタ3に導かれた範囲から、特に有益な(すなわち生理学的に効果があり、ユーザの体に有益な作用を及ぼす)波長の化学線だけをフィルタで抽出することにより生成される。
【0050】
これは、本発明の装置のより好ましい実施形態では、図2に示される透過スペクトルを有するフィルタにより達成される。換言すれば、そのようなフィルタ3は(「長い波長を通過させるフィルタ」=「ロングパスフィルター」と呼ばれる)、波長が570nm未満の光だけがフィルタを通過することができるように、ランプ1により放出され、反射鏡2により反射されることができた化学線の、(危険な)短い(例えば紫外線)波長を完全に「切り詰める」。
【0051】
より好ましい実施形態では、波長≧570nmを有する化学線の透過を可能にするフィルタが、以下の特性データ(「フィルタ性能特性」とも呼ばれる)(Tは光の透過(%)であり、「avg」は「平均」を意味する)を有することがある。
【0052】
avg>85% @650nm〜850nm;
=50% @610nm±10nm;
avg<1% @<570nm。
【0053】
本発明の装置のさらにより好ましい一実施形態では、そのようなフィルタは、好ましくは誘電体コーティング系が堆積させられる、本目的のために共通に使用される透明なフィルタ材料を含んでよい。そのようなコーティングは、いくつかの(例えば20〜50、より好ましくは30〜45の)層から作られる誘電体コーティングでもよい。本発明の装置の特に好ましい実施形態によれば、しかしそのような一実施形態に限定されることなく、(高屈折率の)二酸化チタン(TiO)および(低屈折率の)二酸化ケイ素(SiO)が交互に堆積させられた(例えば34または36または38の)層が、全体の厚さの範囲1μm〜5μm、例えば全体の厚さほぼ2μm〜3μmをもたらす配置が、フィルタ3のコーティングとして有益であることがわかった。
【0054】
換言すれば、フィルタ3を通過した大量の光(>85%)が、≧570nmからの範囲の波長を有する。したがって、本発明の好ましい装置のフィルタ3の特性により、反射鏡2から来る、より広い範囲の放出される化学線が、(大部分は)≧570nmの波長範囲を有する化学線に「切り詰められる」。より長い波長範囲を有する化学線は、反射鏡2から少量しか来ない(図1を参照のこと)。本発明の装置の好ましいフィルタ3の透過スペクトルが、図2に示されている。
【0055】
本発明の装置の別の好ましい一実施形態によれば、反射鏡2により反射される化学線が、ユーザの体の上に当たる前に通過しなければならない、ランプ/反射鏡/フィルタの組合せのフィルタ3は、ランプ1により放出され、反射鏡2により反射されることができた(危険な)短い(例えば紫外線)波長の化学線を完全に「切り詰める」だけでなく、850nmを超える長い波長、および特に1100nmを超える長い波長を実質的に「切り詰める」ような方法で、反射鏡2によりフィルタ3に導かれる範囲から、特に有益な(すなわち、生理学的に効果があり、ユーザの体に有益な作用を及ぼす)波長の化学線をフィルタで抽出することにより、少なくとも1つの可視波長範囲を含み、さらにより好ましい実施形態では1つの可視以外の波長範囲も含む、最終波長範囲を生成することができる。そのようなフィルタは、場合により「短い波長を通過させるフィルタ」または「Kurzpass−Filter」と呼ばれる。その結果、フィルタを通過する化学線は、≧570nmからの範囲内の、850nmを実質的に超えない波長を有する。
【0056】
より好ましい実施形態では、≧570nmかつ実質的に850nmを超えない波長を有する化学線の透過を可能にするそのようなフィルタは、以下の特性データ(「フィルタ性能特性」とも呼ばれる)を有する(Tは光の透過(%)である。「avg」は「平均」を意味する)。
【0057】
avg<15% @1100nm〜2500nm;
=50% @900nm±20nm;
avg>85% @650nm〜850nm;
=50% @610nm±10nm;
avg<1% @<570nm。
【0058】
本発明の装置のさらにより好ましい一実施形態によれば、そのようなフィルタは、好ましくはいくつかのコーティングが適用される、本目的のために共通に使用される透過フィルタ材料を含んでもよく、そのようなコーティングは、より好ましくは、いくつかの(例えば20〜50、より好ましくは30〜45の)層から作られ、より好ましくは、(高屈折率の)二酸化チタン(TiO)および(低屈折率の)二酸化ケイ素(SiO)の(例えば34または36または38の)交互に堆積された層が、全体の厚さの範囲1μm〜5μmを、例えば全体の厚さほぼ2μm〜3μmをもたらす配置の形で、短い波長の化学線を切り詰めるための誘電体コーティングを含み、いくつかの(例えば10〜30、より好ましくは15〜20の)層から作られ、より好ましくは、(高屈折率の)五酸化タンタル(Ta)および(低屈折率の)二酸化ケイ素(SiO)の(例えば16または18または20の)交互に堆積された層が、全体の厚さの範囲1μm〜5μmを、例えば全体の厚さほぼ2μm〜3μmをもたらす配置の形で、長い波長の化学線を切り詰めるための、インジウムスズ酸化物のコーティングおよび誘電体コーティングを含む。
