説明

異物検出システム、異物センサ及び検出装置

【課題】小型・安価で電力消費が少ない遠隔通信可能な異物検出システムを提供する。
【解決手段】異物検出システム100は、反射タグ202の表面上に電気的に接続されたアンテナ204と抵抗素子206とを有する異物センサ200と、アンテナ302と、アンテナ302から第1及び第2の周波数の電波を送信する電波送信部304と、異物センサ200周辺に異物がない状態である基準状態において電波送信部304から送信された第1及び第2の周波数の電波の反射波である第1及び第2の反射波の反射電力を記憶している記憶部308と、電波送信部304から送信される第1及び第2の周波数の電波の反射波である第3及び第4の反射波から、第1及び第2の反射波の反射電力をそれぞれ差し引いた差分である第1の差分及び第2の差分の符号が異なれば異物センサの周囲に前記異物があると判定する判定部306とを有する検出装置300とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物検出システム、異物センサ及び検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線技術及び小型センサ開発技術の進歩に伴い、人や実環境の多様な情報を制御装置が複数のセンサを用いて取得し、活用する計測システムの開発が盛んに行われている(特許文献1〜3)。
【0003】
こうした計測システムで用いられる遠隔通信可能なセンサは、一般に、小型であること、安価であること、省電力であることが要求される。
【0004】
例えば、特許文献1では、センサにより計測した結果を処理する電子回路の一部を省き、また通信のタイミングを適切なものとすることで、小型化及び省電力化を試みている。
【0005】
また、特許文献2では、センサの構成を簡易なものとすることで、センサの小型化を試みている。
【0006】
さらに、特許文献3では、センサが行う無線通信のプロトコル及び通信処理部を工夫することで、省電力化を試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−123033号公報
【特許文献2】特開2009−250843号公報
【特許文献3】特開2008−072414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の遠隔通信可能なセンサは、まだ十分な小型化や省電力化が図られていないという課題がある。
【0009】
例えば、特許文献1では、1度の無線送信に要する消費電力自体は従来と同様であり、センサから頻繁に送信を必要とする場合、多くの電力を消費せざるを得ない。
【0010】
また、特許文献2には、センサの通信部における電力消費を抑える技術が開示されていない。
【0011】
また、特許文献3には、センシングに必要な消費電力を抑える技術が開示されていない。
【0012】
さらに、これら遠隔通信可能なセンサは、物理量を検出する通常のセンサに、無線通信モジュールが追加されるため、通常のセンサと比較し大型で高価にならざるを得ないことも、実用上は大きな課題となっている。
【0013】
このように、十分に小型・安価で電力消費が少ない遠隔通信可能なセンサは実現できていない。
【0014】
そこで本発明は、より小型・安価で電力消費が少ない遠隔通信可能な異物センサを用いた異物検出システム、異物センサ及び検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のある局面に係る異物検出システムは、異物センサと、前記異物センサの周囲の異物の有無を検出する検出装置とを備える異物検出システムであって、前記異物センサは、第1アンテナと、前記第1アンテナと電気的に結合された抵抗素子と、前記第1アンテナと前記抵抗素子とが表面に配置された基板である反射タグとを備え、前記異物センサの周辺に異物がない状態である基準状態において、第1の周波数の電波を前記第1アンテナで受信した場合の反射波である第1の反射波の反射電力が、前記第1の周波数を含む事前に定義された第1周波数領域内で極小値をとり、第2の周波数の電波を前記第1アンテナで受信した場合の反射波である第2の反射波の反射電力が、前記第2の周波数を含む事前に定義された第2周波数領域内で極大値をとるように電波を反射し、前記検出装置は、第2アンテナと、前記第2アンテナから前記第1の周波数及び前記第2の周波数の電波を送信する電波送信部と、前記基準状態において、前記電波送信部から送信された前記第1の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射された反射波である第1の反射波の反射電力と、前記電波送信部から送信された前記第2の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射された反射波である第2の反射波の反射電力とを記憶している記憶部と、前記電波送信部から送信される前記第1の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射される反射波である第3の反射波及び前記電波送信部から送信される前記第2の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射される反射波である第4の反射波を前記第2アンテナから取得し、前記第3の反射波の反射電力及び前記第4の反射波の反射電力から前記第1の反射波の反射電力及び前記第2の反射波の反射電力をそれぞれ差し引いた差分である第1の差分及び第2の差分の符号が異なれば前記異物センサの周囲に前記異物があると判定する判定部とを備える。
【0016】
この構成によると、異物センサの周囲に異物が存在すると反射タグの見かけ上の誘電率が変化し、その結果、検出装置から送信され、反射タグで反射された電波の電力強度の周波数特性が変化する。また、反射タグは、その反射電力の周波数特性が極大値及び極小値をもつ。よって、異物センサの基板(特に、アンテナ周辺部)に異物が付着等することで、異物センサの基板の見かけの誘電率が変化した場合には、一方の周波数の反射電力は増加し、他方の周波数の反射電力は減少する。
【0017】
その結果、検出装置は、異物による反射電力の変化と、距離変動による反射電力の変化とを切り分けることができる。よって、異物の過検出を抑えて、正確に異物センサの周囲にある異物を検出することができる。
【0018】
この際、異物センサは検出装置から送信される電波を反射するのみであり、自ら電波を発信しない。よって、いわゆる無線モジュールや電源は不要である。したがって、小型・安価で電力消費が少ない無線通信機能付きの異物センサを用いた異物検出システムを実現することができる。
【0019】
また、前記電波送信部は、前記第1の周波数の電波を送信する第1送信部と、前記第2の周波数の電波を送信する第2送信部とを備え、前記第1送信部及び前記第2送信部は同時期に、前記第1の周波数及び前記第2の周波数の電波をそれぞれ送信する。
【0020】
この構成によると、検出装置は、異物の検出に必要な2つの周波数の電波を同時期に送信することができる。よって、検出装置と異物センサとの距離が絶えず変化し、それに伴い反射電力も絶えず変化する場合でも、同時刻の反射電力を用いて正確に異物を検出する異物検出システムを実現できる。
【0021】
また、前記反射タグは、吸湿性の部材で構成されている。
【0022】
この構成によると、異物センサの基板が吸湿性を有するため、その一部に水等の液体が付着した場合、その液体は異物センサの基板全体に浸透する。その結果、異物センサのアンテナ周辺の見かけ上の誘電率が変化しやすくなり、反射電力の変化が顕著となるため、検出装置による異物の検出精度が向上する。
【0023】
