説明

異なる色の光を発する半導体の装置の制御

異なる半導体が異なる別個の色の光を放出する半導体の装置の制御が開示され、それぞれの色について半導体の接合温度に依存するフィードフォワード制御部分は第一のインターバルで動作し、非常に長い第二のインターバルで、それぞれの色について測定された光出力に依存して調節される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に異なる色の光を発するする発光型の半導体装置を制御する方法に関する。また、本発明は、請求項6の序文に係る照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6441558号は、電力をLED光源に供給して、所望の光の色を生成するLED発光体システムを開示している。このシステムは、LEDへの給電又はパワーを制御するコントローラを有する。このコントローラは、2つの部分を有する。第一の部分は、LEDの装置の温度を測定し、それぞれ区別された色について半導体の接合温度を決定し、フィードフォワード接合温度の補償を決定し、中間制御信号を供給し、この中間制御信号は、それぞれの色の所望の出力電力すなわちルーメン出力を発するルーメン出力モジュールに供給される。かかるコントローラの第二の部分は、フィードバックループを有し、このフィードバックループは、セットポイント値としてルーメン出力モジュールの出力を受ける。光出力が測定され、測定された値は、ルーメン出力モジュールにより供給されるセットポイント値から差し引かれ、差又はエラー信号が供給される。エラー信号は、ルーメン出力コントローラに供給され、このルーメン出力コントローラは、対応する異なる色のLEDに供給される電力のパルス幅変調(PWM)を調節する。したがって、第一に、フィードフォワード接合温度に依存する部分、及び、第二に、ルーメンフィードバック部分は、直列に接続される。かかるコントローラにより、放出された光の出力は、フィードフォワード部分のルーメン出力モジュールにより供給されるセットポイント値に等しくなるように制御される。
【0003】
フィードフォワードの接合温度の補償のみを提供するコントローラは、接合部温度の変化による光出力の差及び波長のシフトを補償するために使用することができる。
あるセットポイント値に等しくなるようにルーメン又は光出力のみを制御するルーメンフィードバックを有するコントローラは、温度作用及びLEDのエージングのために光出力の変化を補償するために使用することができる。
【0004】
従来技術のコントローラは、フィードフォワード部分とフィードバック部分のためのアルゴリズムを有しており、このアルゴリズムは、多くの計算ステップを含む。LED装置の温度は、非常の高速に変化する場合があり、結果として、光出力電力及び波長のシフトも非常に高速に変動する場合がある。したがって、かかるアルゴリズムの計算は、ハイペースで実行される必要があり、このペースは、実際には、LEDへのサプライが変調されるパルス幅変調の周期に等しい。モジュールの光出力における目に見えるフリッカを回避するため、パルス幅変調周期は、通常は、20ミリ秒よりも短い。結果として、係る計算を実行するプロセッサは、処理能力が高く、したがって高価なものとなる。複雑度のファクタは、それぞれの色の光出力を測定するために単一の光感知素子を使用するとき、それぞれの色についてオンタイムでタイムシフトすることが必要とされることである。また、全ての色の結合された光出力がそれぞれの色のフラクションを常に含むように、それぞれのPWM周期の間にそれぞれの色について最小のオンタイムの使用が必要とされる。係るフラクションを最小にし、したがってそれぞれの色の光出力の色レンジを最大にするため、それぞれの色の光出力は、更に高速に感知及び評価される必要があり、このことにより、更に処理能力が高く、高価なプロセッサが必要とされることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、寿命による変化の光出力を補償することは、係るハイペースで実行される必要がないことが分かっている。さらに、本願発明者は、フィードフォワード接合温度の補償部分の出力が所望の光出力のセットポイントを提供するように使用されるべきではないことを認識している。
【0006】
本発明の目的は、上述されたような従来技術の問題点を解決すること、及び、半導体の接合温度の変化に依存してそれぞれ放出された光の光出力の変化及び波長のシフトを補償すること、並びに、これと組み合わせて、エージングによる放出された光電力の変化を補償するにおける改善を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、請求項1に記載される方法を提供することで達成される。
記載される方法によれば、エージングによる光出力の変化を補償するために必要とされる計算は、数百又は数千時間のレンジで非常に長いインターバルで実行することができる。結果として、全ての計算を実行するプロセッサは、処理能力が低き、したがって以前によりも安価なものとすることができる。係る長いインターバルのため、放出された光を感知及び処理する期間は、以前と同様に短い必要がなく、単一のPWM周期内に収まる必要がない。これにより、安価な光感知素子を使用することが可能となる。
本発明の目的は、請求項6に記載される照明システムを提供することによっても達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、添付図面と共に以下の例示的な説明から更に明らかになるであろう。