【0059】
換言すれば、フィルタ3を通過した大量の光(>85%)が、≧570nmからの範囲内の波長を有する。さらに、850nmを超える波長を有する少量の化学線だけが、フィルタ3を通過する。したがって、本発明の好ましい装置のフィルタ3の特性により、反射鏡2から来る、より広い範囲の放出される化学線が、(大部分は)≧570nmの波長範囲を有する化学線に「切り詰められる」。より長い波長範囲を有する化学線が、反射鏡2から少量だけ来て(図1を参照のこと)、これらの化学線は、本フィルタ3により同様に「切り詰められる」。本発明の装置の、後者のフィルタ3の透過スペクトルが、図3に示されている。
【0060】
後者の実施形態は、ユーザの体に有益な化学線を提供するという特性において優れているが、フィルタコーティングが長い波長の化学線を切り詰めるための経済的投入量が、比較的高いために、長い波長の化学線だけが通過させられる実施形態と比較して、現在ではそれほど好まれない。
【0061】
本発明の装置の好ましい実施形態では、ランプ1、反射鏡2、およびフィルタ3の上述の組合せは、単独で、または化学線を放出する別の手段と組み合わせて、要件に従って当業者により選択されてよい任意の適切な量で有益に使用されてよい。より好ましいのは、そのようなランプ/反射鏡/フィルタの組合せを排他的に利用する、本発明の装置である。本発明の好ましい装置の数は、照射装置のサイズおよび目的によって決まってよい。(ユーザの体を部分的にだけ、例えば顔、腕、上体、胸を照射するための)より小さい照射装置は、そのようなランプ/反射鏡/フィルタの組合せを少数だけ、例えば3つ(顔照射器として)、または3つ〜6つ(体の部分的照射器として)含んでもよいが、一方、別の照射装置は、(体全体の照射器として)照射装置のサイズに応じて、適切には10〜50、好ましくは15〜30の組合せ、あるいはさらに少ないまたはさらに多く必要であってもよい。当業者が、有益な医学的結果および/または美容的結果を達成するために、ユーザの体(またはユーザの体の該当する部分)が、あらゆる側から、適切な波長の化学線で、完全かつ適切に照射されるべきであるという要件に基づき、目的に従って適切な数を選択してよい。
【0062】
立っているまたは座っているときにユーザに化学線を加えるための照射設備は、ユーザの横臥位以外の位置に従って構築されるが、本発明によれば好ましい横臥位で化学線を受け取るための、上述の設備のように、化学線で照射するのに不可欠の同じ構成要素を実質的に含む。
【0063】
それ自体公知のそのような照射設備は、本発明によれば、ユーザの体の照射に有用な、または望ましい、別の装置を含む。これらの別の装置は、前記ユーザ/人/被験者の体の上に照射されるべき、および/または照射された前記化学線の照射の強度、放射度、線量、および/または時間の制御を可能にする手段である。そのような手段は、参照により本出願に組み入れられる、正式なファイル番号、欧州特許出願公開第2055349号明細書を有する、本出願者の先行特許出願で詳細に説明されている。以後、用語「人体を化学線で照射する設備内で化学線源により放出される化学線のスペクトル分布を保護するための手段」により参照されるそのような手段は、本発明に関連して、ここでさらに説明される。
【0064】
限定することなく、人体を化学線で照射する設備/装置内で化学線源により放出される化学線のスペクトル分布を保護するためのそのような手段は、以下から選択される、または以下から組み合わせられる、1つの手段だけ、あるいは2つ以上またはすべての手段を組み合わせて含んでもよい。
【0065】
−放出される化学線のスペクトル分布および線量が、放射源の構造のために、規制された紅斑作用のある照射に対する限界値を守ることを可能にする放射源だけの、交換不可能な接続を保証するための手段。手段は、好ましくは機械的保護手段の形の、放射源の交換不可能な接続を保証するための手段であり、好ましくは、接続の形状に関連する保護手段の形の、または放射源の交換不可能な接続を保証する手段が管の長さに関連する保護手段である保護手段の形の、放射源の交換不可能な接続を保証する手段である、または代替として、手段は、使用される放射源の電子コードを出力するおよび/または検出することにより、好ましくは放射源の交換不可能な接続を保証するための手段の形の、電気的および/または電子的な保護手段である、または代替として、機械的保護手段、および電気的または電子的な保護手段の組合せである手段である。
【0066】