また、本発明のある局面にかかる検出装置は、アンテナと、前記アンテナから第1及び第2の周波数の電波を送信する電波送信部と、前記異物センサ周辺に異物がない状態である基準状態において、前記電波送信部から送信された前記第1の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射された反射波である第1の反射波の反射電力と、前記電波送信部から送信された前記第2の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射された反射波である第2の反射波の反射電力とを記憶している記憶部と、前記電波送信部から送信される前記第1の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射される反射波である第3の反射波及び前記電波送信部から送信される前記第2の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射される反射波である第4の反射波を前記アンテナから取得し、前記第3の反射波の反射電力及び前記第4の反射波の反射電力から前記第1の反射波の反射電力及び前記第2の反射波の反射電力をそれぞれ差し引いた差分である第1の差分及び第2の差分の符号が異なれば前記異物センサの周囲に前記異物があると判定する判定部とを備える。
【0024】
この構成によると、検出装置は、事前に定められた2つの周波数の電波に対する反射電力が変化したか否かを検出することができる。
【0025】
また、反射電力が変化した場合において、検出装置が備える判定部は、その原因が、異物センサの周囲に異物があるためか、異物センサと検出装置との距離が変化したためかを、反射電力の増減から、判定することができる。
【0026】
具体的には、反射電力の周波数特性に極大点と極小点が含まれることから、異物センサ(特に、アンテナ周辺部)に異物が付着等することで、その誘電率が変化した場合には、一方の周波数の反射電力は増加し、他方の周波数の反射電力は減少する。
【0027】
このように、検出装置が異物による反射電力の変化と、距離変動による反射電力の変化とを切り分けることができる結果、異物の過検出を抑えて、正確に異物センサの周囲にある異物を検出することができる。
【0028】
また、前記電波送信部は、前記第1の周波数の電波を送信する第1送信部と、前記第2の周波数の電波を送信する第2送信部とを備え、前記第1送信部及び前記第2送信部は同時期に、前記第1の周波数及び前記第2の周波数の電波をそれぞれ送信する。
【0029】
この構成によると、検出装置は、異物の検出に必要な2つの周波数の電波を同時期に送信することができる。よって、検出装置と異物センサとの距離が絶えず変化し、それに伴い反射電力も絶えず変化する場合でも、同時刻の反射電力を用いて正確に異物を検出することができる。
【0030】
また、前記判定部は、前記第1の差分及び前記第2の差分の積が同じ符号であれば前記異物センサと前記検出装置との距離が変化したと判定する。この構成によると、検出装置は、異物センサ周囲の異物の有無に加え、異物センサが移動しているか否かを判定し、検出することができる。
【0031】
また、本発明のある局面に係る異物センサは、アンテナと、前記アンテナと電気的に結合された抵抗素子と、前記アンテナと前記抵抗素子とが面上に配置された基板である反射タグとを備える異物センサであって、前記異物センサの周辺に異物がない状態である基準状態において、第1の周波数の電波を前記アンテナで受信した場合の反射波である第1の反射波の反射電力が、前記第1の周波数を含む事前に定義された第1周波数領域内で極小値をとり、第2の周波数の電波を前記アンテナで受信した場合の反射波である第2の反射波の反射電力が、前記第2の周波数を含む事前に定義された第2周波数領域内で極大値をとるように電波を反射する。
【0032】
この構成によると、異物センサの周辺に異物が存在すると反射タグの見かけ上の誘電率が変化し、その結果反射電力の周波数特性が変化する。また、反射タグからの反射電力の周波数特性は極大値及び極小値をもつ。
【0033】
したがって、これら極値をとる周波数を含む一定領域内(例えば極大点、極小点を含みその前後6MHz程度の範囲内)の周波数の反射電力を、異物が存在しない基準状態と比較することで、異物の有無を判定することができる。
【0034】
その際、異物センサは電波を反射するのみであり、自ら電波を発信しないため、いわゆる無線モジュールや電源は不要である。したがって、小型・安価で電力消費が少ない無線通信機能付きの異物センサを実現できる。
【0035】
具体的には、前記アンテナは、それぞれ長さの異なる2以上のアンテナが並列に接続された形状を有する。
【0036】
この構成により、反射電力の周波数特性が極大値及び極小値をもつ反射タグを実現することができる。
【0037】
また、前記反射タグは吸湿性の部材で構成されている。
【0038】
この構成によると、異物センサのアンテナ周辺の見かけ上の誘電率が変化しやすくなり、反射電力の変化が顕著となり、異物の検出精度が向上する。
【0039】
なお、本発明は、このような異物検出システム、検出装置及び異物センサとして実現できるだけでなく、検出装置及び異物検出システムに含まれる特徴的な手段をステップとする異物検出方法として実現したり、そのような特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0040】
さらに、本発明は、このような検出装置の機能の一部又は全てを実現する半導体集積回路(LSI)として実現することができる。
【発明の効果】
【0041】
以上より、本発明は、小型・安価で電力消費が少ない遠隔通信可能な異物センサを用いた異物検出システム、異物センサ及び検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る異物センサ及び検出装置を用いた異物検出システムによる発汗検知の一例を示した概念図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る異物センサ及び検出装置のブロック図である。
【図3】図3は、本発明で異物の有無を検出するために使用する基本原理を説明する概念図である。
【図4】図4は、反射タグの誘電率と反射電力の周波数特性の関係を、電磁界シミュレータを用いて検証した結果を示す図である。
【図5】図5は、反射タグの誘電率と、検出装置−異物センサ間の距離とが反射電力の周波数特性にそれぞれ与える影響を示した図である。
【図6】図6は、極大点及び極小点を有する反射電力の周波数特性を示す図である。
【図7】図7は、反射電力の周波数特性に極大点及び極小点を有する反射タグを用いて、誘電率の変化と距離の変化を切り分ける方法を説明する概念図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態に係る検出装置による異物の検出処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の実施の形態に係る検出装置が備える判定部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の実施の形態の変形例に係る検出装置のブロック図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態に係る反射タグが満たすべき条件について説明する図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態にかかる検出装置を実現するコンピュータシステムの一例を示す外観図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態にかかる検出装置を実現するコンピュータシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明に係る異物検出システム、検出装置及び異物センサの実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0044】