図1に示される照明システムは、ダイオード(LED)のような発光型の半導体の装置と、電源から半導体を駆動するドライバとからなるアセンブリ2を有する。半導体の装置は、異なる個別の色の光を発する半導体を有する。例として、限定されるものではないが、特に、R,G及びBとそれぞれ略記され、システムの部分及び信号を参照する符号への接尾として使用される、赤、緑及び青といった3つの異なる色を使用することができる。
【0009】
ヒートシンクのような、半導体の装置の幾つかのロケーションで、温度が測定され、これは点線4により示される。接合温度予測器6は、感知された温度の値を使用して、それぞれの色の接合温度8R、8G及び8Bを決定する。予測器8は、発光の半導体の装置を含む発光体のサーマルモデルを有する。係る予測器の使用は知られており、したがって、その詳細な説明はここでは省略される。
【0010】
ユーザインタフェース10は、照明システムのユーザのために、所望の光出力を全ての色の半導体により放出されるように設定する手段、すなわち、それぞれの色の光の所望の強度、結果的に、所望の係る強度の比を設定する手段を提供する。その程度にまで、インタフェース10を介してユーザにより提供される入力は、キャリブレーションマトリクス12に供給される。キャリブレーションマトリクス12は、符号14R、14G及び14Bにより示されるような、所望の強度の公称値を出力する。光の実際の出力は、半導体の接合温度に依存する。したがって、予測される接合温度8R、8R及び8Bは、キャリブレーションマトリクス12に供給され、それぞれ異なる色の接合温度の変化について公称値14R、14G及び14Bをそれぞれ補償する。これにより、接合温度における変化により波長のシフトの補償が可能となる。
【0011】
図において、それぞれ異なる色について同一である部材は、例では赤である1つの別個の色についてのみ示されている。光出力計算ユニット16Rは、接合温度値8Rを受け、たとえば式EXP((Tj,R−Tref,R)/T0R)に従って光出力ファクタを計算する。ここで、Tj,Rは、赤色を発している半導体の予測される接合温度であり、Tref,Rは、赤の半導体の出力が規定される基準温度であり、T0Rは、接合温度に依存する赤の半導体の光出力(たとえば光束)を規定する特性値である。係る式は知られており、例としてのみ与えられる。
【0012】
第一の乗算器18Rは、キャリブレーションマトリクス12から受けた公称値14Rと光出力計算ユニット16Rからの出力を乗算する。乗算器18Rの出力は、対応する個別の色(このケースでは赤)の半導体に電力が供給されるパルス幅を決定する。光出力計算ユニット16Rを使用し、接合温度8Rを使用することで、任意の原因により発せられた光における変化を補償することができる。
【0013】
第二の乗算器20Rは、第一の乗算器18Rからの出力と割算器22Rからの出力を受ける。制御ユニット24Rは、第二の乗算器20Rからの出力を受け、この出力に依存して、半導体に電力が供給されるパルス幅を制御する。その程度にまで、制御ユニット24Rは、パルス幅変調された信号26Rを半導体及びドライバのアセンブリ2に供給する。
【0014】
半導体により放出された光は、点線の矢印28により示されており、その光出力は、光出力測定ユニット30により測定される。光出力測定ユニット30は、半導体により放出された光のそれぞれの個別の色について個別のセンサを有する。代替として、それぞれの色が異なるインターバルの間に測定されるタイミングとの組み合わせで単一のセンサを使用することができる。光出力測定ユニット30は、個別の色のそれぞれについて光出力値32R、32G及び32Bを出力する。光出力基準プロバイダ34Rは、それぞれ個別の色について光出力基準値36Rを出力する。割算器22Rは、光出力基準値36Rを測定された光出力値32Rで割算し、このように計算された光出力の比を第二の乗算器20Rに出力する。
【0015】
光出力基準値は、特定の基準の接合温度について設定される。
接合温度予測器6、計算マトリクス12、光出力計算ユニット16R、第一の乗算器18R及び第二の乗算器20Rに関わる計算は、たとえば20ミリ秒の第一のインターバルで実行される。
【0016】
割算器22R、光出力測定ユニット30及び光出力基準プロバイダ34Rの動作に関わる計算は、たとえば100〜10000時間のレンジである、第二のインターバルで実行される。第二のインターバルの間、それぞれの第一のインターバルの間に第一の乗算器20Rにより使用することができるように、割算器22Rからの出力が保持される。
【0017】
光出力測定ユニット30、光出力基準プロバイダ40R、割算器22R及び乗算器20Rを使用することで、半導体の劣化により引き起こされる光出力における変化を補償することが可能である。半導体のエージングは緩やかなプロセスであるので、補償は、前記長い第二のインターバルで実行され、これにより、それぞれ第一のインターバルの間に計算を実行するために処理能力の低いプロセッサの使用が可能になる。
【0018】
図2に示される本発明に係る照明システムの第二の実施の形態は、光出力基準プロバイダ34Rが、接合温度値8Rが供給される光出力基準プロバイダ38Rにより置き換えられる点で、図1に示される第一の実施の形態とは異なる。光出力基準プロバイダ38Rは、接合温度値8Rに依存して光出力基準値34Rを計算する。第一の実施の形態の光出力基準プロバイダ34Rがスタティックである一方で、第二の実施の形態の光出力基準プロバイダ38Rは、更なる計算を実行するのを必要とする。しかし、更なる計算が長い第二のインターバルで実行される必要があるので、プロセッサについて著しい負荷を表さない。
【0019】