−化学線源により放出される紫外線放射のスペクトル分布を変更するための手段。手段は、好ましくは、化学線照射器が、第1のタイプAの主要な化学線放出を伴う放射源を、および第2のタイプBの主要な化学線放出を伴う放射源を装備されるので、タイプA放射/タイプB放射の可変の比を達成する方法を変更するための手段であり、好ましくは、タイプA放射源により放出される化学線のスペクトル分布を変更するための手段は、タイプA/タイプBのスペクトル範囲から放出されるタイプA放射の量を調節するための手段であり、より好ましくは、化学線源により放出される化学線のスペクトル分布を変更するための手段は、タイプA/タイプBの放射範囲から放出される化学線の量を特定の範囲内の値に調節するための手段であり、好ましい実施形態では、そのような調節は、タイプA放射を主として放出する化学線源の数を、異なる化学線例えばタイプB放射を主として放出する化学線源の数に対して制御することにより達成される、またはタイプA放射を主として放出する化学線源の電気的活性化を、異なる化学線例えばタイプB放射を主として放出する化学線源の電気的活性化に対して制御することにより達成され、さらにより好ましくは、電気的活性化のそのような制御は、所与の化学線を主として放出する放射源をオンおよびオフに切り換えることにより行われる、あるいは電気的活性化のそのような制御は、所与の化学線を主として放出する放射源を弱めることにより行われる。
【0067】
−照射される人の皮膚のタイプおよび/または皮膚の状態の測定による結果に従う、化学線源により放出される化学線のスペクトル分布の、放出される化学線量値の自動的調節のための手段。この文脈では、用語「自動的調節」は、測定の結果が、化学線源により放出される化学線の量または線量または放射輝度を調節するために、直接、かつどんな別の中間ステップもなしに、使用されることを意味し、そのような手段は、好ましくは、放出される化学線量に対する最大値の自動的調節のための手段、所定の時間当たり放出される化学線量の値を調節するための手段、所定の、時間に関連した化学線量について最大照射時間の値を調節するための手段、および/または照射に関係のある別のパラメータを調節するための手段でもよく、自動的調節のために使用されるそのような値を達成するために、照射される人の皮膚のタイプおよび/または皮膚の状態の1つまたは複数の測定が光学的に続行され、好ましくは、照射される人の皮膚のタイプおよび/または皮膚の状態の1つまたは複数の測定は、少なくとも2つの異なる波長の光を使用する光測定を用いて続行され、より好ましくは、照射される人の皮膚のタイプおよび/または皮膚の状態の1つまたは複数の測定は、異なる放出波長を有する少なくとも2つのLEDからの光を用いて続行される。
【0068】
−照射される人体の上に化学線量が実際に当たる領域内の化学線スペクトル範囲全体にわたり、および/または時間をかけて実際に放出される化学線量(実際のデータ)を検出するための手段、および所定の公称データと比較するための手段、ならびに任意選択で、化学線量および/または照射時間を自動的に制限するための手段。手段は、好ましくは、化学線スペクトル範囲全体にわたり、すべての化学線源により実際に放出される放射線量を手短に検出するための手段でもよく、より好ましくは、化学線の該当する波長範囲に対する化学線センサでもよい。
【0069】
本発明によれば、前記化学線の照射の強度、線量、および/または時間の制御を可能にする上記手段は、前記化学線で照射される人の皮膚の状態、好ましくは皮膚の日焼け状態、および/または皮膚のタイプを決定するための手段を含む。化学線により照射される人の皮膚の状態および/または皮膚のタイプを決定するための手段は、従来技術から当業者に公知である。化学線により照射される人の皮膚の状態および/または皮膚のタイプを決定するためのそのような手段の開示の一例が、参照により本開示に組み入れられる、本出願者の先行特許出願である欧州特許出願公開第1508301号明細書から公知である。
【0070】
本発明の好ましい一実施形態では、前記化学線の照射の強度、線量、および/または時間の制御を可能にする手段は、前記化学線の照射の強度、放射度、線量、および/または時間の制御を達成するために、照射されるべき、および/または照射された人の皮膚の状態および/または皮膚のタイプの測定から直接、結果を与える。この文脈では、前記化学線の照射の強度、放射度、線量、および/または時間を直接制御するために、照射されるべき、および/または照射された人の皮膚の状態および/または皮膚のタイプの測定結果を直接提供することは、測定の結果が、1つまたは複数の化学線源により放出される化学線の量または線量または放射輝度を調節するために、直接、どんな別の中間ステップもなしに、使用されることを意味する。
【0071】
本発明によれば、人/ユーザ/被験者の体を、前記人/ユーザ/被験者の体に少なくとも1つの生理学的作用を及ぼす少なくとも2つの異なる波長の化学線で照射する装置は、前記人/ユーザ/被験者の体に少なくとも1つの生理学的作用を及ぼす少なくとも2つの異なる波長の放射を放出する少なくとも1つの放射源を含む手段を含む。そのような1つ、または2つ以上の放射波長のうち、少なくとも1つが可視範囲内にあり、少なくとも2つの異なる波長の前記放射は、前記人の体の少なくとも一部に向けられる。