本発明の実施の形態に係る異物検出システム100は、主に水分の検知に使用可能である。よって、用途としては、健康管理のための発汗検知、又は建物の漏水や結露検知といったものが考えられる。
【0045】
図1は、本発明の実施の形態に係る異物検出システム100による発汗検知の一例を示した概念図である。
【0046】
図1に示されるように、異物検出システム100は、異物センサ200と検出装置300を備える。
【0047】
異物センサ200は、検出装置300から送信された電波の一部を反射及び吸収(内部回路で電力として消費)する機能を有する。
【0048】
検出装置300は、事前に定められた2つの周波数の電波を異物センサ200へ送信し、その反射波を受信する。検出装置300は、受信した反射波の強度変化により、異物の有無を判定する。
【0049】
例えば、トレーニー700、701の衣服等には、異物センサ200が設置されている。
【0050】
ここで、異物センサが異物(この例では汗)を検知すると、検出装置300は警報を発する。例えば、運動時に過度の発汗を放置すると、脱水症状等のおそれがある。そこで、トレーニー700、701の発汗状態を把握できることが望ましい。しかし、多数のトレーニーの発汗状態を、限られた数のトレーナー702が注意し続けることは困難である。
【0051】
本実施の形態に係る異物センサ200及び検出装置300を用いた異物検出システム100により、トレーナー702は、トレーニー700、701の発汗状態をリアルタイムに記録し、監視することができる。
【0052】
図2は、本発明の実施の形態に係る異物センサ200及び検出装置300のブロック図である。
【0053】
図2に示されるように、異物センサ200は、反射タグ202と、アンテナ204と、抵抗素子206とを備える。
【0054】
反射タグ202は、その表面にアンテナ204と抵抗素子206とを配置する基板である。基板の材質としては、例えば、誘電率の低い樹脂や、吸湿性のある部材(紙や布など)などを使用することが考えられるが、これに限られない。
【0055】
なお、吸湿性の部材を基板とすることにより、液体の異物が反射タグ202の一部に付着した場合には、より広範囲に異物が浸透しやすい。また、検出装置300は、反射タグ202の見かけの誘電率の変化を反射電力の変化として検出するが、特にアンテナ204付近の反射タグ202に異物が付着し誘電率が変化することにより、反射電力は大きく変化する傾向にある。よって、反射タグ202に吸湿性の部材を使用することで、液体の異物の検出が容易になると考えられる。
【0056】
なお、反射タグ202の見かけの誘電率の変化とは、アンテナ204またはその一部分の近傍空間の誘電率の変化により、タグ202の見かけの誘電率が変化することをいう。具体的には、異物がない基準状態において反射タグ202の周辺を満たす空気が、他の異物に置き換わることにより、反射タグ202全体の見かけの誘電率が変化することを言う。
【0057】
なお、理論的には、誘電率の変化はアンテナ204周辺に限られないが、実用的には、アンテナ204周辺の誘電率の変化しか検出できないと考えられる。
【0058】
アンテナ204は、検出装置から送信された電波を受信する。アンテナ204は、後述するように、異物センサ200が特定周波数で電波を反射及び吸収するように形状が設計される。
【0059】
抵抗素子206は、アンテナ204で受信した電波を電力として消費することにより、反射電力の強度を調整する。抵抗素子206の抵抗値は、アンテナ204の形状と同様、特定周波数で電波を反射又は吸収する特性をもつ異物センサ200を実装するための設計パラメタの1つである。抵抗素子206は可変抵抗素子でもよく、固定抵抗素子でもよい。
【0060】
なお、例えば紙製の反射タグ202に、導電率の高い導電性インクでアンテナ204を印刷し、アンテナ204よりより導電率の低い導電性インクで抵抗素子206を印刷することにより、異物センサ200を大量、安価に生産することができる。
【0061】
検出装置300は、アンテナ302と、電波送信部304と、判定部306と、記憶部308とを備える。
【0062】
アンテナ302は、立体あるいは平面的な構造をもつアンテナであり、電波送信部304から出力される特定周波数の電波を、反射タグ202へ送信する。
【0063】
電波送信部304は、周波数の異なる2種類の電波を発生させ、アンテナ302を介して送信する。例えば、950MHzと、2.4GHzの電波を交互に送信すること等が考えられるが、詳細は後述する。
【0064】
判定部306は、アンテナ302から受信した反射波の電波強度を、記憶部308から取得する基準値と比較し、異物の有無を判定する。判定部306の詳細は後述する。
【0065】
記憶部308は、基準状態(例えば、異物センサ200の周囲に異物が無い状態)で検出装置300から事前に定められた2種類の周波数の電波を送信した際の、異物センサ200からの反射電力の強度を記憶している。記憶部308は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を用いて実現することができる。
【0066】
なお、記憶部308は必ずしも検出装置300が備えておく必要はなく、検出装置300の外部にある装置が備えていてもよい。その場合、検出装置300は、記憶部308を備える装置から、例えば無線通信により、基準状態における反射電力強度を取得することで、検出装置300が記憶部308を備える場合と同様の効果を奏する。
【0067】
より具体的には、異物センサ200が記憶部308を備え、いわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)における識別情報の伝送手段を応用し、アンテナ302から送信された電波に対する異物センサ200からの反射電力を用いて、異物センサ200から検出装置300へ基準状態における反射電力強度を通知すること等が考えられる。
【0068】
図3は、本発明で異物の有無を検出するために使用する基本原理を説明する概念図である。
【0069】
本発明では、電波を反射する物体の誘電率によって反射電力の周波数特性が変化することを用いて、異物の有無を検出する。
【0070】
図3(A)の横軸は、検出装置300が異物センサ200へ送信する電波の周波数を示し、縦軸は異物センサ200から検出装置300への反射電力の強度を示す。
【0071】
例えば、基準状態の異物センサ200へ電波を送信した場合における反射電力の周波数特性が、周波数faで極小点401をもつグラフ460により示されるとする。
【0072】
次に、反射タグ202よりも大きな誘電率をもつ異物が反射タグ202に付着した場合、反射タグ202の、みかけ上の誘電率は増加する。
【0073】
この場合、一般に、誘電率の上昇に伴って反射電力の周波数特性のグラフは周波数が小さい方へ(図3(A)では左へ)シフトする。グラフ461は、異物が付着したために誘電率が増加した反射タグ202の周波数特性の例である。
【0074】
したがって、異物が付着した状態で、周波数faの電波を送信すると、その反射電力は異物が付着していない状態(極小点401)と比較し大きくなる。
【0075】