簡単に言えば、異なる別個の色の光を発する発光型半導体の装置及び該装置に従う照明システムを制御する方法が提供され、短い第一のインターバルで動作する接合温度のフィードフォワード制御部分は、非常に長い第二のインターバルで、測定された光出力値に依存して調節される。
【0020】
好ましくは、光出力制御ループによる温度に依存する制御ループの調節は、照明システムがスイッチオンにされるたびに実行される。1つの第一のインターバルの間に完全に実行される必要はないが、幾つかの第一のインターバルに及ぶ場合がある。
第二のインターバルは、照明システムが第一の時間についてスイッチオンにされるときに開始することができ、又は、照明システムがそれぞれスイッチオンされるときに開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る照明システムの第一の実施の形態を示す図である。
【図2】本発明に係る照明システムの第二の実施の形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に異なる色の光を放出する半導体を含む発光する半導体装置を制御する方法であって、
異なる色の放出された光の目標の強度と目標の強度の比を供給するステップと、
それぞれの色の半導体の接合温度に依存して半導体を制御するステップと、前記接合温度は、システムにおける測定された温度により決定され、
それぞれの色について放出された光の光出力フィードバックに依存して半導体を制御するステップとを含み、
基準の全体の光放出と同一である全体の光放出を達成するため、
温度に依存する制御及び光出力に依存する制御は、異なる第一及び第二のインターバルで実行され、前記第二のインターバルは、前記半導体により連続する光放出の間に前記第一のインターバルよりも数千倍長く、前記温度に依存する制御は、前記第二のインターバルで決定される、光出力基準値と光出力フィードバック値の比に依存して調節される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記光出力に依存する制御は、前記半導体による光放出の開始で実行される、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第二のインターバルは、前記半導体による光放出の開始で開始される、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記第二のインターバルは、100〜10000時間のレンジにある期間を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか記載の方法。
【請求項5】
それぞれの色について、前記光出力基準値は、決定された接合温度値に依存して決定される、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか記載の方法。
【請求項6】
実質的に異なる色の光を発する半導体を含む発光する半導体の装置、前記半導体に電力を供給する給電部、及び基準の全体の光放出と同じである全体の光放出を達成するように前記給電部を制御するコントローラを含む照明システムであって、
前記コントローラは、前記半導体の接合温度を決定する手段、放出された光の所望の公称の色の比に従って前記半導体の基準の接合温度でそれぞれの個別の色について放出される光の公称の強度値を設定し、所望の公称の色の比を達成するために決定された接合温度に依存して公称の強度を調節する手段、及び、それぞれ個別の色について、決定された接合温度で放出された光の出力電力値を計算する手段を有し、
当該照明システムは、
前記強度値と前記計算された出力電力値を乗算し、第一のインターバルをもつ個別の色の供給部分について制御信号を提供する第一の乗算器と、
前記放出された光を測定し、それぞれ個別の色について放出された光の光出力値を決定し、それぞれ個別の色について、決定された光出力値が基準の光出力値と同じになるように前記制御信号を調節する手段を有する出力制御部とを更に有し、
それぞれの色について、前記光出力は、前記第一のインターバルよりも数千倍長い第二のインターバルで決定され、決定された光出力値は、前記第二のインターバルの間に記憶され、
前記基準の光出力値と前記決定された光出力値の比により前記制御信号を乗算する第二の乗算器を更に有する、
ことを特徴とする照明システム。
【請求項7】
前記放出された光の光出力及び前記光出力の比は、前記半導体による光放出の開始で決定され、前記制御信号は、前記比により乗算される、
ことを特徴とする請求項6記載の照明システム。
【請求項8】
前記第二のインターバルは、前記半導体による光放出の開始で開始される、
ことを特徴とする請求項6又は7記載の照明システム。
【請求項9】
前記第二のインターバルは、100〜10000時間のレンジにある期間を有する、
ことを特徴とする請求項6乃至8の何れか記載の照明システム。
【請求項10】
それぞれの色について、前記光出力基準値は、決定された接合温度値に依存して決定される、
ことを特徴とする請求項6乃至9の何れか記載の照明システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−543043(P2008−543043A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512987(P2008−512987)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051597
【国際公開番号】WO2006/126151
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】