【0072】
本発明によれば、本発明の装置は、少なくとも1つの化学線源を含む。したがって、装置は、1つの化学線源、または2つ以上の化学線源を含んでよい。1つまたは複数の化学線源は、上述のように、低圧ランプでもよい、または高圧ランプでもよい、またはLEDでもよい。さらに、1つまたは複数の化学線源は、それぞれ1つの特定の波長を放出することができる(例えばLEDのとき)、または1つまたは複数の放射源は、いくつかの異なる波長または異なる波長帯を、あるいは広い波長範囲にわたり広がる、化学線のスペクトルさえ放出することができ、そのスペクトルにより、本発明に従って放出される少なくとも2つの波長の化学線がカバーされる。
【0073】
本発明によれば、放出される少なくとも2つの波長は、化学線を受け取っているユーザ/人/被験者の体に少なくとも1つの生理学的作用を及ぼすことができる。化学線により治療されるユーザの体に1つの生理学的作用が加えられることができる、または化学線を受け取っているユーザ/人/被験者の体にいくつかの生理学的作用が加えられることができる。1つの生理学的作用または2つの生理学的作用は、本発明に従うことが好ましい。
【0074】
本発明によれば、本発明の装置の化学線源により放出される波長の少なくとも1つが、化学線である場合、可視範囲内にある。一般的な定義によれば、化学線の波長の「可視範囲」は、本発明では、400nm〜800nmまでの間の波長範囲であると定義される(Rompp Lexikon der Chemie、キーワード「Spektroskopie」、10th Edition、Thieme Publishers)。図5も参照のこと。
【0075】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の装置の1つまたは複数の化学線源により放出される少なくとも1つの波長の放射が、可視波長範囲内にあり、少なくとも1つの異なる波長の放射が、可視以外の波長範囲内にある。上記ですでに取り扱われた一般的定義によれば、化学線の波長の「可視範囲」は、本発明では上記で示されるように定義され、化学線の波長の「可視以外の範囲」は、本発明では波長範囲400nm未満、および800nmを超える波長範囲であると定義される(Rompp Lexikon der Chemieの上記引用文中、および図5)。
【0076】
本発明に従って有益な生理学的作用をもたらす、本発明の別の好ましい実施形態では、可視以外の波長範囲内の少なくとも1つの波長の放射が、810nm〜850nmから選択される波長、より好ましくは820nm〜840nmから選択される波長、例えば波長830nmの放射である。
【0077】
単独で実現されることができる、またはすでに言及された好ましい実施形態と一緒に、すなわち組み合わせて実現されることができる、本発明の代替の好ましい実施形態では、可視波長範囲内の少なくとも1つの波長の放射が、570nm〜780nmから選択される波長の、好ましくは570nm〜610nmの範囲から選択される波長の(より好ましくは590nmの)、610nm〜650nmの範囲から選択される波長の(より好ましくは630nmの)、650nm〜690nmの範囲から選択される波長の(より好ましくは670nmの)、および740nm〜780nmの範囲から選択される波長の(より好ましくは760nmの)放射である。可視および可視以外の化学線の、これらの波長範囲内の化学線の組合せで、ユーザ/人/被験者の体を照射する装置が、以下で詳細に説明される、特に有益な生理学的作用をもたらす。
【0078】
本発明の別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの放射源により放出される少なくとも1つの波長の少なくとも1つの放射、およびより好ましくは可視および可視以外の波長範囲内の、上記の好ましい放射の2つの波長放射が、1つの狭い波長帯で、または2つの狭い波長帯で放出される。さらにより好ましくは、可視および可視以外の化学線の波長範囲内の、1つまたは2つの波長のそのような化学線は、上述の可視および可視以外の範囲の、前記2つの波長範囲内の異なる放射のそれぞれについて、少なくとも1つのタイプの低圧ランプにより放出される、およびより好ましくは、少なくとも1つのタイプの発光ダイオード(LED)により、および/または少なくとも1つの光を放出する燐光体を含む少なくとも1つのタイプの低圧管ランプにより放出される。結果は、そのように組み合わせられた放射を受け取る人/ユーザ/被験者の体に加えられる特に有益な生理学的作用である。
【0079】