逆に、反射タグ202よりも小さな誘電率をもつ異物が反射タグ202に付着すると、反射タグ202の誘電率は減少する。その結果、反射タグ202の周波数特性がグラフ462で示されるように周波数の大きい方(右側)へシフトする。この場合も、周波数faの電波を反射タグ202へ送信した場合の反射電力の強度は、基準状態(グラフ460の極小点401)における反射電力と比較し大きくなる。
【0076】
図3(B)は、異物601として水分が反射タグ202の裏面に付着した異物センサ200を示す。
【0077】
水の誘電率は約80であり、空気の誘電率(約1)と比較して非常に高い。よって、図3(B)に示されるように、反射タグ202の裏面に水が付着した場合、反射タグ202の見かけの誘電率は増加する。
【0078】
その結果、周波数faの電波を図3(B)の異物センサ200に送信した場合、その反射電力は、基準状態における極小点401の値よりも大きくなる。
【0079】
このように、検出装置300は異物が無い基準状態における反射電力強度との差を用いて、異物を検出することができる。
【0080】
なお、反射タグ202に異物が付着する場所としては、前述の通り、アンテナ204の配置箇所上やその裏面を含む、アンテナ204の周辺が(反射電力の変化が大きいために)好ましい。しかし、検出装置300で反射電力の変化を検出可能な程度に、アンテナ204の特性インピーダンスが変わる場所であれば、反射タグ202上の他の場所でもよい。
【0081】
また、異物が反射タグ202に完全に付着せずとも、例えば反射タグ202から数ミリ程度離れて異物が存在する場合であっても、反射タグ202の見かけ上の誘電率は変化する。よって、上記原理により、異物センサ200は非接触で異物を検出することができると考えられる。
【0082】
図4は、反射タグ202の見かけの誘電率と反射電力の周波数特性の関係を、電磁界シミュレータを用いて検証した結果を示す図である。
【0083】
シミュレーションでは、複数の周波数の電波を順次、反射タグ202の誘電率が4.6である異物センサ200へ送信したと仮定し、その反射電力の大きさを算出した。
【0084】
グラフ410は、誘電率1の空気中における異物センサ200の反射電力の特性である。グラフ410に示されるように、2.4GHzの電波を送信した場合に、反射電力の強度が極小値となるように、異物センサ200は設計されている。
【0085】
グラフ411は、反射タグ202の裏面に、厚さ10mmの水(誘電率80)の層が異物としてあると仮定した場合の、異物センサ200からの反射電力の周波数特性を示す。グラフ411は、グラフ410を左側に移動させた形状となっており、誘電率の変化により、2.4GHzの電波を送信した場合における反射電力の強度が、空気中で測定した場合と比較して、大きくなっていることがわかる。
【0086】
本発明の原理は、このように、反射タグ202の誘電率の変化に伴い、異物センサ200からの反射電力の周波数特性が変化し、その結果、特定周波数で計測した反射電力強度が変化することを用いるものである。
【0087】
しかし、反射電力の強度は、反射タグ202の誘電率以外に、異物センサ200と検出装置300との距離によっても変化する。したがって、反射電力強度を変化させた原因が、誘電率の変化によるものか、距離の変化によるものかを判別できなければ、異物を正確に検出できない。この課題について、図5を用いて、より詳しく説明する。
【0088】
図5は、反射タグ202の誘電率と、検出装置300〜異物センサ200間の距離とが反射電力の周波数特性にそれぞれ与える影響を示した図である。
【0089】
図5に示されるグラフ450は、基準状態において周波数f1を中心に送信された様々な周波数の電波に対する反射タグ202からの反射電力の強度を示す。周波数f1において、反射電力は極小値P1をとる。
【0090】
グラフ451は、前述の反射タグ202を水で濡らした結果、誘電率が増加した際の反射電力強度の周波数特性を示す。グラフが左へ移動した結果、周波数f1における反射電力は、Pmとなる。
【0091】
グラフ452は、異物センサ200を、グラフ450を計測したときよりも検出装置300に近づけた際の反射電力強度の特性を示す。誘電率は変わらないため、周波数f1でグラフ452は極小値をとるが、その値はP1ではなく、Pmである。
【0092】
すなわち、周波数f1における反射電力がP1からPmへ変化したことを検出するだけでは、異物により反射タグ202の誘電率が上昇したのか、異物センサ200と検出装置300との距離が変化したのかを、切り分けることができないという課題が残る。
【0093】
本実施の形態に係る異物センサ200は、反射電力の周波数特性を工夫することにより、この課題を解決する。図6を用いて、詳細に説明する。
【0094】
図6は、異物センサ200の、極大点及び極小点を有する反射電力の周波数特性を示す図である。
【0095】
図6に示されるように、基準状態における反射電力の強度を示すグラフ450は、周波数f1において極小点415を有し、周波数f2において極大点417を有する。
【0096】
すなわち、周波数f1の電波を受信した際に最も多くの電波を吸収し、周波数f2の電波を受信した際に最も少ない電波を吸収するように、異物センサ200を設計するものとする。ここで周波数f1及びf2は、異物を検出するために検出装置300から送信される電波の周波数である。
【0097】
図7は、図6に示された、反射電力の周波数特性に極大点及び極小点を有する異物センサ200を用いて、誘電率の変化と距離の変化を切り分ける方法を説明する概念図である。
【0098】
いま、反射タグ202に水分が付着し、反射タグ202の見かけ上の誘電率が上昇したとする。その場合は、図7(A)に示されるように、異物センサ200からの反射電力の周波数特性は、グラフ450からグラフ451へ変化する。
【0099】
この場合に、検出装置300が、周波数f1及び周波数f2の電波を異物センサ200へ送信した場合の反射電力は、それぞれグラフ451上の点416及び点418によって示される値となる。
【0100】
これらの値を、グラフ450における周波数f1及び周波数f2の反射電力の強度と比較すると、周波数f1においては反射電力が大きくなり、周波数f2においては反射電力が小さくなることがわかる。
【0101】
一方、異物センサ200と検出装置300との距離が長くなった場合、反射電力の周波数特性は、図7(B)に示されるように、グラフ450からグラフ454へ変化する。
【0102】
この場合、周波数f1及び周波数f2における異物センサ200からの反射電力は、それぞれグラフ454上の極小点420及び極大点421によって示される値となる。
【0103】
これらの値を、グラフ450における周波数f1及び周波数f2の反射電力の強度と比較すると、周波数f1及び周波数f2において、反射電力がともに小さくなることがわかる。
【0104】
また、反射タグ202と検出装置300との距離が短くなった場合、反射電力の周波数特性は、図7(B)に示されるように、グラフ450からグラフ452へ変化する。
【0105】
この場合、周波数f1及び周波数f2における異物センサ200からの反射電力は、それぞれグラフ452上の極小点422及び極大点423によって示される値となる。
【0106】
これらの値を、グラフ450における周波数f1及び周波数f2の反射電力の強度と比較すると、周波数f1及び周波数f2において、反射電力がともに大きくなることがわかる。
【0107】
図7(C)は、以上述べた要因毎に、反射電力の変化をまとめた表である。
【0108】
反射タグ202の見かけ上の誘電率が増加した場合、周波数f1における反射電力は、基準状態よりも増加し、周波数f2における反射電力は、基準状態よりも減少する。
【0109】
一方、反射タグ202の誘電率が変化せず、異物センサ200と検出装置300との距離が変化した場合、周波数f1及び周波数f2における反射電力は、ともに増加するか、ともに減少するかのいずれかとなる。
【0110】
したがって、周波数f1及びf2における反射電力が、基準状態からどのように変化するかを判定することで、誘電率の変化(すなわち、異物の存在)と、検出装置300からの距離の変化(例えば、異物センサ200を設置したトレーニー700、701の姿勢変化など)を切り分けて検出することができる。
【0111】
図8は、本実施の形態に係る検出装置300による異物の検出処理の流れを示すフローチャートである。
【0112】
まず、検出装置300は電波送信部304から異物センサ200に対して周波数がf1である電波を送信する(S320)。
【0113】
異物センサ200は、この電波を、アンテナ204を介して受信する。その後、異物センサ200は、受信した電波の一部をアンテナ204及び抵抗素子206等によって消費し、一部を反射波として検出装置300へ反射する。
【0114】
検出装置300は、アンテナ302により異物センサ200からの反射波を受信する(S321)。説明のため、この反射波を第3の反射波と呼ぶ。判定部306は、第3の反射波の反射電力の値を記憶部308へ一時的に記憶させる。
【0115】
次に、検出装置300は電波送信部304から異物センサ200に対して周波数がf2である電波を送信する(S322)。
【0116】
次に、異物センサ200は、この電波を、アンテナ204を介して受信する。その後、異物センサ200は、受信した電波の一部をアンテナ204及び抵抗素子206等によって消費し、一部を反射波として検出装置300へ反射する。
【0117】
次に、検出装置300は、アンテナ302により異物センサ200からの反射波を受信する(S323)。説明のため、この反射波を第4の反射波と呼ぶ。判定部306は、第4の反射波の反射電力の値を記憶部308へ一時的に記憶させる。
【0118】
次に、判定部306は、異物がない基準状態において反射タグ202へ周波数f1及び周波数f2の電波をそれぞれ送信した場合の各反射電力の値を、記憶部308から取得する。説明のため、これらを第1の反射波の反射電力及び第2の反射波の反射電力と、それぞれ呼ぶ。
【0119】
さらに、判定部306は、第3の反射波の反射電力及び第4の反射波の反射電力の値を記憶部308から取得する。
【0120】
その後、判定部306は、第1及び第2の反射波の反射電力を基準として、第3及び第4の反射波の反射電力の増減をそれぞれ求め、反射タグ202付近の異物の有無を判定する(S324)。
【0121】
図9は、本実施の形態に係る検出装置300が備える判定部306の処理の流れを示すフローチャートである。
【0122】
まず、前述の通り、判定部306は、第1及び第2の反射波の反射電力を基準として、第3及び第4の反射波の反射電力の増減を求める(S304)。
【0123】
具体的には、判定部306は、第3の反射波の反射電力から第1の反射波の反射電力を引いた差分である第1の差分と、第4の反射波の反射電力から第2の反射波の反射電力を引いた差分である第2の差分とを算出する。
【0124】
次に、判定部306は、第1及び第2の反射波の反射電力と比較し、第3及び第4の反射波の反射電力の一方が増加し、かつ、一方が減少しているか否かを判定する(S305)。
【0125】
具体的には、判定部306は、前述の第1の差分と第2の差分の正負の符号が異なっているか否かを判定することが考えられる。
【0126】
その判定の結果、第1の差分と第2の差分の符号が異なっていれば(S305でYes)、判定部306は、反射タグ202の付近に異物を検出したものとして、異物検出信号を出力する(S306)。
【0127】
一方、第1の差分と第2の差分の符号が同一であれば(S305でNo)、判定部306は、異物の検出信号を出力しない。
【0128】
すなわち、本実施の形態に係る異物検出システム100は、異物センサ200と、異物センサ200の周囲の異物の有無を検出する検出装置300とを備える。
【0129】
ここで、異物センサ200は、アンテナ204と、アンテナ204と電気的に結合された抵抗素子206と、アンテナ204と抵抗素子206とが表面に配置された基板である反射タグ202とを備えている。
【0130】
異物センサ200は、異物センサ200の周辺に異物がない状態である基準状態において、第1の周波数の電波をアンテナ204で受信した場合の反射波である第1の反射波の反射電力が、第1の周波数を含む事前に定義された第1周波数領域内で極小値をとり、第2の周波数の電波をアンテナ204で受信した場合の反射波である第2の反射波の反射電力が、第2の周波数を含む事前に定義された第2周波数領域内で極大値をとるように電波を反射する。
【0131】
また、検出装置300は、アンテナ302と、アンテナ302から第1の周波数及び第2の周波数の電波を送信する電波送信部304と、基準状態において、電波送信部304から送信された第1の周波数の電波の一部が異物センサ200によって反射された反射波である第1の反射波の反射電力と、電波送信部304から送信された第2の周波数の電波の一部が異物センサ200によって反射された反射波である第2の反射波の反射電力とを記憶している記憶部308と、電波送信部304から送信される第1の周波数の電波の一部が異物センサ200によって反射される反射波である第3の反射波及び電波送信部304から送信される第2の周波数の電波の一部が異物センサ200によって反射される反射波である第4の反射波をアンテナ302から取得し、第3の反射波の反射電力及び第4の反射波の反射電力から第1の反射波の反射電力及び第2の反射波の反射電力をそれぞれ差し引いた差分である第1の差分及び第2の差分の符号が異なれば異物センサ200の周囲に異物があると判定する判定部306とを備える。
【0132】
なお、反射タグ202の部材として、吸湿性の部材を使用しても良い。
【0133】
また、本実施の形態に係る検出装置300は、アンテナ302と、アンテナ302から第1及び第2の周波数の電波を送信する電波送信部304と、異物センサ200周辺に異物がない状態である基準状態において、電波送信部304から送信された第1の周波数の電波の一部が異物センサ200によって反射された反射波である第1の反射波の反射電力と、電波送信部304から送信された第2の周波数の電波の一部が異物センサ200によって反射された反射波である第2の反射波の反射電力とを記憶している記憶部308と、電波送信部304から送信される第1の周波数の電波の一部が異物センサ200によって反射される反射波である第3の反射波及び電波送信部304から送信される第2の周波数の電波の一部が異物センサ200によって反射される反射波である第4の反射波をアンテナ302から取得し、第3の反射波の反射電力及び第4の反射波の反射電力から第1の反射波の反射電力及び第2の反射波の反射電力をそれぞれ差し引いた差分である第1の差分及び第2の差分の符号が異なれば異物センサ200の周囲に異物があると判定する判定部306とを備えている。
【0134】
また、本実施の形態に係る異物センサ200は、アンテナ204と、アンテナ204と電気的に結合された抵抗素子206と、アンテナ204と抵抗素子206とが面上に配置された基板である反射タグ202とを備えている。
【0135】
また、異物センサ200は、異物センサ200の周辺に異物がない状態である基準状態において、第1の周波数の電波をアンテナ204で受信した場合の反射波である第1の反射波の反射電力が、第1の周波数を含む事前に定義された第1周波数領域内で極小値をとり、第2の周波数の電波をアンテナ204で受信した場合の反射波である第2の反射波の反射電力が、第2の周波数を含む事前に定義された第2周波数領域内で極大値をとるように電波を反射する。
【0136】