本発明の装置の好ましい実施形態ではあるが、一代替形態では、少なくとも1つの放射源により放出される少なくとも1つの波長の少なくとも1つの放射、およびより好ましくは、可視および可視以外の波長範囲内の、上記の好ましい放射の2つの波長放射が、広い波長帯で放出され、好ましくは少なくとも1つのタイプの高圧ランプにより放出され、さらにより好ましくは少なくとも1つのタイプの高圧放電ランプにより放出される。また、この場合、そのような光を放出する作用光源のそのように組み合わせられた放射を受け取る人/ユーザ/被験者の体に、有益な生理学的作用が加えられる。
【0080】
特に、後者の場合、化学線を受け取るユーザの体に加えられる有益な作用により、そのような装置が、少なくとも1つの明確に定義された波長帯の放射の通過を可能にするフィルタをさらに含むのが、本発明の装置の別の好ましい一実施形態である。そのようなフィルタは、一般に、当業者に周知であり、要件に従って、例えば装置のユーザの体の上に照射されなければならない波長範囲または特定の波長に従って、当業者により選択されてよい。フィルタにより通過させられ、装置のユーザの体の上に当たる放射の有益な作用による別の好ましい実施形態では、そのようなフィルタは、好ましくは、可視範囲の化学線では、570nm〜780nmの範囲の波長帯の、好ましくは570nm〜610nmの範囲から選択される波長の(より好ましくは590nmの)、610nm〜650nmの範囲から選択される波長の(より好ましくは630nmの)、650nm〜690nmの範囲から選択される波長の(より好ましくは670nmの)、および740nm〜780nmの範囲から選択される波長の(より好ましくは760nmの)化学線の通過を可能にする。
【0081】
単独で実現されることができる、またはすでに言及された好ましい実施形態と一緒に、すなわち組み合わせて実現されることができる、本発明の代替の好ましい一実施形態では、可視以外の波長範囲内の、少なくとも1つの波長の放射の通過を可能にするフィルタは、好ましくは810nm〜850nmの範囲内の、より好ましくは820nm〜840nmの範囲内の波長帯の放射、例えばほぼ830nmの放射の通過を可能にするフィルタである。
【0082】
好ましくは本発明の装置で使用できるそのようなフィルタは、それ自体は当業者にも公知であり、要件に従って当業者により選択されてよい。作用光を放出するランプ、反射鏡、およびフィルタの組合せでフィルタを使用することは、上記で詳細に説明された。
【0083】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の装置は、特に上記の好ましい実施形態では、波長範囲v以内の放射の通過を可能にする1つのフィルタ、または2つ以上のフィルタを利用する。ここで、vはv≧570nmにより定義される。換言すれば、より広い範囲の波長をカバーする化学線源を使って動作させられる装置で利用される1つまたは複数のフィルタは、1つまたは複数のフィルタが、570nmより短い波長を切り取り、装置のユーザの体まで化学線を通過可能にし、波長v≧570nmを有する化学線の通過を可能にする。さらにより好ましいのが、1つのフィルタ、またはいくつかのフィルタが利用され、vが570nm≦v≦950nmにより定義される、本発明の装置である。これは、広い範囲の波長をカバーする化学線源を使って動作させられる装置で利用される1つまたは複数のフィルタが、1つまたは複数のフィルタが、950nmより長く570nmより短い波長を切り取り、装置のユーザの体まで化学線の通過を可能にし、範囲570nm≦v≦950nmの波長を有する化学線の通過を可能にすることを意味する。
【0084】
本発明の装置のさらにより好ましい実施形態によれば、装置は、より広い範囲の(例えば少なくとも500nm〜1000nmの範囲の)波長をカバーする化学線源と組み合わせて、1つのフィルタ、またはいくつかのフィルタを利用し、1つのフィルタ/いくつかのフィルタは、以下のフィルタ性能特性を有する。
【0085】
avg>85% @650nm〜850nm;
=50% @610nm±10nm;
avg<1% @<570nm。
【0086】
本発明によれば、ユーザの体を照射するために使用される装置が、好ましくは以下のフィルタ性能特性を有するフィルタを利用することが、さらにより好ましい。
【0087】
avg<15% @1100nm〜2500nm;
=50% @900nm±20nm;
avg>85% @650nm〜850nm;
=50% @610nm±10nm;
avg<1% @<570nm。
【0088】
そのようなフィルタは、当業者に公知であり、有益な作用を達成するために、本装置の要件に従って、すなわちユーザまたは人に照射される化学線の所望の波長または波長範囲に従って選択されてよい。具体的には、装置は、より広い範囲の(例えば少なくとも500nm〜1000nmの範囲の)波長をカバーする化学線源と組み合わせて、長い波長の化学線の通過を可能にする少なくとも1つのコーティングを有するフィルタを利用する。より好ましくは、化学線源から装置のユーザの体まで、570nm以上の範囲内の波長を有するそのような化学線だけを通過させることができるようにするために、SiOを含むコーティング、およびTiOを含むコーティング、およびそれらの組合せを含むコーティングから選択される少なくとも1つのコーティングを有するフィルタが使用される。したがって、本発明のこの好ましい実施形態の装置が使用されたとき、波長570nm未満を有するすべての放射が、1つまたは複数の化学線源により放出される化学線から切り取られ、ユーザの体に到達しない。