ここで、第1及び第2の周波数領域は、広すぎると異物の過検出の可能性が高まり、狭すぎると異物の見過ごしの可能性が高まる。例えば、第1の周波数領域は、第1周波数を含み、その前後6MHz程度と設定し、第2の周波数領域は、第2周波数を含み、その前後6MHz程度と設定すること等が考えられる。
【0137】
この構成によると、異物が接触せずとも異物センサ200の周辺(例えば周囲数ミリ程度)に異物が存在すると反射タグ202の見かけ上の誘電率が変化し、その結果反射電力の周波数特性が変化する。
【0138】
より具体的には、異物センサ200が備えるアンテナ204は、それぞれ長さの異なる2以上のアンテナが並列に接続された形状を有するように設計してもよい。
【0139】
すなわち、2個の異なる周波数の共振点をアンテナ204にもたせれば、その間には極大点と極小点が存在する。
【0140】
したがって、長さを変えることで共振点を変えた2つのアンテナが並列に接続された形状としてアンテナ204を設計することが考えられる。
【0141】
以上述べた異物センサ200は電波を反射するのみであり、自ら電波を発信しないため、いわゆる無線モジュールは不要である。したがって、小型・安価で電力消費が少ない無線通信機能付きの異物センサ200を用いた異物検出システム100を実現できる。
【0142】
また、本実施の形態に係る異物検出システム100では、反射電力の周波数特性のうち、極大値及び極小値を含む特性を用いて、すなわち、2つの周波数だけで測定が可能である。よって、周波数特性のスペクトラムを測定する必要が無く、検出装置の簡素化、低コスト化、省エネ化といった利点が生じる。
【0143】
また、本実施の形態に係る異物検出システム100では、負荷とアンテナのインピーダンス整合(抵抗による電力損失)を設計に利用するため、完全な反射状態と完全な吸収状態(理論的には送信電力の半分を吸収)を利用する。より大きな反射電力変化を得ることができる。具体的には、反射電力の変化量(極小点のピークの深さ)を制御することができる。その結果、反射電力変化の検出が容易となり、異物の検出精度を高めることができる。
【0144】
なお、本実施の形態に係る異物センサ200は、自ら電波を発信せずに反射波を用いて通信を行う点で、いわゆるパッシブ型のRFIDと類似している。
【0145】
しかし、パッシブ型のRFIDは、ID情報を反射波に乗せて返すため、タグがIC(Integrated Circuit)を備えておく必要とする。一方、本実施の形態にかかる異物センサ200では、電波を吸収するためのアンテナと抵抗素子のみを備えればよく、ICは不要である。
【0146】
すなわち、パッシブ型RFIDでは必要なICを駆動するための電力が、異物センサ200では不要となる。
【0147】
その結果、異物センサ200の通信距離をパッシブ型RFIDよりも伸ばすことや、検出装置300(パッシブ型RFIDにおけるリーダに相当)が出力する電波の出力を減らすことが可能となる。
【0148】
より具体的に検討すると、パッシブ型RFIDによる通信距離(すなわち、リーダとタグ間の通信可能な距離)の最大値は、数式1で求められる。ここで、λは、送信する電波の波長であり、PTXは、リーダの送信電力であり、Greaderは、リーダのアンテナ利得であり、Gtagはタグのアンテナ利得であり、Pmin,tagは、タグの閾値電力(感度)である。
【0149】
【数1】

【0150】
一方、本実施の形態に係る異物センサ200及び検出装置300間の通信距離の最大値は、数式2で求められる。ここで、λは、送信する電波の波長であり、PTXは、検出装置300の送信電力であり、Greaderは、検出装置300のアンテナ利得であり、Gtagは異物センサ200のアンテナ利得であり、Pmin,readerは、検出装置300の感度であり、Tbは、後方拡散伝送ロスである。
【0151】
【数2】

【0152】
仮に、送信周波数を950MHzとし、Pmin,tagを−10dBmとし、Pmin,readerを−80dBmとすると、数式1より、パッシブ型RFIDの通信距離は6mとなる。
【0153】
一方、本実施の形態に係る異物センサ200及び検出装置300間の通信距離の最大値は、数式2より、45mとなる。
【0154】
これらは理論値であるため、実際はICとアンテナのマッチング状態等により、通信距離は変化するが、このように本実施の形態に係る異物検出システム100では、従来のパッシブ型RFIDと比較しても、省電力で、長距離の通信が可能である。
【0155】
以上、本実施の形態に係る異物検出システム100、検出装置300、及び異物センサ200について説明した。
【0156】
次に、本実施の形態の変形例に係る検出装置300について説明する。
【0157】
(変形例)
図10は、本変形例に係る検出装置300を備えた異物検出システム100のブロック図である。なお、図2と同様の構成要素については同一の符号を付け、詳細な説明を省略する。
【0158】
本変形例では、検出装置300が、さらにアンテナ303を備える。また、電波送信部304が第1送信部311及び第2送信部312を備える。また、判定部306が第1受信部313及び第2受信部314を備える。
【0159】
アンテナ302及びアンテナ303は、それぞれ、第1送信部及び第2送信部から送られる電波の送信及び、その反射波の受信を行うアンテナである。
【0160】
第1送信部311は、第1の周波数の電波をアンテナ302から送信する。
【0161】
第2送信部312は、第2の周波数の電波をアンテナ303から送信する。
【0162】
これらの送信は、例えばユーザが検出装置300へ異物の検出を指示したタイミングに行ってもよく、定期的(例えば数十秒毎など)に行っても良い。
【0163】
また、第1送信部311と第2送信部312は同時に電波を送信してもよく、数十ミリ秒程度、時刻をずらして電波を送信してもよい。
【0164】
第1受信部313は、第1送信部311から送信された電波の反射波を、アンテナ302を用いて受信する。
【0165】
第2受信部314は、第2送信部312から送信された電波の反射波を、アンテナ303を用いて受信する。
【0166】
第1受信部313及び第2受信部314は、受信した反射波の電力を記憶部308へ一時的に記憶させる。
【0167】
すなわち、本変形例にかかる電波送信部304は、第1の周波数の電波を送信する第1送信部311と、第2の周波数の電波を送信する第2送信部312とを備え、第1送信部311及び第2送信部312は同時期に、第1の周波数及び第2の周波数の電波をそれぞれ送信する。
【0168】
本変形例によれば、検出装置300は、第1の周波数の電波及び第2の周波数の電波を異物センサ200に対してそれぞれ独立のタイミングで送信し、その反射波を受信することができる。
【0169】
よって、検出装置300は、第1の反射波の反射電力の測定が完了する前に、第2の反射波を送信することができる。より具体的には、検出装置300は、第1の周波数と第2の周波数の電波を同時に送信することができる。
【0170】
その結果、異物センサ200と検出装置300との距離が絶えず変化し、これに対応して反射電力が変化する場合においても、同一距離において第1の反射波及び第2の反射波の反射電力を測定できる。そのため、検出装置300は、より正確に異物を検出することができる。
【0171】
なお、実施の形態及び変形例において、検出装置300が送信する2種類の電波の周波数の間隔が狭いと、判定部306は異物による反射電力の変化と、検出装置300〜異物センサ200間の距離の変化による反射電力の変化とを区別できず、異物の過検出が生じやすくなる。図6及び図11を参照して、より詳細に説明する。
【0172】
図6では、グラフ451で示される反射電力は、基準状態である450と比較して、周波数f1では増加し、周波数f2では減少する。図7(C)でまとめたように、2種類の周波数の内、一方の周波数について反射電力が増加し、他方の周波数について反射電力が減少したか否かを判定することで、判定部306は、反射電力の変化が、異物によるものか、距離の変化によるものかを切り分けることができる。
【0173】
しかし、例えば、図11で示されるグラフ450とグラフ490の関係では、グラフ490は反射タグ202の誘電率の変化により、基準状態であるグラフ450が左へシフトしたものであるにも関わらず、周波数f1及び周波数f2ともに、反射電力の値は減少している。
【0174】
すなわち、周波数f1及びf2の差が小さく、異物による反射タグ202の誘電率の変化量が大きい場合には、判定部306が異物を過検出する可能性が生じる。特に、周波数f1及びf2の差が小さい(間隔が狭い)場合に、異物を過検出しやすいといえる。
【0175】
これを避けるためは、想定される誘電率の変化(すなわち、検出装置300によって検出したい異物の種類や量)に応じて、周波数f1とf2を適切に離す必要がある。
【0176】
より具体的には、例えば、f1を940MHzとし、f2を2.45GHzとすること等が考えられる。
【0177】
なお、異物センサ200の反射電力の周波数特性は、例えば図6に示されるように複数の直線が組み合わされた形状でなくともよい。例えば、極小点を有する下に凸の曲線と、極大点を有する上に凸の曲線とが組み合わされており、かつ、1の周波数に対して1の反射電力が定まる形状であってもよい。
【0178】
なお、反射タグ202の反射電力の周波数特性は、必ずしも、1の極大点と1の極小点を有さずともよい。ただし、検出対象とする異物により周波数特性が変化しうる範囲においては、1の極大点を1の極小点を有する必要がある。
【0179】
例えば、図6において、反射タグ202に検出したい異物である水(誘電率80)が接触している場合の反射電力の周波数特性がグラフ451で示されており、これ以上、反射タグ202の見かけ上の誘電率が大きくならないことがわかっている場合(例えば、反射タグ202が十分な量の水に接触している場合)には、異物センサ200からの反射電力の周波数特性は、グラフ451の極小点から点418までの間に、1の極大点以外の変極点をもたなければよい。
【0180】
なお、本実施の形態では、基準状態として異物がない状態を用いたが、特定の異物がある状態を基準状態として用いても良い。例えば、浸水した反射タグ202の反射電力の極大点及び極小点からのずれを検出することで、異物である水が無いことを検出することができる。
【0181】
なお、本実施の形態では異物の例として、反射タグ202の誘電率として想定される値(10以下程度)よりも誘電率の大きな水を用いて説明したが、より誘電率の小さな物質の有無も検出することができる。
【0182】
また、単に異物の有無を検出するだけでなく、反射電力のずれの大きさを評価することにより、誘電率の値を計測することも可能である。すなわち、検出装置300が備える判定部306は、さらに、誘電率算出部を備え、誘電率算出部では、前述の第1差分及び第2差分が大きいほど、誘電率を大きく算出することで、検出装置300は誘電率の大きさを算出することができる。
【0183】
なお、実施の形態及び変形例で説明した検出装置300は、コンピュータにより実現することが可能である。図12を参照して、検出装置300は、コンピュータ34と、コンピュータ34に指示を与えるためのキーボード36及びマウス38と、コンピュータ34の演算結果等の情報を提示するためのディスプレイ32と、コンピュータ34で実行されるプログラムを読み取るためのCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)装置40及び通信モデム(図示せず)とを含む。
【0184】
検出装置300が行う処理であるプログラムは、コンピュータで読取可能な媒体であるCD−ROM42に記憶され、CD−ROM装置40で読み取られる。又は、コンピュータネットワークを通じて通信モデム52で読み取られる。
【0185】
図13は、検出装置300を実現するコンピュータシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ34は、CPU(Central Processing Unit)44と、ROM(Read Only Memory)46と、RAM(Random Access Memory)48と、ハードディスク50と、通信モデム52と、バス54とを含む。
【0186】
CPU44は、CD−ROM装置40又は通信モデム52を介して読み取られたプログラムを実行する。ROM46は、コンピュータ34の動作に必要なプログラムやデータを記憶する。RAM48は、プログラム実行時のパラメタなどのデータを記憶する。ハードディスク50は、プログラムやデータなどを記憶する。通信モデム52は、コンピュータネットワークを介して他のコンピュータとの通信を行う。バス54は、CPU44、ROM46、RAM48、ハードディスク50、通信モデム52、ディスプレイ32、キーボード36、マウス38及びCD−ROM装置40を相互に接続する。
【0187】
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0188】
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカード又はモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカード又はモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカード又はモジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0189】
また、本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0190】
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu-ray Disc(登録商標))、USBメモリ、SDカードなどのメモリカード、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしてもよい。
【0191】
また、本発明は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0192】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
【0193】
また、上記プログラム又は上記デジタル信号を上記記録媒体に記録して移送することにより、又は上記プログラム又は上記デジタル信号を、上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0194】
さらに、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【0195】
今回開示された実施の形態及び変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明は、異物検出システム、検出装置及び異物検出センサに適用できる。
【符号の説明】
【0197】
32 ディスプレイ
34 コンピュータ
36 キーボード
38 マウス
40 CD−ROM装置
42 CD−ROM
44 CPU
46 ROM
48 RAM
50 ハードディスク
52 通信モデム
54 バス
100 異物検出システム
200 異物センサ
204、302、303 アンテナ
202 反射タグ
204 アンテナ
206 抵抗素子
300 検出装置