【0089】
代替として、本発明の装置のさらにより好ましい実施形態では、短い波長の化学線の通過を可能にする少なくとも1つのコーティングを有し、長い波長の化学線の通過を可能にする少なくとも1つのコーティングを有するフィルタが使用される。これは、装置を動作させることにより好ましい方法で達成され、ITO(インジウムスズ酸化物)を含むコーティング、SiOを含むコーティング、およびTaを含むコーティング、およびそれらの組合せを含むコーティングから選択される少なくとも1つのコーティングと、SiOを含むコーティング、およびTiOを含むコーティング、およびそれらの組合せを含むコーティングから選択される少なくとも1つのコーティングとを有するフィルタが使用される。これらの場合、ほぼ1000nmを超える範囲の波長を有するそのような化学線が、1つまたは複数の化学線源から装置のユーザの体までの経路上のフィルタを通過するのを妨げられるだけでなく、ほぼ570nm未満の範囲の波長を有するそのような化学線も、1つまたは複数の化学線源から装置のユーザの体までの経路上のフィルタを通過するのを妨げられる。
【0090】
化学線源から人体/ユーザの体までの経路上のフィルタを通過できるようにされる、化学線の特に好ましい波長範囲は、可視以外の波長範囲では、例えば810nm〜850nmから選択される波長の、好ましくは820nm〜840nmから選択される波長の、より好ましくは830nmの波長の化学線である、および/または可視波長範囲では、例えば570nm〜780nmの範囲から選択される波長の、好ましくは570nm〜610nmの範囲から選択される波長の(より好ましくは590nmの)、610nm〜650nmの範囲から選択される波長の(より好ましくは630nmの)、650nm〜690nmの範囲から選択される波長の(より好ましくは670nmの)、および740nm〜780nmの範囲から選択される波長の(より好ましくは760nmの)化学線である。
【0091】
本発明によれば、少なくとも1つの波長が可視範囲内にある、少なくとも1つの生理学的作用(最も好ましくは少なくとも1つの有益な生理学的作用)を及ぼす少なくとも2つの異なる波長の化学線で、人の体を照射する装置は、医学的用途のためである、すなわち医学的応用のために使用されることができる。医学的応用の場合、そのような化学線を受け取るユーザの体に対する上記の少なくとも1つの生理学的作用(最も好ましくは少なくとも1つの有益な生理学的作用)は、医学分野での生理学的作用である。
【0092】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの波長が可視範囲内にある、少なくとも1つの生理学的作用(最も好ましくは少なくとも1つの有益な生理学的作用)を及ぼす少なくとも2つの異なる波長の化学線で、人の体を照射する装置は、美容用途のためである、すなわち美容応用のために使用されることができる。美容応用の場合、そのような化学線を受け取るユーザの体に対する上記の少なくとも1つの生理学的作用(最も好ましくは少なくとも1つの有益な生理学的作用)は、美容分野での生理学的作用である。
【0093】
本発明を限定しない、本発明の好ましい実施形態を示すために、医学的用途のための本発明の装置は、皮膚の老化の治療、紫外線放射への皮膚の過度の露出に起因する日焼けおよび/または紅斑(dermatitis solaris、日光皮膚炎)の治療、ざ瘡の治療、皮膚刺激の治療、皮膚の炎症の治療、および乾癬の治療への応用があり得る。後者の応用は、ざ瘡が(乾癬も)、しばしば紫外線放射の波長範囲で化学線を提供することにより治療されたので、特に意外である。本発明によれば、可視(赤)範囲および/または近赤外線範囲の、特に波長範囲570nm〜780nm、より好ましくは570nm〜610nm、610nm〜650nm、650nm〜690nm、および/または740nm〜780nmの範囲の可視光による化学線を使い、ならびに/あるいは波長範囲810nm〜850nmの可視光以外による照射により、皮膚刺激の治療、および皮膚の炎症の治療だけでなく、ざ瘡または乾癬の治療が有益であることがわかり、特に、疾病の長期改善を実現することができた。
【0094】
本発明を限定しない、本発明の好ましい実施形態を示すために、美容用途のための本発明の装置は、波長範囲570nm〜780nmの、より好ましくは範囲570nm〜610nm、610nm〜650nm、650nm〜690nm、および/または740nm〜780nmの可視光による照射により、ならびに/あるいは波長範囲810nm〜850nmの可視光以外による照射により、皮膚にコラーゲン生成、および/またはヒアルロン酸生成、および/またはエラスチン生成を達成させることによる、皮膚の老化の治療のための応用があり得る。後者の応用は、皮膚の老化の治療が、610nm〜650nmの波長(実質的な赤外線放射含有量なし)の作用光での照射に加えて、280nm〜320nm(UV−B範囲である)の作用光の同時照射による[Haproユーティリティモデルの上記引用文中]、または580nm〜800nmの波長の作用光での照射に加えて、295nm〜400nm(UV−AおよびUV−Bの範囲である)の日焼け作用光の同時照射による[KBLユーティリティモデルの上記引用文中]、皮膚の治療の評判では、有効であると考えられたので、意外であると考えられる。本発明では、コラーゲン生成で皮膚老化の治療を達成するために、紫外線範囲内の化学線は、全く必要とされない。
【0095】
本発明の装置の後者の美容応用は、別の通常の化粧品の適用なしに行われてよい。しかし、本発明はまた、好ましい実施形態では、通常の化粧品と組み合わせた、上記で説明されるような美容用途のための装置を対象とし、装置は、別の好ましい実施形態では、皮膚の老化の治療の目的で、放射線治療の前、間、または後に、本発明の装置のユーザの皮膚に適用される。
【0096】
本発明のよりよい理解を可能にするのに役立つが、特に好ましい実施形態に本発明を限定しない、本発明のそれらの好ましい実施形態を詳細に参照することにより、本発明が上記で説明された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なる波長の化学線で人の体を照射する装置であって、
人が、台、座席、またはベッドにいる間に、前記人の体の少なくとも一部に前記化学線が当たることができるようにする位置で、台の上に立つ、座席に座る、またはベッドに横たわることができるようにするための手段と、
前記人の体の上に照射されるべき、および/または照射された前記化学線の照射の強度、放射度、線量、および/または時間の制御を可能にするための手段と、
前記人の体に少なくとも1つの生理学的作用を及ぼす、少なくとも2つの異なる波長の放射を放出する少なくとも1つの放射源を含む手段とを含み、1つまたは複数の放射波長のうち、少なくとも1つが可視範囲内にあり、少なくとも2つの異なる波長の前記放射は、前記人の体の少なくとも一部に向けられる装置。
【請求項2】
前記化学線の照射の強度、線量、および/または時間の制御を可能にする前記手段が、皮膚の状態、好ましくは皮膚の日焼け状態、および/または前記化学線で照射される人の皮膚のタイプを決定するための手段を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御手段により、照射されるべきおよび/または照射された人の皮膚の状態および/または皮膚のタイプの決定の結果が、前記化学線の照射の強度、放射度、線量、および/または時間の直接制御を可能にする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの波長の放射が、可視波長範囲内にあり、少なくとも1つの異なる波長の放射が、可視以外の波長範囲内にある、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
可視以外の波長範囲内の少なくとも1つの波長の放射が、810nm〜850nmから選択される波長の、好ましくは820nm〜840nmから選択される波長の放射である、および/または可視波長範囲内の少なくとも1つの波長の放射が、570nm〜780nmから選択される波長の、好ましくは範囲570nm〜610nm、610nm〜650nm、650nm〜690nm、および740nm〜780nm、ならびにそれらの組合せから選択される波長の放射である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの放射源により放出される少なくとも1つの波長の少なくとも1つの放射が、狭い波長帯で放出され、好ましくは少なくとも1つのタイプの低圧ランプにより放出され、より好ましくは少なくとも1つのタイプの発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)により、および/または少なくとも1つの光を放出する燐光体を含む少なくとも1つのタイプの低圧管ランプにより放出される、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの放射源により放出される少なくとも1つの波長の少なくとも1つの放射が、広い波長帯で放出され、好ましくは少なくとも1つのタイプの高圧ランプにより放出され、より好ましくは少なくとも1つのタイプの高圧放電ランプにより放出される、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つの明確に定義された波長帯の放射の通過を可能にする、好ましくは570nm〜780nmの範囲内の、より好ましくは570nm〜610nm、610nm〜650nm、650nm〜690nm、および740nm〜780nm、ならびにそれらの組合せから選択される範囲内の波長帯の放射の通過を可能にする、および/または好ましくは810nm〜850nmの範囲内の、より好ましくは820nm〜840nmの範囲内の波長帯の放射の通過を可能にするフィルタをさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