304 電波送信部
306 判定部
308 記憶部
311 第1送信部
312 第2送信部
313 第1受信部
314 第2受信部
401、402、403、415、420、422 極小点
417、421、423 極大点
416、418 点
410、411、450、451、452、454、460、461、462、490 グラフ
601 異物
700、701 トレーニー
702 トレーナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異物センサと、
前記異物センサの周囲の異物の有無を検出する検出装置とを備える異物検出システムであって、
前記異物センサは、
第1アンテナと、
前記第1アンテナと電気的に結合された抵抗素子と、
前記第1アンテナと前記抵抗素子とが表面に配置された基板である反射タグと
を備え、
前記異物センサの周辺に異物がない状態である基準状態において、第1の周波数の電波を前記第1アンテナで受信した場合の反射波である第1の反射波の反射電力が、前記第1の周波数を含む事前に定義された第1周波数領域内で極小値をとり、第2の周波数の電波を前記第1アンテナで受信した場合の反射波である第2の反射波の反射電力が、前記第2の周波数を含む事前に定義された第2周波数領域内で極大値をとるように電波を反射し、
前記検出装置は、
第2アンテナと、
前記第2アンテナから前記第1の周波数及び前記第2の周波数の電波を送信する電波送信部と、
前記基準状態において、前記電波送信部から送信された前記第1の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射された反射波である第1の反射波の反射電力と、前記電波送信部から送信された前記第2の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射された反射波である第2の反射波の反射電力とを記憶している記憶部と、
前記電波送信部から送信される前記第1の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射される反射波である第3の反射波及び前記電波送信部から送信される前記第2の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射される反射波である第4の反射波を前記第2アンテナから取得し、前記第3の反射波の反射電力及び前記第4の反射波の反射電力から前記第1の反射波の反射電力及び前記第2の反射波の反射電力をそれぞれ差し引いた差分である第1の差分及び第2の差分の符号が異なれば前記異物センサの周囲に前記異物があると判定する判定部とを備える
異物検出システム。
【請求項2】
前記電波送信部は、
前記第1の周波数の電波を送信する第1送信部と、
前記第2の周波数の電波を送信する第2送信部とを備え、
前記第1送信部及び前記第2送信部は同時期に、前記第1の周波数及び前記第2の周波数の電波をそれぞれ送信する
請求項1に記載の異物検出システム。
【請求項3】
前記反射タグは、吸湿性の部材で構成されている
請求項1に記載の異物検出システム。
【請求項4】
異物センサ周辺の異物の有無を検出する検出装置であって、
アンテナと、
前記アンテナから第1及び第2の周波数の電波を送信する電波送信部と、
前記異物センサ周辺に異物がない状態である基準状態において、前記電波送信部から送信された前記第1の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射された反射波である第1の反射波の反射電力と、前記電波送信部から送信された前記第2の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射された反射波である第2の反射波の反射電力とを記憶している記憶部と、
前記電波送信部から送信される前記第1の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射される反射波である第3の反射波及び前記電波送信部から送信される前記第2の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射される反射波である第4の反射波を前記アンテナから取得し、前記第3の反射波の反射電力及び前記第4の反射波の反射電力から前記第1の反射波の反射電力及び前記第2の反射波の反射電力をそれぞれ差し引いた差分である第1の差分及び第2の差分の符号が異なれば前記異物センサの周囲に前記異物があると判定する判定部とを備える
検出装置。
【請求項5】
前記電波送信部は、
前記第1の周波数の電波を送信する第1送信部と、
前記第2の周波数の電波を送信する第2送信部とを備え、
前記第1送信部及び前記第2送信部は同時期に、前記第1の周波数及び前記第2の周波数の電波をそれぞれ送信する
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記判定部は、
前記第1の差分及び前記第2の差分の積が同じ符号であれば前記異物センサと前記検出装置との距離が変化したと判定する
請求項4に記載の検出装置。
【請求項7】
アンテナと、
前記アンテナと電気的に結合された抵抗素子と、
前記アンテナと前記抵抗素子とが面上に配置された基板である反射タグと
を備える異物センサであって、
前記異物センサの周辺に異物がない状態である基準状態において、第1の周波数の電波を前記アンテナで受信した場合の反射波である第1の反射波の反射電力が、前記第1の周波数を含む事前に定義された第1周波数領域内で極小値をとり、第2の周波数の電波を前記アンテナで受信した場合の反射波である第2の反射波の反射電力が、前記第2の周波数を含む事前に定義された第2周波数領域内で極大値をとるように電波を反射する
異物センサ。
【請求項8】
前記アンテナは、それぞれ長さの異なる2以上のアンテナが並列に接続された形状を有する
請求項7に記載の異物センサ。
【請求項9】
前記反射タグは吸湿性の部材で構成されている
請求項7に記載の異物センサ。
【請求項10】
異物センサ周辺の異物の有無を検出する異物検出方法であって、
第1及び第2の周波数の電波を送信する電波送信ステップと、
前記異物センサ周辺に異物がない状態である基準状態において、前記第1の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射された反射波である第1の反射波の反射電力と、前記第2の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射された反射波である第2の反射波の反射電力とを記憶する記憶ステップと、
前記第1の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射される反射波である第3の反射波及び前記第2の周波数の電波の一部が前記異物センサによって反射される反射波である第4の反射波を取得し、前記第3の反射波の反射電力及び前記第4の反射波の反射電力から前記第1の反射波の反射電力及び前記第2の反射波の反射電力をそれぞれ差し引いた差分である第1の差分及び第2の差分の符号が異なれば前記異物センサの周囲に前記異物があると判定する判定ステップとを含む
異物検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−63324(P2012−63324A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209847(P2010−209847)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(504160781)国立大学法人金沢大学 (282)
【Fターム(参考)】