波長範囲v以内の放射の通過を可能にするフィルタが使用され、vはv≧570nmにより定義され、好ましくは、vは570nm≦v≦950nmにより定義され、より好ましくは
avg>85% ただし650nm〜850nm;
=50% ただし610nm±10nm;
avg<1% ただし<570nm
というフィルタ性能特性を有するフィルタが使用され、最も好ましくは、
avg<15% ただし1100nm〜2500nm;
=50% ただし900nm±20nm;
avg>85% ただし650nm〜850nm;
=50% ただし610nm±10nm;
avg<1% ただし<570nm
というフィルタ性能特性を有するフィルタが使用される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
長い波長の化学線の通過を可能にする少なくとも1つのコーティングを有するフィルタが使用され、好ましくは、SiOを含むコーティング、およびTiOを含むコーティング、およびそれらの組合せを含むコーティングから選択される少なくとも1つのコーティングを有するフィルタが使用される、または短い波長の化学線の通過を可能にする少なくとも1つのコーティングを有し、かつ長い波長の化学線の通過を可能にする少なくとも1つのコーティングを有するフィルタが使用され、好ましくは、ITO(インジウムスズ酸化物)を含むコーティング、SiOを含むコーティング、およびTaを含むコーティング、ならびにそれらの組合せを含むコーティングから選択される少なくとも1つのコーティングと、SiOを含むコーティング、およびTiOを含むコーティング、およびそれらの組合せを含むコーティングから選択される少なくとも1つのコーティングとを有するフィルタが使用される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
医学的用途のための、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
美容用途のための、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
皮膚の老化の治療、紫外線放射への皮膚の過度の露出に起因する日焼けおよび/または紅斑の治療、ざ瘡の治療、皮膚刺激の治療、皮膚の炎症の治療、および乾癬の治療のために使用するための、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
波長範囲570nm〜780nmの、より好ましくは範囲570nm〜610nm、610nm〜650nm、650nm〜690nm、および/または740nm〜780nmの可視光による照射により、ならびに/あるいは波長範囲810nm〜850nmの可視光以外による照射により、皮膚にコラーゲン生成、および/またはヒアルロン酸生成、および/またはエラスチン生成を達成させることにより、皮膚の老化の治療のために使用するための、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
波長範囲570nm〜780nmの、より好ましくは範囲570nm〜610nm、610nm〜650nm、650nm〜690nm、および/または740nm〜780nmの可視光による照射により、ならびに/あるいは好ましくは皮膚の老化の治療のために皮膚に適用される通常の化粧品と組み合わせて、波長範囲810nm〜850nmの可視光以外による照射により、皮膚にコラーゲン生成、および/またはヒアルロン酸生成、および/またはエラスチン生成を達成させることにより、皮膚の老化の治療のために使用するための、請求項14に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−192186(P2012−192186A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−60552(P2012−60552)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【出願人】(512069599)ジェイケイ−ホールディング ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】